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区長メッセージ 第84号 平成30年2月21日 平成30年度施政方針演説

更新日:2018年3月16日

1.はじめに    品川区長  濱野 健

 平成30年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針および施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

30年度施政方針演説1

2.平成30年度 区政運営の基本方針

 平成30年度は、平成21年度からスタートした長期基本計画の最終年であり、その集大成の年であります。

 これまでの10年を振り返ってみますと、世界的な経済不況や東日本大震災の発生、二度の政権交代、さらにオリンピック・パラリンピックの東京での開催決定など、品川区を取り巻く社会経済環境は大きく、そして想像を超える速さで変化してまいりました。

 そうした状況において、区は長期基本計画の実現が区民生活の向上や区の発展につながるものと考え、協働の推進をはじめ、地域のにぎわいづくりや子育て・学校教育、福祉の充実、まちづくりなど、計画に掲げる施策を着実に進めてまいりました。

 特に、町会・自治会活動は災害対策などについて、議会の協力を得ながら条例化し、区の基本姿勢を示したことで、区民活動の活性化につなげることができました。加えて、CSR推進協議会での活動や区内大学との連携など、様々な主体との連携強化や、さらに、支え愛・ほっとステーションを軸とした地域福祉の展開による、地域力の向上を図ってまいりました。

 また、緊急課題であった防災対策、地域経済の活性化、総合的待機児童対策、高齢期の住まいと安心への施策などにつきましては、他区に先駆けていち早取り組んできたところであります。

 さらに、オリンピック・パラリンピックの開催を控え、まちのにぎわい充実と都市型観光を推進し、おもてなしのまちを作ってまいりました。

 こうした施策の成果として、品川区の人口を見ますと、現在38万8千人余と10年前と比較し約4万5千人、13%の増と大きく伸びました。また、区の世論調査においても、9割の方々に「住み続けたい」と回答をいただいております。

 一方で、現在の区を取り巻く環境ですが、国は働き方改革や地方に係る税制変更などを打ち出しており、区にどのように波及するか、特に中小企業に対する影響を注視しなければならないと考えております。

 また、東京都は「東京2020大会の成功」と「その先の未来に向けて都政に課せられた使命を果たす」としており、それらの施策が区にどう直接影響するか見極める必要もございます。

 その東京2020大会開催まで、残り900日を切りました。区では、3競技応援キャラクターを作るなど、機運醸成を積極的に進めてまいりましたが、いよいよ大詰めであります。区をあげてこの世界的な祭典を迎え、区民と共に盛り上げ、これを契機に区のさらなる発展へとつなげてまいります。

 また、テロの脅威や弾道ミサイルの問題など、自然災害のみならず様々な危機管理への対応も必要となってきております。

 こうしたことから、これまでの実績、成果を踏まえ、長期基本計画の総仕上げとして計画達成に向け最大限の努力を行ってまいります。

 また、「区の魅力を引き出す取り組み」、「健康で暮らし続けられる取り組み」、「持続的に共助を後押しする取り組み」、これらを強化し、新たな課題の解決に向け積極果敢に施策を進めてまいります。

 

30年度施政方針演説2

3.平成30年度予算 長期基本計画の実現

 それでは、長期基本計画の実現に向けた平成30年度の主な事業についてご説明申し上げます。

1.だれもが輝くにぎわい都市

 第一に「だれもが輝くにぎわい都市」であります。

 始めに、地域や区民活動への支援であります。
 町会・自治会は、区の協働の最大のパートナーとして、地域において防災・防犯、子どもたちや高齢者の見守りなど、様々な活動をしていただいております。平成28年に「町会および自治会の活動活性化の推進に関する条例」を制定し、これまで法的根拠のなかったその位置づけを明確にいたしました。今後も、この条例に基づき、活動の支援を強化してまいります。

 30年度は、地域の中で際立って活発な活動を行っている町会・自治会を「トップランナー」として認定し、その事業経費に対し補助をしてまいります。また、町会会館などを持っていない町会・自治会に対して、会議室の使用料の一部を補助し、安定した活動基盤の確保に向けた支援をしてまいります。
 こうした区民活動が盛んであることが、品川区の誇れる財産であり、活力の源となっております。今後も区民の協働や共助が持続的に進むよう、それを後押しする取り組みを強化いたします。
 そこで、福祉の面だけでなく、オリンピック・パラリンピックを踏まえた対応や災害時などにおいて、様々なボランティア活動が大切となることから、区としてそのあり方を検討してまいります。

 次に、産業の活性化であります。
 品川区は、ものづくりのまちとして発展してまいりましたが、現在はIT企業が集積するなど、その業態も多様化しております。
 そうした様々な業種の交流を図り、次世代の新しい産業を育成する拠点として、平成27年に品川産業支援交流施設「SHIP」を開設いたしました。現在、登録会員数は、法人、個人を合わせて647と増え続けており、今後の展開や成果を期待しているところであります。
 また、プレミアム付区内共通商品券発行は、世界的な経済不況の際に拡充し、その結果、商店街を中心として、区民の消費喚起の向上に役立てることができました。
 30年度の産業への支援といたしましては、29年度より実施している事業承継支援にて、設備更新にかかる費用も助成することで、経営の安定化に向けた支援をしてまいります。
 また、働き方改革への対応として、中小企業への意識啓発を始め、一定の実績が出た事業者には奨励金を交付し、区内中小企業の取り組みを支援してまいります。

 次に、都市型観光の推進であります。
 品川区は、交通の利便性を軸に、歴史や文化、活気溢れる商店街など、豊富な資源に加え、川や運河の水辺活用など、観光施策を推進する条件が整ってきております。そうしたことから、平成28年に品川区都市型観光プランを新たに策定いたしました。
 これに基づき、商店街や地元企業との連携を密にしながら、水辺の魅力を活かしたイベントや無料Wi-Fi スポットの整備、さらに区内企業の人気キャラクター「シナモロール」を観光大使として抜擢した観光プロモーションなど、品川ならではの観光振興を進めております。
 30年度は、こうした魅力をさらに磨き、様々な手法で多くの方が訪れやすくしてまいります。
 そこで、外国人来訪者向けのマナーブックと、受け入れる側へのおもてなしブックを作成し、周知することで、文化や風習の違いへの理解やトラブルの防止に役立ててまいります。
 また、区外の多くの方々に品川の魅力を知ってもらうため、都内の大型街頭ビジョンなどを利用した動画放映など、幅広くPR してまいります。
 さらに、観光大使にも大いに活躍していただく予定であります。イベント開催やグッズ製作をはじめ、道案内タイルやマンホールカードによるPR のほか、「しながわ観光大使館」をスクエア荏原の中に設置し、荏原地区の観光発信拠点といたします。

 次に、文化、芸術、スポーツの振興であります。
 東京2020大会を契機とした様々な事業を展開するため、平成28年に文化スポーツ振興基金を創設し、安定的かつ計画的に事業執行ができるよう仕組みを作りました。
 30年度は、文化芸術団体を中心に「品川区文化芸術振興協議会」を設置し、文化芸術の資源や情報の共有、団体間の連携促進を進め、一層の振興をしてまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピックに係る事業であります。
 この大会は、「子どもたちへの夢のバトンタッチ」と「まちのにぎわいと発展」につながり、区が大きく飛躍する好機であることから、様々なチャレンジをしているところであります。

 30年度は、この区の魅力をさらに引き出すことについて、強化取り組みとして充実を図ってまいります。
 品川区の新たな観光となりつつある水辺ですが、まだまだ磨ける余地があると考えております。そこで、目黒川など水辺を中心として桜の植樹や橋のライトアップなどを進め、その魅力をさらに向上させてまいります。

 

2.未来を創る子育て・教育都市

 第二に「未来を創る子育て・教育都市」であります。

 始めに、子育ち・親育ち支援であります。
 この施策では、何よりも待機児童対策が喫緊の課題であり、平成22年度から重点的に取り組んでまいりました。民間事業者との連携などを取り入れた総合的な待機児童対策を進め、平成29年度までの8年間で、認可保育園や認証保育所を62施設から141施設と2倍以上とし、5,507人の受入拡大をいたしました。
 30年度は、新規園で入園が少ない4・5歳児の保育室を活用して1 歳児を預かる定期利用保育など、新たなアイデアも取り入れながら、過去最大規模の1,557人の定員増を実施いたします。
 また、妊娠期から出産、育児までの切れ目のない支援体制として、しながわネウボラネットワークの構築を進めており、30年度は、相談業務における助産師の増員や東京医療保健大学との協働による訪問型の産後ケア事業を新たに実施いたします。
 さらに、子どもたちへの予防接種の種類や回数の増加により、接種忘れや間違いなども散見されることから、アプリを活用して自動通知などを行い、トラブル防止に役立ててまいります。
 一方で、経済的不安を抱える家庭の子どもたちへの支援として、「子どもの未来応援プロジェクト」により、学習支援事業や子ども食堂の開設・運営支援などを行ってきております。
 また、在宅子育て支援として行っているオアシスルームについて、新たに区役所第三庁舎内に開設するほか、インターネット予約を導入し、利便性の向上を図ります。
 奨学金の貸付事業も制度を見直し、高校生の授業以外の活動も対象とする在学応援資金の創設や、地域活動への参加実績などを要件に、返還免除制度を設けるなど、幅広く利用できるようにいたします。
 そして、児童相談所の開設であります。都区制度の事務移管の中で、その議論が止まっておりましたが、区といたしましても相談所開設に向け、職員体制の強化をはじめ、現在全力で取り組んでいるところであります。都との間で解決すべき課題は少なくありませんが、早期開設に向け努力してまいります。

 次に、学校教育の推進であります。
 品川区では、全国に先駆け小中一貫教育を平成18年度より推進してまいりましたが、これをモデルとして国が法制化し、平成28年度には義務教育学校の設置に至りました。品川区の教育改革が日本の学校教育に一石を投じた成果であると考えております。
 一方で、教育における諸課題の解決には、地域との連携がなくてはなりません。そのため、28年度から地域と学校が協力しながら教育を進める、品川コミュニティ・スクールをスタートさせ、30年度には全校展開いたします。
 また、特別な配慮が必要な子どもたちも、安心して在籍校で授業が受けられるよう特別支援教室を整備しており、同じく30年度に全校展開いたします。
 計画的に行っております学校の整備は、現在、芳水小、城南小、後地小、鮫浜小の改築を進めておりますが、新たに浜川小と幼稚園の設計、第四日野小の測量を開始いたします。
 また、就学支援事業の新入学学用品費を、新1年生と7年生に、入学や進級の前に支給できるようにすると共に増額を行い、保護者の負担軽減につなげます。
 さらに、教職員の長時間勤務が全国的に課題となっていることを踏まえ、教員の事務補助を行うスクール・サポート・スタッフを配置し、学校における働き方改革を推進してまいります。

 次に、青少年の育成であります。
 現在、引きこもり等の若者への支援などを柱とする「子ども・若者計画」を策定しているところであり、30年度はそうした青少年の相談等の拠点を設置し、支援を進めてまいります。

 次に、平和と人権であります。
 27年度から進めております品川平和の花壇事業による、カンナの花の植栽を区立学校5校に拡げ、「非核平和都市品川宣言」の趣旨普及と啓発に努めます。
 また、30年度は「人権尊重都市品川宣言」制定から25年目の節目であり、この趣旨を改めて広く普及できるよう取り組んでまいります。
 さらに、男女共同参画のための第四次品川区行動計画が最終年度となることから、現在の社会情勢なども踏まえた第五次行動計画を策定してまいります。

30年度施政方針演説3

3.みんなで築く健康・福祉都市

 第三に「みんなで築く健康・福祉都市」であります。

 始めに、健康づくりの推進であります。
 全ての区民が健康であることは、活気や生きがいを持って活動するための源であり、増々進展する高齢社会において、健康であり続けることが、まちの活力につながってまいります。
 区では、平成27年に「しながわ健康プラン21」を策定し、区民の健康寿命を延伸させるため、地域ぐるみの健康づくりに取り組んでまいりました。
 30年度は、健康施策を強化取り組みの一つとして、新たに健康ポイント事業をスタートいたします。健康づくりに無関心な人たちに向け、運動を始めるきっかけや継続する動機付けとなるよう、インセンティブを付与したしくみで、楽しく健康になれるものといたします。

 次に、高齢者福祉であります。
 これまで緊急対策として、高齢期の住まいと安心の確保の充実を図ってまいりました。特に、在宅介護のセーフティネットである特別養護老人ホームは、学校跡地や国有地を活用しながら、平成26年からの4年間で、3カ所、231人の定員拡大を行いました。
 さらに、30年度は、民間事業者による31年度開設に向けた支援を行い、利用者の拡大を図ってまいります。
 また、急速に進む高齢化により、認知症への対応が急務となっております。区では、独自の認知症ケアパス「品川くるみ認知症ガイド」を作成し、広く周知を行いました。
 加えて、認知症高齢者のグループホームは4年間で5カ所整備したほか、徘徊高齢者早期発見ネットワークの構築や認知症カフェへの支援など、その対策の強化を図ってきたところであります。
 30年度は、区立図書館において、認知症カフェやサポーター養成講座を実施するなど、多様な機会を駆使しながら啓発を図ってまいります。
 他方、地域での活用も多いシルバーセンターですが、その改築時に、高齢者だけでなく子どもや子育て世代など、多世代が交流できる新たな施設として「ゆうゆうプラザ」を開設いたしました。
 今後は、平塚シルバーセンター跡に、オアシスルームなど子育て支援事業も行う新たな施設として、31年3月に開設する予定であります。

 次に、障害者福祉であります。
 障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、適切にケアマネジメントするための体制整備を行ってまいりました。そうしたことから、区内4カ所に相談拠点を整備し、地域ごとに相談が受けられるようにいたしました。
 また、発達障害者の就労や成人期の支援のための施設「ぷらーす」の開設や重症心身障害児者のレスパイト事業の開始、グループホームの整備など、障害の種別に捉われず幅広い支援を行ってまいりました。
 さらに、障害者の芸術活動支援として、他自治体では取り組み例の少ない、アールブリュット展を平成27年度から開催し、年々そうした芸術に対する理解が深められております。
 30年度は、障害者のライフステージを通して総合的、継続的な支援を行う、全国にも例を見ない障害児者総合支援施設を、31年度の開設に向け準備を進めてまいります。
 その他にも、移動支援の拡充、紙おむつの支給対象の拡大など、支援の充実を図ってまいります。

 次に、地域福祉であります。
 地域での支え合い活動は、地域福祉の根幹と言えるものであり、地域では「おたがいさま」という気持ちが大切にされております。これを醸成し、広くつなげていくことが行政の役割であります。
 そうした考えのもと、地域での身近な相談窓口として支え愛・ほっとステーションを設置し、支え合いの体制づくりを進めてまいりました。平成29年度には全13地区に展開し、今後は、地域課題の解決に向け取り組んでまいります。
 他方、やさしいまちづくりの観点では、まちのバリアフリーを進めるため、大井町と旗の台において、障害者の方などと共にまちの状況を確認しながら、バリアフリー計画を策定いたしました。現在は、この計画に基づき、行政だけでなく、鉄道事業者や商業施設なども含め、バリアフリー化を進めております。
 30年度は、これらの施策のもととなっている「地域福祉計画」を国の施策の方向性なども見据えながら、「すべての人にやさしいまちづくり推進計画」と統合し策定することで、今後の地域福祉の基礎としてまいります。

4.次代につなぐ環境都市

 第四に「次代につなぐ環境都市」であります。

 始めに、環境対策であります。
 環境課題への対応は、区や個々の取り組みの積み重ねが、大きな効果につながります。区としての姿勢を明示し、目標をきちんと提示することで、その効果に向けた啓発を行うことが大切であります。
 そうしたことから、現在区では、「品川区環境計画」を始めとする環境に係る三計画を統合、改訂しているところであります。それを広くお示しし、品川区の環境対策を区民の方々と共に推進してまいります。
 区の取り組みといたしましては、庁舎をはじめ、学校、区有施設、公園灯、街路灯のLED化を計画的に進めており、温室効果ガスの発生抑制と省エネルギーに努めております。
 30年度は、そうした環境啓発や情報発信の拠点として、体験型の環境学習施設の検討を開始いたします。環境問題について、見て、体感できる施設として工夫を凝らしてまいります。

 次に、水辺とみどりの整備であります。
 区には266の公園があり、安らぎや憩いの場、活動の場として親しまれ、さらに災害時には避難場所として活用されるなど、区民にとって大切な施設であります。
 区では、長期基本計画のスタート以降、子どもたちのアイデアを活かした公園づくりを進めてきており、子どもならではのユニークな発想から整備した公園は、どれも人気があり好評を得ております。
 今後は、東京2020大会の開催も控え、多くの来訪者が見込まれることから、そうした方々も楽しめる、おもてなしの心も入れながら整備してまいります。
 今後の具体的整備ですが、天王洲公園を現在ブラインドサッカーの国際試合も開催可能なものに整備しているところです。また、五反田ふれあい水辺広場や五反田南公園は、リバーステーションと一体的な整備を進め、交通や観光の要所といたします。さらに、池田山公園は、いわゆるパワースポットとしても人気を博しており、整備と合わせ、より広くその魅力をPR してまいります。
 また、29年度より進めている「おもてなしトイレ」事業ですが、30年度は8カ所新たに整備してまいります。

 

 

30年度施政方針演説4

5.暮らしを守る安全・安心都市

 第五に「暮らしを守る安全・安心都市」であります。

 始めに、都市基盤の整備であります。
 都市基盤整備は、安全で住みやすくなるだけでなく、新たなまちの活性化に直結するものであります。その地域が持っているポテンシャルをより一層高められるよう、地域の実情に応じた支援を行ってまいます。
 その一例として、平成27年に開設した大崎駅西口バスターミナルは、羽田空港や成田空港とも路線がつながり、新たな交通の拠点として機能し始めております。
 また、区の住宅事情において課題であった空き家の対策につきましては、平成26年に「空き家等の適正管理等に関する条例」を制定し、適切な指導と措置を行った結果、不適正な管理の空き家の減少につながりました。
 30年度からの新たな都市基盤整備でありますが、五反田駅周辺において、まちづくりに向けた方針の検討を開始し、五反田の新たな活性化と発展を目指します。

 次に、防災対策であります。
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に未曾有の大災害となりました。区は現在も、その復興に向け関係自治体に職員を派遣するなど、支援を続けているところであります。
 この震災からの教訓をもとに、防災対策を常に重点課題として取り組んでまいりました。
 大きな成果の一つとして、平成26年度に「災害対策基本条例」を制定し、特に自助、共助の考えをお示しすることで、災害に対する備えを行政だけでなく、区民や事業者などが、自らのこととして考えるきっかけとなったことであります。今後も、この考えを継続的に周知することが、いざという時の備えにつながるものと考えております。
 また、平成28年4月に発生した熊本地震からの教訓として、国の復旧に向けた財政措置には、2カ月以上の時間を要することが改めてわかりました。そこで、区独自の財政措置の必要性から、災害復旧基金を設置し、合わせて災害復旧特別会計を創設することで、災害後の迅速な財政処理を可能といたしました。
 その他、防災センターをリニューアルし、体験型の施設として整備した「しながわ防災体験館」や各防災区民組織へのスタンドパイプの配備など、地域防災力の向上に努めてきたところであります。
 ハード整備におきましては、しながわ中央公園を災害時の拠点とするべく、JT 社宅跡地を購入し、ヘリポートや大規模備蓄倉庫などを整備いたしました。
 また、平成25 年度から続けている木密地域不燃化10年プロジェクトは、都内で最大の規模であり、区の重要な使命と捉えております。区民の安全・安心の確保のため、燃えないまち、燃え広がらないまちの実現を目指し全力で取り組んでまいります。30年度は、その早期実現に向け、改めて全戸訪問を実施し、周知の徹底を図ってまいります。
 一方で、予測困難な集中豪雨なども多くなり、都市特有の水害も増えてきております。これに対応するため東京都と協力しながら、浜川雨水排水管建設事業や第二戸越幹線整備事業などを進め、水害の無いまちを目指してまいります。
 また、海抜表示の設置や津波自主避難マップを地域の方々と共に作成するなど、津波に対する備えも行ってまいりました。
 そうした防災対策でありますが、その他30年度の新規事業等では、戸越公園駅周辺において、鉄道立体化も視野に入れた、まちづくりの検討を本格化させてまいります。
 また、住宅・建築物耐震化事業では、進捗が捗っていない特定緊急輸送道路沿道建築物等について、対象条件や補助内容の見直しを行い、事業の促進をしてまいります。
 さらに、災害時の情報発信の手段の複層化の観点から、ケーブルテレビ品川と協力してコミュニティFMの開局を行い、その拡充に努めてまいります。

 次に、防犯、交通安全についてであります。
 地域の安全・安心は、地域の自主的な活動が大きな役割を果たしており、そうした意識の高さは品川区の特徴であります。このような取り組みに対し支援をすることは、区の重要な責務であります。こうしたことから、地域で自主的に設置していただいている防犯カメラでありますが、ご要望の多かった維持管理の経費についても28年度から補助を始めたものであります。
 また、繁華街での迷惑とも言える客引き行為が顕著になっておりました。そのため、地域の声もお聞きしながら、「公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」を制定し、平成27年より警察など関係機関とも連携し取締りを強化いたしました。これにより、現在では悪質な客引き行為は減少しております。
 また、駅周辺での放置自転車の問題は後を絶たない状況であり、区でも駐輪場の整備を進めてまいりましたが、敷地の確保が課題でありました。そこで、数多くの収容台数が見込める地下機械式の駐輪場を整備することで、対策を前進させました。
 30年度の新規事業は、全区立公園に防犯カメラを計画的に設置し、公園の安全・安心を確保すると共に、地域の見守りにも役立ててまいります。
 また、各鉄道事業者と協力して行ってきております駅ホーム柵の設置につきまして、東急大井町線旗の台駅について助成をしてまいります。

 以上が、長期基本計画の成果および平成30年度の主な新規事業等でありますが、これらを推進するための基本姿勢について申し上げます。

30年度施政方針演説5

4.区政運営の基本姿勢

 区財政における歳入の状況は、地方消費税の清算基準の見直しにより、特別区全体で約380億円の減収が見込まれるほか、ふるさと納税の影響も年々大きくなっていることも考慮いたしますと、予断を許すものではありません。
 こうしたことにも対応できるよう、不断の行財政改革を進めてきており、10年間で職員数を126名削減し、また、スクラップ・アンド・ビルドの考え方のもと、継続的に事業見直しを行ってまいりました。
 今後も、社会経済環境の変化に対応できる健全財政を維持してまいります。
 また、東京一極集中を是正するとの立場から、国は地方創生を大きく打ち出しています。区もこの課題に対し正面から向き合い、特別区全国連携プロジェクトを活用した事業では、新たな都市との連携も生み、地方と共に発展する良いモデルが打ち出せたものと考えております。
 他方、区の魅力を打ち出し、品川区をより多くの方に知ってもらうことと、区民の誇りにつなげる取り組みとして、シティプロモーション事業を展開いたしました。29年度には全国自治体に呼び掛け、都内では初となるシティプロモーションサミットを開催し、全国に品川区の魅力を発信いたしました。
 また、区民の利便性向上では、平成20年より開始した日曜開庁は、来庁者が延べ28万人を超え、区民の方々に定着してまいりました。
 さらに、大井町駅ビル内の商業施設で期日前投票を開始し、投票の機会を拡げることができました。
 30年度には、目黒駅前に新たな行政サービスコーナーをオープンさせ、上大崎地区における行政サービスの拡充を図ります。
 また、職員の働き方改革について、「しながわ~く」と題し、29年度から庁舎型勤務のシフト化などの取り組みを始めました。30年度は、業務改善の手法の一つであるビジネス・プロセス・リエンジニアリングにより、業務過程や仕事の手順の抜本的な見直しを行ってまいります。

5.平成30年度予算の概要

 このようなことから、平成30年度予算は、長期基本計画の達成に向けた施策と、未来を見据え課題解決に取り組む積極予算といたしました。編成にあたりましては、業務執行体制を中心に、事業の委託化など内容を深く精査しながら、見直すべきところはゼロベースの見直しを行いました。

 そして、これまで培ってまいりました財政力を十二分に活用し、一般会計予算を前年度比プラス6.1%となる1,745億7,800万円と過去最大のものとし、必要な施策には積極果敢に取り組むものであります。

6.終わりに

 今後も効果的・効率的な区政運営に努め、健全財政を堅持しながら、区民が真に必要とする施策を迅速かつ的確に推進し、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」の実現を目指し、さらなる努力をしてまいる所存であります。

 以上、平成30 年度における施政方針を申し述べました。議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願いを申し上げ、発言を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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