東海道品川宿のはなし 第8回

更新日:平成20年12月12日

江戸時代の「かわら版」のネタで最も多いのが、火事・心中・敵討ちですが、中には珍しい動物を報じた「かわら版」もありました。

そのなかでも有名なものが三つあります。

一つは、享保年間と文化年間に二度江戸に来朝した「象」です。

二つめは、文政4年(1821)の「駱駝」で、三つめが寛政10年(1798)の「鯨」です。

 

とくに品川とかかわりのあるのが寛政の鯨です。

寛政10年5月1日に前日からの暴風雨で品川沖に迷い込んだところを猟師たちが総出で捕らえたのです。

体長16.5メートル、高さ1.8メートルの大きな鯨だったので、評判になって見物人が押しかけ、ついには11代将軍徳川家斉までが浜御殿(今の浜離宮恩賜公園)で上覧になる騒ぎになりました。

 

この鯨は、村役人の検分を受けたあと入札によって払い下げられ、胴体部分が金41両3分で落札されました。

残った頭の骨は東品川の利田(かがた)神社境内に埋められ、その上に碑を建てて手厚く供養されたのです。

この碑は冨士山のような形の石碑で「鯨碑」と横書きされ、その下に、俳人谷素外の句「江戸に鳴る 冥加やたかし 夏鯨」が刻まれています。

 

品川宿14

「品川沖鯨の図」

  

その当時描かれたくじらの絵。  

品川歴史館で常設展示されています。

 

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