品川区学事制度審議会 答申 令和6年3月 品川区学事制度審議会 ? 目次 はじめに………………………………………………………………………………1 1 品川区学事制度審議会設置の背景……………………………………………2 ? 審議会設置の経緯……………………………………………………………2 ? 小学校における35人学級の制度化について……………………………2 ? 就学人口推計の変化について………………………………………………3 ? 学級増にかかる対応について………………………………………………4 2 審議会としての議論の方向性…………………………………………………5 ? 前回審議会による提言について【通学区域】……………………………5 ? 前回審議会による提言について【学校選択制度】………………………6 3 学校施設での対応が困難である学校についての検討………………………7 4 パブリックコメントを受けての審議会での議論について…………………9 5 審議会の提言について…………………………………………………………9 ? 安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について…9 ? 今後の学校改築の考え方および方策について…………………………11 おわりに……………………………………………………………………………12 参考資料……………………………………………………………………………13 (1ページ) はじめに  品川区学事制度審議会は、「教育を巡る様々な環境変化に対応し、義務教育9年間の一貫教育のさらなる推進に向け、区立学校における適正な教育環境を確保するための方策」について具体的な検討を行うため、教育長から諮問を受け、令和5年7月に発足しました。直近で設置された学事制度審議会は平成28年から平成30年にかけて行われ、当時の就学人口推計などをもとに学校選択制度の改正等に関する答申が出されました。それから5年を経て、学校環境を巡る制度の変化に加え、今後の就学人口の推移に大きな変化がみられることがわかりました。そこで審議会では、以下の項目について会議の中で審議を重ねてきました。 @ 品川区における義務教育9年間の一貫教育を推進するにあたり、就学人口が増加していく将来を見据え、安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について A @を踏まえた今後の学校改築の考え方および方策について 審議会は学識経験者のほか、地域代表、PTA 代表、学校代表の方で構成され、各会議においてそれぞれの立場から活発な意見交換を行いました。さらに、パブリックコメントというかたちで区民の皆様からお寄せいただいた意見も踏まえ、これらの課題についての方策等を整理したものです。 (2〜3ページ)? 1 品川区学事制度審議会設置の背景 ? 審議会設置の経緯  平成28年10月に設置された品川区学事制度審議会では、将来の就学人口動向等を踏まえ、地域とともに義務教育9年間の一貫教育を一層推進していくうえで望ましい通学区域、学校選択制、学校規模および学校種・地域バランスのあり方等について諮問され、審議の結果、平成30年3月に中学校・義務教育学校(後期課程)(以下「中学校等」という。)の通学区域の変更や、小学校・義務教育学校(前期課程)(以下「小学校等」という。)の学校選択制度の改正などについての答申が出されました。品川区ではその趣旨を踏まえ制度設計を行い、令和2年度から新しい学事制度の運用を開始しました。  当時の就学人口推計では小学校等の児童数のピークが平成39年度(令和9年度)、中学校等の生徒数のピークが平成42年度(令和12年度)とされていました。しかし、令和3年度に実施した品川区の全区人口推計を基に就学人口を推計したところ、ピークがそれぞれ小学校等の児童数が令和19年度、中学校等の生徒数が令和22年度に移行するという推計結果が出されました。  加えて、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の一部改正により、小学校等の学級編制の標準を5年間かけて計画的に40人(小学校1年生は35人)から35人に引き下げることとなりました。 これらのことから、小学校等各校において学級数が増加することにより必要となる普通教室数も増加し、近い将来普通教室の確保が困難になるおそれのある学校も一部において見られる状況となっています。  そこで品川区では今回、あらためて学事制度審議会を設置し、安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について検討を進めることになりました。 ? 小学校における35人学級の制度化について  小学校等の学級編制の標準は、昭和55年以来長年40人(小学校1年生は35人)とされてきました。なお、品川区を含む東京都の公立小学校等においては、2年生も35人で編制されていました。この基準を令和3年度から段階的に35人に引き下げ、今年度(令和5年度)は1年生から4年生までに適用されています。令和7年度に小学校等のすべての学年において35人学級となる予定です。  35人学級の場合、35人までは1学級、36人以上70人以下は2学級となり、40人学級の場合よりも少ない人数で学級が編制されます。学校の児童数によっては、児童数が増加しない場合でも、学級数が増加することもあります。子どもたちにとって、より少ない人数で学級を編制することで、きめ細かい指導の実現が期待される一方で、児童を受け入れる学校や教育委員会としては、普通教室をどのように確保していくかが課題となりました。 表1「各学級編制における児童・生徒数および学級数について」 35人学級、小学校等(令和5年度時点4年生まで)の児童数に応じた学級数 1人から35人まで 1学級 36人から70人まで 2学級 71人から105人まで 3学級 106人から140人まで 4学級 141人から175人まで 5学級 176人から210人まで 6学級 40人学級、小学校等(令和5年度時点5,6年生)、中学校等の児童・生徒数に応じた学級数 1人から40人まで 1学級 41人から80人まで 2学級 81人から120人まで 3学級 121人から160人まで 4学級 161人から200人まで 5学級 201人から240人まで 6学級 ※小学校等については、令和7年度までに段階的に35人学級へ移行。今年度(令和5年度)は、小学校等の4年生までが35人学級となっている。 (3ページ) ? 就学人口推計の変化について  平成28年〜平成30年に設置された学事制度審議会の審議時に検討の土台となった就学人口の推計値は、小学校等の児童数のピークが平成39年度(令和9年度)、中学校等の生徒数のピークが平成42年度(令和12年度)であり、その後減少に転ずると予測されていました。  その後、品川区長期基本計画(令和2年4月公表)の策定にあたり行われた人口推計において、品川区の人口が令和26年まで増加を続け、年少人口(0〜14歳)も令和18年まで増加傾向にある予測が出されました。新型コロナウイルス感染症の流行開始後、令和3年度に行われた人口推計においても、その傾向に大きな変化はありませんでした(参考資料17ページ参照)。  教育委員会では、令和4年度に行われた人口推計をベースに就学人口推計を行い、前回の審議会時点での推計との比較をしたところ、小学校等の児童数のピークが令和19年度、中学校等の生徒数のピークが令和22年度と予測されました(参考資料18ページ参照)。前回の審議会時点での推計よりも長期にわたり、就学人口が増加するという推計結果となり、状況の変化に対応する検討を行う必要が出てきました。  最新の就学人口推計を考察すると、品川地区や大井地区、大崎地区において、将来的に教室不足が見込まれる学校が多くみられました。この点について考えられる要因の一つとして、大規模開発が多くみられる地域である等の影響が考えられます。 (4ページ) ? 学級増にかかる対応について  品川区では平成14年度を境に児童数が増加(生徒数においては平成17年度)に転じ、現在に至るまで増加し続けています。学校において児童・生徒数および学級数が増え、普通教室を確保しなければならない場合、原則としてその時点で使用されていない教室、いわゆる余裕教室を普通教室に整備しなおして対応します。  一方で、5年ほど前から余裕教室を上回る学級増に対応するため、特別教室などを普通教室へ転用する工事を行い、普通教室を確保しなければならない学校が発生するようになりました。児童・生徒数の予測から不足が見込まれる普通教室を確保するため、就学事務を所管する学務課、学校施設整備を所管する庶務課、そして学校現場と調整を行い、転用する場所を決定し、工事を行います。  しかし、近年ではそのような場所を捻出することも困難な学校も見られ、教育委員会では、通学区域内の児童を受け入れることを優先するため、学校選択制度において選択除外(他の通学区域の児童は受け入れない)とする対応をとる等の一歩踏み込んだ措置も進めてきました。就学人口推計ではさらなる児童数の増加が見込まれ、就学人口増への対応が急務となっています。 (5ページ) 2 審議会としての議論の方向性  前回の学事制度審議会では、学校選択制度の改正や中学校等の通学区域の変更など、学事制度全般に関する議論が行われました。これらについては令和2年度新入学児童・生徒から適用が開始され、現在4年目となっています。運用開始から比較的年数が浅いことや、新しい学校選択制度および通学区域についての経過措置期間中でもあることから、今回、安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について検討を進めるにあたっては、前回審議会の答申のもと制度設計された学校選択制度や中学校の通学区域に関する考え方を尊重したうえで議論を進めることを、審議会において確認しました。  なお、今回の議論に関連する、前回審議会による提言は次のとおりです。 ? 前回審議会による提言について【通学区域】  小学校等の通学区域が複数の中学校等の通学区域に分かれており、小・中学校等の間で連携を図りづらい状況があったことから、各中学校等と連携する小学校等を設定してグループ化し、その小学校等の通学区域がすべて収まるように中学校等の通学区域を見直すことを提言しました(図1「通学区域の見直し」)。  令和2年度から、15ある中学校等において、その通学区域内に連携する小学校等の通学区域が内包されるかたちで運用が開始されています。 図1「通学区域の見直し」(「品川区立学校の学校選択制・通学区域が一部変わります」パンフレットより) 前回の学事制度審議会で答申された通学区域の見直し例を示しています。 (6ページ) ? 前回審議会による提言について【学校選択制度】  品川区の学校選択制度は保護者からの評価も高く、特色ある学校づくりなどの成果が表れている一方で、東日本大震災を機に災害時などの安全に対する意識が高まり、遠距離通学に対して不安を感じるとの声がありました。また、地域と子どもたちとのつながりなどが薄れるのではないかと懸念する声もありました。そこで、小学校等の学校選択制度において、区内を4ブロックに分け、ブロック内の学校を選択できるという制度から、住所地の通学区域にある学校と通学区域が隣り合う(隣接する)学校から選択できる仕組みとすることが適当であると提言しました(図2「学校選択制度の見直し」)。  こちらについても令和2年度から運用が開始されています。 図2「学校選択制度の見直し」(「品川区立学校の学校選択制・通学区域が一部変わります」パンフレットより) 前回の学事制度審議会で答申された学校選択制度の見直し例を示しています。 (7ページ) 3 学校施設での対応が困難である学校についての検討  区立学校において、安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について検討するにあたり、各校の就学人口推計と学校内で確保可能と想定される最大教室数を比較し、検討を行いました。  就学人口推計において、令和11年度までの推計値は、現在すでに誕生している0歳以上の子どもたちにかかる推計値ですが、それより先については今後の人口動向によって確度が低くなる可能性があります。そこで、教室不足が発生する可能性を、「教室不足が顕著にみられる学校」、「一時的に教室不足が見込まれる、または令和11年度以降において教室不足が想定される学校」、「令和11年度以降も含めて確保教室数で受入が可能と想定される学校」に分類、評価することとしました。教室不足が顕著にみられる学校については、それを回避するための措置を早急にとることが求められ、令和11年度以降に教室不足と想定される学校については、今後の就学人口の動向を見つつ、児童・生徒の受入態勢の確保について検討を行う等、教育委員会として注視していく必要があると審議会として考えます。 表2「学校施設での対応が困難である学校に関する整理」(なお、義務教育学校については一体型の施設であることから、前期課程または後期課程のいずれかで不足が想定される場合、前期課程、後期課程ともに同じ区分に位置付けている。) 教室不足が顕著にみられる小学校等 城南小 一時的に教室不足が見込まれる、または令和11年度以降において教室不足が想定される小学校等 浅間台小、芳水小、第三日野小、鮫浜小、山中小、立会小、鈴ケ森小、京陽小、後地小、日野学園前期課程、伊藤学園前期課程、荏原平塚学園前期課程 令和11年度以降も含めて確保教室数で受入が可能と想定される小学校等 三木小、御殿山小、城南第二小、第一日野小、第四日野小、大井第一小、浜川小、伊藤小、台場小、延山小、中延小、小山小、大原小、宮前小、源氏前小、第二延山小、戸越小、旗台小、上神明小、清水台小、小山台小、八潮学園前期課程、品川学園前期課程、豊葉の杜学園前期課程 教室不足が顕著にみられる中学校等 なし 一時的に教室不足が見込まれる、または令和11年度以降において教室不足が想定される中学校等 東海中、鈴ケ森中、荏原第一中、荏原第五中、日野学園後期課程、伊藤学園後期課程、荏原平塚学園後期課程 令和11年度以降も含めて確保教室数で受入が可能と想定される中学校等 大崎中、浜川中、冨士見台中、荏原第六中、戸越台中、八潮学園後期課程、品川学園後期課程、豊葉の杜学園後期課程 (8ページ) ? 教室不足が顕著にみられる学校  就学人口の増加が進み、学級増が続いていることにより、現在の校舎では就学人口を受け入れきれない可能性が非常に高い学校です。区内全体の就学人口の増加に加え、大規模集合住宅の増加も要因の一つとして考えられ、城南小学校はその影響を大きく受けています。 ? 教室不足が想定される学校  一時的に教室不足が見込まれる学校または令和11年度以降において教室不足が想定される学校です。今後の就学人口の動向に注意が必要となります。このうち浅間台小学校、立会小学校、京陽小学校、山中小学校、東海中学校、鈴ケ森中学校、荏原第一中学校については未改築校であり、今後、区立学校全体の改築計画を検討するにあたっては、考慮すべき条件の一つであると考えます。 ? 確保教室数で受入が可能と想定される学校  現在の就学人口推計においては、確保可能な教室数によって児童・生徒の受入が可能であると想定される学校です。引き続き、今後の就学人口の動向については確認していく必要があります。 (9ページ) 4 パブリックコメントを受けての審議会での議論について  令和5年12月から令和6年1月にかけて、中間答申にかかるパブリックコメントを実施しました。パブリックコメントでは様々な意見が寄せられ、それを踏まえて審議会でもさらに検討を行い、最終答申に向けて次の事項について議論を進めました。 ? 就学人口推計について  就学人口推計は、専門の知見を持つ者により一定の条件のもと実施しておりますが、先の推計になるにつれて確度が低くなる可能性があります。パブリックコメントでもその点について指摘する意見も見られました。  審議会では、「審議会の提言について」において、これらのことを念頭におき最終答申を修正のうえ、お示しすることとしました。 ? 通学区域の変更について  審議会の答申では、通学区域の変更がやむを得ない場合、経過措置を講じることをお示ししています。このことに関連し、パブリックコメントでは、旧通学区域の学校に兄弟姉妹が通学している場合に適切な措置を取ってほしいとの意見が出されており、審議会としても考慮していくべきものと考えます。  一方で、対象となる地域や学校の状況によって、とることのできる措置は異なると考えられることから、最終答申では、それぞれの状況を踏まえて措置を検討するよう修正し、お示しすることとしました。  以上のとおり、審議会ではパブリックコメントの意見を踏まえてさらに検討を進めた結果、基本的な方向性については大きな変更はないものの、最終答申に向けて一部修正を加え、次のとおりお示しすることとしました。 (9〜11ページ) 5 審議会の提言について  令和5年7月からの審議会において、就学人口推計や各校の教室の確保状況などをもとに様々な議論が行われました。これまでの議論やパブリックコメントでの意見を踏まえ、審議会の提言を以下にお示しします。 ? 安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について  現在もなお、区内の各校では通学区域内の就学人口を確実に受け入れるため、余裕教室の整備や特別教室を含めた部分を用いて普通教室の増設工事を行っています。  義務教育を担う区立学校において、通学区域内の児童・生徒の確実な受け入れが必須である一方で、校舎の立地、老朽度など様々な観点から、普通教室の増設には限界があります。  また、設計上は限界に達していなくても、学校内において普通教室を増設することと引き換えに、普通教室の転用元となる特別教室などの諸室の活用に影響を与えることとなります。児童・生徒数が増加すれば普通教室が必要となるだけではなく、特別教室を使用する場面も当然増加することから、特別教室を普通教室に転用することには限界があることを念頭に置かなければなりません。  学校の中で、児童・生徒が適切な環境で教育を受けるためには、教室の確保と環境整備の両立という困難を乗り越える必要があります。以上のことから、就学人口とそれを受け入れる学校の状況について、次の点に該当する場合においては、通学区域の変更などの対応もやむを得ないと考えます。  @ 就学人口推計において、数年の間学級増が継続している、または見込まれる場合  A 普通教室の転用元として特別教室を活用する際、その特別教室の移転先を既存校舎内に確保することができない場合  B 就学人口が増加する地域を一定程度特定することができる場合  まず@について、数年の間学級増が継続する場合、既存校舎において普通教室を確保することが困難となる可能性が高くなります。現時点では普通教室の増設により対応できたとしても、数年のうちに限界に達することが想定されます。  なお、審議会では普通教室の増設対応として、校舎の増築や民間の建物を含む学校外施設の活用などについても検討を行いました。校舎の増築については、学校敷地に余裕がある場合には対応が可能ですが、区立学校においては敷地内で建てることのできる限界に近い条件で建設されている建物も多く、この条件をもって区全体として対応していくことは困難です。  また、学校外施設の活用については、学校施設として使用するための法令への適合や校舎外への移動に伴う児童・生徒の安全の確保および教職員への負担等の観点から、こちらについても現実的ではないとの結論に至りました。  さらに、学校を新設することについても議論を行いました。こちらについては、就学人口の増加傾向は、推計では約15年後に減少に転じていく想定であることや、建設用地の確保、設計、建築を行って実際に学校として運用が開始するまでに長期間かかってしまうことを考慮すると、現実的ではないと考えます。  続いてAについて、先にも述べたとおり、児童・生徒を受け入れるうえで適切な環境整備も必要です。学校教育を運営するために通常備えるべき教室についても極力整備する必要があり、整備することができない状況で普通教室を増設し続けることは、望ましいこととは言えません。  続いてBについて、就学人口の増加を通学区域の変更によって対応する場合、効果的な区域の設定を検討する必要があります。審議会では事例を用いて検討を行いました。通学区域内において、いずれの地域も平均的に人口増が見込まれる場合などにおいては、通学区域を変更した場合でも学級数にほとんど変化が見られませんでした。このような場合には区域の設定は非常に困難です。一方で、通学区域内の就学人口に偏りがある等、就学人口の増加地域が一定程度特定することができる場合においては、通学区域の変更による対応に効果があるものと考えます。  なお、通学区域の変更を検討する場合には、周辺通学区域の就学人口の動向も注視する必要があります。  制度の変更にあたっては、過去の事例や他自治体の状況などを参考にして、適切な経過措置を設けることが必要です。  品川区では、令和2年度に小山3丁目地域の通学区域を変更した際、制度変更から一定の期間については旧通学区域の学校を選択することも可能とし、現在においても、小山3丁目地域に在住し、令和元年度までに入学した兄姉が旧通学区域の学校に通学している場合は、当該学校を選択することを可能としています。  実際の制度設計を行う際には、児童・生徒の確実な受入を目指すとともに、対象となる通学区域において今後予測される就学人口の状況や地域の実情などを考慮して、適切な経過措置を柔軟に検討することを求めます。 (11ページ) ? 今後の学校改築の考え方および方策について  現在、校舎改築を計画する際には、将来の就学人口を考慮して教室数の設定を行っていますが、結果として想定を超える就学人口を抱えることになってしまう学校がいくつか見られます。改築計画を進め、実際の建築工程に入った後に認知される開発計画もあることから、その推計は非常に難しいものであることは事実としてあると思います。  一方で、新しい校舎に早い段階で、改修の手を入れなければならない状況は、学校生活を送る児童・生徒にとってはもちろん、教育行政へのコスト面での負担増にもつながります。関連する部署や学校が密に連携を取ったうえで、開発計画の適切な情報収集、社会情勢の変化なども踏まえより綿密な就学人口の推計を必要に応じて行うこと、学校の立地、地域性を考慮して教室増減に幅を持たせた計画を進めていくことなどが求められます。 (12ページ) おわりに  今回の学事制度審議会は、就学人口や国の制度改正による教育環境の変化の影響により生じた状況に対応するため、過去の実績よりも短い期間において設置され、議論の内容もより具体的な検討を行うものとなりました。区立学校のおかれている現状を整理し、審議会として一定の方向性を示すことができたと考えています。  今後教育委員会が、本審議会の提言を真摯に受け止め、早急に学事制度へ反映させることを求めます。その際、審議会の提言でも述べたとおり、制度変更による区民への影響に配慮し、一定期間の経過措置を設けることや、区民へ丁寧に周知を行うことなど、適切な措置を講じるよう希望します。 なお、審議会各回では、委員から地域、保護者、学校のそれぞれの立場、視点による多くのご意見が挙げられました。その様々な意見のやり取りについて、教育委員会が各々の施策を推進するにあたっての参考とされることを期待し、答申の結びとさせていただきます。 (13ページ) 参考資料 資料1 品川区学事制度審議会設置要綱………………………14 資料2 諮問文書…………………………………………………16 資料3 品川区における総人口の予測…………………………17 資料4 品川区立学校 学級数および児童・生徒数の推移 …………………………18 資料5 品川区立学校 想定不足教室数の推移について……19 資料6 学校における教室の種類およびその目的等について …………………………22 資料7 品川区学事制度審議会 構成委員名簿………………23 資料8 品川区学事制度審議会 開催実績……………………24 資料9 品川区立学校 通学区域図(現行版)………………26 (14〜15ページ) 資料1 品川区学事制度審議会設置要綱 品川区学事制度審議会設置要綱 制定 令和5年4月25日 教育長決定 要綱第17号 (設置) 第1条 品川区立学校設置条例(昭和57年品川区条例第37号)に基づき設置した学校(以下「区立学校」という。)における良好な教育環境の確保に向け、区立学校に係る学事制度について調査・検討するため、品川区学事制度審議会(以下「審議会」という。)を設置する。 (所掌事項) 第2条 審議会は、教育長の諮問に応じ、次の事項を審議し、その結果を答申する。 (1) 区立学校の学事制度の調査研究に関すること。 (2) 区立学校の学事制度の適正化に関すること。 (委員) 第3条 委員は、次の各号に掲げる者のうちから、教育長が委嘱する。 (1) 学識経験者 (2) 区民代表 (3) 区立学校代表 (4) 前3号に掲げる者のほか、教育長が必要と認める者 2 委員の任期は、教育長が委嘱した日から、教育長の諮問に係る答申の日までとする。ただし、補充委員の任期は、前任者の残任期間とする。 (委員長および副委員長) 第4条 審議会に、委員長および副委員長を置く。 2 委員長は委員の互選により、副委員長は委員長の指名により選任する。 3 委員長は、会務を総理し、審議会を代表する。 4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。 (会議) 第5条 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。 2 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。 3 教育長は、必要に応じ、会議に出席し、意見を述べることができる。 4 会議は、非公開とする。 (資料提出等の要求) 第6条 審議会は、その所掌事務の遂行に関し、教育委員会事務局等関係部署に資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。 2 審議会は、必要に応じて、委員以外の者に会議への出席を求め、意見を聴取することができる。 (部会) 第7条 審議会は、特定の事項に関する調査研究が必要と認めるときは、部会を設置することができる。 2 部会の構成員は、審議会の同意を得て、委員長が決定する。 (庶務) 第8条 審議会の庶務は、教育委員会事務局学務課において処理する。 (委任) 第9条 この要綱に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、委員長が別に定める。    付 則  1 この要綱は、令和5年4月25日から適用する。  2 この要綱は、教育長の諮問に係る答申の日にその効力を失う。 (16ページ) 資料2 諮問文書 次に掲げる事項について、下記理由を添えて諮問します。 教育を巡る様々な環境変化に対応し、義務教育9年間の一貫教育のさらなる推進に向け、区立学校における適正な教育環境を確保するための方策について 令和5年7月18日 品川区教育委員会 教育長  伊ア みゆき <理由>  本区では、義務教育9年間の一貫教育を充実させるため様々な教育改革に取り組んできている。近年においては、中学校および義務教育学校の通学区域を連携する小学校を内包するかたちで変更する等の制度の見直しを行うことで、小学校と中学校の連携および地域とともにある学校づくりの推進を図ってきた。  一方で、令和3年度の小学校における35人学級制度の法制化に加え、本区における就学人口が前回の学事制度審議会開催時より、通学区域によっては想定以上に増加し、その傾向は今後も継続すると見込まれる等、区立学校の受入態勢の確保が喫緊の課題となっている。  以上、将来の区立学校が安定して子どもたちを受け入れるための教育環境について調査・検討を行うことが必要である。 <審議事項> @ 品川区における義務教育9年間の一貫教育を推進するにあたり、就学人口が増加していく将来を見据え、安定的に児童・生徒を受け入れる態勢を確保するための方策について A @を踏まえた今後の学校改築の考え方および方策について <審議期間> 適宜中間報告のうえ、令和6年3月までに諮問事項に関する答申をお願いしたい。 (17ページ) 資料3 品川区における総人口の予測を示したグラフです。 出典は、品川区総合実施計画 第1次計画期間の6ページです。 2041年(令和23年)は品川区の総人口のピークとなり、しばらくの間は人口の増加が見込まれます。 (18ページ) 資料4 学級数および児童・生徒数の推移を示したグラフです。 児童数のピークは令和19年度に19,830人、生徒数のピークは令和22年度に6,478人と推計され、平成30年度推計値と比較して児童・生徒数のピークが10年程度後ろ倒しとなっています。 (19〜21ページ) 資料5 品川区立学校 想定不足教室数の推移を示したグラフです。 令和5年度以降の不足教室数の推移を示しており、令和11年度以降は小学校等と中学校等それぞれの就学人口のピークを含め、令和15年度、19年度、22年度、26年度を集計しています。 (22ページ) 資料6 学校における教室の種類およびその目的等について 校舎に備えるべき施設について(「小学校設置基準」平成14年文部科学省令第14号) 第九条 校舎には、少なくとも次に掲げる施設を備えるものとする。 一 教室(普通教室、特別教室等とする。) 二 図書室、保健室 三 職員室 2 校舎には、前項に掲げる施設のほか、必要に応じて、特別支援学級のための教室を備えるものとする。 以下、教室の種類に対する設置目的や留意点等を示した表があります。 普通教室 児童・生徒が過ごすメインとなる教室。小学校は35人で1学級。中学校は40人で1学級。日照、採光などの影響等に配慮が必要。 特別教室 教科等特定の目的のために使用される教室。 理科室 実験などの活動ができる各種設備。薬品を安全に収納管理することのできる環境の確保。 音楽室 学習活動に使用する楽器等が適切に配置できる環境の確保。 図工室 表現活動の内容に応じた適切な大きさの机等を配置できる教室。収納、保管、展示、鑑賞等のための家具等を設置できる空間の確保。 家庭科室 編成する集団の数等に応じた設備等を適切に配置できる環境の確保。食物および被服に係る学習ができる空間の確保。 メディアルーム(パソコン室) コンピュータ等の情報機器などが利用しやすい環境の確保。 図書室 多様な学習活動に対応できる、図書が適切に管理できる環境の確保。 学習室(少人数指導教室) 学級を分割し、少人数指導を行うための教室。小学校:1教室(算数)、中学校:2教室(英語・数学) 多目的室 他の学習空間との役割分担や連携を検討し、多様な教育活動に柔軟に対応させることが必要。 特別支援学級 障害の状態に応じた教科指導、自立活動等の多様な学習活動等に柔軟に対応できる空間の確保。 留意点等については、小学校施設整備指針(文部科学大臣官房文教施設企画・防災部 令和4年6月)を参考。 (23ページ) 資料7 品川区学事制度審議会 構成委員名簿(敬称略) 役職、選出区分、氏名の順に記載しています。 委員長 学識経験者 名和田 是彦(法政大学教授)、副委員長 学識経験者 樋口 直宏(筑波大学教授)、委員 区民代表 金子 正秀(品川区町会自治会連合会会長)、委員 区民代表 堀江 新三(品川第二地区町会自治会連合会会長)、委員 区民代表 多田 大(品川区立小学校PTA連合会会長)、委員 区民代表 松澤 栄里子(城南小学校校区教育協働委員)、委員 区民代表 清水 陽子(第四日野小学校校区教育協働委員)、委員 区民代表 小宮 佳美(上神明小学校校区教育協働委員)、委員 区民代表 巻島 淳子(浜川中学校校区教育協働委員)、委員 区立学校代表 宮崎 朋子(品川区立小学校校長会会長)、委員 区立学校代表 堀井 昭宏(品川区立義務教育学校校長会会長) 事務局 伊ア みゆき(教育長)、米田 博(教育次長)、宮尾 裕介(庶務課長)、森 雄治(学校施設担当課長)、柏木 通(学務課長)、中谷 愛(指導課長)、丸谷 大輔(教育総合支援センター長)、唐澤 好彦(特別支援教育担当課長)、升屋 友和(指導課統括指導主事)、齊藤 隆光(教育総合支援センター統括指導主事)、関口 雅人(学務課学事制度担当主査)、三浦 芽衣(学務課学事係主事) (24〜25ページ) 資料8 品川区学事制度審議会 開催実績 第1回 令和5年7月18日(火) 10時から 会場 議会棟6階 第1委員会室  議事内容 委員委嘱、委員長・副委員長の選出、諮問、議事、(1)審議の進め方・スケジュールについて、(2)品川区の学校教育環境の現況報告 @前回学事制度審議会答申(平成30年3月)の概要、A品川区の教育にかかる取組みについて、B品川区の就学人口の推移と今後の予測について、C意見交換等 第2回 令和5年8月25日(金) 10時から 会場 第二庁舎5階 251・252会議室 議事内容 (1)品川区立学校の学校選択制度の概要について、(2)最新の就学人口推計について、(3)作業部会での議論の方向性について、(4)意見交換等 第3回(作業部会) 令和5年9月27日(水) 10時から 本庁舎5階 第5委員会室 議事内容 (1)検討が必要となる学校の再確認について、(2)就学人口増に関する対応について、(3)その他 第4回(作業部会) 令和5年10月20日(金) 10時から 第二庁舎6階 262会議室 議事内容 (1)就学人口増に関する対応について(第3回の続き)、(2)中間答申(案)について、(3)その他 第5回 令和5年11月9日(木) 10時から 議会棟6階 第2委員会室 議事内容 (1)作業部会の報告について、(2)中間答申(案)について、(3)その他 第6回(作業部会) 令和6年1月31日(水) 10時から 第二庁舎6階 261会議室 議事内容 (1)パブリックコメントの実施報告について (2)パブリックコメント意見等を踏まえた審議会答申の修正について (3)その他 第7回(作業部会) 令和6年2月19日(月) 10時から 議会棟6階 第1委員会室 議事内容 (1)パブリックコメント意見に対する回答の修正について (2)最終答申案について (3)その他 第8回 令和6年3月14日(木) 10時から 第二庁舎8階 研修室 議事内容 (1)最終答申案について(最終確認) (2)最終答申 ※第3回、第4回、第6回、第7回については作業部会として開催し、学校現場に近い区民代表(PTA代表、校区教育協働委員)、区立学校代表により開催しました。 (26ページ) 資料9 品川区立学校 通学区域図です。区立学校の通学区域を地図上で大まかに示しています。