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東海道品川宿のはなし 第19回
更新日:平成20年12月12日
品川宿の春の行事で特筆すべきものは、江戸名所のひとつとして有名な品川・御殿山の「お花見」で、江戸市中や周辺の地から花見客が大勢訪れました。
御殿山は北品川宿の北にある小高い丘陵で、面積12,000坪(約40,000平方メートル)の山林をいいます。
ここの桜は寛文の頃に奈良・吉野山から移植されたもので、文政7年(1824)には600本の桜がありました。
御殿山は昔から風流人によって川柳に詠まれ、浮世絵にも多く描かれています。
歌川広重の『名所江戸百景』シリーズや葛飾北斎の『富嶽三六景』シリーズなどが知られ、風流人の川柳に「御殿山 こころは崖へ転げ落ち」があり、品川宿が遊興の場であった一面を見ることができます。
また、品川宿周辺には花見の名所がたくさんありました。
『東都歳時記』には、御殿山のほかに東海寺、大井村では光福寺・西光寺・来福寺の名が見られます。
西光寺の桜には、醍醐桜、有明桜、稚桜(ちござくら)といった名花があり、来福寺には、春日の局が植えた塩釜桜、薄雲桜、楊貴妃桜がありました。
このほか大井村名主の大野家にも台命桜と名づけられた桜がありました。
この時期(3月下旬から4月上旬にかけて)の大潮のときには、高輪から品川沖にかけて海上は干潟になり、蠣(カキ)や蛤(ハマグリ)をひろい、砂の中のヒラメを踏み、汐の残る窪みに取り残された小魚をすくって宴を催す潮干狩客で賑わいました。
当時の川柳に「旅立ちを 送ったあとで 汐干狩」とあり、品川での潮干狩りの賑わいの様子を言いあらわしています。
この他に、3月27,28日は南品川の海雲寺の千躰荒神祭があり、4月25日には府中の六所明神(いまの大国魂神社)の祭礼を始めるにあたっての神馬の潮垢離がありました。
これは、六所明神から南品川の鎮守(現在、荏原神社)に神馬を曳いて、品川沖の天王洲にて潮垢離をとり、その日のうちに府中に帰っていくというもので、康平5年(1062)、源頼義・義家が、奥州出兵に際し戦勝を祈願して奉納する神馬を品川まで曳いて来て潮垢離をしたという伝承によるものです。
今も大国魂神社の5月の祭礼の前に、潮汲祭として荏原神社に参詣し、品川沖に出て汐を汲む行事が行われています。
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