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区長メッセージ 第80号 平成29年2月22日 平成29年度施政方針演説

更新日:2017年6月14日

1.はじめに    品川区長  濱野 健


 平成29年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針及び施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 昨年、実施いたしました世論調査におきまして、区への定住意向は約9割と今回も多くの方が「住み続けたい」との回答をされたことは、これまでの施策への評価と品川区への愛着の表れであるものと感謝申し上げると同時に、これからの区政運営への責任の重さも改めて痛感したところであります。

 こうした期待に応えるべく、未来志向で様々な施策にチャレンジしながら、区民の皆さまと共に新たな品川区に向けて邁進してまいります。
29年度施政方針演説1

2.平成29年度 区政運営の基本方針

 昨年のリオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピックは、日本人選手の飛躍的な活躍もあり、その感動と興奮は記憶に新しいところです。いよいよこの大会が東京で開催されます。その感動を体感できるだけでなく、新たなにぎわいの創出やインフラ整備が進むなど、区の大きな発展につながるものであります。リオからバトンを受けたオリンピックフラッグ、パラリンピックフラッグが品川区にも届き、多くの方にご覧いただけるよう展示をいたしましたが、私たちが2020年に向け事業を本格化し、加速させる時であると決意を新たにいたしました。

 そうした今、区を取り巻く社会経済環境でありますが、国は、一億総活躍社会の実現や地方創生、観光立国、安全・安心の国創りなどの考えを示し、日本経済の新たな成長軌道を描くとしています。また、東京都は小池知事のもと「新しい東京」づくりに向けて、新規事業を多く立ち上げています。こうした国や都が打ち出している施策をうまく生かし、いかにして区民生活のプラスにつなげるかが重要であります。

 一方、世界に目を向けますと、アメリカの新大統領による政策やEU各国の動向など、世界の政治、経済の情勢が、日本経済に与えるインパクトは大きいものと予想され、特に区の地域経済にどのような影響を与えるのか見極めなければなりません。

 そうした中、区では人口が着実に増加しており、特に0歳から14歳までの年少人口は、ここ3年間で3,000人以上の増加であり、さらに合計特殊出生率は1.23とバブル期の水準まで回復してきております。これは、品川区の子育て施策や全国に発信してきた教育改革の施策などが、奏功したものでもあると考えますが、これからを担う世代への施策の充実が改めて重要となっております。

 さて、東日本大震災から6年が経過いたします。区は、この教訓から防災対策を重点課題として、これまで様々な取り組みをしてまいりました。また、昨年の熊本地震なども踏まえ、災害に対する備えはより視野を広くすると共に、具体性を持たなければなりません。

 このように、区を取り巻く環境の変化は、ますます速く、そして複雑さを増しており、その大きなうねりの中で確かな舵取りが今求められています。私は、この先をしっかりと見据え、困難に立ち向かう前向きの姿勢と行動力を発揮してまいる所存であります。

 こうしたことから、平成29年度は区の未来を俯瞰的に捉え、以下に述べます3つの施策の方向性を掲げ、これを確実にかつ加速的に実行することで、品川区の新たな礎を築いてまいります。

3.平成29年度予算 三つの施策の方向性


(1)まちのにぎわい充実と都市型観光プランの早期実現を目指して

 3年半後に開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、競技会場のある品川区に、日本各地はもとより世界中から多くの来訪者があると予想されます。歴史をさかのぼりますと、その昔から品川は交通の要衝であり、人々が集いにぎわいと活気に溢れたまちであります。世論調査における定住の理由として多く挙げられるのは「交通の便の良さ」であり、区民の方々もそれを実感しているのだと思います。

 こうしたことを踏まえ、地の利を十分に生かし、世界からの来訪者による、にぎわいと活気に満ちた、訪れる価値のあるまち品川、としてまいります。さらに、ここには歴史的資源や豊富な水辺環境、元気溢れる商店街など多くの魅力があることから、これに磨きをかけ発信することで、住んでみたくなるまちにすると共に住んでいる方々の誇りにつなげてまいります。一方で、人口増加により、様変わりしている地域など、まちのあり方や人口動向を見据えたまちづくりについて考えることも、にぎわいの充実のために必要であります。

 以上のことから、平成29年度の施策の方向の一つとして、まちのにぎわい充実と都市型観光プランの早期実現を目指します。

 はじめに、都市型観光プランの具体的な推進であります。

 品川区には、品川浦の船だまり、目黒川、天王洲や勝島運河など、他区にはない多くの魅力ある水辺資源が存在します。しかしながら、その魅力がまだ十分開花しきれていない面もあり、これを大きく花開かせ、多くの方に見て実感していただきたいと感じています。そうしたことから、それらを結びつけるための舟運事業を充実させてまいります。

 具体的には、現在整備を進めております東品川二丁目の桟橋に、待合所やトイレなどの整備も進め、区の舟運事業の拠点としてまいります。また、目黒川の舟運拠点として準備を進めている五反田リバーステーションは、周辺の公園などとも合わせ、来訪者をおもてなしできるよう、一体的に整備してまいります。こうした拠点整備と共に、近隣自治体とも水辺事業の連携を進め、相互の活性化につなげてまいります。

 次に、シェアサイクル事業であります。
 昨年のリオデジャネイロ2016大会視察団の報告にもありますように、外国人観光客の移動手段の一つとしてシェアサイクルが多く利用されております。こうしたことを参考に、競技会場周辺や旧東海道エリアなどの回遊性を高められるよう、観光客や地元の方々の気軽な移動手段として民間事業者と協力して事業を展開してまいります。

 また、観光施策におきましては情報発信が重要であり、その鮮度とインパクトが問われます。自治体の観光パンフレットを無料配布している民間機関での持ち帰り数調査では、品川区は都内でトップの全国11位にランクインするなど、その品質は高い評価を得ております。こうした情報をより多くの方に伝えられるようさらに工夫してまいります。そこで、全国へ向けたPR強化のため、モノレール浜松町駅での観光コーナーの設置や、旅行代理店との連携により全国各地の営業所において、区の観光スポットなどを積極的にPRしていくなど、全国からの集客に力を入れてまいります。また、品川区の観光大使となっていただいたサンリオキャラクターのシナモロールには、区の魅力を広く発してもらうなどその活躍に期待をしております。

 さらに、様々な来訪者にまちの魅力を効果的に伝えられるよう、バーチャルリアリティ技術を活用した3D映像やARという拡張現実技術など、ICTや映像の先端技術を積極的に活用いたします。
 また、外国人観光客の誘致策として、ケーブルテレビ品川と協力しながら、海外でもネットワークを持つチャンネルを活用して、全世界に品川区の魅力を発信し、区のブランド力を高めてまいります。さらに、全ての来訪者が区の観光スポットにおいて快適に過ごしていただけるよう、公園トイレ等の洋式化・バリアフリー化を計画的に実施する「おもてなしトイレ整備」を進めてまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピックの機運醸成に向けた周知事業であります。
 公募により選んだ、ホッケー、ビーチバレーボール、そしてブラインドサッカーの3競技応援マスコットキャラクターをそれぞれの競技団体と共に、効果的に活用しながら進めてまいります。また、ブラインドサッカーは、29年度においても日本リーグの公式戦を区内で開催するとともに、品川区での国際大会開催に向け天王洲公園を改修し準備を進めてまいります。
 さらに、新たなオリンピック競技種目としてスケートボードが選ばれたことを踏まえ、八潮北公園の改修に合わせスケートボード場を整備いたします。活動場所を求めていた人にも楽しんでいただきながら、オリンピック種目としての機運を高めてまいります。

 また、区の魅力を発信する上で、大きな役割を果たしているシティプロモーション事業ですが、29年度は品川区において、都内で初めて全国シティプロモーションサミットを開催し、都心型シティプロモーションのあり方などを投げかけながら、全国自治体に区の魅力をPRしてまいります。

 続いて、まちのにぎわい充実に向けた取り組みであります。

 競技会場に近い立会川駅周辺や勝島地区は、マンション建設による急激な人口増加のため、まちが様変わりしつつあります。こうしたことを踏まえ、その現状と課題を整理し、地域の方々と今後のまちづくりのビジョンを策定してまいります。また、八潮地区は団地が形成されてから30年余が経過し、他の地区とは異なった人口構成の変化が見られます。今後のこの地区の活性化と団地の更新なども見据えながら、まちづくりの検討、勉強会を地域の方々と共に進めてまいります。

 一方、区民生活の様々な場面で重要な役割を担っている町会・自治会におきましては、その活動拠点の確保が課題であります。そのため、29年度は新たな支援として、町会・自治会の会館を賃借した際の費用について一部助成を実施し、活動支援の拡充をしてまいります。また、若い世代が地域に愛着を持って暮らせることは、地域活性化と合わせ、次代の地域の担い手が育つという意味でも大変重要なことであります。こうした思いから、品川区の観光スポットなどを活用し、若者同士の新たな出会いや仲間づくりの機会を提供する「しながわ発見出会い事業」をスタートさせ、若い世代の地元品川への愛着をさらに高めてまいります。

 区のにぎわいや活性化を支えるため、中小企業や商店街も大きな役目を果たしていただいております。こうした業態が活気に溢れていなければ、品川区の継続的な発展は成しえません。
 しかし、事業者の高齢化や後継者不足による、事業承継が大きな課題となっております。28年度から中小企業の事業承継について、力を入れているところですが、29年度はその資金面での支援策として、融資あっせん制度に3年間無利子の事業承継支援資金を創設いたします。また、商店街連合会が後継者支援のためのセミナーを、29年度 各地域で実施することから、区としても取り組みを支援してまいります。

29年度施政方針演説2

(2)夢のバトンタッチのために、子どもたちの健やかな成長を支援

 オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定した時から、私が常々申してきたことは、この大会を観戦できる今の子どもたちへ、大人から夢をバトンタッチを、ということであります。

 大会開催時には、競技会場周辺はもとより、品川区全体が高揚する中、子どもたちは競技や選手を見ることで大きな感動を得たり、ボランティアなどで直接大会に関わる喜びを得ることと思います。その中には選手として活躍している子どもたちもいるかもしれません。これからの約3年間は子どもたちが様々な思いや期待に胸を膨らませる時であり、私たち大人が感じてきた思いや感動、そして夢を子どもたちに受け渡す時なのであります。 そうした今、その子どもたちが健全で健やかに、そして力強く成長していくため支援していくことが、私たちの責務であります。

 こうしたことから、施策の二つ目の方向として、夢のバトンタッチのために、子どもたちの健やかな成長を支援してまいります。

 はじめに、喫緊の課題であります待機児童対策です。
 区は、これまで一貫した総合的待機児童対策を進めてきており、他自治体に先駆けて事業を具体化させた結果、平成22年度から28年度までの7年間で4,463人の定員を拡大いたしました。しかしながら、待機児童解消に向けた施策の充実はこれからも必要であり、国や東京都もこの課題に向けた様々な施策を打ち出していることから、こうしたことも活用しつつ、創意工夫を凝らして全力で進めてまいります。
 29年度は、旧品川・大崎土木事務所跡に開設する「ひがしやつやま保育園」を始め、国家戦略特区を活用した西大井広場公園内での開設、さらに大井競馬場駐車場敷地での開設など、様々な用地を活用しながら、私立園も含め保育の受け入れ枠を、過去最大規模の1,044人増とするものであります。また、私立認可保育園の開設準備補助についても、これまで事業者が負担していた補助基準内の経費について、さらにその2分の1を区独自で補助することで、他区よりも開設しやすい条件といたします。そして、30年度以降におきましても、しながわ区民公園内や旧荏原第四中学校跡、さらに国有地の取得など、公有地の積極的な活用も行いながら、待機児童解消を目指してまいります。

 次に、しながわネウボラネットワークであります。
 妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を基本に、相談体制の構築など区独自の取り組みを進めております。品川区をなお一層、安心して子どもを生み育てられるまちとするため、この事業のさらなる充実を図ってまいります。
 29年度は、宿泊型の産後ケア事業の本格展開に加えて、オアシスルームをものづくり創造センター内で29年4月に新規開設し、さらに旧平塚シルバーセンター跡に平成31年度の開設を目指すなど、在宅子育て家庭の支援についても充実させてまいります。

 一方、子どもたちの健やかな成長や、その将来が生まれ育った環境や親の経済状況で左右されることがあってはなりません。区では、28年度より「子どもの未来応援プロジェクト検討委員会」を立ち上げ、その支援に向けて庁内横断的な検討をスタートさせました。 この検討を踏まえ、29年度は自宅で学習できる環境が整っていない家庭に対し、自学自習に関する場の提供や学習支援、進学相談など高等教育機関への進学に向けた支援を開始いたします。また、地域コミュニティの中で子どもを見守り、育てていく拠点として期待される子ども食堂について、フードバンクなどのネットワーク構築や開設・運営の支援を新たに行ってまいります。

 そして、児童相談所の移管であります。
 これまでの都区制度改革の中で、焦点でありながら協議が進まなかった事業でありましたが、品川区の子どもたちが虐待などにより不幸な境遇に至らないよう、迅速な行動を取るために、都からの移管を積極的に進めてまいります。

 次に、学校教育の推進であります。
 品川区が全国に先んじて進めてきた教育改革の成果の一つとして、小中一貫教育を国も認めるところとなり、今年度から義務教育学校が制度化されました。また、市民科や小学校での英語学習など特色ある取り組みは、品川区の公教育の先進性とその確かな成果として、全国的に評価されたものであり、これからもそのさらなる充実に向け全力で進んでまいります。
 子どもたちを健やかに育む上で、地域と学校教育のつながりは、今後、ますます重要であります。28年度より順次展開している品川コミュニティスクールは、この地域とのつながりにおける核となるものであり、地域の声を伺いながら充実してまいります。
 現在、審議を進めております学事制度審議会では、就学人口や学校の老朽度、地域の状況など、学校に関わる課題について、精力的に検討いただいております。29年度末には一定の結論が出ることから、そうした検討結果を今後の学校教育のさらなる発展のために活用してまいります。

 さらに、教育環境の改善を引き続き行ってまいります。
 学校改築につきましては、建物の老朽度をはじめ、児童・生徒数の変化を考慮し、既に着手している芳水小学校、城南小学校、後地小学校に加えて、就学人口の急激な増加も踏まえながら、新たに鮫浜小学校の改築も着手してまいります。また、校庭の人工芝生化やパソコン教室へのタブレット端末の全校配備など、良好な教育環境の整備も着実に進めてまいります。

29年度施政方針演説3

(3)住み続けられるための安全で安心のまちに向けて

 東日本大震災から6年が経過しようとしております。あの未曾有の災害から、被災地では復興に向け日々努力を重ねられており、区も職員を派遣し、その道筋を作るお手伝いをさせていただいております。

 これまでも、この大震災から得た教訓を風化させることなく、防災対策を重点課題として取り組んでまいりました。そうした時、昨年4月の熊本地震が発生いたしました。短期間に震度7という激震が2回も起こるなど、これまで経験のないものであり、改めて自然災害の恐ろしさを感じたところであります。

 また、近年はこれまで上陸したことのない地域にも台風が上陸するなど、「過去になかったから」ということでは、もはや災害に対応することはできません。さらに、昨年末に発生した地方都市での大規模火災は、木造住宅密集地域のある品川区としては決して人ごとではなく、燃えないまち、燃え広がらないまちを早期に実現しなければならないと、改めて強く決意したところであります。

 他方、全ての区民が安心して暮らしていくためには、地域での人と人とのつながりや、互いの思いやりが大切であり、こうしたことを実現するための施策はますます重要であります。

 以上のことから、三つ目の施策の方向として、住み続けられる安全で安心のまちづくりに向けて、その充実を図ってまいります。

 第一に、防災対策であります。
 はじめに、地域防災計画の見直しであります。
 平成24年度に東日本大震災の教訓なども受け大幅な改正を行いましたが、その後の各地での災害や社会環境の変化も踏まえ、より実効性のある計画にしてまいります。

 次に、災害発生時の財政的な備えであります。
 今回の熊本地震でも、国などから災害救助や復旧に対する財政支援が、地元自治体に届くまで2カ月もかかるなど、一定の期間を要することが改めて確認されました。災害発生直後に区民の生命や財産を守り、迅速な救助や復旧のため、区としての備えとしくみが必要であります。そのため、昨年の第四回定例会において議決をいただいた災害復旧基金と、それを原資に執行する災害復旧特別会計を29年度から稼働させ、災害時に迅速な予算執行を行い、財政面から官民あげての災害復旧支援体制の確立を目指します。

 一方、災害時には自助、共助の考えが重要であり、地域での防災力の強化が区全体の防災力の強化につながります。そこで、これまでの防災区民組織への様々な助成に加え、地域ごとの異なる状況に即した防災資器材の購入ができるよう、新たに防災資器材整備助成金を創設いたします。

 また、区はこれまで木密地域不燃化10年プロジェクトなど、まちの不燃化に向け力を注いでまいりました。しかしながら、こうしたエリアの指定は町丁目ごととなるため、局所的に密集度が高い地域は、不燃化の支援メニューを活用することができません。そのため、29年度は不燃化特区地区に連担する地域において、その状況調査と地区内での検討を開始するなど、改善に向けた取り組みに着手いたします。

 さらに、土砂災害等への対策にも取り組んでまいります。
 品川区は、高低差のある地形であることから、がけや人工的な擁壁などが多く、台風や豪雨時には土砂災害の危険が想定されます。こうしたことから平成27年度より都に先駆けて、がけ・擁壁の実態調査をしてまいりました。この結果をもとに、危険度の高い箇所などについて、アドバイザーの派遣や改修工事の一部助成を実施し、土砂災害の未然防止に努めてまいります。
 また、こうした地区の方々に、避難情報を直接伝えるしくみを重層的に検討しており、その一つとしてケーブルテレビ品川のプッシュ型情報配信を活用し、被災の未然防止策の拡充を図ってまいります。

 また、交通機能の充実であります。
 東急大井町線の戸越公園駅周辺では、かねてより鉄道立体化の強い要望があり、区も継続的な活動を行ってまいりました。平成28年3月に、都が踏切対策検討対象路線に位置づけて、調査に着手したことも踏まえ、区といたしましても立体化に伴うまちづくりの検討を開始し、早期完成を目指し推進してまいります。

 一方、ハード整備だけでなく、すべての区民が安心して住み続けられるためには、助け合い、支え合いが大切であり、そうした取り組みや支援の充実は、行政としての重要な役目であります。

 まず、高齢者施策であります。
 品川区の現在の高齢者人口は8万人を超え、高齢化率は21.1%と5人に1人が65歳以上ということになり、今後さらに進展する高齢社会への対応は急務であります。こうしたことから、医療、介護、生活支援、住まいが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進しており、生活支援体制の整備については、ひとり暮らし高齢者のための身近な相談場所である「支え愛・ほっとステーション」を29年度中に区内全域で展開をいたします。また、この体制整備に伴い、各地区に支え愛活動会議を設置し、介護保険制度における協議体としても位置付け、地域の実情に応じたネットワーク作りと生活支援サービスを充実してまいります。

 一方、在宅介護のセーフティネットとして、高齢期を住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、介護拠点の整備も進めております。平成29年5月に、東五反田に開設する地域密着型多機能ホームは、国有地を取得し認知症グループホームなどを整備しているものであります。また、6月開設予定の上大崎特別養護老人ホームも国有地を取得し整備しているもので、地域交流施設や診療所も併設しながら、地域と共に歩む施設といたします。さらに、西大井二丁目に整備中の看護小規模多機能型居宅介護施設は、区内2カ所目となる在宅での医療ニーズに対応したものとして、その機能の拡充と、地域包括ケアの推進に努めてまいります。

 また、27年度から推し進めております認知症対策プロジェクト「くるみぷらん」でありますが、28年度に完成する品川版認知症ケアパス「品川くるみ認知症ガイド」を第1号被保険者の全世帯に配布し、認知症の早期発見や診断・治療、介護サービスへの利用につなげてまいります。また、認知症初期の方々の交流の場として、近年注目を浴びております認知症カフェに対し、その運営の補助を実施してまいります。認知症カフェは、本人や介護者の相互理解、心理的負担の軽減の場としても、その効果が期待をされております。また、医療機関と連携する場合は、その専門性を生かした事業に対しても補助を行ってまいります。

 一方、介護人材の不足は年々深刻化しており、区といたしましても様々な対策を行ってまいりました。中でも要介護度改善事業は、他自治体とも調整・協議をしながら厚生労働省にサービスの質を評価するしくみを提案いたしました。今後も区として研究を重ね発信してまいります。29年度の具体策としては、確保が厳しい看護職員の紹介派遣について、その紹介料の助成を行います。また、事業者が介護職員の離職率を改善させた場合は、一定の支援金を助成し介護職員の離職防止を図ってまいります。

 次に、障害者への支援であります。
 昨年、他自治体で発生した、元施設職員による殺傷事件は記憶に新しいところであり、決して起きてはならないことであります。こうしたことを踏まえ、区の障害者施設の夜勤職員の増員について、必要な補助を行ってまいります。また、障害者とその家族のサービス計画の作成や相談拠点としている地域拠点相談支援センターは、関係機関との連携や障害者の状況把握など、ますます重要な位置づけとなっていることから、センターの1カ所増設と、それぞれに地域拠点マネージャーを配置し、その機能を強化してまいります。
 他方、鉄道駅ホームからの転落による事故が未だ続いている現状から、区内の各鉄道駅にホーム柵の設置を促進しております。29年度はJR大井町駅の可動式ホーム柵の完成に加えて、新たに東急大井町線荏原町駅の整備を助成してまいります。

 区民が健康で住み続けるためには、医療への施策も重要であります。
 29年度は、休日診療において、インフルエンザ流行期への体制強化として、医師会等からの要望も踏まえ、医師、看護師、薬剤師などの増配置を行います。また、昨今、歯周疾患が若年化の傾向にあることも踏まえ、現在40歳からの成人歯科健康診査を20歳からとし、その対象を拡大いたします。

 平和で人権が尊重される社会のさらなる進展も重要であります。
 平和事業におきましては、「しながわ平和の花壇」事業を区立中学校、義務教育学校への全校展開に向け進めるなど、核兵器廃絶と恒久平和確立の精神を幅広く普及してまいります。また、人権啓発事業におきましては、継続した啓発が必要であり、人権のつどいや人権標語ポスター展などを引き続き実施することで、人権尊重都市品川宣言の普及を進めてまいります。

 以上が、平成29年度の3つの施策の方向性に沿った、主な新規事業等でありますが、これらを推進するための基本姿勢について申し上げます。
29年度施政方針演説4

4.区政運営の基本姿勢

 品川区は、これまでも新たな施策に挑戦するべく意欲的に事業展開をしておりますが、これは健全財政を維持しているからこそ できることであります。そのため、スクラップ・アンド・ビルドによる不断の行財政改革を進めてまいりました。その一例といたしまして、29年1月には日曜開庁の来庁者が25万人に達しましたが、新たな人員増を行わず、確実にサービスの向上につなげられたことは、こうした改革の成果であります。

 その一環として、新公会計制度の導入に向けて準備を進めてまいります。これにより、会計処理の一層の適正化はもとより、透明性の確保や職員の行政経営マネジメント力の向上につなげてまいります。

 また、新たな行政サービスコーナーを、平成30年度に目黒駅前の再開発施設内で開設するため準備を進めており、上大崎地区における行政サービスの拡充を図ってまいります。

 さらに、29年度は都議会議員選挙が執行されますが、JR大井町駅から直結の商業施設「アトレ大井町」の中に期日前投票所を開設し、有権者の選挙の機会を増やし、投票率の向上につなげてまいります。

 そして、区の事業を執行する上で、具体的な10年間の展望を示した長期基本計画が、その計画期間の終期に入ってきたことから、進捗や達成度などの検証をはじめ、その評価も行ってまいります。

5.平成29年度予算の概要


 平成29年度予算は、時代を先取りするべく3つの施策の方向を示し、それを加速的に執行する未来志向のチャレンジ予算といたしました。 編成にあたりましては、業務執行体制を中心に、事業の委託化など内容を深く精査しながら、職員のアイデアが生きるような見直しを行ったものであります。

 そして、これまで培ってまいりました財政力を活用し、見直すべきところは見直しながら、一般会計予算を前年度比マイナス2.0%となる1,645億3,600万円とし、必要な施策には積極果敢に取り組むものといたしました。

6.おわりに

 今後も効果的・効率的な区政運営に努め、健全財政を堅持しながら、区民が真に必要とする施策を迅速かつ的確に推進し、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」の実現と共に、「わ!しながわ」を合言葉に、住みたくなるまちの実現に向け、更なる努力をしてまいる所存であります。

 以上、平成29年度における施政方針を申し述べました。議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。 ありがとうございました。

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