第2回

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南品川・桝屋由兵衛の角樽(つのだる)

 角樽(つのだる)とは、祭礼や婚礼などの祝い事に酒を送るときに使われた樽で、上の部分が角のような形をしているので、その名前が付けられました。
 この角樽は、いまの南品川三丁目の旧東海道沿い、品川寺(ほんせんじ)脇にあった酒屋「桝屋」で使われていたもので、江戸から明治にかけて作られたものと考えられています。角樽には「観音前」と書かれていますが、これは品川寺の本尊水月観音にちなみ、同寺門前が「観音前」と呼ばれていたためです。
 向かって右の大きな方には「三十三」、左のものには「三十一」と番号が付けられており、桝屋が手広く商売をしていたこと、そしてそれだけの需用がこの地域にあったことを物語っています。
 ところでこの角樽は、タガの一部が外れ、ひび割れ・虫食いが目立つなど、かなり傷んだ状態でした。そこで近年補修を行い、もとの姿を取り戻すことができました。補修は、角樽に悪影響を及ぼす薬品などを使わず、必要があれば、もとの状態に戻すことができる方法で行われました。資料を展示するだけでなく、大切に保存し、必要があれば修理・復元して、さらに分かりやすい形で公開することも、品川歴史館はじめ博物館の大切な仕事です。
 南品川・桝屋由兵衛の角樽は、展示室(1)で常設展示されています。かつての品川宿周辺地域の賑わいと風習を物語る貴重な資料として、昔の姿に生まれ変わった南品川・桝屋由兵衛の角樽をぜひご覧ください。
補修前の角樽
補修前の角樽


どんな風に直したの?
補修前拡大写真1 補修後拡大写真1
小さな樽の下のタガは取れていました。
新たに竹でタガを作り、周囲と同じように漆を塗りました。

補修前拡大写真2 補修前拡大写真2
虫食いなどで欠けたりヒビの入った箇所がありました。 木クズなどで欠けた部分を補い、色を塗りなおしました。色塗りは周囲になじむように「古色」を付けながらも、修理した箇所が分かるように、微妙に色を変えています。

※補修前後の角樽の色合いが写真の関係で違って見えますが、実際には全く同じ色合いです。


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