考えよう人権のこと

 今年は「人権尊重都市品川宣言」制定30周年、そして「世界人権宣言」制定75周年の節目の年です。

 区はこれまでも、「人権尊重都市品川宣言」を様々な施策の中に生かしながら、人権啓発や人権教育を推進してきました。しかし残念なことに、子どもや高齢者への虐待、配偶者などからの暴力、障害がある方や外国人に対する偏見、被差別部落出身の方や性的マイノリティの方に対する差別など、私たちの身のまわりには様々な人権問題があります。最近では、インターネット上に差別的な書き込みが氾濫するなど、人権問題はより複雑化し、多様化しています。

 「人権尊重都市品川宣言」に込められた思いを胸に、私たち一人ひとりが人権を尊重することの重要性を正しく認識し、他人の人権に配慮した行動がとれるよう、相手の気持ちを考え、思いやることの大切さを認識していきましょう。人権問題の解決は、私たち一人ひとりの意識や行動から始まります。

区ホームページでは「人権尊重都市品川宣言」について、詳しく掲載しています。

区ホームページ

許さない! 部落差別

 日本社会の歴史的過程の中で形づくられた身分制度や、歴史的・社会的に形成された人々の意識に由来する差別が、様々な形で現れる日本特有の重大な人権問題です。被差別部落出身というだけの理由で就職や結婚をはじめ、日常生活の中で様々な差別を受けている人々がいます。それらの人々が住まわされていた場所を「被差別部落(同和地区)」、それらの人々に対する差別が「部落差別」といわれています。

 こうした中、平成28(2016)年12月に「部落差別解消推進法」が施行されました。現在もなお部落差別は存在しており、その差別の解消は日本の課題であることが明記されています。また、令和4(2022)年は、被差別部落の方たちが差別のない自由で平等な社会を訴えて、「全国水平社」を創立してから100周年を迎えました。しかし、インターネット上で差別を助長する内容の書き込みがされるなど、今もなお差別が起きています。

 当時の人々に思いを馳(は)せ、安心して暮らせる差別のない社会をめざすにはどうしたらよいか、私たち一人ひとり考えることが必要です。

許さない! 戸籍・住民票の不正取得

問い合わせ
戸籍住民課証明交付係(電話/03-5742-6659 FAX/03-5709-7625)

 国家資格を持つ弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士の8士業には、依頼者に代わり当該請求者の職印を押した「職務上請求用紙」を使って、戸籍証明などを請求することが国により認められています。この職務上の権限を悪用し、戸籍証明や住民票を本来の業務とは無関係な目的で大量に不正取得し、売買するなどの事件が後を絶ちません。

 こうして不正に取得された個人情報が、悪質な業者による身元調査などに悪用される可能性があります。個人情報の不正取得は、部落差別(同和問題)などの人権問題やプライバシーの侵害につながる行為であり、断じて許されるものではありません。また、このように正当な理由なく個人情報の不正取得を依頼する行為や、それを請け合う行為自体が、差別やプライバシーの侵害につながることを正しく理解し、誰もが依頼しない・させない、そして許さない社会をめざして、区は引き続き啓発に努めていきます。

個人情報保護のため審査を厳格に行います

 区では、戸籍証明などの発行に際して、交付請求者の本人確認を行うとともに、その請求理由などの審査を厳格に行い、個人情報の保護に努めています。また、これまでの不正の事例を踏まえ、疑いのある交付請求については交付システムにて警告が出るなど、審査体制を整えています。さらに、不正取得を行った士業者に対しては、区からも申し入れを行います。

偽造有印私文書行使罪(刑法第159条、161条):3月以上5年以下の懲役

不正手段により戸籍謄本等の交付を受けた者に対する罰則(戸籍法第135条):30万円以下の罰金

不正請求事件に対する基本方針について

 区では、職務上請求用紙を悪用した不正請求に対し、厳格な対応を行うため基本方針を定めています。不正請求の事実が確定した場合、被害者へ不正請求の事実を告知し、さらに不正請求を行った者が所属する団体に対し、法令遵守および再発防止策の強化を要請します。