2023年12月21日号 広報しながわ
 区の財政状況についてお知らせします

 区では、「品川区財政状況の公表に関する条例」に基づき、年2回、区の財政状況についてお知らせしています。今回は、令和4年度の決算のあらまし、財政健全化判断比率、令和5年度上半期の財政状況についてお知らせします。

区ホームページでも公表しています

4年度決算のあらまし

 地方財政状況調査(以下、決算統計)に基づき、4年度決算のあらましをお知らせします。

 決算統計は、全国の自治体で、統一的な財政状況の把握や分析をするために、各自治体の決算状況を同じ基準に基づいて集計したものです。

 決算統計の会計は、普通会計と公営事業会計に分かれています。

※ △はマイナスを表します。各表の数値は100万円未満を四捨五入しているため、合計金額が一致しない場合があります。

普通会計

普通会計円グラフ

※表中の構成比率はそれぞれ小数点第2位で四捨五入しているため、合計は100.0%とならない場合があります。

歳出総額を人件費や物件費などの性質別に分類すると次のようになります
(空欄) (空欄) 金額 構成比 (空欄)
A 義務的経費 748億304万円 39.6% (空欄)
A 人件費 254億211万円 13.4% 職員の給与・退職金、議員の報酬など
A 扶助費 482億9,202万円 25.6% 生活保護費、高齢者や障害者への手当、医療費助成など
A 公債費 11億891万円 0.6% 区債の償還金
B 投資的経費 309億5,158万円 16.4% 道路・公園・施設の整備や用地取得など
C 消費的経費 831億8,581万円 44.0% (空欄)
C 物件費 416億1,226万円 22.0% 物品購入、業務委託など
C 補助費等 167億6,112万円 8.9% 各種助成金や負担金など
C 積立金 107億4,981万円 5.7% 基金としての資金積み立て
C 繰出金 126億4,168万円 6.7% 国民健康保険、介護保険など特別会計を支える経費
C その他 14億2,094万円 0.8% 施設の維持補修費など


合計(A+B+C) = 1,889億4,043万円

4年度決算にみる財政の状況

 区は、これまで培ってきた財政力と健全財政のもと、効率的な行財政運営に努め、区の独自性を発揮した新規事業に積極的に取り組んでいます。

 4年度決算の財政状況を示す指標は下表のとおりで、引き続き財政の健全性を堅持しています。

*定額運用基金3億円を除く。

指標 品川区 23区平均
経常収支比率 財政の硬直化の度合いを示す指標で、おおむね70~80%が望ましいとされています 74.8% 76.7%
人件費比率 歳出(支出)に占める人件費の割合です 13.4% 13.7%
基金(積立金)現在高 区の貯金にあたるもので、健全な財政運営を確保するために積み立てています 960億円* 1,078億円
地方債現在高 区の借入金で、現在の区民の方だけでなく将来の区民の方にも負担していただくものです 120億円 192億円

公営事業会計

普通会計以外に、下記の会計を区分しています。

(空欄) 歳入 歳出
国民健康保険事業会計 364億1,587万円 359億6,232万円
後期高齢者医療事業会計 63億2,341万円 62億5,756万円
介護保険事業(保険事業) 271億5,814万円 259億4,121万円
介護保険事業(介護サービス) 2億8,134万円 2億8,134万円
公営企業会計(介護サービス) 6億8,628万円 6億8,628万円

財政健全化判断比率

 平成19年6月、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(以下「健全化法」という)が制定されました。

 健全化法は、自治体の財政に影響を与えるすべての会計などを対象に、健全化に関する4つの比率を公表する制度を設け、その比率に応じて健全化を図るための計画を策定する制度を定めています。

 4年度決算に基づく品川区の健全化判断比率は下表のとおりで、いずれの比率も早期健全化基準値を下回っています。

※1赤字でないことを表す。

※2将来負担比率がないことを表す。

健全化判断比率 品川区 品川区に適用される基準など
早期健全化基準
品川区に適用される基準など
財政再生基準
実質赤字比率 - ※1 11.25% 20.00%
連結実質赤字比率 - ※1 16.25% 30.00%
実質公債費比率 △4.2% 25.0% 35.0%
将来負担比率 - ※2 350.0% (空欄)


実質赤字比率
一般会計などを対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率です。4年度の実質収支は、62億6,078万1千円(5.70%)の黒字により「-」表示となります。
連結実質赤字比率
全会計を対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率です。4年度の連結実質収支は、79億9,710万4千円(7.28%)の黒字により「-」表示となります。
実質公債費比率
借入金の返済額およびこれに準じる額の大きさを指標化したもので、3カ年平均で算出します。算定の結果、早期健全化基準の25.0%を大きく下回る△4.2%となりました。
将来負担比率
一般会計などが将来負担すべき実質的な負債を把握するための比率です。4年度は、将来負担額に対し充当可能財源が上回る結果となり、将来負担比率は、「-」表示となります。

4年度に実施した主な事業

財政の運営方針など

 4年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先かつ最重要課題とし、また、当初想定していない施策や原油価格・物価高騰への対策などについては、補正予算を編成し緊急的に取り組みました。

 なお、長期基本計画の着実な推進に向け、第1次総合実施計画(令和4~6年度)に基づき、4つの視点から施策を推進しました。

新型コロナウイルス感染症対策を主とした重点的・緊急的に取り組んだ施策

1. 感染拡大防止対策・検査体制確保

 (1) 患者医療費公費負担、PCR検査センター経費など…7億7,256万1千円

 (2) 新型コロナウイルスワクチン接種費用…48億838万円

2. 地域経済活性化

 (1) 中小企業事業資金融資あっせん…7億8,122万2千円

 (2) 中小企業事業者向け新型コロナウイルス感染症対応特別助成…1億1,833万6千円

 (3) プレミアム付区内共通商品券のプレミアム率などの拡大…1億9,592万6千円

 (4) キャッシュレス決済ポイント還元事業…4億3,095万2千円

3. 区民生活、区内経済の安定に向けた支援

 (1) 介護・障害者福祉サービス事業所への物価高騰対策支援金…1億7,134万2千円

 (2) 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金…1億5,508万6千円

 (3) 住民税非課税世帯等臨時特別給付金…11億2,493万6千円

 (4) 子育て世帯生活支援特別給付金…3億8,511万9千円

 (5) 子育て家庭への物価高騰対策支援…3億9,980万1千円

※主な施策を記載しています。

長期基本計画に基づき取り組んだ主な施策
超長寿社会に対応する視点
小山台住宅跡地の特別養護老人ホーム整備、八潮南特別養護老人ホームの増改築に向けた基本設計、介護職の確保に向けた支援、認知症ミーティングセンターの開設支援、子宮頸(けい)がんワクチン接種の勧奨、コンテナ型喫煙所の整備など
多文化・多様な生き方を尊重する視点
性の多様性への理解に向けた啓発講演会の実施、市民科による人権教育・英語教育の推進、しながわ学びの杜に知的障害者を対象とした講座の新設、手話の理解の推進、HEARTS(ハーツ)(品川学校支援チーム)によるいじめや不登校対策の強化など
強靭(きょうじん)で魅力あるまちを未来につなぐ視点
老朽家屋の除却・建て替えに対する助成の促進に向けた対象地域の全戸訪問、まちづくりマスタープランの改定、都との合同総合防災訓練の実施、高齢者や障害者に対する個別避難計画の策定、しながわ防災学校に福祉関係者を対象とした防災知識を学ぶ講座の新設など
先端技術を活用して課題解決と発展を図る視点
住民基本台帳など18の業務システムの標準化への対応、窓口でのキャッシュレス決済の推進、町会・自治会を対象としたICT機器*購入やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)講習会などの支援、中小企業を対象にデジタル人材の育成やデジタル技術活用相談、はじめてのスマホ体験教室におけるスマートフォンの貸し出しなど

*ICT機器:パソコンなどの情報通信機器

4年度の財政状況を表す4つの表を公表します

 区では行政経営などに活用するため、企業会計手法を取り入れた新公会計制度を導入しています。ここでは、一般会計における財務4表を紹介します。詳しくは、「よくわかる! 品川区財務諸表」をご覧ください。一般会計、特別会計の財務諸表と合わせて、区ホームページからご覧いただけます。

問い合わせ
会計管理室会計管理係(電話/03-5742-6804 FAX/03-5742-6888)
1) 貸借対照表

5年3月31日時点の資産と負債の状況を表す指標です。負債は未来に対する負担を正味財産は現在と過去に対する負担を表しています。

(単位:百万円)

科目 金額
【資産の部】
流動資産 29,472
流動資産 現金預金 6,578
収入未済 1,511
不納欠損引当金 △89
基金積立金 21,202
短期貸付金 272
貸倒引当金 △2
固定資産 2,308,737
固定資産 行政財産 781,310
普通財産 24,020
重要物品 1,203
インフラ資産 1,405,535
ソフトウェア 498
建設仮勘定 16,734
ソフトウェア仮勘定 0
投資その他の資産 79,437
資産の部合計 2,338,209
【負債の部】
流動負債 2,224
流動負債 還付未済金 16
特別区債 960
賞与引当金 1,248
固定負債 22,293
固定負債 特別区債 10,998
退職給与引当金 11,295
負債の部合計 24,517
【正味財産の部】
(空欄) 正味財産 2,313,692
(空欄) (うち当期正味財産増減額) 18,644
正味財産の部合計 2,313,692
負債及び正味財産の部合計 2,338,209


区民一人あたり

資産 575万円 負債 6万円
正味財産 569万円


2) 行政コスト計算書

4年4月1日~5年3月31日の期間の行政運営に伴う費用とその財源としての収入を表した表で、区の収支を明らかにするものです。

(単位:百万円)

科目 金額
通常収支の部 収支差額 13,604
通常収支の部
収支差額
行政収支の部 収支差額 13,632
行政収支の部
収支差額
行政収入 178,180
行政収入 地方税 56,653
地方譲与税・交付金 15,257
特別区財政調整交付金 45,094
国庫支出金・都支出金 47,281
分担金及負担金 2,309
使用料及手数料 4,396
その他 7,190
行政費用 164,548
行政費用 給与関係費 23,051
物件費 43,002
維持補修費 1,150
扶助費 44,485
補助費等 19,839
投資的経費 12,819
繰出金 12,112
減価償却費 5,937
その他 2,154
金融収支の部 収支差額 △28
金融収支の部
収支差額
金融収入 103
金融費用 131
特別収支の部 収支差額 △271
(空欄) (空欄) 特別収入 117
(空欄) (空欄) 特別費用 388
当期収支差額 13,333


3) キャッシュ・フロー計算書

4年4月1日~5年3月31日の期間における3つの活動分野ごとの現金収支を表した表で、どのような要因で現金が増減したのかを明らかにするものです。

(単位:百万円)

科目 金額
1 行政サービス活動 収支差額 19,617
1 行政サービス活動
収支差額
収入合計 178,997
収入合計 税収等 117,005
国庫支出金・都支出金 48,072
業務収入 13,817
金融収入 103
支出合計 159,381
支出合計 行政支出 159,250
金融支出 131
2 社会資本整備等投資活動 収支差額 △20,881
2 社会資本整備等投資活動
収支差額
収入合計 8,099
収入合計 国庫支出金等 1,266
財産収入 54
基金繰入金 6,233
貸付金元金回収収入 546
支出合計 28,980
支出合計 社会資本整備支出 17,951
基金積立金 10,750
貸付金・出資金等 279
行政活動キャッシュ・フロー収支差額 △1,264
3 財務活動収支差額 837
3 財務活動収支差額 収入合計 1,815
支出合計 978
収支差額合計 △427
前年度からの繰越金 7,005
形式収支 6,578


4) 正味財産変動計算書

貸借対照表の資産と負債の差額である正味財産の4年4月1日~5年3月31日の期間における増減を明らかにするものです。

(単位:百万円)

(空欄) 正味財産 合計
(空欄) 開始残高相当 国庫支出金 都支出金 負担金及繰入金等 受贈財産評価額 内部取引勘定 その他剰余金
前期末残高 2,246,664 2,443 1,415 3,607 △835 41,755 2,295,048
当期変動額 1,099 167 4,064 △18 13,333 18,644
(空欄) 固定資産等の増減 1,099 167 4,064 5,330
(空欄) 特別区債等の増減 △18 △18
(空欄) その他会計間取引
(空欄) 当期収支差額(調整後) 13,333 13,333
当期末残高 2,246,664 3,542 1,582 7,671 △854 55,087 2,313,692


4つの表から見た品川区の財政状況

以上のことから、4年度の区の財政状況については、引き続き健全財政を維持していることがわかります。

5年度上半期の財政状況 5年4月1日~9月30日

一般会計

皆さんに納めていただいた特別区税を主な財源として、公園や道路の整備をはじめ、学校・社会福祉施設の運営、生活保護、保健衛生など区行政の大部分を経理する会計です。

歳入 予算現額 収入済額 収入率
特別区税 549億400万円 279億6,338万7千円 50.9%
地方消費税交付金 118億円 68億5,674万5千円 58.1%
特別区交付金 449億円 168億9,749万4千円 37.6%
国・都支出金 499億3,333万8千円 118億7,365万5千円 23.8%
繰入金 138億4,362万3千円 30億円 21.7%
その他 265億2,621万9千円 126億4,048万9千円 47.7%
2,019億718万円 792億3,177万円 39.2%
歳出 予算現額 支出済額 支出率
民生費 984億6,073万9千円 414億8,318万6千円 42.1%
総務費 267億107万3千円 111億1,765万円 41.6%
土木費 282億5,496万5千円 41億1,345万7千円 14.6%
教育費 251億3,629万2千円 102億1,876万9千円 40.7%
その他 233億5,411万1千円 85億8,835万円 36.8%
2,019億718万円 755億2,141万2千円 37.4%

特別会計

特定事業を行うにあたって、一般会計の歳入歳出と切り離して経理を明確にする必要がある場合に設けています。

会計 予算現額 収入済額 支出済額
国民健康保険事業会計 362億3,048万円 152億1,938万5千円 131億8,690万2千円
後期高齢者医療特別会計 101億5,599万2千円 43億3,683万8千円 33億2,314万2千円
介護保険特別会計 277億5,400万3千円 136億7,066万8千円 109億3,678万5千円
災害復旧特別会計 15億円 0円 379万9千円


国民健康保険事業会計 約5万世帯、約6万5千人の方が加入する国民健康保険関係の経理を行っています。
後期高齢者医療特別会計 75歳以上の方(65歳以上で一定の障害のある方を含む)の医療を経理する会計で、現在被保険者の方は約4万4千人です。
介護保険特別会計 介護保険を経理する会計で、現在、65歳以上の被保険者の方は約8万2千人です。
災害復旧特別会計 災害時における救助、災害の復旧および災害からの復興を円滑に行い、その経理状況を明確にするため平成29年度に設置した会計です。

区民の税負担の状況5年9月30日現在

区民の皆さんから納めていただく特別区税は、歳入予算の27.6%を占めています。この予算額を人口で割ると13万4,721円、世帯数で割ると23万5,540円となります。

区分 5年度 4年度 増減 対前年伸び率
特別区税予算額 549億400万円 519億8,098万円 29億2,302万円 5.6%
1人あたりの負担額 134,721円 128,570円 6,151円 4.8%
1世帯あたりの負担額 235,540円 227,210円 8,330円 3.7%
人口 407,538人 404,302人 3,236人 0.8%
世帯 233,098世帯 228,779世帯 4,319世帯 1.9%

※人口、世帯数は、各年度10月1日現在の住民基本台帳による。

区有財産の保有状況

5年9月30日現在の区の保有している財産

区民1人あたりの保有額は、279万8千327円で、4年度下半期(5年3月31日現在)よりも、7,657円減となっています。

土地 (127万2,284.00平方メートル) 8,279億3,242万9千円
建物 (84万2,118.30平方メートル) 1,892億9,650万3千円
地上権 (6,653.65平方メートル) 12億9,959万円
工作物・立木・浮桟橋 93億5,823万2千円
有価証券・債権など 62億5,462万1千円
物品 112億2,838万円
基金 950億5,503万2千円
1兆1,404億2,478万7千円

※品川区公有財産表による。

地方債(特別区債)の状況

5年9月30日現在の特別区債の残高

特別区債は、公園や道路、学校施設などの整備で特に多額の資金を必要とする場合に、政府や銀行などから長期にわたり返済する資金を借入れ、事業資金を調達するものです。5年度上半期は、4億7,853万円の元金を償還しました。

5年3月31日現在 5年9月30日現在 差引増減
119億5,804万3千円 114億7,951万3千円 △4億7,853万円

一時借入金の現在高0円

一時借入金は、支払資金が不足した場合に、その不足を補うために一時的に銀行などから借り入れる資金です。5年9月30日現在、借入残高はありません。

問い合わせ

財政課(電話/03-5742-6610 FAX/03-5742-6870)