2024年2月1日号 広報しながわ
「(仮称)ジェンダー平等を推進するための条例に盛り込むべき考え方」に対するパブリックコメントを実施しました
区では、すべての人が性別等にとらわれることなく、多様性を認め合い、それぞれの意思に応じて、あらゆる分野で活躍できる「ジェンダー平等」の視点に基づき施策を推進するため、6年4月の施行に向け、新たな条例制定のための検討を進めています。
昨年10月~11月に実施したパブリックコメントの結果も踏まえ、12月に開催された「第5回品川区ジェンダー平等の推進に関する検討委員会」において、新たな条例に盛り込むべき基本的な理念や推進体制について、区長への答申が行われました。
条例に盛り込むべき考え方の概要
区がめざす姿
- 多様な個人として尊重され、排除されることのない社会
- 差別や暴力を受けることのない社会
- 自らの意志によって、社会のあらゆる分野に平等に参画できる社会
- その個性と能力を十分に発揮して、誰もが自分らしく生きられる社会
基本理念
(1) 人権侵害の根絶
(2) 多様な生き方の選択
(3) 平等な参画機会の確保
(4) 生活と仕事、学び、地域活動の調和
(5) リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の尊重
(6) ジェンダー平等を推進する社会を支える教育
(7) 女性のエンパワーメント
(8) 性的指向やジェンダーアイデンティティに起因する日常生活上の困難の解消
(9) 国際社会・国内での取組みに対する理解・推進
パブリックコメントでいただいた主なご意見と区の考え方(要約)
〈74人の方から65件のご意見をいただきました〉
- 主なご意見
- ジェンダー平等において何が問題なのかを明確にし、検討をすることが必要ではないか。課題を洗い出し、その課題を改善し前に進めるための条例にして頂きたい。
- 少しずつジェンダーについて考える機会が増えてよかったと思う。
- なぜジェンダー平等を品川区の条例で謳(うた)う必要があるのか、わからない。条例で決めなければならないほど女性は虐げられているか。
- 区の考え方(要約)
日本は他の先進国と比較して、女性参画の面で遅れていることが最新のジェンダー・ギャップ指数から明らかであると認められ、女性と男性の参画状況の格差が課題であると考えています。区はこうした課題の解決に向け、「固定的な性別役割分担意識の解消」や「ワーク・ライフ・バランスの実現」など、本条例の基本理念を通して、女性のエンパワーメントの促進に関する普及啓発等に努め、区として社会の意識改革に取り組んでいく必要があると考えています。
さらに、5年6月に施行された「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の第10条第1項に示された、国および地方公共団体の役割について、基本理念の一つである「性的指向やジェンダーアイデンティティに起因する日常生活上の困難の解消」を通して、性別等に起因する生きづらさの解消に取り組んでいく必要があると考えています。これらの取り組みを総合的に推進することにより、「区がめざす姿」の実現に向けて尽力していきます。
また、本条例は、ジェンダー平等の実現に向けて、区としての今後の指針とするとともに、区の姿勢を区内外に明示する契機となると考えます。
- 主なご意見
- 「ジェンダーアイデンティティ=性自認」と捉えているとすれば、非常に大きな問題で、性別や性的指向と同列に取り扱うべきではない。性自認を性別と同等に扱えば多くの問題が生じることは容易に想像できる。トランスジェンダー女性による公衆トイレ、公衆浴場の利用の是非については議論の途上にあり、大半の女性が不安や恐怖を感じている。
- 「アウティング禁止」は例えば、トランスジェンダー女性に女性トイレや女性更衣室を使わせないのはアウティングにつながるから差別、ということにつながりかねない。「禁止」という強い言葉ではなく「可能な限り善処」することにしないと、企業の施設管理者がトイレや更衣室の運用に困ることになる。
- 区の考え方(要約)
ジェンダーアイデンティティの多様性は尊重されるべきものですが、どのような場合においても、本条例の規定により、本人の自己の性別に対する認識が戸籍上または身体上の性別より優先されるわけではありません*。本条例が、法律による規制を上回ることはないため、性の多様性の尊重を理由に、違法とされているものが合法とされるわけではなく、犯罪が正当化されるものではありません。区としては、本条例の趣旨が、区民・事業者等に正しく理解され、適切な行動や施設管理につながるよう普及啓発に努めていきます。
*「品川区公衆浴場の設置場所の配置および衛生措置等の基準に関する条例(平成24年条例第25号)」では、7歳以上の男女を混浴させないこと等が規定されています。また、令和5年6月23日付薬生衛発0623第1号厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長通知「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」では、男女とは「身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと考えています」とされています。
パブリックコメントにご意見をお寄せいただきありがとうございました
お寄せいただいたご意見の概要と区の考え方は、男女共同参画センター(東大井5-18-1きゅりあん3階)、区政資料コーナー(第三庁舎3階)、区ホームページでご覧いただけます。
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男女共同参画センター(電話/03-5479-4104 FAX/03-5479-4111)