2024年3月11日号 広報しながわ
令和6年度施政方針「区民の幸福(しあわせ)」
「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」の実現に向けて、「区民の幸福(しあわせ)」
すなわちウェルビーイングの観点から、新時代のしながわを果敢に牽引(けんいん)する予算を編成
第1回区議会定例会は2月20日に開会し、令和6年度の一般会計予算案や各種議案を審議しています。
開会にあたり、森澤区長は、区政運営の基本方針と施策について所信を表明しました。
区長施政方針(抜粋)
区民の安全と安心を守る
本年1月1日に発生した能登半島地震で犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
品川区では、直ちに「被災地支援本部」を立ち上げ、義援金の募集や救援物資の搬送、職員派遣や被災者の公営住宅への受け入れなどを行っています。今後も区民の皆様のご協力のもと、全力で被災地への支援に取り組んでまいります。
また、今般の能登半島地震は、私たちに多くの教訓と課題を突き付けました。首都直下地震のリスクが現実のものとして危惧される中、強い危機意識をもって、実効性のある防災対策を進めてまいります。
令和6年度 区政運営の基本方針
「自らの生活に満足しているか」を問う世界幸福度調査によると、日本の幸福度は世界47位と依然として低い状況にあります。指標のひとつである「一人当たりのGDP」などは相対的に高い水準にあるものの、「人生の選択の自由度」や「寛容さ」といった指標が幸福度を押し下げています。
誰もが生きづらさを感じたり、選択を阻まれたりすることなく、自分の望むように生き、幸せを感じることができる社会。人がつながり、支え合うことができるやさしく寛容な社会。そうした社会をつくるために、人々の抱える不安を少しでも取り除き、未来に希望が持てる政策を打ち出していくことこそが行政の責任であると考えます。
人々の不安や不満などの「不」の解消をすること。多様なニーズに応じた多様な選択肢を提示すること。それによって区民のウェルビーイングを実現したい。
「幸福(しあわせ)」を予算に。
そうした理念のもと、今般、「ウェルビーイング予算」を編成いたしました。
施政方針の全文は、区ホームページでご覧いただけます
「しながわウェルビーイング予算」4つの柱
- 1) 安全・安心を守る
- 2) 社会全体で子どもと子育てを支える
- 3) 生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる
- 4) 未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる
予算案として編成した主な項目については、次から紹介しています。
「幸福(しあわせ)」を予算に
ウェルビーイング予算の編成
今年度、中長期的な視点から施策の不断の検証・見直しやアップデートを図るため、区政の全665事業について「事務事業評価」を行い、無駄の削減などにより、「一般会計予算の1%・20億円」の財源を捻出しました。
この事務事業評価によって捻出された果実を「区民の幸福(しあわせ)」につながる事業に振り向けるため、令和5年8月に実施した全区民アンケート*の調査結果を分析し、区民が「自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考える」優先度の高い政策課題を「安全・安心を守る」、「社会全体で子どもと子育てを支える」、「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」、「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」の4つの領域に整理し、真に「区民の幸福(しあわせ)」に資する施策へ大胆かつ戦略的に予算を配分しました。
*区民アンケートの概要は、『品川区民アンケートの概要をお知らせします』をご覧ください。
1) 「安全・安心を守る」
区民生活の不安に直結する自然災害や頻発する高齢者などを狙った凶悪犯罪などから区民の命と生活を守るため、防災、防犯、感染症対策などの重点的な強化を図ります。
主な事業
- 新規
- 携帯トイレを1人20個、防災ハンドブックとあわせて全区民に無償配布
500,000千円
- 新規
- マンションのエレベーター閉じ込め対策として「防災チェア」無償提供
45,000千円
- 拡充
- 木造住宅の耐震診断費用の全額助成等
352,450千円
- 新規
- 個人住宅の防犯カメラ、録画機能付きドアホンの設置費用助成
5,030千円
- 拡充
- 65歳以上のインフルエンザ予防接種を無償化
263,467千円
- 新規
- コンビニエンスストア90カ所にAEDを設置(区有施設とあわせ308カ所380台に拡大)
16,178千円
2) 「社会全体で子どもと子育てを支える」
義務教育にかかる経済的負担の軽減を図る観点から、授業で使う学用品に対し、都内初となる所得制限のない完全無償化を実施するなど、「子育て・教育で選ばれるしながわ」に向けた政策を加速させ、安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指します。
主な事業
- 新規
- 区立学校学用品(書道用具・絵の具など)の無償化(所得制限なし)
549,400千円
- 拡充
- 未就園児の定期預かり事業実施の大幅拡充
164,724千円
- 新規
- 不妊治療の自己負担額に対する区独自助成、不妊・不育等相談事業を開始
52,812千円
- 拡充
- 産後ケア事業 希望者すべてを対象に利用回数と対象月齢を拡充
115,150千円
- 新規
- HPVワクチン予防接種 男性への助成を開始
19,224千円
- 新規
- 品川区立児童相談所を10月に開設
878,418千円
3) 「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」
高齢者や障害のある方など誰もが自分らしく生き生きと暮らすことができるやさしく寛容な社会を構築するため、それぞれの人が抱える「不安」や「生きづらさ」を解消する取り組みを推進します。
主な事業
- 新規
- ひとり暮らしの65歳以上高齢者や障害者を見守る救急安否確認サービスを無償提供(所得制限なし)
56,503千円
- 新規
- 介護を担う人材の定着を図る観点から、区独自の手当を創設
542,400千円
- 拡充
- 高齢者補聴器購入費助成の所得制限を撤廃
28,970千円
- 拡充
- 障害児の補装具・日常生活用具等の購入費助成の所得制限を撤廃
8,330千円
- 新規
- 「あたまの元気度チェック」を50歳以上に引き下げるなど認知症の早期発見の取り組みを促進
17,780千円
- 拡充
- いじめ防止・対策強化に向けた区長部局への新組織設置、不登校支援として多様な学びの場を提供
142,616千円
4) 「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」
未来の世代が希望の持てる持続可能な社会の構築は、今を生きる私たちの使命であり、「経済」「環境」「社会」の視点から区民や多様な主体と行政が協働し、サステナブルなまちづくりを進めていきます。
主な事業
- 拡充
- 製品プラスチックの資源回収を区内全域で本格実施
410,506千円
- 新規
- マイボトル給水スポット設置助成で大幅増設へ
289千円
- 新規
- 町会・自治会の地域力向上へ向けた新たな補助制度の創設
3,500千円
- 新規
- 中小企業の販路拡大、人材スキルアップを支援など
185,511千円
- 新規
- 天王洲、東京湾コースなど3コースで舟運の通年実施など
41,390千円
- 新規
- しながわシティラン2025開催(令和7年3月)
79,681千円
- 拡充
- プレミアム付区内共通商品券の発行・キャッシュレス決済ポイント還元事業など、切れ目のない経済対策で地域のにぎわいと活性化を推進
※令和5年度補正予算を含む(春季分)。
908,371千円
おわりに
こうした新たな政策を力強く推し進めるべく、令和6年度予算は、「『区民の幸福(しあわせ)』すなわちウェルビーイングの観点から、新時代のしながわを果敢に牽引(けんいん)する予算」として、未来を見据えた積極予算といたしました。これまで築き上げてきた財政基盤を維持しつつ、「攻め」と「守り」のバランスを図り、強固で弾力的な財政運営を行い、必要な事業に大胆かつ重点的に配分を行う戦略的な予算編成を行いました。
2019年、世界初のウェルビーイング予算を編成したニュージーランドのアーダーン前首相は、「思いやり、共感、幸福という視点のもと、未来を見据えた抜本的な取り組みが重要」と世界に向けて発信しました。こうしたウェルビーイングに対する思いは、まさに、私の区政運営の目指すところでもあります。
先行き不透明な時代にあるからこそ、一人ひとりが生きがいを感じ自分らしく生きていける、人としての幸せを実感できる、そんな未来をつくりたい。
「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」の実現に向け、全力で区政の舵(かじ)取りをしてまいります。希望の持てる社会を、未来を、共につくってまいりましょう。