2024年6月1日号 広報しながわ
 皆さんに知ってほしい「社会を明るくする運動」

想(おも)う、ときには足をとめ。*

声をかけ、背中を押し、あきらめずに寄り添い続ける。

信じて待つ人の存在は、立ち直りへの大きな力になるだろう。

私たちの「待つ時間」は、きっと誰かの「変わっていく時間」。

品川区保護司会写真

*第74回「社会を明るくする運動」広報用ポスターより。本文は一部抜粋。

~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ

 犯罪や非行をした人が、罪を償い立ち直る努力をする。それは必要なことです。一方で、立ち直ろうと努力する人に寄り添い、受け入れ、見守ることも大切です。「社会を明るくする運動」では、地域の皆さんがこうした意識を持つことが、犯罪や非行のない明るい地域社会につながることを伝えていきます。

品川区のSDGs

SDGsの達成に向けてここにフォーカス

区では、すべての人が笑顔で、住み慣れた地域で気持ちよく住み続けることができるよう、「社会を明るくする運動」を実施しています。

SDGsロゴマーク

「社会を明るくする運動」とは

立ち直りに寄り添い、犯罪のない明るい地域社会を地域のみんなで目指す

 国内では、検挙された人の約半数が、過去に罪を犯した人であるというデータがあります。また、品川区でも検挙者数は減少傾向にあるものの、再犯者率は約50%で、検挙者数の約半数を再犯者が占めています*

 犯罪や非行の過去を持つことで、社会の中で孤立し、再び罪を犯してしまう。「社会を明るくする運動」はそのようなケースを減らすため、立ち直ろうとする人たちについて理解を深め、地域社会全体で支えていくよう働きかけたり、犯罪や非行を未然に防止したりといった活動を推進する全国的な運動です。

*「刑法犯検挙件数の推移」「刑法犯検挙者中の再犯者数・再犯者率の推移」(データ提供:法務省矯正局)

更生ペンギンのホゴちゃん 更生ペンギンのサラちゃん

更生保護マスコットキャラクター

高い再犯者率
国内で検挙された人のうち再犯者の割合
約2人に1人
刑務所出所後5年以内に再び罪を犯して再入所する人の割合
約3人に1人
刑務所出所者の多くが孤立
刑務所出所後に住む場所がない人の割合
約7人に1人

出典:法務省『犯罪白書』

社会を明るくする運動

「社会を明るくする運動」が目指す未来

 犯罪や非行をする人を減らすためには、何が必要でしょうか。仕事、住居、福祉などの地域に根ざした支援が必要であるとともに、過ちを犯してしまい立ち直ろうとする人を受け入れ、寄り添い、見守り、支える地域社会であることがとても大切です。

 犯罪のない、誰もが安全で安心に暮らすことのできる明るい社会を実現するため、地域に暮らす人たちの温かいまなざしを育み、立ち直りを支援する輪を広げていくことが、「社会を明るくする運動」が目指す未来です。

活動を進めるのは、地域のボランティアの方たち

 立ち直ろうとする人に寄り添い、支えることによって再犯を防ぎ、犯罪や非行のない社会をつくる活動を「更生保護」といいます。

 この活動には地域の方がボランティアとして関わっていますが、なかでも「保護司」は立ち直りを一番近くで見守るボランティアです。

保護司

 保護司は、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支えるボランティアです。地域の事情などをよく理解しており、保護観察官と協働して、生活環境調査、面接を通じた助言や指導、犯罪や非行をした人が社会復帰できるような働きかけなどを行っています。また、地域の関係機関・団体と連携して、犯罪予防運動にも取り組んでいます。

 法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員ですが、給与は支給されません。品川区では、現在101人の保護司が活動しています。

保護司の主な活動
  • 保護観察対象者への助言・指導
  • 犯罪予防活動の実施 など
品川区保護司会

 品川区保護司会は、品川・大崎・大井・荏原東・荏原西の5つの分区(支部)に分かれ、それぞれの地域で分区会を持ち、東京保護観察所と連携して更生保護のための様々な活動を行っています。また、定期的に研修の機会を設け、保護司としてのスキルアップに努めています。

 各分区から選出された理事による理事会および総務・研修・地域活動・広報・会計部が組織され、すべて保護司によって運営されています。

同会ホームページは下記QRコードから

品川区保護司会ホームページ

品川区保護司会の活動拠点「品川区更生保護サポートセンター」

 地域で更生保護活動を行うための拠点となるのが、更生保護サポートセンターです。経験豊富な「企画調整保護司」が常駐し、保護司の活動支援や関係機関との連携を行っています。また、更生保護ボランティアの会合や更生保護活動に関する情報提供の場としても活用されています。

所在地
大井1-15-13

立ち直りを一番近くで見守る「保護司」

 犯罪や非行をした人たちの出所後の生活に寄り添い、更生を支える保護司の皆さん。

 立ち直りを一番近くで見守り、どのような思いで活動されているのでしょうか。品川区保護司会の3人にお話を伺いました。

偏見の目で見ることなく受け入れる地域社会へ

品川区保護司会会長・松尾 和英さん

松尾和英さん写真

 現在は品川区保護司会の会長という立場から、会員(保護司)の皆さんがよりよく活動できるよう支援する役割を担っています。例えば、犯罪や非行をした人を受け入れる会員の後方支援を行ったり、悩みや相談に乗ったりするなど、会員の皆さんがより活動しやすい組織になるよう努力しています。

 また、保護司の人材確保も欠かせない課題です。保護司は対象者の更生に寄り添い、その後の人生を左右する役割を担っていると言っても過言ではありません。誰でもできる活動ではありませんので、適任者を見つけたらお声をかけるようにしています。

 品川区では、6年3月に「品川区再犯防止推進計画」が策定されましたが、品川区保護司会としても6月から相談窓口「RE:START(リスタート)+サポート品川」を開設します。また、7月は「社会を明るくする運動」の強調月間です。無関心、そして居場所がないこと、これは誰にとっても辛いことです。罪を償い、更生しようと努力する対象者を、偏見の目で見ることなく受け入れる地域社会となるよう広報活動を行っていきます。

人は誰もがかけがえのない存在である

品川区更生保護サポートセンター長・石坂 啓さん

石坂啓さん写真

 面接を重ねて担当する方が心を開き、変わっていくのを見ると本当にうれしいですね。表情や顔つきが明るくなり、言葉づかいが変わり、「友だちができた」「パートナーができた」といった報告をもらった時は、この活動に携わっていてよかったと思う瞬間です。

 人は一人ひとりがかけがえのない存在です。その中には、この社会に生きづらさを感じていたり、なじめなかったりする人もいるでしょう。そうした人たちが自分では望んでいないにもかかわらず、体と心のバランスを崩し、何かが引き金となり罪を犯したり、非行に走ったりするのかもしれません。ですから前科者といった色メガネでみるのではなく、温かいまなざしで受け入れる地域社会であったらいいなと思います。保護司の活動は、そうした理解を促す役割も担っていると強く感じています。

「みんな同じ」という気持ちで寄り添う

森泉 美穂さん

森泉美穂さん写真

 犯罪や非行をした人と関わるようになって一番感じているのは、私たちと変わらない、「みんな同じ」ということです。誰にでも過ちはあります。乗り越えて行かなくてはならない壁もあります。彼らはその過ちが大きかったり、乗り越えなくてはならないハードルが高かったりするだけ。そうした気持ちで活動しています。

 更生は本人が「更生する」という自覚を持ち、自分の足で歩き出さないと進みません。一方で、彼らが越えなければならない高いハードルを少しでも低くするには、地域の方たちの理解や協力が必要不可欠です。そのためには、まずは知っていただくことが大切。地域の行事などでは保護司の活動や「社会を明るくする運動」、更生保護についてお話しする機会をいただき、地域の方たちに働きかけています。いつの日か、自分の手を離れた対象者が、地域で幸せに暮らしている姿に遭遇できたら……。そう願っています。

第74回 品川区社会を明るくする運動

7月は「社会を明るくする運動」強調月間です

 区では「社会を明るくする運動」を効果的に推進するため、区長を委員長とした推進委員会を設置し、品川区保護司会、関係機関・団体と連携・協力しながら運動を進めています。

 7月は強調月間として活動を行いますので、ぜひご参加ください。

街頭広報活動
日時
7月5日(金)午後3時~5時
場所
五反田・大崎・大井町・武蔵小山・青物横丁の各駅頭、八潮団地
中央大会(区民愛のつどい)
日時
7月26日(金)午後1時30分~3時30分
会場
きゅりあん小ホール(大井町駅前)
内容
活動報告、青少年善行・特別表彰贈呈および体験報告、記念合唱ほか

街頭広報活動写真

「品川区再犯防止推進計画」(令和6~10年度)を策定しました

 品川区では、従来から行っている各種支援が再犯防止、そして更生保護へつながるものとなるよう、「品川区再犯防止推進計画」を策定しました。犯罪や非行をした人たちの立ち直りを助け、誰もが住みやすく明るい社会・品川区を目指します。

問い合わせ

地域活動課庶務係(電話/03-5742-6687 FAX/03-5742-6877)