2025年2月1日号 広報しながわ
地域を守る、地域のチカラ。私たちの消防団
地域の人たちによって組織される消防団は、地域の防災力を支える要です。いざという時のために、災害発生を想定した消火活動や応急救護などの訓練を行い、「自分たちのまちは、自分たちで守る」という強い思いで活動しています。
品川区には品川・大井・荏原の3つの消防団があり、約630人の団員がそれぞれの地域で活動しています。男性はもちろん、女性団員も約3割を占め、昨年は都内で初めての女性消防団長も誕生しました。
災害時、私たちにとって最も身近で頼りになる、消防団の活動をご紹介します。
品川区のSDGs
SDGsの達成に向けてここにフォーカス
区では、すべての人が住み慣れた地域で、笑顔で気持ちよく住み続けることができるよう、災害に強いまちづくりを進めています。
*SDGs(エスディジーズ)(持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際目標です。
まちの安心・安全が私たちの願い
消防団員の方たちはどんな思いで日々活動しているのでしょうか。お話を伺いました。
私たちの地域を守るために第一線に立つ
品川消防団 団長 大谷敏子さん
消防団で副分団長だった夫が早逝し、それをきっかけに入団しました。今から約30年前のことです。夫を失い虚脱感に襲われ、生きていく力が湧いてこない時に声をかけていただき、消防団の活動に集中することで前向きな気持ちになることができました。また、健康でなければできない活動ですので、自己管理をしっかり行い、今では当時よりもずっと健康な体になりました。
要請があれば必ず出動し、男性と同じように動けるよう訓練にも力を入れて取り組みました。女性でも活躍できることを多くの方に知ってほしかったですし、みんなの見本となる思いでがんばってきました。消防団の活動には、男性も女性もありません。日々の訓練で救急救命や消火活動などの技術を学び、それを必要な場所で最大限に生かす。地域を守るために、できることをできる人がやる。それが消防団の活動です。
昨年、団員からの推薦を受け、品川消防団の団長の任に就きました。団員の時と気持ちは変わりませんが、団員の皆さんが気持ちよく活動できる環境をつくれるよう努めていきたいです。災害が起きた時、すぐに消防車や救急車が来てくれるとは限りません。自分の命、私たちの地域を守るのは自分たちであり、その第一線に立つのが消防団です。
私が最初に所属した第4分団には、女性団員は2人。町会・自治会などに声をかけ女性団員を増やし、現在は品川消防団256人中97人が女性です。
大谷団長は令和6年4月に東京都で初の女性団長に任命されました。
地域の人たちの力を集結したのが消防団
大井消防団 鈴木雅也さん
大井消防団の選抜チームの1人に選ばれ、第51回東京都消防操法大会可搬ポンプ操法の部に出場しました。週3~4日の強化訓練を積み、優勝することができました。18歳で消防団に入り12年経ちますが、仲間とともに知識を学び、技術を磨き、チームの結束力を高めて取り組んだこの経験を経て、改めて消防団の役割を強く意識するようになりました。ただ、操法の高い技術を持っているだけでは、消防団の本来の役目を果たせているとは言えないのではないか。震災などが起きた時、地域の人たちの安全確保を適切に行うことができるか。消防団員としての自覚が芽生えたというのでしょうか、そうしたことを考えながら訓練に臨むようになりました。大規模な災害が発生した時には、自分たちの手で地域の人たちを守ることができるようになりたいという思いで、訓練に励んでいます。
柔道整復師の資格を取り、現在は生まれ育った家で整体の治療院を開いています。仕事の知識を生かして、訓練する前にはケガ予防の準備体操を取り入れたり、団員の体の相談に応じたりすることもあります。団員には様々な職業の方たちがいて、それぞれ得意な分野を持っています。それを結集して力とするのが消防団の良さではないかと思っています。
休日にジムへ行って運動するのもよいですが、消防団に入って地域のために体を動かしませんか。交友関係も広がりますよ。
消防団は自分が学び成長する場でもある
荏原消防団 荒井雪歩さん
母の勧めで小学生の時に消防少年団に入り、消防少年団員として活動してきました。訓練は月2~3回。物干し竿(さお)とTシャツを使って簡易担架を作ったり、骨折してしまった時の救急処置を習ったりしたことがとても興味深く、それが現在の活動にまでつながっています。また、訓練以外にもケーキを作ってパーティーを開くなどの催しもあり、学校以外にこうした場があることがとても楽しかったです。現在は医療関係の仕事に就いているのですが、消防少年団で応急救護について学んだことが医療の道に進むきっかけにもなっています。
消防団に入り初めて出動し、消火活動のサポートをした時の緊張感は忘れられません。日頃の訓練がいかに大切かを実感するとともに、訓練で培った技術や知識が人の命を守ることにつながっていることを強く感じました。それと同時に、まだまだ学ぶことがたくさんあることも痛感。「上級救命技能認定」の資格はすでに持っていましたが、さらに上の「応急手当普及員」の資格も取得しました。消防団員でなければできない経験をさせていただき、常に上を目指して成長していくことができるのは、消防団に入ったおかげだと思っています。今マスターしたいのは、消火ポンプの使い方です。大会に出て賞を取ってみたいです。
消火ポンプは、水の圧力についての知識や現場での判断力が必要になる難しい仕事です。それだけやりがいを感じます。
「応急手当普及員」を取得し、
区内の中学校にAEDの操作講習に行くことも
消防少年団とは
主に小学4年生から高校生までが所属し、防火・防災の知識と技術を身につけ、自助と地域における共助の意識を高める活動を行っています。
私たちのまちを守る消防団を知ろう!
消防団とは?
消防組織法に基づき、各市町村に配置される消防機関です。東京都では、都知事が管理する「特別区」と各市町村長が管理する「多摩・島しょ地区」にそれぞれ分かれています。
消防団は消防署とは異なり、地域住民が主体となって組織し、普段は仕事や家業などに従事しながら、災害時には消防活動に駆けつけるという特徴があります。
火災だけではなく、地震、風水害などの大規模災害時にも、消火や救助、避難誘導などの幅広い活動を行います。また、消防団員は非常勤特別職の地方公務員としての身分を持つため、年額報酬や出動報酬などが支給されます。
消防団の役割は?
主に次の役割を担い、活動しています。
- 火災の消火活動
- 自宅や職場などから迅速に現場に駆けつけ、火災の消火活動を行います。消防団には、可搬ポンプや各種資機材を積載している小型の車両が配備されているため、大きな消防車では入ることができない地域でも消火活動を行うことができます。
- 災害対応
- 地震や台風、大雨などの自然災害が発生した時に、地域の人たちの避難誘導や救助活動などを行います。消防団員は地域のことをよく知っているため、現場の状況に応じて様々な対応をすることができます。
- 防災啓発活動
- 学校や地域の方たちへ向けて防災訓練や防火・防災教育などを行い、災害に備える意識を高める啓発活動も行っています。
平常時にはどんな活動をしていますか?
- 災害活動訓練
- 火災が発生した時に適切に消火活動ができるよう、可搬ポンプやホースを使った消火訓練などを行っています。また、災害時などに使用する各種資機材を使いこなすための訓練も重要です。
- 防災訓練指導
- 町会・自治会や学校が行う防災訓練では、消火器を使った初期消火やAEDを使った応急救護などの指導をし、地域の防災力を高める活動を行っています。
- 地域の警戒活動
- 地域のおまつりやイベントの会場では、火災などの発生に備えて警戒活動や防火・防災指導を行っています。また、火災が増加する冬の時期には地域を巡回し、防火・防災を呼びかけています。
大学生の消防団員も活躍中!
品川消防団は令和4年から品川消防署と連携し、区内にある東京医療保健大学で入団説明会や各種イベントに併せた広報活動を行ってきました。その結果、これまでに40人以上の学生が入団し、地域で活動しています。
東京消防庁では、消防団員として消防団の活動をした学生に対し、「特別区学生消防団活動認証状」を交付する制度を実施しています。就職活動時には企業などに提出することができ、学生生活で社会に貢献してきたことをアピールすることができます。
品川区の消防団
消防団員を募集しています!
区内在住・在勤・在学で、18歳以上の健康な方であれば、どなたでも入団できます。就職活動にも役立つ「特別区学生消防団活動認証制度」や事業所の社会貢献の広報にもなる「消防団協力事業所表示制度」もあります。
募集について詳しくは、特別区消防団ホームページか最寄りの消防署にお問い合わせください。
ホームページは下記QRコードから
- 問い合わせ
品川消防署 電話/03-3474-0119
大井消防署 電話/03-3765-0119
荏原消防署 電話/03-3786-0119
問い合わせ
防災課防災安全・国民保護担当(電話/03-5742-7651 FAX/03-3777-1181)