2025年12月1日号 広報しながわ
12月4日~10日は「人権週間」です
~人権擁護委員をご存じですか?~
地域で暮らす一人ひとりの「人権」を守るために活動しているのが、人権擁護委員です。法務大臣から委嘱を受けた民間のボランティアとして相談に応じるほか、人権尊重の大切さを伝える啓発活動を行っています。
人権週間に先駆け12月3日(水)には、人権尊重思想の普及・啓発のため、大井町駅前で人権擁護委員と区長が駅利用者などに啓発グッズを配布します。

人権擁護委員は、あなたに寄り添う人権相談のパートナー
人権擁護委員は、法務大臣から委嘱された地域の方々によって構成されます。性別や年齢、職業も様々ですが、「みんなが幸せに暮らせるように」という願いを持って活動している民間のボランティアです。
人権擁護委員について知ろう
- Q 人権擁護委員はどんな人がなるの?
- 区民の中から社会の実情に明るく、人権擁護という活動に理解のある人を区長が議会の意見を聞いたうえで推薦し、法務大臣が委嘱します。品川区には10人の委員がいます。委員は、区民の人権が侵されないよう見守り、侵された人の相談に応じ、救済や正しい人権思想の普及・啓発につとめています。
- Q どんな活動をしているの?
- 大きくは「人権相談やそれに伴う調査・救済」「人権啓発活動」の2つの柱があり、区の人権擁護委員は主に下記の活動を行っています。
人権相談・調査救済【通年】
東京法務局では電話・インターネット・LINE・手紙・面談などにより、差別や虐待、いじめ、ハラスメント、プライバシーの侵害など、多岐にわたる人権問題の相談に応じています。
品川区では、「人権身の上相談」(予約制)を毎月実施し、相談に応じています。
相談内容によっては法務局職員と協力し、調査を行います。関係機関への紹介、法律上の助言などの援助といった救済手続を開始する場合もあります。
区民相談室
人権啓発活動
- 人権の花運動(4~9月)
- 人権擁護委員が学校に配布した花の種を、子どもたちが協力して育てることで生命の尊さを実感し、豊かで優しい、思いやりのある心を育む運動です。
7年度は御殿山・第四日野・中延・小山小学校、豊葉の杜学園で実施しました。
子どもたちが育てた人権の花
- 子どもたちの人権メッセージ(4~9月)
- 東京23区と島しょの小学4~6年生の代表が、自分たちの身のまわりにある人権問題について自らの考えや意見を発表するもので、人権擁護委員が連絡役をつとめています。
7年度は第四日野小学校の6年生が参加しました。
- 中学生の人権作文(6~12月)
- 次世代を担う中学生が人権問題について作文を書くことで、人権尊重の重要性・必要性について理解を深める取り組みで、人権擁護委員が連絡役をつとめています。また、人権尊重思想を広く根づかせるため、入賞作品を周知しています。
6年度は浜川・荏原第六・冨士見台中学校が参加し、浜川中学校の作品が東京人権擁護委員協議会第3部会の代表作品に選ばれました。また、同作品は「令和6年度全国中学生人権作文コンテスト東京都大会」で「優秀賞」を受賞しました。
「人権のひろば」での作品展示
- 小・中学校での人権教室(通年)
- いじめなどの人権問題について考える機会を作ることで、相手への思いやりの心や生命の尊さを学びます。人権擁護委員が区内の小・中学校からの要望などによって、人権の花運動における学校訪問や総合的な学習の時間などを利用した人権教室を実施しています。
品川区との連携
区と連携して下記の事業を行っています。
- 人権週間における街頭啓発活動
- 「憲法週間講演と映画のつどい」での「人権尊重都市品川宣言」の朗読
- 「人権週間講演と映画のつどい」での「人権尊重都市品川宣言」の朗読
- 「人権のひろば」での啓発活動および特設人権身の上相談の実施
- 品川区要保護児童対策地域協議会への参加 など
人権尊重都市品川宣言の朗読
1人で悩まず、困ったことがあったらお気軽にご相談ください
「人権身の上相談」(予約制)
- 日時・期間
- 毎月第1・3火曜日午後1時~4時
※祝日、年末年始を除く。
- 会場・場所/申込方法
- 相談日の1週間前の午前9時から、電話で区民相談室(第三庁舎3階 電話/03-3777-1111〈代表〉)へ
品川区人権擁護委員インタビュー
私たちの活動、私たちの願いを知ってください
悩んでいる人の人生を受け止め、寄り添いながら解決の糸口を見つける
人権擁護委員会委員長 松尾 和英さん
人権擁護委員の活動とは、ひと言で言えば「人権に関わる相談を受ける」ことですが、実際にはもっと広く、深い活動です。広いというのは、子どもや女性、高齢者、障害者の人権、ハラスメントやいじめ、プライバシーの侵害など、対象や問題が多岐にわたること。そして深いというのは、相談にきた当事者の人生を受け止め、誰もが平等に持っている自由で幸せに生きる権利を取り戻す方法を一緒に考える役割を担っているからです。
活動の大きな柱は、電話や面談による相談ですが、委員の中には相談の内容が重すぎて、「ご飯が食べられなくなってしまった」という方もいます。入れ込み過ぎず、委員という立場でどう対応するかが、この活動の難しいところかもしれません。私たちは人権擁護委員としての研修は受けますが専門家ではありませんので、相談にきた方の話をよく聞き、行政や関係機関、弁護士などに橋渡しをしています。解決の方向性が見え、「心が軽くなった」と笑顔で話されるのを見ると、私たちの活動の意味が少しでもあったのかなと感じます。
人権に対する意識を醸成するため、区内の小学校や中学校へ出向き「人権教室」も開いています。子どもの人権、いじめの問題、SNSとの向き合い方など、学年に応じた内容で話をしています。自分はもちろん、他者も大切な存在と考える心が育ってほしいと思っています。

松尾委員長は、令和7年度「人権擁護委員法務大臣表彰」を授与されました
子どもたちが育てた「人権の花」が、多くの人の心に人権の種をまいてくれる
人権擁護委員 江口 千枝さん
保護司の活動をしていたことから声をかけていただき、人権擁護委員に就任して6年目になります。活動の大変さは保護司と変わりませんが、一緒に活動する仲間がいることは大きな支えになっています。困ったことがあったら相談できる、助けてくれる仲間は良き友人でもあり、この歳になっても信頼できる人間関係を築けることは、この活動に携わっているおかげだと思っています。
人権擁護委員の活動の中で、私は「人権の花運動」を担当しています。これは小学校の総合的な学習の時間などを利用して、子どもたちが自分たちの手で花を育てる取り組みです。種を用意して学校を訪問し、種の植え付けを一緒にやりますが、これがとても楽しくて。花を育てることで、命の尊さやお友だちと協力することの大切さを感じ、思いやりの心を育ててほしいと思います。
今年もたくさんのきれいな人権の花が咲きました。咲いた花は校内だけでなく、地域の方たちにも見ていただけるよう展示しています。人権の花を見て、人権について話すきっかけになればと願っています。

作文を書くことで人権について考え、もやもやとした気持ちが楽になることも
人権擁護委員 長谷川 一也さん
全国中学生人権作文コンテストをご存じでしょうか。中学生が人権について考える入り口として作文を書いてみようという試みで、法務省と全国人権擁護委員連合会が主催し、人権擁護委員は連絡役を務めています。区内の中学校に働きかけ、学校の先生のご協力のもと取り組んでいますが、この活動に携わるようになって4年目。どんな作品があがってくるのか毎年楽しみにしています。先生方のご指導もあり、生徒たちの人権について考える視点や理解は、深くなっていると感じます。テーマを決めず、生徒たちが日頃感じていることから考えを広げ、自由な発想で取り組んでほしいとお願いしておりますが、子どもの視点から教えられることもあり、自分の勉強にもなっています。また、作文を通じて、いじめで悩んでいる生徒がいることがわかった事例もありました。書くことで「気持ちが楽になった」「書けてよかった」という声を聞くことは、何よりもうれしいです。
6年度には浜川中学校の作品が東京都大会で優秀賞を受賞しました。これがさらなる追い風になればと期待しています。

問い合わせ
戦略広報課区民相談室(電話/03-3777-2000 FAX/03-5742-6599)
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