品川区都市ブランドデザイン記者発表会でトークセッションを行いました

トークセッションの様子

4月3日(木)エコルとごしで、品川区都市ブランドデザイン記者発表会を行いました。
当日は多数のメディアの方々にお集まりいただき、森澤恭子区長、ブランドデザインの制作パートナーであるヘラルボニーの松田崇弥(まつだ・たかや)代表から品川区都市ブランドデザインが発表されました。
また、トークセッションでは、品川区都市ブランドアートの作家である岡部志士(おかべ・ゆきひと)さんが在籍するNPO法人希望の園の村林真哉(むらばやし・しんや)理事長にも登壇いただき、都市ブランディングにかける思いや制作秘話などが披露されました。

それぞれのブランドデザインへの思いを披露

司会それではこれからトークセッションを行います。

区長品川区長の森澤です。本日はお忙しい中、品川区都市ブランドデザイン記者発表会にお集まりいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。

品川区長 森澤氏が話している様子

司会改めまして皆さん、自己紹介をお願いできますでしょうか。では松田さんから、お願いします。

松田はい。ヘラルボニーという会社の代表をしております松田崇弥と申します。創業して6年、まだまだこれからの会社ではあるのですが、品川区ですと、JALの機内のアメニティを手掛けていたり、ニコンがヨーロッパやアジアに発信する、カメラのアート部分の担当をしたり、品川区内の企業様とも様々なご縁をいただいております。ヘラルボニーの活動によって、障害がある方に対するイメージが変わり、障害がある方を受け入れる社会をつくることができればと考えております。このたびは品川区が都市ブランドデザインとして、様々な背景を持った人たちが共に生きる社会の象徴となるロゴマークを掲げ、発信されることを心からうれしく感じています。

松田氏が話している様子

司会ありがとうございます。では村林さん、お願いします。

村林はじめまして。NPO法人希望の園の理事長の村林真哉と申します。福祉事業所、生活介護事業所を運営しながら、障害者の未来づくりに貢献するために何ができるかということで、障害のあるアーティストやミュージシャンの方の支援などを行っています。私自身の専門が美術でして、岡部君は2005年、小学校5年生の時から、私のアトリエに通うようになりました。2013年からは、希望の園が運営している「まつさかチャレンジドプレイス 希望の園」に通所し、毎日創作しています。ヘラルボニーさんとは2020年頃からお付き合いをさせていただき、今回の品川区さんとのご縁につながりました。

村林氏が話している様子

司会村林さん、岡部さんは、今日のために三重県からお越しくださいました。ありがとうございます。それではここからトークを進めていきたいと思うのですが、まず森澤区長。今回ヘラルボニーさんと参画したことを、どのように感じられていますか。

区長「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉を起点に新しい価値を創造していく活動をされているヘラルボニーさんには、品川区の寛容性、多様性のある社会を目指していく姿を表現していただきました。本当にありがたく思っています。

司会オリジナルアートで都市ブランディングを進めていくという試みは、全国でも初めてと伺いました。

区長はい。岡部さんの作風を存じ上げてはいたのですが、どんなアートが完成するのか本当に楽しみでした。多様性や寛容といった言葉では表現しにくいものを、アートという形で表現いただいたと思っています。多彩な色が混ざり合い、境界線を越えてお互いを尊重し合うというイメージを膨らませることができます。すごくわかりやすく示していただいたと思っています。

司会松田さんは今回のオファーを受けて、どのように感じられましたか。

松田率直にうれしかったです。子どもに「お父さん、今日品川区長と喋ってくるんだよ」と自慢したりして。子育てをしている父親として品川区を見てみると、児童見守りシステム「まもるっち」や給食の無償化など、多彩な取り組みを推進されています。そうした一つひとつの取り組みが、彩りとなって輝くお手伝いをできたことを光栄に感じています。このアート、ロゴマークが、区内の様々な場所、シーンで活用されていってほしいと願っています。

司会さて、村林さん。岡部さんは今回の作品の制作を、どのように進めていかれたのでしょうか。

岡部氏の作品「コロイチ」
コロイチ

村林岡部君は自分の作品のスタイルが決まっていて、その点ではプロなんです。先ほど松田さんからのご紹介にもありましたが、パネルとか自分が気に入った画用紙にクレパスで色を塗って、それをニードル(針)で削って、削ったものを粘土のように大きくして「コロイチ」を作っています。その副産物として絵、作品があるのですが、絵も高く評価されています。そして今回、品川区のために制作したこの作品は、普段よりもかなり大きな作品です。

松田大きいですよね。私は岡部さんのこんなに大きな作品は、初めて見たかもしれません。

村林11月の半ばから制作を始め、完成したのは2月10日頃です。最初は気持ちがのらなかったのですが、品川みやげのお菓子を食べたり、写真などを見たりしているうちにのってきて。時間が足りないのではないかと思ったら、自分から土曜日のアトリエにも来て取り組みました。

司会岡部さんの中の品川区のイメージが、作品になっているということですね。

村林そうですね。

司会森澤区長は完成したアートをご覧になって、どのように感じましたか。

区長品川区ではウェルビーイング施策を進めているのですが、みんなの幸せ、多彩な幸せを、みんなで一緒に作っていくといったメッセージが込められていると感じました。

司会メッセージやロゴについては何度も議論を重ねたと思うのですが、その辺りの思いをお聞かせいただけますか。

区長皆さんと様々なやりとりをさせていただき、長い時間をかけて完成させることができました。広く区民の方たちに使っていただきたいと思っております。

司会皆さんお気付きかと思うのですが、今日の森澤区長のスカーフは、岡部さんのアートを使ったデザインです。

松田とても素敵です、毎日身に付けていただきたいですね。今後は商店街のフラッグやポスター、バッジなど、様々な展開が考えられると思います。区民の皆さんには様々な形で活用していただきたいです。

司会では最後になります。このブランドデザインが今後どのように広がっていったらよいか、お話をお聞かせいただけますでしょうか。

村林何度も区長が言われていますが、品川区に暮らす様々な皆さんが、ありのままの自分で生きていける・成長できる、自分の個性が表現できる。そうした地域、区民の皆さんが誇れる地域の象徴に、この作品がなっていってほしいと思います。岡部君の作品ではありますが、区民の皆さんには「自分たちの作品」という意識を持っていただけたらありがたいです。

司会ありがとうございます。松田さんいかがでしょうか。

松田ヘラルボニーのコーポレートメッセージには、「異彩を、放て。」を掲げています。品川区の「しあわせ多彩区」という言葉も、とにかく言い続ける、信じ続けることが、結局は一番大事だと思います。アイデアやデザインが優れていることも大切ですが、そこにどれだけの熱量がのっているか。そこに大きな差が出てくると思うのです。区長にもお願いしたのですが「しあわせ多彩区」を何度もくり返して使っていただく。それが結果的には、区民の皆さんにも届いて使ってみたいという思いが生まれ、広がり、つながっていくと思っています。

区長村林さん、松田さん、ありがとうございます。熱量をしっかり持って、やっていきたい、語っていきたいと思います。また、今回は岡部さんにも、初めて記者発表会に参加していただいて、本当にありがたいなと思っています。ここにいる皆さんも、「障害の有無とはいったい何なのだろう」といった疑問を持たれたのではないでしょうか。その方の特性や個性を尊重し、活かすことができる。そういう視点から補い、支え合える優しく寛容な社会、そしてみんなが幸せになる。そういった未来の品川を皆さんと一緒に築いていければと思います。ありがとうございました。

司会以上でトークセッションを終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。

プロフィール
森澤 恭子(もりさわ きょうこ)
神奈川県出身。慶應義塾大学卒業後、日本テレビ、森ビル、ベンチャー数社を経て、2017年東京都議会議員選挙に初当選。2022年品川区長就任。

品川区長 もりさわ きょうこ氏

松田 崇弥(まつだ たかや)
岩手県出身。東北芸術工科大学卒業後、企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て、2018年に双子の兄・松田文登氏と株式会社ヘラルボニーを設立。株式会社ヘラルボニー代表取締役Co-CEO。

株式会社ヘラルボニー代表取締役Co-CEO まつだ たかや氏

村林 真哉(むらばやし しんや)
三重県出身。芸大卒業後ドイツへ留学。帰国後、特別支援学校での美術教師を経て、2005年よりNPO法人希望の園理事長、まつさかチャレンジドプレイス希望の園園長。

NPO法人希望の園 理事長 むらばやし しんや氏

岡部 志士(おかべ ゆきひと)
石川県出身。自閉症。まつさかチャレンジドプレイス希望の園に在籍する作家。

作家 おかべ ゆきひと氏