東海道品川宿のはなし 第7回

更新日:平成20年12月12日

現在の北品川4,5丁目の高台を、御殿山と呼んでいます。

この地は江戸時代、桜の名所として知られ、江戸や近郷から春になると花見客が押し寄せたところです。

御殿山は飛鳥山(北区)・隅田堤などとともに桜の名所として江戸市民に親しまれていました。

御殿山が桜の名所となる前は幕府の御殿があり、参勤交代で江戸にきた西国大名の送迎をしたところで、後には将軍が鷹狩に出たときの休息所や茶会などの将軍家の行事に利用されていました。

ところが、元禄15年(1702)の四谷塩町から出火した火事は南に広がり、この御殿も焼失してしまい、その後、御殿は再建されることはありませんでした。

 

この地の桜は寛文年間(1661~)に吉野山から移植したものといわれていますが、庶民の花見の場所として整備されたのは、享保元年(1716)に8代将軍になった徳川吉宗のときで、御殿山はじめ飛鳥山・隅田堤・小金井などに植樹を行って、園地(公園)化していきました。

享保3年には幕府によって櫨(はぜ)が植えられ、秋には紅葉して美しく、春の桜とともに御殿山の名を一層たかめたのです。

 

御殿山の樹木は、文政7年(1824)の記録によれば、広さ3町8反5畝(せ)29歩(3万8千平方メートル余り)に1,415本の樹木があり、主な樹木として桜が600本、松が5本、櫨が60本とあり、桜の多さがわかります。

春霞のかかる4月(陰暦3月)、御殿山は桜の花の香りに包まれ、眼下の浜辺での海草採りや潮干狩り、そして品川沖に浮かぶ白帆とその先に房総が見える景勝地として有名だったのです。

 

品川宿13
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