東海道品川宿のはなし 第10回

更新日:平成20年12月12日

品川宿での夏の行事について、天保9年(1838)に出版された『東都歳時記』夏の部から旧暦6月の行事を紹介しましょう。

 

品川宿の6月の行事は貴布禰社(今の荏原神社)と北品川稲荷社(今の品川神社)の牛頭天王祭から始まります。

貴布禰社の祭礼を南の天王祭といい、北品川稲荷社の祭礼を北の天王祭とよんでいました。

江戸時代の南北天王祭は、6月7日に神輿の宮出しから始まり19日に宮入りして終わる13日間の祭りでした。

現在は、6月7日に近い金曜日から日曜日にかけて3日間で行われています。

 

南の天王祭での神輿は、社を出て、南品川宿内と門前町屋など氏子町を渡御し、海晏寺門前(今の南品川3丁目)から海中にかつぎ込み、海中を渡御して南品川猟師町から上陸し、南品川1丁目の御仮屋に入りました。

この神輿が海中を渡御するところから、荏原神社の天王祭を「かっぱまつり」とよんでいます。

砂浜や浅瀬のなくなった現在は、お台場海浜公園まで舟で運んで海中渡御が行われています。

北の天王祭では、大神輿が東海寺・清徳寺の両門前から東海寺境内に入り、北品川宿・歩行新宿の氏子町を渡していきました。

両社の神輿には特徴があり、大ツツミ(締め太鼓)を取り付け、笛と鉦にて拍子をとり、かつぐ者はこの拍子に従って進めたり、さしたり、神輿をおさめたりするのです。

 

このほか、6月の行事には、28日に南品川・妙国寺(現、天妙国寺)にて虫払いがあり、古文書や什器などが拝見できたと記されています。(この虫払いは現在行われていません。)

 

品川宿16
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