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東海道品川宿のはなし 第14回
更新日:平成20年12月12日
「東京花名所 品川海案寺紅葉見」(歌川 広重<3代>)
品川宿での秋の行事について、夏の巻と同様に天保9年(1838)に出版された『東都歳時記』から10月から11月にかけての行事を紹介しましょう。
品川宿の秋といえば、江戸市中から紅葉狩に訪れる行楽客で賑わいます。
見頃は立冬(11月7日)より7日から10日過ぎ頃で、品川宿の中でも東海寺や海晏寺の紅葉は有名でした。
海晏寺の後方は台地で、数多くの紅葉が植えられていました。
その美しさは俗に「千貫紅葉」と呼ばれ、俗謡にも「あれ、見やしゃんせ海晏寺、真間や高尾や竜田でも、及びないぞよ紅葉狩」とあり、太夫よりも美しいと謡っています。
ここに文人たちが集まり、紅葉の樹間で、酒を温めて、詩作をしたといわれています。
千躰荒神祭(海雲寺)
年中行事としては、10月6日より15日まで、南品川二丁目の浄土宗寺院・願行寺では、十日十夜法要が行われます。
お十夜ともいい、十日十夜念仏を唱えることによって、極楽往生を願うものです。
品川区内では上大崎村の徳蔵寺、下蛇窪村の東光寺、戸越村の行慶寺などでも行われました。
日蓮上人が入滅した10月13日の前夜には、池上本門寺では盛大なお会式が行われます。
この晩は江戸市中や品川宿、それに近郊の農村の各地にあった題目講の講中が万灯を持ち団扇太鼓をたたいて本門寺まで練り歩いたのです。
千躰荒神祭(海雲寺) 11月27・28日の両日は、南品川三丁目の海雲寺にて千躰荒神祭が行われます。
千躰荒神祭は春3月27,28日にも行われ、その由来は寛永14年(1637)島原の乱の討伐を命じられた佐賀藩主鍋島勝茂の五男直澄が天草の荒神宮に祈願し、勝利を収めたので、江戸下屋敷に荒神宮を祀り、のち明和7年(1770)に海雲寺の境内に移されたのが始まりと伝えています。
荒神さまは、竃の神様として信仰され、参詣者は荒神さまを祀った小さなお宮を風呂敷に包み、首にかけて参拝し、新しいお札をおさめたあとは、途中寄り道したりうしろを振り返ったりせず、家に持ち帰らなければならないとされていました。
境内には『お釜』型のオコシを売る店が出て賑わいましたが、今ではお釜型のオコシの店は少なくなっています。
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