(仮称)ジェンダー平等を推進するための条例に盛り込むべき考え方について 検討の経緯 目的 1.品川区が目指す姿「ジェンダー平等社会の実現」 ◆「ジェンダー平等」はSDGs(持続可能な社会 経済 環境を目指す、世界共通の目標)の1つであり、内閣府の資料によれば、「ジェンダー平等」とは「性別に関わらず、平等に責任や権利や機会を分かちあい、あらゆる物事を一緒に決めてゆくこと」とされています。(『みんなで目指す!SDGs×ジェンダー平等』より引用。) ◆現在、日本のジェンダー ギャップ指数は125位/146カ国と前年よりさらに後退し、区においても、附属機関等における女性委員の割合は35%(令和5年4月1日現在)であり、『男女共同参画のための品川区行動計画の目標値である40%に達していません。また、品川区人権に関する意識調査(令和元年実施:発送数2,000件、うち有効回答数917件)では、性的マイノリティをカミングアウトされた場合変わらずに接することについて、「できない」4.7%、「わからない」30.5%との回答があり、理解促進のための取組みの必要性が伺えます。 ◆特別区では、すでに23区中18区が男女共同参画の推進や性の多様性に関する条例を制定しており、そのような状況において、「ジェンダー平等の実現」に向け、区として、すべての人が性別等にかかわりなく、誰もが自分らしく生きられる社会の形成が求められていると感じています。そのため、ジェンダー平等を推進するため の考え方を以下にまとめ、これらの考え方に基づきジェンダー平等を推進するための条例を新たに制定したいと考えています。(仮称)ジェンダー平等を推進するための条例に盛り込むべき考え方について、ぜひ皆様のご意見をお寄せいただきたくお願いします。 1.品川区が目指す姿「ジェンダー平等社会の実現」 すべての人が、性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティにとらわれることなく、 ●多様な個人として尊重され、排除されることのない社会 ●差別や暴力を受けることのない社会 ●自らの意志によって、社会のあらゆる分野に平等に参画できる社会 ●その個性と能力を十分に発揮して、誰もが自分らしく生きられる社会 2.基本理念 @ 人権侵害の根絶 ⇒ 性別等を理由とした差別、配偶者暴力等、ハラスメントなどの人権侵害が根絶されること。 ※ 性別等とは、 性別(生まれた時に割り当てられた性をいう。)、性的指向およびジェンダーアイデンティティをいう。 ※ 配偶者暴力等とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、パートナー、交際相手である者またはあった者からの身体的、精神的、社会的、経済的または性的な暴力をいう。 A 多様な生き方の選択 ⇒ すべての人が、固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度や慣行にとらわれることなく、その個性と能力を発揮し、自らの意志と責任において多様な生き方を選択できること。 B 平等な参画機会の確保 ⇒ すべての人が、性別等にかかわりなく、社会の平等な構成員として、あらゆる分野の活動方針の立案および決定に平等に参画する機会が確保されること。 C 生活と仕事、学び、地域活動の調和 ⇒ すべての人が、家事、子の養育、家族の介護その他の生活における活動および職場、学校、地域等における活動の調和のとれた暮らしを営むことができること。 D リプロダクティブ ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の尊重 ⇒ すべての人が、妊娠、出産等のリプロダクティブ ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を認め合い、生涯にわたり健康で自分らしい生き方を選択できること。 E ジェンダー平等を推進する社会を支える教育 ⇒ 学校教育、社会教育その他の教育の場において、ジェンダー平等を推進する社会を支える意識の形成およびメディア リテラシーの育成に向けた取組みが行われること。 ※ メディア リテラシーとは、多様なメディアが伝える様々な情報を無批判に受け止めるのではなく、主体的に読み解き、取捨選択したうえで適切に利用して発信する能力 をいう。 F 女性のエンパワーメント ⇒ 女性(性別またはジェンダーアイデンティティに基づく女性をいう。以下同じ。)が尊厳と誇りをもって自分自身の生活と人生を決定する権利を保障し、あらゆる参画の機会において、女性個人が持つ力を十分に発揮できること。 ※ エンパワーメントとは、「その人が本来持つ力を発揮できるように支援し、環境を整えること、または個人として、もしくは社会集団としてあらゆる段階の経済、政治その 他の分野における意思決定の場に参画し、自律的な力を発揮すること」をいう。 G 性的指向やジェンダーアイデンティティに起因する日常生活上の困難の解消 ⇒ すべての人の性的指向やジェンダーアイデンティティが尊重され、性的指向やジェンダーアイデンティティを原因とした日常生活上の困難等が解消されること。 H 国際社会 国内での取組みに対する理解 推進 ⇒ 国際社会および国内におけるジェンダー平等に係る取組みを積極的に理解し、推進すること。 3.各主体の責務 区の責務 ●区は、基本理念に基づき、ジェンダー平等の推進に係る施策を総合的かつ計画的に実施する。 ●区民等、教育関係者、事業者等、国、他の地方公共団体その他の関係機関と連携し、協力してジェンダー平等を推進する。 区民等、教育関係者、事業者等の責務 ●区民等とは「品川区内に住所を有する者、区内で働く者、区内で学ぶ者その他区内で活動する者」をいう。 ●教育関係者とは、区内において「学校教育、社会教育その他の教育に携わる個人、法人その他の団体」をいう。 ●事業者等とは「営利または非営利にかかわらず、区内で事業活動を行う個人、法人その他団体」をいう。 ●区民等は、ジェンダー平等について理解を深め、生活、職場、学校、地域等の活動において、その推進に努める。 ●教育関係者は、ジェンダー平等の推進に係る教育の重要性を認識し、教育を行うよう努める。 ●事業者等は、ジェンダー平等について理解を深め、事業活動を行う際は、その推進に努めるとともに、すべての人が生活および職場、学校、地域等における活動の調和の取れた生活を営むことができるよう環境の整備に努める。 ●区民等、教育関係者、事業者等は、区が実施するジェンダー平等の推進に係る施策に協力するよう努める。 4.禁止事項 ●性別等を理由とした差別、配偶者暴力等、ハラスメントなどの人権侵害の禁止 ●個人の性的指向やジェンダーアイデンティティに関して、公表を強制または禁止すること、もしくは本人の意に反して公にすること(アウティング)の禁止 5.情報の発信 流通にあたっての配慮 ●何人も、情報の発信および流通にあたっては、性別等に起因する人権侵害に当たる表現を用いないよう十分に配慮しなければならない。 6.推進会議の設置 ●区は、区民等、教育関係者および事業者等と協力してジェンダー平等を推進するため、区長の附属機関として、推進会議を設置する。 ●推進会議は、区長の諮問に応じ、推進計画の策定、評価、変更その他推進計画に関する重要事項について調査審議し、答申を行う。 ●推進会議は15人以内の委員をもって組織する。 7.推進計画の策定 ●区は、基本理念を実現するための推進計画を策定し、これに基づき、ジェンダー平等を総合的かつ計画的に推進していく。 ●区の政策に多様な意見を反映するため、区の附属機関等における委員の男女(性別またはジェンダーアイデンティティに基づく男女をいう。)構成について、推進計画に数値目標を定め、積極的改善措置を講じることにより、委員の男女構成の均衡を図る。 ※ 「男女共同参画のための品川区行動計画(第5次)」では、区が設置する附属機関等における女性委員の割合について、令和5年度までに「40%」を目標としている。(令和5年4月1日現在 35%) ●推進計画は、推進会議の意見を聞いて策定する。 ●推進計画を策定または変更したときは、速やかに公表する。 8.苦情 相談の申出 対応 ●区民等、教育関係者および事業者等は、区長に対し、区が実施するジェンダー平等の推進に関する施策について苦情および相談の申出をすることができる。 ●区長は、苦情 相談の申出に対応するにあたっては、当該苦情 相談を申し出た者に係る情報を保護するとともに、公平かつ適切に行うものとする。 ●区長は、苦情 相談の申出について、必要に応じて有識者に意見を聴くことができる。 ※ 苦情 相談の対応にあたっては、専門的見地から話を聞く必要がある場合も想定されるため、苦情 相談の内容に応じて、学識経験者や弁護士などから意見を聴く。 9.その他 ●区は、将来の環境および社会的な状況の変化に対応していくため、必要に応じて、この条例の内容を見直すものとする。