品川区の都市ブランディングに関わる調査分析報告書 目次 1. 品川区のブランディング検討にあたって 1.1. ブランディングに取り組む背景 1.2. ブランドディングの定義 1.3. シティプロモーションとブランディングの比較 2. 現在の品川区の資源(魅力) 2.1. 品川区が保有する地域資源 2.2. 品川区のブランディング戦略策定の調査に向けて 3. 品川区のブランド意識に関わる調査結果 3.1. 質的調査 3.2. 量的調査 4. 品川区のブランディングに関わる可能性と今後の検討課題の整理 4.1. 品川区の価値と可能性 4.2. 品川の価値を表すキーワードの分析 1.品川区のブランディング検討にあたって概要 1-1.ブランディングに取り組む背景  急速に進む社会環境の変化 今日、我々を取り巻く環境は、史上類を見ない人口減少・少子高齢化の進行、成長期に構築された社会システムの機能不全、地球規模の環境問題、地域紛争に伴う世界経済の減速など予測不能な時代に突入しています。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会全体の急速なデジタル化を促し、人々の働き方、暮らし方に対する価値観が多様化するとともに、変化に機敏に対応していくことが求められています。 自治体のブランディング こうした状況のなか、これまでの観光誘客、移住促進、企業誘致などの個別のプロモーションとは別に、住民・事業者・行政等が今一度原点に立ち帰り、地域の魅力についてしっかりと見つめ直し、共通認識を持って、ブランド化に取り組む自治体が増えています。 全国の自治体がブランディング戦略に取り組むのにはいくつかの理由が挙げられます。 持続可能な魅力の構築: ブランディングは持続的な魅力を構築することが可能です。ブランディングは地域のアイデンティティや価値観を明確にし、長期間にわたって人々の心に残る印象を与えることができます。 一貫性の確保: ブランディングは地域の一貫したイメージやメッセージを確立し維持することが重要です。一貫性のあるブランディング戦略によって、地域の認知度が向上し、信頼性や信頼感が高まります。 長期的な成果の追求: プロモーションは一時的な成果を追求する傾向がありますが、ブランディングは長期的な成果を追求することができます。地域のブランド価値が高まるにつれて、観光客の数や投資額が増加し、地域経済の発展につながる可能性があります。 地域の独自性の強調: ブランディングは地域の独自性や特色を強調することができます。地域の独自性を活かしたブランディング戦略は、他の地域との差別化を図るために重要です。 このような理由から、自治体がブランディング戦略を推進することは、地域の持続的な発展と成長に資する重要な取り組みと言えます。 品川区の状況 全国の自治体で人口減少、高齢化が深刻な課題となるなか、品川区の人口は1998年以降、増加傾向にあり、約40万人の人口(23区中第10位)を有しています。(令和4年1月1日現在「東京都の人口(推計)」) 一方で人口構成は、核家族化や単身世帯の増加により、1世帯あたりの構成人員は2022年1月1日現在で1.78人となっており、1人世帯の構成割合は 56.8%で、全体の半数を超えて上昇を続けています。(品川区総合実施計画 第一次計画期間) また、年少人口(0〜 14 歳)と生産年齢人口(15 〜 64 歳)が、それぞれ 2038年、2030年にピークを迎えた後に減少に転じるなか、老年人口(65 歳以上)は、2060年までの推計期間中一貫して増加し、2060年には老年人口の比率が約 35.7% となり、区民の3人に1人以上が高齢者となるとされ、区内の高齢化は一層進むものと予測されます。(品川区総合実施計画 第一次計画期間) さらに、2023年には人口における外国人人口が3.5%を占め、100人に3.5人は外国人という状況であり、この割合は今後増えていくと予測されます。(品川区の統計「住民基本台帳による世帯と人口」) 社会環境の変化に伴い、品川区を構成する人々の層の変化が加速するなか、持続可能な発展と成長し続ける「選ばれる都市」になるためには新たな視点でのブランディング戦略が必要となっています。 1-2.ブランディングの定義  ブランドとは 「ブランド」や「ブランディング」は一般的に次のように定義されています。 ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって「識別されている」とき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ。 「ブランディング」とはブランド・アイデンティティとブランド・イメージを一致させる活動のこと。 (一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会)  都市ブランドとは 「都市ブランド」とは、都市の名を見聞きするだけで、人々に信頼、好感、期待感、誇り、愛着を伴い認知、識別される固有の都市イメージと定義されます。 他都市との違いを明確にして、都市そのものの価値である都市ブランドを創出するとともに、多くの人に都市ブランドを届けることが、都市の持続的な発展につながります。 1-3.シティプロモーションとブランディングの比較 従来のシティプロモーションについて 品川区では「品川らしさ」や「品川区ならではの魅力」を発信していく取り組みとして、平成27年度からシティプロモーション事業を本格始動し、世論調査に定住意向が9割以上で推移するなど一定の成果をあげてきました。 一方で、品川区への愛着や誇りを感じている割合は減少傾向にあり、転出可能性が比較的高い「当分住み続けたい」割合が現役世代においては6割以上の高水準を継続しています。 利便性の高さなどの機能面でのメリットでは他の区と似通ってしまい差別化が難しく、どの自治体でもプロモーション施策を展開するなか、選ばれる地域になるには情緒的価値を創出する「都市ブランディング」を戦略的に実施していく必要があります。 都市ブランディングの考え方 利便性などの客観的な機能の魅力を伝える販売促進活動的な側面が大きいシティプロモーションと比べて、都市ブランディングは「イメージを高めるための活動」です。 伝える情報は人々に信頼、好感、期待感、誇り、愛着を伴い認知される暮らしぶりなどの主観的な情緒を伝える必要があり、現在を踏まえた未来に向けた視点と、自治体・区民・事業者など地域に関わる人々を巻き込んだ展開が求められます。 2.現在の品川区の資源(魅力) 2-1.品川区が保有するブランディング活用可能な地域資源 品川区が保有する地域資源 品川区が保有する地域資源や魅力は、品川区シティプロモーション戦略プラン策定にあたって、区民アンケートやヒアリングなどを踏まえて「歴史・伝統」「先進性・発展性」「住みやすさ」など8つのキーワードに集約されています。 (各分野の主な地域資源の例) キーワード 構成要素 歴史・伝統 江戸時代に栄えた旧東海道品川宿 日本考古学発祥の地と称される「大森貝塚」 寺社仏閣、各地域で行われている祭礼行事 先進性・発展性 ものづくりのまちとして栄えたが、近年、国内外の企業が進出するビジネスの拠点へと変貌を遂げた大崎の発展 ITベンチャーやAIなどのスタートアップ企業が集積する五反田 江戸時代から栄えてきた倉庫街からアートのまちとして名を馳せる天王洲 交通の利便性 羽田空港、品川駅など都内有数の交通ターミナルに隣接した東京の玄関口 将来的に開通予定のリニア中央新幹線 水辺・水族館 目黒川、品川浦、京浜運河、天王洲アイルなどの豊かな水辺 節ごとのクルーズや屋形船による水辺の観光 リニューアルしたしながわ区民公園と一体のしながわ水族館 住みやすさ 交通のアクセスの良さ、買い物のしやすさ、安全な住環境による住みやすさ 都会でありながら地域社会に根ざしたコミュニティの充実 商店街 戸越銀座商店街、武蔵小山商店街、荏原町商店街、中延商店街など個性豊かな商店街が多く残る 各商店街独自で行われる多数のイベントや取り組み 子育て・教育 子育て世代を支援するための行政と民間の様々な施策(子育て支援センターや親子サークル、育児相談窓口) 多くの公立および私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校があり、子どもや生徒の成長をサポートする環境 人情(活気) 品川神社の例大祭などの古くから続く祭り 区民スポーツ大会などのスポーツイベント 大井競馬場のイルミネーション、目黒川沿いのライトアップなど季節を楽しめるイベント 現在、認識されている品川区の魅力 一方で現在、認識されて高く評価されている品川区の魅力は「交通の利便性が良い」「買い物に便利だから」などの機能的価値が占める割合が多いのが現状です。 機能的価値だけでは条件次第では他の地域でも代替可能なため、将来的には転出の恐れが避けられません。唯一無二のものであり、他の地域では代替しづらい情緒的価値のイメージを高めていく必要があります。 2-2.品川区のブランディング戦略策定の調査に向けて 品川区のブランディング戦略に必要な視点 現在、認識されている品川区の魅力の多くは機能的価値であり、過去から現在までの資源を伝えるシティプロモーション的な視点が強く反映されています。 将来にかけて選ばれる都市になるためには、以下のポイントを踏まえた価値を発信し、認知される必要があります。 ○伝える情報 :主観的な情緒的価値 ○活用方法  :区からの一方的ではなく相互による発信 ○時間軸   :過去から現在までの魅力に留まらず、未来志向 ターゲットの考え方 一般的に、企業は限りあるリソース(経営資源)を投下し、企業のブランドイメージの最大化を図るために、ブランドターゲットを設定します。品川区のブランディング戦略においても、効果的な都市ブランドイメージの浸透を図るために、ブランドターゲットを設定する必要があります。 今回のブランディング戦略策定に向けた調査では、将来にかけて選ばれる都市になるために、品川の未来をつくる領域で新しい取り組みを実践する人々に焦点をあて、情緒的価値をブランド価値に落とし込んでいきます。 3.品川区のブランド意識に関わる調査 都市ブランディングでは、地域との関わりや体験への特別な感情などの情緒的価値の発信が重要となります。そこで、区で活動する人々や区民から、品川区の魅力をどのように捉え、自身がこれから先どのような価値を作って行きたいかを把握するために、インタビューやアンケート調査を行い、調査・分析を行いました。 3-1.質的調査 ヒアリング調査 品川の未来をつくる領域で活動する人たちにヒアリングしたところ、これまでシティプロモーションで品川の魅力とされてきた「商店街」「歴史・伝統」などの魅力として認識されつつ、未来に対しては伝統を守りつつ新しいものに挑戦し、多様性の実現を目指す声が多く挙げられました。 調査方法:個別インタビュー調査 実施期間:2023年12月20日〜2024年1月22日 回答者数:20名 設問:ご自身と品川の関わり ご自身が考える品川区の魅力は? 20年後の品川区ではどんな暮らしが実現していると思うか? 等 (品川の未来をつくる領域で活動するプレーヤーの特徴) 項目説明 特徴 - 幼少期から品川で暮らしている・活動している人たちは親世代も地域の役職を担っていたり、家業が品川拠点だったり、親戚が品川に住んでいて、人生と品川が密接に関わっている。 - 区外から転居して活動をしている人たちは、最初は利便性の高さから品川に移り住み、その後、住みやすさや商店街などの魅力を知って住み続けている。住む前と住んだ後の良い意味でのギャップを感じている。 - 区外から転居して活動をしている人たちは、「品川だから」ではなく、目黒駅前、西小山などエリアを選んで転居していて、居住地を選択する際に品川区を意識していない。 品川へのスタンス - 長年にわたり地域で活動する人たちは、今を品川の過渡期、分岐点と捉えている。(タワーマンションの建設による新住民の転入、マンションやアパートの増加による単身世帯の転入、区役所の変革など) - 年代問わず、外の人が入ってくることには寛容で地域の祭りやイベントには積極的に参加して欲しいという想いがある。プレーヤー自身が外の人と中の人をつなぐ存在として活動している。 - 品川で想いを持って活動している人でも、品川以外の場所に住んでいたり、今後は品川以外に移り住む可能性がある人もいる。 (ヒアリング調査結果 意見抜粋) 回答 新しいまちづくり 歴史と伝統、水辺、商店街。これらは今から努力しても作れない。 商店街、住宅地と商業地が混在している。商店街はふるさとの中心地。 歴史・文化 多様性、多文化共生。移住して祭りに参加する海外の人もいる。祭りのコミュニティの強さ。 新旧の違い・融合、Old Meets New。品川に関わりたい、品川愛、地元愛を伝えていこうという人が揃っている。 スポーツ 近代的、歴史の両どり。「歴史伝統」と「先進性・発展性」。古いまち、新しいところが融合している。 品川の人たちは暮らし=イベント。品川クルーズ、水辺のイベント、大井町のイルミネーション、商店街、お祭り。 サステナブル 商店街の多さ。まちに降りた時に商店街が賑やかだとまちが元気だと感じる。 新旧の品川が入り乱れている。歴史の地盤があるから発展していける。 起業家 「歴史・伝統」と喧嘩せず、新しいことをできる土壌がある。帰ってくる場所、地元感がある。 水辺 / 海に向かっていて、飛行機、船の便があって世界・未来に繋がる。 子育て ここ10年で民間メンバーの子育て支援のチームが増え、今は親子、子供が行ける場所がたくさんある。 新しく子育てしたいママたちが「まちの人たちがあったかい」と言ってくれる。品川は「子供を地域でそだてよう」という意識が高い。 多様性 東京におけるユニバーサルマナー発祥の地であり、若者の多様性に対する感度が高い。 「ちょうどいいまち」。子どもの学校をみても品川の学区は多様性があり、画一的ではなくおもしろい。 アート・ クリエイティブ 商店街が多い、住みやすい。お祭りの活気、世話好き、人情。 インクルーシブな政策に共感。暮らしの中で障害のある方とそうでない方がともに活動している。 (ヒアリング調査結果 意見抜粋) 回答 新しいまちづくり OLD &NEW、最先端と昭和の香りが両立している。渋谷は歴史がないが、品川は歴史を大事にしていく。 水辺の利用の推進。日本のシドニー的な景色が広がる。 歴史・文化 現在は分岐点。コミュニティの維持と歴史・伝統の継承。 多様な人々のスタートラインにしてほしい。伝統を守りつつ、新しいことへの挑戦していく。 スポーツ スポーツを通して、生きがい、コミュニティを作り、スポーツを人生のたのしみのひとつにしたい。 品川区には多様性があると信じたい。混ざり合う機会を自分が作っていきたい。 サステナブル エシカルタウンとして発展してほしい。 まちとサステナビリティが接続し、食品やものの資源循環がより進む未来になるといい。 起業家 伝統がありながら、ビジネスもできる。生活にも染み込んでいる。 そのなかにもアート・カルチャーの要素があると、魅力的。次に花を咲かせるのは、女性や若手。センスが重要。 子育て 人情味を大事にしたい、お互いさま。「おせっかいを焼き合うまちに」 自分自身は住んではいないと思うが、帰ってくる場所、拠点ではあり続ける。品川にいると、どこにでも飛んでいけそう。 多様性 まちの生存戦略としての多様性、新しい世代を育てられるか?が重要。障害者や外国人に対する寛容さ、多様性を実現してほしい。 理想のまちを自分たちで創っていく、みんながプレーヤーになる。 アート・クリエイティブ 品川で生まれ育ってない人たちが増えても、品川愛がある人たちが暮らしてほしい、品川への想いが続くと良い。 混ざるだけでなく、個性を出していきたい。インクルーシブや多様性が当たり前になったらいい。スポーツやアートは様々なボーダーを超えていける。 書面アンケート調査 品川で地域のために活動する人たちへのアンケートも、これまでシティプロモーションで品川の魅力とされてきた魅力に沿った回答が得られつつ、未来に対しては多様な人たちが活躍するまちを目指す声が多く挙げられました。 調査方法:書面アンケート調査 実施期間:2023年12月11日〜2024年1月19日 回答者数:12名 設問:ご自身が考える品川区の魅力は? 20年後の品川区ではどんな暮らしが実現していると思うか? 等 今の品川に感じている魅力、品川らしさについての回答 (アンケート調査結果 意見抜粋) 回答 高齢者支援 先進的な街である。主要な場所へ短時間でいける。(ターミナル駅、羽田空港など) 住みやすい街である。 ヤングケアラー支援 他区に比べて、ヤングケアラーとその家族をサポートする体制が整っている。 先進的な取り組みをしている。 どこに住んでいても利便性が高く住みやすく、地域の方々との関係性も築きやすいというのが両立している。 子育て支援 商店街があることで、人と人がつながり、顔が見える関係を築ける。 安全で互いを思いやれる。 戸越銀座は区外からも人気。 教育 区内各所で祭礼があり、氏子の枠を超えて神輿を担ぎ合う交流があって人情や活気がある。 旧東海道沿いに歴史を感じる寺社仏閣やイベントが凝縮されている。 スポーツ とにかく住みやすい。子育てや教育に適している。 青少年育成 交通の利便性が高く、どこにでも出やすい。複数路線が通っている。 協働 未就学児の保育・教育にも手厚く保育施設が保護者に寄り添って運営されている。 公園等が整備されている。 地域の子どもをサポートする体制が備わっている。 23区の中でも有数の商店街がある。 まちづくり 歴史と伝統。再開発が進んだまちにも、伝統的な祭りやものづくり産業の礎は深く残り、今も受け継がれている。 本来の品川は歴史と文化にあふれたまち。 人権 羽田空港やJR品川駅が域外あるいは近隣にあることで、学会や研究会等でアクセスしやすく集まりやすく、日本中あるいは世界からも参加しやすい。 古い歴史を有すること、それにかかわる風情がある。 20年後の品川区で実現して欲しいこと、実現してほしい暮らしについての回答(アンケート調査結果 意見抜粋) 回答 高齢者支援 バランスのとれた人口構成で、老若男女が楽しく就労でき活躍して、誰もが安心して生活できる。 ヤングケアラー支援 一人一人が他者の幸せを考えられる環境が整っている。 心配な家庭があれば、色んな人が関わってくれる。 相談できる先があって、どんなことでも親身に対応してくれる。 福祉や医療に関わる人たち、商店街の人たち、NPOなどの民間団体などが行政とスムーズに連携し、品川区に暮らす人たちのために活躍している。 子育て支援 子育て支援団体や地域で活動する町会などの温かい人たちが活躍し、子どもたちが萎縮せずに、外でも屋外でも、走ったり笑ったりできる街。 教育 自助・共助の雰囲気が醸成され、出自や置かれた状況にかかわらず活躍の場が見つけられるような社会。 スポーツ おせっかいなおばさん、おじさんが活躍し、ITがひと回りして、人と人とが一日一回は話をしなければ一日が始まらず、終わらない23区唯一の街。 青少年育成 リニア新幹線の開通により、さらに交通の便がよくなり、多様な文化の方々が、活躍している。 協働 海外の人たちも多く住み、働く街として活性化し、街が活気づき、企業の入るオフィスビルと、街がマッチしている。 海外の方や若者はもちろんこと、言語力やコミュニケーション能力に長けたシニアの方々も活躍している。様々なアイデアが生み出される最先端な街。 まちづくり 多様な人たちが活躍し、差別偏見が無く、皆が楽しく暮らすまち。 人権 色々な事に積極的な子ども?シニアまでの人々が活躍し、人情や活気にあふれ住みやすい街。 女性、子ども、高齢者、障害者、LQBTQ+、外国人等すべての人が活躍し、多様性を実現し、誰もが自分らしく生きられるまち。 3-2.量的調査 WEBアンケート調査 広く品川の魅力を把握するためのWEBアンケートでは、交通の利便性が魅力としては突出していたものの、未来に対しては子どもたちやシニア世代、外国籍の人など多様な人たちが活躍する多様性が実現されたまちを願う声が多く挙げられました。 調査方法:WEBアンケート調査 使用媒体:品川区電子申請サービス 及び 品川区公式LNEアンケート 職員向け電子アンケート 実施期間:2024年2月5日?2月16日 回答者数:3,506名 設問 【属性に関する質問】 性別(男性/女性/その他/答えたくない) 年代(10代未満 / 10代/20代/30代/40代/50代/60代/70代/それ以上) 居住地(品川区内 / 品川区外) 【品川区の魅力に関する質問】 品川区は利便性の良さだけではなく、数多くの公園や商業施設があるなど、 「働く」「住む」「遊ぶ」という面から様々な魅力を持っていますが、代表的なものとして以下の8つがあります。    @ 歴史や伝統がある    A 交通の利便性が良い    B 水辺や水族館がある    C 住みやすい街である    D 商店街がある    E 子育てや教育に適した街である    F 人情や活気がある    G 先進的な街である 1.この中で、あなた自身が最も「品川区の魅力」だと感じるものを教えてください。 2.あなたが、「品川区に住んでいない方」に品川区の魅力を紹介するとしたら、@〜Gで、どれを伝えますか?  現時点でも様々な魅力を有している品川区ですが、その魅力をさらに発展させるために、あなたのお考えをお聞かせください 3.約20年後の2040年。品川区が今よりも素晴らしい街になっているとしたら、どんな暮らしが実現しているでしょうか?(自由記述) 4.上記で回答いただいた未来の品川区では「どんな人たち」が活躍しているでしょうか?どんな暮らしが実現しているでしょうか?(自由記述) 回答者の属性 性別 男性40.5% 女性57.6% 答えたくない1.6% 居住地 品川区内59.3% 品川区外40.7% 年代 10代0.2% 20代14.9% 30代26.7% 40代20.5% 50代20.8% 60代13.8% 70代2.9% あなた自身が最も「品川区の魅力」だと感じるものを教えてください。 (複数回答可) 歴史や伝統がある 466 交通の利便性が良い 1981 水辺や水族館がある 423 住みやすい街である 1015 商店街があるい 762 子育てや教育に適した街である 774 人情や活気がある 169 先進的な街である 157 その他 60 (その他の主な意見) キーワード言及回数 自然 5 ・街の雰囲気として綺麗で、住み心地が良い ・近所に公園が多い ・落ち着いていて、ほどよく都心から離れている 行政 5 ・行政サービスが充実しており、丁寧で迅速な対応が為される ・区の財政に余裕があり、福祉や各種補助含む行政サービスが非常に充実している ・区長の先進性 新旧の融合  3 ・山の手と下町がミックスされていて、昔から変わらない寺町の風情もある ・カテゴライズしがたい多様性 ・歴史伝統と先進性が同居している ・商店街やビジネス街など、 新旧織り混ざった子育てしやすい街 あなたが「品川区に住んでいない方」に品川区の魅力を紹介するとしたら、どれを伝えますか?(複数回答可) 歴史や伝統がある 334 交通の利便性が良い 1657 水辺や水族館がある 363 住みやすい街である 1013 商店街があるい 704 子育てや教育に適した街である 829 人情や活気がある 172 先進的な街である 139 その他 63 (その他の主な意見) キーワード言及回数 子育て 4 ・子育てや教育もしっかりしており活気もある街 ・子育て中は、スマイルスクールがあり、働いている家庭に限らず入れる ・ひとり親に優しい ・区外から転入する園児がいる家庭の方でも、すぐ入園できる。空きがある保育園が近隣自治体に比べて多い アクセスを含めた 住みやすさ 3 ・新幹線にも飛行機にもアクセスが良く、複数路線が走っているため多方面に出かけやすい。都内の他の主要駅ほどゴミゴミしておらず、住みやすい ・銀座、東京に30分以内、新宿、浅草にも直通で行ける。利便性の良さ ・港区目黒区渋谷区大田区に隣接し、横浜へもサッと足を伸ばせる治安の良い気兼ねの要らない下町 未来への期待 2 ・これからもっとよくなりそう ・これから発展する街 約20年後の2040年。品川区が今よりも素晴らしい街になっているとしたら、 ・どんな暮らしが実現しているでしょうか?(自由記述)(有効回答数 2,584件) 未来の品川区では「どんな人たち」が活躍しているでしょうか?(自由記述)(有効回答数 2,408件) (WEBアンケート結果 回答抜粋) キーワード言及回数 子育て 1018 区独自の子育て支援施策の結果、区内在住のファミリー層が増え、街(商店街)に活気があり、ユニバーサルデザインが採用された誰でも住みやすい環境が整備されている。 (30代男性 品川区内) 超高齢化になっている中で、品川区は子育て世代が魅力を感じて転入、出戻りをして若い力で盛り立ててくれている。また、スタートアップ企業が品川区からより多く出て将来の税収、雇用に繋がっていく未来を期待したいです。 (40代男性 品川区内) シニア/高齢者 727 高齢化が一層進む社会と想定します。再開発され、若者で賑わう街並みと、そこから得られた財源をもとに、高齢者・障がい者・子ども達が安心して暮らせる品川でありたい。特に防災はがっちり!! 世代ごと・地域ごと、もっと細かく寄り添いフォローできる目配りを。「人に優しい品川区」が最大の価値と考えます。(50代男性 品川区内) 国内の全体傾向から推察すれば、シニア世代がよりビジネス、カルチャー、街のにぎわい等様々な場面で主役になっていると思われます。(30代男性 品川区外) 子どもたち/子供たち/子ども/こども 590 子どもならではの視点を活かした街のアイデア出しが実現している。子ども自身の自己肯定感が高く、知的好奇心旺盛で自分のやりたいことを見出し実現している。 (30代男性 品川区内) 子供の居場所や年代に合わせて遊びの場(遊具のある公園、ボール遊びができる公園、スノーボードができる公園、児童センター、スマイルスクール、図書館)が地域にあり、子供が大人になっても品川区で暮らしてくれる。(20代女性 品川区外) 多様性 248 多様性が当たり前になって、誰もがやりたいことが実現できている。また、先進的な技術やデジタルなどを積極にとりいれて、変化し続いている。(40代男性 品川区内) 多様性が当たり前になっている。バリアフリー化がさらに進み、車椅子や杖をつくなど、足腰が不自由な人でも、自分のいきたい場所に行け、外出が楽しめるようになっている。 (50代女性 品川区外) 外国籍 203 門前町・城下町・宿場町・山岳信仰等の歴史が多様な文化を育み、豊かな自然環境が良質な農産物を生み出している。 4.品川区のブランディングに関わる可能性 4-1. 品川区の価値と可能性 「3. 品川区のブランド意識に関わる調査結果」で把握した、品川の魅力、価値は以下のように整理されます。 未来の品川で実現してほしいことについて全ての調査で主な意見として抽出されたキーワードは「多様性の実現」でした。また、質的調査では「新旧の融合」が品川の魅力でもあり、未来の品川で実現してほしいことのキーワードとして抽出されました。この2つの機能的価値ではない情緒的価値が重要なキーワードになると考えられます。 問いおよび回答 品川の魅力は? 新旧の融合 - 古きを残しつつ、新しいものに挑戦する ・祭り、イベント -品川の人たちは暮らし=イベント - 祭りのコミュニティの強さ ・商店街の多さ - 住みやすさ -地元感、地元愛 ・交通の利便性 - 主要な場所に行きやすい ・住みやすさ - 商店街の多さ -子育て、教育の充実 未来の品川で実現してほしいことは? 共通 ・多様性の実現 - インクルーシブや多様性が当たり前な状態 - まちの生存戦略としての多様性 - 思想的にも人種的にもカラフルなまち ・コミュニティや想いの継承 - 品川への想いが続いていくと良い - 品川愛の継承 ・新旧の融合 - 品川は歴史を大事に発展していく ・子育てしやすいまち - 子育てしやすく若年層に活気がある - 子育ての不安がなく、安心して子どもを産み、育てられる ・シニア、子どもたち、外国籍の人の活躍 若い人も年配も、子供も、外国籍の人も活躍できる さらに、「多様性の実現」と「新旧の融合」というキーワードとその他の魅力や価値は以下のような構造に整理できます。 エリアごとにいろいろな顔をもち、新旧が融合しながら発展をつづけてきたからこそつくれる、多様な個性にあふれる品川区、ということが言えると考えられます。 4-2.ブランディングの方向性 これまでの議論や分析を踏まえて、品川区がこれから推進するブランディングでは軸となる以下の3つの要素を絞り込み、ブランドメッセージやデザインに落とし込んでいくべきだと考えます。 目的 品川と関わる人たちに意欲と共感を生み出し、未来に向けた活動を活発化させる ターゲット 未来の品川をつくる人たち - 未来を変えていきたいと思い活動する人たち - 未来の品川で活躍する若い世代、こどもたち - 品川の新旧を混ぜ合わせ、つなぐ存在の人たち 価値 品川の過去やすでにある資源を大切にしつつ新しいものに挑戦する「新旧の融合」を進めた先にある、品川だから出来る「多様性の実現」