第2章 計画の基本的な考え方 16ページ 1.本計画の基本理念 品川区では「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていけるしながわ」の実現に向けて、区民が自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考える優先度の高い政策課題を「安全・安心を守る」、「社会全体で子どもと子育てを支える」、「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」、「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」の4つの領域に整理した「しながわウェルビーイング予算」を編成するなど、区民の幸福(しあわせ)の実現に向けて取り組んできました。 本計画では、その基本理念として、「こどもまんなか」を掲げ、施策の中心に据えています。この理念は、子どもや若者を施策の中心に据え、子どもや若者が健やかに成長し、将来にわたって幸せに生活できる社会を実現することを目指しています。 「こどもまんなか社会」の実現に向けては、子ども、若者、保護者、そして地域が一体となり、未来を担うこどもたちを全員で支える体制をつくります。こどもが安心して成長し、自分らしく生きる喜びを感じられる環境を整えることは、子育て家庭の安心感を高めることに加えて、地域全体に世代を超えたつながりや連帯感を生み出します。 こどものしあわせを基盤とし、それが区全体に広がることで、すべての区民が幸せを実感できるような施策を展開していきます。これらを通じて、すべての区民が未来に希望を持ち、「ウェルビーイング」を実現できるまちを目指します。 基本理念:こども・保護者・地域とともに創る こどもまんなか・ウェルビーイングシティしながわ 17ページ 2.基本方針 1.妊娠初期からの子育ち・親育ちを支援する 安心して子育てができる環境を整えるため、「しながわネウボラネットワーク」などの、妊娠期から子育て期にかけての相談や各種支援を行い、親育ちをサポートすることで、子育ての悩みや不安を軽減します。 子育て家庭全体を支援するため、医療費の助成などを通じて経済的負担の軽減も進めるとともに、保護者の働き方やライフスタイルの変化に対応し、多様な保育サービスや保育施設の質の向上に努めます。 また、子育て家庭の孤立を防ぐため、親同士の交流機会の創出に取り組むとともに、保育園や幼稚園においては、子どもを産み育てることの尊さや喜びを体験できる機会の充実や、各種訪問事業を推進します。このような取り組みを通じて、子どもや保護者の多様なニーズを的確に把握し、きめ細やかなサービスを提供することで、安定した環境で子育てができるように支援します。 2.子ども・若者の健全な成長・学びを支援する 子ども・若者一人ひとりの個性を尊重しつつ、「豊かな人間性」や「健康と体力」、「確かな学力」などの基礎部分が形成できるように支援するとともに、他者との協調性や思いやりなどの共感性を育むために、子どもたちのさまざまな体験や交流の機会を充実させます。主体的な成長と自立した未来を築くため、家庭、地域、学校、関係機関と連携を図り、安心して自分らしく過ごせる居場所の充実を図るとともに、子どもの権利の理解を深めます。 また、義務教育9年間の一貫した質の高い教育を、各学校の特性を活かした多様な方法で実践し、複雑化・多様化する時代に対応できる力を身に着けるようにします。すべての子どもの学ぶ機会を保障するため、個々の教育的ニーズに応じた支援体制を構築し、学校施設の改築や設備の向上を進め、安全で充実した学習環境を提供することに加え、ICT機器の利用環境を一層充実させ、情報活用能力の向上を図ります。 3.子ども・若者の自立と社会参加を推進する すべての子どもや若者が自立した個人として社会性を育み、心身ともに健やかに成長できる環境を整備し、仮につまづいたとしても何度でもやり直しができる社会づくりを推進します。 また、若者に多様な機会を提供し、多様な視点やスキルを身につけ、広い視野での挑戦や成長を促進する取り組みを進めます。地域社会への積極的な参加を支援し、より豊かなキャリアの構築をサポートします。 4.困難を抱える子ども・若者・家庭を支える地域の取り組みを推進する さまざまな困難を抱える子ども・若者やその家族が安心して生活していけるよう支援を行います。子ども・若者の成長には個人差があるため、一人ひとりの成長に配慮し、より良く生きることができるように、その歩みを支えます。また、子ども・若者が困難な状況に陥ることを未然に防ぐための取り組みを推進します。 生まれ育った環境や親の経済状況により、子ども・若者の将来が閉ざされることがないよう、家庭、地域、行政が協力して必要な環境整備に取り組みます。経済面や不登校、ひきこもりなどの社会的自立に困難を抱える青少年およびその家庭への支援体制を構築し、時には時間をかけてゆっくり回復できる支援を提供することで、学校や社会への復帰などの再スタートをサポートします。 さらに、子育て家庭への支援や相談を行うとともに、ボランティアの育成や子育て支援団体(NPO等)との連携を通じて、地域ぐるみで子育て力の向上を推進します。 また、親の孤立化を防ぐため、地域全体で見守る子育て支援や助け合い活動を支援し、児童相談所および子ども家庭支援センターの機能を最大限に発揮して、児童虐待防止の基盤を強固にします。 5.子ども・若者が居心地よく過ごすために充実した環境を整備する 社会的背景や地域の実情を踏まえ、子ども・若者が居心地よく過ごせるために、子ども・子育て環境のさらなる充実を図るとともに、子ども・若者の成長を地域・家庭など社会全体で支えるための環境を整備します。 品川区には、コミュニティ意識がしっかり根付いている地域や、子ども・若者育成支援に積極的に関わる団体が多く存在するため、これらの担い手が活発に活動できるよう支援します。また、多世代交流を促進することで、子どもたちがさまざまな世代とふれあう機会を創出します。地域全体で子どもや子育てを見守り、支えることで、子どもたちは地域とのつながりを深め、成長できるように取り組みます。子ども・若者の育成支援にあたっては、社会のあらゆる分野で構成員がそれぞれの役割を果たし、相互に協力することで、分野ごとの縦割りを避けたネットワークの強化を図ります。 また、地域や関係機関との連携を深め、地域における安全対策の推進や子育て交流の機会の創出に取り組むことで、子ども・若者、保護者を地域社会全体で見守り支えるまちづくりを推進します。