今期の福祉計画における主要テーマと今後の取組み(案) 1.安心して暮らせる地域生活の支援 【基礎調査結果、団体ヒアリング等から抜粋】◆:集計結果 ○:意見・要望 〜相談支援〜 ◆「重要だと思う施策」として、在宅で生活している人の58%が「気軽に相談ができること」をあげている。 ○自宅近くで気軽に相談できる場所があると助かる。 ○幅広い悩み相談を気軽に受けてくれる窓口があると良い。 ○分かりやすく情報を提供してほしい。手軽に情報を入手できるとよい。 〜介助・支援ができなくなった場合〜 ◆介助者が介助・支援できなくなった場合には、23.8%の人が「どうしたら良いかわからない」と回答している。 ◆主な介助者の年齢が65歳以上という人は、身体障害者では50.4%、知的障害者では41.6%、精神障害者では40.1%いる。 ○8050問題で収入減や介護に対する不安を抱えている。 ○親亡き後に残された子の生活などが心配である。 ○ヘルパー支援があっても、親が大部分を担っている。親の体調が悪くなったときは大変不安である。 ○生きている間に子どもの行き場を定めて安心したい。 ○常時介助が必要な障害者のグループホームや、親亡き後に地域で安心して暮らせる施設を設けてほしい。 〜医療的ケア・重症心身障害〜 ○医療的ケアに対応できる通所先やショートステイが利用できる環境を作ってほしい。 ○重症心身障害児者に対するサービスの充実が必要である。 〜人材の確保と育成〜 ◆医療的ケアの必要な利用者を受け入れるために必要なことを尋ねたところ72.5%の事業所が「スタッフの医療的ケアに関する知識・技術の習得」をあげている。 ◆重症心身障害児(者)の利用者を受け入れるために必要なことを尋ねたところ68.1%の事業所が「スタッフの重症心身障害児(者)に関する知識・技術の習得」をあげている。 ◆不足している職員について、「中堅的な役割を担う職員(同業種での経験年数がおおむね5年〜10年程度)」と回答した事業所が66.7%と最も多い。 ○移動支援はヘルパーが足りていないため、利用したくても難しい状況が続いている。ヘルパー養成にもっと力を入れてほしい。 〜災害対策〜 ◆災害対策で困ることは、知的障害、障害児では「一人では避難できない」、身体障害者、精神障害者、難病患者では「薬や医療的ケアが確保できるか不安」が最も多い。  <現状と課題>  (1)地域生活支援拠点等の整備に関すること ・地域拠点相談支援センター(旗の台障害児者相談支援センター、東品川障害者相談支援センター、南品川障害児者相談支援センター)を軸とした地域生活支援拠点を整備した。 ・区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」を令和元年10月に開設した。また、民間の障害福祉サービス事業所等が複数新設された。しかしながら、グループホーム、医療的ケアが必要な方や重症心身障害の方を対象とする障害福祉サービス等は不足している。 ※地域生活支援拠点等とは、障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えた、居住支援のための機能をもつ場所や体制のことです。居住支援のための主な機能は、相談、緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりの5つを柱としています。 (2)相談支援等に関すること ・地域の身近なところで相談しやすい体制を整備するため、民間の計画相談支援事業所を誘致し、整備促進を図ったが、引き続き、相談支援の充実が求められる。 ・在宅生活をしている障害者の主な介助者は、介助・支援ができなくなった場合の対応に不安を抱えており、親亡き後を見据えた支援が求められる。 ・どこで誰と生活するかについて選択の機会が確保されること、成年後見制度の利用促進など、権利擁護の取組みが求められる。 ・災害時における障害者の避難支援が求められる。 (3)人材の確保と育成に関すること ・移動支援等のヘルパーが不足しており、引き続き、ヘルパー養成が求められる。 ・強度行動障害、医療的ケア、重症心身障害、高次脳機能障害等、支援者には障害特性に応じた専門的な知識・技術が求められる。 ・福祉事業所において、特に不足している職員層は、中堅的な役割を担う職員(経験年数5〜10年)で、人材定着のための取組みが求められる。 <取組みの方向性> (1)地域生活支援拠点等の整備に関すること ・障害者等の高齢化・重度化や「親亡き後」を見据え、課題に応じてどのような機能をどの程度備えるべきかについて、障害福祉サービスや相談支援等のニーズ、既存サービスの整備状況等、地域の実情に応じて、地域生活支援拠点として在るべき姿を検討し、必要な機能の充実を図る。 ・医療的ケアや重症心身障害等への対応、グループホーム等の障害福祉サービス事業所の整備促進を図る。 (2)相談支援等に関すること ・基幹相談支援センター、地域拠点相談支援センター、計画相談支援事業所等重層的な仕組みを活かし、総合的な相談支援体制、専門的な指導・助言及び人材育成等各種機能の更なる強化・充実に向けた検討を行とともに、相談支援の充実を図る。 ・保健・医療等との連携による障害者の地域における支援体制の充実を図る。 ・障害者等の意思決定の支援に配慮し、生活の場の選択の機会の確保、成年後見制度の利用促進や虐待防止など権利擁護の取組みの充実を図る。 ・災害時における障害者の避難支援に向けて、検討・実施する。 (3)人材の確保と育成に関すること ・研修の充実、専門的人材の育成・定着に向けた取組みを実施する。 ・養成研修等の実施により、人材の確保を図る。 2.包括的な障害児支援の充実 【基礎調査結果、団体ヒアリング等から抜粋】◆:集計結果 ○:意見・要望 〜相談支援〜 ◆「重要だと思う施策」として、18歳未満の児童と保護者の69.6%が「気軽に相談ができること」をあげている。 ◆サービス利用に関して困ることとして、58.6%の人が「サービスに関する情報が少ない」と回答している。 ○発達支援や進学、就労などどこに相談すればよいか分からない。 ○児童に対する相談支援の充実をお願いしたい。 ○自分で事業所などを探すことが負担となっている。 ○自分の子どもに何のサービスが必要か分からない。 〜療育支援〜 ◆サービス利用に関して困っていることとして、25.4%の人が「利用したいサービスが利用できない」と回答している。その他として、「サービスを提供してもらえる事業所や相談先が少ない、空きがない」という意見が複数あった。 ◆重要だと思う施策について、87%の人が「子どもの成長を支える療育や、家族を支えるサービスがあること」と回答している。 ○療育等の支援を充実してほしい。 <現状と課題> ・障害児計画相談支援事業所の整備促進を図っているが、発達障害等の早期発見・早期支援が重要であるため、更なる相談支援の充実が求められる。 ・児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所数は年々増加しているが、利用ニーズに対して、事業所数が不足している。 ・医療的ケア児に対応した事業所が開設されたが、引き続き、医療的ケア児及びその保護者のためのサービスの充実が求められる。 ・障害児の地域社会への参加や包容(インクルージョン)の推進が求められる。 ・障害児のライフステージに沿って、保健、医療、障害福祉、保育、教育、就労支援等の関係機関が連携を図り、切れ目の無い一貫した支援を提供する体制の構築を図ることが求められる。 <取組みの方向性> ・早期発見・早期支援につながるよう障害児の相談支援体制の充実を図る。 ・児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所等において、質を担保しつつ、引き続き事業所の増設することで、療育サービスの充実を図る。 ・医療的ケア児への包括的な支援体制構築に向け、検討・推進する。 ・地域社会への参加や包容(インクルージョン)を推進する。 ・保健、医療、障害福祉、保育、教育、就労支援等の関係機関が連携を図り、切れ目の無い一貫した支援を提供する体制構築に向け、検討・推進する。 3.社会参加の促進 【基礎調査結果、団体ヒアリング等から抜粋】◆:集計結果 ○:意見・要望 ◆現在、働いていない人の今後の就労意向を尋ねたところ、23.6%の人が「正職員として働きたい」「パート・アルバイトなどで働きたい」「自宅で働きたい」と回答した。「福祉的就労をしたい」と合わせると28.2%の人に就労意向がある。 ○就労のための情報がもっとあればいいと思う。 ○障害にあった働き口がもっと増えてほしい。 ○作業所は同じような仕事ばかりで、多様な仕事をさせてもらえる作業所が少ない。決められた仕事に合わない人は利用できない。 ○それぞれの障害特性に合わせた幅広い就労支援を期待する。 ◆平日の日中の居場所として、63%の人が「自宅」と回答している。外出に関して困っていることで、19.8%の人が「外出するのに支援が必要である。」と回答している。 <現状と課題> ・就労支援や就労定着支援事業所が複数開設され一般就労への移行が進んでいるが、現在働いていない障害者で、就労を希望する方は多く、更なる充実が求められる。 ・障害特性に合った多様な仕事が求められている。 ・外出のための支援の充実が求められている。 ・障害児者総合支援施設に地域活動支援センターや多目的室を設置し、障害者の活動できる場が増えた。施設の機能を活かし、地域交流、創造や発表等の多様な活動に参加できる機会の充実が求められる。 <取組みの方向性> ・一般就労を希望する障害者の一般就労への移行と定着の支援を図る。 ・障害特性に配慮した就労の場を拡充するため、企業等の障害者理解の促進を図る。 ・社会参加支援のため、同行援護や移動支援等の更なる従事者の養成を図る。 ・障害者が創造・発表等の多様な活動に参加する機会を確保し、障害者の個性や能力の発揮及び社会参加の促進を図る。 4.地域共生社会の実現に向けた取組みの推進 【基礎調査結果、団体ヒアリング等から抜粋】◆:集計結果 ○:意見・要望 ◆「障害者差別や偏見、誤解や理解不足を感じるか」に対し、在宅生活をしている人の33.1%、18未満の児童と保護者の52.5%の人が「常に感じる」または「ときどき感じる」と回答している。(平成25年度調査では、在宅生活をしている人50.3%、18歳未満の児童と保護者75.9%)。 ○障害がある人とない人が触れ合う機会があると、障害者理解がすすむと思う。 ◆施設に入所している人の「日常生活の楽しみ方」について、54.8%の人が施設の行事・イベントと回答している。施設への要望では38.1%の人が「外出をふやしてほしい」と回答している。 <現状と課題> ・障害者差別解消法の周知と障害者理解を促進しており、障害者差別を感じる人は平成25年度に実施した調査時よりも改善しているものの、在宅生活をしている人の3人に1人、18歳未満の児童と保護者では2人に1人が差別を感じており、引き続き普及啓発が求められる。 ・地域交流の機会について確保・充実していくことが求められる。 <取組みの方向性> ・障害および障害者理解の啓発等、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するための取組みを推進する。 ・障害者支援施設等では、引き続き、地域における交流機会の確保など、地域に開かれたものとするとともに、地域生活への移行のための支援を継続して取り組む。