<表紙> 参考資料  品川区新庁舎整備 基本構想・基本計画策定委員会 令和4年1月31日 整備方針の検討(環境) 補足資料 <1ページ> 1 基本方針の確認(基本構想の確認) 1-1 基本構想における「環境」の方向性 図-1 令和2年度 庁舎機能検討委員会のまとめ 表-1 基本構想における環境機能の整備方針 大項目名 小項目 実施内容 備考(変更理由など) (環境)環境にやさしい脱炭素型の庁舎 国は、2050年に脱炭素宣言 建築物の環境性能 環境性能の確保 CASBEE(キャスビー:建築環境総合性能評価システム)における、高い環境性能ランクを目指します。 「環境性能」という言葉が包含する範囲が広く、共通のイメージがつきにくいため、その範囲、対象を明確化させるため文言の修正を行った。 カーボンニュートラル(脱炭素化) 省エネルギーの推進 パッシブ技術(日射遮蔽、通風など)やアクティブ技術(LED照明や空調機器などの高効率化)を併用して省エネを推進します。 脱炭素型庁舎を目指すことから、ZEB化(省エネ・再エネ)の検討に加えエネルギーの調達などについても言及するため文言の修正を行った。 再生可能エネルギーの導入 再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)を最大限活用することにより脱炭素化、ZEB化(ゼブ:ゼロエネルギービル)を推進します。 脱炭素型エネルギーの調達 脱炭素型エネルギーへの切り替えを検討します。国による「2050年の脱炭素化達成の宣言」や東京都の「ゼロエミッション東京戦略」に沿ったゼロエミッションビル(廃棄物ゼロ)への対応をします。 周辺環境への配慮 グリーンインフラの推進 ヒートアイランド現象や景観などに配慮し、敷地や建物の緑化を進めます。 内装材や家具などに、木材を積極的に活用します。 周辺住民・利用者への配慮項目について、区内みどり量などの実態を踏まえて文言の修正を行った。 <2ページ> 1-2 環境に関する確認について 1-2 環境に関する確認について  これからの建築物に求められる環境面での要求は主に2つのポイントがある。 ◇環境性能 ◇カーボンニュートラル(CN)への対応 (1)テーマ:【建築物の環境性能の整備方針】 〇環境性能の確保 ・認知された評価指標であるCASBEE(キャスビー:建築環境総合性能評価システム)をもとに、高い環境性能の確保を目指す。⇒基本構想に準拠する (2)テーマ:【カーボンニュートラルに関する整備方針】 カーボンニュートラルへ対応するためには、図-2に示すように建築物における①最大限の省エネを図りつつ②再生可能エネルギーの導入を進めることが必要となる。ただし、これだけでは達成させることは困難であることから③オフセット対策などが求められることになる。 図-2 カーボンニュートラルに関する整備方針 ①省エネルギーの最大化(推進) ・パッシブ手法(日射遮蔽、通風など)による建築的取り組み、アクティブ手法(太陽光発電、蓄熱など)による先端技術を活用した省エネを積極推進する。⇒基本構想より <3ページ> ②再生可能エネルギーの活用 a再生可能エネルギー発電設備の自家導入 ・再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)の最大限活用により脱炭素化、ZEB(ゼブ:ゼロエネルギービル)への取り組みを進める。⇒基本構想より b外部の再生可能エネルギー電源を調達 ・調達するエネルギーの脱炭素型への切り替えを検討する。⇒基本構想より ・国による2050年の脱炭素化達成の宣言や東京都の「ゼロエミッション東京戦略」に沿ったゼロエミッションビル(廃棄物ゼロ)への対応をする。⇒基本構想より ③吸収源・オフセット対策 ・残余分については、温室効果ガスの削減取組による、温室効果ガスの排出量削減や吸収量であるクレジットを購入し相殺する。 <4ページ> (3)テーマ:【温室効果ガス排出量削減目標(カーボンニュートラルを目指して)】 ・国の削減目標 ◇温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で46%削減を目標としている。 出典)2021年4月22日気候サミットでの表明 ・東京都の削減目標  温室効果ガス排出量を2030年までに2000年比で、 ◇温室効果ガス排出量50%削減 ◇エネルギー消費量50%削減 ◇再生可能エネルギー比率50%程度 とすることを目標として掲げている。 出典)ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Report <5ページ> 品川区の削減目標 ◇温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で40%削減を目標としている。 出典)品川区環境基本計画 <6ページ> 2 環境性能の目標ランク 2-1 CASBEE-建築(新築)について  建築物の環境性能指標の一つである、CASBEE-建築(新築)の概要について確認する。 概要 正式名称:Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(CASBEE) 建築環境総合性能評価システム 管理団体:一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 位置付け:2001年に国土交通省主導のもと開発された、建築物の環境性能を評価するシステムを指し、第三者機関が評価内容を審査し的確であることを認証する制度 評価・認証対象国:日本 特徴 建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価するという目的から、下記の3つの理念に基づき開発されている 1.建築物のライフサイクルを通じた評価ができること 2.仮想閉空間領域の考え方に基づく、「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること 3.「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)」で評価すること 評価範囲・項目  「エネルギー消費」「資源循環」「地域環境」「室内環境」の4つの評価対象を整理し、CASBEEの仮想閉空間領域の概念に基づき、建築物の環境品質(Q)及び建築物の環境負荷(L)に再構成したQ1~Q3、L1~L3の計6項目によって評価が行われる。 Quality(Q)建築物の環境品質:「仮想閉空間内における建物の環境品質・性能」 Q1:室内環境 …居住者の健康、快適性、知的生産性に大きな影響を与える室内環境について評価される。 Q2:サービス性能 …建築物の使用者に対して、建物内の利用者の活動や知的生産性に影響する機能的側面、建物自体がより永く良い状態で使い続けられるために必要な機能的側面について評価される。 <7ページ>  Q3:室外環境(敷地内) …敷地内の野外環境及び周辺環境に関する環境品質の向上に寄与する、建築物及び敷地内における取り組みが評価される。  Load(L)建築物の環境負荷:「仮想閉空間外(公的環境)に達する環境負荷」  L1:エネルギー …建築物を運用する際に発生するエネルギー消費を低減させる取り組みとして、建物外皮の熱負荷抑制、自然エネルギー利用などについて評価される。  L2:資源・マテリアル …建築物のライフサイクルにおける資源・マテリアル消費の低減、及び環境負荷削減へ向けた取り組みとして、水資源保護、非再生性資源の使用量削減などについて評価される。  L3:敷地外環境 …建築物及び敷地内から発生する環境負荷が、敷地境界線を超えて地球環境、地域環境、周辺環境に及ぼす影響を低減するための取り組みについて評価される。 図-5 CASBEE-建築(新築)の評価項目一覧 (左:建築物の環境品質、右:建築物の環境負荷) 出典)編集:一般社団法人日本サステナブル建築協会 「CASBEE-建築(新築)評価マニュアル(2016年版)」 企画・発行:一般社団法人建築環境・省エネルギー機構 pp.11,14より引用 <8ページ> 評価結果シート例 【表示内容】 1.建築物概要 2.CASBEE評価結果 2-1.BEEの評価結果 2-2.ライフサイクルCO2の評価結果 2-3.レーダーチャート   ・Qの3項目評価結果   ・Lの3項目評価結果 2-4.バーチャート   ・Qの3項目評価結果   ・Lの3項目評価結果 3.設計上の配慮事項(その他) 出典)https://www.ibec.or.jp/CASBEE/method2.htm  建築環境・省エネルギー機構 (IBEC) より引用 <9ページ> 他庁舎におけるCASBEE-建築(新築)Sランク取得事例  高知市新庁舎 CASBEE Sランク BEE 非公開 環境品質Q 非公開 環境負荷L 非公開  宇部市新庁舎 CASBEE Sランク BEE 4.5 環境品質Q 74.2 環境負荷L 16.4  岐阜県庁舎 CASBEE Sランク BEE 3.0 環境品質Q 81.0 環境負荷L 26.0  渋谷区新庁舎棟(公会堂) CASBEE Sランク BEE 3.5 環境品質Q 79.0 環境負荷L 22.2  岐阜市新市庁舎 CASBEE Sランク BEE 3.0 環境品質Q 77.0 環境負荷L 25.0 <10ページ> 出典  環境省 ZEB PORTAL 評価・認証・表示制度 URL:http://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/09.html  一般財団法人建築環境・省エネルギー機構HP URL:https://www.ibec.or.jp/CASBEE/  一般財団法人建築環境・省エネルギー機構HP CASBEE建築評価認証 申請要領URL:https://www.ibec.or.jp/CASBEE/certification/documents/CASBEE_BD_application_guide_150722.pdf  編集:一般社団法人日本サステナブル建築協会 「CASBEE-建築(新築)評価マニュアル(2016年版)」 企画・発行:一般社団法人建築環境・省エネルギー機構  「建築環境総合性能評価システム CASBEE-建築(新築)評価マニュアル(2021年SDGs版)」 発行:一般社団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)  著者:田中俊六、宇田川光弘、斎藤忠義、大塚雅之、秋元孝之、田尻陸夫 「最新 建築設備工学<改訂版>」 出版社:株式会社井上書院 <11ページ> 2-2 事務局案 エコルとごし(品川区立環境学習交流施設)で取得した、「Nearly ZEB」といった「ZEB」シリーズは、エネルギー性能についてのみ評価される。対して、CASBEE-建築(新築)ではZEBで評価対象とされるエネルギー性能を含め、建築物の総合的な環境性能を評価する。新庁舎では、エコルとごしで取得した、「Nearly ZEB」の取得を目指す。 国土交通省の「官庁施設の環境保全性基準」では、庁舎を新築する場合にはCASBEEによる建築物の環境効率(BEE値)が1.5以上、即ちCASBEE Aランク以上の取得を基準としている。よって、新庁舎で環境性能をPRするためには、CASBEE Sランクの取得を目指す必要があると考えられる。 2-1項で示したように、他自治体の新庁舎においてもCASBEE Sランクを取得している事例があることから、Sランクの取得は妥当である。 品川区新庁舎は環境面において先進的な建築物を目指し、 ZEB取得目標      :「Nearly ZEB」 CASBEE-建築(新築)取得目標:「Sランク」 出典  国土交通省HP 官庁営繕関係統一基準 官庁施設の環境保全性基準URL:https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk2_000018.html  一般財団法人建築環境・省エネルギー機構HP CASBEE建築評価認証物件一覧URL:https://www.ibec.or.jp/CASBEE/certified_buld/CASBEE_certified_buld_list.htm <12ページ> 3 カーボンニュートラル(脱炭素化)の目標設定 カーボンニュートラル(脱炭素化)について カーボンニュートラル(脱炭素化)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を、根本的な排出量の削減や森林などによる吸収により、実質的な温室効果ガスの排出量をゼロにすることを指す。 カーボンニュートラル(脱炭素化)に関する潮流  2020年10月に行われた菅首相所信表明演説において、グリーン社会の実現に最大限注力し、「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」を目指すことが宣言された。これに伴い、温室効果ガスの2030年における削減目標についても、2013年度比で46%削減を目指すものになった。  最近では、「ゼロカーボンシティ」と呼ばれる、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロに取り組むことを地方公共団体が表明する取り組みが増えつつある(2021年7月30日時点で432自治体)。しかし、表明後の取り組みが課題となっている。  また、脱炭素経営の推進を行う企業が増えており、如何にしてサプライチェーンを含む企業活動の脱炭素化に取り組み、達成するかに注目が集まっている。 当面(2030年までを想定した竣工時) →Nearly ZEBにより75%以上の削減 将来(2050年におけるカーボンゼロ) →調達・クレジットなどを活用し100%削減を達成 出典  環境省HP 脱炭素ポータル カーボンニュートラルとは URL:https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/