第2回品川区障害福祉計画等策定委員会 議事録要旨 日時:令和5年8月31日(木)午後1時30分~3時30分 場所:品川介護福祉専門学校 5階 特別講義室 ○出席者数:25人(内オンライン参加2名)、欠席者数:1人 1.開  会 (1)挨拶 ・福祉部長挨拶 福祉部長 本日は第2回の障害福祉計画等策定委員会となります。第1回では、計画の概要や、施策体系、骨子案と言った大きな枠組みをご検討いただきました。 本日は、はじめに前回の委員会での委員の皆様の意見をもとに、委員長と副委員長にご検討いただき修正した施策体系や、骨子案を改めて委員の皆様に再確認していただきたいと思います。その後、本計画第1部の計画策定について、計画の総論にあたる部分、第2部の障害者施策の方向性、いわゆる品川区の障害者計画にあたる部分の内容についてご検討いただく予定です。 前回の委員会に引き続き、委員長をはじめ皆様の専門的な知見を十分に活かしていただき、活発な議論をお願いいたします。 事務局 議題に入る前に、事務局から配付資料の確認や、新委員のご紹介、連絡事項をお伝えさせていただきます。 事務局より配付資料の確認 次第 資料1-1 品川区障害者計画及び第7期品川区障害福祉計画・第3期品川区障害児福祉計画における施策体系(案)<変更後> 資料1-2 品川区障害者計画及び第7期品川区障害福祉計画・第3期品川区障害児福祉計画における施策体系(案)<変更前> 資料2 品川区障害者計画及び第7期品川区障害福祉計画・第3期品川区障害児福祉計画の骨子案について 資料3-1 第1部 計画策定について〈総論〉 資料3-2 第2部 障害者施策の方向性について〈品川区障害者計画〉 資料4 策定委員会委員一覧 《参考資料1》品川区障害者計画策定のための基礎調査報告書 《参考資料2》第6期品川区障害福祉計画・第2期障害児福祉計画 また、本日追加資料として、第1回品川区障害福祉計画等策定委員会議事録、ご意見・ご質問の用紙、差し替え資料として、資料2骨子案、資料3-2第2部障害者施策の方向性について〈品川区障害者計画〉7ページ及び、16~17ページを机上配布させていただいております。 以上が本日の委員会で使用する資料となります。 2.議  事 (1)新委員および前回欠席の委員の紹介 事務局より前回欠席の委員及び新委員の紹介。 (各々 自己紹介) 事務局 ありがとうございます。最後に事務局から議事を円滑に進めるにあたり、委員の皆様や傍聴される方にお願いがございます。議事を円滑に進めるため、ご発言の際は挙手をいただき、委員長からの指名を受けてから所属と名前を名乗ってご発言ください。また傍聴人の方は、本委員会の進行の妨げにならないよう、傍聴券の裏面に記載されている傍聴規定を遵守するようお願いいたします。 委員長 議事に入る前に、傍聴人の方から録音の申し出がありましたが、委員の了承を得られたため、傍聴人の録音を認めます。 それでは次第に沿って議事を進めて参ります。本日ははじめに前回の委員会で検討を進めた施策体系の骨子案について、委員の皆様からの意見を踏まえて修正した内容の検討をさせていただきます。 (2)施策体系・骨子案の修正について ○施策体系について 委員長 前回の策定委員会で示した施策体系からの変更について(資料1-1、資料1-2) まず、両計画の違いについて確認したいと思います。障害者基本法第11条に基づく障害者計画、障害者総合支援法88条および、児童福祉法33条に基づく障害福祉計画は役割が違います。前回の計画策定時には、障害者計画を定める必要がなかったが、今回は両計画 同時に策定する必要があります。障害者計画は、差別解消や共生社会を作ること等大きな理念を含めて提示される大事なものであり、障害福祉計画や児童福祉計画は、サービスの見込み量を立て、個別の実施計画を中心に策定されるので、大きな役割の違いがあります。 国の策定指針の中で両計画を一体的に策定して良いという通知は出ているが、策定期間が違う両者をどのように一体的に策定するのか再度考え、役割の違う両者を明確に分けて、施策や取り組みが一体どちらの計画を反映しているのかを明示する必要があるのではと合いました。 品川区の今後のより良い両計画のために、国の第5次障害者基本計画の内容は網羅されるべきだと考えています。 国際的な動向を踏まえて品川区としてどのように計画を策定するのかが変更の背景にあります。障害者計画、障害福祉計画、障害児福祉計画を分けた施策体系に修正し、障害者計画が網羅され可視化されるようになりました。体系の修正に伴い、骨子案も一部修正しています。ここまでが変更の経緯です。 ・変更点の全体像については、一番大きな変更点は、資料1-2を施策体系図上明確に分けている点です。施策or取り組みを色分けすることにより、何を意味して何を反映しているのかが 明確化できました。 ・まず、障害者計画についてですが、障害者計画を分けた意図として、国の基本計画の中にある項目をしっかり網羅すべきだと考え、施策の方向性を赤字にして10個並べています。基本理念と基本方針だけでは、品川区は障害者計画で一体何を追求するのか明確ではなくなるため、赤字の施策の方向性を加えることで、障害者計画の6年間で何を取り組むのか大きな方向性を示しています。 これによって品川区の責任も明確になるのではないかと認識しています。 施策の方向性の赤字は、前回の資料2「第5次障害者基本計画概要」を基本としていますが、「11.国際社会での協力・連携の推進」については、国と自治体の役割の違いから除外させていただきました。 残り1~10に関しては、3つの基本方針と関連性が高いものと結びつけて、1つの施策体系として再構成しています。 ・次に、障害福祉計画・障害児福祉計画の修正点についてですが、新たに加えた部分と修正点を赤字で記載しています。 まず、「施策の柱or取組の方向性」に、新たに「地域生活の支援の充実」を加えました。項目を 設けた理由として、施策の方向性の中に、地域生活の支援の充実・意思決定支援の推進という項目を加え、そこに対応するためにこの項目を加えました。よって、施策or取組には「意思決定支援の促進」を加えて、「地域生活への移行・継続の支援」「保健・医療・福祉等の連携強化」の3つを紐付けて、新たな施策体系として再編成しています。 そして、「施策の柱or取組の方向性」の「障害理解と権利擁護の促進」に、「行政における合理的配慮の提供の充実」を加えています。 さらに、インクルージョンの推進を、「教育のインクルージョンの推進」と「地域におけるインクルージョンの充実」に分けています。以上が施策体系の経過と修正の具体的な内容及び考え方に関する説明です。 副委員長から補足説明はありますか。 副委員長 特にありません。  ○骨子案について 事務局 骨子案の変更点については、資料2に赤字で加筆修正をしています。 ・第1部第2章「4.障害児者をとりまく課題」を削除しました。削除した課題についは第2部の第4章の中で主な内容を言及しています。 ・第2部に「第3章施策の方向性」「第4章重点的に取組むべき施策」を追加しています。 ・次回3回目の策定委員会で議題になるのが第3部ですが、第3部は、障害者のサービス基盤等に係る成果目標の設定や、サービス見込量等を定めていきます。 委員長 前回の委員会で皆様から非常に真摯なご意見を頂戴したことにより、かなり大きな修正となっています。 【質疑応答】 委員 前回のもやもやがすっきりして分かりやすくなったと思います。 委員 すっきり分かりやすくなりました。資料1-1について、障害者計画と個別計画(障害(児)福祉計画)を分けるという考えですが、施策の方向性の「防災・防犯等の推進」について、施策or取組の「災害対応等の推進」に防犯の内容も入っているということでよろしいですか。 事務局 災害対等等の推進の中に、コロナや防犯等の取組も含めて実施計画(障害(児)福祉計画)に盛り込まれます。 (3)第1部「計画策定について〈総論〉」の検討 事務局 第1部「計画策定について〈総論〉」の検討について説明(資料3-1) ・骨子案のとおり、本計画は3部構成となっています。資料3-1は障害者計画、障害(児)福祉計画の総論にあたるものであり、第1章では計画の概要、第2章は障害児者の現状を取り上げています。 ・2ページの「1 計画策定の背景・趣旨」では、障害者権利条約と、国の障害者の権利および基本的自由の享有に向けた取組や、SDGsの目標である持続可能で多様性と包摂性のある 社会の実現に向けた取組を推進する必要があることに言及し、すべての人が分け隔てなく、地域で共に暮らす地域共生社会の実現を目指して、今後の障害者施策に取組むことを記載しています。 ・5~6ページの「2 計画の性格と位置づけ」では、区の上位計画である、品川区基本構想および品川区長期基本計画のもとに障害者施策に関する個別計画として、障害者計画および障害(児)福祉計画が位置付けられており、また品川区地域福祉計画など関連計画との整合と調和を保たれたものとする旨を示しています。  6ページの計画の期間では、それぞれの計画の期間を示しています。6ページの「3 計画の期間」では、障害者計画については6年間、障害福祉計画・障害児福祉計画は3年間と計画期間を示しています。 ・7ページの「4 計画策定の体制」では、計画策定委員会や庁内連絡会、障害者団体へのヒアリングやパブリックコメントについて記載しています。 ・8ページの「5 計画の推進体制」では、PDCAサイクルによる計画の進捗状況の検証および分析や評価を行い、必要に応じて計画の改善や見直しすることについて記載をしています。 ・9~23ページの「第2章 障害児者の現状」では、障害児者の現状として、人口の推移、手帳所持者数の推移、サービスの利用状況等を表しています。 ・9~11ページ①では、区の人口推移や、障害者手帳交付者数等の推移、受給者証発行者数の推移を示しています。 ・12~13ページ②では、身体障害者の状況について記載しています。 ・14ページ③では、知的障害者の状況を記載しています。手帳所持者数の推移や、等級別割合の推移等について示しています。 ・15~16ページ④では、精神障害者の状況について、自立支援医療申請件数及び、手帳所持者数の推移や等級別割合等を示しています。 ・17ページ⑤では、難病患者の状況では、特殊疾病医療費公費負担申請状況を示しています。 ・18~20ページ⑥では、障害児の状況として、手帳所持者数、受給者証発行者数の推移、医療的ケアの状況について示しています。 ・21~23ページ⑦主なサービスの利用状況では、障害者・障害児それぞれの主なサービス利用状況の推移について示しています。 ・サービス利用状況のグラフの見方について、図2-17生活介護は、今期の第6期品川区障害福祉計画における令和5年度末のサービス見込量が517人であるのに対し、令和4年度 実績が502人と、ほぼ計画通りに推移していることがわかります。 ・図2-18就労移行支援は、第6期品川区障害福祉計画における、令和5年度末のサービス見込量が191人であるのに対し、令和4年度実績は128人と計画は下回っています。 ・図2-20共同生活援助は障害者グループホームのことになりますが、第6期品川区障害福祉計画における令和5年度末のサービス見込量が228人であるのに対し、令和4年度末の実績は258人と計画を上回っています。 ・23ページでは、障害児通所支援サービス利用状況が記載されています。児童発達支援、放課後等デイサービスは令和4年度の実績で、令和5年度のサービス見込量をすでに上回っています。 ・24ページからの「2 前障害者計画の振り返り」について、平成27年度から令和5年度までの前障害者計画で立てた9つの施策の柱について、3年間を区切りとして前期・中期・後期と3期に分けてその期ごとの取組状況を記載しています。  後期については、記載の通り令和3年~5年度末までのため、まだ令和5年度の実施分については年度途中のため未実施や未記載の事業があることを申し添えておきます。 ・33ページ~51ページが「3 アンケート調査結果」となっています。本計画策定の基礎資料とさせていただくため、令和4年9月~11月まで実施したアンケート調査の結果から、アンケート調査内容と主なアンケート項目として14項目を抜粋して記載しています。  なおアンケート調査の概要として、今回のアンケートは、在宅障害者、施設入所者、障害児、事業者、それぞれに異なる4つの調査票を作成し、個人6,001人に配布し、有効回収率2,463人、回収率は41%です。事業者は139事業所に配布し、有効回収率は48事業所、回収率は34.5%となりました。 ・アンケート調査の内容の説明は割愛させていただきます。以上となります。 【質疑応答】 委員 事業所のアンケート回収率34.5%と低いですが、個別でも構わないのですが、回答していない事業所を教えていただくことはできますか。 事務局 どこが回答していないかは、個別にお答えすることはできません。事業所調査については特に、事務局としても周知の部分も含めて今後検討していきたい課題だと考えています。 委員長 より高い回収率、回答率を目指す工夫は一般論として必要だと思います。 委員 22~23ページの共同生活援助と児童通所支援については、すでに今年度の見込量は上回っているという説明でしたが、ここについてはニーズが高いと考えられるので、その対応はどのように考えているのでしょうか。 事務局 令和5年度の見込量の出し方について、最初に過去のサービス利用実績をもとに推測値を出しています。それに加えて、令和元年度のアンケート調査の結果を加味して修正を加えています。全ての見込量が上方修正されていますが、実際問題としてその見込みを上回って事業所の参入があったということです。元々利用希望の方がいらっしゃいましたので、利用できるサービスが多くなるに従ってサービスの利用実績が伸びたということです。今回の事業所調査でも、共同生活援助や児童発達支援、放課後デイサービスは、各事業所の強い参入意識が伺えました。今後も参入は増えていくと思いますので、様々な相談を受けていますが、個別にフォローをしていきたいと思っています。 委員長 数だけ見ればサービスを使える状況にあるので、あとはどれだけ質の高い事業所を整えていくかが課題となります。 委員 22ページの共同生活援助のグラフについて、平成30年度から令和2年度まではブルーの部分のみになっているが、令和3年から精神障害が別の色になっており、精神障害の部分を除くと、ブルーの色は減っているように見えるが、令和2年度までは精神障害も含めて200だったのが、令和3年度から精神障害を別に考えているのはどうしてでしょうか。 事務局 令和3年度開始の現行計画から、国からサービス見込量を出す時に精神障害者の内訳を出すよう方針が出ていたのでそれに従っています。それ以前は内訳を出す必要がないという国の指針がありました。 委員 この表からは読めませんが、グループホームについては、比較的精神の方のグループホームが新たにできている傾向にあると思います。反対に重度障害者の方が入居できるグループホームが不足していると思います。精神障害者は、一般的には歩ける、移動ができる方なので、住居で困っている人のグループホーム整備を優先的に進めることが大事だと思います。 委員長 地域移行との関係も含めて非常に重要なテーマだと思います。 事務局 重度障害者の方のグループホームは区としても認識をしております。令和6年4月から「出石つばさの家」を開設予定で、中・重度の方を対象としてグループホームとなっています。高齢化、親亡き後も含めて、今後も障害者の方の居住支援を進めていきたいと考えております。 副委員長 2ページの計画策定の背景・趣旨について、下の方に障害者権利条約対日審査の総括所見について記載がありますが、ここは非常に重要なポインなので、3ページの図1-1の中にも、2022年度の9月の出来事として記載したらどうですか。49~50ページのアンケートについて、施設入所をされている方の生活の希望が、施設入所者本人と本人以外で分けてグラフ化していますが、本人の希望と本人以外の人が考えることが違うということを、このグラフでしみじみ感じました。これは今後計画を実効的に進める上では意識しておくべきことだと感じました。 委員長 本人と本人以外の回答を分けて記載したことは良かったと思います。事務局には対応していただきありがとうございました。対日審査の総括所見については、4ページの2022年9月に入れていただきたいと思います。 (4)第2部「障害者施策の方向性〈品川区障害者計画〉」の検討 事務局 第2部「障害者施策の方向性〈品川区障害者計画〉」の検討について説明(資料3-2) ・2ページ第1章「基本理念」、第2章「基本方針」についてです。まず、基本理念のフレーズは前回の策定委員会で検討したものと変更ありません。 ・次に、基本方針については、目指す像が共有しやすい表現の方がいいのではないかとご指摘をいただきました。表現方法については委員長と相談し、その結果、前回は「すべての人が共に支え合いながら暮らす」と表現していましたが、今回は「すべての人が共に支え合い暮らすことができる」と表現を変更しました。文末を全て「できる」として、3つの基本方針に統一感を持たせました。 ・3ページについては、国の障害者基本計画をベースとして、区の障害者施策の課題をふまえて記述した内容となっています。以上となります。 【質疑応答】 委員 資料3-2の3ページ、基本方針3の下から3行目に「地域等においてインクルージョン・・」と記載がありますが、先ほど資料1-1の取組で、地域と教育の2本柱でインクルージョンを進めると出しているので、ここでも教育を打ち出した方がいいと思います。 委員長 事務局的には、「地域等」の中に教育が入っているということですか。教育という文言を記載することに特段問題はないと思うので付け加えていただきたいと思います。 委員 基本方針3のすべての人の中の「子ども、高齢者など」の中に外国人やLGBTQの人も入っていると認識してよろしいでしょうか。 事務局 含まれます。 委員長 「すべての人」の中に誰が含まれているのか、ダイバーシティの考え方の中で様々な意見があります。どう折り合っていくのか、より知恵を絞らなければならない時代になっていると認識しています。 委員 資料3-2の2ページ下の3つの基本方針について、図で緑の部分の方針では「すべての人」と主語が書いてあるが、黄色と青の部分の主語は「障害のある人」という理解でいいですか。 委員長 障害者計画なので基本的にはそうなると思いますが、それに対して違和感がありますか。 委員 障害者計画なので、障害者の方に関することだと考えられますが、緑の部分だけが特に「すべての人が」と明記されているので、外国人の方なども含むということなのかと考えました。 副委員長 3ページの囲みの中の文章では、障害のある人と記載があります。共生社会の考え方になるので、障害のある人・ない人・分け隔てない社会をつくるということで品川区に住むすべての人であり、当然外国人も含まれるという理解だと思います。 委員長 補足として、基本方針1は包括的支援体制に重点を置き、基本方針2は環境サイドに重点を置いているので、より社会モデル的な考え方になっていると思います。いかがですか。 委員 理解しました。 委員 3ページの基本方針3の囲みの文章に、障害のある人ない人、子ども、高齢者というような並びになっていますが、障害があるかないかで分ければ、それで全ての人を包括した表現となっていると思いますが、あえて「子ども・高齢者」と並べて記載しているのか理解できません。 委員長 福祉サービスの対象論、それぞれのポピュレーションを言っていると思います。ご指摘の通り、障害者計画の中なら障害のある人もない人も全員含まれることは理解できます。 副委員長 子ども・高齢者と続けて記載がある理由として、地域共生社会をその後に言っているためだと思います。障害福祉はこれまで長く「共生社会(ソーシャルインクルージョン)」という言葉を使ってきました。どちらかと言えば権利に似た考え方で、障害のある人、ない人で分けないという考え方が強くあります。近年は「地域共生社会」という言葉が出てきて使うようになってきました。「地域共生社会」というのは、どちらかというと地域の中での支えあい、隣近所の支えあいという印象が強いです。「共生社会」と「地域共生社会」の概念整理ができないまま「地域共生社会」が流れ込んできた印象が強くあります。子ども・高齢者をつける理由というよりも、「共生社会」と「地域共生社会」の概念をこの計画の中でどのように取り扱うかが質問の本質だと思います。 委員 障害のある人・ない人と、子ども・高齢者は別の括りなので、並列していることが概念として分かりにくいとなると、例えば、「障害の有無に関わらず・・」や「障害のあるなしに関わらず・・」という、障害の部分だけを強調して記載する場合と、「子ども・高齢者も含めて、障害の有無に関わらずすべての世代、すべての人・・」と記載するような整理はできると思います。障害のある人・子ども・高齢者が違う区分けの中に並列することに違和感を覚えたり、共生社会と地域共生社会の表現が折り合わなかったりするのであれば、事務局で表現を工夫するか、この場で意見をいただく中で考えを深めていきたいと考えています。「障害のあるなしに関わらず、地域のすべての人が・・」となれば、子ども・高齢者・外国人という区分けとは違う意味になると思います。事務局としては、地域を構成するすべての人たちに目を向けた、という意味で使用したことをご理解いただきたいと思います。 この部分の変更に際し、2ページの第1章の基本理念、4行目からの文章もあわせて、皆様のご意見をいただきたいと思います。 委員長 「地域共生社会」と「共生社会」はどう違うのか、という質問もありました。基本指針の障害福祉サービスの提供体制の確保に関する基本的事項の基本的理念に、「地域共生社会の実現に向けた取組」があります。皆さんのお手元には無い資料ですが、そこには、社会福祉法に基づく地域福祉計画等との連携や、市町村による包括的な支援体制の構築の推進に係る記載の新設、と書かれています。副委員長の解説でも、地域福祉計画関連が先立つように見えますが、ただの共生社会だとSDGsが言うような共生社会だが、ここでは地域共生社会の方向の説明がありました。基本理念に書かれたものと整合させて、基本方針3は修正するということです。他にご意見や感想はありますか。 副委員長 今回、「地域共生社会」で計画案ができているので、この計画で言う「地域共生社会」の解説をどこかに入れていただけるといいと思います。私の理解では、「共生社会」の方が概念は広く、障害のある人が差別をされたり、隔てられたりしない社会が「共生社会」であり、「地域共生社会」は、身近な人同士で助け合っていきましょう、といニュアンスが強く、「地域」とより限定しているので、ここで言う「地域共生社会」は、「共生社会」の基礎として、地域住民同士が助け合う社会を指しています、と解説を入れて、両方が含まれていることがわかると受け入れやすいと思います。 委員長 「共生社会」の方が、「地域共生社会」の上位概念になるということですね。この計画の中で「地域共生社会」が意味するところをもう少しはっきりさせましょう、というご提案でした。例えば当事者参画による助け合いと言った言葉を使用する場合も、「当事者の方のエンパワー」を目指す方向性と、逆に安上がりの福祉を含意するなど、違った意図が背後に隠れていることもあるので、どういう意図で、誰が特定の言葉を使用するのか、にこだわることはとても大事なことだと思います。この件は修正をかけ、「地域共生社会」の解説を入れるかたちでよろしいですか。 基本理念、基本方針の部分を工夫して、「地域共生社会」と「共生社会」の概念を盛り込むかたちで修正を加えたいと思います。 次に、第3章施策の方向性、第4章重点的に取り組むべき項目についてのご説明をお願いします。 事務局 第3章 施策の方向性について説明(資料3-2) ・第3章の施策の方向性は、第1章の基本理念と第2章の基本方針を受けて、区が今後6年間にどのようなことに取り組むか方向性を示したものです。国の第5次障害者基本計画を基本としており、各論である11分野のうち、10の分野について、幅広く取り組む必要があるという認識から、第3章には10の分野を記載しました。  障害者計画は、施策の方向性であるという観点から、この部分については具体的に施策に踏み込む内容ではなく、あくまでも今後の区の障害者施策の方向性として大きく括ったものになります。 ・4ページの「1 地域生活の支援の充実・意思決定支援の推進」について、国の障害者基本計画の概要7にあたります。国と異なるタイトルを選択した理由としては、「自立」という言葉は、まずは区が生活支援の充実を図り、その結果として「自立」が伴うもので、行政などに強制されるものではない、という考え方により「自立」という文言を省いています。 ・4ページの「2 保健・医療・福祉の連携の推進」について、国の障害者基本計画の概要6にあたります。国と異なるタイトルを選択した理由としては、実際には保健・医療・福祉、3つの連携が必要と考えたため、福祉を追加してタイトルを設定しました。 ・5ページの「5 雇用・就業への支援」について、国の障害者基本計画の概要9にあたります。国とは異なり、「経済的自立」という文言を除いています。理由は、雇用と就業の支援が先であり、経済的自立はその結果であるという考え方によるものです。 以上、国の第5次障害者基本計画の各論からタイトルを変更したものだけを確認させていただきました。 第4章 重点的に取り組むべき施策について説明(資料3-2) ・障害者計画の6年間に重点的に取り組むべき施策6項目を記載しています。ここで触れていない他の施策に取り組まないというわけではありません。 ・8ページの「1 障害理解・差別解消の促進、インクルージョンの推進」について、アンケート調査結果をうけて、障害者の権利及び基本的自由の享有を進めるためには、社会のあらゆる場面において行政機関等・事業者の障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止、および合理的配慮の提供義務の遵守を進める必要があります。  区民や事業者等を対象とした啓発活動を進めると共に、品川区障害者差別解消推進支援地域協議会のネットワーク構築や、相談事例の検討等を今後行います。 ・9ページの「2重症心身障害・医療的ケアの支援(1)医療的ケアの相談支援」について、アンケート調査結果から、医療的ケアの支援を必要とする子どもやその家族は、医療関係以外の子育てや暮らしに関する相談の場が不足していることがわかりました。  今後は、品川区医療的ケア児等支援関係機関連絡会の場を活用して、関係機関が共通の理解に基づき連携し、課題や情報共有を通して、医療的ケア児等の支援に係る方策の検討を行います。 ・10ページ「2 重症心身障害・医療的ケアの支援 (2)重症心身障害・医療的ケアに対応した障害福祉サービス」について、重症心身障害の子どもが利用できる児童発達支援や、放課後等デイサービス事業所はまだ足りない状況です。  今後もより一層のサービス提供体制の充実に努めます。さらに、将来特別支援学校等を卒業する重症心身障害の子どもたちが、必要に応じてサービスを利用できるよう、生活介護や就労継続支援B型等の日中活動系サービスの拡充に努めます。 ・11ページの「3 障害のある子どもへの支援(1)相談支援」について、アンケート調査によると、どこに問い合わせてよいかわからない、身近に相談する場がない、という結果を受けて、障害 のある子どもとその家族が地域で安心して暮らし続けるには、障害特性や発達、成長段階に応じた適切な相談支援が必要となります。地域における専門相談等の相談機能の充実や、  関係機関との連携強化、相談支援専門員のスキルアップを図り、多種多様な相談に適切に対応できるようにしていきます。 ・12ページの「3 障害のある子どもへの支援(2)障害児通所支援」について、アンケート調査では、放課後等デイサービスをもっと利用したい、今後利用したい、また、児童発達支援に  ついても、もっと利用したいという回答結果で、障害児通所支援サービスへの需要が高いことがわかりました。そのため、地域の障害児支援の拠点となる児童発達支援センターを新設し、様々な障害児通所支援サービスを提供し、民間の事業所誘致にも積極的に取り組むことで、障害のある子どもへのサービスの充実を図ります。 ・13ページの「4 地域生活への移行・継続の支援(1)在宅の障害のある人」について、主な介助者が介助や支援をできなくなった場合に望む対応として、「施設に入所したい」が2割半ば近くで最も高く、次いで「グループホームに入居したい」「ホームヘルプを利用したい」という回答結果となりました。  高齢化、重度化、親亡き後の残された子どもへの支援等を見据えて、さらに地域生活支援拠点等の機能強化を図る必要があります。 ・14ページの「4 地域生活への移行・継続の支援(2)施設に入所している人」について、施設入所者本人以外の回答が多く、本人の希望を正確につかむことができないため、別途令和4年度に品川区地域自立支援協議会・相談支援部会で施設入所者への地域生活移行に関するアンケート調査を実施しました。  その結果、地域生活を希望する人が19人いることが確認できました。今後、地域生活を希望する人に対しては、地域移行を進め、一方で明確な意思表示が難しい人については必要に応じて意思決定支援を行い、意向に沿って地域移行につなげていきます。  地域で安全安心に暮らせるように、生活拠点となる住まいの確保を図るため、障害者グループホームの整備等も進めていきます。 ・15ページの「5 就労支援の充実」について、前回よりも一般就労をしている人の割合が増加しています。これは障害者雇用促進法改正により、法定雇用率の段階的な引き上げに伴い、障害のある人の社会での活躍の場が徐々に広がる一方で、アンケート調査結果では、自分に合った仕事を見つけられない、収入が少ない、体力的に辛い等の悩みを抱え、短期間で離職を選択せざるを得ない人もいます。本人の希望や障害特性に合った仕事を見つけられるよう、多様な働き方ができる仕組みづくりに取り組むなど、障害のある人が安心して働き続けられる環境づくりに取り組みます。令和5年度から超短時間就労促進事業を開始しています。 ・16ページの「6 災害対応等の推進」について、区としてはこれまで、在宅人工呼吸器使用者への非常用電源装置給付、避難行動要支援者への個別避難計画策定等に取り組んできました。  大規模災害時には、行政等の公助には限界があるため、自らの安全を守り、家庭で備える「自助」や、互いに助け合う「共助」が必要となります。そのために食料等の備蓄、防災訓練への参加など、避難場所や避難方法の事前確認や地域とのつながりを深めることで、災害時の避難行動の対応力向上を促進していきます。 【質疑応答】 委員長 施策体系の修正により、第3章と第4章が追加となりました。第4章は、品川区の障害者計画において、特に重点的に取り組む施策が記載されています。それ以外の施策については、次回の委員会で、障害福祉計画および障害児福祉計画の今期の主要テーマと取組の方向性で検討するということです。重点的に取り組むべき施策を明らかにするのは意欲の表れということで非常に良いことだと思いますが、意思決定支援の部分について、事前の打ち合わせでは、意思決定支援責任者の配置や、意思決定支援会議の開催が副会長から示唆されていたと思いますが、その部分は文言に入れないのでしょうか。 事務局 細目については次回検討させていただきます。 委員 1点目は、8ページの「1 障害理解・差別解消の促進、インクルージョン」について、具体的な取組内容としては、啓発活動と関係者間のネットワーク強化、相談事例の分析の3つがあげられていますが、これだけでは差別はなくならないと思います。より積極的に相談を受けて、当事者間の関係を調整する等、具体的な取り組みが必要だと思います。 2点目は、13ページ「4 地域生活への移行・継続の支援(1)在宅の障害のある人」について、内容が多岐にわたっており、これを読んでもどこが問題で、何を取り組むのかよくわからない印象です。障害者がこれを読んで、地域で生活できるという希望が沸くような表現方法を工夫していただきたいと思います。 委員長 1点目の障害理解・差別解消では、積極的に調整や調停に踏み込むべきだというご意見でした。 事務局 差別解消については、差別解消推進支援地域協議会を開催し、品川区として相談の流れについてどのように取り組むか、事例共有を含め、数年かけて品川区の体制を整えていきたいと検討しているところです。協議会を踏まえて、盛り込める内容については記載したいと思います。 委員長 次回までにもう少し具体的なことが提示される可能性があるということです。明日協議会が開催されるようなので期待したいと思います。2点目については表現方法についての提案でしょうか。 委員 情報が多すぎて、一般の障害者がこれを読んでもわかりにくい印象があります。誰でもわかりやすい表現になるといいと思います。 委員長 何かアイデアのある方はいますか。 副委員長 13ページの4の見出しに、方向性を感じさせるような言葉を入れると、全体のトーンが伝わると思います。(1)在宅の障害のある人、を「地域生活を継続するために」として、(2)は、施設に入所している人を「地域移行をするために」にして、文言に方向性が感じられるような見出しにしたらどうですか。文章の書き出しも、在宅で生活している障害のある人が地域生活を継続できるよう支援します、とまずは書いて、その後に今ある文章の内容を記載して、(2)は、途中に地域生活を希望する人に対して地域移行をすすめると記載があるが、これを最初に入れて、まずは方向性を示した上で文章を続けると、提案のイメージに近づくと思います。 委員長 最初に方向性を示すとよい、ということです。 委員 良いアイデアだと思います。内容も、単語の羅列ではなく、課題ごとに個別に記載があるといいと思います。 事務局 イメージ的には、重点施策は大枠の区の方向性を記載しているものなので、個別な部分は、主要テーマの部分に記載し、そちらは毎年1回評価を受けて改善を図るので、棲み分けを考えて記載しています。 委員長 できる限りの改善は可能という理解でよろしくお願いいたします。 委員 在宅の障害のある人への支援サービスについては、専門分化が進み、具体的にかかりつけの方向でそれが増えていくと思われますが、その辺の整備とサービス利用について方向性が示されるといいと思います。かかりつけには、医師・薬局・歯科医師・管理栄養士などへの関心が高まっており、すべて命をつなげるには重要なものなので、今の制度サービスをどうすれば上手く利用できるかという方向性を6年間の中で示されるといいと思います。 14ページの意思決定支援について、意思決定と言うと、意思がある人のことだけが取りざたされるところがありますが、実際には意思を形成できない人がたくさんいます。政府でも、身寄りのない人の意思決定支援が話題に上がっているので、そこは踏み込んでいただけると安心したまちづくりができると思います。医療同意等、家族を超えて親しい人の意見も意思決定支援の中に入る動きがあるので、意思表示ができる人だけではない、ということも含んでいただきたいと思います。 委員長 在宅の障害のある人について、具体的なことは次回の検討の中で出せるという印象を持ちました。意思決定支援について、明確な意思表示が難しい人についてもう少し踏み込んでほしいという提案です。 副委員長 意思決定支援は、自分で意思を決定、表現することが困難な人について、周りの人が色々な情報を持ち合ったり、体験的に意思の選考を把握したりして、本人を中心として本人の意思を推定していくことが、そもそも意思決定支援の中心的な部分だと思います。身寄りのない人の医療に関する意思決定支援のガイドラインは、厚生労働省から出されています。 委員長 意思決定支援については次回検討に入る施策の取り組みの中で、具体的な目標を入れられればと思います。 委員 長期入院をしている精神障害者の人数について、アンケートの際に施設入所に関しては品川区内の入所者だけを調べるのか、品川区から全国の施設に入所している人を調べるのかということでは、全国を対象に調べていただいたと思います。精神障害者の入院率が世界一の日本ですが、精神疾患で長期入院している人、中期入院している人の中で、保健所や医療に関係する部分でアンケートから外れている人がいると思います。 これについてどのような対策を考えるのか、調査がなぜできなかったのか研究していただきたいと思います。 事務局 精神医院の長期入院の方については、リムラットというデータベースがあり、そこで品川区から入院している方の人数は把握しています。どこの病院というよりは、どこの自治体に何人入院しているかまではつかめています。その自治体にある精神科病床をもつ比較的名の知れた病院は把握できるため、そちらに対してアンケート調査を実施するか等、保健センターと一緒に話し合っているところです。東京都立中部総合精神保健福祉センター、東京都が委託している地域移行支援事業者から助言をいただき、現在調査する方向でいます。それについてはまた報告しますが、具体的には、品川区推進保健福祉地域連絡会を活用して、アンケート調査を進めていきます。アンケート結果は計画に反映できるようにと考えています。 委員長 他の協議会、連絡会の中で議論されていることも、計画の中に有機的に組み込んでいきたいと思います。 委員 品川区推進保健福祉地域連絡会員には現在、当事者や家族は含まれておりません。専門家の方のみで構成されており、当事者や家族がその情報を得ることが難しいので、できれば委員の中に当事者または家族を入れていただきたいと以前から伝えていますのでよろしくお願いします。 委員長 当事者の方の意見を取り入れるには、実際にメンバーに入っていなければ難しいと思います。 事務局 令和5年度末までに当事者の方、ご家族の方のご参加をいただくということは現計画の成果目標に明記されているので、その実現に向けて調整をしているところです。 委員長 この連絡会は年に何回開催されていますか。 事務局 年1回の他、打ち合わせ等があります。 副委員長 資料3-2の12ページ「3 障害のある子どもへの支援 (2)障害児通所支援」について、児童発達支援や放課後等デイサービスの需要が高いというのは、アンケート調査から把握されたというのは事実でいいと思うのですが、これだけだと「エクスクルージョン」を進めるという方向になりかねません。計画理念に記載のあるインクルージョンや共生社会と逆方向に向かうことを意識しなければならないと思います。障害児の通所支援、放課後過ごす場所、就学前に育つ場所など様々求められる中で、その1つとして障害児の福祉サービスが求められているというように理解しています。障害児通所支援の充実を図る、だけで終わると方向性としては計画の理念と違うものになるので、文章の最後に、「また、放課後児童クラブや一般施策の利用も進めます」という文言を入れることをご検討いただきたいと思います。 委員長 理念と現状が整合されるよう、文章を書き分けることに注意を払っていただきたいと思います。 委員 放課後デイサービス等は単にそこで時間を過ごすのではなく、どういう育成をするのか、専門性を考えて、区としては助成やサポートをしていただけると有難いと思います。保護者の方が、子どもたちの今後の自立と社会参加についてどれぐらい理解できているのかと疑問に感じることもあります。学校を卒業した場合、子どもたちの支援は誰がするのかというと基本的には保護者がすると思います。そのために、日頃から保護者と児童、生徒の関わり、対人関係を確実にすることも積極的に進めていく必要があると思います。もちろん学校教育ではそういったことを進めていますので、地域全体でのサポートを検討していただけたらと思います。 (5)その他 事務局 ・後日、議事録は発言者の氏名を伏せてホームページで公開します。 ・お気づきの点があれば、ご意見・ご質問用紙を事務局宛に郵送またはFAXで送付してく ださい。 ・第3回策定委員会は11月8日(水)午前10時~ 荏原第5地域センター2階 第1集会室で 開催予定です。   3.開  会