品川区新総合庁舎 アクセシビリティ整備の手引き(素案) 品川区令和5年11月 アクセシビリティ整備の手引き策定にあたって 1)目的 品川区では、現庁舎の老朽化・区を取り巻く環境の変化・行政ニーズ の多様化に対応するため、新庁舎整備の検討を進め、令和5年度から は設計に着手しています。整備に際しては、「品川区新庁舎整備基本 計画」における基本理念の1 つである 「誰にでもやさしく便利で機能性にあふれた庁舎」 を実現するために、庁舎としての利用しやすさの基準を「手引き」と して取りまとめ、設計に反映させることで、アクセシビリティに十分配 慮した新庁舎を整備することを目的とします。 2)アクセシビリティについて アクセシビリティ“Accessibility” とは、一般的には「近づきやすさ」 「利用のしやすさ」「便利であること」などと訳されます。  障害者の権利に関する条約においては、原文の第9条 「Accessibility」について「施設およびサービスなどの利用の容易さ」 の訳があてられており、本手引きにおける定義はこれに基づきます。 品川区の新庁舎では、計画段階で多様な方にご意見をうかがい、手引 きを策定し、それをもとに設計に活かすことで、アクセシビリティの高 い施設を実現していきます。 3)手引き策定にあたっての考え方 ・多様なご意見をうかがい、多くの気づきを反映させる 手引きを策定する上では、新庁舎についての多様な使い方を想定する 必要があります。既存の法令や各種整備基準を踏まえながらも、様々 なご意見をうかがい、相互の調整を図っていくことでより多くの気づ きを反映させた施設づくりを実現します。 ・施設の具体的な使い方を想定し、理解することが、アクセシビリティを  高める 設計に際して個別多様なご意見を反映するにあたっては、施設が利用 される場面を具体的に想定し理解することで、より実態に合った、利 用しやすい庁舎を整備できるものと考えます。 目次 01 通路 02 傾斜路( スロープ) 03 階段 04 エスカレーター 05 エレベーター 06 扉 07 車いす使用者駐車場 08 トイレ 08-1 一般トイレ 08-2 個室トイレ 08-3 バリアフリートイレ 09 ベビーケアルーム 10 カームダウン、クールダウンルーム 11 窓口カウンター 12 議会傍聴席 13 表示(点字・サイン計画) 14 視覚障害者誘導用ブロック 15 緊急時対応 16 その他の設備 エリア分けによる基準の設定 この手引きでは、既存の法令や各種整備基準を踏まえながら、より高い水準が必要と考え られる場合には適宜基準を定めます。 そのため、新庁舎並びにその敷地内を「屋内エリア」と「屋外エリア」に分け、「屋外エリア」 はより不特定多数の多様な方が訪れることを想定し、最も高い基準を設定します。 また、「屋内エリア」の中でも比較的高い水準が必要と考えられる箇所については、特に <来庁者エリア>と位置付け、屋内のその他の箇所よりも高い基準を設定します。 また、屋内エリアと屋外エリアに共通して適用する基準を「全エリア共通」として設定します。 屋内エリア(標準的な基準) <職員エリア> 事務室やバックヤード動線など、主に職員の利用を想定するエリア。 <例> 事務室、バックヤード動線職員通用口、職員用階段、職員用エレベーター <来庁者エリア> 窓口や廊下など、一般的な来庁者の利用を想定するエリア。 <例> 窓口カウンター、廊下、エレベーター、エスカレーター、トイレ、議会傍聴席 屋外エリア(最も高い基準) 屋外デッキ、エントランスホールなど、不特定多数の方の利用を想定するエリア <例> エントランスホール、屋外デッキ、屋外階段 01通路 屋内廊下は、場所や用途に応じて適切な幅を確保し、 緊急時の避難などを考慮して、できるだけ わかりやすく通行しやすいものとします。また、壁からの突出物をなくし、床面は滑りにくい仕上 げとするなど、 誰もが安全 ・円滑に通行できるように配慮します。 (図の説明) ・10cmを超える突出物は設けない ・手すりを設ける場合は2段とする ・車いす使用者が移動しやすいように可能な限り出隅壁を面取りする ・車いす使用者が転回(180度方向転換)できる寸法の例(有効140cm角以上) 全エリア共通 ・出入口前後に140cm 角以上の転回スペースを設ける。 ・床の表面は粗面、または滑りにくい素材とする。 屋内エリア <職員エリア> 廊下有効幅120cm 以上(通路を車いす使用者が通行しやすい寸法。人が横向きになれば、車いす使用者とすれ違える寸法) <来庁者エリア> 廊下有効幅140cm 以上(人と車いす使用者がすれ違える寸法) 延長50メートルにつき1か所以上の転回場所 屋外エリア 廊下有効幅180cm 以上(車いす使用者同士がすれ違える寸法。車いす使用者と杖使用者がすれ違える寸法) 02傾斜路 (スロープ) 床面に設ける傾斜路(スロープ)は、車いす使用者はもとより、高齢者やベビーカーを押している人、 重量物を運んでいる人など、多様な移動が円滑に行えるように整備します。また、安全かつ円滑 に通行できるよう、適切な勾配や有効な幅員を確保し、踊り場や手すりを設置します。 (図の説明) ・点状ブロックの敷設は、移動の動線に支障のないよう設置を検討する。 ・勾配1/12 以下    1/15 以下(高さ30cm未満の場合)    1/20 以下(高さ30cm以上の場合) ・有効幅120cm 以上もしくは150cm 以上 ・端部の手すりの水平延長部45cm 以上 ・踊り場150cm 以上(勾配1/20 未満の場合20m を超えずに1 個所) ・高低差75cm 以内ごともしくは50cm 以内ごと 全エリア共通 ・滑りにくい仕上げとする。 ・傾斜部と平坦部の識別が容易なように色と明度に差をつける。 ・傾斜部の手前平坦部には点状ブロックを設置する。  ( ただし高さ16cm 以下かつ勾配1/12 以下の場合はのぞく) ・手すりは両側に設置 屋内エリア 幅120cm 以上 勾配1/12 以下 高さ75cm 以内ごとに 150cm 以上の踊り場設置 手すりの水平延長部45cm 以上 屋外エリア 幅150cm 以上 傾斜路高さ30cm 未満の場合、 勾配1/15 以下 傾斜路高さ30cm 以上の場合、 勾配1/20 以下 高さ50cm 以内ごとに 150cm 以上の踊り場設置 (勾配1/20 未満の場合 20m を超えずに1 か所) 手すりの水平延長部45cm 以上 03階段 階段は、利用者にとって身体的負担が大きくかかる場所であるとともに、転落、転倒等の危険性 の高い場所であることから、誰もが安全かつ円滑に利用できる構造とします。また、視覚障害の ある方の転落防止をはじめ、高齢者、障害のある方の昇降のしやすさに配慮します。 (図の説明) ・手すりは水平部分は45cm 以上延長することが望ましい ・手すり高さ上段:段鼻から75cm 〜 85cm 程度       下段:段鼻から65cm 程度 ・下り側には必ず点状ブロック標示を設ける ・踊り場の幅:140cm 以上とすることが望ましい ・手すりは階段の両側に設置 ・踊り場にも手すりを設ける場合、連続させる。 ・階段の幅120cm以上(職員エリア)      140cm以上(来庁者エリア)      180cm以上(屋外エリア) 職員エリア 踏面26cm以上、蹴上18cm以下、蹴込み2cm以下 来庁者エリア 踏面27cm以上、蹴上16cm以下、蹴込み2cm以下 屋外エリア 踏面30cm以上、蹴上15cm以下、蹴込み2cm以下 全エリア共通 ・蹴込みは2cm 以下にする。 ・滑りにくい仕上げとする。 ・段鼻と踏面の明度・色相・彩度の差を大きくし、識別し易くする。 屋内エリア <職員エリア> 幅120cm 以上、蹴上18cm 以下、踏面26cm 以上 手すりは片側に設置 <来庁者エリア> 幅140cm 以上、蹴上16cm 以下、踏面27cm 以上 手すりは両側に設置 屋外エリア 幅180cm 以上、蹴上15cm 以下、踏面30cm 以上 手すりは両側に設置 04 エスカレーター エスカレーターは、主要な階段に隣接して設けます。乗降口は、高齢者、障害のある方の安全な 乗降に配慮するとともに、視覚障害のある方に注意を喚起する措置を行います。 屋内エリア <来庁者エリア> ・上下端部に点状ブロックで注意喚起を行う。 ・踏み段四方に縁取りを設け、識別しやすくする。 ・エスカレーターの行き先および昇降方向を知らせる音声案内装置を乗り口に設置し、進行方向が分かる   ように配慮する。 屋外エリア ・上下端部に点状ブロックで注意喚起を行う。 ・踏み段四方に縁取りを設け、識別しやすくする。 ・エスカレーターの行き先および昇降方向を知らせる ・音声案内装置を乗り口に設置し、進行方向が分かるように配慮する。 ・乗降口に、くしから70cm 程度の移動手すりを設ける。 ・乗降口に長さ100cm 程度の固定手すりを設ける。 ・ステップの水平部分は3 枚以上、通常段差に達するまでのステップは5枚程度確保する。 05 エレベーター エレベーターの設置にあたっては、配置、かごの大きさ、出入口の幅員、乗降のしやすさなど、 移動の負担を軽減することに配慮します。また、通常時・緊急時ともに、視覚障害のある方、聴 覚障害のある方への情報提供に配慮します。 (図の説明) <エレベーター外> かご内から外が見えるよう開口部(窓ガラス)を設ける 操作盤90-110cm 程度 <エレベーター内> 停止予定階・現在位置・進行方向の表示(電光掲示板) 操作ボタン 手すりを設ける 車いす使用者対応制御装置 音声・点字のみでも必要情報が分かるように配慮 <縦型操作盤> 電光掲示板や手話を表示できるディスプレイ装置等 階数表示 インターホン ボタン左側への点字表示 押しボタン式 階数ボタンは浮彫表示 ボタン操作時に応答音がある 大きく、丸い形状の乗り場ボタン 及び操作盤ボタン <車いす使用者対応主操作盤> 呼びボタン付きインターホン 戸開閉ボタン 行先ボタン かご位置表示板 操作盤設置高さ:床面から90 〜 100cm 程度 全エリア共通 ・主要経路に配置する。 ・かご内の床面とその他の床面を、色の濃淡で区別できるようにする。 ・停止予定階・現在位置・昇降方向を表示する。 ・制御装置には点字表示を設置し、車いす使用者対応制御装置を設ける。 ・かご内に鏡を設置する。 ・到着階・出入口戸の閉鎖・昇降方向を知らせる音声案内装置を設ける。 ・手すりを設ける。 エレベーターのかごサイズと乗降ロビーの大きさ 屋内エリア ストレッチャー対応エレベーターを1基設置する。 <職員エリア> 扉の幅85cm 以上 かごは11 人乗り以上かつ幅140cm×奥行135cm以上 乗降ロビーは幅・奥行150cm 以上 <来庁者エリア> 扉の幅90cm 以上 かごは15 人乗り以上かつ幅170cm×奥行150cm以上 乗降ロビーは幅・奥行200cm 以上。外から中が見える仕様とする 屋外エリア 扉の幅100cm 以上 かごは20人乗り以上かつ幅200cm×奥行150cm以上 乗降ロビーは幅・奥行200cm 以上。外から中が見える仕様とする。 06扉 扉は、誰もが安全かつ適切に建物または居室に出入りできる必要があります。車いす使用者など に配慮して、 扉の前に高低差、 段差を設けず、出入口の前後には、車いす使用者などが待機でき るスペースを設けます。また、扉は音漏れなどの対策が必要となる部屋等を除いて可能な限り、 引き戸や自動扉など誰もが簡単に開閉できる構造を選択します。 (図の説明) ・容易に開閉できる引き戸が望ましい ・ドアの前には転回スペースを設ける 全エリア共通 ・回転扉を使用しない。 ・ドアハンドルは床面から90cm 程度の位置に設ける。 ・車いす使用者が自力で開閉できるように、出来るだけ軽い扉を採用する。 ・扉の前には車いす転回スペースを設ける。 ・原則、扉の前後には高低差、段差を設けない。 屋内エリア <職員エリア> 扉有効幅80cm以上 <来庁者エリア> 扉有効幅85cm 以上 ※トイレは除く。 屋外エリア 扉有効幅90cm 以上 07車いす使用者駐車場 車いす使用者駐車場は、利用しやすい位置に十分なスペースを用意し、駐車区画の有無や位置が 容易に確認できるよう適切な案内表示を設けます。 (図の説明) ・車いす使用者用駐車場であることの表示 ・通路との間には段を設けない ・国際シンボルマークの表示 ・車椅子使用者用駐車施設 ※車いす使用者用駐車区画の乗降スペース(ゼブラゾーン) は、通路や横断歩道と兼用しない。 全エリア共通 車室長さ550cm 以上 幅350cm 以上 08 トイレ バリアフリートイレに多くの機能を集中させるのではなく、一般トイレにも補完機能を持たせ ます。性別を問わず利用できる個室トイレを分散配置します。 ・バリアフリートイレ。集中を避けるため、オストメイト器具を一般トイレに分散配置 ・一般トイレの中にも車いす利用者が入ることのできる通路幅を確保する ・個室トイレ性別を問わず利用できる個室トイレを入口近くに設ける ・通路幅100cm 以上(職員エリア)     120cm 以上(来庁者エリア) ・入り口付近に音声案内を設ける ・ベビーチェア・ベビーベッドを設ける ・すべてのブースに手すりを設ける。可能な限りベビーチェアを装備する ・広めのブースを一般トイレに配置し車いす利用者も使用可能な設備を備える  小型のオストメイト器具を一般トイレに配置 全エリア共通 バリアフリートイレに機能を集中するのではなく一般トイレにも多様な機能を分散配置する。 08-1 一般トイレ 機能が集約された従来のバリアフリートイレは、利用者が集中することで、必要な時に利用できな い場合があります。そこで、一般トイレにさまざまな機能を分散配置することでバリアフリートイレ への一極集中を避け、多様な利用者が円滑に利用できるように配慮します。 (図の説明) <小便器の設置例> 高さFL+100cm 程度 受け口の高さは床面から35cm以下とする <一般ブース> 乳幼児用設備を有する便房 すべてのブースに手摺を設ける <広めのブース> 車いすの出入りしやすい扉形状と幅 小規模オストメイト器具の設置を検討 半身不随の方に配慮し、一部の手すりは左右反転する チェンジングボードやベビーベッドの配置 屋内エリア <職員エリア> 出入口 扉の幅85cm 以上 トイレ内 通路幅100cm 以上 <来庁者エリア> 出入口 扉の幅85cm 以上 トイレ内 通路幅120cm 以上 08-2 個室トイレ 利用者と介助者、親と子で性別が異なる場合や、性別が限定されたトイレが使いづらい方にも安 心して利用できるよう、性別を限定しない個室型のトイレを設置します。複数の方が同時に入室す ることを考慮し、カーテンなどの仕切りによりプライバシーが確保できる工夫を行います。 (図の説明) 寸法120cm×160cm 以上 折畳み椅子、カーテン、呼出ボタン、非常ランプ、性属性を区別しないサイン 屋内エリア <来庁者エリア> 出入口 扉の幅65cm 以上 08-3 バリアフリートイレ 従来、「多機能トイレ」や「車いす使用者用トイレ」とも呼ばれていたものを、高齢者や障害のあ る方等の利用に適正な配慮が必要なトイレを総称して「バリアフリートイレ」と表記します。 車いす使用者の使用や介助者を含む複数名での使用を想定した機能を備えたトイレを計画します。 (図の説明) 寸法200cm×200cm カーテン、呼出ボタン、非常ランプ、可動手すり(跳ね上げ)、簡易式介護ベッド 転回スペース150cm 以上(職員エリア)180cm 以上(来庁者エリア) ※半身不随の方に配慮するため、同階に複数室設ける場合は左右反転したレイアウトを用意する。 ※大型介助ベッドを設ける場合は、出入口をふさがないよう留意する。 ※確保できる室面積に応じて、設置する機能を適切に選択する。 ※移乗のための天井吊りリフターの設置されたブースを施設内に1 か所設けることを検討する。 屋内エリア <職員エリア> 車いす便房の内法寸法は幅170cm ×奥行150cm 以上 車いす便房には径150cm 以上の転回スペース <来庁者エリア> 車いす便房の内法寸法は幅200cm ×奥行150cm 以上 車いす便房には径180cm 以上の転回スペース 車いす便房内に75cm 角以上の移乗スペース 09 ベビーケアルーム ベビーケアルームは、授乳・離乳食・おむつ替えなどの用途で利用できる、乳幼児のケアのため の個室ブースです。設置の際には、以下の点に配慮します。 ・母乳および哺乳びんによる授乳に対応したスペースを設けます。 ・授乳のためのスペースの構成・設備配置などは、哺乳びんによる授乳時にも性別に関わらず利 用できるよう、配慮されたものとします。 (図の説明) <個室型の例> 出入口85cm 以上(鍵を設ける) ベビーチェア、インターフォン、緊急連絡ブザー 乳幼児用おむつ交換台 浄水用・温水器シンク 洗面器又は流し台 汚物入れ <共用型の例> 荷物置き台、授乳用の椅子 授乳スペース(個室毎に非常ボタンを設ける)、調乳スペース 調乳用給湯器付、洗面器又は流し台 インターフォン、緊急連絡ブザー ベビーカー置き場、給湯設備、椅子、汚物入れ、乳幼児用おむつ交換台 屋内エリア <来庁者エリア> ・子ども連れが訪れるフロアには1 以上設ける。 ・授乳空間はプライバシーに十分配慮する。 ・おむつ交換台を設ける。 ・ベビーベッドや給湯設備などを配置する。 ・防犯(施錠、緊急連絡ブザーなど) に十分に備える。 10 カームダウン、 クールダウンルーム 人の多い公共空間でパニックに陥った時、カームダウン、クールダウンルームがあれば気持ちを落 ち着かせることができます。誰でも入りやすく、一方で入った後のプライバシーを確保できるよう な空間とします。 (図の説明) 吸音性の高いパーティション、視線をさえぎるカーテンなど 全エリア共通 ・調光性、遮音性を確保する。 ・壁は吸音性をもった柔らかい素材とする。(衝突への緩衝機能を備えること) ・照明は照度調整、配光機能を備える。 ・防犯(施錠、緊急連絡ブザーなど) に十分に備える。 11 窓口カウンター 窓口カウンターは、多様な方が利用します。待ち時間から応対時まで、不便なく円滑にコミュニケー ションを行うためのカウンターを整備します。 (図の説明) 文字だけで必要情報が分かるような表示設備 隣接して個室相談ブースを設ける スピーカー、電光表示板、待ち番号札 ローカウンター下部の奥行45cm 以上 ローカウンター下部高さ65~70cm 程度 ローカウンター上部高さ70~75cm 程度 ハイカウンター上部高さ90~100cm 程度 横型手すり 机付近に、カウンターから出てサポートができる出入口を設置する 膝下クリアランス最低45cm × 75cm 12 議会傍聴席 議会傍聴席は多様な方が訪れ、長時間滞在することに配慮し、車いす使用者や障害のある方の 参加・傍聴を想定した、車いす専用スペースを設けます。 議会傍聴エリアには「親子室」などの個室の傍聴席の設置も検討します。 (図の説明) 通路 有効幅員 120cm 以上 車いす使用者用傍聴席(2席以上) 車いすが転回可能なスペース(140cm角以上) 同伴者用傍聴席 議場を見渡せる視線を確保できる床の高さとする 平坦な床とする。脱輪防止の立ち上がり 車いす使用者用傍聴席奥行120cm 以上 屋内エリア <来庁者エリア> ・車いすで利用できる傍聴席を設ける。 ・同伴者用傍聴席を設ける。 ・車いす使用者用傍聴席は、幅90cm以上、奥行120cm以上とする。 ・議場に向けて死角が無いように、議場を見渡せる視線を確保する。 13 表示(点字・サイン計画) 点字・サイン計画などの各種表示は、全ての人が迷うことなく施設を利用するために配慮するこ とが求められます。利用者の混乱を招かないためにも、施設内の表示はデザイン・表記法を統一 します。 全エリア共通 ・建物外から建物内各所に円滑に移動できるよう、連続性をもって設置。壁面サインを併用し、低い目線の連続性に配慮する。 ・誘導ブロック、触知図と、接遇などの運営対応を組み合わせ、視覚障害のある方の誘導の連続性も確保する。 ・ピクトグラムについては、国内で統一された規格であり広く用いられている「JIS基準」を採用するが、  指針や基準に定めのない英訳やピクトグラムは、ISO などJIS 以外の基準や既存施設の検討事例を踏まえて計画する。 ・トイレと更衣室などの性属性を示すピクトグラムには、文字を併記することとし、補足的に配色で識別できることを検討する。 ・書体の選定に際しては、多様な方にとって見やすいフォントを選定する。 ・色彩については、図と地色とのコントラストが十分明確になるようにし、内容が容易に識別できるものとする  (明度差は少なくとも0 〜10 段階のマンセル表色系で5 以上)。 14 視覚障害者誘導用ブロック 主要な経路や階段の出入口などには、視覚障害者誘導用ブロックを設置します。ブロックは出来 るだけ分かりやすい色・形状・高さとすることで視覚障害のある方の安全性を確保すると同時に、 車いす使用者に出来る限り支障のない敷設を検討します。 (図の説明) 設置動線の計画例 ・車寄せタクシー乗降場から案内カウンター経由で最寄りのエレベーター乗り場まで誘導する 階段の設置例 ・手すりの点字表示行く先の階を表示する ・階段の縁には点状ブロックの敷設 屋内エリア ・エレベーターその他の昇降機、トイレの配置、その他ユニバーサルサービス施設などを表示した案内板その 他の設備を設ける。( ただし、敷地境界付近に案内所を設ける場合は除く) ・視覚障害者誘導用ブロックなどは原則黄色とし、 周囲の床の仕上げとは輝度比 2.0 以上確保する。 ・危険の可能性がある場所など、 歩行方向の変更の必要性を予告する部分に、点状ブロックなどを使用する。 屋外エリア ・敷地境界から、建物の出入口付近に配置される主たる案内設備または案内所に至る経路(直進する風 除室内は除く)には 、線状ブロック・点状ブロックなどの敷設または音声誘導装置、その他の方法により 視覚障害のある方を誘導する設備を設置する。 ・視覚障害者誘導用ブロックなどは原則黄色とし、周囲の床の仕上げとは輝度比 2.0 以上確保する。 ・危険の可能性がある場所など、歩行方向の変更の必要性を予告する部分に、点状ブロックなどを設ける。 15 緊急時対応 緊急時の対応では、多様な利用者の円滑な避難に配慮し、計画に組み込むこととします。利用者 にとってわかりやすい動線計画が、避難誘導の基本であり、避難介助を必要とする高齢者、障害 のある方等にとって避難に時間を要し、迅速な避難が困難になることを予め想定して、避難経路 の計画を行います。 全エリア共通 @緊急避難 緊急避難経路の役目を果たす通路には、必要に応じて、補助を必要とする人が介助者を 待つことのできる一時退避スぺースを設ける。 A非常時の対応策 (1) 警報システムの設置に際しては、聴覚障害のある方にも配慮し、音だけなく視覚的にも異常を伝える装置を設置する。 各トイレには視覚的な火災警報システム/ ストロボ警報システム(フラッシュライトの警報装置)を設置する。 (その際、ストロボの最大フラッシュレートは1Hz 〜 3Hz の間とする) (2) 火災通報装置と消火器は、トラブル発生を知らせ、消火防災器具を利用できるよう、車いす使用者およびその他の人々がアクセスできる高さに設置する。 (3) 建物内にいる全ての人にとって分かりやすい非常時の手順と避難経路図を設ける。 視覚障害のある方やその他の人々が確実にアクセスできるよう、建物からの避難指示は、出口にはっきりと目印を入れた平面図とともに、大きな文字で高いコントラストをつけて示す。 16 その他の設備 その他の設備を計画する際には、各種スイッチ類の位置や仕様が誰にとっても使いやすいものと なるように配慮します。 (図の説明) ●コンセント、スイッチの高さの例 立位使用者も考慮した高さとする。 インターホン、モニター、スイッチ・押しボタン・室内外のカードスイッチ高さ110cm 程度 車いす利用者用のスイッチ、コンセントなど高さ80 〜 90cm程度 コンセント(電動車いすの充電用を含む)電話・アンテナ高さ40cm程度 ●出入り口での音声案内の例 天井にスピーカーを設置 視覚障害者がエントランスを見つけられるように、スピーカーでエントランスの場所を案内する。