品川区新総合庁舎 アクセシビリティ整備の手引き 品川区 令和6年1月 目次 ◆本編  ◇アクセシビリティ整備の手引き策定にあたって P.1  ◇手引き策定の経緯 P.3  ◇整備の基準 〈エリア分けによる基準の設定〉 P.6 01 通路 P.7 02 傾斜路(スロープ) P.8 03 階段 P.9 04 エスカレーター P.10 05 エレベーター P.11 06 扉 P.13 07 車いす使用者駐車場 P.14 08 トイレ P.15 08-1 一般トイレ P.16 08-2 個室トイレ P.17 08-3 バリアフリートイレ P.18 09 ベビーケアルーム P.19 10 カームダウンルーム P.20 11 窓口カウンター P.21 12 議会傍聴席 P.22 13 表示(点字 サイン計画) P.23 14 視覚障害者誘導用ブロック P.24 15 緊急時対応 P.25 16 その他の設備 P.26 ◆資料編(別冊) ◇アクセシビリティ整備の手引き策定にあたって 1) 目的  品川区では、現庁舎の老朽化・区を取り巻く環境の変化・行政ニーズの多様化に対応するため、新庁舎整備の検討を進め、 令和5年度からは設計に着手しています。整備に際しては、「品川区新庁舎整備基本計画」における基本理念の1 つである 「誰にでもやさしく便利で機能性にあふれた庁舎」を実現するために、庁舎としての利用しやすさの基準を「手引き」として 取りまとめ、設計に反映させることで、アクセシビリティに十分配慮した新庁舎を整備することを目的とします。 2) アクセシビリティについて アクセシビリティ“Accessibility” は、一般的には「近づきやすさ」「利用のしやすさ」「便利であること」などと訳されます。 障害者の権利に関する条約においては、原文の第9条「Accessibility」について「施設およびサービスなどの利用の容易さ」 の訳があてられており、本手引きにおける定義はこれに基づきます。 品川区では、計画段階で多様な属性や背景を持った方々に幅広くご意見をうかがい、施設計画に活かすことで、気持ちよく、円滑に、日 常的に、利用することができる=アクセシビリティの高い新庁舎を実現していきます。 3) 多様な意見を集めお互いを考える  アクセシビリティの高い施設計画のために、より多くの方々や多様な団体のみなさんと意見を交わし、 お互いを尊重しあいながら結果をとりまとめ記録することで、より多くの気づきを反映させた施設整備のデザインを実現することができるものと考えます。  そのような結果とプロセスが、今後の品川区新総合庁舎の施設整備における重要な引証となります。 ・お互いの立場に立って考える  手引きを策定する上では、「バリアフリー法」や「東京都福祉のまちづくり条例」などの既存の法令や各種整備基準を踏まえながらも、 多様な属性や背景を持った方々の立場に立って考え、人間の個別多様な特性に対する深い知識と相手への想像力を持つことが、 アクセシビリティの高い施設デザインには不可欠です。 ・個別多様の特性をよく理解し、アクセスを阻む障壁を低くする  施設計画にあたっては個別多様なニーズへの対応が求められますが、すべての方々に完璧に対応することは難しくとも、 アクセスの障壁を出来る限り無くし、気持ちよく利用していただく施設として、何ができるかという検討を重ねていくことが重要と考えます。 ◇手引き策定の経緯  令和5年6月から、品川区新総合庁舎整備基本設計等業務を開始するとともに、アクセシビリティ整備の手引き素案のたたき台から段階的に作成し、 その内容をもとに、それぞれのタイミングで各方面への意見を聴取し、議論を重ね、「アクセシビリティ整備の手引き」として取りまとめました。 ■ 8月1日〜8月31日 アクセシビリティ整備の手引きのたたき台のとりまとめ これまで区に寄せられた様々なご意見や、昨年度の新庁舎整備基本計画素 案へのパブリックコメントなどをもとに「整備の手引きのたたき台」を作成 しました。 ■ 9月8日〜9月29日 手引きのたたき台について品川区障害者団体への個別説明と意見聴取 品川区障害者団体7団体の方々に個別にご説明し、ご意見をお聴きしまし た。 ■ 9月11日 令和5 年度品川区インターンシップ生へのアンケート アンケートへのご協力をお願いし、ご意見をお聴きしました。 ■ 9月21日,10月9日 LGBTQ 支援団体への聞き取り 2団体の方々に個別にご説明し、書面またはオンラインでご意見をお聴きし ました。 ■ 10月19日〜10月31日 品川区役所第三庁舎内オアシスルーム( 生活支援型一時保育) 利用者 聞き取り 利用後にアンケートへのご協力をお願いし、ご意見をお聴きしました。 ■ 10月12日・10月13日 素案検討会 品川区障害者団体7団体の方々に全体のご意見の内容とその反映の考え方 について説明し、議論を行いました。それらのご意見をもとに庁内で有識 者と共に素案を作成しました。 ■ 11月6日〜11月26日 区ホームページでの素案公開・意見募集 手引き(素案) を区ホームページに公開し、電子申請サービスを用いて意見を 募集しました。 ■ 11月7日〜11月19日 区民向けオープンハウス方式での説明 品川区内6箇所でそれぞれ日中7時間ずつ、「新庁舎整備の概要」と 「アクセシビリティ整備の手引き( 素案)」を抜粋したパネル展示をもとに、区 民の皆さんにオープンハウス方式で説明し、ご意見を伺いました。 ・ 11月 7日( 火) イトーヨーカドー大井町店 ・ 11月 8日( 水) 品川区役所 3 階プラッツァ ・ 11月11日( 土) パークシティ武蔵小山ザモール ・ 11月13日( 月) パトリア品川店 ・ 11月17日( 金) イオンスタイル 品川シーサイド ・ 11月19日( 日) 大崎 夢さん橋 ■ 11月9日・11月16日 素案報告会 品川区障害者団体7団体の方々に素案の報告と内容に関する議論を行い、重ねてご意見を伺いました。 ■ 11月20日〜12月28日 意見集約、アクセシビリティ整備の手引き(成案) の完成これまでの意見を集約し、有識者からのアドバイスをもとに、手引き(成案) を完成しました。  ヒアリングにご協力いただいた団体、関係者(順不同)   【品川区障害者団体】 ・ 品川区手をつなぐ育成会 ・ 品川区肢体不自由児・者父母の会 ・ 品川区重症心身障害児(者)を守る会   ・ 品川区視覚障害者福祉協会 ・ 品川区聴覚障害者協会 ・ 品川区身体障害者友和会 ・ 品川区精神保健福祉家族会(かもめ会)   【LGBTQ支援団体】 ・ NPO 法人LGBT の家族と友人をつなぐ会 ・ 認定NPO 法人ReBit   【区役所来庁者】 ・ 品川区役所第三庁舎内オアシスルーム( 生活支援型一時保育) ご利用の皆さん ・ 令和5 年度品川区インターンシップ生の皆さん   アンケート・意見募集 ・ 11月7日〜11月19日 オープンハウス6会場にて来場者アンケート ・ 11月6日〜11月26日 区ホームページ電子申請サービスにて意見募集   手引き作成に際してご協力いただいた有識者  東洋大学人間環境デザイン学科 菅原麻衣子 教授  素案検討会を踏まえた素案の作成や手引きへの区民意見の反映に当たりさまざまなアドバイスをいただきました。 ◇整備の基準  〈エリア分けによる基準の設定〉  この手引きでは、既存の法令や各種整備基準を踏まえながら、より高い水準が必要と考えられる場合には適宜基準を定めます。  そのため、新庁舎ならびにその敷地内を「庁舎内エリア」と「屋外エリア」に分け、大井町駅周辺地区と接続する歩行者ネットワークである 「屋外エリア」はより不特定多数の多様な方が訪れることを想定し、標準的な基準よりもより高い基準を設定します。  また、「庁舎内エリア」の中でも比較的高い水準が必要と考えられる箇所については、特に<来庁者エリア>と位置付け、 <職員エリア>についても職員の障害や個別の特性を考慮した基準を設定します。  さらに、庁舎内エリアと屋外エリアに共通して適用する基準を「全エリア共通」として設定します。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> 事務室やバックヤード動線など、主に職員の利用を想定するエリア。 <例> 事務室、バックヤード動線、職員通用口、職員用階段、職員用エレベーター <来庁者エリア> 窓口や廊下など、一般的な来庁者の利用を想定するエリア。 <例> エントランスホール、窓口カウンター、廊下、エレベーター、エスカレーター、トイレ、議会傍聴席 「屋外エリア(庁舎敷地内)」 <不特定多数利用エリア> 屋外デッキ、屋外広場、通路など不特定多数の方の利用を想定するエリア <例> 屋外広場、屋外歩行者用通路、屋外階段 01 通路 屋内廊下は、場所や用途に応じて適切な幅を確保し、緊急時の避難などを考慮して、できるだけ わかりやすく通行しやすいものとします。また、壁からの突出物をなくし、床面は滑りにくい仕上 げとするなど、 誰もが安全・円滑に通行できるように配慮します。 (図の説明) ・10cmを超える突出物は設けない ・手すりを設ける場合は2段とする ・車いす使用者が移動しやすいように可能な限り出隅壁を面取りする ・車いす使用者が転回(180°方向転換)できる寸法の例(有効140cm角以上) 全エリア共通 ・出入口前後に140cm 角以上の転回スペースを設ける。 ・床の表面は粗面、または滑りにくい素材とする。 庁舎内エリア <職員エリア> 廊下有効幅120cm 以上(通路を車いす使用者が通行しやすい寸法。人が横向きになれば、車いす使用者とすれ違える寸法) 移動等円滑化経路等を構成する廊下等は140cm 以上 <来庁者エリア> 廊下有効幅140cm 以上(人と車いす使用者がすれ違える寸法)、延長50m につき1 か所以上の転回場所 屋外エリア <不特定多数利用エリア> 廊下有効幅180cm 以上(車いす使用者同士がすれ違える寸法。車いす使用者と杖使用者がすれ違える寸法) 02 傾斜路(スロープ) 傾斜路(スロープ) は、車いす使用者はもとより、高齢者やベビーカーを押している人、重量物 を運んでいる人など、 多様な移動が円滑に行えるように整備します。また、安全かつ円滑に通行 できるよう、適切な勾配や有効な幅員を確保し、踊り場や手すりを設置します。 (図の説明) 点状ブロックの敷設は、移動の動線に支障のないよう設置を検討する。 全エリア共通 ・滑りにくい仕上げとする。 ・傾斜部と平坦部の識別が容易なように色と明度に差をつける。 ・傾斜部の手前 平坦部には点状ブロックを設置する。 ( ただし高さ16cm 以下かつ勾配1/12 以下の場合はのぞく) ・手すりは両側に設置 「庁舎内エリア」 <職員エリア><来庁者エリア> 幅120cm 以上 勾配1/15 以下 高さ75cm 以内ごとに150cm 以上の踊り場設置 手すりの水平延長部45cm 以上 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> 幅150cm 以上 傾斜路高さ30cm 未満の場合、勾配1/15 以下 傾斜路高さ30cm 以上の場合、勾配1/20 以下 高さ50cm 以内ごとに150cm 以上の踊り場設置(勾配1/20 未満の場合20m を超えずに1 か所) 手すりの水平延長部45cm 以上 03 階段 階段は、利用者にとって身体的負担が大きくかかる場所であるとともに、転落、転倒などの危険 性の高い場所であることから、誰もが安全かつ円滑に利用できる構造とします。また、視覚障害 のある方の転落防止をはじめ、高齢者、障害のある方の昇降のしやすさに配慮します。 (図の説明) ・水平部分は45cm 以上延長することが望ましい ・下り側には必ず点状ブロック標示を設ける ・踊り場の幅:140cm 以上とすることが望ましい ・踊り場にも手すりを設ける場合、連続させる。 ・手すりは階段の両側に設置 ・手すり高さ 上段:段鼻から75cm 〜 85cm 程度 下段:段鼻から65cm 程度 全エリア共通 蹴込みは2cm 以下にする。 滑りにくい仕上げとする。 段鼻と踏面の明度・色相・彩度の差を大きくし、識別し易くする。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> 幅120cm 以上 蹴上18cm 以下 踏面26cm 以上 手すりは片側に設置 <来庁者エリア> 幅140cm 以上 蹴上16cm 以下 踏面27cm 以上 手すりは両側に設置 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> 幅180cm 以上 蹴上15cm 以下 踏面30cm 以上 手すりは両側に設置 04 エスカレーター エスカレーターは、主要な階段に隣接して設けます。乗降口は、高齢者、障害のある方の安全な 乗降に配慮するとともに、視覚障害のある方に注意を喚起する措置を行います。 「庁舎内エリア」 <来庁者エリア> ・上下端部に点状ブロックで注意喚起を行う。 ・踏み段四方に縁取りを設け、識別しやすくする。 ・エスカレーターの行き先および昇降方向を知らせる ・音声案内装置を乗り口に設置し、進行方向が分かるように配慮する。 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> ・上下端部に点状ブロックで注意喚起を行う。 ・踏み段四方に縁取りを設け、識別しやすくする。 ・エスカレーターの行き先および昇降方向を知らせる ・音声案内装置を乗り口に設置し、進行方向が分かるように配慮する。 ・乗降口に、くしから 70cm 程度の移動手すりを設ける。 ・乗降口に長さ 100cm 程度の固定手すりを設ける。 ・ステップの水平部分は3 枚以上、通常段差に達するまでのステップは5 枚程度確保する。 05 エレベーター エレベーターの設置にあたっては、配置、かごの大きさ、出入口の幅員、乗降のしやすさなど、 移動の負担を軽減することに配慮します。また、通常時・緊急時ともに、視覚障害のある方、聴 覚障害のある方への情報提供に配慮します。 (図の説明) <エレベーター外> かご内から外が見えるよう開口部を設ける 車いす使用者対応制御装置を設ける 操作盤90-110cm 程度 <エレベーター内> 停止予定階・現在位置・進行方向の表示(電光掲示板) 手すりを設ける 車いす使用者対応制御装置 音声・点字のみでも必要情報が分かるように配慮 <縦型操作盤> 電光掲示板や手話を表示できるディスプレイ装置等 階数表示 緊急通報用インターホン 聴覚に障害のある方もカメラにより確認できる仕様を検討 ボタン左側への点字表示 押しボタン式 階数ボタンは浮彫表示 ボタン操作時に応答音がある 大きく、丸い形状の乗り場ボタン及び操作盤ボタン <車いす使用者対応主操作盤> 緊急通報用ボタン付きインターホン 聴覚障害者用緊急通報ボタンの設置も検討する(カメラによる確認ができるもの) 戸開閉ボタン 行先ボタン 階数表示 操作盤設置高さ:床面から90 〜 100cm 程度 全エリア共通 ・主要経路に配置する。 ・かご内の床面とその他の床面を、色の濃淡で区別できるようにする。 ・停止予定階・現在位置・昇降方向を表示する。 ・制御装置には点字表示を設置し、車いす使用者対応制御装置を設ける。 ・かご内に鏡を設置する。 ・到着階・出入口戸の閉鎖・昇降方向を知らせる音声案内装置を設ける。 ・手すりを設ける。 「庁舎内エリア」 <職員エリア><来庁者エリア> 扉の幅90cm 以上(車いす1台と介助者) かごは15 人乗り以上かつ 幅170cm×奥行150cm以上 乗降ロビーは 幅・奥行200cm 以上 外から中が見える仕様とする ストレッチャー対応エレベーターを1 基設置する。 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> エリア内エレベーター1箇所以上について 扉の幅100cm 以上(車いす2台) かごは20 人乗り以上かつ 幅200cm×奥行150cm以上 乗降ロビーは 幅・奥行200cm 以上 外から中が見える仕様とする。 上記の基準に沿わないエレベーターは 左記の基準とする。 06 扉 扉は、誰もが安全かつ適切に建物または居室に出入りできる必要があります。車いす使用者など に配慮して、 扉の前に高低差、段差を設けず、出入口の前後には、車いす使用者などが待機でき るスペースを設けます。また、扉は音漏れなどの対策が必要となる部屋などを除いて可能な限り、 引き戸や自動扉など誰もが簡単に開閉できる構造を選択します。 (図の説明) 容易に開閉できる引き戸が望ましいドアの前には転回スペースを設ける 全エリア共通 ・回転扉を使用しない。 ・ドアハンドルは床面から90cm 程度の位置に設ける。 ・ドアハンドルは、高齢者や障害者に操作性の良いものを選択する。  手動式引き戸では棒状のもの、開き戸では大きく操作性の良いレバーハンドル式  又はパニックバー形式等のものとする。なお、握り玉は使いにくいため使用を避ける。 ・車いす使用者が自力で開閉できるように、出来るだけ軽い扉を採用する。 ・扉の前には車いす転回スペースを設ける。 ・原則、扉の前後には高低差、段差を設けない。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> 扉有効幅80cm以上 <来庁者エリア> 扉有効幅85cm以上 ※トイレは除く 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> 扉有効幅90cm以上 07 車いす使用者駐車場 車いす使用者駐車場は、利用しやすい位置に十分なスペースを用意し、駐車区画の有無や位置が 容易に確認できるよう適切な案内表示を設けます。 (図の説明) 車いす使用者用駐車場であることの表示 通路との間には段を設けない 国際シンボルマークの表示 車いす使用者用駐車施設 安全な通路120cm以上 ※車いす使用者用駐車区画の乗降スペース(ゼブラゾーン)は、通路や横断歩道と兼用しない。 ※ 車いす使用者駐車場を利用していただくため、運用、管理の点から適正な利用を促すよう検討する。 全エリア共通 車室長さ550cm 以上 幅350cm以上 08 トイレ バリアフリートイレに多くの機能を集中させるのではなく、一般トイレにも補完機能を持たせ ます。性別を問わず利用できる個室トイレを分散配置します。 (図の説明) 配置例 一般トイレの中にも車いす使用者が入ることのできる通路幅を確保する 入り口付近に「こちらは○○トイレです」という音声案内を設ける 通路幅 100cm 以上(職員エリア) 120cm 以上(来庁者エリア) 個室トイレ 性別を問わず利用できる個室トイレを入口近くに設ける ベビーチェア・ベビーベッドを設ける 男児用小便器の設置を検討する すべてのブースに手すりを設ける 可能な限りベビーチェアを装備する 広めのブースを一般トイレに配置し車いす使用者も使用可能な設備を備える小型のオストメイト器具を一般トイレに配置 バリアフリートイレ 一般トイレに1箇所以上配置集中を避けるため、オストメイト器具を一般トイレに分散配置 全エリア共通 バリアフリートイレに機能を集中するのではなく一般トイレにも多様な機能を分散配置する。 08-1 一般トイレ 機能が集約された従来のバリアフリートイレは、利用者が集中することで、必要な時に利用できない場合があります。 そこで、一般トイレにさまざまな機能を分散配置することでバリアフリートイレへの一極集中を避け、多様な利用者が円滑に利用できるように配慮します。 (図の説明) 小便器の計画例 受け口の高さは35cm以下とする 広めのブースの計画例 小規模オストメイト器具の設置を検討 チェンジングボードやベビーベッドの配置 利き手に配慮し、一部の手すりは左右反転する 車いすの出入りしやすい扉形状と幅 一般ブースの計画 乳幼児用設備を有する便房 すべてのブースに手すりを設ける ※ブース内には、誰にでも使いやすい高さに荷物用のフックを設ける。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> 出入口 扉の幅85cm 以上 トイレ内 通路幅100cm 以上 <来庁者エリア> 出入口 扉の幅85cm 以上 トイレ内 通路幅120cm 以上 08-2 個室トイレ 利用者と介助者、親と子で性別が異なる場合や、性別が限定されたトイレが使いづらい方にも安心して利用できるよう、性別を限定しない個室型のトイレを設置します。 介助者や同伴者が同時に入室することを考慮し、カーテンなどの仕切りによりプライバシーが確保できる工夫を行います。 ※個室トイレの利用者は性別属性を限定しない。 ※個室トイレへの誘導サインは、性的属性を別けた表現としない。 ※職員エリアの更衣室やシャワー室・休憩室などは、性別を限定せずに使用することもできるよう検討する。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> <来庁者エリア> ・各階に1箇所以上は個室トイレを設ける ・出入口 扉の幅80cm 以上 08-3 バリアフリートイレ 従来、「多機能トイレ」や「車いす使用者用トイレ」とも呼ばれていたものを、高齢者や障害のあ る方などの利用に適正な配慮が必要なトイレを総称して「バリアフリートイレ」と表記します。 車いす使用者の使用や介助者を含む複数名での使用を想定した機能を備えたトイレを計画します。 (図の説明) 計画例 可能な限り自動ドアを設ける 跳ね上げ式手すりは左右に移動が可能なものの設置を検討する。 転回スペース 150cm 以上(職員エリア) 180cm 以上(来庁者エリア) ※利き手に配慮するため、同階に複数室設ける場合は左右反転したレイアウトを用意する。 ※大型ベッドを設ける場合は、出入口をふさがないよう留意する。 ※大型ベッドの高さは42p〜45pの中で設定する。 ※確保できる室面積に応じて、設置する機能を適切に選択する。 ※移乗のための天井走行リフトの設置されたブースを施設内に1 か所設けることを検討する。 「庁舎内エリア」 <職員エリア> 車いす便房の内法寸法は 幅200cm ×奥行200cm 以上 車いす便房には径150cm 以上の転回スペース <来庁者エリア> 車いす便房の内法寸法は幅200cm ×奥行200cm 以上 車いす便房には径180cm 以上の転回スペース 車いす便房内に75cm 角以上の移乗スペース 09 ベビーケアルーム ベビーケアルームは、授乳・離乳食・おむつ替えなど の用途で利用できる、乳幼児のケアのため の個室ブースです。設置の際には、以下の点に配慮します。 ・ 母乳および哺乳びんによる授乳に対応したスペースを設けます。 ・ 授乳のためのスペースは、多胎児の親子の利用や性別に関わらず利用できるよう、運用方法を検討します。 (図の説明) 個室型の例 子どもが勝手に鍵を開けられない位置に鍵を設置する 共通型の例 授乳スペースと調乳スペースを分けることで性別に関わらず使いやすくなる 「庁舎内エリア」 <来庁者エリア> ・子ども連れが訪れるフロアには1 以上設ける。 ・授乳空間はプライバシーに十分配慮する。 ・おむつ交換台を設ける。 ・ベビーベッドや給湯設備などを配置する。 ・防犯(施錠、緊急連絡ブザーなど) に十分に備える。 10 カームダウンルーム 人の多い公共空間でパニックに陥った時、カームダウンルームがあれば気持ちを落ち着かせることができます。 誰でも入りやすく、一方で入った後のプライバシーを確保できるような空間とします。 全エリア共通 ・同伴者・介助者も一緒に入れるスペースを確保する ・調光性、遮音性を確保する。 ・壁は吸音性をもった柔らかい素材とする。(衝突への緩衝機能を備えること) ・照明は照度調整、配光機能を備える。 ・防犯(施錠、緊急連絡ブザーなど) に十分に備える。 ・難聴の方の窓口対応や、集中した会話が必要な場合の利用も想定し整備する。 11 窓口カウンター 窓口カウンターは、多様な方が利用します。待ち時間から応対時まで、不便なく円滑にコミュニケーション を行うためのカウンターを整備します。 (図の説明) 配置例 隣接して個室相談ブースを設ける 文字と音声案内で必要情報が分かるような表示設備 視覚障害者の利用が想定されるカウンターには最寄りのエレベーターホールから視覚障害者誘導用ブロックを敷設する。 <ハイカウンター> 上端高さ 90cm〜100cm 程度 <ローカウンター> 膝下クリアランス 最低45cm×75cm 机付近に、カウンターから出てサポートができる出入口を設置する上端高さ 70cm〜75cm程度 下端高さ 65cm〜70cm程度 「庁舎内エリア」 <来庁者エリア> ・個室相談ブースには内装に吸音材を施し、外部からの音、視線を制御することで、  難聴の方の会話、手話での会話の必要な方の窓口対応にも可能な仕様とする。 12 議会傍聴席 議会傍聴席は多様な方が訪れ、長時間滞在することに配慮し、車いす使用者や障害のある方の 参加・傍聴を想定した、車いす専用スペースを設けます。 議会傍聴エリアには「親子室」などの個室の傍聴席の設置も検討します。 (図の説明) 通路有効幅員 120cm 以上 車いすが転回可能なスペース(140cm角以上) 傍聴席 議場を見渡せる視線を確保できる床の高さとする 120cm 以上 車いす使用者用傍聴席 幅120cm 以上 通路の有効幅員 「庁舎内エリア」 <来庁者エリア> ・車いすで利用できる傍聴席を設ける。 ・同伴者用傍聴席を設ける。 ・車いす使用者用傍聴席は、幅90p以上、奥行120cm以上とする。 ・議場に向けて死角が無いように、議場を見渡せる視線を確保する。 13 表示(点字・サイン計画) 点字・サイン計画などの各種表示は、全ての人が迷うことなく施設を利用するために配慮するこ とが求められます。利用者の混乱を招かないためにも、施設内の表示はデザイン・表記法を統一 します。 (図の説明) 初めに全体像を把握するためのサイン →目的地の方向を誘導するサイン →目的地を示すサイン 全エリア共通 ・建物外から建物内各所に円滑に移動できるよう、連続性をもって設置。壁面サインを併用し、低い  目線の連続性に配慮する。 ・誘導ブロック、触知図と、接遇などの運営対応を組み合わせ、視覚障害のある方の誘導の連続性も  確保する。 ・外国人の方が多く利用すると想定されるエリアについては、必要に応じて外国語併記とし、かつ全国  的に標準化されている JIS 規格のピクトグラム(絵文字) を基本とする。 ・ピクトグラム(絵文字) については、国内で統一された規格であり広く用いられている「JIS基準」を  採用するが、 指針や基準に定めのない英訳やピクトグラムは、ISO などJIS 以外の基準や既存施  設の検討事例を踏まえて計画する。 ・トイレと更衣室などの性属性を示すピクトグラムには、文字を併記することとし、補足的に配色で識  別できることを検討する。 ・性的属性を区別することの無い施設を示すサインには、レインボーマークなどの表示を検討する。 ・書体の選定に際しては、多様な方にとって見やすいフォントを選定する。 ・色彩については、図と地色とのコントラストが十分明確になるようにし、内容が容易に識別できるも  のとする (明度差は少なくとも0 〜10 段階のマンセル表色系で5 以上)。 14 視覚障害者誘導用ブロック 主要な経路や階段の出入口などには、視覚障害者誘導用ブロックを設置します。ブロックは出来 るだけ分かりやすい色・形状・高さとすることで視覚障害のある方の安全性を確保すると同時に、 車いす使用者に出来る限り支障のない敷設を検討します。 (図の説明) 設置動線の計画例 出入口開口幅90cm 以上。入り口へ誘導するチャイムなどの音声案内を設ける。 車寄せ、タクシー乗降場、隣地などの移動等円滑化経路から、案内カウンター経由で最寄りのエレベーター乗り場まで誘導する 階段の設置例 手すりの点字表示 行く先の階を表示する 点状ブロックの敷設 「庁舎内エリア」 <来庁者エリア> ・エレベーターその他の昇降機、トイレの配置、そ  の他ユニバーサルサービス施設※などを表示し  た案内板その他の設備を設ける。 ・視覚障害者誘導用ブロックなどは原則黄色とし、  周囲の床仕上げとは輝度比2.0以上確保する。 ・危険の可能性がある場所など、歩行方向の変更  の必要性を予告する部分に、点状ブロックなどを  使用する。 ・入口階と障害者・福祉対応等の窓口のある階が異  なる場合、その階のエレベーター乗り場から障害者・  福祉対応窓口カウンターへ至る経路に、視覚障害  者誘導用ブロックを設ける。 「屋外エリア」 <不特定多数利用エリア> ・敷地境界から、建物の出入口付近に配置される  主たる案内設備または案内所に至る経路(直進  する風除室内は除く) には 、線状ブロック・点状  ブロックなどの敷設または音声誘導装置 、その  他の方法により視覚障害のある方を誘導する設  備を設置する。 ・視覚障害者誘導用ブロックなどは原則黄色とし、  周囲の床仕上げとは輝度比 2.0 以上確保する。 ・危険の可能性がある場所など、 歩行方向の変更  の必要性を予告する部分に、点状ブロックなどを  設ける。 ※ユニバーサルサービス施設:高齢者・福祉対応等の窓口、トイレ、エレベーター、ベビーケアルーム、カームダウンルーム等 15 緊急時対応 緊急時の対応では、多様な利用者の円滑な避難に配慮し、計画に組み込むこととします。利用者 にとってわかりやすい動線計画が、避難誘導の基本であり、避難介助を必要とする高齢者、障害 のある方などにとって避難に時間を要し、迅速な避難が困難になることを予め想定して、避難経 路の計画を行います。 全エリア共通 @緊急避難 緊急避難経路の役目を果たす通路には、必要に応じて、補助を必要とする人が介助者を 待つことのできる一時退避スぺースを設ける。 車いす使用者の避難ルートとなる階段には、車いす使用者用の避難補助器具の設置を検 討する。 A非常時の対応策 (1) 警報システムの設置に際しては、聴覚障害のある方にも配慮し、音だけなく視覚的に も異常を伝える装置を設置する。 各トイレには視覚的な火災警報システム/ ストロボ警報 システム(フラッシュライトの警報装置) を設置する。(その際、ストロボの最大フラッシュ レートは1Hz 〜 3Hz の間とする) (2) 火災通報装置と消火器は、トラブル発生を知らせ、消火防災器具を利用できるよう、 車いす使用者およびその他の人々がアクセスできる高さに設置する。 (3) 建物内にいる全ての人にとって分かりやすい非常時の手順と避難経路図を設ける。 視覚障害のある方やその他の人々が確実にアクセスできるよう、建物からの避難指示は、 出口にはっきりと目印を入れた平面図とともに、大きな文字で高いコントラストをつけて 示す。 (図の説明) トイレ内通路などトイレブース内からも確認できる位置に配置 16 その他の設備 その他の設備を計画する際には、各種スイッチ類の位置や仕様が誰にとっても使いやすいものと なるように配慮します。 (図の説明) ●コンセント、スイッチの高さの例 立位使用者も考慮した高さとする。 インターホン、モニター110cm程度 スイッチ・押しボタン、室内外のカードスイッチ80〜90cm程度 車いす利用者用のスイッチ、コンセントなど80〜90cm程度 コンセント(電動車いすの充電用を含む)電話・アンテナ40cm程度 ●出入り口での音声案内の例 視覚障害者がエントランスを見つけられるように、スピーカーでエントランスの場所を案内する。