令和5年度第1回品川区医療的ケア児とう支援関係機関連絡会 議事要旨 開催日時 令和5年12月5日火曜日 午後6時30分から午後8時 出席者 楠田会長、小林委員、福島委員、水江委員、菊地委員、矢野委員、原田委員、巻島委員、松ざき委員、藤田委員、佐野委員、今井委員、立木委員、石橋委員、矢木委員、榎本委員、唐澤委員 欠席者 松井委員、島崎委員 次第1 開会 次第2 挨拶 次第3 会長の互選 次第4 委員紹介 次第5 議題 (1)報告事項 品川区の取り組み、東京都医療的ケア児支援センターにおける相談状況等、世田谷区医療的ケア相談支援センターの施設視察報告 (2)意見交換 医療的ケア児とう支援の課題について (3)その他 事務連絡 議題6 閉会 配布資料 資料1 委員名簿 資料2 座席表 資料3 品川区医療的ケア児等支援関係機関連絡会運営要綱 資料4 障害者支援課における医療的ケア児への取組み 資料5 センターの相談受付状況・他区の取り組みについて 資料6 世田谷区医療的ケア相談支援センターリーフレット 議事概要 1、開会 2、挨拶 福祉部長挨拶 3、会長の互選  資料3「品川区医療的ケア児等支援関係機関連絡会設置要綱」第3条3項に基づき、委員の互選により、楠田委員が会長に選任された。 4、委員紹介 5、議題 の(1)報告事項  品川区の取り組みについて、障害者支援課、保育課、教育総合支援センター、保健センターより報告。 障害者支援課  資料4「障害者支援課における医療的ケア児への取組み」について説明 保育課 保育課では、保育園での医療的ケア児のお預かりを平成29年より実施している。当初はたん吸引と経管栄養を必要とする子どもを対象としていたが、検討を重ね今年度から医療的ケアの項目を拡充し、制度を改正したところである。その結果、現在では区立保育園、公設民営の委託園も含め、6名が在園している。また、専属の看護師を配置するほか、昭和大学病院とも連携し、毎月連絡会議を実施している。 教育総合支援センター 教育総合支援センターでは、区立学校における医療的ケア、看護等配置を令和3年度から実施しており、現在の実施内容は導尿、たん吸引、経管栄養、その他教育委員会が実施可能と判断したもの(人工肛門・ストーマのパウチ交換等)である。看護師の配置状況としては、区内5校にそれぞれ看護師1名を5日間配置している。看護師の配置に向けては、就学先の校長をはじめ、養護教諭、校医等に依頼し校内での医療的ケアに関する安全委員会を開催し、支援内容を検討したうえで教育総合支援センターが配置を決める形式となっている。 品川保健センター 保健センターで把握している医療的ケア児は38名であり、年齢は0歳から15歳となっている。(令和5年11月21日時点)医療的ケアを必要とする疾患としては、出産後の脳障害や心疾患、染色体異常など様々である。保健センターでは個別支援として、入院時の医療施設との情報共有、退院時の在宅療養支援、在宅療養に必要なサービス等の情報提供、各種相談等を行っている。また、災害時の避難行動要支援者について、毎月防災課へ報告をしており、令和5年度10月末時点において、11名となっている。 次に、東京都医療的ケア児支援センターの相談員より、資料5「センターの相談受付状況、他区の取り組みについて」を説明 当センターは、令和4年9月に開設し1年が経過した。令和5年4月から10月までの相談件数は、個別支援と地域支援を合わせて143件となっている。個別支援に関する相談は、65件となっており(令和5年4月から10月)、家族からの相談のほか、今年度は医療機関からの相談件数が増加傾向にある。家族からの相談内容については、障害児通所事業所の利用に関することのほか、レスパイトや短期入所の情報、保育所や小学校への入園に関する相談等が主である。医療機関からの相談については、ソーシャルワーカーや看護師からの退院後の障害福祉サービスに関する情報収集や、地域の相談員や医療的ケア児等コーディネーターとの連携に関する相談が多くなっている。地域支援に関する相談は、78件となっている。昨年度と比較すると、個別支援よりも地域支援に関する相談件数が増加傾向にあり、各区で医療的ケア児の相談窓口やコーディネーターの設置が進み、地域の相談体制が構築されてきていると感じている。地域支援では自治体職員からの相談が多く、相談内容としては、他区での取組み内容や、医療的ケアの行為について等が挙げられる。 また、23区内の取り組みとして、相談先の明確化、自治体内での相談窓口の設置、庁内連携体制、保育教育、学童クラブ、自治体内でのレスパイト先の確保について紹介した。今後も、23区内の様々な取組みを情報収集・提供しながら区と区を繋げ、支援に携わっていきたいと考えている。 次に、医療的ケア児等コーディネーターより、資料6「世田谷区医療的ケア相談支援センターリーフレット」について説明。 委員A 医療的ケア児等コーディネーターが集まり意見交換をするなかで、他区における先進的な取組みを知り、今後の参考にしたいとの意見が多く上がったため、当該施設を視察することとなった。世田谷区医療的ケア相談支援センター「ひなた」は、平成26年に世田谷区と社会福祉法人が共同で実施した「医療的ケアを要する障害児・者等に関する実態調査報告書」に基づき、相談先の不明確さ、医療的ケアに関する相談支援員の質の向上、本人や家族のネットワークづくり等といった課題解決に向け、令和3年度に開設された施設である。世田谷区の医療的ケア児数の推移は、平成27年の調査では127名であったが、令和4年4月には189名と約1.5倍に増加している。「ひなた」では、医療的ケア児等コーディネーターと相談支援専門員、看護師、理学療法士が在籍しており、医療的ケアに関する相談支援の拠点として、開設以来約300件のケース計画を担当している。また、医療的ケア児の最初の窓口として専門相談支援や、在宅移行支援、生活プランの作成等、医療的ケアが必要な乳幼児が退院後も安心して地域で暮らすことができるよう支援を行っている。また、「ひなたサロン」という親同士が交流・相談できる場を提供している。日常的に支援者や関係機関と連携することで、本人・家族・地域とのネットワーク構築、情報発信の場としても利用されている。現在、品川区では5名の医療的ケア児等コーディネーターが活動しているが、まだ役割が確立できていないため、活動内容を模索している。今回の施設見学を通して、実際の活動内容を見聞きし、コーディネーターが担う役割について理解が深まったと考えている。医療的ケア児の「最初の窓口」としての役割や、在宅移行の際の医療と福祉を繋ぐ役割等、今後も様々なケースに関わり、研修を積み重ねながら、品川区における医療的ケア児等コーディネーターとしての役割を確立していきたいと考えている。 各報告に対する質問、確認事項について 委員B 資料4の6に関する質問 品川区重症心身障害者の日中の活動の場について、「在宅」というフレーズがあったが、大島分類で1から4に分類されるような重症心身障害児・者が日中に行ける場所が確保されたという認識で良いか。 障害者支援課 重症心身障害者通所事業所「ピッコロ」は、大島分類を参考に重症心身障害者が日中通所できる場所として、定員6人として、平成24年6月に開設した。現在、全国重症心身障害児者を守る会が運営している。 委員B 6人の利用者の医療的ケアの度合いはどの程度か。     障害者支援課 6人全員が医療的ケアを要する利用者であり、たん吸引、経管栄養、酸素療法、排尿管理等となっている。 委員C 資料4の8に関する質問 1)品川区障害者医療ショートステイ事業について、実績として3件とあるが、 利用したい場合はどのような手続きが必要か。また、受給者証を使用した短期入所としてではなく、医療入院として扱われるのか。 2)主治医ではない医療機関への入院も可能か。 3)具体的な医療的ケアについては現段階で不明とのことだが、医療デバイスによって受け入れの可否が変わってくるという認識で良いか。 障害者支援課 1)本事業は品川区独自事業であり、現在のところ区内では一か所、「森山リハビリステーションクリニック」が対象となっている。手続きとしては、障害者支援課経由にて診療情報提供書をクリニックへ提出し、受け入れの可否を確認している。また、受給者証は不要であり、医療入院の扱いとなる。 2)主治医であることは問わない。ただし、一度は当該クリニックで受診するよう案内している。 3)医療機関の空きベッドの有無や状況等を鑑みて、クリニックが対応可能かどうかを判断することになるため、その認識で相違ない。 委員C 就労している保護者は、学校終業後の預け先確保が困難な状況にあるが、今後、学童クラブにおいて医療的ケア児を受け入れるような施策はあるか。 福祉部長 すまいるスクールに関しては、子ども未来部子ども育成課が所管となっているため、所管課へ確認の上、次回の連絡会にて情報共有させていただければと考えている。 委員D 保健センターにおける医療的ケアの状況に関する質問 1)保健センターにおいて、災害時の避難行動要支援者について、毎月防災課へ報告をしているとあったが、具体的な内容について伺いたい。 2)防災課への報告に関して、報告対象者への合意は取っているのか。 品川保健センター 1)具体的には、呼吸器を24時間装着している方、頻回のたん吸引を要する方について防災課へ報告している。 2)個別支援計画にも関係する部分であるが、同意をいただいた上で、作成、報告をしている。 議題の(2)意見交換 会長 ここまでの報告事項を踏まえて、医療的ケアに関する課題について議論したい。医療的ケア児とう支援というのは、比較的新しい医療現場であり、今まで十分に対応できていたかというと、それは全く不十分であったと言わざるを得ない。幸い法的なサポートも含めて、充実してきた状況にはあるが、医療的ケアを必要とする人は今後も増加が予想されるため、様々な分野の面々が一堂に会して意見交換をすることが最も重要となる。 委員B 1)医療的ケア児の退院後における訪問看護や、一時預かり先等の調整を小児科の看護師やメディカルソーシャルワーカーが一手に引き受けており負担となっている。こうした退院後の調整等を病院内のスタッフがすべて担うのではなく、医療的ケア児等コーディネーターや区が連携して行うべきではないか。 2)保護者から「行き場がない」、「何とか入院させたい」といった声が寄せられており、今後さらに増加した場合に不平等が発生する可能性もあるため、病院としては受け入れのルールを決めかねている。重症者や家族の負担軽減のためにも、より支援を必要としている人の受け皿が区内にあればと日々強く感じている。 会長 区でできること、都でできること、十分に役割を果たしていただきたい。一医療機関には限界があるため、行政とタイアップして取り組んでいく必要がある。 委員E 医療的ケア児として入所し、寝たきりの状態であった子どもが、現在は歩行も会話もできる状態にあるが、障害者手帳の等級が更に上がっているというケースもあり、本当に医療的ケアが必要な子どもが待機児童になるという現状がある。 会長 貴重な指摘であるが、難しい課題でもある。身体障害者手帳は、基本的には資格を有する主治医が診断するが、いわゆる重症度と基準、等級とが合っていないという指摘は、以前から医学的意見としてあるのは間違いない。背景には、様々な制度のメリットを享受する上で、等級や障害の程度に依存せざるを得ない点がある。例えば脳性麻痺の方も運動障害が固定しているとはいえ、ある程度変化することもあり得る。しかしながら、それは各主治医の判断となるため、多少誤差はあるが、制度全体としてはそういうものだと言わざるを得ない。矛盾があるのは確かである。 委員E そういった現状は理解できるが、本当に医療的ケアを必要としている子どもと同じスペースで過ごすため、事故にもなり兼ねない。我々では区分けをする事ができないため、区で別のスペースを利用するように案内する等はできないか。 会長 現状は主治医の判断が最終的なものとなるため、いわゆる第三者である行政や他の医師等が変更することはできない。ただし、的を射ている部分もあり、例えば、脳性麻痺の産科医療保障制度という制度では、身体障害1級・2級を条件としているが、実際の判定はリハビリの専門医師がビデオを使用して判定している。このような事からも、そこに誤差が生じていることは確かであるが、多くの場合、メリットを受ける利用者が、逆にデメリットとならないように判定される。つまり、グレーの場合はメリットを優先して判定されているというのが現状であるため、そういう点では第三者から見れば、齟齬があるというのは理解できる。一方で、施設として医学的な判定とは別に、施設ごとの経営や能力の範囲内で受け入れを判断することは、社会的にも医学的にも問題は無いと考える。 委員E 区にも関わってもらいながら、保護者や利用者が行き場所を失わないように様々な提案をしていただきたい。そうすることで、医療的ケアを必要とする子どもや車いすの子供等に対する受け入れ枠が広がり、待機児童を受け入れることが可能となるため、大変助かる。 会長 施設が不足しているときの対応方法としては、横のつながりを活用して効率よく施設を使っていくことが基本的な方針となる。患者であれば、重症度に合わせて病院を選ぶというのは通常の考え方であるため、同様に子どもの重症度、程度に合わせて施設を選ぶというのは必要な対応であると考える。そのためには行政の力も必要になってくるため、行政においても可能な限り対応をしていただきたい。 障害者支援課 まずは障害者支援課へ相談していただき、一緒に検討し進めていければと考えている。 委員D 本連絡会の参加者について、実際にいま現在、医療的ケアを必要とする子どもを育てている当事者に参加してもらってはどうか。対面での参加が難しい場合は事前に資料を送付したうえで、困っていることや意見等を聴取し、この場で議論する。是非とも検討いただきたい。 会長 貴重な意見として、今後検討していく。医療的ケア児は、今後も対象者が増えていくことが予想されており、対応する側にも様々な課題が増えていく。本日のように様々な立場から意見を出し合い、議論することにより、より良い医療的ケアを届けることが可能となる。本日意見交換できたことは大変貴重な機会であり、行政や当事者、保護者、東京都等による共同作業により、さらに発展させていければと考えている。 議題の(3)その他、事務連絡 第2回医療的ケア児とう支援関係機関連絡会の開催は、令和6年2月下旬〜3月を予定 6、閉会 障害者施策推進課長挨拶