品川区地域防災計画 令和5年度修正 本冊 品川区防災会議 ? 第1編 総則 第1章 令和5年度の大規模修正の趣旨と計画に定める対策の全体像 総則-5 第1 計画修正にあたっての背景と計画の特徴 総則-5 第2 対策の視点 総則-6 第2章 計画の概要 総則-8 第1 計画の目的および前提 総則-8 第2 計画の性格および範囲 総則-9 第3 計画の構成 総則-10 第4 計画への習熟 総則-11 第5 他の法令に基づく計画との関係 総則-11 第6 品川区防災会議 総則-11 第3章 品川区の現況 総則-12 第1 区の概況 総則-12 第2 地区概要 総則-18 第4章 防災機関の業務大綱 総則-20 第1 基本理念 総則-20 第2 区災害対策本部 総則-20 第3 区の事務または業務大綱 総則-24 第4 関係機関の事務または業務大綱 総則-28 ? 第2編 災害予防(防災・減災) 第1章 総則 予防-3 対策1 震災 予防-3 第1 被害想定 予防-4 第2 震災時の時間経過による活動想定 予防-9 第3 被害軽減と都市再生に向けた目標(減災目標) 予防-12 対策2 風水害 予防-15 第1 計画の前提とする災害 予防-15 第2 計画の方向性 予防-18 対策3 富士山噴火降灰 予防-19 第1 富士山噴火降灰対策の方針 予防-19 第2 富士山の現況等 予防-20 第3 富士山の被害想定 予防-21 対策4 大規模事故 予防-26 第1 対象災害 予防-26 第2 対策の基本的な考え方 予防-26 対策5 複合災害 予防-27 第1 対象災害 予防-27 第2 複合災害に備え留意すべき事項 予防-27 第2章 区民と地域の防災力向上 予防-29 対策1 品川区に関わるすべての人の参画 予防-31 対策2 防災意識の高揚 予防-32 第1 防災広報の充実 予防-32 第2 防災教育、講演会等の充実 予防-36 第3 職員に対する防災知識普及 予防-38 第4 しながわ防災体験館の活用 予防-39 対策3 防災訓練の充実 予防-40 第1 地域防災訓練 予防-40 対策4 防災区民組織の育成・強化 予防-48 第1 防災区民組織の現況 予防-48 第2 防災区民組織の育成・強化 予防-48 対策5 事業者等における防災力向上 予防-49 第1 平素からの取組み(自助) 予防-49 第2 平素からの取組み(共助) 予防-49 第3 事業者等への働きかけ(公助) 予防-50 対策6 地区防災計画の作成支援 予防-50 対策7 様々な関係者との連携 予防-51 第3章 安全なまちづくり 予防-52 対策1 防災都市づくり 予防-55 第1 地域特性に応じた防災都市づくり 予防-56 第2 高層建築物における安全対策 予防-64 第3 急傾斜地、がけ・擁壁、ブロック塀等の崩壊の防止 予防-67 第4 建築物の耐震化の促進 予防-69 第5 液状化対策の強化 予防-76 第6 エレベーター対策 予防-76 第7 落下物、家具類等の転倒・落下・移動の防止 予防-78 第8 文化財の安全対策 予防-79 第9 マンションの在宅避難の普及 予防-79 対策2 防火対策 予防-80 第1 出火等の防止 予防-80 第2 初期消火体制の強化 予防-86 第4章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 予防-94 対策1 インフラ対策 予防-96 第1 道路・橋梁 予防-97 第2 鉄道施設 予防-100 第3 河川・港湾 予防-106 対策2 緊急輸送ネットワーク 予防-108 第1 緊急輸送ネットワーク 予防-108 対策3 ライフライン対策 予防-110 第1 水道 予防-111 第2 下水道 予防-113 第3 電気・ガス・通信等 予防-115 対策4 公共建造物対策 予防-122 第1 公共建造物 予防-122 第5章 災害対応体制 予防-124 対策1 職員活動体制 予防-126 第1 災害対応体制の確立 予防-126 第2 業務継続体制の確保 予防-130 対策2 関係機関との連携 予防-133 第1 連携体制の確立 予防-133 第2 広域連携体制の構築 予防-136 対策3 応急活動拠点 予防-137 第1 応急活動拠点の整備 予防-137 第6章 情報通信 予防-139 対策1 情報通信体制 予防-141 第1 情報通信連絡手段の整備 予防-141 対策2 区民への情報伝達体制 予防-146 第1 災害広報に係る情報提供手段の整備 予防-146 第2 報道機関への対応 予防-147 第7章 備蓄・輸送対策 予防-148 対策1 備蓄物資等の確保 予防-150 第1 食料および生活用品等の確保 予防-150 第2 応急給水による飲料水および生活用水の確保 予防-153 第3 備蓄体制の整備 予防-154 対策2 輸送体制の整備 予防-156 第1 関係機関と連携した輸送体制の整備 予防-156 第2 輸送車両等の確保 予防-157 第3 燃料の確保 予防-158 第8章 避難者対策 予防-159 対策1 避難体制 予防-161 第1 避難指示等の基準 予防-161 第2 地震発生時の避難施設の役割 予防-163 第3 風水害発生時の避難施設の役割 予防-166 第4 避難方法の周知等 予防-168 第5 安全確保計画の策定 予防-169 第6 避難所等の指定・安全化 予防-170 対策2 区民避難所の管理・運営体制の整備 予防-175 第1 区民避難所の管理・運営体制の整備 予防-175 対策3 要配慮者の安全確保 予防-182 第1 要配慮者の安全確保 予防-182 対策4 在宅避難 予防-188 第1 在宅避難の普及 予防-188 第2 在宅避難者の支援方法の検討 予防-188 第9章 帰宅困難者対策 予防-189 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 予防-191 第1 従業員等の施設内待機・帰宅抑制 予防-191 第2 施設利用者受入体制の確保 予防-193 対策2 滞留者への情報提供体制の整備 予防-195 第1 区として実施する帰宅困難者対策 予防-195 対策3 一時滞在施設の確保および支援体制の整備 予防-196 第1 区として実施する帰宅困難者対策 予防-196 第2 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 予防-197 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 予防-198 第1 徒歩帰宅者の帰宅支援 予防-198 第10章 受援体制 予防-200 対策1 受入体制 予防-202 第1 受入体制構築に向けた基本方針 予防-202 第2 受入体制の整備 予防-203 第3 受入体制の充実に向けた取組み 予防-204 対策2 人的支援の受入れ 予防-205 第1 人的支援の受入体制構築に向けた基本方針 予防-205 第2 応援団体の受入体制の整備 予防-205 対策3 物的支援の受入れ 予防-208 第1 物的支援の受入体制構築に向けた基本方針 予防-208 第2 支援物資等の受入体制の整備 予防-208 第3 義援物資の受入れ 予防-209 第11章 医療救護等対策 予防-210 対策1 初動医療体制 予防-212 第1 初動医療体制の構築 予防-212 対策2 医薬品・医療資器材の確保 予防-217 第1 医薬品・医療資器材の確保 予防-217 対策3 遺体の取り扱い 予防-218 第1 遺体の収容・火葬体制の確保 予防-218 第12章 津波対策 予防-220 対策1 活動・避難体制 予防-222 第1 避難指示の発令基準 予防-223 第2 水防資機材の整備 予防-227 対策2 区民等への情報提供 予防-228 第1 津波警報・注意報等の情報収集、伝達体制の構築 予防-228 対策3 津波による浸水被害の軽減 予防-229 第1 施設の整備等 予防-229 第13章 放射性物質対策 予防-231 対策1 活動体制の整備 予防-232 第1 放射線対策に係る体制の構築 予防-232 対策2 区民等への情報提供 予防-233 第1 原子力防災に関する知識の普及啓発 予防-233 対策3 放射線等使用施設における予防措置 予防-234 第1 放射線等使用施設への対応 予防-234 第14章 洪水・高潮対策および都市型水害対策 予防-235 対策1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 予防-237 第1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 予防-237 第2 防災拠点施設における浸水対策と資機材の備蓄の推進 予防-237 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 予防-238 第1 平常時からの情報提供 予防-238 第2 洪水予報等に関する情報の収集・伝達 予防-238 第3 区民への雨量等の情報提供 予防-241 対策3 浸水被害の軽減 予防-242 第1 河川の整備 予防-242 第2 下水道の整備 予防-243 第3 流域における雨水対策 予防-244 第4 水位・雨量情報システムの整備 予防-244 第5 建造物対策 予防-244 第6 鉄道施設に係る浸水対策 予防-245 第15章 土砂災害対策 予防-246 対策1 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 予防-248 第1 土砂災害警戒区域の指定 予防-248 第2 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 予防-248 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 予防-249 第1 平常時からの情報提供 予防-249 第2 土砂災害に関する情報の収集・伝達 予防-249 対策3 がけ崩れ対策 予防-250 第1 防災上危険ながけ・擁壁の改善指導等 予防-250 第16章 竜巻対策 予防-251 対策1 災害情報の収集・伝達体制の整備 予防-252 第1 竜巻情報等気象情報の収集・伝達 予防-252 対策2 予防知識の啓発・普及 予防-252 第1 竜巻予防の啓発・普及 予防-252 第17章 富士山噴火降灰対策 予防-254 対策1 災害時対応体制の確立 予防-255 第1 災害対策本部の組織・運営 予防-255 第2 対応に必要な機材の備蓄 予防-256 第3 降灰時の対応行動の周知 予防-256 第18章 大規模火災対策 予防-258 対策1 火災の予防 予防-259 第1 防火意識の普及徹底等 予防-259 対策2 建築物等の防火対策 予防-260 第1 一般建築物等の防火対策に関する指導 予防-260 第2 高層建築物の防火対策(防火管理および防災管理の充実強化) 予防-260 第19章 危険物事故対策 予防-261 対策1 危険物施設の安全化 予防-262 第1 危険物等の安全対策に関する指導等 予防-262 対策2 危険物等の輸送の安全化 予防-263 第1 危険物等の輸送時における安全対策に関する指導等 予防-263 対策3 災害時対応体制の確立 予防-264 第1 高圧ガス保管施設の連絡体制の整備 予防-264 第2 応急用資機材の整備 予防-264 第20章 大規模事故対策 予防-265 対策1 航空機事故対策 予防-266 第1 航空機による墜落・衝突事故等の防止 予防-266 対策2 鉄道事故対策 予防-267 第1 列車の衝突、脱線等の鉄道事故の防止 予防-267 対策3 道路・橋梁・トンネル災害対策 予防-269 第1 所管する道路等の安全確保 予防-269 第21章 区民生活の再建 予防-271 対策1 生活再建のための準備 予防-273 対策2 罹災証明の発行準備 予防-275 対策3 被災住宅の応急修理 予防-276 対策4 応急仮設住宅等 予防-277 対策5 応急教育・保育 予防-278 第1 応急教育に係る事前準備 予防-278 第2 応急保育に係る事前準備 予防-278 対策6 災害がれき処理のための事前準備 予防-279 第1 災害がれき処理体制の整備 予防-279 対策7 生活ごみ・片付けごみ処理のための事前準備 予防-280 第1 迅速な処理体制の整備 予防-280 第2 災害廃棄物に係る知識の普及啓発 予防-280 対策8 トイレの確保およびし尿処理のための準備 予防-281 第1 災害用トイレの確保 予防-281 第2 災害用トイレ係る知識の普及啓発 予防-281 第3 し尿の収集運搬について 予防-281 ? 第3編 災害応急対策 第1部 震災応急対策 応急-3 第1章 安全なまちづくり 応急-3 対策1 施設の応急対策 応急-5 第1 公共の安全確保、施設の本来機能の回復 応急-6 第2 河川や公共施設の応急対策等による二次被害防止 応急-8 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 応急-10 対策1 インフラ対策 応急-12 第1 道路・橋梁 応急-13 第2 鉄道施設 応急-15 第3 河川 応急-26 対策2 ライフライン対策 応急-28 第1 水道(都水道局) 応急-29 第2 下水道(都下水道局) 応急-33 第3 電気・ガス・通信など 応急-35 第3章 災害対応体制 応急-41 対策1 職員活動体制 応急-43 第1 災害対応体制の確保 応急-43 対策2 関係機関との連携 応急-47 第1 救助・救急活動体制の確保 応急-47 第2 応援協力・派遣要請 応急-59 対策3 応急活動拠点 応急-65 第1 応急活動拠点の調整 応急-65 対策4 警備・交通規制の実施 応急-66 第1 警備の実施 応急-66 第2 交通規制の実施 応急-67 第4章 情報通信 応急-69 対策1 情報通信体制 応急-71 第1 被害状況等の収集・伝達体制 応急-71 第2 防災関係機関との連絡体制 応急-75 対策2 区民への情報伝達体制 応急-76 第1 区による災害広報活動 応急-76 第5章 備蓄・輸送対策 応急-80 対策1 備蓄物資等の供給 応急-83 第1 備蓄物資の供給 応急-83 第2 応急給水による飲料水および生活用水の供給 応急-85 第3 支援物資の受入れ配分調整 応急-86 第4 寄付による支援物資の取扱い 応急-87 対策2 緊急車両等による輸送 応急-88 第1 緊急車両等による輸送 応急-88 第2 輸送および配布 応急-89 第3 燃料供給要請 応急-91 対策3 水・食料・生活用品の安定供給 応急-92 第1 水・食料・生活用品の安定供給 応急-92 第6章 避難者対策 応急-93 対策1 避難誘導 応急-95 第1 避難誘導に向けた準備 応急-95 第2 避難行動および避難誘導 応急-97 対策2 区民避難所の開設・運営等 応急-100 第1 区民避難所の開設・運営 応急-100 第2 共同生活をする上での配慮 応急-105 第3 避難者の他地区への移送 応急-108 対策3 在宅避難 応急-109 第1 在宅避難者への支援 応急-109 第7章 帰宅困難者対策 応急-110 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 応急-115 第1 事業者等における帰宅困難者対策 応急-115 第2 集客施設および駅等における施設利用者の保護 応急-116 対策2 滞留者への情報提供 応急-117 第1 滞留者への情報提供 応急-117 対策3 一時滞在施設の運営 応急-118 第1 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 応急-118 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 応急-119 第1 徒歩帰宅者の支援 応急-119 第2 輸送手段の提供 応急-120 第8章 受援体制 応急-121 対策1 受入体制 応急-124 第1 災害対策本部における対応 応急-124 第2 応援要請の判断の目安 応急-125 第3 国、都による代行 応急-126 対策2 人的支援の受入れ 応急-127 第1 地方自治体職員等の受入れ 応急-127 第2 災害ボランティアの受入れ 応急-130 第3 専門機関等の受入れ 応急-133 対策3 物的支援の受入れ 応急-136 第1 円滑な物資供給に向けた基本方針 応急-136 第2 物的支援の受入れ 応急-136 第9章 医療救護等対策 応急-139 対策1 初動医療体制 応急-142 第1 初動連絡体制等の確立 応急-142 第2 初動医療体制の確立 応急-142 第3 負傷者等の搬送 応急-144 第4 保健相談活動 応急-146 対策2 医薬品・医療資器材の確保 応急-147 第1 災害薬事センターの設置 応急-147 第2 備蓄品・医薬品の要請 応急-147 対策3 防疫体制 応急-148 第1 感染症対策に係る防疫体制の配備 応急-148 対策4 遺体の取り扱い 応急-151 第1 行方不明者の捜索 応急-152 第2 遺体の検視・検案・身元確認等 応急-154 第3 遺体の火葬 応急-155 第10章 津波対策 応急-157 対策1 活動・避難体制 応急-159 第1 人員配備・水防資機材の確保 応急-159 第2 避難対象地域からの区民等の避難誘導 応急-162 第3 被災者の域外避難 応急-163 対策2 津波による浸水被害の軽減 応急-166 第1 河川・港湾施設の応急復旧、緊急工事等 応急-166 第11章 放射性物質対策 応急-168 対策1 活動体制の整備 応急-170 第1 放射線対策に係る体制の配備 応急-170 対策2 区民等への情報提供 応急-171 第1 区民等への情報提供 応急-171 対策3 放射性物質に対する応急措置 応急-172 第1 区民等の避難対策の実施 応急-172 第2 区が実施する保健医療活動 応急-172 第3 放射線物質による区内の影響への対応 応急-172 第12章 区民生活の再建 応急-173 対策1 罹災証明の発行 応急-178 第1 家屋・住家被害状況調査等 応急-178 第2 罹災証明の発行 応急-178 対策2 義援金の募集・受付・配分 応急-180 第1 義援金品の募集・受付等 応急-180 第2 義援金品の配分 応急-181 対策3 被災者支援 応急-182 第1 被災者の生活相談等の支援 応急-182 第2 被災者の生活再建資金援助等 応急-183 第3 職業のあっ旋 応急-184 第4 区税・保険料等の徴収猶予および減免 応急-185 第5 被災建築物および宅地の余震等に対する危険度判定 応急-187 対策4 応急教育・保育 応急-188 第1 応急教育 応急-188 第2 応急保育 応急-189 対策5 災害廃棄物処理 応急-191 第1 初動体制の構築 応急-191 第2 災害がれき処理の実施 応急-192 第3 生活ごみ処理の実施 応急-196 第4 し尿処理の実施 応急-198 第5 災害廃棄物処理実行計画の作成 応急-201 第6 区民やボランティアへの周知 応急-201 対策6 災害救助法等の適用 応急-202 第1 災害救助法の適用 応急-202 第2 激甚災害の指定 応急-205 第2部 風水害応急対策 応急-212 第1章 安全なまちづくり 応急-212 対策1 施設の応急対策 応急-213 第1 道路・橋梁 応急-213 第2 河川 応急-213 第3 社会公共施設等 応急-214 第4 区立幼稚園・区立学校の施設 応急-216 第5 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館の施設 応急-216 第6 文化財について 応急-217 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 応急-218 対策1 インフラ対策 応急-219 第1 交通の確保 応急-219 第2 鉄道施設 応急-219 対策2 ライフライン対策 応急-220 第1 上水道(都水道局) 応急-220 第2 下水道施設(都下水道局) 応急-220 第3 ガス施設 応急-221 第4 通信施設 応急-221 第3章 災害対応体制 応急-223 対策1 水防情報 応急-226 第1 気象情報 応急-226 第2 気象情報伝達 応急-228 第3 洪水予報伝達 応急-229 第4 警報の種類 応急-229 第5 土砂災害警戒情報伝達 応急-230 第6 観測通報 応急-230 対策2 水防機関の活動 応急-231 第1 区の水防活動 応急-231 第2 区災害対策本部の設置・運営 応急-234 第3 倉庫および資機材 応急-238 第4 水防工法 応急-239 第5 竜巻対策 応急-239 第6 雪害対策 応急-241 第7 費用および公用負担 応急-241 対策3 消防機関が実施する水防活動計画 応急-243 第1 消防機関の水防活動 応急-243 対策4 応援協力 応急-244 第1 相互応援協力 応急-244 第2 自衛隊への災害派遣要請 応急-244 対策5 災害救助法の適用 応急-244 対策6 警備活動 応急-244 対策7 交通規制 応急-245 第1 交通秩序の維持 応急-245 第4章 情報通信 応急-246 対策1 情報通信連絡体制 応急-248 第1 通信連絡体制の確保 応急-248 第2 防災関係機関との情報連絡系統 応急-249 対策2 被害状況の報告体制 応急-250 第1 被害状況等の本部への報告 応急-250 第2 水防活動の都への報告 応急-250 第3 被害状況等の都への報告 応急-251 対策3 広報・広聴等 応急-252 第1 区による広報活動 応急-252 第2 ケーブルテレビ品川による広報活動 応急-254 第5章 備蓄・輸送対策 応急-255 第6章 避難者対策 応急-256 対策1 避難指示等の発令 応急-258 第1 避難の指示等 応急-258 第2 避難指示等の発令 応急-262 第3 避難指示等の伝達 応急-263 対策2 避難誘導 応急-263 第1 避難誘導 応急-263 第2 避難施設の役割 応急-264 対策3 避難所の開設・管理運営 応急-266 第7章 帰宅困難者対策 応急-267 第8章 受援体制 応急-267 第9章 医療救護等対策 応急-267 第10章 区民生活の再建 応急-268 第1 災害がれき処理の実施 応急-268 第3部 富士山噴火降灰応急対策 応急-270 第1章 災害時対応体制の確保 応急-270 対策1 区災害対策本部の組織・運営 応急-270 対策2 庁舎等の保全・機能確保 応急-271 第2章 情報の収集・伝達 応急-272 対策1 噴火警報等 応急-273 第1 噴火警報 応急-273 第2 噴火予報 応急-273 対策2 火山(降灰)情報 応急-273 対策3 降灰状況等の報告 応急-275 対策4 降灰予報 応急-275 第1 降灰予報(定時) 応急-275 第2 降灰予報(速報) 応急-275 第3 降灰予報(詳細) 応急-276 第4 情報連絡体制 応急-277 第5 広報活動 応急-278 第3章 応援協力・派遣要請 応急-279 第4章 警備・交通規制 応急-279 対策1 警備活動 応急-280 対策2 交通規制 応急-280 第1 交通情報の収集と交通統制 応急-280 第2 交通規制 応急-280 第5章 避難 応急-281 第6章 救援・救護 応急-281 第7章 インフラの応急対策 応急-281 第8章 ライフライン等の応急対策 応急-281 第9章 火山灰の収集および処分 応急-282 第1 火山灰の収集・運搬 応急-282 第2 火山灰の処分・最終処分場の確保 応急-282 第4部 大規模事故応急対策 応急-283 第1章 初動体制 応急-283 対策1 区災害対策本部の活動 応急-284 対策2 消防機関の活動 応急-284 対策3 警察機関の活動 応急-284 第2章 情報の収集・伝達 応急-286 対策1 情報連絡体制 応急-287 対策2 通信連絡態勢の確立 応急-287 第3章 広報・広聴活動 応急-287 第4章 救急・救助・医療 応急-288 対策1 医療救護活動支援 応急-288 対策2 消防関係 応急-289 第5章 避難対策 応急-290 対策1 避難対策 応急-290 第6章 交通・輸送対策 応急-291 第7章 危険物輸送車両等の応急対策 応急-292 対策1 危険物輸送車両の応急対策 応急-292 対策2 流出油の応急対策 応急-293 第8章 自衛隊の派遣要請 応急-294 第9章 事故別の主な災害対応(防災関係機関の役割) 応急-295 対策1 危険物事故対策時における関係機関の役割 応急-295 対策2 航空機事故時における関係機関の役割 応急-296 対策3 鉄道事故時における関係機関の役割 応急-297 対策4 道路・橋梁・トンネル事故時における関係機関の役割 応急-298 対策5 流出油等対策 応急-299 第1 調査および指導 応急-299 第2 防除措置の指示等 応急-299 第3 沿岸漂着油の除去 応急-299 第4 災害発生の措置 応急-299 ? 第4編 災害復旧対策 第1部 震災復旧対策 復旧-3 第1章 安全なまちづくり 復旧-3 対策1 施設の早期復旧 復旧-4 第1 都市施設の復旧計画 復旧-5 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 復旧-10 対策1 公共建造物対策 復旧-11 第1 公共建造物 復旧-11 第2 区立学校の復旧 復旧-12 第3章 区民生活の再建 復旧-13 対策1 被災住宅の応急修理 復旧-14 第1 被災住宅の応急修理 復旧-14 対策2 応急仮設住宅等の供給 復旧-16 第1 応急仮設住宅等の設置・供給 復旧-16 第2 建設資材の調達 復旧-18 第2部 風水害復旧対策 復旧-19 第1章 安全なまちづくり 復旧-19 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 復旧-19 対策1 ライフライン対策 復旧-20 第1 電気施設 復旧-20 第3部 富士山噴火降灰復旧対策 復旧-21 第1章 インフラの復旧対策 復旧-21 第2章 ライフラインの復旧対策 復旧-21 第3章 宅地の降灰対策 復旧-21 対策1 宅地の降灰対策 復旧-22 ? 第5編 災害復興対策 第1章 復興の基本的な考え方 復興-3 第1 基本的な考え方 復興-3 第2 震災復興マ二ュアルの見直し 復興-3 第2章 復興事前準備 復興-4 第1 区民・事業者との復興後のイメージ共有に向けた事前復興まちづくり訓練の検討 復興-4 第2 職員の復興に対する訓練への継続的参加 復興-5 第3 まちづくりについての合意形成、区民参加 復興-5 第4 復興を円滑に推進するためのデータの収集・蓄積等 復興-5 第3章 復興計画 復興-6 第1 復興本部の設置 復興-6 第2 復興本部の役割および災害対策本部との関係 復興-7 第3 復興計画の策定 復興-7 第4章 都市復興 復興-8 第1 都市復興基本方針の策定等 復興-8 第2 都市復興基本計画の策定 復興-9 第3 都市復興事業の推進 復興-10 第5章 生活復興 復興-11 第1 住宅復興 復興-11 第2 産業復興 復興-12 第3 くらしの復興 復興-12 第1編 総則 第1章 令和5年度の大規模修正の趣旨と計画に定める対策の全体像 第2章 計画の概要 第3章 品川区の現況 第4章 防災機関の業務大綱 ? 品川区の防災力の高度化を図る 東日本大震災を契機として、区では災害対策を最重点施策と位置付け、平成29年度に地域防災計画の大幅な修正を行った。また、平成29年度の修正以降も、災害対策基本法をはじめとした関係法令の改正、都市基盤の整備状況、地域の災害対策の取組みの実情に応じて、小規模な修正を行っている。 また、平成25年6月の災害対策基本法等の一部を改正する法律が施行されたことを受け、災害時の被害を軽減させるべく災害対策における基本理念の明確化や防災に関する取組み、防災体制のさらなる充実が求められることとなった。これを受け、平成26年4月1日に「品川区災害対策基本条例」を施行し、一人ひとりが自らの安全を守るという自助、地域や身近にいる人同士が互いに助け合うという共助、そして、行政が自助および共助を支援し、区民の安全を確保するという公助に基づき、それぞれが役割を果たし、総力を結集して、「しながわの防災力の高度化」を図ることとした。 さらに、東日本大震災以降も、平成28年の熊本地震や令和元年台風第19号、令和2年7月豪雨など、全国各地で激甚な災害が頻発し、これらの災害においては、自治体間の広域避難体制による「公助」の重要性や、平常時から災害時にかけての「自助」「共助」の役割の重要性が鮮明となった。 この地域防災計画は、災害対策基本条例の基本理念である「自助」「共助」「公助」の考え方に基づく防災体制や災害対策について、現時点における最新の知見をもとに作成したものである。 ? 【用語の解説】 @災害対策基本法 日本の災害対策に関する基本法のことをいう。1961年に公布された。防災行政に関する国と地方公共団体および住民の一般的責務を明確にするとともに、防災行政に関する組織、防災計画、災害予防、災害応急対策等について詳細な規定を定めている。 防災行政の基本的組織として国に中央防災会議、地方公共団体に地方防災会議、非常時の組織として国に非常災害対策本部、地方公共団体に災害対策本部をそれぞれ置くこととしている。 死者・行方不明5,000人超、全国的に多大な被害をもたらした1959年9月の伊勢湾台風を契機として制定された。 A品川区災害対策基本条例 災害から生命、身体、財産、暮らし、まちを自分たちの手で守るため、すべての人が防災に関する目標を共有し、力を合わせて災害対策に取組むため、平成26年4月1日に施行された条例のことをいう。 災害対策への取組みに重要な「自助」「共助」「公助」の考え方を明確にし、区の責務および区民、防災区民組織、事業者それぞれの努めと役割を示している。 B国勢調査 日本の人口や世帯の実態を明らかにすることを目的として行われる国の最も重要な統計調査のことをいう。日本国内に住んでいるすべての者を対象とし、大正9年(1920年)以来5年ごとに実施されている。 調査項目 男女別人口、人口密度、年齢(3区分)別人口・割合、世帯の家族類型別世帯 数(核家族世帯、単独世帯、高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、3世代世帯)、 産業(3部門、大分類)別就業者数、昼間人口、昼夜間人口比率 等 C東京都の被害想定 都は、東日本大震災を踏まえ、平成24年4月に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」を全面的に見直すこととし、東京都防災会議の地震部会において検討を進めてきた。その結果を令和4年5月に「首都直下地震等による東京の被害想定」報告書としてとりまとめたものをいう。 DTOKYO強靭化プロジェクト 「風水害」「地震」「火山噴火」「電力・通信等の途絶」および「感染症」の5つの危機に対して、東京の強靭化に向けた目指す到達点と、2040年代までの施策の全体像を明らかにし、都が実施する事業をとりまとめたものをいう(令和4年12月策定)。 E東京都地域防災計画 都の地域における地震災害の予防、応急対策および復旧・復興対策を実施することにより、住民の生命、身体および財産を保護することを目的とし策定したものをいう。震災編は、被害想定を踏まえ令和5年5月に修正されている。 ? 第1章 令和5年度の大規模修正の趣旨と計画に定める対策の全体像 第1 計画修正にあたっての背景と計画の特徴 @?平成29年度修正では、熊本地震における課題として注目された、広域応援に関する受援体制や避難に関する様々な教訓等について「平成28年熊本地震支援の記録」(平成28年11月、東京都)などを踏まえ修正を行った。 A 令和5年度修正においては、「首都直下地震等による東京の被害想定」(令和4年5月発表)、想定結果の内容を踏まえた「東京都地域防災計画(震災編)」の修正内容と整合を図るとともに、関連法の改正や国の防災基本計画の修正、過去の災害教訓や事例、区の防災訓練の成果などを踏まえ修正を行った。過去の災害を踏まえた対応については、令和元年台風第19号(東日本台風)のほか近年の風水害を踏まえ、多様化する避難に対する基本的な考え方、災害時における非常勤務態勢の整理等を行った。また、幅広い世代が参加する訓練の実施や地区防災計画の作成支援等、今後の共助のあり方について修正を行った。さらに、都、区、各防災機関との連携の強化および自助・共助に基づく地域防災力の向上を図るために実施した、令和4年度東京都・品川区合同総合防災訓練の成果などを踏まえ、修正を行った。 ? 第2 対策の視点 1 対策を「進める」 (1)自助、共助の防災対策の充実化 区民一人ひとりの防災意識や地域防災力の向上に向け、対策の基本的な考え方を示す。 @ 区民一人ひとりが防災に対する意識を高め、災害時に適切な行動をとることができるように、防災に係る広報の充実とともに、多様な学習機会の提供方法について検討していく。 A 地区居住者等による共助での防災活動を推進するため、平常時から地域コミュニティ活動を支援するとともに、地区防災計画の支援体制を検討し、作成を促進する。 B 避難行動要支援者の支援体制を実効性のあるものとするため、品川区避難支援個別計画書(個別避難計画)の作成を進めるとともに、避難支援等関係者他、支援者の確保に努める。 (2)多様化する避難に対する基本的な考え方の見直し 多様化する避難、避難所生活環境の整備に対し、対策の基本的な考え方を示す。 @ 区民避難所等のほか、自宅での生活が可能な場合における在宅での避難、親戚・知人宅やホテル等への避難等、状況に応じた多様な避難行動の実践について啓発を行う。 A 近年の災害における避難所運営の教訓等を踏まえ、避難所運営におけるジェンダー・ギャップの解消、要配慮者や在宅避難者(高層マンションを含む)の支援、性的マイノリティや文化・宗教上の理由に配慮した避難所環境の整備、ペット対策について検討し、避難所開設・運営マニュアルを整備、避難所運営訓練の実施に努める。 B 新型コロナウイルス感染症を踏まえ、区では、新型コロナウイルス感染症に係る避難所運営マニュアルを作成した。引き続き、避難所での感染症対策について、必要な物資の備蓄や医療体制の整備について推進していく。 (3)被災者の生活再建に向けた支援の充実化 被災者の生活再建支援について、対策の基本的な考え方を示す。 @ 被災者生活再建支援システムを活用した、罹災証明書の迅速な発行体制、被災者台帳に基づく生活再建支援、デジタル技術による申請の電子化等について、検討していく。 A 発災後の区民の被害状況や生活需要を把握するため、被災者生活実態調査の実施を計画に位置付け、具体的な実施方法を平常時から検討していく。 B 生活再建支援に係る総合相談窓口の設置体制、災害ケースマネジメント(関係者が連携し、被災者に対して、きめ細やかな支援を継続的に実施する取組み)の仕組みの整備について検討する。 (4)災害対応体制等の強化 災害対策本部の役割、各課の災害対応体制等について基本的な考え方を示す。 @?平常時から各課に防災担当職員を設置するなどして災害対応に係る体制を強化することを検討する。 A 災害対策本部と復興本部の位置付け、業務の移行方法について、計画に改めて記載し、詳細を震災復興マニュアルの見直しにあわせて検討する。 B 災害時における区有施設指定管理者との協力体制の構築について計画に位置付け、区との役割分担について検討していく。 (5)多様な視点を踏まえた対策の推進 多様な視点を踏まえた対策をさらに進める。 ジェンダーを専門とする学識経験者等の委員が出席する会議で意見を伺い、計画へ反映する。さらに、ジェンダー平等の多様な視点に一層配慮した検討を行うため、防災に関する政策・方針決定過程および防災の現場において、女性、子育て中の世代、高齢者、障害者や難病患者、外国人等の参画を拡大し、防災対策を推進する。 2 新たな視点を「加える」 (1)今後の共助のあり方を追加 幅広い世代が参加する訓練の実施や地区防災計画の作成を支援する。 地域すべての、幅広い世代(親子・高齢者・障害者)が参加する訓練を実施するとともに、各防災協議会を単位として、地域の特性に応じた地区防災計画の作成を支援する。 (2)複合災害への対応を追加 職員等を対象に複合災害への対応に係る訓練の実施を検討する。 複合災害を想定した図上訓練、関係機関と合同による災害対策本部の立ち上げなど、実働訓練を行い、結果を踏まえ、災害ごとの対応計画の見直しに努める。 3 使いやすい資料構成に「見直す」 これまで、「総則編」のほか、「震災編」「風水害編」「その他編(富士山噴火降灰対策および大規模事故対策)」で災害事象別で構成されていた計画を「災害予防(防災・減災)」「災害応急対策」「災害復旧対策」の視点で再構成することで、災害対応のフェーズごとに取るべき対策を確認できるように変更した。 なお、「災害復興対策」は、修正前の計画と同様、1つの編として位置付けている。 ? 第2章 計画の概要 第1 計画の目的および前提 1 計画の目的 @ 品川区地域防災計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定に基づき品川区防災会議が作成する計画である。 A その目的は、区および防災関係機関等がその有する全機能を有効に発揮して、区の地域における震災および津波・風水害・火山災害等に係る災害の予防、応急・復旧対策および復興に係る一連の対策を定め、総合的かつ計画的に実施することにより、区の地域ならびに区民の生命、身体および財産を災害から保護することにある。 2 計画の前提 (1)地域防災計画修正までの主な経過 @ 平成23年3月11日に発生した東日本大震災という未曾有の大災害により、各地に甚大な被害がもたらされ、都内においても様々な混乱が生じた。震災を契機にこれまでの防災対策のあり方が問われ、従来の対策を見直し、品川区の防災力をさらに向上させる必要があった。品川区では、品川区災害対策基本条例を策定し、災害時医療対策、高齢者・障害者等災害時要援護者対策、都市機能復旧対策、避難対策のあり方について協議し、防災対策を推進してきた。 A?風水害については、要配慮者利用施設の入所者等が被災した平成28年台風第10号や平成29年九州北部豪雨の教訓や、平成29年6月改正の水防法・土砂災害防止法に基づき公表された浸水想定区域等に立地する要配慮者利用施設について、計画に位置付けた。また、令和元年台風第19号(東日本台風)等を踏まえ、令和3年に災害対策基本法が改正され、警戒レベル4の避難勧告と避難指示を「避難指示」に一本化するなど、避難情報の見直しが行われたことを踏まえ、修正を行っている。 B?都では、東日本大震災の発生後、平成24年4月に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」を全面的に見直し、東京都防災会議の地震部会において検討を進め、令和4年5月に「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表した。 C?都では、「TOKYO強靭化プロジェクト」を令和4年12月に策定するとともに、新たな被害想定で明らかになった震災リスクから、都民の命とくらしを確実に守るため、東京の総力を挙げて防災対策を進める上での羅針盤となる地域防災計画(震災編)を令和5年5月に修正した。 D?本計画は、以上の経過とともに、近年の災害教訓や事例、品川区で実施した防災訓練の成果などを踏まえ作成したものである。 (2)計画の前提 @?この計画は、平成23年の東日本大震災から平成28年の熊本地震、平成28年台風第10号や令和3年8月の大雨まで、最近の災害から得た教訓、近年の社会経済情勢の変化、および区民へ実施したパブリックコメント・区議会などの提言を可能な限り反映し策定した。また、「品川区長期基本計画」(令和2年4月策定)、「品川区強靭化計画」(令和4年3月策定(令和5年1月一部修正))、「品川区まちづくりマスタープラン」(令和5年3月改定)と整合を図り策定した。なお、上位計画である「品川区長期基本計画」では、「地域」「人」「安全」3つの政策分野を掲げ、「安全」の政策分野における「区民を災害から守る対策の推進」では、10年後のめざす姿を実現するための基本的な考え方を「災害対策を総合的に推進する」「市街地の防災性を高める」「地域の防災力を強化する」「応急活動体制を強化する」と定め、主な施策を位置付けている。 A 災害対策については、被災者の視点に立って対策を推進することが重要であり、とりわけ、子ども、女性、高齢者、障害者などに対しては、きめ細かい配慮が必要である。東日本大震災において明らかとなった、女性、高齢者等への配慮が熊本地震においても十分には活かされなかったことを踏まえ、国は防災基本計画の見直しや災害対策基本法の改正を行っている。区としても、こうした動向を踏まえて、計画を策定した。 B?なお、防災に関する政策・方針決定過程および防災の現場において、女性、高齢者、障害者などの参画を拡大し、多様な視点に配慮した防災対策を推進する。 第2 計画の性格および範囲 @?本計画は、区の地域に係る災害に対し、区の処理すべき事務または業務を中心として、都および指定地方行政機関等が処理する事務または業務を包含する総合的かつ基本的な計画である。 A 本計画は、区、都および指定地方行政機関等の責任を明確にするとともに、事務または事業の一貫性を図る能動的な計画である。 B?本計画は、災害救助法(昭和22年法律第118号)に基づき都知事が実施する救助事務のうち、同法第30条の規定に基づき、都知事から区長に委任された場合の計画、または都知事が実施する救助事務を補助する場合の計画および同法適用前の救助事務に関する計画を包含する総合的計画である。 C 本計画は、震災および風水害等の災害に対処するための恒久的計画である。 ? 第3 計画の構成 図表1-1 計画の構成 ? 第4 計画への習熟 区および防災関係機関は、平素から危機管理の一環として、災害対策を推進する必要がある。このため、各種災害に関する施策、事業が本計画に合致しているかを点検し、必要に応じて見直しを行う。また、区および防災関係機関はそれぞれの責務が充分に果たせるように、自ら、もしくは共同し、防災に関する調査・研究に努めるとともに、所属職員に対する災害時の役割などを踏まえた実践的な教育・訓練の実施などを通して本計画に習熟し、災害への対応能力を高めなければならない。 第5 他の法令に基づく計画との関係 この計画は、区の地域に係る震災および風水害等の災害に関して、総合的かつ基本的な性格を有するものであって、災害対策基本法第42条の規定により東京都地域防災計画に抵触するものではない。ただし、地域特性を踏まえた独自の対策を立てる場合には、防災会議において審議するものとする。 第6 品川区防災会議 1 設置の目的 災害対策基本法第16条第1項の規定に基づき、品川区地域防災計画を作成し、計画を推進するほか、区長の諮問に応じて防災に関する重要事項を審議することを目的とする。 2 委員の構成 区長を会長とし、防災関係機関、区職員等から構成する。なお、委員の総数は61名以内とする。 ? 第3章 品川区の現況 第1 区の概況 1 地域的特徴 (1)位置および面積 @ 区は、武蔵野台地の東南端にあり、東京都23区の南部に位置し概ね東経139度43分、北緯35度36分にあって、東は東京湾に面している。 A?区の土地面積は22.84km2(令和4年1月1日現在)であり、東京都の約1/96、23区全体の約1/27の広さにあたる。 図表1-2 本区の位置関係 図表1-3 区内地区別の面積(令和4年1月1日現在) 地区 面積 品川地区 4.30km2 大崎地区 3.43km2 大井地区 4.73km2 荏原地区 5.81km2 八潮地区 4.57km2 区全体 22.84km2 (2)地形 @?区内には目黒川(延長約3.7km)、立会川(開渠部分756m)が流れている。目黒川によって芝白金台と荏原目黒台に二分され、さらに立会川によって一部が目黒台と荏原台に分かれている。また、目黒川に沿った大崎や五反田、海岸に近い品川や大井あたりに低地が広がっている。 A?本区の西および南は、標高20mの荏原台の東端部にあたり、その中を東流する立会川の谷と馬込の谷を除けば平坦な台地となっている。また、東京湾に面した埋立地は「大井埠頭」と呼ばれており、その一部は品川区に属している。 B 北は、標高30mの淀橋台の東南端部にあたり、地盤は固いが、台地の南側を東流する目黒川の谷とその枝谷がつくる起伏による崖が数多く分布している。? 図表1-4 本区の地形断面図 (3)気候 @ 温帯気候であり、夏は高温多湿、冬は寒冷少雨である。近年は気候変動の影響により、気温が上昇する傾向にある。降水量は、梅雨時期や秋雨・台風の時期を中心に多い。 A?過去5年間(平成30年〜令和4年)の気象観測データ(観測地:東京羽田、東経139度46.8分、北緯35度33.2分、標高6m)によると、年平均気温17.1℃(1月平均6.6℃、8月平均28.3℃)、月平均降水量116.0mm(1月平均43.5mm、9月平均212.3mm)である。 図表1-5 各月における気温の推移および平均降水量(平成30年〜令和4年) ? 2 社会的特徴 (1)人口分布 @?人口密度は17,675.1人/km2(令和4年1月1日現在)であり、地域別に見ると、荏原地区が2万人を超え一番高く、八潮地区が3千人を切り最も低い地域となっている。 A?夜間人口に対し、昼間人口が多く、令和2年の昼間人口指数137.8は東京都や23区全体の比率よりも高い。 図表1-6 本区における各種人口等データ 種別 人口 データ時点 人口総数 407,128人 令和5年6月1日 日本人人口 392,579人 令和5年6月1日 外国人人口 14,549人 令和5年6月1日 世帯数 232,630世帯 令和5年6月1日 選挙人名簿登録者数 338,717人 令和4年4月1日 土地面積 22.84km2 令和4年1月1日 人口密度 17,675.1人(1km2あたり) 令和4年1月1日 昼間人口 582,156人 令和2年10月1日 (国勢調査結果より) 夜間人口 422,488人 令和2年10月1日 (国勢調査結果より) 転入人口 30,724人 令和3年1年間 転出人口 33,314人 令和3年1年間 出生数 3,632人 令和3年1年間 死亡数 3,384人 令和3年1年間 婚姻届出件数 3,066件 令和3年度 離婚届出件数 566件 令和3年度 図表1-7 区内地区別の世帯数、人口、年齢構成比、人口密度 (令和4年1月1日現在) 地区 世帯数 (世帯) 人口 (人) 年少人口 構成比 (%) 生産年齢 人口構成比(%) 老年人口 構成比(%) 人口密度 (人/km2) 品川地区 40,705 75,796 13.0 67.5 19.5 17,627.0 大崎地区 39,593 68,324 12.2 70.8 17.0 19,919.5 大井地区 57,577 104,332 12.6 68.3 19.0 22,057.5 荏原地区 83,263 143,600 10.7 67.4 21.9 24,716.0 八潮地区 5,720 11,647 10.4 52.9 36.8 2,548.6 区全体 226,858 403,699 11.9 67.8 20.3 17,675.1 ※1 年少人口:0〜14歳、生産年齢人口:15〜64歳、老年人口:65歳以上 ※2 構成比については、四捨五入処理の関係上、全体とその内訳が一致しない場合がある。 ? (2)交通 ア 道路 @?道路は、区をほぼ南北に走る国道1号(第2京浜)、国道15号(第1京浜)、国道357号(東京湾岸道路)、中原街道等がある。また、これらの道路と直交するように環状六号線(山手通り)がある。 A?首都高速道路は、湾岸線、羽田線、目黒線、中央環状品川線がある。湾岸線では、お台場や有明地区、羽田空港につながっている。 B 区内道路の総延長を見ると、一般国道(18,714m)、都道(27,928m)、特別区道(328,550m)、自動車専用道(17,351m)含め、合計の総延長は392,543mである(令和4年4月1日時点)。 資料1 本区の道路交通マップ イ 鉄道 鉄道は、JR東日本、東急電鉄、京浜急行電鉄、都交通局、東京メトロ、東京モノレール、東京臨海高速鉄道の14線が縦横に走っている。なお、令和5年3月に日吉駅から新横浜駅を結ぶ東急新横浜線が開業、同じく開業した相鉄新横浜線と新横浜駅でつながり、神奈川県央部および横浜市西部と東京都心部が、東急目黒線や東横線を経由し直結している。 図表1-8 区内の駅 会社名 路線名 駅名 JR東日本 山手線 目黒、五反田、大崎 京浜東北線 大井町 横須賀線 西大井 埼京線 大崎 湘南新宿ライン 大崎、西大井 東急電鉄 目黒線 目黒、不動前、武蔵小山、西小山 池上線 五反田、大崎広小路、戸越銀座、荏原中延、旗の台 大井町線 大井町、下神明、戸越公園、中延、荏原町、旗の台 京浜急行電鉄 本線 北品川、新馬場、青物横丁、鮫洲、立会川、大森海岸 都交通局 浅草線 五反田、戸越、中延 三田線 目黒 東京メトロ 南北線 目黒 東京モノレール 羽田線 天王洲アイル、大井競馬場前 東京臨海高速鉄道 りんかい線 天王洲アイル、品川シーサイド、大井町、大崎 資料2 本区の鉄道交通マップ ? 図表1-9 区内の主要駅における1日あたり乗車人員 主な駅の1日平均乗車人員 JR東日本 山手線 目黒駅 74,660人 五反田駅 93,684人 大崎駅 103,733人 京浜東北線 大井町駅 70,324人 横須賀線 西大井駅 14,187人 東急電鉄 目黒線 目黒駅 98,671人 不動前駅 12,881人 武蔵小山駅 21,843人 西小山駅 13,993人 池上線 五反田駅 41,080人 旗の台駅 26,330人 大井町線 大井町駅 48,620人 旗の台駅 30,601人 京浜急行電鉄 本線 青物横丁駅 14,338人 都営地下鉄 浅草線 五反田駅 26,117人 中延駅 12,318人 三田線 目黒駅 41,721人 東京地下鉄 南北線 目黒駅 39,850人 東京臨海高速鉄道 りんかい線 天王洲アイル駅 11,283人 品川シーサイド駅 13,298人 大井町駅 26,623人 大崎駅 39,469人 ※1日平均乗車人員10,000人以上の駅のみ掲載 ウ その他 (ア)港湾 首都圏の生活と産業を支える東京港の施設として、大井コンテナ埠頭(2,354m)、品川コンテナ埠頭(745m)がある。 (イ)バス 区内には、京浜急行バス、東急バス、都営バスが運行している。また、区では民間公共交通機関を補完するため、コミュニティバス「しなバス」を運行している。 ? (3)都市構造 ア 土地利用 @ 大崎、五反田、天王洲等では、業務・事務所機能が集積している。 A 荏原地区を中心に、木造アパートが戸建や集合住宅に更新されている。 B 荏原地区では、敷地が小さく道路が狭いことから建物が密集している。 C 土地利用の構成比を比較すると、住宅系が増加し工業系土地利用が減少傾向となっている。 資料3 区用途地域別構成 イ 建物分布 二葉、豊町、中延、旗の台、戸越等に住宅密集地があり、八潮、東品川、大崎、五反田等では集合住宅、高層マンションが数多い。 ウ 集客施設・商店街 @?品川総合区民会館(きゅりあん)、荏原平塚総合区民会館(スクエア荏原)、大井競馬場、大崎ニューシティ、ゲートシティ大崎、アトレ大井町、アトレ目黒、イオン品川シーサイド店、大森ベルポートなど不特定多数の人々がショッピングや娯楽などに訪れている。 A 武蔵小山、荏原町、中延、戸越銀座等をはじめ、商店街の数は101にのぼり、都内でも有数の商業地である。 エ その他重要施設 @ 都内で唯一、品川火力発電所(総出力114万kW、都市ガス)が存在する。 A 日本を代表する東京港の施設として、大井埠頭や品川埠頭が存在する。 B?タイ王国、ミャンマー連邦など駐日外国公館(大使館・領事館)がある。大井町、目黒、五反田、大崎、天王洲周辺にはオフィスビルや商業ビルが多数建設されている。 オ 公園・緑地 @?区立の公園や防災広場は、計273箇所約64万u超である。(令和5年4月1日) A 区内にある都立の公園は計8箇所約73万uである。(令和5年4月1日) カ 河川 区内には、2級河川である目黒川(約3.7km)、立会川(開渠部分756m)の河川が流れている。 ? 第2 地区概要 1 品川地区 平成22年の羽田空港の国際化・24時間化や、品川駅付近のリニア中央新幹線始発駅選定等により品川駅の交通結節機能の高まりが期待されるなか、品川駅周辺での開発が進んでいる。品川駅に近接する品川駅南地域においても、北品川駅の周辺エリアにおける道路と鉄道の連続立体交差化や駅前広場の整備、旧東海道品川宿等の歴史性、開発により新たなまちとして整備された品川駅東口地区の先進性を活かしながら、品川駅の南の玄関口としての発展が期待される。また、天王洲アイルや品川シーサイドには、オフィスビル等が建ち、新しい品川の景観を生み出している。 2 大崎地区 大崎駅周辺では、JR湘南新宿ラインの運行やJR埼京線・りんかい線の相互直通運転、大崎駅南口の供用開始等、鉄道交通の利便性が高まるなか、平成14年に都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に指定されたことを契機として、大規模開発事業等が連続的に進み、高層ビル・マンションが建ち並び、街並みが大きく変容した。また、羽田空港や主要地方都市を結ぶ大崎駅西口バスターミナルや防災機能を備えた大崎西口公園が整備されている。 目黒駅周辺においても、JR山手線や東急目黒線、都営三田線、東京メトロ南北線とともに多くのバス路線が集中するターミナル性を活かして、商業、業務施設や中高層住宅等が集積した拠点市街地が形成されている。 目黒駅〜品川駅にかけての目黒川北側の高台(花房山・池田山・島津山・八ツ山・御殿山)は、古くからの閑静な住宅地として知られている。 3 大井地区 大井町駅では、昭和60年代から駅周辺の開発が進み、商業施設や業務施設が建設されるとともに、平成14年(2002年)にはりんかい線大井町駅が開業している。その後、都市計画道路の補助163号線の整備にあわせた高層の住宅開発等が進みつつある。また、平成15年(2003年)には、西大井駅周辺の再開発事業も竣工した。地区東側を南北に走る京急線は、連続立体交差事業(昭和46年度〜平成6年度)により、立会川駅(平成2年)、鮫洲駅(平成3年)の高架化が完了した。近年は、大井町駅周辺で土地区画整理事業等が進められ、土地の利用転換や区庁舎再編により、老朽化施設の適切な更新や安全な避難動線の確保を実現し、防災・災害対策拠点として区民・就業者・来街者の安全を確保するなど、安全な生活を守る防災機能の強化を図っている。 ? 4 荏原地区 武蔵小山駅周辺と戸越銀座駅、旗の台駅周辺の駅を中心とした商店街により、にぎわいと活気のある商業空間が形成されている。特に、武蔵小山駅前では駅前広場整備のほか、街並み再生地区の指定による敷地の共同化、道路の付替え等の街区の再編が行われており、区西部における区民生活を支えるとともに、より広域性のある拠点づくりが進められている。 戸越銀座駅や旗の台駅周辺では、路線型商店街が発達し、生活感とにぎわいのある市街地が形成されており、区民の日常生活を支える拠点としての機能強化が期待されている。 また、補助26号線(豊町区間)が開通し、地区の東西の利便性が向上するとともに、道路の整備にあわせて沿道建築物の不燃化を促進し、延焼遮断帯が形成されている。 5 八潮地区 昭和51年(1976年)に、東京港トンネルが一部開通し、その後順次首都高速湾岸線が整備され、臨海部の陸上交通を支える基盤が整ってきた。また、都市高速道路中央環状品川線、国道357号東京湾トンネルが開通し、より効率的な自動車交通が行われるとともに、自動車排出ガスの低下による環境改善効果が期待できる。 また、品川清掃工場では、区内の廃棄物処理が実施されている。 さらに、地区内には計画的に整備された大規模団地「八潮パークタウン」のほか、大井ふ頭中央海浜公園や京浜運河緑道公園等の大規模な都立公園が整備されている。? 第4章 防災機関の業務大綱 第1 基本理念 @?災害から一人でも多くの生命および貴重な財産を守るためには、第一に「自らの生命は自らが守る」という自助の考え方、第二に地域における区民の助け合いによって「自分たちのまちは自分たちで守る」という共助の考え方、この二つの理念に立つ区民と公助の役割を果たす行政とが、それぞれの責務と役割を明らかにしたうえで、連携を図っていくことが欠かせない。 A?災害対策の推進にあたっては、区が基礎自治体としての責任と役割を求められていることから、区民や都と連携し、多くの生命・身体および財産を守るとともに、本区の機能を維持しなければならない。 第2 区災害対策本部 1 区災害対策本部の組織・運営 区長は、区の地域に災害等が発生、または災害が発生するおそれがある場合において、法令、東京都地域防災計画、本計画の定めるところにより、各防災機関および他自治体等の協力を得て応急対策を実施する。 このため、必要があると認めたときは、品川区災害対策本部(以下「本部」という)を設置する。本部の組織および運営は、災害対策基本法、品川区災害対策本部条例(以下「本部条例」という)、品川区災害対策本部条例施行規則(以下「本部条例施行規則」という)の定めるところによる。 (1)本部の組織 ア 組織 本部の組織は、品川区災害対策本部条例および同施行規則に定めるところによる。 ? 図表1-10 災害対策本部の組織 本部長室 部 課(カッコ内は区組織) ≪本部長≫ 区長 ≪副本部長≫ 副区長 教育長 ≪危機管理監≫ 災害対策担当部長 ≪本部員≫ 指令情報部長 企画部長 総務部長 会計部長 区民支援部長 滞留者支援部長 避難対策部長 (補完避難所) 避難対策部長 (福祉避難所) 避難対策部長 (区民避難所) 保健衛生部長 建築住宅部長 土木部長 議会対策部長 ≪事務局≫ 情報課 運用課 統制課 指令情報部 (部長:災害対策担当部長) (副部長:選挙管理委員会事務局長、監査委員事務局長) 情報課・運用課・統制課・物資調整課(総務課、防災課、選挙管理委員会事務局、監査委員事務局、企画課) 企画部 (部長:企画部長) 財政課(財政課) 情報推進課(デジタル推進課) 施設整備課(施設整備課) 経理課(経理課) 生活再建課(税務課) 総務部 (部長:区長室長) 人事課(人事課、新庁舎整備課) 広報報道課(戦略広報課) 会計部 (部長:会計管理者) 会計管理室(会計管理室) 区民支援部 (部長:地域振興部長) 地域活動課(地域活動課、地域産業振興課) 管理課(戸籍住民課) 滞留者支援部 (部長:文化スポーツ振興部長) 滞留者支援課(文化観光戦略課、スポーツ推進課、人権・ジェンダー平等推進課) 避難対策部(補完避難所) (部長:子ども未来部長) 子ども支援課(子ども育成課(すまいるスクールを除く)、子育て応援課、児童相談課、保育入園調整課、保育施設運営課、子ども家庭支援センター) 避難対策部(福祉避難所) (部長:福祉部長) 福祉課(福祉計画課、障害者施策推進課、障害者支援課、高齢者福祉課、高齢者地域支援課、生活福祉課) 避難対策部(区民避難所) (部長:教育委員会事務局教育次長) 避難所対策課(庶務課、学務課、指導課、品川図書館、教育総合支援センター、国保医療年金課、子ども育成課(すまいるスクール)) <協力体制:小中学校・義務教育学校> 保健衛生部 (部長:健康推進部長) 保健衛生課(健康課、地域医療連携課、生活衛生課、保健予防課) 保健救護課(品川保健センター、大井保健センター、荏原保健センター) 建築住宅部 (部長:都市環境部長) 都市復旧課(都市計画課、住宅課) 建築課(木密整備推進課、都市開発課、建築課) 廃棄物課(環境課、品川区清掃事務所) 土木部 (部長:防災まちづくり部長) 指揮課(地域交通政策課、土木管理課) 工作課(道路課、河川下水道課、公園課) 議会対策部 (部長:区議会事務局長) 議会対策課(区議会事務局) イ 部の編成および課等の事務分掌 部の編成および課等の事務分掌は災害初動対応マニュアルに定める。 ウ 関係機関の参画 本部長は、自衛隊、都、警視庁(区内管轄警察署)、東京消防庁(区内管轄消防署)、災害対策基本法第2条第3号から第6号までに規定する各機関等に対して、職員の派遣(本部派遣員)を要請し、災害対策本部への参画を求めることができる。? 2 本部職員の初動および活動態勢 (1)区の活動態勢 ア 責務 区の地域に災害等が発生し、または発生するおそれがある場合においては、区は第1次的防災機関として、法令、東京都地域防災計画および品川区地域防災計画の定めるところにより、他の区市町村、都および指定地方行政機関ならびに区域内の公共的団体および住民等の協力を得て、その有する全機能を発揮して災害応急対策の実施に努めるものとする。 イ 活動態勢の考え方 @?区長は、区の責務を遂行するため必要があるときは、本部を設置し、災害対策に従事する職員を配置する。災害時における区の非常勤務態勢を5種に分け、平常時の各部所属人員のうち一定数の職員により災害対応にあたる(図表1-11参照)。なお、災害時においても優先すべき通常業務(優先業務)については継続できるように業務継続体制の確保を図る。 A 区長は、本部を設置し、または廃止したときは、ただちに、知事にその旨を報告するとともに、警察署、消防署等の関係機関に通報する。 B 区長は、本部に関する組織を整備し、本部の設置または廃止、非常事態に応ずる配備態勢、職員の配置および服務等に関する基準を定める。 C 区の地域に災害救助法が適用されたときは、本部長は都本部長の指揮を受けて、法に基づく救助事務を補助する。 D 区は、夜間休日等の勤務時間外の災害等発生に備え、情報連絡体制を確保する。 図表1-11 災害時における区の非常勤務態勢 勤務 態勢 業務の考え方 勤務人員の基準 平 素 通常の勤務態勢 全職員が平素の業務を実施 第1種 全ての通常業務を実施しながら災害に対応 各部所属人員の5%以下の職員により災害に対応 第2種 一部の業務を停止して災害に対応 各部所属人員の25%の職員により災害に対応 第3種 災害対応と平素の業務を両立させながら災害に対応 各部所属人員の半数の職員により災害に対応 第4種 一部の窓口業務など緊急度の高い住民対応を再開して災害に対応 各部所要人員の75%の職員により災害に対応 第5種 全ての業務を停止して全職員で災害に対応 全職員により災害に対応 (2)本部の非常配備態勢 災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、本部がとる非常配備態勢は次のとおりである。 ア 休日夜間宿日直における防災体制 (ア)目的 休日夜間等勤務時間外に災害等が発生し、または発生するおそれがある場合に対処するため、休日夜間宿日直を設置し、防災情報の収集連絡にあたっている。また、管理職による危機管理宿直制度を活用し、本部態勢等が整うまでの初動対応にあたるなど、24時間即応可能な体制を整備する。 (イ)管理職宿直員の職務 管理職宿直員は、防災課長および総務課長の指揮監督のもとに警戒待機し、災害等が発生し、または発生するおそれがある場合は、職員の招集、情報の収集・伝達等を行う。 イ 災害対策職員待機寮の設置 (ア)目的 夜間休日等勤務時間外に災害等が発生し、または発生するおそれがある場合に、非常配備態勢要員として従事させるため、災害対策職員待機寮において職員を確保する。 (イ)待機寮職員の責務 待機寮職員は、夜間休日等勤務時間外に災害等が発生し、または発生するおそれがある場合には、職員動員計画により指定された避難所等に参集し、情報の収集・伝達、本部等の開設準備等を行う。 (ウ)待機寮職員 100名程度 資料4 待機寮施設一覧 ? 第3 区の事務または業務大綱 災対組織(部) 災対組織(課) 通常組織 事務または業務大綱 指令情報部 情報課 運用課 統制課 物資調整課 総務課 防災課 選挙管理委員会事務局 監査委員事務局 企画課 1 災害関連情報の総括に関すること。 2 住民対応班(コールセンター)の運用に関すること。 3 各部への指令および活動状況の集約に関すること。 4 自衛隊・警察・消防の運用に関すること。 5 災害救助法の適用申請に関すること。 6 義援金品の受領に関すること。 7 災害対策本部の設置に関すること。 8 国、都および関係機関の情報収集に関すること。 9 避難対策の統制に関すること。 10 物資の確保および輸送に関すること。 11 災害復興計画の調整に関すること。 企画部 財政課 財政課 1 災害に伴う予算の編成に関すること。 情報推進課 デジタル推進課 1 情報システムの復旧に関すること。 施設整備課 施設整備課 1 区有施設(総合庁舎を除く)の安全確認および被害状況の調査、集約に関すること。 2 区有施設(総合庁舎を除く)の被災箇所の応急措置に関すること。 経理課 経理課 1 総合庁舎の管理保全に関すること。 2 工事等の契約に関すること。 3 車両、船舶等輸送手段の調達および配車調整に関すること。 4 緊急通行車両章の準備に関すること。 5 住民対応班(コールセンター)の設置に関すること。 生活再建課 税務課 1 住家被害認定調査に関すること。 2 被災台帳作成に関すること。 3 罹災証明書の発行に関すること。 総務部 人事課 人事課 新庁舎整備課 1 総合庁舎来庁者の救護に関すること。 2 各部間の人員調整に関すること。 3 自治体からの応援職員の受入れおよび人的受援(ボランティアを含む)の配分に関すること。 4 災害対応職員の対応に伴う予算の編成に関すること。 5 外国人に対する支援に関すること。 広報報道課 戦略広報課 1 災害に伴う広報/報道機関の対応に関すること。 2 災害の記録に関すること。 会計部 会計管理室 会計管理室 1 経費の支払いに関すること。 2 義援金品の出納保管に関すること。 3 金融機関との連絡、調整に関すること。 区民支援部 地域活動課 地域活動課 地域産業振興課 1 地域拠点(地域センター)の総括に関すること。 2 地域拠点(地域センター)の周辺被害状況集約、報告に関すること。 3 商店街、事業所の支援に関すること。 4 中小企業センターの管理保全および利用者の安全に関すること。 5 見舞金、災害弔慰金の支給に関すること。 6 災害援護資金の貸し付けに関すること。 7 総合相談窓口に関すること。 8 消費生活の安定化に関すること。 管理課 戸籍住民課 1 遺体の取り扱いに関すること。 2 地域拠点(地域センター)の支援に関すること。 滞留者支援部 滞留者支援課 文化観光戦略課 スポーツ推進課 人権・ジェンダー平等推進課 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握に関すること。 2 帰宅困難者の受入および援護(物資含む)に関すること。 3 被災状況の把握および報告に関すること。 4 帰宅困難者受入れ施設開設および管理運営に関すること。 避難対策部 (補完避難所) 子ども支援課 子ども育成課(すまいるスクールを除く) 子育て応援課 児童相談課 保育入園調整課 保育施設運営課 子ども家庭支援センター 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握に関すること。 2 情報の収集および連絡に関すること。 3 保護者への連絡に関すること。 4 補完避難所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 避難対策部 (福祉避難所) 福祉課 福祉計画課 障害者施策推進課 障害者支援課 高齢者福祉課 高齢者地域支援課 生活福祉課 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握/情報の収集および連絡に関すること。 2 要配慮者の救助、支援に関すること。 3 避難行動要支援者対策班の設置に関すること。 4 福祉避難所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 5 被保護者の救援に関すること。 6 ボランティアの受入れおよびボランティアセンターの運営に関すること。 7 施設利用者の家族等への連絡に関すること。 避難対策部 (区民避難所) 避難所対策課 庶務課 学務課 指導課 品川図書館 教育総合支援センター 国保医療年金課 子ども育成課(すまいるスクール) <協力体制:小中学校・義務教育学校> 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全に関すること。 2 各学校との連絡調整および指導に関すること。 3 学校施設、設備の被災箇所の応急措置に関すること。 4 教育長および教育委員との連絡調整に関すること。 5 被災児童および生徒への教科書、学用品の給付に関すること。 6 授業再開の準備に関すること。 7 区民避難所・自主避難施設・避難場所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 8 図書館全館の被災状況の把握に関すること。 9 広域避難場所の状況把握、情報収集、報告に関すること。 保健衛生部 保健衛生課 健康課 地域医療連携課 生活衛生課 保健予防課 1 所属部署の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握および報告に関すること。 2 医療救護本部の設置に関すること。 3 初動医療体制の構築(災害拠点病院等との連携を含む)に関すること。 4 医師会等関係団体との連携に関すること。 5 医療ボランティアの受入・調整に関すること。 6 医療救護所での医薬品・医療資器材の調達・管理に関すること。 7 都保健医療局および医療機関等への要請、連絡調整に関すること。 8 医療救護所の開設、運営/医療救護所運営の支援に関すること。 9 衛生指導に関すること。 10 衛生検査に関すること。 11 殺虫、消毒、防疫宣伝に関すること。 12 栄養・食生活支援の調整・管理に関すること。 保健救護課 品川保健センター 大井保健センター 荏原保健センター 1 被災状況の把握および報告に関すること。 2 感染症予防に関すること。 3 巡回健康相談に関すること。 建築住宅部 都市復旧課 都市計画課 住宅課 1 応急仮設住宅等の入居者の募集、選定に関すること。 2 被災者に対する給水に関すること。 3 都市復興計画の調整に関すること。 4 建設型応急住宅の設置に関すること。 5 風水害時の家屋・がけ崩れ調査に関すること。 建築課 木密整備推進課 都市開発課 建築課 1 がけ地および地盤調査に関すること。 2 区内建築物および宅地の応急危険度判定に関すること。 3 被災建築物応急危険度判定員との協力に関すること。 4 風水害時の家屋・がけ崩れ調査に関すること。 廃棄物課 環境課 品川区清掃事務所 1 災害廃棄物に関すること。 土木部 指揮課 地域交通政策課 土木管理課 1 土木施設の被害状況の集約、報告に関すること。 2 派遣された自衛隊との現場における連絡に関すること。 3 冠水・風水害調査(気象情報の分析評価を含む)に関すること。 工作課 道路課 河川下水道課 公園課 1 土木施設の被害状況の調査に関すること。 2 道路啓開(路上の倒壊建物等の障害物除去)、復旧に関すること。 3 街路樹の管理に関すること。 4 水門、防災船着場、桟橋の情報収集、復旧に関すること。 5 河川、橋梁および隧道の復旧に関すること。 6 津波の対応に関すること。 7 冠水・風水害調査に関すること。 8 公園および児童遊園の活用の調整に関すること。 9 公園および児童遊園の復旧、修理に関すること。 議会対策部 議会対策課 区議会事務局 1 議会対策本部と災害対策本部との連絡調整、区議会議員の対応に関すること。 ? 第4 関係機関の事務または業務大綱 図表1-12 機関別の取組み内容 機関の名称 事務または業務の大綱 指定地方行政機関 東京国道事務所 品川出張所 1 所管する一般国道の保全に関すること。 2 災害時における道路および橋りょうの復旧に関すること。 第三管区海上保安本部 東京海上保安部 1 警戒宣言、津波情報等の伝達に関すること。 2 震災に関する情報の収集に関すること。 3 海難救助(人命救助、危険物流出対応、火災対応等)に関すること。 4 排出油等の防除(調査および指導、防除措置の指示等)に関すること。 5 海上交通安全の確保(船舶交通の整理指導・制限等、航路障害物の除去、危険物積載船の保全措置、工事作業等の再開、水路の検測、航路標識等の復旧)に関すること。 6 海上における治安の維持に関すること。 7 海上緊急輸送(人員および救援・災害復旧資材の輸送)に関すること。 8 その他震災応急対策に必要な事項。 自衛隊 陸上自衛隊第1師団 第1普通科連隊 1 人命救助に関すること。 2 緊急輸送に関すること。 3 給食・給水・宿泊支援に関すること。 4 水防に関すること。 都機関 建設局 第二建設事務所 1 河川の保全に関すること。 2 砂防、高潮防御および排水場施設の保全に関すること。 3 道路および橋梁の保全に関すること。 4 水防に関すること。 5 河川における流木対策に関すること。 6 河川、道路等における障害物の除去に関すること。 建設局 東部公園緑地事務所 1 都立公園の保全および震災時の利用に関すること。 水道局 南部支所 品川営業所 1 水道施設の点検、整備および復旧に関すること。 2 災害時における応急給水に関すること。 下水道局 南部下水道事務所 1 下水道施設の点検、整備および復旧に関すること。 2 仮設トイレ等のし尿の受入れ・処理に関すること。 交通局大門駅務管区 1 都営交通施設の点検、整備および復旧に関すること。 2 地下高速電車による輸送の協力に関すること。 3 利用者の避難誘導、駅の混乱防止に関すること。 警察機関 警視庁 第二方面本部 東京湾岸警察署 品川警察署 大井警察署 大崎警察署 荏原警察署 1 被害実態の把握および各種情報の収集に関すること。 2 被災者の救出救助および避難・誘導に関すること。 3 行方不明者等の捜索および調査に関すること。 4 遺体の調査等および検視に関すること。 5 交通の規制に関すること。 6 緊急通行車両等の標章・証明書の交付に関すること。 7 公共の安全と秩序の維持に関すること。 消防機関 東京消防庁 第二消防方面本部 品川消防署 大井消防署 荏原消防署 1 水、火災およびその他災害の救助、救急情報に関すること。 2 水、火災およびその他の災害の予防、警戒および防御に関すること。 3 人命の救助および救急に関すること。 4 危険物施設および火気使用設備器具等の安全化のための規制指導に関すること。 5 防災意識の高揚および防災行動力の向上ならびに事業所の自主防災体制の指導育成に関すること。 6 応急救護知識技術の普及および自主救護能力の向上に関すること。 消防団  品川消防団  大井消防団  荏原消防団 1 水、火災およびその他災害の救助、救急情報に関すること。 2 水、火災およびその他の災害の予防、警戒および防御に関すること。 3 人命の救助および救急に関すること。 4 防災意識の高揚および防災行動力の向上ならびに事業所の自主防災体制の指導育成に関すること。 5 応急救護知識技術の普及および自主救護能力の向上に関すること。 指定公共機関 日本郵便 品川郵便局 大崎郵便局 荏原郵便局 1 郵便物送達の確保、窓口業務の維持。 2 災害時における郵便業務に係る災害特別事務取扱に関すること。 (1)被災者に対する郵便葉書等の無償交付 (2)被災者が差し出す郵便物の料金免除 (3)被災地あて救助用郵便物の料金免除 (4)被災者救助団体に対するお年玉付郵便葉書等寄付金の配分 東日本旅客鉄道 東京支社 1 鉄道施設等の工事計画およびこれらの施設道の保全に関すること。 2 災害時における鉄道車両等による救助物資および避難者輸送の協力に関すること。 3 利用者の避難誘導、駅の混乱防止に関すること。 NTT東日本 1 電気通信設備の建設および保全に関すること。 2 重要通信の確保に関すること。 3 気象予警報の伝達に関すること。 4 通信ネットワークの信頼性向上に関すること。 5 災害時の電気通信設備の復旧に関すること。 東京電力パワーグリッド 品川支社 1 電力施設等の建設ならびに、これらの保全に関すること。 2 災害時における電力の供給に関すること。 東京ガスグループ 1 災害時におけるガスの供給に関すること。 2 ガスの施設の建設および保全に関すること。 首都高速道路 東京東局 1 首都高速道路等の建設および保全に関すること。 2 首都高速道路等の災害復旧に関すること。 3 災害時における緊急交通路の確保に関すること。 指定地方公共機関 東急電鉄 京浜急行電鉄 東京モノレール 東京臨海高速鉄道 1 鉄道施設等の工事計画およびこれらの施設道の保全に関すること。 2 災害時における鉄道車両等による救助物資および避難者輸送の協力に関すること。 3 利用者の避難誘導、駅の混乱防止に関すること。 公共的機関 品川区医師会 荏原医師会 1 災害時における医療救護活動の協力に関すること。 2 防疫の協力に関すること。 品川歯科医師会 荏原歯科医師会 1 災害時における歯科医療活動に関すること。 品川区薬剤師会 1 災害時における医薬品の調剤、服薬指導および医薬品の管理に関すること。 東京都柔道整復師会品川支部 1 災害時における応急救護および衛生材料等の提供に関すること。 東京都獣医師会品川支部 1 災害時における動物救護活動に関すること。 防災区民組織 (町会・自治会) 1 避難の指示の伝達等、情報の収集、伝達に関すること。 2 初期消火に関すること。 3 避難誘導および避難行動要支援者の避難支援に関すること。 4 被災者に対する炊き出し、救助物資の配分等に関すること。 5 区民避難所の開設・運営に関すること。 6 災害時の治安維持に関すること。 7 その他被害状況の調査等災害対策全般についての協力に関すること。 協力団体 (品川建設防災協議会) (東京都トラック協会品川支部) 1 災害時における応急建設資機材、労力等の提供、業務の実施、協力に関すること。 2 災害時における応急土木資機材、労力等の提供、業務の実施、協力に関すること。 3 災害時における応急対策用貨物自動車ならびに労力等の供給、協力に関すること。 協力団体 (潟Pーブルテレビ品川) 1 品川区民チャンネルで行う情報告知に関すること。 2 災害時における品川区民チャンネルで行う緊急放送に関すること。 ? 第2編 災害予防(防災・減災) 第1章 総則 第2章 区民と地域の防災力向上 第3章 安全なまちづくり 第4章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 第5章 災害対応体制 第6章 情報通信 第7章 備蓄・輸送対策 第8章 避難者対策 第9章 帰宅困難者対策 第10章 受援体制 第11章 医療救護等対策 第12章 津波対策 第13章 放射性物質対策 第14章 洪水・高潮対策および都市型水害対策 第15章 土砂災害対策 第16章 竜巻対策 第17章 富士山噴火降灰対策 第18章 大規模火災対策 第19章 危険物事故対策 第20章 大規模事故対策 第21章 区民生活の再建 第1章 総則 対策1 震災 ○ここでは、第2編災害予防(防災・減災)の対策を示す上で前提となる被害想定の結果や震災時の時間経過による活動の想定を示すものとした。また、地震に対する被害軽減と都市再生に向けた目標(減災目標)を定めた。 東日本大震災を契機に、これまでの防災対策のあり方を見直し区の防災力を一層向上していくことが求められた。区では、「東京都防災対応指針」(平成23年11月)や「首都直下地震等による東京の被害想定」(平成24年4月発表)から得られた科学的知見に基づく想定結果の内容を踏まえた「東京都地域防災計画(震災編)」との整合性を図りながら対策を進めてきた。 また、平成28年4月に発生した熊本地震において課題となった、広域応援に関する受援体制や車中泊者やテント泊者等の避難所以外で生活する避難者への支援等の教訓、平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震における大規模停電被害の教訓等を踏まえて対策を進めてきた。 さらに、令和4年5月には「首都直下地震等による東京の被害想定」が見直され、令和5年5月に「東京都地域防災計画(震災編)」が修正されたところである。都の被害想定や地域防災計画とも整合を図りながら、区の地震対策をより一層、推進していく必要がある。 【用語の解説】 @東日本大震災 気象庁では、平成23年3月11日に発生した地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名。さらに政府では、この地震の災害規模が東日本全域におよぶ甚大なものであることに加え、大規模な地震と津波に加え原子力発電施設の事故が重なるという未曾有の複合的な大災害であり、復旧・復興施策の推進の際に統一的な名称が必要となることから、災害名を「東日本大震災」と呼称することとした。 A首都直下地震等による東京の被害想定 都は、東日本大震災を踏まえ、平成24年4月に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」を全面的に見直すこととし、東京都防災会議の地震部会において検討を進めてきた。その結果を令和4年5月に「首都直下地震等による東京の被害想定」報告書としてとりまとめたものをいう。 B防災区民組織 防災区民組織とは、町会・自治会を単位に相互扶助の精神に基づき、地域住民が自主的に防災活動を行う組織をいう。町会・自治会の区域内の全区民を構成員とする。 Cスタンドパイプ 道路上に設置されている「消火栓」に直結して、ホースを通じて放水できる初期消火機材のことをいう。木密地域等で、消防車や可搬ポンプが活動不能な場合に有効である。また、「消火栓」を活用して応急給水を行う場合に、応急給水用資機材として用いる。 第1 被害想定 東日本大震災では、震源から遠く離れた東京においても、液状化や大量の帰宅困難者の発生といった被害が生じた。 このため、客観的なデータや最新の科学的根拠に基づき被害想定の見直しを行い、平成24年4月、「首都直下地震等による東京の被害想定」を東京都防災会議で決定した。 その後、前回被害想定から約10年が経過することから、この間の様々な変化や最新の科学的知見を踏まえ見直しを行い、令和4年5月、「首都直下地震等による東京の被害想定」を東京都防災会議で決定した。 (1)前提条件 ア 想定地震 図表2-1 想定地震の概要 想定地震 規模 発生確率 都の被害想定において想定地震として選定されている理由等 都心南部直下地震 M7.3 今後30年以内70% (南関東地域におけるM7クラスの確率) ・被害が大きく首都中枢機能への影響や、新幹線や空港等の交通網の被害、木造住宅密集地帯の火災延焼の観点から選定 多摩東部直下地震 ・多摩地域に大きな影響を及ぼすおそれのある地震として選定 都心東部直下地震 ・プレート内地震は、都内のどこでも起こり得るため震度分布を提示 都心西部直下地震 多摩西部直下地震 立川断層帯地震 M7.4 今後30年以内 0.5〜2% ・多摩地域に大きな影響を及ぼすおそれのある断層帯地震として選定 大正関東地震 M8 クラス 今後30年以内 0〜6% (180年から590年の発生間隔) ・当面発生する可能性は低いが、今後百年先頃には地震発生の可能性が高くなっていると考えられる地震 南海トラフ巨大地震 M9 クラス 今後30年以内 70〜80% (南海トラフの地震M8〜M9クラスの確率) ・島しょ地域への津波の影響が大きいと考えられるとともに、内陸部では長周期地震動による被害が発生するおそれがある地震として選定 ? イ 発災時間別に想定される被害 図表2-2 被害想定において設定した発災時期ごとに想定される被害 季節・時刻 想定される被害 冬・早朝5時 ○兵庫県南部地震と同じ発生時間 ○多くの人々が自宅で就寝中に被災するため、家屋倒壊による死者が発生する危険性が高い。 ○オフィスや繁華街の屋内外滞留者や、鉄道・道路利用者は少ない。 冬・昼12時 ○オフィス、繁華街、映画館、テーマパーク等に多数の滞留者が集中しており、店舗等の倒壊、看板等の落下物等による被害の危険性が高い。 ○外出者が多い時間帯であり、帰宅困難者数も最多となる。 ○住宅内滞留者数は1日の中で最も少なく、老朽木造家屋の倒壊による死者数は朝夕と比較して少ない。 冬・夕18時 ○火気器具利用が最も多いと考えられる時間帯で、これらを原因とする出火数が最も多くなる。 ○オフィスや繁華街周辺、ターミナル駅では、帰宅や飲食のため滞留者が多数存在する。 ○ビル倒壊や看板等の落下物等により被災する危険性が高い。 ○鉄道、道路はほぼラッシュ時に近い状況で人的被害や交通機能支障による影響拡大が大きい。 ? (2)被害想定 ア 被害想定 「首都直下地震等による東京の被害想定」で示されている都心南部直下地震、多摩東部直下地震、大正関東地震、立川断層帯地震での品川区および東京都の建物・人的被害等は以下のとおりである。 図表2-3 想定地震に応じた本区の被害想定 想定地震名 都心南部直下 多摩東部直下 大正関東 立川断層帯 地震のエネルギー(M) 7.3 7.3 8 7.4 最大震度(区内) 震度7 震度7 震度7 震度6強 地震のタイプ 直下型 直下型 海溝型 直下型 発生季節と時刻 冬・夕方18時 冬・夕方18時 冬・夕方18時 冬・夕方18時 風速の想定 8m/秒 8m/秒 8m/秒 8m/秒 想定の時期 今回新規 今回新規 今回新規 従前から 品川区 東京都 品川区 東京都 品川区 東京都 品川区 東京都 死者 人 288 6,148 116 4,986 87 1,777 1 1,490 原因別 ゆれ等建物被害※1 人 101 3,209 60 2,593 43 969 0 593 屋内収容物 人 12 239 6 216 6 140 0 54 急傾斜地崩壊 人 0 8 0 32 0 10 0 22 火災 人 160 2,482 40 1,918 29 556 1 775 ブロック塀等 人 14 205 10 224 9 100 0 47 屋外落下物 人 0 5 0 3 0 2 0 0 負傷者 うち重傷者 人 4,492 93,435 2,623 81,609 2,135 38,746 9 19,229 人 736 13,829 372 11,441 287 4,481 0 2,898 原因別 ゆれ等建物被害※1 人 3,007 69,547 1,965 60,608 1,586 29,214 8 13,559 屋内収容物 人 319 6,496 163 5,721 163 4,247 0 1,465 急傾斜地崩壊 人 0 11 0 40 0 13 0 27 火災 人 675 9,947 139 7,269 83 1,676 2 2,556 ブロック塀等 人 482 7,057 350 7,720 299 3,442 0 1,617 屋外落下物 人 10 378 6 252 4 154 0 4 建物被害(全壊・焼失) 棟 9,178 194,431 3,312 161,516 2,442 54,962 3,751 51,928 原因別 ゆれ等による建物全壊※2 棟 2,892 82,199 1,705 70,108 1,289 28,319 128 16,066 火災による焼失 (建物倒壊を含まない) 棟 6,286 112,232 1,607 91,408 1,153 26,643 3,623 35,862 出典:首都直下地震等による東京の被害想定報告書(東京都防災会議) ※1 ゆれ等建物被害:ゆれ、液状化建物被害(人) ※2 ゆれ等による建物全壊:ゆれ、液状化、急傾斜地崩壊による建物全壊棟数(棟) ※  小数点以下の四捨五入により、合計値は合わないことがある。 イ 都心南部直下地震等の特徴 想定地震のなかで品川区への被害が最も大きいのは都心南部直下地震であり、その被害の特徴を以下に示す。 また、「首都直下地震等による東京の被害想定」では、大正関東地震および南海トラフ巨大地震の津波高が示されている。以下に参考として、品川区で最大となる津波高として、南海トラフ巨大地震のシミュレーション結果を示す。 a 震度分布 品川区内では震度7(区内面積に占める0.6%の地域)の地域が出るとともに、震度6強(区内面積に占める91.0%の地域)の地域が多くを占める。 b 建物・人的被害 品川区内の全壊・焼失棟数が9,178棟(ゆれ・液状化・急傾斜地崩壊:2,892棟、焼失:6,286棟(倒壊建物を含まない))となっており、区内の建物棟数63,483棟の14.5%が全壊または焼失すると想定される。 建物被害に伴う死者数は288人、負傷者数は4,492人と想定される(M7.3 冬・夕方18時 風速8m/秒)。 c 避難者数 品川区の避難者数は最大131,126人(避難所避難者数は87,418人、避難所外避難者数は43,709人)で、夜間人口422,488人(令和2年「国勢調査」結果)の31.0%と想定される。 d 帰宅困難者数 品川区の東京都市圏内からの流入者における帰宅困難者数は233,316人で、東京都市圏外からの流入者を含むとそれ以上になるものと想定される。 e ライフライン・社会的影響 ライフラインは、停電率21.3%、通信不通回線率11.0%、上水道断水率30.2%、下水道被害率6.4%、ガス供給停止率60.6%となっている。 図表2-4 ライフライン・社会的影響等 想定地震名 都心南部直下 地震のエネルギー(M) 7.3 最大震度(区内) 震度7 地震のタイプ 直下型 発生季節と時刻 冬・夕方18時 風速の想定 8m/秒 品川区 東京都 ライフライン 電力 停電率 % 21.3 11.9 通信 不通回線率 % 11.0 4.0 上水道 断水率 % 30.2 26.4 下水道 被害率 % 6.4 4.0 ガス 供給停止率 % 60.6 24.3 社会的影響 避難者数 人 131,126 2,993,713 うち避難所避難者数 人 87,418 1,995,809 うち避難所外避難者数 人 43,709 997,904 帰宅困難者数(東京都市圏内からの流入者のみ) 人 233,316 4,151,327 閉じ込めにつながりうる エレベーター台数 台 887 22,426 自力脱出困難者数 人 1,359 31,251 災害廃棄物 万t 132 3,164 ※小数点以下の四捨五入により、合計値は合わないことがある。 ? f 津波の影響 南海トラフ巨大地震において、品川区内で最大となる津波高は2.38mであり、河川敷や一部の市街地は浸水する。また、30p津波高最短到達時間は98.5分、最大津波高到達時間は201.6分と想定されている。 図表2-5 各区における最大津波高とその場所 ? 第2 震災時の時間経過による活動想定 図表2-6 震災時の時間経過による被害様相と対応 (都心南部直下地震 冬・夕方18時・8m/秒)(1/3) 項目 地震発生 2,3時間後〜 被害 様相 自然現象 地震動 最大震度は7、全域6弱以上 余震 液状化 沿岸部中心に発生のおそれあり − 土砂災害 急傾斜地崩壊危険箇所等で被害発生のおそれあり 降雨や余震があれば被害拡大のおそれ 建物等 建物 ゆれ・液状化等による全壊2,892棟 余震により被害拡大のおそれ 火災 火災延焼による焼失6,286棟 延焼継続 人的被害 死傷等 死者288人、負傷者4,492人 (うち重傷者736人)発生 閉じ込めにつながるエレベーター停止887台 区内の医療機関も被災し、重傷者等の対応が困難となるおそれあり。都内被災地の病院に負傷者が集中し混乱が発生 避難者 自宅建物被害やライフライン被害等により自宅生活の継続困難 高層住宅における長周期地震動による被害、生活継続困難 避難所避難者87,418人 避難所外避難者43,709人 避難者合計131,126人 ※小数点以下の四捨五入により、合計値は合わない。 帰宅困難者 交通機関の停止により帰宅困難者、徒歩帰宅者が発生 帰宅困難者233,316人 交通 道路 細街路を中心に通行不能箇所多発 緊急輸送道路は交通規制により一般車両は通行禁止。被害の少ない通行可能道路でも一般車両の集中や徒歩帰宅者移動等で渋滞発生 鉄道 全列車が運行停止 都外からの来街者も多くが帰宅困難 全駅周辺で救助・救援活動、情報提供活動、混乱防止活動の実施 ライフ ライン 電気 電柱等被害発生、停電(21.3%) 変電所被害による停電は1日以内に回復 水道 配水管被害発生、断水(30.2%) 断水が継続 都市ガス 供給停止(60.6%) 広域的に供給が停止 通信 電柱等被害発生、 通信の不通(11.0%) 輻輳(ほぼ全域) 輻輳が激しい メール・SNS等の大幅な遅配 110番・119番通報がパンク NTT・携帯電話事業者の安否確認システム(災害用伝言ダイヤル171、災害用伝言板サービス等)が稼動 放送(通信) 地上放送・品川区民チャンネルの停波(一部地域) 一部の固定電話・インターネットサービスが不通 地上放送・品川区民チャンネルの停波(5割以上に拡大) 下水道 下水道管きょ被害(6.4%) 被害状況調査開始、緊急措置開始 対応 災害対策 本部 区 非常参集 災害対策本部の設置、設営開始 来庁者および職員の安全確保 地震情報・被害情報の収集開始 庁舎内の点検・応急措置を開始 災害広報活動 自衛隊の出動を都に要請 医療救護本部の設置 避難所の開設・運営 緊急物資の調達、都の備蓄物資の輸送 緊急医療救護所の設置、救助救急活動 都 自衛隊への派遣要請、広域応援 災害救助法適用検討 国への報告、国民への広報 図表2-7 震災時の時間経過による被害様相と対応 (都心南部直下地震 冬・夕方18時・8m/秒)(2/3) 項目 1日後〜 2,3日後〜 被害 様相 自然現象 地震動 余震 (同左) 液状化 − − 土砂災害 降雨や余震があれば被害拡大のおそれ (同左) 建物等 建物 余震により被害拡大のおそれ (同左) 火災 延焼継続 − 人的被害 死傷等 区内の医療機関も被災し、重傷者等の対応が困難となるおそれあり。都内被災地の病院に負傷者が集中し混乱が発生 高齢者等を中心に持病の悪化、(特に冬場には)風邪、肺炎、インフルエンザ等の発病のおそれ 避難者 避難者に加え帰宅困難者も避難所に殺到し、受入能力を越える事態が発生 避難所以外で生活する避難者(在宅、テント泊、車中泊等)の発生 区や区民自身の備蓄により、生活用品を確保 国や都により支援物資の供給 多様な避難者との生活 必要なスペースや物資の確保等のケアが行き渡らず避難所避難者のストレスが増加 在宅避難者の家庭内備蓄が枯渇し、時間経過とともに避難所への避難者が増加 帰宅困難者 帰宅困難者の継続発生 自宅等へ移動する人や屋外に滞留する人で道路上が混雑し、応急活動に支障が発生 徒歩帰宅者や帰宅のための移動手段が必要な帰宅困難者の発生 運行を再開した駅等における混雑の発生 一時滞在施設等での滞在期間の長期化、滞在環境の確保の困難化 交通 道路 発災後1〜3日間は道路啓開作業等のため緊急輸送には使用困難となる可能性あり 緊急輸送ルートは確保されるが機能は平常時より大幅に低下 鉄道 全駅周辺で救助・救援活動、情報提供活動、混乱防止活動の実施、応急復旧作業 応急復旧作業 ライフ ライン 電気 配電設備の復旧作業開始 計画停電が実施される可能性 徐々に復旧 水道 断水が継続 本格的復旧作業 断水の復旧は限定的 都市ガス 広域的に供給が停止 安全点検や復旧作業のため供給停止が一部継続 通信 利用困難が継続 利用困難が継続 放送(通信) 被害状況の確認と復旧計画の策定 伝送路設備の復旧作業開始(一部は応急的復旧) 下水道 支障箇所の応急復旧作業開始 下水利用が困難な状況が継続 対応 災害対策 本部 区 被害情報の収集継続(概略判明) 避難所の運営継続 食料・飲料水等の配給継続 救助救急活動継続 (同左) +ボランティア対応 応急危険度判定 支援物資受入態勢の確立 都 災害救助法の適用 緊急輸送ルート決定、緊急輸送対応 国への報告、国民への広報 (同左) 図表2-8 震災時の時間経過による被害様相と対応 (都心南部直下地震 冬・夕方18時・8m/秒)(3/3) 項目 1週間後〜 1ヶ月後〜 被害 様相 自然現象 地震動 余震 − 液状化 − − 土砂災害 − − 建物等 建物 − − 火災 − − 人的被害 死傷等 高齢者等を中心に持病の悪化、(特に冬場には)風邪、肺炎、インフルエンザ等の発病のおそれ 持病の悪化による死亡事例の増加、単身高齢者等を中心に孤独死、避難所生活の長期化や生活不安等による精神的ダメージ発生のおそれ 避難者 プライバシー不足や生活ルール、ペット等に関するトラブルが増加 避難所避難者が自宅等へ戻り始める 避難者、特に外国人等、生活習慣や文化等が異なる人たちの精神的負担が増加 避難者が自宅や親戚・知人宅、応急仮設住宅等に移り、避難所避難者数が減少 帰宅困難者 − − 交通 道路 緊急輸送ルートは確保されるが機能は平常時より大幅に低下 主要幹線道路では通常レベルまで回復するが機能低下が継続 鉄道 復旧完了区間から順次運行開始 橋脚等の大規模災害、線路閉塞、車両脱線等が発生した場合、復旧まで期間が必要となる可能性 ライフ ライン 電気 電力供給量が不足し電力需要が抑制されない場合、計画停電が継続 多くの地域で復旧 水道 断水・濁水は段階的に解消 断水は概ね解消 浄水施設等が被災した場合、断水が長期化する可能性 都市ガス 安全点検や復旧作業のため供給停止が一部継続 多くの地域で供給再開 通信 順次、通信が回復 通信設備の被害状況により長期間に渡り不通となる可能性 (同左) 放送(通信) 引込線設備の復旧作業 被災箇所以外の地上放送・品川区民チャンネルの復旧 下水道 下水利用が困難な状況が継続 多くの地域で利用制限解消 対応 災害対策 本部 区 被害情報の収集継続(概略判明) 避難所の運営継続 食料・飲料水等の配給継続 応援職員・ボランティアの受け入れ 応急危険度判定 罹災証明書発行準備 被災者生活再建支援 応急仮設住宅(建設型応急住宅および賃貸型応急住宅)、公営住宅入居者募集 (同左) 都 建設型応急住宅建設開始 公営住宅の確保 賃貸型応急住宅の借上げ 住宅の応急修理 (同左) +復興住宅用地確保 第3 被害軽減と都市再生に向けた目標(減災目標) 都では、令和5年修正時の地域防災計画において、「被害軽減と都市再生に向けた目標(減災目標)」として、新たな目標を定めた。 区は都の減災目標を踏まえ、次のとおり減災目標を定め、区民、都、事業者と協力して対策を推進する。目標期間は約10年間とし、区の応急対応力の強化等、速やかな対応が必要な対策については、可能な限り早期に達成する。 ※減災目標は都心南部直下地震(冬の夕方18時、風速8m/秒) 目標1 @死者を約150人減少させる。(5割減) A建物の全壊・焼失棟数を約4,500棟減少させる。(5割減) (1)目標を達成するための主な対策 ア 死者・建築物被害の減 ・区は、木造住宅やマンション等の耐震性が不十分な住宅を令和7年までに概ね解消する。(第2編 第3章) ・市街地の延焼率がほぼ0となるように、不燃領域率を令和11年までに70%以上にする。(第2編 第3章) ・特定整備路線を令和7年度までに全線整備する。(第2編 第3章) ・特定整備路線のほか、優先整備路線に位置付けた都市計画道路の整備により、整備率を令和14年までに78%とする。(第2編 第3章) ・密集市街地を中心に、災害発生時に避難場所や活動拠点として利用できる広場を、令和13年までに49箇所まで増やす。(第2編 第3章) ・防災区民組織の活性化を図るとともに、地区防災計画の作成を促進する。(第2編 第2章) ・消防団活動体制の充実により、災害活動力を向上する。(第2編 第3章) 等 (2)さらなる充実を図っている対策例 ◎区は、平成28年度から不燃化特区を対象とした感震ブレーカー設置に係る費用の一部補助事業を行い、初期防火体制の強化を図っている。引き続き、不燃化の推進に向け、さらなる取組みを検討していく。(第2編 第3章) ◎各避難所敷地内におけるスタンドパイプの取り組み口の設置や防災広場設置(貯水槽含む)等の対策を進め、消火体制のさらなる充実を図っている。(第2編 第3章) ◎品川区避難支援個別計画書(個別避難計画)の作成を進め、避難行動要支援者の支援体制づくりを推進している。(第2編 第8章) ? 目標2 @災害対策機能を有する施設(区有施設、病院等)の機能停止を回避する。 A企業等の備蓄や一時滞在施設の確保により、帰宅困難者の安全を確保する。 ○区役所をはじめとする行政機関や、病院等の関係機関について、発災後も、その機能を確実に発揮できるようにする。 ○帰宅困難者について、事業者等による備蓄を推進し、一斉帰宅を抑制するとともに、一時滞在施設の確保等を進めることで、全ての帰宅困難者の安全を確保する。 (1)目標を達成するための主な対策 ア 中枢機関の機能維持 ・区の災害対策本部体制の整備や、近隣自治体、関係機関等との相互協力、応援態勢により、応急対応力の強化を図る。(第2編 第5章) ・区は、東京都災害医療コーディネーターと、品川区災害医療コーディネーター、災害薬事コーディネーターとの連携による最適な医療資源の配分を行う。(第2編 第11章) ・医療救護所等で医薬品が不足した場合に対応できるよう、品川区薬剤師会に加え、医薬品卸売販売業者と連携した供給体制を構築する。(第2編 第11章) ・都下水道局は、避難所等の施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化を図る。(第2編 第4章) 等 イ 帰宅困難者の安全確保 ・区内の事業者等は、従業員等の施設内待機のための計画を策定し、従業員等への周知や3日分の備蓄の確保に取組む。(第2編 第9章) ・区は、企業や学校等に所属していない、行き場のない帰宅困難者を待機させるための一時滞在施設を確保する。(第2編 第9章) ・混乱収拾後の徒歩帰宅者を支援するため、地域や隣接区等との協力体制を構築する。(第2編 第9章) 等 (2)さらなる充実を図っている対策例 ◎区は、人的資源、物的資源の不足に対して、令和3年に災害時受援計画を策定し、円滑な受援を行う体制の強化を図っている。(第2編 第10章) ◎令和2年に策定した業務継続計画や対策等の充実について検討を進めている。(第2編 第5章) ◎初動医療体制を構築し医師会、薬剤師会等との連携体制の強化を図っている。(第2編 第11章) ◎一時滞在施設運営マニュアル(新型コロナウイルス感染症対策を含む)を作成するとともに、目黒駅、大井町駅、大崎駅および五反田駅において駅周辺帰宅困難者対策協議会により、帰宅困難者対策の推進を図っている。(第2編 第9章)? 目標3 @ライフラインを早期に機能回復する。 A避難所の環境整備等により、被災者の当面の生活を支えるとともに、ライフラインの回復とあわせて、応急仮設住宅等への入居などを進め、早急に被災者の生活再建の道筋をつける。 ○都心南部直下地震(冬の夕方18時、風速8m/秒)のケースで、ゆれや火災による死者を約150人、全壊や焼失による建物の全壊棟数を約4,500棟、それぞれ減少させる。 ○各ライフライン事業者は、耐震化等を進めるとともに、被災後の復旧体制を整備し、首都直下地震等の発災時には復旧目標や現実の被災状況等を踏まえて、早期の機能回復に努めるものとする。 ○避難所の環境整備等により被災者の当面の生活を支えるとともに、ライフラインの回復とあわせて、応急仮設住宅等への入居などを進め、早期に被災者の生活再建の道筋をつける。 (1)目標を達成するための主な対策 ア ライフラインの回復 ・都水道局は、浄水場等の水道施設の耐震化を推進するとともに、管路については、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域などの耐震継手化を重点的に進める。(第2編 第4章) ・水再生センター等の耐震化を推進するとともに避難所や災害拠点病院等の施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化を推進する。(第2編 第4章) 等 イ 生活再建の早期化 ・区は令和4年度に導入した被災者生活再建支援システムにより、罹災証明の速やかな発行、被災者台帳に基づく生活再建支援等、体制を構築する。(第2編 第22章) ・都は被害状況に応じて都営住宅等の公的住宅の活用、民間賃貸住宅の借上げおよび建設型応急住宅の建設により応急仮設住宅等を効率的に供給する。(第2編 第21章) ・区は、大規模地震時、早急に復旧・復興を進めていくため、復興体制の整備や復興事前準備対策を推進する。(第5編 第2章・第3章) 等 (2)さらなる充実を図っている対策例 ◎区は、区職員向け避難所開設・運営マニュアル、新型コロナウイルス感染症に係る避難所運営マニュアルを整備した。今後、避難所生活における人権、在宅避難者への対応、ペットの保護といった点に配慮しながら、施設単位の避難所開設・運営マニュアルの充実・強化を図る。(第2編 第8章) ◎区は、避難所生活の早期解消に向け、住宅確保マニュアルを作成しており、マニュアルに基づき、発災後を想定した訓練の実施に努めている。(第2編 第21章) 等 対策2 風水害 ○ここでは、風水害対策を示す上で前提とする、外水氾濫、内水氾濫、土砂災害、雪害、竜巻について定義するとともに、被害が想定されている災害について示した。また、区における風水害対策を進める上での方向性について定めた。 品川区は、過去には、集中豪雨により浸水被害の発生や台風や高潮等による洪水や内水氾濫が発生し、被害を受けてきた。 また、アスファルト舗装やコンクリート舗装等の施設が増加し、地表面の不透水化が進み、雨水の浸透機能が低下しているため、豪雨時に大量の雨水が一気に河川や下水道に流れ込み、河川が氾濫したり、排水能力を超えた下水管から雨水が路上に噴き出したりするなど、いわゆる都市型水害の発生が見られるようになった。 また、平成30年7月豪雨では、河川の氾濫、土砂災害等が多数発生し、この未曽有の豪雨災害を教訓とし避難対策の強化が課題となり、国では、5段階での警戒レベルにより、避難情報を提供できるように改善した。さらに、令和元年台風第19号(東日本台風)等を踏まえ、令和3年に災害対策基本法が改正され、警戒レベル4の避難勧告と避難指示を「避難指示」に一本化するなど、避難情報の改善が行われたとことである。 本編においては、風水害対策についての大綱を示す。 第1 計画の前提とする災害 1 計画の前提とする災害 この計画で前提としているのは、外水氾濫(洪水、高潮)、内水氾濫、土砂災害、雪害、竜巻である。 (1)外水氾濫 外水氾濫とは、大雨や高潮等により川の水が堤防から溢れる、あるいはそれによって川の堤防が決壊した場合等に起こる洪水のことをいう。外水氾濫の場合には、大量の高速氾濫流が一気に市街地に流入し短時間で住宅等の浸水被害が起こるため、人的な被害が起きる場合が多い。災害廃棄物は、一時に大量の粗大ごみおよび生活ごみが発生する。水分を多く含み、腐敗による悪臭・汚水が発生するとともに、重量がある畳や家具等の粗大ごみが発生する。また、土砂が混入しており、処理にあたり留意が必要である。内水氾濫や土砂災害時の災害廃棄物にも留意が必要である。 (2)内水氾濫 内水氾濫とは、市街地に降った雨が雨水処理能力を超える、あるいは河川の水位が上昇することで排水できないことにより水が溢れることをいう。 (3)土砂災害 自然の急傾斜の崖、人工的な造成による斜面が突然崩れ落ちることをいう。 (4)雪害 降積雪時において、交通の乱れや区民の混乱が発生し、除雪作業が必要な状況を想定する。 (5)竜巻災害 家屋の倒壊や車両の転倒、飛来物の衝突により、短時間で大きな被害をもたらす可能性がある風害の一種である。 2 被害想定 本計画で前提とする災害のうち、被害が想定されている災害について、整理する。 (1)大雨による浸水 ア 想定最大規模の降雨による浸水(想定最大規模降雨) 城南地区河川流域で想定し得る最大規模の降雨(総雨量 690mm、時間最大雨量153mm)が品川区全域に降った場合に想定される浸水状況について浸水ハザードマップ(想定最大規模降雨)として整理している。浸水状況については別冊資料にて示す。 品川区災害廃棄物処理計画(令和4年4月策定)では、浸水想定区域図に基づき、災害廃棄物(災害がれき)の発生量は、最大で約7.4万トンと推計されている。 資料5 浸水ハザードマップ(想定最大規模降雨) イ 多摩川流域で想定される最大規模の降雨による浸水 多摩川流域で想定される最大規模の雨(多摩川流域の48時間総雨量588 mm)が降り多摩川が決壊した場合に、約8時間後に氾濫水が到達し、区内の一部地域で浸水することが想定されている。多摩川が氾濫した際に浸水するおそれがある範囲については、別冊資料にて示す。 資料6 多摩川洪水ハザードマップ(浸水想定最大規模) (2)高潮による浸水 ア 想定最大規模の台風による高潮浸水(浸水想定最大規模) 東京湾に想定し得る最大規模の台風(室戸台風級:910hPa)が通過し、堤防等が決壊した場合に想定される浸水状況について高潮ハザードマップとして整理している。浸水状況については、別冊資料にて示す。 資料7 高潮浸水ハザードマップ(浸水想定最大規模) イ 土砂災害 (ア)急傾斜地崩壊危険箇所 昭和44年8月に施行された「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に伴い、都は、傾斜度30度以上、高さ5m以上の急傾斜地で人家や公共施設に被害を及ぼすおそれのある急傾斜地および近接地と定義している急傾斜地崩壊危険箇所について、品川区内において43箇所を公表している。 区では、都公表の急傾斜地崩壊危険箇所43箇所のうち、自然斜面で建物の立地状況等により土砂災害につながるおそれのある6箇所を警戒区域として選定している。 (イ)土砂災害(特別)警戒区域 平成13年4月に施行された「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」に伴い、令和元年9月26日および令和5年6月21日に都が区内50箇所の急傾斜地を土砂災害警戒区域に指定している。そのうち、36箇所を土砂災害特別警戒区域に指定した。指定された範囲については、別冊資料にて示す。 資料8 土砂災害ハザードマップ@ 資料9 土砂災害ハザードマップA 資料10 土砂災害ハザードマップB 資料11 土砂災害ハザードマップC ? 第2 計画の方向性 近年、気候変動の影響から、勢力の強い台風の接近、線状降水帯の発生等による長時間の集中豪雨、ゲリラ的な集中豪雨等の風水害被害が激甚化の傾向にある。 品川区は、目黒川や立会川の中小河川や多摩川の氾濫、内水氾濫による浸水被害に加え、高潮や土砂災害の発生等、災害リスクを有している。 このため、これまでに中小河川改修事業や高潮防御施設整備事業、浸透施設の設置や建造物対策等の浸水被害の軽減に向けた対策、がけ崩れ対策を推進してきた。 引き続き、被害の軽減に向けたハード対策とあわせて、区民が自らの命は自らが守る意識のもと、自らの判断で早期に避難行動をとることができるように、区は、降雨・水位、土砂災害等に関する円滑な情報周知体制強化や避難指示等の基準明確化、訓練による防災力向上等の早期の避難体制の構築など、豪雨災害へのソフト対策の充実を図る。 上記のような対策とあわせて、雪害、竜巻災害等の風水害全般に対しても情報連絡体制の充実や平常時からの防災意識の啓発等のソフト対策を進めるとともに、人的被害の軽減を目指していく。 ? 対策3 富士山噴火降灰 第1 富士山噴火降灰対策の方針 @ 本対策は、都が定めた火山対策のうち、富士山降灰対策の推進を目的とした実施方針を定め、区民の生命、身体および財産を災害から守ることを目的とするものである。 A 区として実施すべき措置事項を以下の構成でまとめる。 図表2-9 火山噴火降灰対策の主な内容 構成 主な内容 総則 (第2編 第1章 対策3) 富士山噴火降灰対策の方針、富士山の現況等、富士山の被害想定 予防対策 (第2編 第17章) 区災害対策本部の組織、火山観測体制、降灰時の対応行動の周知 応急対策 (第3編 第3部) 災害時対応体制の確保、情報の収集・伝達、応援協力・派遣要請、警備・交通規制、避難、救援・救護、インフラの応急対策、ライフライン等の応急対策、火山灰の収集および処分 復旧対策 (第4編 第3部) インフラの復旧対策、ライフラインの復旧対策、宅地の降灰対策 B 富士山が噴火した場合には、他の火山とは比較にならない広範かつ多大な被害が生じるおそれがある。区においても降灰の被害が予想されているため、富士山降灰対策について、対策を講じる必要がある。 C 区近辺の活火山においては浅間山や箱根山等があるが、令和5年6月時点で、いずれの火山も富士山を上回る降灰被害予測は出されていないため、最大の降灰被害が想定される富士山を基本として、他の火山噴火による降灰対策についても、本対策によるものとする。 D?降灰の影響をあらかじめ予測して地域全体で火山災害に取組み、想定される健康被害、交通被害、ライフライン被害とその対策について定め、災害を軽減するための災害予防計画を作成する。 E 降灰被害発生時の降灰情報の伝達、各防災機関の情報連絡体制、被害状況の把握、広報等について定め、円滑な応急・復旧対策活動を実施する。 ? 第2 富士山の現況等 1 富士山の概要 @ 富士山は、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートが接する地域に、静岡県および山梨県の二県にまたがって位置しており、富士火山帯に属する玄武岩質の成層火山である。 A 我が国に111存在する活火山の一つであり、活動度はランクB(100年活動度または1万年活動度が高い活火山)とされている。 B?標高は3,776mで我が国の最高峰であり、山体の体積は約500?で我が国の陸域で最大の火山である。 C 山腹斜面の勾配は、標高 1,000m以下では10度未満と緩いが、標高が高くなるに従い傾斜は急になり、山頂近くでは40度近くとなっている。 D 都内からは、丹沢山地の後背に山頂部を望むことができ、都内各所に富士見坂等の地名が残っている。富士山山頂火口から品川区役所までの距離は約115qとなっている。 図表2-10 近隣の活火山 2 国による検討 @ 仮に噴火した場合には、他の火山とは比較にならない広範かつ多大な被害や影響が生じるおそれがあるため、平成13年7月に、国、関係する県および市町村により「富士山火山防災協議会」が設立され、火山防災対策の確立のため、平成16年6月に富士山ハザードマップが作成された。 A 富士山ハザードマップの作成においては、過去3,200年間の噴火活動の実績を踏まえて、火口範囲の想定、溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流、降灰、噴石、土石流といった各現象について数値シミュレーションなどにより到達範囲等が求められた。 B?平成16年6月には、同協議会において、同ハザードマップを基に、国、県、市町村が役割分担を明確にした上で互いに協働して行う広域的な防災対策、ならびに富士山が日本でも有数の観光資源であることに配慮した防災対策について具体的な検討を行うこととなり、平成17年9月に「富士山火山広域防災対策」としてとりまとめられ、中央防災会議に報告された。 C?平成30年8月には、中央防災会議防災対策実行会議に「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」が設置され、大規模噴火時の広域降灰対策の基本的な考え方が検討され、令和2年4月に「大規模噴火時の広域降灰対策について−首都圏における降灰の影響と対策−〜富士山噴火をモデルケースに〜(報告)」が公表された。 (1)富士山の噴火に伴う被害 富士山の噴火に伴う被害として想定されたものには、次のようなものがある。 図表2-11 富士山の噴火に伴う想定被害 火山活動に起因する現象 溶岩流、噴石、降灰、火砕流、火砕サージ、水蒸気爆発、 岩屑なだれ、融雪型火山泥流、噴火に伴う土石流、噴火に伴う洪水、火山性地震(地殻変動)、津波、空振、火山ガス 火山活動に起因しない現象 斜面表層崩壊、豪雨等に伴う土石流、豪雨等に伴う洪水、 雪泥流、岩屑なだれ、落石 第3 富士山の被害想定 1 噴火による被害想定 (1)被害想定 本計画では、国が設置した富士山ハザードマップ検討委員会が、平成16年6月に公表した「富士山ハザードマップ検討委員会報告書」に示された被害想定を計画の基礎とする。品川区は、富士山山頂火口から距離があるため、溶岩流や火砕流等の被害を受けることはなく、広範囲な降灰に起因する影響が想定される。なお、実際の降灰範囲は、噴火のタイプ、火口の出現位置、噴火規模、噴火の季節等、様々な条件によって変化する。? 図表2-12 噴火の規模と概要 内容 噴火の規模等 規模 宝永噴火と同程度 継続期間 16日間 時期 @雨期 Aその他の時期 被害の原因 降灰 被害の範囲 都内全域 被害の程度 品川区 2〜10cm程度 (八王子市および町田市の一部10cm程度、その他の地域2〜10cm程度) 被害の概要 降灰に伴うもの 健康障害、建物被害、交通・ライフライン、 農林・水産業・商工業・観光業への影響 降灰後の降雨等に 伴うもの 洪水、泥流、土石流にともなう人的・物的被害 図表2-13 首都圏の想定降灰量 出典:富士山ハザードマップ検討委員会報告書(平成16年6月) ? 2 火山灰による被害 (1)火山灰の特徴 @?火山灰とは火山岩が粉々になった細かい粒子(直径2mm以下のもの)のことである。 A 火山灰が生じるのは、火山が爆発するときや、高温の岩なだれが火山の山腹を流れおちるとき、赤熱した液状の溶岩がしぶきになって飛び散るときなどである。 B 火山灰の外見は、火山のタイプや噴火の仕方によって異なり、明るい灰色から黒色のものまで様々である。 C 大きさも様々であり、小石のようなものから化粧用パウダーと同じくらい細かいものまである。 D 空中を浮遊する火山灰は太陽光をさえぎり、視界を悪くする。そのため、昼間なのに真っ暗になるということもある。 図表2-14 降灰の特徴および課題 項目 留意すべき特徴、対応上の課題 発生条件 ・高い噴煙柱が形成された場合に大量降灰となる。 発生時間 ・噴火が始まってから降灰が降り積もるまで時間的余裕がある。 危険性 ・直接死傷する危険性はほとんどない。 ・火口周辺や風下等、高温の火山灰・火山れきが大量につもる場合は、木造家屋が火災を起こす危険性がある。 ・体育館等の避難所でも降灰の重量で被害を受けるものがある。 ・降灰中の屋外作業は転倒・車両走行不能・交通事故の危険性がある。 ・降灰により道路上で車両が立ち往生した場合にはその後の道路確保を困難にする。 ・交通機関が広域的に停止し、停電・信号故障が発生する可能性もあり、救援活動も停滞する。灰粒子浮遊により、航空機は飛べなくなる。 ・交通支障により、生活物資の搬送が行えなくなる。 ・東京等でも大量の帰宅困難者が発生する。 ・経済活動に広域的かつ甚大な影響を与える。 ・健康被害(気管支等)が多数発生する。 ・積もった降灰から火山ガスが発生する場合があり、風通しの悪い場所では火山ガス中毒の危険性もある。 ・降灰によって発生した土石流等によって流出した土砂が河床上昇を引き起こし、洪水氾濫の危険性が増大する。 ・土石流・浸水被害が続く。 範囲 ・大量の降灰は高層風によって運ばれるため、大量降灰域は東方を中心とする可能性が高い。 ・きわめて広範囲(南関東一帯)に降灰があるため、降灰域外への避難は不可能 対応 ・30cm以上堆積すると建物に被害が出る可能性があるが、降灰の休止中に灰下ろしができれば被害を免れる。 復旧 ・道路確保や市街地の復旧、河床上昇対策に多大な除灰作業が必要となる。 ? 図表2-15 被害の想定 降灰量 (積もった厚さ) 規模 想定される被害等 対処法 64cm 極めて大量 60%の木造家屋が全壊 堅固な建物に避難 50cm 30%の木造家屋が全壊 32cm 降雨時、30%の木造家屋が全壊 30cm 大量 降雨時、木造家屋が全壊するおそれあり 危険があれば避難 10cm 極めて多量 降雨時、土石流が発生 屋内退避 5cm 道路が通行不能 2cm 何らかの健康被害が発生するおそれあり 1mm以上 多量 車の運転は控える。 外出を控えて窓を閉めるかマスク等で防護 1mm未満 やや多量 車は徐行運転となる。 0.1mm未満 少量 車のフロントガラスに灰が積もる。 出典:富士山火山防災対策協議会 (2)健康被害 ア 呼吸器系の影響 噴火によっては、火山灰粒子が非常に細かく、呼吸によって肺の奥深くにまで入ることもある。大量の火山灰にさらされると、健康な人でも咳の増加や炎症等を伴う胸が不快に感じる。一般的な急性(短期間)の症状は次のとおり。 ・鼻の炎症と鼻水。 ・のどの炎症と痛み。乾いた咳を伴うこともある。 ・呼吸器系の基礎疾患がある人は、火山灰を浴びた後、数日続く気管支のひどい炎症(空せき、たん、ぜーぜーとした呼吸、息切れ)を引き起こす可能性がある。 ・ぜんそくまたは気管支炎の患者における気道の刺激 ・息苦しくなる。 イ 目の症状 火山灰のかけらによって、目に痛みを伴う角膜のひっかき傷や結膜炎が生じる。コンタクトレンズ着用者は、特にこの問題が大きい。一般的な症状は以下のとおり。 目の異物感/目の痛み、かゆみ、充血/ねばねばした目やに、涙 ウ 皮膚への刺激 火山灰が酸性の被膜に覆われている場合、皮膚に炎症を起こす場合がある。その他、皮膚に痛みや腫れ、ひっかき傷からの二次感染等が起きる場合がある。 出典:防災科学技術研究所「火山灰の健康被害 地域住民のためのしおり」 (3)各分野で生じる主な影響 図表2-16 各分野で生じる主な影響 分野 主な影響 鉄道 ・微量の降灰で地上路線の運行が停止する。 ・大部分が地下の路線でも地上路線の運行停止による需要増加や、車両・作業員の不足等により運行停止や輸送力低下が発生する。 ・停電エリアでは地上路線、地下路線ともに運行が停止する。 道路 ・乾燥時10cm以上、降雨時3cm以上の降灰で二輪駆動車が通行不能となる。 ・当該値未満でも、視界不良による安全通行困難、道路上の火山灰や、鉄道停止に伴う交通量増等による、速度低下や渋滞が発生する。 物資 ・一時滞留者や人口の多い地域では、少量の降灰でも買い占め等により、店舗の食量、飲料水等の売り切れが生じる。 ・道路の交通支障 が生じると、物資の配送困難、店舗等の営業困難により生活物資が入手困難となる。 人の移動 ・鉄道の運行停止とそれに伴う周辺道路の渋滞による一時滞留者の発生、帰宅・出勤等の移動困難が生じる。 ・道路交通に支障が生じると、移動手段が徒歩に制限される。 ・空路、海路の移動についても制限が生じる。 電力 ・降雨時0.3cm以上で碍子の絶縁低下による停電が発生する。 ・数cm以上で火力発電所の吸気フィルタの交換頻度の増加等による発電量の低下が生じる。 ・電力供給量の低下が著しく、需要の抑制や電力融通等の対応でも必要な供給力が確保しきれない場合は停電に至る。 通信 ・噴火直後には利用者増による電話の輻輳が生じる。 ・降雨時に、基地局等の通信アンテナへ火山灰が付着すると通信が阻害される。 ・停電エリアの基地局等で非常用発電設備の燃料切れが生じると通信障害が発生する。 上水道 ・原水の水質が悪化し、浄水施設の処理能力を超えることで、水道水が飲用に適さなくなる、または断水となる。 ・停電エリアでは、浄水場および配水施設等が運転停止し、断水が発生する。 下水道 ・降雨時、下水管路(雨水)の閉塞により、閉塞上流から雨水が溢れる。 ・停電エリアの処理施設・ポンプで非常用発電設備の燃料切れが生じると下水道の使用が制限される。 建物 ・降雨時30cm以上の堆積厚で木造家屋が火山灰の重みで倒壊するものが発生する。 ・体育館等の大スパン・緩勾配屋根の大型建物は、積雪荷重を超えるような降灰重量がかかると損壊するものが発生する。 ・5cm以上の堆積厚で空調設備の室外機に不具合が生じる。 出典:大規模噴火時の広域降灰対策について−首都圏における降灰の影響と対策− 〜富士山噴火をモデルケースに〜(報告) ? 対策4 大規模事故 第1 対象災害 災害対策基本法では、自然災害の他に大規模な火災、爆発その他の大規模な事故による被害についても災害として定義している。ここでは品川区において、発生の可能性があり、発生した場合の危険性が高い大規模火災、危険物事故、大規模事故(航空機事故、鉄道事故、道路・橋梁・トンネル事故等)を対象とすることとした。 第2 対策の基本的な考え方 品川区は、人口や産業が集中する都市である一方、現在も木造住宅密集地域が広く分布しており、火災等が発生した場合には、平成28年に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災と同様となるおそれがある。また、羽田空港や調布飛行場から離発着する航空機が上空を通過することや14路線40駅の鉄道が通っていること、高速道路や国道、都道等の複数の幹線道路が通っている等の条件から、大規模な事故が発生する可能性がある。 図表2-17 本計画の対象となる大規模事故災害例 大規模事故災害例(発生年) 〇大規模火災 ・新宿歌舞伎町ビル火災(2002) ・ブリヂストン栃木工場火災(2003) ・平成28年新潟県糸魚川市大規模火災(2016) ・アスクル倉庫火災(2017) 〇危険物事故 ・渋谷温泉施設爆発事故(2007) ・首都高速タンクローリー横転・炎上事故(2008) ・港区元赤坂一丁目不発弾処理(2012) 〇大規模事故(航空機) ・長野県消防防災ヘリコプターの墜落事故(2017) 〇大規模事故(鉄道) ・JR九州鹿児島線列車衝突事故(2002) ※停止中に後続の快速列車が衝突した事例 ・JR福知山線脱線事故(2005) 〇大規模事故(道路・橋梁等) ・道央自動車道多重交通事故(2003) ※観光バス、トラック、乗車等計42台による多重衝突事故 ・中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故(2012) ・福岡市地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没(2016) ・軽井沢スキーバス事故(2016) このため、ここでは大規模事故から区民の生命、身体および財産を保護するため、関係機関と連携し、大規模火災事故対策、危険物事故対策、航空機、鉄道等の事故対策について定める。? 対策5 複合災害 第1 対象災害 東日本大震災では東北地方太平洋沖地震、大津波、原子力発電所事故など、複合災害に見舞われた。また、近代未曾有の大災害である関東大震災では、台風の影響で関東地方では強風が吹いており、火災延焼による被害の拡大が顕著であったほか、地震発生から3週間後に台風が接近した。近年では、令和2年7月豪雨が新型コロナウイルス感染拡大の最中で発生し、感染症対策を踏まえた避難所運営や応援職員の受入れなど、感染症まん延下における災害対応を余儀なくされた。 また、新たな被害想定においても、大規模風水害や火山噴火、感染拡大などとの複合災害発生時に起きうる事象が整理された。 図表2-18 想定する主な複合災害 災害 内容 風水害 ・地震動や液状化により堤防や護岸施設が損傷した箇所から浸水被害が拡大 ・梅雨期や台風シーズンなど、降水量が多い時期に地震が発生した場合、避難所等を含む生活空間に浸水被害が発生 火山噴火 ・数cmの降灰でも交通支障が発生し、救出救助活動や物資、燃料の搬送、がれきの撤去などの応急対策や復旧作業が困難化 ・火山灰が除去される前に地震が発生すると、降灰荷重により建物被害が激甚化 感染拡大 ・多くの住民が避難する中で、感染症や食中毒が発生した場合、避難者間で集団感染が発生 ・救出救助活動や避難者の受入れ等において感染防止対策が必要となり、活動に時間がかかる可能性 こうした、同種あるいは異種の災害が同時または時間差をもって発生する複合災害が発生した場合、被害の激化や広域化、長期化等が懸念されることから、こうした状況も念頭に置きながら、予防、応急・復旧対策を実施する必要がある。 第2 複合災害に備え留意すべき事項 先発災害発生時における被害状況等を踏まえ、第2編で掲げる各種施策を確実に進めつつ、後発災害に伴う影響なども念頭に置き、以下の点に留意する必要がある。 (留意事項) ○ 自分の命は自分で守る視点から、複合災害に対する普及啓発を図り、自助・共助の取組みを促進 ○ 都市基盤施設の整備・耐震化など、防災・減災対策の加速化 ○ 様々なシナリオを想定した、BCPの策定、訓練の繰り返し実施・検証 ○ 避難先のさらなる確保、在宅避難・自主避難など分散避難の推進 ○ 夏季発災時における熱中症対策 等 (大規模自然災害+大規模自然災害) ○ 先発災害から後発災害へのシームレスな対処計画の策定、受援応援体制の強化 ○ 後発災害のリスクや被害状況等を踏まえた被災者の移送等の検討 ○ 後発災害による被害の拡大に伴う避難の長期化を要因とした災害関連死抑止への対応 等 (感染拡大+大規模自然災害) ○ 災害ボランティアやエッセンシャルワーカーの行動制約下における体制の確保 ○ 避難所における感染拡大による災害関連死抑止への対応 等 ? 第2章 区民と地域の防災力向上 対策の基本的な考え方 災害対策は、自助・共助・公助に基づき、区、区民、防災区民組織、事業者等がそれぞれの責務または努めを認識し、それぞれの役割を果たすとともに、相互に連携および協力することが必要である。 ここでは、区民と地域の防災力向上に向けて、防災意識の高揚、防災訓練の充実、防災組織の育成・強化、事業者等における防災力の向上、地区防災計画の作成支援などの取組みの推進について示す。 各対策の要点 対策1 品川区に関わるすべての人の参画 ○区、区民、防災区民組織、事業者等は、それぞれの責務のもとで必要となる防災知識を習熟し、積極的な防災活動を推進する。 対策2 防災意識の高揚 第1 防災広報の充実 ○区は、災害時の心得、家庭や事業所等における平常時の備えなどについて、印刷物やデジタル技術等を活用して広報活動を行う。 第2 防災教育、講演会等の充実 ○区は、防災区民組織、事業所、学校、保育園、マンション居住者等への防災教室を実施する。また、防災啓発を推進する上で、教育やスポーツ、芸術、福祉、環境といった様々な分野の視点を絡めながら、多様な学習機会を提供する。 第3 職員に対する防災知識普及 ○区は、防災研修を実施し、平常時から職員の防災知識の向上を図る。また、防災訓練を実施し、防災知識の普及啓発を図る。 第4 しながわ防災体験館の活用 ○区は、しながわ防災体験館を防災対策の啓発拠点として活用し、区民の防災意識の向上を図る。 対策3 防災訓練の充実 第1 地域防災訓練 ○区は、総合防災訓練、区内一斉防災訓練、個別防災訓練、職員防災訓練、風水害や複合災害を想定した訓練の実施をとおして、防災力の向上を図る。この際、各種訓練で確認した課題を踏まえ、実施すべき訓練内容を拡充していく。 対策4 防災組織の育成・強化 第1 防災区民組織の現況 ○防災区民組織は、防災活動として防災訓練や避難所訓練、ワークショップによる避難誘導訓練等を積極的に行っている。 第2 防災区民組織の育成・強化 ○区は、警察署、消防署および消防団と連携し、防災区民組織の育成・強化を推進する。 対策5 事業者等における防災力向上 第1 平素からの取組み(自助) ○事業者等は、従業員等の施設内待機計画の策定、水・食料等の備蓄の確保、防災体制の整備、事業継続計画の策定を進める。 第2 平素からの取組み(共助) ○ターミナル駅周辺に立地する事業者等は、駅周辺帰宅困難者対策協議会に参画する。 ○事業者等は、区と災害時協力協定を締結し、区の防災対策への協力に努める。また、地域と連携した合同訓練を実施することで、地域の防災力向上を図る。 第3 事業者等への働きかけ(公助) ○区は、事業者等に施設の安全確保について呼びかけを行うとともに、防災力向上のための支援を行う。 対策6 地区防災計画の作成支援 ○区は、地区居住者等の共助による防災活動を推進する観点から、地区防災計画の作成を支援する。また、地区防災計画を地域防災計画に位置付ける際の検討事項や手順について整理していく。 対策7 様々な関係者との連携 ○区は、様々な団体が連携して行う防災啓発や防災訓練に積極的に関与するとともに、支援を行っていく。 ? 対策 対応テーマ 対策1 品川区に関わるすべての人の参画 対策2 防災意識の高揚 対策3 防災訓練の充実 対策4 防災区民組織の育成・強化 対策5 事業者等における防災力向上 対策6 地区防災計画の作成支援 対策7 様々な関係者との連携 対策1 品川区に関わるすべての人の参画 ○区、区民、防災区民組織、事業者等は、それぞれの責務のもとで必要となる防災知識を習熟し、積極的な防災活動を推進する。 災害対策は、自助・共助・公助に基づき、区、区民、防災区民組織、事業者および帰宅困難者がそれぞれの責務または努めを認識し、それぞれの役割を果たすとともに、相互に連携および協力を図ることを基本とする。このため、それぞれの主体が平素からそれぞれの責務のもとで必要となる防災知識を習熟、高揚し、積極的な防災活動を推進する。 防災関係機関は自らの取組みのほか、地域での助け合いを促進するため、区民、町会・自治会、NPO法人等多様な主体が連携して展開する地域コミュニティ活動を支援するとともに、活動拠点の機能の充実・活用を図る。また、年齢、性別、国籍等、様々な属性にかかわらず、多様な人たちが地域活動やボランティア活動に参加できる仕組みづくりを進める。 さらに、防災知識の普及等を推進する際には、性別による視点の違いに配慮し、女性の参画の促進に努めるとともに、女性や青年も含めた防災リーダーを育てる防災教育を実施していく。 これにより、区民と地域の防災力を高めていく。 ? 対策2 防災意識の高揚 区は、区民一人ひとりが防災に対する意識を高めるとともに、防災・減災の実現に向け適切な行動を促進していくことができるように、防災関係機関と連携し、「自らの命は自らが守る」意識の徹底や、地域の災害リスクと、とるべき防災行動の周知を図っていく。 さらに、区民一人ひとりが災害への備えや災害時の行動として行うべき自助・共助の取組みを具体化できるよう、災害時の区の公助についても周知していく。 第1 防災広報の充実 ○区は、災害時の心得、家庭や事業所等における平常時の備えなどについて、印刷物やデジタル技術等を活用して広報活動を行う。 図表2-19 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 1 広報内容 (1)災害についての概要 (2)区の防災計画 (3)災害時の心得、特に出火防止、初期消火、人命救助 (4)平常時の備え @ 家庭 家具等の転倒・落下防止、ガラスの飛散防止、7日間分以上の飲料水・食料・生活用品の家庭内備蓄、循環備蓄(ローリングストック)について啓発を行う。また、自宅での生活が可能な場合における在宅での避難、親戚・知人宅やホテル等への避難等、状況に応じた多様な避難行動の実践について啓発を行う。 A 事業所等 企業内備蓄・帰宅困難者対策等事業所のとるべき措置について、様々な普及・啓発を行い防災力の向上を図る。また、事業所の媒体をできるだけ活用して啓発の充実に努めていく。 (5)デジタル技術を活用した広報 デジタル技術を活用し、日常的な防災情報や災害時のリアルタイムの情報の収集・共有・伝達の仕組みや避難、救出・救護や生活再建のための対策を充実させ、地域の防災力の向上を図る。 2 印刷物等による広報活動 (1)広報紙・ホームページ等 @ 区広報紙「広報しながわ」 9月1日号等に防災特集記事のほか、随時家庭での防災対策のコメント記事やその他防災事業等について掲載する。 A 英字広報「City News SHINAGAWA」(8月を除く毎月10日発行) 防災特集記事やその他防災事業等について掲載する。 B 区のホームページ(英語・中国語・韓国語等131言語で自動翻訳) 区ホームページに災害時の対応や避難所、日頃からの取組み、防災地図等について掲載し、普及・啓発に努める。 C ケーブルテレビ品川 区提供番組の中で啓発を行うとともに防災訓練の告知等、必要な情報を掲載する。 D FMラジオ(FMしながわ) 防災意識の向上を図る番組を放送する。 E しながわガイドおよび外国語版生活情報誌(英語・中国語・韓国語) 防災啓発記事を掲載する。 (2)パンフレット 区民向けパンフレット等を作成し、配布する。また、集合住宅用ちらしを作成し、防災訓練等への参加や老朽住宅の耐震化や建替えを呼びかける。 (3)「品川区防災地図」および「しながわ防災ハンドブック」 避難施設、各ハザードマップおよび活用方法等を掲載した「品川区防災地図」と家庭で備える防災対策や災害時における対応方法、地域の特徴や課題等を盛り込んだ「しながわ防災ハンドブック」を作成し、全世帯に配布する。 英語、中国語、韓国語の「品川区防災地図」および「しながわ防災ハンドブック」を作成する。外国語版については、区役所・地域センターおよび大使館、大学、国際交流・外国人支援団体に配布する。 (4)避難道路標識等の整備 区は、ローマ字・英文併記以外にもそれ以外の言語ややさしい日本語あるいは絵文字等を活用し、道路標識等の整備に努める。また、区民の高潮・津波に対する防災意識を醸成するため、標高図や海抜標示板による啓発を行う。 都 1 ホームページ、出版物等による広報活動 (1)防災ブック「東京くらし防災」「東京防災」 女性・要配慮者等の視点、災害関連死対策の観点等を踏まえた防災対策について、普及啓発を推進する。 (2)「東京備蓄ナビ」 当該サイトの広報・普及により、日常備蓄の取組みを促進する。 (3)「東京とどまるマンション」 高層マンションにおける在宅避難の実現に向け、「東京とどまるマンション」の普及広報により、減災に向けた啓発活動を推進する。 (4)「東京都こどもホームページ」 子どもの防災意識の向上に向けて、子どもの視点での情報発信を推進する。 (5)「東京仮住まい」 大規模地震の発生から仮住まい、復興までの流れを広報・普及することで、平時からの備えと被災後の円滑な行動について防災意識の向上を促進する。 2 都民の防災意識や取組状況の把握 自助・共助の取組向上に向け、男女双方の視点や外国人等の視点を踏まえた調査により、都民の防災意識や取組状況を把握する。 3 マンション関連業界との連携 マンション関連業界との連携により、マンション居住者に対する自助の備え、防災計画の作成、訓練の実施等について普及啓発を推進する。 警察機関 1 広報内容 (1)地震、津波に関する一般知識 (2)事前に都民等のとるべき措置 (3)地震発生時の対応措置 (4)地震発生時の警視庁の諸活動 (5)大震災対策のための心理学的調査研究結果 2 広報手段および方法 (1)自主防災組織、町会、自治会等を通じての地域住民への働きかけ (2)幼稚園、学校等に対する積極的な働きかけ (3)事業所等に対する積極的な働きかけ (4)防災訓練、各種会議、講習会等の機会や巡回連絡、防犯座談会等諸警察活動を通じての広報活動 (5)運転免許更新時における広報誌の配布 (6)防災相談コーナー (7)警視庁ホームページを通じた広報活動 3 広報媒体 (1)パンフレット(日本語・英語) (2)パネル(東日本大震災被害状況等) 4 警察庁インターネットホームページ http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/ 災害対策、生活安全情報、事件事故情報、交通情報や各種相談窓口等を掲載している。 東京 消防庁 1 震災関係 (1)広報内容 @ 地震その時10のポイント(身体防護、出火防止等) A 地震に対する10の備え(家具類の転倒・落下・移動防止等) B 出火防止、初期消火、救出救助および応急救護の知識 C 事業所の地震対策(事業所防災計画) D 長周期地震動に関する防火防災対策の普及啓発 E 地域の連携協力、避難行動要支援者を支援するためのネットワークづくり F 消防団、災害時支援ボランティア、女性防火組織、消防少年団等の活動紹介および加入促進 (2)広報手段 ア 印刷物 「家具類の転倒・落下・移動防止対策」等、各種印刷物を配布する。 イ 講習会等 防火管理者や防災管理者、危険物取扱者等、区民を対象とした各種講習会を開催する。 ウ 各種行事 @ 「はたらく消防の写生会」の開催や「地域の防火防災功労賞制度」を活用した防災意識の普及啓発を図る。 A 各家庭を訪問し、防火防災上の安全性の確認や住宅用火災警報器の設置等に関する指導助言を行う「防火防災診断」および要配慮者を対象とする「住まいの防火防災診断」の実施。 エ ホームページ、SNS等 オ 常設展示および体験施設の活用 カ ラジオ、テレビ、新聞等に対する情報提供・取材協力 キ その他の広報媒体  (ア)CATV、衛星放送等 (イ)プロモーションビデオ等 2 風水害関係 (1)広報内容 @ 台風、津波、高潮、集中豪雨に関する一般知識 A 各防災機関の風水害対策 B 竜巻に対する備え C ゲリラ豪雨対策 D 家庭での風水害対策 E 避難するときの注意 F 地下空間における緊急的な浸水に対する心得 G 土砂災害に対する心得 H 台風時の風に対する対策 I 災害情報の入手方法 J 応急救護の方法 K 防災市民組織の育成方法および防災行動力の向上方法 L 避難指示等に関する取り扱い(要配慮者避難向け準備情報を含む) (2)広報活動 @ チラシ、小冊子等の広報印刷物、ホームページ等を利用し、防災知識、応急救護知識の普及を図る。 A 消防団、災害時支援ボランティア、女性防火組織、消防少年団等の活動紹介および加入促進 B 都民防災教育センターにおいて、風水害に関する知識の普及および暴風雨の疑似体験を通じて、防災行動力の向上を図る。 C 「地域の防火防災功労賞制度」を活用した都民の防災意識の普及・啓発を図る。 その他 機関 1 東京ガスグループ 防災イベント等においてパンフレットやチラシ等を配布し、マイコンメーター復帰操作方法や東京ガスの地震防災対策について紹介。また、ホームページにおいて、安全と防災に関する東京ガスの取組みについて情報を掲載し、防災意識の高揚を図っている。 ? 第2 防災教育、講演会等の充実 ○区は、防災区民組織、事業所、学校、保育園、マンション居住者等への防災教室を実施する。また、防災啓発を推進する上で、教育やスポーツ、芸術、福祉、環境といった様々な分野の視点を絡めながら、多様な学習機会を提供する。 図表2-20 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 1 防災区民組織、事業所、学校、保育園、マンション居住者等への防災教室の実施 (1)地震体験車による地震体験および煙体験による行動訓練 (2)初期消火、応急救護訓練等による防災指導 (3)普及啓発映像および講演会等による防災知識の普及 (4)防災区民組織にかかわる指導 (5)しながわ防災学校による防災知識の普及 (6)しながわ防災体験館の効果的活用 (7)帰宅困難者の一時受入れ訓練 (8)東京マイ・タイムラインを用いた避難行動の検討にかかる講習会等の実施 2 多様な学習機会の提供 区民の防災意識を高めるため、教育やスポーツ、芸術、福祉、環境といった様々な分野の視点を絡め、先進的な技術や社会の流行を取り入れた防災啓発を推進する。 また、専門的知識を有した区内の企業やNPO法人、防災区民組織等と連携し、質の高い学習機会の場を提供する。 区教育 委員会 1 幼稚園、区立学校において、園児、児童、生徒および保護者の防災意識を高めるため、地震に関する安全教育を年間の教育課程に位置付け、実践による防災指導を実施する。 2 校長は災害発生時において予想される諸事態に対処できるように、学校の実態、地域の状況に応じて具体的な防災計画を確立し、定期的な防災訓練や保護者会等を通じて保護者に周知徹底する。 都 1 高層マンションの防災対策 高層マンションにおける在宅避難の実現等、減災に向けた啓発活動に向けて、マンション管理士の派遣、住民や管理組合等を対象としたセミナーを開催する。 警察機関 1 講演会等による普及広報 警察署ごとに座談会、講演会を開くとともに、警察関係の協力団体や商店会、町会・自治会等に依頼して、災害ならびに防災に関する知識の徹底を図る。 東京消防庁 (1)区民および事業者等の地震時における出火防止、初期消火、救出救助、応急救護等の知識および防災行動力を高めて、震災時に対処しうる自主防災体制を強化する。 (2)起震車を活用した身体防護・出火防止訓練の推進 (3)要配慮者や社会福祉施設への地域協力体制の促進や、地域と事業所との連携等地域ぐるみの防災体制の強化を図る。 (4)防火管理者、防災管理者、危険物取扱者、防災センター要員に対し、法令に基づく講習を実施し事業所における防災体制を強化する。 (5)地域に対しては、随時、訓練、講習会、座談会等を通じて、防災思想を普及する。 (6)防災区民組織、女性防火組織、消防少年団の育成指導を実施する。 (7)幼児期からの教育機関等と連携した総合防災教育の推進を図る。 (8)都立特別支援学校等で行われる宿泊防災体験活動における総合防災教育を実施する。 (9)家具の転倒・落下・移動防止措置および危険物、化学薬品等の転倒落下による混触等の防止措置を普及する。 (10)高層建築物における地震発生時の心得について指導普及する。 (11)区民に対しAEDの使用方法を含めた救命講習を実施する。 (12)小学生には救命入門コース、中学生には普通救命講習、高校生には上級救命講習の受講を推奨する。 (13)初歩的な訓練のほか、街区を活用した発生型対応訓練等の実践的な訓練や他区市の都民防災教育センター(防災館)を活用し、地震発生時の心得、対応等について指導普及する。 (14)自力避難の困難な高齢者等が入居する社会福祉施設等における迅速な対応を図るため、施設相互間や当該施設と周辺地域の事業所・町会・自治会等との間の災害時相互応援協定の締結促進等を図る。 資料12 AED(自動体外式除細動器)設置場所一覧 ? 第3 職員に対する防災知識普及 ○区は、防災研修を実施し、平常時から職員の防災知識の向上を図る。また、防災訓練を実施し、防災知識の普及啓発を図る。 図表2-21 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 1 概要 新任職員研修等において防災研修を実施して、平常時から職員の防災知識の普及啓発を図る。 2 計画目標 随時、防災訓練を実施し、職員としての防災についての心構えを明確にするとともに、防災知識の普及啓発を図る。 (1)職員防災訓練の実施 (対策3「防災訓練の充実」参照) (2)待機寮職員訓練の実施 (3)災害時業務マニュアル・災害初動対応マニュアルの作成 災害時の業務を時系列ごとにまとめた「災害時業務マニュアル」や個々の組織が行う災害初動対応を具体的に記述した「災害初動対応マニュアル」を更新し、職員のさらなる初動態勢の強化を図る。 (4)庁内広報の活用 職員報「ふれあい」に訓練の実施結果等、防災関連記事を随時掲載する。また、機会を捉えて訓練日程や防災ミニ知識等の周知を図る。 都 1 外国人支援等に係る研修 区市町村および国際交流協会の職員等に対して災害時の外国人支援等に係る研修を実施し、区市町村の実態に応じた取組みを促進する。 警察機関 1 教養目的 大震災発生時における、関係所属の幹部指揮および指導能力の向上ならびに一般部隊に対する知識習得のための教養を実施する。 2 教養計画 警視庁(警備部)における教養計画に基づき実施する。 3 実施方法 各所属単位として、部内発行資料を活用し、講義あるいは討議式、資料掲示により教養を実施する。 消防機関 1 消防職員の防災教育は、教養計画に基づき実施する。 消防団 消防団員の防災教育は、団教育訓練計画に基づき実施する。 震災時における消防団の活動態勢の確立と消防部隊との連携を図るため、震災消防訓練を消防部隊と合同で実施する。 1 消防団は地域に密着した防災機関として地域における防災区民組織の中核となって果たす任務の重要性に鑑み、出火防止、初期消火、救助救急等の住民指導を含めた実践的活動の向上に重点をおき教育訓練を実施する。 2 消防団の応急救護資機材の増強・充実を図り、応急手当普及員を養成するとともに、簡易救助器具等を整備し、地域住民に救出救護知識および技術を習得させるための教育訓練を行う。 3 新入団員への入団教育を充実し、災害活動技能の早期習得を図る。 ? 第4 しながわ防災体験館の活用 ○区は、しながわ防災体験館を防災対策の啓発拠点として活用し、区民の防災意識の向上を図る。 区は、防災センター(平成6年10月開設)2階のしながわ防災体験館を防災対策の啓発拠点として活用し、区民向けの正しい防災知識や災害が発生したときの対応の習得および防災意識の向上を図る。 1 施設概要 項目 内   容 体験内容 1 初期消火体験 訓練用消火器やスタンドパイプ等の消火体験ブース 2 要配慮者避難誘導体験 避難行動要支援者の搬送訓練等の体験ブース 3 シアター/ワークショップルーム   普及啓発映像の上映やワークショップの開催等のブース 4 防災展示 備蓄品や家具転倒防止器具等日頃からの備えの展示ブース 5 応急救護体験 AED装置を使用した救護体験ブース 6 避難姿勢体験 壁づたいに低い姿勢で避難する安全避難姿勢の体験ブース 7 防災体験VR   VRを用いた、自宅からの避難や長周期地震動等の体験ブース 2 利用案内 項目 内   容 開館時間 午前9時〜午後5時 休館日:月曜日・土曜日・祝日・年末年始 問い合わせ先 しながわ防災体験館受付5742-9098 ? 対策3 防災訓練の充実 第1 地域防災訓練 ○区は、総合防災訓練、区内一斉防災訓練、個別防災訓練、職員防災訓練、風水害や複合災害を想定した訓練の実施をとおして、防災力の向上を図る。この際、各種訓練で確認した課題を踏まえ、実施すべき訓練内容を拡充していく。 1 総合防災訓練(各地区防災協議会主催) @ 「自分たちのまちは、自分たちで守る」という地域ぐるみの防災意識(共助)を高揚させるため、各地区防災協議会主催の総合防災訓練を実施している。 A 訓練内容は、区民自らが体験する実践的な訓練と消火ポンプ等防災資機材の使用訓練を基本に据え、地区によっては地域の事業者や訓練会場である学校の児童・生徒が参加するなど地域の特徴を生かした訓練を実施している。 B 今後は、災害時の相互の助け合いや地域における安全・安心のまちづくりの取組みを推進するため、地域の活動や防災訓練等に、地域すべての幅広い世代(親子・高齢者・障害者等)や事業者が参加しやすい仕組みづくりが必要である。そのため、区や防災関係機関等は、子どもも交えた地域での防災訓練・イベントを通じ、地域のつながりを一層強くする機会を設けていき、要配慮者(避難行動要支援者を含む)についても、気軽に参加できる訓練を実施していく。 図表2-22 総合防災訓練(各地区防災協議会主催)の概要 項目 内   容 訓練項目 1 家庭・町会・自治会において @身体防護 A出火防止 B広報 C避難誘導 D避難行動要支援者の安否確認・避難誘導 E発災型訓練 2 訓練会場において @初期消火 A応急救護 B救出・救助 Cトリアージ訓練 D通報 E煙体験 F地震体験 Gポンプ操法 H本部運営 I物資配布 J炊き出し K避難行動要支援者対応訓練 L参加型(イベント)訓練 参加機関 @各地区防災協議会(町会・自治会)A区 B警察署 C消防署 D消防団 E医師会 F薬剤師会 G柔道整復師会 H獣医師会 I学校 J事業者 K在住外国人(大使館、国際交流・外国人支援団体等) 実施期間 原則、毎年9月〜11月までの間に、各地区1回実施する。 実施場所 地区内の学校や公園等で実施する。 2 区内一斉防災訓練 @ 大地震の発生を想定し、同日、同時間帯に、区内の様々な場所で、防災関係者および区民、児童、生徒が、それぞれの立場や状況に応じた訓練を実施することで、防災に対する意識や災害時の行動力を高めることを目的として、平成24年度より実施している。 A?訓練内容は、避難所訓練(本部立上げ訓練、名簿作成訓練、物資配給訓練、避難者の動線確認、ペット同行避難訓練等を基本)や区の災害対策本部運営訓練である。 3 個別防災訓練 個別防災訓練は、学校避難所単位または町会・自治会や事業者、マンションを単位とし、区および防災関係機関が協力し、住民と一体になって実施している。主な訓練内容等は、次のとおりである。 図表2-23 区および各機関の訓練内容等 機関名 内   容 区 1 主な個別訓練 @避難所訓練 避難時の混乱状態を防止するため、各避難所連絡会議による役割分担に基づき訓練を実施する。また、それぞれ地域の実情に沿って実施する。 ○仮設トイレの設置 ○ろ過機訓練 ○消火訓練 ○炊き出し訓練 ○備蓄倉庫の確認 ○避難所施設の確認 ○避難者名簿作成 ○ペット同行避難訓練 ○その他 A避難誘導ワークショップ(避難行動要支援者対応訓練) 要介護者や障害者等の避難行動要支援者の安否確認や避難所まで安全に誘導する訓練を地域が主体となって行うことで発災時に迅速な支援が行えるように訓練する。また、その過程で防災に関連する施設や設備の位置や危険箇所等を把握し話し合うことで、あわせて地域防災に関わる全体の認識を高めていく。 ○説明会 ○準備会 ○本番実施 B区立学校における防災訓練 防災行動力の向上を図るため、小学校児童、中学校生徒の訓練を区教育委員会や学校が協力して実施する。 ○避難訓練 ○車イス体験訓練 ○防災ビデオ等鑑賞 C防災教室 区民、園児(保育園・幼稚園)、区立学校児童・生徒、区内事業所に対して出張訓練を実施している。 ○地震体験車 ○煙体験 ○防災講演 D外国人が参加できる防災教室・防災訓練 大使館、大学、国際交流・外国人支援団体を対象とした防災教室・防災訓練に対し、多言語の防災資料の提供および東京都防災(語学)ボランティア等の派遣を受け、通訳を配置する等の支援を行う。 NTT 東日本 @防災展および地区防災訓練等における災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板(web171)の利用体験、防災パンフレット等の配布 A災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板(web171)の利用方法等の紹介 B事前設置型災害用公衆電話の運用訓練支援 C公衆電話の利用方法に関する啓蒙活動 東京ガスグループ 地区防災訓練等にマイコンメーター復帰の疑似体験コーナーを設置する。 消防機関 1 目的 地震時に発生が予想される火災をはじめとする各種災害に対処するため、防災区民組織、事業所、区民を対象とした防火防災訓練を行う。 2 訓練項目 (1)出火防止、初期消火、救出救助、応急救護等に関する基礎訓練の実施 (2)街区を活用した発災対応型訓練や地域特性に応じた実践的な訓練の実施 (3)都民防災教育センター等の体験施設を活用した訓練の実施 (4)起震車を活用した身体防護・出火防止訓練の推進 (5)教育機関と連携した、学校等における実践的な防災訓練、応急救護訓練の実施 (6)町会・自治会、民生・児童委員等と連携した、避難行動要支援者の安否確認要領および救出救護要領を取り入れた防災訓練の実施 (7)消防団と連携した防災教育・防災訓練の実施 (8)防災区民組織等による共助体制の強化を図るため、軽可搬消防ポンプやスタンドパイプ等を活用した実践的な初期消火訓練を実施 (9)VR防災体験車、起震車、まちかど防災訓練車を活用した身体防護・出火防止訓練及び初期消火訓練の推進 (10)デジタルコンテンツを活用したリモート防災学習教材の整備・充実 警察機関 総合的防災訓練 大震災発生の際、防災関係機関と地域住民が一体となり、迅速的確な対応ができるよう各種の防災訓練を実施する。 参加機関 訓練項目 訓練日時 都 防災機関 防災区民組織 地域住民 事業所等 1 警備要員招集および部隊編成訓練 2 情報収集伝達訓練 3 各級警備本部設置訓練 4 交通対策訓練 5 避難誘導訓練 6 広報訓練 7 救出救助訓練 8 津波対策訓練 9 通信伝達訓練 10 操作装備資機材操作訓練 9月1日の震災警備総合訓練および宿直時間帯における初動措置訓練等、年間を通じて区市町村および地域住民と協力して随時実施する。 4 震災対策職員等訓練 災害時には、防災機関が迅速かつ円滑に活動態勢に入ることが最も重要であることから、下記のとおり職員、社員等に対する訓練を実施し、災害対策業務を習熟するよう努める。 図表2-24 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 職員の意識の高揚および地域防災計画の習熟を図り、災害時の応急対策活動が円滑に実施できるように、実践的な訓練を行う。特に初動時の対応は「災害初動対応マニュアル」を全職員が習熟して、初動時の強化を進める。 1 訓練名および訓練項目 (1)職員防災訓練 @非常参集      A本部運営     B避難施設開設(運営) C避難所(開設)運営 D炊き出し     E応急給水 F緊急物資輸送    G無線通信     H災害広報 I災害廃棄物処理   J被害状況調査   Kその他 (2)待機寮職員訓練 @D級ポンプ操法   A手動ろ過装置取扱 B炊き出し・給食   Cロープワーク   D排水ポンプ取扱 E屋内消火栓操法   Fその他    2 実施回数 (1)については年1回以上。(2)については、上記訓練項目の中から訓練を選定し作成した年間計画に基づき実施。 その他、初期消火、救出救護、応急救護、震災対策用資機材取扱訓練等は、上記とあわせて適宜行い職員訓練の充実を図る。 また、医療機関における医療体制の構築に係る訓練や関係機関が実施する訓練への参加などにより、職員の防災対策業務の習熟を図る。 NTT 東日本 地震等災害発生時、関係社員が迅速かつ適切に防災業務を遂行し得るよう、次の訓練を実施する。 1 訓練項目 (1)災害予報または警報の伝達訓練 (2)非常招集訓練 (3)災害時における通信の疎通確保訓練 (4)各種災害対策機器の操作運用訓練 (5)電気通信設備等の災害応急復旧訓練 (6)防火および水防訓練 (7)避難および救護訓練 (8)その他必要とするもの 2 実施回数 年間を通して、1回以上適宜訓練を実施する。 (国、都および区市町村等が主催して行う総合的な防災訓練に参加して、実施するものを含む) 京浜急行電鉄 1 防災教育 各種運動期間中ならびに防災の日に、各職場ごとで担当責任者が、地震の規模、性格、防災計画の概要等を従事員に説明するとともに、防災に対する心がまえを教育する。 2 訓練 九都県市合同防災訓練と連動して9月に鉄道本部全体で防災訓練を実施するとともに、関係自治体等が実施する各種訓練に参加するほか、各種運動期間中に各職場で訓練を実施する。その他の訓練として鉄道事故総合対応訓練、テロ対策訓練を年1回実施する。 (訓練項目) (1)通信訓練 (2)列車の一旦停止訓練 (3)列車の減速運転訓練 (4)津波避難誘導訓練 (5)避難誘導訓練 (6)列車防護訓練 (7)情報伝達訓練 (8)対策本部設置訓練 (9)安否登録訓練 (10)鉄道事故総合対応訓練 (11)その他 東急電鉄 1 防災教育および訓練 (1)防火管理者は、春および秋の火災予防運動期間中に消防計画の周知徹底、その他防災ならびに火災予防に関する事項を所属従事者に教育するとともに、消火・通報・避難誘導等連携して行う総合訓練を実施する。また年2回運転関係指導教育訓練に運転事故を想定し、車両火災の初期消火、旅客の避難誘導、および救急処置の訓練を実施する。 (2)部分的な初期消火訓練は、随時実施する。 東京ガスグループ 1 訓練項目 本社および各事業所は、災害対策を円滑に推進するため、非常事態対策関係諸規則等に基づき、防災訓練を実施する。 (1)地震時の出動訓練 (2)地震時の緊急措置 (3)自衛消防訓練 (4)各事業所間の連絡態勢訓練 (5)災害発生を想定した応急措置、復旧計画訓練 (6)その他、国および地方自治体が実施する防災訓練への参加 2 実施回数 年間を通して1回以上訓練を実施する。 東京電力パワー グリッド 1 訓練項目および実施時期 (l)情報連絡訓練、復旧訓練(復旧対策の机上計画、復旧作業訓練等をいう)および応急復旧対策用資機材の整備点検を主たる内容とする非常災害対策訓練を年1回全社的に実施する。 (2)区、地元関係機関と協調した地域防災訓練には積極的に参加する。 (3)消防訓練(通報、連絡、初期消火、避難誘導)を年1回実施する。 JR東日本 1 訓練項目 災害応急対策および災害復旧に必要な次の訓練を行うとともに、地方自治体および防災機関が行う合同訓練には積極的に参加する。 (1)非常参集訓練および発災時の初動措置訓練 (2)消防(通報、初期消火、避難誘導)訓練および救助救護訓練 (3)列車の運転規制および災害復旧訓練 (4)防災関係機関と合同で行う地震総合防災訓練 都交通局 1 防災訓練 年に1回震災による脱線事故等を想定した異常時総合訓練を実施するほか、各部門ごとに年間計画をたて随時実施する。 2 訓練項目 (1)出火防止および消火訓練 (2)通報連絡訓練 (3)避難、誘導、救護訓練 (4)広報訓練 (5)復旧訓練 東京モノレール 1 訓練項目 (1)減速運転 (2)一旦停止訓練 (3)非常招集訓練 (4)情報連絡訓練 (5)旅客誘導案内訓練 (6)応急救護訓練 (7)各担当に必要な防災訓練 (8)その他 2 実施時期 年1回以上 東京臨海高速鉄道 社員に対して平素から地震に関する基礎知識、震災発生時の初動措置要領、心構えについて教育・訓練を実施し、その徹底を期しておくとともに早期復旧を図るための必要な訓練を定期的に行うものとする。 1 教育 (1)本規則、運転取扱実施基準、異常時取扱マニュアルの習得 (2)風速、雨量、震度等の災害に関する知識の習得 (3)情報連絡の方法 (4)消火器具等の使用方法 (5)事故状況の把握と報告方法 (6)旅客の避難・誘導方法 (7)負傷者の救護処置 (8)その他必要事項 2 訓練 (1)初動措置訓練 (2)消防(通報・消火・避難)訓練 (3)旅客の避難・誘導訓練 (4)社員の避難訓練 (5)車両の脱線復旧訓練 (6)その他 ケーブルテレビ 品川 区が実施する緊急放送訓練への参加と協力 都水道局 1 訓練内容 (1)緊急連絡・職員の参集および配置替等職員の動員訓練 (2)連絡系統の習熟および無線統制時の通信連絡方法の訓練 (3)警戒宣言時に行う水道施設の保安点検および応急措置等の訓練 2 訓練方法 訓練は、本局と南部支所が一体となって実施する総合訓練と、南部支所および品川営業所で実施する個別訓練とに分け、次の要領で実施する。 (1)定期の訓練は年1回程度実施する。なお、訓練は職員の分担を決めたうえで行う。 (2)随時の訓練は、職員に異動があったときおよび水道施設の新設や運転方法に変更があったときなど必要に応じて実施する。 ? 5 風水害を想定した訓練 (1)合同水防訓練 水防活動の能力の向上を図り、浸水等による区民の生命・身体・財産の被害を軽減させるため、区と消防および関係機関が合同で水防訓練を実施している。 ア 訓練項目 次の全部または一部を実施する。 ○部隊編成訓練 ○水防工法訓練 ○情報通信訓練 ○救助・救急訓練 ○本部運営訓練 ○その他水害時の活動に必要な訓練 イ 実施回数 年1回以上実施する。 (2)風水害災害対策本部訓練 区は、集中豪雨や台風等によって発生する風水害時における職員の初動活動態勢の習熟を図ることを目的として、図上および実動で訓練を実施する。 ア 参加者 区、防災関係機関および事業者等 イ 訓練項目 次の全部または一部を実施する。 ○本部運営訓練 ○非常招集訓練 ○情報通信訓練 ○現地実動訓練 ○避難施設開設訓練 ウ 実施回数 年1回以上実施する。 6 複合災害を想定した訓練 区は、複合的な災害事象の発生に備えるため、災害対策本部訓練において発生の可能性のある複合災害を想定し、情報収集・分析、応急活動などの対応要領の確認を行う訓練の実施に努める。 ? 対策4 防災区民組織の育成・強化 第1 防災区民組織の現況 ○防災区民組織は、防災活動として防災訓練や避難所訓練、ワークショップによる避難誘導訓練等を積極的に行っている。 @?区は、昭和49年から育成指導を始め、防災区民組織は、防災活動として初期消火、避難誘導、救出救護、応急救護、ポンプ操法等の防災訓練や避難所訓練、ワークショップによる避難誘導訓練を積極的に行っている。 A 防災意識を高めるために、研修会、見学会等を実施している。 図表2-25 防災区民組織図 第2 防災区民組織の育成・強化 ○区は、警察署、消防署および消防団と連携し、防災区民組織の育成・強化を推進する。 @ 防災区民組織を町会・自治会単位としたのは、町会・自治会は、相互扶助の精神に基づき、地域住民が自主的に地域活動の役割を担っているためである。 A 今後も、区は、各地域内の事業所、施設等に積極的に働きかけ、町ぐるみの地域防災組織の確立を図る。 B また、防災区民組織の育成・強化を進めるにあたっては、性別による視点の違いに配慮し、女性の参画の促進に努め、女性や子育て中の世代等、幅広い人材から避難所運営等のリーダーを育成できるよう支援していく。 1 育成の方針と育成機関 @ あらゆる機会を通じ広報に努めるとともに、防災区民組織等の要請に基づき、震災への対応、日頃の備え等について地域住民と話し合うこととする。 A 育成機関は、区および警察署、消防署、消防団とする。 2 区の助成 「品川区における防災区民組織の育成に関する要綱」に基づき、防災用資機材の購入費、防災訓練経費等の一部に充てる費用として助成金を交付するほか、資機材等を貸与している。 対策5 事業者等における防災力向上 第1 平素からの取組み(自助) ○事業者等は、従業員等の施設内待機計画の策定、水・食料等の備蓄の確保、防災体制の整備、事業継続計画の策定を進める。 1 従業員等の施設内待機計画の策定、水・食料等の備蓄の確保 災害時における従業員等の施設内待機を確保するため、事業所防災計画に施設内待機および帰宅方針を規定するとともに、待機に必要となる水・食料等の備蓄を確保する。併せて、従業員等の家族との安否確認手段の周知を図る。 2 防災体制の整備 災害時において事業者等が必要な対応を行うため、役割分担・責任者を明確にした体制を構築するとともに、災害時の行動マニュアルを作成し、従業員に周知する。 3 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定 災害時における事業の継続・早期復旧を確保するため、事業継続計画の策定が災害対策上有効であり、作成を進める。 第2 平素からの取組み(共助) ○ターミナル駅周辺に立地する事業者等は、駅周辺帰宅困難者対策協議会に参画する。 ○事業者等は、区と災害時協力協定を締結し、区の防災対策への協力に努める。また、地域と連携した合同訓練を実施することで、地域の防災力向上を図る。 1 駅周辺帰宅困難者対策協議会への参画 ターミナル駅周辺に立地する事業者等は、災害時における駅周辺の混乱防止のため、駅周辺帰宅困難者対策協議会に参画し、区との情報連携手法等について検討し、そのための訓練を実施するよう努める。 2 災害時協力協定の締結 事業者等は、災害時において協力できる事項について、区と災害時協力協定を締結し、区の防災対策への協力に努める。 3 その他の取組み @ 事業者等は、地域と連携し合同訓練を実施・参画することにより、その立地する地域の防災力向上を図る。 A 事業者等は、社会的貢献として、防災・環境・教育・福祉・地域活動など様々な分野での活動を進める。 第3 事業者等への働きかけ(公助) ○区は、事業者等に施設の安全確保について呼びかけを行うとともに、防災力向上のための支援を行う。 1 施設の安全確保 区は、企業の老朽化した施設・設備の更新や補強対策として、建物の耐震診断・改修、オフィス家具等の転倒・落下・移動防止対策を呼びかけ、オフィスの耐震化を図り、企業の基盤強化を促進する。 2 事業者等の防災力向上のための支援  区は、事業者等を通じて地域の防災力の向上を図るため、駅周辺帰宅困難者対策協議会 やしながわCSR推進協議会等の各種協議会、「事業者向け防災ハンドブック」その他の資 料により、事業者等の防災力向上のための各種取組の推進・強化を図る。 対策6 地区防災計画の作成支援 ○区は、地区居住者等の共助による防災活動を推進する観点から、地区防災計画の作成を支援する。また、地区防災計画を地域防災計画に位置付ける際の検討事項や手順について整理していく。 地区防災計画は、災害対策基本法において「市町村内の一定の地区内の居住者および当該地区に事業所を有する事業者が共同して行う防災訓練、地区居住者等による防災活動に必要な物資および資材の備蓄、災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援その他の当該地区における防災活動に関する計画」と定義されている。 区では、地区居住者等の共助による防災活動を推進する観点から、地区防災計画の作成を支援していくこととし、今後、支援内容を検討する。 また、地区防災計画を地域防災計画に位置付けるように地区居住者等から提案を受けた場合、必要に応じて地域防災計画に位置付けることとなる。区では、地域防災計画と地区防災計画の整合性の検討、区と地区居住者等との役割分担の検討等、位置付ける際の検討事項や手順について整理していく。 区は、防災協議会等と作成地域の検討を行うとともに、地区防災計画の作成を促進していく上で、ガイドとなる冊子等の作成を進める。 対策7 様々な関係者との連携 ○区は、様々な団体が連携して行う防災啓発や防災訓練に積極的に関与するとともに、支援を行っていく。 地域防災力の向上のためには、地域における多様な方々の参加が重要である。 区では、対策2および対策3に掲げる取組みに加え、防災区民組織、商店街、地域の事業者など様々な団体が連携して行う防災啓発や防災訓練に積極的に関与するとともに、支援を行っていく。 第3章 安全なまちづくり 対策の基本的な考え方 災害から一人でも多くの生命および貴重な財産を守るとともに、災害時における都市機能を維持するためには、都市構造そのものの防災性を高めていくことが必要である。 都が示した首都直下地震の被害想定においても、耐震化率を向上させることにより、揺れによる建物被害や人的被害が軽減されると推計されている。 ここでは、災害に強い安全なまちの実現のため、延焼遮断帯の整備、防災機能を有する公園・広場の整備、木密地域における防災性の向上、建物の耐震化の促進などの取組みの推進について示す。 さらに、在宅避難を基本に位置付け、家庭での自助、居住者や地域住民との間の共助を普及・啓発する。 各対策の要点 対策1 防災都市づくり 第1 地域特性に応じた防災都市づくり ○区は、防災都市(「燃えない」「燃え広がらない」震災に強い安全・安心な都市)の形成を目指し、延焼遮断帯の整備、防災上有効な道路・防災広場の整備、沿道の不燃化、老朽住宅の建替えによる不燃化を進めている。 第2 高層建築物における安全対策 ○東京消防庁は、高層建築物等の安全対策として、火災予防対策、避難対策(混乱防止対策)、防火・防災管理対策、消防活動対策等について、関係事業者に対して、指導を行う。 第3 急傾斜地、がけ・擁壁、ブロック塀等の崩壊の防止 ○区は、がけ地の安全対策として、建築物や擁壁等を設ける場合の指導やがけ・擁壁等の安全化支援による防災意識の啓発を図っている。 ○区は、ブロック塀の安全対策では、平成30年度より道路沿いのブロック塀等の安全化支援として、除却工事費を助成する制度を開始した。また、令和2年10月より助成範囲を拡充し、除却後に軽量フェンス等を設ける工事の費用等に対しても助成を行っている。 第4 建築物の耐震化の促進 ○区は、耐震改修促進計画の進捗状況を確認し、適宜見直しを行っていく。 ○区は、学校や区有施設については、防災上重要な施設の耐震化を行い、平成27年度に完了した。また、非構造部材の耐震化については令和7年度に完了予定、排水設備の耐震化については令和2年度に完了した。 第5 液状化対策の強化 ○区は、地盤改良や基盤構造の増強等、液状化対策を考慮した設計とするよう指導に努めている。 ○区は、東京液状化アドバイザー対策制度の活用によるさらなる安全化の充実・強化を図る。 第6 エレベーター対策 ○区は、エレベーター対策として、エレベーターの閉じ込め防止機能の向上(区・民間施設)、救出体制の構築(救出要員を増員するための措置の実施、エレベーター保守管理会社の連絡体制強化、エレベーター内の閉じ込めの有無の確認)、早期復旧体制の構築(「1ビル1台」ルールの徹底、自動診断仮復旧システムの採用)を進めている。 第7 落下物、家具類等の転倒・落下・移動の防止 ○区は、落下物防止、自動販売機・家具類の転倒防止等の対策について、消防機関等と連携しながら、安全化に係る指導を行っている。引き続き、防災イベントや訓練において、リーフレット等を配布し、防災啓発に努める。 第8 文化財の安全対策 ○区は、文化財に被害が発生した場合には、被害の拡大防止に努めるよう周知する。 ○区は、文化財の所有者・管理者による防災訓練の実施や消防・防災設備の点検・整備等の普及啓発を図る。 第9 マンションの在宅避難の普及 ○区は、マンション居住者への在宅避難および在宅避難のための備えについて周知する。 ○区は、マンション居住者同士、また、マンション居住者と地域住民間の共助の仕組みづくりについて、啓発に努める。 対策2 防火対策 第1 出火等の防止 ○区は、出火等の防止にあたり、火気使用設備および器具の安全化や危険物施設等の出火防止、電気設備等の安全化を消防機関連携して進める。 ○区は、危険物施設への出火防止に向けた指導、区民への家庭における出火防止に向けた指導、その他出火防止のための査察・指導について、消防機関と連携して進める。 第2 初期消火体制の強化 ○区は、家庭用消火器の購入助成業等を進めることにより、初期消火体制の強化に努めている。 ○区は、品川区災害対策基本条例の制定やしながわ防災学校で防災区民組織、事業所の協力連携の必要性等の普及を図り、地域防災体制の確立を進めている。 【用語の解説】 @延焼遮断帯 地震に伴う市街地火災の延焼を阻止する機能を果たす道路、河川、鉄道、公園等の都市施設およびこれらと近接する耐火建築物等により構成される帯状の不燃空間をいう。震災時の避難経路、救援活動等の輸送ネットワーク等の機能も担う。 A防災生活圏 延焼遮断帯に囲まれた圏域をいう。火を出さない、もらわないという視点から市街地を一定のブロックに区切り、隣接するブロックへ火災が燃え広がらないようにすることで大規模な市街地火災を防止する。 B街並み誘導型地区計画 地区計画で建物の壁面の位置と建築物の高さの制限等を定め、必要な規制を行うことにより、前面道路幅員による容積率制限等の緩和を行う。これにより、建築物の壁面や高さ等を一定の範囲内に誘導し、土地の有効利用を推進したり、良好な街並みを形成する制度のことをいう。 C液状化 砂質土がゆるく堆積してできた地盤が、地震等の振動を受けることによって液体のような泥水状態になってしまう現象をいう。 D整備地域 「防災都市づくり推進計画」において、地域危険度が高く、かつ、特に老朽化した木造建築物が集積するなど、震災時の大きな被害が想定される地域をいう。 E新防火地域 東京都建築安全条例に基づく建築物の不燃化を促進し、木造住宅密集地域の再形成を防止するために、災害時の危険性の高い地域等について、建築物の耐火性能を強化する防火規制地域をいう。 F二次災害 地震の影響で起きる二次災害には、火災、津波、地割れ、液状化現象等がある。 ? 対策 対応テーマ 対策1 防災都市づくり 対策2 防火対策 対策1 防災都市づくり 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 <地域特性に応じた防災都市づくり> ・沿道の不燃化 ・木密地域の不燃化の促進 ・無電柱化の推進 ・災害時の水の確保検討 ・都市計画道路(特定整備路線含む)の整備 <高層建築物における安全対策> ・「東京とどまるマンション」の普及 ・防災対策に取組む意欲のあるマンションに対するマンション管理士の派遣 ・住民や管理組合等を対象としたマンション防災セミナーの開催 区 <地域特性に応じた防災都市づくり> ・都市計画道路の整備 ・沿道の不燃化 ・防災広場の整備 ・がけ、擁壁、ブロック塀等の安全対策 ・新たな制度を活用した強力な木密地域の解消 ・都市計画道路沿道の防災まちづくりの推進と街並み形成 ・木密地域の不燃化の促進 ・防災広場等の適正配置と機能の充実 ・細街路の拡幅整備の推進 ・広域避難場所周辺や避難道路沿道の不燃化促進 ・無電柱化の推進 ・特定緊急輸送道路の機能確保および橋梁の耐震化 ・舟運の活用 ・避難所へのアクセス道路の確保 ・災害時の水の確保検討 ・再開発等の機会を捉えた防災機能の導入 ・現地活動に即応できる拠点の検討 <建築物の耐震化の促進> ・公共施設の安全化対策 ・耐震改修促進計画の推進および耐震化の推進 ・木密地域の耐震化の推進 ・液状化対策を考慮した設計に係る指導 ・高層マンションの安全対策に係る積極的な啓発 ・民間建築物の耐震化支援 <液状化、長周期地震動への対策の強化> ・液状化のおそれのある地域において、建築物の設計者等に対し的確な対策を講じるよう促す。 ・高層マンションにおける安全対策の推進 事業者 ・耐震化の推進 ・エレベーターの閉じ込め防止装置の設置 区民 ・主体的な耐震化対策の実施 ・高層マンションにおける家具固定、共同備蓄の推進 【具体的な取組】 第1 地域特性に応じた防災都市づくり ○区は、防災都市(「燃えない」「燃え広がらない」震災に強い安全・安心な都市)の形成を目指し、延焼遮断帯の整備、防災上有効な道路・防災広場の整備、沿道の不燃化、老朽住宅の建替えによる不燃化を進めている。 1 延焼遮断帯の整備 区は、道路等の都市施設の整備とともに、それらの沿道の建築物の不燃化により延焼遮断帯の整備を進める。 (1)都市計画道路の整備 道路については、単に人や物の輸送を分担する交通機能のみならず震災時においては、延焼防止や避難・緊急物資等の輸送ルートなど多様な機能を持ち、災害に強い都市構造の骨格を形成するものであり、震災時の避難路としても充分機能するよう整備を進める。特に未整備の都市計画道路については、都の特定整備路線に位置付けられた放射2号線、補助29号線および補助28号線の整備促進を図る。また、区の優先整備路線である補助26号線、補助163号線、補助205号線の整備促進を図る。 (2)沿道の不燃化 @ 延焼遮断帯や避難路として整備すべき道路等の沿道で不燃化の遅れている地域に対して、不燃化を促進する。特に延焼の危険性が高く、早急な整備が必要とされる地域(防災都市づくり推進計画における重点整備地域等)に対し、延焼遮断帯を早期に整備するため、都市防災不燃化促進事業等の活用により、幹線道路等の沿道における耐火建築物等への建替えを促進する。 A 区では、平成10年度から都市計画道路補助26号線の都立大崎高校以西の沿道について、都市防災不燃化促進事業を導入し、延焼遮断帯形成のために耐火建築物への建替えの助成を行った。補助46号線品川地区については、市街地大火の延焼拡大を防止するため、沿道の不燃化を平成15年度から平成24年度まで実施した。 ・放射2号線 令和3年度〜令和12年度 ・補助29号線地区、補助29号線その2地区 平成28年度〜令和7年度 ・補助29号線その3地区 平成30年度〜令和9年度 ・補助29号線その4地区 平成31年度〜令和10年度 ・戸越公園一帯周辺地区 平成18年度〜令和7年度 ・滝王子通り地区 平成21年度〜令和5年度 ・補助28号線地区 平成28年度〜令和7年度 ・補助26号線その2地区 平成18年度〜令和7年度 2 防災機能を有する公園、広場の整備 (1)現況 @?区では、昭和53年に「品川区防災活動広場の設置に関する条例」(現在は廃止)を制定し、震災時における地域の防災活動の拠点として、平常時には防災訓練の場、区民の憩いの場、子どもの遊び場となる40箇所(令和4年4月1日現在)の防災広場の整備を行ってきた。 A?平成17年には、防災広場の拡充を図るために防災広場を「品川区立児童遊園の設置および管理に関する条例」の特定児童遊園として編入し、児童遊園と一体管理を行い防災広場の拡充を図るとともに、公園等にも地域の意見を聞きながら可能な限り防災設備を設けている。今後も、まちづくりに関する各種事業、制度を活用し、防災上有効な広場の整備を進めていく。 (2)設備 区は、公園、広場には、地域の意見を聞きながらできるだけ次の防災設備を設けていく。 防火貯水槽/消火器格納庫/小型ポンプ格納庫/防災資機材倉庫/マンホールトイレ /かまどベンチ (3)防災機能を有する公園、広場 ア 防災広場(特定児童遊園) 品川区内に防災広場(特定児童遊園)は40施設、防災広場(防災課所管)は2施設ある。 資料13 防災広場(特定児童遊園)一覧 資料14 防災広場(防災課所管)一覧 イ 防災設備を備えた公園・児童遊園 品川区内に公園(40t以上の貯水槽を設置)は61施設、児童遊園(40t以上の貯水槽を設置)は20施設ある。 資料15 公園(40t以上の貯水槽を設置)一覧 資料16 児童遊園(40t以上の貯水槽を設置)一覧 3 木密地域における防災性の向上 @ 荏原地区を中心とした区域は、老朽化した木造住宅が密集している地域が広がっていること、4m未満の狭あいな道路が多いこと、公園等のオープンスペースが少ないこと等から、大規模地震による建物の倒壊やそれに伴う道路閉塞、延焼の危険性が非常に高い。首都直下地震による東京の被害想定(令和4年5月)でも、火災による建物の焼失が発生することが予測されている。 A 区では、これまで、防災生活圏促進事業、都市防災不燃化促進事業、都市防災総合推進事業、避難道路機能強化事業、密集市街地整備促進事業、木密地域不燃化10年プロジェクト、防災街区整備事業等の防災性の向上に資する取組みを実施しているが、依然危険な地域も多い。引き続き、優良建築物等整備事業や住宅・建築物安全ストック形成事業も活用しながら、木密地域の防災性の向上を図っていく。 図表2-26 密集市街地整備促進事業 地区名 対象地区 実施内容 事業期間 旗の台・中延地区 旗の台4丁目、 中延5丁目 ・老朽建物の建替え促進 ・防災広場の整備 ・防災生活道路の拡幅整備(6m) 平成元年度〜令和6年度 二葉3・4丁目、 西大井6丁目地区 二葉3・4丁目、 西大井6丁目 平成18年度〜令和7年度 東中延1・2丁目、 中延2・3丁目地区 東中延1・2丁目、 中延2・3丁目 平成19年度〜令和7年度 豊町4・5・6丁目地区 豊町4・5・6丁目 平成19年度〜令和7年度 西品川2・3丁目地区 西品川2・3丁目 平成30年度〜令和9年度 戸越6丁目地区 戸越6丁目 令和3年度〜令和12年度 大井・西大井地区 大井5・7丁目、 西大井2・3・4丁目 令和5年度〜令和14年度 図表2-27 不燃化特区支援事業 地区名 実施内容 事業期間 東中延一・二丁目、中延二・三丁目 および西中延三丁目地区 ・老朽建築物の除却、建替え促進 ・防災広場の整備 平成24年度〜令和7年度 ※西中延三丁目は令和3年度 〜令和7年度 補助29号線沿道地区 平成25年度〜令和7年度 豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目 および西大井六丁目地区 平成25年度〜令和7年度 旗の台四丁目・中延五丁目地区 平成25年度〜令和7年度 戸越二・四・五・六丁目地区 平成25年度〜令和7年度 西品川一・二・三丁目地区 平成26年度〜令和7年度 ※西品川一丁目は令和3年度 〜令和7年度 大井五・七丁目、 西大井二・三・四丁目地区 平成27年度〜令和7年度 放射2号線沿道地区 平成27年度〜令和7年度 補助28号線沿道地区 平成27年度〜令和7年度 大井二丁目地区 令和3年度〜令和7年度 (1)新たな制度を活用した強力な木密地域の解消 ア 特に危険性の高い地区における不燃化特区制度の活用 @ 区は、地域危険度が高く特に重点的に改善を図るべき地区について、都の不燃化特区制度を活用し、都と連携して不燃化を強力に推進する。区内では、先行実施地区に、「東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区(荏原中延駅周辺)」が選定されたことから、地区内の不燃化整備事業を重点的に進めていくとともに、他の地区についても、各地区のニーズに沿った整備プログラムを作成し、木密地域の防災性向上を図っている。 A?区は、従来の「老朽木造建築物の解体除却費用の助成」、「取り壊し・建替えに関するご相談に専門家を派遣」、「固定資産税・都市計画税の減免」といった支援制度の他に、「引越しにかかる費用の助成」「耐火・準耐火建築物にするための費用の助成」といった制度を平成28年度に設けた。 B?平成29年度は、助成対象を木造建築物の他に軽量鉄骨造建築物を加え、また耐火・準耐火建築物を除く木造建築物の場合は、昭和56年5月以前に建築されたものから平成17年3月以前に建築されたものまで対象を拡大することとした。 イ 放射2号線、補助29号線および補助28号線の強力な整備推進 放射2号線、補助29号線および補助28号線は、木密地域を通り、延焼を遮断するとともに避難路や緊急車両の通行路として地域の区民の安全な暮らしを守るため必要不可欠な道路であり、ライフラインとしても重要な役割をもっている。この路線については、都の特定整備路線として位置付けられており、区は都と密接な連携を図り、事業推進に向けて協力していくこととする。 ウ 地区計画の策定 @ 戸越公園周辺、豊町、二葉、西大井、中延地域等では、各種地区計画等の活用により、老朽建物の建替えの促進および道路状空間の確保等、市街地の安全性の向上を図る。 A?区は、平成28年度に豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目、西大井六丁目地区、平成29年度に戸越・豊町地区、平成30年度に戸越六丁目東地区、令和3年度に東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区の地区計画を策定した。 (2)都市計画道路沿道の防災まちづくりの推進と街並み形成 ア 都市計画道路の整備の具体化に合わせた防災まちづくりの推進 特定整備路線である放射2号線、補助29 号線および補助28 号線は、現在都によって整備が進められている。区では、特定整備路線沿道において、早期の延焼遮断帯形成や不燃化・耐震化の促進を目的とした都市計画変更を、平成28年から平成31年にかけて行った。また、都市計画道路の沿道において住み替えが必要になるため、住み慣れた地域での居住支援等、具体的な対策を行っていく。 イ 未整備の都市計画道路の整備促進 木密地域を通る都市計画道路の整備は、延焼遮断帯の構築だけでなく、沿道の不燃化を促進させることにもつながるため、都市計画道路の整備を促進する。また、都の特定整備路線として位置付けられている補助29号線につながる補助205号線の未整備部について、補助29号線の整備の機会にあわせて、整備推進を検討する。 (3)木密地域の耐震化・不燃化の促進 区は、木密地域において、建築物の耐震化および不燃化を促進するため、防災生活圏促進事業および都市防災不燃化促進事業、都市防災総合推進事業、優良建築物等整備事業、住宅・建築物安全ストック形成事業等とともに、防災性の向上を目的とした地区計画等を定め、都市の防災性の向上に資する取組みを今後も継続して実施する。また、木密地域における住宅改善工事助成の制度や対象を拡充し、住宅の防火・耐火対策を推進している。併せて、空き家所有者に対しても空き家の適正な管理を促進することで、災害時の道路閉塞や延焼の拡大を防止する。さらに、整備地域および新防火地域において、耐震診断で倒壊のおそれがあると診断された建物に対し、改修および除却費用を助成することにより、耐震化を促進する。 (4)防災広場等の適正配置と機能の充実 ア 防災広場の整備・適正配置 @ 区は、防災性の向上とともに、周辺の住環境向上のため、密集住宅市街地整備促進事業等による防災広場の整備を引き続き進めるとともに、適正配置を図っていく。 A 区は、防災広場の未整備地域における地域の防災性を向上させるため、既存の公園、児童遊園へ地域の意見を聞きながらマンホールトイレや消防水利、かまどベンチ、防災倉庫等の設置を推進し、今後も防災機能の適正配置を図る。 イ 必要な機能の充実 現在の防災広場は、マンホールトイレや消防水利、かまどベンチ、防災倉庫等が設置されている。区は、区全体の防災広場への設備配置状況や広場整備面積等を踏まえ、その機能をさらに検討し、充実させる。 ウ その他オープンスペースの確保 区が整備する公園、広場等に加え、民間の緑地や空地等のオープンスペースは、延焼防止や避難のための有効な空間であるとともに、自然環境が有する多様な機能を積極的に活用することで、地域にうるおいや、やすらぎを与えるグリーンインフラとなり得る。そのため、区は、まちづくりに関する各種事業・制度や開発環境指導要綱、密集住宅市街地整備促進事業等により、これら有効なオープンスペースを確保する。 (5)細街路の拡幅整備の推進 ア 細街路拡幅整備事業の内容の見直し検討 @ 道路は多様な機能を持つ空間である。人々の生活に密接な道路は、歩行者や自転車、車等の交通のためだけではなく@震災時の避難や消防、救急活動といった防災上の機能やA建物相互間を一定距離確保することで、日照、通風、防火機能を向上させる役割を担っている。このように様々な機能を充分発揮させるため、建築基準法では、道路の幅員を最低4mとしているが、区内には幅員4m未満の道路が多いため、区は細街路拡幅整備事業により、拡幅の支援を行う。 A 荏原地区を中心とした木密地域においては、幅員4m未満の狭あいな道路(細街路)が多く存在する。また、安全な避難の支障となる行き止まり道路も多い。そこで、現在区で実施している細街路拡幅整備事業において、内容の見直し検討を今後も行う。またより一層、整備を進めるため、平成27年度から木密地域の行き止まり道路も整備対象とした。 B 一旦確保した道路空間が適切に確保されず、工作物等の再突出も見られることから、区では突出の状況を把握次第、除却の指導を継続する。 イ 街並み誘導型地区計画を活用した建替え促進と道路空間の確保 区は、敷地面積が狭いために、必要な道路空間を確保して建替えをすることが困難な敷地に対して、街並み誘導型地区計画等を活用した建替えの促進と必要な道路空間の確保を図る。 ウ 行き止まり道路の避難方法等の検討 区は、行き止まり道路について、非常時における2方向避難が可能となるよう、近隣住民間での協力体制の構築や、庭先や建物の間を利用した非常用の避難経路の確保方法を検討する。 4 安全で安心な避難ができるまちづくり @?区の広域避難場所は、現在10箇所指定されているが、周辺の住宅の不燃化が進んでおらず、さらなる避難有効面積の確保が必要な場所もある。広域避難場所の避難有効面積をより多く確保できるよう、各広域避難場所周辺の不燃化を促進していくとともに、遠距離避難を円滑に行えるよう、避難道路の拡幅整備や沿道の不燃化および耐震化を進めていく必要がある。 A 大規模災害により住居が全・半壊等した区民が一定期間避難生活を送るための区立学校等の避難所等においては、安心して避難生活を送るために、必要な飲料水および水洗可能なトイレの整備が必要である。飲料水については、都水道局の設置した応急給水槽が区内および目黒区に4箇所整備され、4,600m3の飲料水が確保されている。また、避難所となる各区立学校等においては、耐震化し緊急遮断弁を設けた受水槽の改良が行われている。しかしながら、災害発生直後には、給水が困難な場合もあることから、今後も飲料水の確保に努める必要がある。 B 避難所は、被災者が避難生活を送ることはもちろん、情報拠点、物資の運搬・配布拠点、医療・消防等の活動拠点等、多くの機能がある。避難所がこれらの機能を充分発揮するためには、周辺道路空間が確保されていることが重要であることから、避難所への狭あいなアクセス道路について、品川区無電柱化推進計画に基づき、無電柱化も含め道路空間の確保を図る。また、被災時における円滑な交通の確保に向け、無電柱化を推進するため、区は都と連携を図り、民間の取組みを支援する。 (1)広域避難場所周辺や避難道路沿道の不燃化促進 ア 林試の森公園および戸越公園一帯 @ 区では、林試の森公園については、防災生活圏促進事業により林試の森公園へ至る主要な避難経路となる地区防災道路の整備等を行い、安全で住みよいまちづくりを進めている。 A 戸越公園一帯については、平成18年度から、周辺地区の不燃化事業を開始した。 また、防災生活圏促進事業により避難場所へ至る避難経路の整備と、防災上有効となる広場の整備、円滑な避難を図るための入口の整備を進めるなど、防災性の強化を図る。 イ 大井競馬場・しながわ区民公園 大井競馬場・しながわ区民公園周辺については避難道路としての課題があり、区は安全な避難を確保するため、滝王子通り(森前交差点から池上通りまでの約870mの区間)の道路拡幅、沿道の不燃化等の避難道路機能強化を進めている。 ウ 広域避難場所周辺地区の不燃化による避難計画人口の拡大 区は、広域避難場所の周辺について、不燃化を促進し、避難時の安全性を確保する。 エ 避難道路沿道建築物の不燃化促進 区は、避難道路として都が指定する滝王子通りについて、拡幅整備を促進するとともに、安全で確実な避難が可能となるよう不燃化を促進する。 (2)避難所へのアクセス道路の確保 ア 避難所周辺の狭あいな道路における道路空間の確保検討 避難所に安全に避難できると同時に、避難所への物資の輸送等が円滑に実施できるよう、区は避難所へのアクセス道路について無電柱化も含め道路空間の確保を図る。 イ アクセス道路のマンホール浮上を抑制し車両導線を確保 大地震による液状化の発生で地中のマンホールが浮上してしまい緊急車両や物資運搬車両が通行できなくなる事態に備え、区は、マンホール浮上を10p以下に抑制する対策工事を都から受託して実施した。 (3)災害時の水の確保 ア 応急給水槽・トイレ用排水槽の整備 @ 災害時、ライフラインの寸断により、電力・水道・下水道等が使用困難となることが想定される。中でも「水」は、生命維持活動に係るものであることから、適正に確保される必要がある。現在、避難所となる区立学校等では、既存の受水槽から飲用水を一定期間確保するとともに、周辺の下水道管きょおよび排水設備の耐震化により災害時のトイレ機能の確保を進めている。 A 安心感のある避難所生活および適切な医療活動等を行うために重要な飲料水、生活用水等の確保について、区は都等との協議・調整を行いながら、災害時の水の確保に努める。 (4)再開発等の機会を捉えた防災機能の整備促進 ア 再開発施設または敷地における防災機能の導入促進 事業者等により区内で再開発が実施される際には、区は、災害時拠点強靭化緊急促進事業を活用しながら、その施設や敷地内に避難者を受け入れることができるスペース、水・食料等の備蓄倉庫、マンホールトイレ等を設置する等の協力を求め、豪雨時でも活用が可能な防災機能の整備が図られるよう努める。 イ 民間施設における防災機能の導入促進 区は、事業者等が所有する既存の建物または新築する建物において、避難者を受け入れるスペースを確保する等の協力を求めるよう努める。 ウ 区災害対策本部を補完する防災機能拠点の検討 @ 災害時には、区役所に区長を本部長とする区災害対策本部を設置し、災害情報の収集・伝達、都への要請・連絡、避難指示等および支援物資の管理等を行うこととしている。しかしながら、建物倒壊による道路閉塞や延焼により、区役所からの物資の運搬や救援・救護活動が困難になるおそれがある。そこで、区災害対策本部の機能を補完し、現地で災害時の活動に即応し、迅速な情報収集や伝達を行うとともに、ボランティア活動の展開、支援物資等の受入れ・管理および医療・福祉活動の実施といった各機能をもった防災機能拠点の整備について、検討していくこととする。 A 防災機能拠点の機能は以下のとおりである。 ・物資、車両等の輸送・配分 ・支援物資等の受領、保管、配分 ・協力団体および個人との連絡調整 ・避難行動要支援者の救援 ・医療、福祉に関する提供・調達・配給 ・飲料水、生活用水等の提供 ・障害物除去、廃棄物処理の活動拠点 ? 第2 高層建築物における安全対策 ○東京消防庁は、高層建築物等の安全対策として、火災予防対策、避難対策(混乱防止対策)、防火・防災管理対策、消防活動対策等について、関係事業者に対して、指導を行う。 1 高層建築物における安全対策 (1)高層建築物の安全対策 @ 東京消防庁は、高層建築物等の新築等に際して、関係者に対し、火災予防審議会を受けて策定した下記の防火安全対策を講じるように指導する。 ・高層の建築物の防火安全対策 ・乾式工法を用いた防火区画等の煙等の漏えい防止対策(100m以上の高層建築物を対象とした安全対策) ・大規模建築物群等の消防アクセス確保対策 ・鉄道ターミナル駅に係る防火安全対策 ・高層建築物等における歩行困難者等に係る避難安全対策 A 東京消防庁は、関係事業所に対して、次の対策を指導する。 ア 火災予防対策 ・火気使用設備器具の安全化および出火防止対策の推進 ・火気使用場所の環境整備および可燃性物品の転倒落下防止措置 ・内装材料、家具調度品、装飾物品の不燃化 ・消火設備、防火区画等の機能確保による延焼拡大防止対策の推進 イ 避難対策(混乱防止対策) ・避難施設の適正な維持管理および避難通路の確保 ・ビルの防災センターからの迅速な緊急放送体制の整備 ・ショーケース、看板、複写機等の転倒、落下、移動の防止 ・避難誘導員の事前指定や訓練指導者の育成 ・避難口、避難階段を明示した館内図の掲示や施設利用者に対する災害発生時の行動要領の周知徹底 ・警報設備、避難設備の機能確保による避難対策の推進 ウ 防火・防災管理対策 ・従業員に対する消防計画の周知徹底 ・管理者が複数の建物における管理責任区分および全体についての消防計画の周知 ・ビル防災センターの機能強化および要員教育の徹底 ・救出救護知識の普及および必要な資機材の整備 ・防火管理業務および防災管理業務従事者を対象とした、実務講習等による教育 ・実践的かつ定期的な訓練の実施 エ 消防活動対策 ・消防活動上必要な施設の機能確保による消防活動対策の推進 2 高層マンション対策 (1)現状 @?東日本大震災により、都内において家具類の転倒・落下による負傷者が発生した。東京消防庁の調査によると、共同住宅の高い階層ほど、家具類の転倒等の発生割合が高い。また、事業所においても同様の傾向で、家具類の転倒、落下に加え、移動が発生した。なかでもコピー機のような重量物でキャスター付きのものの移動が高い階層で目立った。また、長周期地震動の問題とともに、エレベーター停止、トイレ使用不可など高層マンションにおける問題点が顕在化している。 A 品川区においては大崎や五反田、臨海部周辺等で相次いで31mを超える高層マンションや60mを超える超高層マンション等の建設が進んでいる。 (2)高層マンションの特色 ア 人的・物的被害 @ 高層建築物は、地震に対して比較的ゆっくりとした大きな揺れが長時間続く傾向があり、多くの家具類の移動・転倒が予想される。 A 高層階ほど、揺れが大きくなりやすく、ピアノや冷蔵庫等の重量物も高層階ほど移動・転倒しやすくなる。 B 家具類が大きく移動・転倒することで、その付近にいる人々に死傷の危険をもたらす。 阪神・淡路大震災でも、高層マンションで亡くなる方の主な原因はこのような家具の移動・転倒に伴うものであった。 イ ライフライン被害 高層マンションの場合、ライフライン停止時には一般住宅よりも生活上の困難が増す。特にエレベーターが停止することで、高層階の住民は外との往復が著しく困難になる。ライフラインが停止すると、例えば水などは避難所や応急給水槽へ行って運搬する必要がある。高層階に住む人々にとって、このような対応は大きな困難をもたらすことになる。なお、電力が復旧しても、エレベーター保守業者による点検が終了するまでは、エレベーターが使用できないため、高層階の居住者ほど、孤立するおそれがある。また、飲料水・食料・生活用品の家庭内備蓄が枯渇した段階で、多数の避難者が発生するおそれがあるが、避難所での受入れは極めて困難になる可能性がある。 (3)高層マンションにおける安全対策 @ 区においては、高層マンションでは在宅避難を基本に、家具類の移動・転倒防止や家庭内備蓄等の自助の取組みについて普及・啓発するとともに、高層マンション内の居住者や地域住民との間の共助の仕組みづくりを推進する。 A 区においては、マンション防災支援事業を実施し、防災意識の啓発に努めている。 B 区においては、集合住宅の管理組合のほか、ライフライン事業者やエレベーター保守事業者と協力してできるだけ早い段階で日常に近い生活に戻すべく協力体制を築いていく。 (4)高層マンションへの普及・啓発 区では、高層マンションの防災対策を推進するため、啓発資料を作成している。今後、資料を修正し、普及・啓発を推進する。また、防災対策を進めるうえでの問題等を分析し、効果的な支援策を打ち出していく。 3 区営住宅等 区は、災害に強いまちづくりを進めるため、公営住宅等整備事業を活用し、老朽化した区営住宅等の更新を推進する。 ? 第3 急傾斜地、がけ・擁壁、ブロック塀等の崩壊の防止 ○区は、がけ地の安全対策として、建築物や擁壁等を設ける場合の指導やがけ・擁壁等の安全化支援による防災意識の啓発を図っている。 ○区は、ブロック塀の安全対策では、平成30年度より道路沿いのブロック塀等の安全化支援として、除却工事費を助成する制度を開始した。また、令和2年10月より助成範囲を拡充し、除却後に軽量フェンス等を設ける工事の費用等に対しても助成を行っている。 1 がけ、擁壁 (1)現況 @ 区内には内陸部に御殿山、島津山、池田山等の丘陵地を擁している。 A 「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」(昭和44年7月1日法律第57号)では、傾斜度が30度以上ある土地を急傾斜地と定めている。このうち、高さが5m以上、想定被害地域内に5戸以上の人家が存在するなど、一定の要件を満たすものが、急傾斜地崩壊危険箇所とされている。 B 都が調査した「急傾斜地崩壊危険箇所調査」によると、都内急傾斜地崩壊危険箇所は平成30年7月末現在2,972箇所となっている。品川区の急傾斜地崩壊危険箇所は、計43箇所あり、特に北品川、東五反田、上大崎に数多く分布している。 C?「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(平成12年法律第57号)では、傾斜度が30度以上で高さが5m以上の急傾斜地のうち、上端から水平距離が10m以内かつ下端から高さの2倍以内の区域を土砂災害警戒と定めている。そのうち、急傾斜の崩壊に伴う土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれのある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域を、土砂災害特別警戒区域と定めている。 D?都は令和元年9月26日および令和5年6月21日に品川区内50箇所を土砂災害警戒区域に指定。そのうち、36箇所を土砂災害特別警戒区域に指定した。 (2)警戒区域の選定 ア 急傾斜地崩壊危険箇所 都建設局が公表している品川区内の急傾斜地崩壊危険箇所43箇所のうち、自然斜面で建物の立地状況等により土砂災害につながるおそれのある6箇所を警戒区域として、優先的に選定している。 資料17 急傾斜地崩壊危険箇所一覧 資料18 警戒区域 イ 土砂災害(特別)警戒区域 都が指定している土砂災害警戒区域50箇所を、避難情報発令対象区域としている。 資料19 土砂災害警戒区域一覧 (3)安全対策 @ 区では、がけ地に建築物や擁壁等を設ける場合は、建築基準法および東京都建築安全条例により防災上の見地から指導を行っている。また、がけ・擁壁等の安全化支援を実施し、防災意識の啓発を図っている。 A?区では、がけ・擁壁の安全化支援にあたり、がけ・擁壁改修工事費助成事業やがけ・擁壁安全化アドバイザー派遣事業等により、安全化対策の促進を図る。 2 ブロック塀 (1)現況 震災時に既存ブロック塀等の倒壊により道路を閉塞するおそれがあることから、区では、避難道路沿いのブロック塀等の実態調査を実施し、危険性のあるものについては補強等の改善指導を行った。滝王子通りについては、昭和58年に改善事業を実施した。 また、平成30年度には道路沿いにある高さ80p以上の塀の種類、延長を調査した。 (2)安全対策 @?区は、大地震や台風等の自然災害による塀の倒壊から人命を守るため、平成30年度より道路沿いのブロック塀等の安全化支援として、除却工事費を助成する制度を開始した。令和2年10月より助成範囲を拡充し、除却後に軽量フェンス等を設ける工事の費用等に対しても助成を行っている。 A 区は、所有者自らブロック塀の状況確認ができるよう、「コンクリートブロック塀の安全点検シート」と「コンクリートブロック塀の解説図」をホームページで公表している。 資料20 防災まちづくりに関する事業一覧 ? 第4 建築物の耐震化の促進 ○区は、耐震改修促進計画の進捗状況を確認し、適宜見直しを行っていく。 ○区は、学校や区有施設については、防災上重要な施設の耐震化を行い、平成27年度に完了した。また、非構造部材の耐震化については令和7年度に完了予定、排水設備の耐震化については令和2年度に完了した。 1 公共建築物の安全化計画 @ 区では、学校、地域センター、保育園等の建物は概ね鉄筋化、耐震化、不燃化が完了している。 A 生命の安全を第一とし、施設全体の被害を最小限に抑えるために、耐震改修促進計画に基づき避難所となる学校や区有施設について、防災上重要な施設の耐震化を行い、平成27年度に完了した。(民間の建物内にある1箇所を除く) B 防災上重要な施設の非構造部材の耐震化について、令和7年度に完了予定である。 C 防災上重要な施設の排水設備の耐震化について、令和2年度に完了した。 D 区は、防災上重要な建築物のリスト、連絡体制一覧表を作成し、所管部署との連携強化を図る。 E 区は、区有施設のエレベーターの設置台数、設置施設を把握し、関連事業者と災害時の対応に関する連携を図る。 2 民間建築物の安全化 @ 地震災害の中でも、建築物の倒壊等による被害は人命に関わる。民間建築物の安全化対策は、所有者または使用者が行うことが原則である。 A ここでは民間建築物の安全化を推進するための普及・啓発について定める。 (1)耐震化の推進 耐震改修促進法の改正(平成18年1月26日施行)を踏まえ、区では平成19年12月に耐震改修促進計画を策定し、平成24年度、平成29年度、令和2年度に改定を行った。この計画は、昭和56年5月31日以前に建築された住宅・建築物の耐震診断および耐震改修等を、計画的かつ総合的に促進し、災害に強いまちづくりを進めるものである。 (2)これまで区において進めてきた耐震化支援対策 @?平成16年4月より、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準でつくられた木造住宅を対象として、耐震診断を行うとともに診断に係る費用を助成支援してきた。 A?平成18年7月からは、診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた木造住宅のうち、「東京都防災都市づくり推進計画」に定める「整備地域」にあるもので、6m以下の道路沿いにあるものを対象に、耐震改修に係る費用について助成支援を開始し、平成19年4月からは、道路要件を撤廃し、区内全域に対象地域を拡大した。 B?平成19年4月からは、建替え支援を整備地域および新防火地域内において開始するとともに対象を木造アパートまで拡大した。同年4月から緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断費用の一部助成を開始した。 C?平成23年4月から耐震補強設計費用の助成、マンションの改修費用の助成を開始した。同年4月から、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断費用の助成を開始した。 D?平成24年から特定緊急輸送道路沿道建築物の補強設計・耐震改修・建替え・除却費用の一部助成を開始した。 E?平成29年度から令和2年度の間、建物倒壊危険度の高い区域を緊急耐震重点区域として定め、耐震改修・除却費用の増額を行うなどの支援を充実させている。 F?平成30年から特定緊急輸送道路沿道建築物の補強設計・耐震改修・建替え・除却助成を拡充した。 G?令和5年10月より、平成12年5月31日以前に新築工事に着手した木造住宅の耐震診断等の助成を拡充した。 (3)耐震改修促進計画 @ 区の耐震改修促進計画の計画期間は、令和3年度から令和7年度までを期間とし、令和7年度時における耐震化率の目標を、住宅は、耐震性が不十分な住宅をおおむね解消、民間特定建築物は、多数の者が利用する一定規模以上の建築物のさらなる耐震化の促進、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率を95%と定めている。また、区有建築物は防災上重要な公共建築物の耐震化率を100%と定めている。 A 耐震化の基本的な取組み方針として、自助・共助・公助を原則とし、区は、公共的な観点から必要な支援を行うとの考えから、住宅・建築物の耐震診断、補強設計、耐震改修工事等に対する費用の助成、木造住宅除却支援、耐震化アドバイザー派遣とともに、耐震シェルター等の設置支援や相談体制の強化等、耐震化促進に向けた総合的な施策を積極的に推進していく。 ア 耐震化の目標 建築物の耐震診断および耐震改修の促進を図るための基本的な方針(平成30年12月21日国土交通省告示第1381号。以下「国の基本方針」という)ならびに「東京都耐震改修促進計画(平成19年3月に策定し、令和5年3月改定)」を踏まえ、区における耐震化率の目標を下表のとおり設定している。? 図表2-28 民間建築物の種類・種別と耐震化の目標 種類 耐震化率 耐震化の目標 (令和2年度時点) (令和7年度) 住宅   91.1%    耐震性が不十分な 住宅をおおむね解消 木造住宅 80.2% 非木造住宅 94.6% マンション 94.5% 民間特定建築物 多数の者が利用する一定規模以上の建築物 95.1% 更なる耐震化の促進 危険物を取り扱う施設 100% − 緊急輸送道路沿道建築物 83.6% 95% 区有 建築物 防災上重要な施設 98.7% 100% その他の施設 100% − イ 耐震診断・耐震改修を促進するための基本的な取組み (ア)住宅・建築物所有者等の責務(自助) 建築物の所有者等は、自らの生命や財産を守るために耐震化が必要不可欠であることを認識するとともに、災害にあった際には倒壊による道路の閉塞や火災延焼の起因になることも想起し、自らが所有・管理する建築物の耐震化に主体的に取組む必要がある。また、震災時の迅速な救援・救助活動や緊急物資の輸送等に資する特定緊急輸送道路の沿道建築物においては、耐震化に向けた占有者の協力も必要である。 (イ)関係団体との連携による耐震化の促進(共助) 地域、企業および建築等に係る関係団体は、行政機関との適切な役割分担のもとに連携体制を構築、強化するとともに、関係団体を構成する人的ネットワークを活用し、耐震相談、耐震化に係る技術力の向上や技術者等の育成、必要な技術情報の発信等を行い、耐震化を促進する。 (ウ)行政の責務(公助) 行政(区・都・国)は、住宅・建築物の所有者等が、耐震化に向けた主体的な取組みを行う際に、耐震化に係る情報提供や啓発活動、環境整備を行うとともに、公共的な観点から必要がある場合は、財政的支援を行う。また、関係機関や関係団体とともに連携し、公益的観点から必要となる施策を推進する。 ウ 施策 (ア)木造住宅密集地域を中心とした耐震化支援強化 a 木造住宅の耐震化支援 (a)無料簡易診断支援および木造住宅耐震診断支援(一般診断) 区は、平成12年5月31日以前に新築の工事(昭和56年6月1日から平成12年5月31日の間にあっては在来軸組工法のみ)に着手した木造2階建て以下の戸建て住宅、長屋、共同住宅(住宅部分が過半以上である店舗や事務所との併用を含む)を対象とし、無料簡易診断支援および木造住宅耐震診断支援(一般診断)を区内全域で実施する。 (b)木造住宅耐震補強設計支援(精密診断) 区は、木造住宅耐震診断支援(一般診断)の助成を受けた建築物を対象として、耐震補強設計費用を助成する(精密診断費用を含む)。なお、精密診断は、改修の必要性が高いものについて、部材やそれらの接合部等に関するより詳細な情報に基づき、改修の必要性の最終的な判断を行うことを目的とした診断方法である。 (c)木造住宅耐震改修支援 区は、木造住宅耐震補強設計支援(精密診断)の助成を受けた建築物(耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物)を対象として、耐震改修工事費用を助成する。 (d)木造住宅除却工事支援 区は、木造住宅耐震診断支援(一般診断)における耐震診断の結果、または、「誰でもできるわが家の耐震診断」(国土交通省住宅局監修)の結果、倒壊のおそれがあるとされた昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した木造2階建て以下の戸建て・長屋・共同住宅(住宅部分が過半以上である店舗や事務所との併用を含む)を対象として、除却工事費用を助成する。木造住宅除却工事の助成対象範囲は木造住宅密集地域(東京都防災都市づくり推進計画の整備地域または新防火地域)としている。 ? 図表2-29 木造住宅除却工事助成対象範囲 b 非木造住宅の耐震化支援 (a)非木造住宅耐震診断支援 区は、昭和56年5月31日以前に建築された非木造の戸建て住宅、長屋、共同住宅(一部、店舗や事務所との併用を含む)を対象とし、耐震診断支援を区内全域で実施する。 (b)非木造住宅耐震補強設計支援 区は、非木造住宅耐震診断支援における耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物を対象として、補強設計費用を助成する。 (c)非木造住宅耐震改修支援 区は、非木造住宅耐震補強設計支援の助成を受けた建築物(耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物)を対象として、耐震改修工事費用を助成する。 c マンションの耐震化促進支援 (a)耐震化アドバイザーの派遣 分譲マンションの耐震改修に関しては、多数の区分所有者による検討および合意形成が必要となる。区は、昭和56年5月31日以前に建築された地上3階以上の分譲マンションを対象として、マンション管理組合等に耐震化に関する専門家を派遣し、耐震診断や耐震改修に関するアドバイスや合意形成への支援を行う。 (b)耐震診断支援 区は、昭和56年5月31日以前に建築された地上3階以上の分譲マンションのうち、下記のいずれかに該当するものを対象として、マンション管理組合等に耐震診断費用を助成する。 <対象建築物> ・小規模マンション:延べ床面積1,000m2未満のもの ・大規模マンション:延べ床面積1,000m2以上のもの、または、本計画において定められた啓開道路に接するもの (c)耐震補強設計支援 区は、耐震診断支援における耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物を対象として、マンション管理組合等に補強設計費用を助成する。 (d)耐震改修支援 区は、耐震補強設計支援の助成を受けた建築物(耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物)を対象として、マンション管理組合等に耐震改修工事費用を助成する。 (e)マンション防災支援事業 マンションの防災対策の現状を確認し、防災全般に関する助言や訓練・講演の計画・実施等の支援を行う。 d 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化支援 (a)耐震補強設計支援 区は、特定緊急輸送道路沿道建築物で、東京都防災・建築まちづくりセンターの認める耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物を対象として、建築物の所有者やマンション管理組合等に耐震補強設計費用を助成する。 (b)耐震改修支援・建替え・除却支援 区は、特定緊急輸送道路沿道建築物で、東京都防災・建築まちづくりセンターの認める耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物を対象として、耐震改修費用、建替え費用、除却費用を助成する。 (c)耐震診断済みの沿道建築物への個別訪問 区は、耐震診断済の特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対し、耐震化アドバイザーの派遣等により必要な働きかけを継続して実施し、耐震化を促進する。 e 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化支援 (a)耐震診断支援 区は、一般緊急輸送道路沿道建築物で、昭和56年5月31日以前に建築された建築物を対象として、建築物の所有者やマンション管理組合等に耐震診断費用を助成する。 (b)耐震補強設計支援 区は、耐震診断支援における耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物を対象として、建築物の所有者やマンション管理組合等に耐震補強設計費用を助成する。 (c)耐震改修支援 区は、耐震補強設計支援の助成を受けた建築物(耐震診断の結果、倒壊のおそれがあるとされた建築物)を対象として、耐震改修工事費用を助成する。 f 民間特定建築物の耐震化促進 不特定多数の者や避難に支援を要する人が利用する大規模建築物は、被災した場合に多くの人的被害が生じるおそれがあり、耐震化が重要となる。特に規模の大きい要緊急安全確認大規模建築物(耐震改修促進法附則第3条第1項に定める建築物)ついては、耐震化が 完了する見込みとなっている。区は、その他の民間特定建築物について、建築物の所有者(管理者)に対して、都や関係団体と連携しながら、耐震化に向けた積極的な周知啓発を継続して実施する。 (イ)耐震化を促進するための総合的な取組み ・高齢者世帯等に対する耐震シェルターなどの設置支援 ・対象建築物の所有者に対し指導・助言・勧告等 ・相談体制の強化 ・様々な広報媒体を活用した耐震化への普及啓発 ・東京都耐震マークの普及拡大 ・低利融資・税の優遇、耐震改修工法等、情報提供の充実 ・建物倒壊危険度が高い地域の住民への個別訪問による耐震化の普及啓発 ・建築関連団体との連携強化と支援ネットワークの構築 (4)建築物の耐震改修に係る各種施策の周知と啓発・各種助成制度の充実 区は、耐震改修促進計画に基づき、区内建築物の耐震化の促進に向け、耐震診断・耐震改修工事等に対する費用の助成等を継続し、対象規模の拡大等、内容の充実を図る。また、耐震化アドバイザーの派遣や品川区住宅耐震化促進協議会による、相談体制の強化を進めるとともに、防災訓練における耐震化に関する情報発信や区ホームページやチラシ配布を通じた家具転倒防止器具取付け推進、マンション管理組合における防災対策等検討交流会の創設により、建築物の耐震化・マンションの防災対策をより一層促進する。 3 特定緊急輸送道路の機能確保および橋梁の耐震化 (1)特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の促進 都では、震災直後から発生する緊急輸送の円滑化のため緊急輸送道路を定めている。また、特に、都内の主要な防災拠点、空港や港湾を結ぶ道路、緊急物資や救援活動の受入れのための道路等、沿道建築物の耐震化を図る必要がある道路として、特定緊急輸送道路が定められている。震災時に特定緊急輸送道路の機能を必ず確保するため、沿道の建築物は、耐震化状況の報告と耐震診断の実施が義務化されている。区においても、区内の被災地への迅速で円滑な緊急物資輸送や救援活動の受入れ等を行えるようにするため、耐震化アドバイザーの派遣や耐震化の促進に係る必要経費の助成を継続して実施する。 (2)橋梁の長寿命化の推進および耐震化の促進 区は、「橋梁長寿命化修繕計画(令和4年12月改訂)」に則り、橋梁の長寿命化を推進していく。また、この長寿命化とあわせながら耐震化の推進も図っていく。 第5 液状化対策の強化 ○区は、地盤改良や基盤構造の増強等、液状化対策を考慮した設計とするよう指導に努めている。 ○区は、東京液状化アドバイザー対策制度の活用によるさらなる安全化の充実・強化を図る。 @ 大規模地震が発生すると、砂や水が噴出する地盤液状化による建物の沈下、転倒などの被害が生じる可能性がある。 A 区では、日本建築学会等で示されている地盤改良や基盤構造の増強等、液状化対策を考慮した設計とするよう指導に努めている。東日本大震災時にも、各地で大きな被害が発生しており、今後とも、建築確認審査等を通じて液状化対策に対する指導の充実・強化を図る。 B 液状化対策では、都が作成した「東京の液状化予測図」(令和3年度改訂版)や、区が蓄積・所有する地盤データを活用しながら、建築物について、液状化対策を考慮した設計とするよう建築確認申請等を通じて指導の充実を図る。 C 区は、東京都液状化対策アドバイザー制度を必要に応じて活用するなど、安全化の充実・強化を図る。 D 区は、民間建築物の指導等の対策強化とともに、公共建築物に対する液状化対策に係る一層の推進を図る。 ○区は、エレベーター対策として、エレベーターの閉じ込め防止機能の向上(区・民間施設)、救出体制の構築(救出要員を増員するための措置の実施、エレベーター保守管理会社の連絡体制強化、エレベーター内の閉じ込めの有無の確認)、早期復旧体制の構築(「1ビル1台」ルールの徹底、自動診断仮復旧システムの採用)を進めている。 第6 エレベーター対策 1 エレベーターの閉じ込め防止機能の向上 (1)区施設 区は、区施設に関して、施設の建替えやエレベーターの老朽取替え等の機会を捉え、エレベーターの閉じ込め防止装置の設置を進め、安全性の向上を図る。 図表2-30 エレベーターの閉じ込め防止装置 装置名 機   能 リスタート運転機能 ○地震で停止装置が働いて緊急停止した場合に、自動で安全を確認しエレベーターを再作動させることにより、閉じ込めを防止する機能 停電時自動着床装置 ○停電時に、バッテリー電源によりエレベーターを自動的に最寄階まで低速運転で着床させた後ドアを開き、閉じ込めを防止する装置 P波感知型 地震時管制運転装置 ○主要動(S波)が到達する前に、初期微動(P波)を感知することにより、安全にエレベーターを最寄り階に着床させ、ドアを開放する装置 (2)民間施設 @ 医療機関は、災害時に医療活動を迅速に行えるよう、その施設のエレベーターの閉じ込め防止対策を講じる必要がある。 A 都は、エレベーターの地震時管制運転装置の設置の必要性および機器改修方法の事例等を示したリーフレットを作成し、ホームページに掲載するなど不特定多数の人が利用する建物を含め、所有者等に閉じ込め防止対策を促し、普及啓発していく。 B 日本エレベーター協会は、加盟各社にエレベーターの閉じ込め防止装置の設置を行ったエレベーターにステッカーを配布し、都と連携して民間施設における閉じ込め防止対策の実施を誘導する。 C?日本エレベーター協会加盟の各メーカーは、エレベーター改修について対応を行う。 2 早期復旧体制の構築 マンションでの生活や事業所における活動を継続するためには、エレベーターは欠かせないが、膨大な建物の全エレベーターを復旧するには相当な時間を要するため、次のような早期復旧体制の構築が必要となる。 (1)「1ビル1台」ルールの徹底 地震発生時に、エレベーターを点検し運転を再開するための保守要員は限られている。できるだけ多くのマンションやビルの機能の回復を早期に図るため、1ビルにつき1台のエレベーターを復旧させることを原則とし、日本エレベーター協会は、そのルールの徹底を協会加盟のエレベーター保守管理会社に要請するとともに、都と連携して広く都民・事業者等に普及啓発する。 (2)自動診断仮復旧システムの採用 @ エレベーター会社では、地震で停止したエレベーターについて、保守要員による点検をしなくても、仮復旧できる自動診断仮復旧システムの開発を行っている。今後の開発状況を見ながら、区は防災上重要な区施設への本システムの設置を検討していく。 A 都は民間施設に対しても、日本エレベーター協会とともに本システムの導入の働きかけを検討する。 (3)復旧体制の充実 日本エレベーター協会加盟各社は、全国的な応援体制の構築を支援するとともに、迅速な復旧に向けて、体制の強化を図る。 ? 第7 落下物、家具類等の転倒・落下・移動の防止 ○区は、落下物防止、自動販売機・家具類の転倒防止等の対策について、消防機関等と連携しながら、安全化に係る指導を行っている。引き続き、防災イベントや訓練において、リーフレット等を配布し、防災啓発に努める。 1 落下物防止対策 (1)現況 震災時には、窓ガラス・建築物の外装材等の剥離・落下による被害の発生が予想され、これらの「落下物」の対策が課題となっている。 (2)安全化に係る指導 区では、落下物に対して建築基準法、屋外広告物法、東京都震災対策条例により安全化指導を行っている。 2 家具類の転倒防止対策 (1)区 @ 家具転倒による死傷者を減少させるため、転倒防止器具のあっ旋等、家庭でできる防災対策の支援を図っていく。 A 単独で取付けの難しい高齢者や障害者世帯に対して、シルバー人材センターを通じて転倒防止器具の購入と取付け費用の助成をしていく。 B?区として家具の配置や転倒防止器具の取付け方法等について、防災イベントや訓練、しながわ防災学校を通じて一層の普及・啓発を行っていく。 C 区施設について状況調査を行うとともに積極的に転倒防止対策を行っていく。 D 区で実施する高齢者世帯等に対する家具転倒防止器具取付け事業について、福祉施設でのリーフレットの配布を通じた周知を図る。 (2)消防署 @ 家具類の転倒・落下・移動防止対策について、関係機関および関係団体と連携を図  り普及・啓発を図る。 A 家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック等を活用し、区民や事業者に対する防災指導を実施する。 B 防災週間等のイベントや防災訓練時を捉え普及・啓発を推進し、家具転倒・落下・移動防止器具の取付け講習を実施する。 C 映像、インターネット広告など多様な手法を活用し、家具類の転倒・落下・移動防止に向けた普及啓発を実施する。 3 自動販売機の転倒防止対策 @ 区は、都と協力して協会や業界団体を通じ、自動販売機の転倒防止対策の強化を図っていく。 A 区道上での違法占用を発見した場合には、速やかに撤去を行うよう指導していく。 第8 文化財の安全対策 ○区は、文化財に被害が発生した場合には、被害の拡大防止に努めるよう周知する。 ○区は、文化財の所有者・管理者による防災訓練の実施や消防用・防災用設備の点検・整備等の普及・啓発を図る。 1 消防用・防災用設備の点検・整備 文化財の所有者または管理者は、消防設備および防災設備等の点検・整備を実施する。 2 文化財防災点検表による自主点検 文化財の所有者または管理者は、必要に応じて文化財防災点検表の作成、自主点検の実施に努める。 第9 マンションの在宅避難の普及 ○区は、マンション居住者への在宅避難および在宅避難のための備えについて周知する。 ○区は、マンション居住者同士、また、マンション居住者と地域住民間の共助の仕組みづくりについて、啓発に努める。 1 在宅避難のための備えの周知 区においては、マンションでは在宅避難を基本とし、区は、家具類の移動・転倒防止や家庭内備蓄等の自助の取組みについて周知する。 2 共助の仕組みづくり 区は、マンション内の居住者同士、また、マンション居住者と地域住民との間の共助の仕組みづくりについて、その啓発に努める。 ? 対策2 防火対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・街頭消火器の設置 ・家庭用消火器の普及 ・防災区民組織の育成支援 ・消防水利の整備 ・スタンドパイプ、感震ブレーカーの普及 消防機関 ・火気使用設備および器具の安全化 ・危険物施設等の出火防止 ・電気設備等の安全化 ・その他出火防止のための査察・指導 事業者 ・出火の防止 ・初期消火体制の強化 ・高圧ガス・有毒物質等の安全化 ・高層建築物および地下街等における安全対策 区民 ・住宅用防災機器等の設置 ・出火防止等に関する備え 【具体的な取組】 第1 出火等の防止 ○区は、出火等の防止にあたり、火気使用設備および器具の安全化や危険物施設等の出火防止、電気設備等の安全化等を消防機関と連携して進める。 ○区は、危険物施設への出火防止に向けた指導、区民への家庭における出火防止に向けた指導、その他出火防止のための査察・指導について、消防機関と連携して進める。 @ 地震災害は、建物の倒壊など揺れによる直接的な一次災害と火災等の二次災害に分けられる。阪神・淡路大震災では、地震の発生直後から火災が同時多発的に発生し、特に神戸市内で大きな被害をもたらした。 A?今回の被害想定においては、火災による焼失棟数(倒壊建物含まない)は6,286棟である。多くの木造住宅密集地域を抱える品川区において、地震火災等の二次災害の防止対策は、地震被害を最小限にくいとどめるために重要である。 B ここでは、出火の防止、初期消火、火災の拡大防止、危険物施設の出火防止等の対策を定める。 ? 1 出火の防止 地震時の出火要因には、ガス、石油、電気等の火気使用設備・器具の他に危険物等からの出火が考えられる。都内にはこれらのものが膨大かつ複雑に存在しており、地震時に相当数の火災発生が予想される。 出火の危険につながる要因を個々に分析・検討し、あらゆる施策を講じて安全化対策を進めるとともに必要に応じ規制の強化を図る。特に区民に対しては、出火や火災の拡大を防止するため、感震ブレーカーの周知と設置拡大を図り、地震時における出火を抑制する。 (1)火気使用設備および器具の安全化 都内で使用されている火気使用設備・器具は、膨大な数にのぼり、過去の地震の被害状況からみて、地震時に火気使用設備・器具から出火する危険は極めて高いと考えられる。東京消防庁は、火災予防条例に基づき、石油燃焼器具類への耐震安全装置の設置の徹底、火気設備・器具周囲の保有距離の離隔および固定等、各種の安全対策を推進する。 ア 推進方法 次により、あらゆる機会をとらえて安全対策の指導を推進する。 @?建築物の新築・増改築または火気使用設備・器具の設置・変更時等に各種相談、届出、検査等を通じて安全対策の指導を徹底する。 A 住宅に対しては、火災予防運動時等に住宅等の防火診断、防火講演会、防火座談会、パンフレット配付等を行い、安全対策の指導と合わせて、地震後の出火防止徹底のため、安全確保要領の指導を行う。 B 事業所に対しては、立入検査時に指導を行うとともに、東京都震災対策条例に基づく事業所防災計画の作成状況を確認し、作成していない事業所に対しては、計画の作成を指導する。 イ 安全化対策 次の事項を重点に安全対策指導等を推進する。 (ア)工業炉等の安全化対策の推進 ・炉の耐震化、周囲の不燃化、溶融物のあふれ対策、耐震安全装置の設置等、工業炉区の潜在危険性に応じた安全化対策の促進 ・炉および付属設備の維持管理の徹底 (イ)調理油火災の防止対策の推進 ・過熱防止装置等のついた設備、器具の普及促進 ・フード・ダクト用防火ダンパー、フード等簡易自動消火装置等の設置促進 ・調理油火災実験、映画、ビデオ等による出火・初期消火に関する知識・技術の啓発 ? (ウ)火気使用設備・器具の安全化の促進 ・石油ストーブ等の耐震安全装置の設置の徹底 ・感震機能付分電盤等の普及促進 ・消防用設備等の耐震措置 ・火気使用設備・器具周辺の不燃化の促進 ・火気使用設備の固定など移動・転倒防止措置の促進 ・火気使用設備・器具周囲の家具等の転倒、落下、移動防止措置の促進 (2)危険物施設等の出火防止 ア 危険物施設等の状況 @ ガソリン、灯油など消防法上の危険物を指定数量以上貯蔵し、または取り扱う危険物施設(以下「危険物製造所等」という)は、品川区内には令和2年3月末日現在544施設あり、また、指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、取り扱う少量危険物貯蔵取扱所は912施設である。 A 火災予防条例別表に定められた燃えやすい物品や、消防活動が困難なゴムのり、油かす、紙類等の物品を一定数量以上貯蔵し、取り扱う施設は、指定可燃物貯蔵取扱所として規制されており、品川区内には、令和2年3月末日現在130施設がある。 イ 現状における防災対策 @ 地震における危険物施設等は、容器の転倒、漏洩等による火災発生危険のみならず延焼拡大要因ともなり、付近住民はもとより避難者の安全に及ぼす影響が非常に大きい。このため、危険物製造所等に対しては、立入検査を通じ、消防関係法令の規定に基づく位置構造設備の技術上の基準を遵守させている。また、施設の規模に応じて、危険物保安統括管理者、危険物保安監督者、危険物取扱者および危険物施設保安員の選任ならびに予防規程の作成や自衛消防組織の編成が義務づけられており、施設における自主防災体制の強化を図っている。 A 一方、少量危険物貯蔵取扱所、および指定可燃物貯蔵取扱所(以下「少量危険物貯蔵取扱所等」という)に対しては、火災予防条例の規定に基づき、届出を義務づけるとともに貯蔵取扱い方法や集積方法について基準を遵守させ、少量危険物貯蔵取扱所等の安全対策を講じている。 ウ 指導事項 @ 危険物施設における構造設備の耐震化、転倒・落下・移動防止対策、貯蔵取扱いの安全化・自衛消防組織の整備、防災資機材の整備、事業所間の相互応援体制の確立等の指導を進めるとともに、随時立入検査を実施し、不備欠陥事項の是正を図る。 A 危険物保安監督者の育成指導や業界に対する集合教育等により、危険物施設等における自主防災体制の強化を図る。 B タンクローリーについては、走行中のものおよび常置場所における立入検査を適宜実施し、構造、設備等についてチェックし、法令基準に適合するよう指導を強化する。 C 鉄道タンク車による危険物輸送については、震災対策条例に基づいて関係事業所が作成した防災計画の遵守、徹底を図る。 D?国際輸送用タンクコンテナ等による危険物の貯蔵取扱いおよび輸送等については、事業所に対して荷役および仮貯蔵、仮取扱いならびに輸送中における被害の軽減を図るための各種対策の指導を強化する。 (3)電気設備等の安全化 ア 電気設備等の安全対策の強化 変電設備や自家発電設備等の電気設備は、電気事業法関係において適切な維持管理が定められており、また、消防関係法令においても出火防止、延焼防止のための基準等が定められ、これに基づき、建築物の耐震安全性とともに、出火防止および停電復旧に伴う出火等の安全対策を推進する。 イ 電気器具からの出火防止 地震時の電気器具や配線からの出火および停電復旧に伴う出火を防止するために、感震ブレーカー 設置に係る費用の一部補助事業を実施し、感震ブレーカーの設置拡大を図る。 (4)区民指導の強化 @ 各家庭における地震時の出火防止等の徹底を図るため、防災教育を推進するとともに、地震体験車等の指導用資機材の整備を推進し、実践的な防災訓練を通じて区民の防災行動力の向上を図る。 A 各家庭からの出火や火災の拡大を防止するため、感震ブレーカーについて区ホームページ等で防災意識の高揚と防災力向上を図る。 ア 出火防止等に関する備えの主な指導事項 ・消火器の設置、風呂水の汲み置きやバケツの備えなど消火準備の徹底 ・石油燃焼機器類への耐震安全装置の設置、消防用設備の耐震措置、感震機能付分電盤および住宅用防災機器の普及 ・家具類、家電製品等の転倒・落下・移動防止対策の徹底 ・火を使う場所の不燃化および整理整頓の徹底 ・カーテン等の防炎品の普及 ・灯油など危険物の安全管理の徹底 ・防災訓練への参加 ? イ 出火防止等に関する教育・訓練の主な指導事項 ・ライフラインの機能停止に伴う、火気使用形態の変化に対応した出火防止の徹底 ・ライフラインの復旧時における電気・ガス器具等からの出火防止の徹底 ・避難等により自宅を離れる場合、電気ブレーカーおよびガス元栓の遮断など出火防止の徹底 ・地震の発生時や予防対策に係る指導 図表2-31 地震の発生時に係る指導 <「地震その時10のポイント」の指導> 1 地震だ! まず身の安全 ○揺れを感じたり、緊急地震速報を受けた時は、身の安全を最優先に行動する。 ○丈夫なテーブルの下や、物が「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」空間に身を寄せ、揺れがおさまるまで様子をみる。 【高層階(概ね10階以上)での注意点】 ○高層階では、揺れが数分続くことがある。 ○大きくゆっくりとした揺れにより、家具類が転倒・落下する危険に加え、大きく移動する危険がある。 2 落ちついて 火の元確認 初期消火 ○火を使っている時は揺れがおさまってから、あわてずに火の始末をする。 ○出火した時は、落ちついて消火する。 3 あわてた行動 けがのもと ○屋内で転倒、落下した家具類やガラスの破片などに注意する。 ○瓦、窓ガラス、看板などが落ちてくるので外に飛び出さない。 4 窓や戸を開け 出口を確保 ○揺れがおさまった時に、避難できるよう出口を確保する。 5 門や塀には 近寄らない ○屋外で揺れを感じたら、ブロック塀などには近寄らない。 6 確かめ合おう わが家の安全 隣の安否 ○わが家の安全を確認後、近隣の安否や出火の有無をお互いに確認し合う。 7 協力し合って 消火・救出・応急救護 ○近隣で火災を発見した場合は、街頭消火器などにより、協力し合って消火を行い延焼を防ぐ。 ○倒壊家屋や転倒家具などの下敷きになった人を近隣で協力し、救出・救護する。 8 正しい情報 確かな行動 ○行政、放送局、鉄道会社などから発信される正しい情報を得る。 9 避難の前に 安全確認 電気・ガス ○避難が必要な時には、復電時の電気機器のショートなど、通電火災が発生する可能性やガス漏れの発生を防ぐため、ブレーカーを切り、ガスの元栓を締めてから避難する。 10 火災や津波 確かな避難 ○地域に大規模な火災の危険がせまり、身の危険を感じたら声を掛け合い、一時集合場所や避難場所に避難する。 ○沿岸部や川沿いでは、大きな揺れを感じたり、津波警報が出されたら、高台などの安全な場所に素早く避難する。 出典:東京消防庁「地震 そのとき10のポイント」 ? 図表2-32 予防対策に係る指導 <「地震に対する10の備え」の指導> 1 家具類の転倒・落下・移動防止対策をしておこう ○けがの防止や避難に支障のないように家具を配置しておく。 ○家具やテレビ、パソコンなどを固定し、転倒・落下・移動防止措置をしておく。 2 けがの防止対策をしておこう ○食器棚や窓ガラスなどには、ガラスの飛散防止措置をしておく。 ○停電に備えて懐中電灯をすぐに使える場所に置いておく。 ○散乱物でケガをしないようにスリッパやスニーカーなどを身近に準備しておく。 3 家屋や塀の強度を確認しておこう ○家屋の耐震診断を受け、必要な補強をしておく。 ○ブロックやコンクリートなどの塀は、倒れないように補強しておく。 4 消火の備えをしておこう ○火災の発生に備えて消火器の準備や風呂の水のくみ置き(溺れ防止のため子どもだけで浴室に入れないようにする)をしておく。 5 火災発生の早期発見と防止対策をしておこう ○普段使用しない電気器具は、差込みプラグをコンセントから抜いておく。 ○電気に起因する火災の発生を抑制するため、感震ブレーカー(分電盤型)などの防災機器を設置しておく。 6 非常用品を備えておこう ○非常用品は、置く場所を決めて準備しておく。 ○冬の寒さなど、季節を考慮した用品を備えておく。 ○車載ジャッキやカーラジオなど、身の周りにあるものの活用を考えておく。 ○スマートフォンの予備バッテリー(PSEマーク付)など、必要な電源を確保しておく。 7 家族で話し合っておこう ○地震が発生した時の出火防止や初期消火など、家族の役割分担を決めておく。 ○外出中に家族が帰宅困難になったり、離れ離れになった場合の安否確認の方法や集合場所を決めておく。 ○家族で避難場所や避難経路を確認しておく。 ○台風等の風水害が同時期に発生した場合を想定しておく。 ○普段のつき合いを大切にするなど、隣り近所との協力体制を話し合っておく。 8 地域の危険性を把握しておこう ○自治体の防災マップ等で、自分の住む地域の地域危険度を確認しておく。 ○自宅や学校、職場周辺を実際に歩き、災害時の危険箇所や役立つ施設を把握し、自分用の防災マップを作っておく。 9 防災知識を身につけておこう ○新聞、テレビ、ラジオやインターネットなどから、防災に関する情報を収集し、知識を身につけておく。 ○消防署などが実施する講演会や座談会に参加し、過去の地震の教訓を学んでおく。 ○大きな地震の後に同程度の地震が発生する可能性があることを理解しておく。 10 防災行動力を高めておこう ○日頃から防災訓練に参加して、身体防護、出火防止、初期消火、救出、応急救護、通報連絡、避難要領などを身につけておく。 出典:東京消防庁「地震に対する10の備え」 ? (5)その他出火防止のための査察・指導 @ 消防署は、大地震が発生した場合に人命への影響が極めて大きい地下街、飲食店、百貨店、病院等の防火対象物および、多量の火気を使用する工場、作業場等に対して立入検査を実施し、火気使用設備・器具等の固定、当該設備・器具への可燃物の転倒・落下防止措置、災害時における従業員の対応要領等を指導する。 A その他の事業者や一般住宅等についても、立入検査および防火診断を通じて同様の指導を行うとともに、地震後の出火防止を徹底するため、安全確保要領について指導する。 B 製造所、特定屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、化学反応工程を有する一般取扱所等に対しても、立入検査を実施し、これらの施設を保有する事業所に対して適正な貯蔵取扱いおよび出火危険排除のための安全対策についての指導を強化する。 C?各事業所に対して、東京都震災対策条例に基づく事業所防災計画の作成を指導する。 D 発災直後の出火以外にも、地震発生から数日後の復電による通電火災等が発生する可能性があることに留意し、区民へ指導する。 第2 初期消火体制の強化 ○区は、家庭用消火器の購入助成事業等を進めることにより、初期消火体制の強化に努めている。 ○区は、品川区災害対策基本条例の制定やしながわ防災学校で防災区民組織、事業者の協力連携の必要性等の普及を図り、地域防災体制の確立を進めている。 大地震が発生すると、同時多発的に火災が発生することが予想され、消防機関だけでは、火災の延焼をくい止めることは難しいと予想される。このため、区は、消防用設備等が地震時にも充分に機能を発揮し、火災を初期のうちに消火できるよう、区民および事業者に耐震措置を指導する。また、防災訓練等をとおして、初期消火の重要性と、消火器材の使用法について熟知してもらう。 1 消火器の地域配備 区は、地震発生時および平常火災の初期消火対策の一環として、「品川区消火器設置要綱」を制定し、昭和47年から消火器の地域配備を実施している。 また、「品川区地域初期消火対策施設整備要綱」に基づき、開発事業主に対し延べ床面積3,000 m2未満の建物には、消火器2本と格納庫の設置を指導している。 資料21 消火器設置状況 @ 市街地に設置する消火器の設置間隔は、120mを原則とする。 A 建物構造密集度からの延焼拡大危険の大きい地域は消火器の設置間隔を80m〜100mとする。 ? 2 消火器等の普及 図表2-33 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 1 家庭用消火器の普及 大地震時および通常火災に対する、区民による初期消火活動を徹底するため、昭和61年度から、家庭用消火器の購入助成および薬剤の詰め替えあっ旋事業を実施している。 (1)消火器購入助成・詰め替えあっ旋実績    (令和5年3月末日現在) 年度 内容 昭和61 〜令和2 令和3年 令和4年 合計 消火 器購入助成 42,534本 530本 486本 43,550本 薬剤詰め替えあっ旋 6,254本 12本 10本 6,276本 (2)地域および各家庭における、初期消火体制の充実をめざし、各種訓練、講演会、研修会場にて消火器あっせんに関するちらしの配布や、広報紙、ケーブルテレビ品川を通じた周知を行い、家庭用消火器の普及を図る。 (3)また、平成28年度から不燃化特区を対象とした感震ブレーカー設置に係る費用の一部補助事業も開始した。 消防機関 1 初期消火体制の普及 消火器の普及を図るとともに、初期消火体制のさらなる充実を図る。 (1)訓練、集会、印刷物配布等により、一般家庭における消火器の備えについて普及啓発を図るとともに、設置義務のない事業所等に対しても積極的に自主設置を指導する。 (2)高齢化社会の進展、木造三階建住宅の普及等社会状況の変化に対応した住宅用簡易自動消火装置等の普及促進を図る。 (3)地震時における同時多発的火災を防止するため、家庭や事業所等に消火器、住宅用防災機器、簡易自動消火装置等の設置促進を図る。 (4)軽可搬消防ポンプやスタンドパイプ等を活用した実践的な初期消火対策を指導する。 ? 3 自主防災体制の強化 図表2-34 機関別の取組み内容 機関名 内   容 区 災害時の初期消火と延焼防止を図るために、防災区民組織区民消火隊およびミニポンプ隊を編成し、ポンプを配備する。また、「品川区における防災区民組織の育成に関する要綱」に基づき、支援を行っている。 1 動力ポンプ(C級) 大地震発生時における初期消火対策および避難道路沿いの延焼火災防止のため、東京消防庁が、昭和48年から地域に「区民消火隊」を54隊編成した。その後、昭和54年4月に区に移管され、防災区民組織区民消火隊として位置付け、動力ポンプを装備品とともに配備し、随時訓練している。 2 小型防災ポンプ(D級) 区では、大地震発生時における初期消火対策の充実を図るため、昭和52年度から防災区民組織防火部に「ミニポンプ隊」を編成し、小型防災ポンプを装備品とともに配備し、随時訓練している。 (令和5年4月末日現在) 配備状況 品川 大崎 大井 荏原 計 動力 ポンプ(C 級) 10台 13台 19台 24台 66台 小型防災ポンプ (D級) 31台 29台 47台 75台 182台 合計 41台 42台 66台 99台 248台 3 スタンドパイプの配備 区民消火隊、ミニポンプ隊を持つ防災区民組織に対し、平成24年度中にスタンドパイプを配備した。さらに、地域の初期消火力の向上を図るため、平成26年度中に希望する防災区民組織に対する追加配備や各避難所に給水用、初期消火用を目的としたスタンドパイプの設置を実施した。 消防機関 1 事業所による自助・共助の強化 東京都震災対策条例においては、事業所は行政機関が実施する防災事業に協力するとともに、社会的責任を自覚し震災を防止するため最大の努力を払い、事業所単位の防災計画を作成して、従業員および周辺住民の安全確保に努めることとしている。 これに基づき、消防署では、事業所防災計画の作成指導、自主防災組織の講習会や訓練等を実施し、事業所の自主防災体制の充実強化を図る。 (1)事業所に対し、東京都震災対策条例第10条および11条に基づく事業所防災計画の作成を指導し、事業所の自主防災体制の充実強化を図る。 (2)発災初期段階での傷病者に対する応急救護能力を向上させるため、火災予防条例第55条の5に基づく、自衛消防活動中核要員を中心に、上級救命講習等の受講の促進を図るとともに、事業所等における応急手当の指導者の養成等を行う。 4 消防水利の整備 @?これまで区では昭和52年度に「品川区有耐震建築物に併設する防火貯水槽設置に関する要綱」を制定し、公園・児童遊園や公共施設の敷地等を利用して東京消防庁と協力しながら40m3〜100m3の貯水槽を設置してきた。また、新設した公園、児童遊園、防災広場においても貯水槽の設置を行ってきた。 A 区は、小型防災ポンプの水利を確保するため、5m3の超小型貯水槽も設置、維持管理に努めている。さらに、「品川区中高層建築物等の建設に関する開発環境指導要綱」に基づき、開発事業主に対し、延床面積3,000m2以上の建物には40m3以上の設置を指導している。 B 区は、火災発生時に初期消火の水源となる防火水槽の鉄蓋を開閉が容易な親子蓋に改修することを検討し、迅速に対応できる体制を整備する。 資料22 防災貯水槽設置数 5 火災拡大の防止 火災による地震被害が予想される地域については可能な限り延焼防止措置を講じ、人命の安全確保を重点とした消防体制の整備強化を図る。 (1)消防機関との連携(震災消防活動) 大地震発生時には、同時多発火災の発生による人命危険が予想されるため、現有消防力の効率的運用方策の擁立と、消防団の適正な運用を図るほか、区は、防災関係機関と連携を保ちつつ、区民、事業者に対し自主防災体制の整備の推進を図り、出火防止と初期消火の徹底を期するとともに、その全機能をあげ避難の安全確保をはじめ、消火などの消防活動により、震災から区民の生命、財産を保護する。 ア 東京消防庁における初動態勢 項目 活動態勢 震災第一非常 配備態勢 ○東京23区、東京都多摩東部及び東京都多摩西部のいずれかに震度5強の地震が発生した場合、または地震により火災若しくは救助・救急事象が発生し必要と認めた場合は、直ちに震災第一非常配備態勢を発令し、事前計画に基づく活動を開始する。 震災第二非常 配備態勢 ○東京23区、東京都多摩東部及び東京都多摩西部のいずれかに震度6弱以上の地震が発生した場合または地震により火災若しくは救助・救急事象が発生し必要と認めた場合は、直ちに震災第二非常配備態勢を発令し、事前計画に基づく活動を開始する。 非常招集 ○震災第一非常配備態勢を発令したときは、招集計画に基づき、所要の人員は、直ちに所定の場所に参集する。 ○震災第二非常配備態勢を発令したときは、全消防職員並びに全消防団員が、招集計画に基づき、直ちに所定の場所に参集する。 ? イ 震災消防活動 図表2-35 震災消防活動 項目 内   容 活 動 方 針 1 延焼火災が多発したときは、全消防力をあげて消火活動を行う。 2 震災消防活動体制が確立したときは、消火活動と並行して救助・救急等の活動を行う。 3 延焼火災が少ない場合は、救助・救急活動を主力に活動する。 部 隊 の 運 用 等 1 地震に伴う火災、救助、救急等の災害発生件数、規模等により所定の計画に基づき、部隊運用および現場活動を行う。 2 地震被害予測システムおよび延焼シミュレーションシステムおよび震災消防活動支援システム等の震災消防活動対策システムを活用し、効率的な部隊運用を図る。 消 火 活 動 1 防火水槽をはじめ、あらゆる水源を活用するとともに、現有の消防部隊および消防装備を最大限に活用して、火災の早期発見および一挙鎮圧を図る。 2 延焼火災が拡大または合流し、大規模に延焼拡大した場合は、人命の安全確保を優先し、延焼阻止線活動や避難場所・避難道路の防護活動を行う。 3 道路閉塞、瓦礫等により消火活動が困難な地域では、消防団、防災区民組織等と連携し、可搬ポンプ等を活用して消火活動を実施する。 情 報 収 集 等 1 署隊本部は、所定の計画に基づき、地震被害予測システムの結果、119番通報、高所見張情報、情報活動隊による情報、参集職(団)員情報、消防ヘリコプターによる地震被害判読システム等を活用し、積極的に災害情報収集を行う。 2 震災消防対策システムを活用し、円滑な情報伝達、管理を行う。 3 関係機関へ職員を派遣し、相互に知り得た災害の情報交換を行う。 消 防 団 の 活 動 消防団は、地域に密着した防災機関として、分団受持区域内の住民に対して出火防止、救出救護等の指導を実施する一方、現有装備を活用して、次により災害活動にあたる。 1 発災と同時に付近住民に対して出火防止と初期消火を呼びかける。 2 分団受持区域内の消火活動上必要な道路障害状況、被災状況等の情報収集を行い、携帯無線機等を活用し、消防団本部に伝達する。 3 分団受持区域内に発生した火災に対する消火活動および避難道路確保のための消火活動は、消防部隊と協力して行う。 4 簡易救助器具を活用し、住民と一体となった救出活動を行うとともに、負傷者に対しては、応急措置を行い安全な場所へ搬送を行う。 5 避難のための指示が出された場合は、地域区民に伝達するとともに、関係機関と連絡をとりながら、地域区民の避難誘導等を行う。 ? ? (2)消防活動体制の整備強化 ア 常備消防力と防災行動力の強化 @ 品川区内における常備消防力は、3消防署、8消防出張所にポンプ車、救急車、はしご車等の消防車両を配備し、消防体制の強化に努め、災害に備えている。 A 平時の消防力を地震時においても最大限に活用するため、過去の主な震災における地震被害状況、活動状況を踏まえた各種の計画等を策定し、有事即応体制を強化する。 B 消防体制の強化と並行しながら、地域住民による出火防止、初期消火の徹底を図るとともに、事業所および防災区民組織等との連携体制を確立し、地域防災体制の確立を図る。 資料23 消防職員および消防車両の配備状況 (3)消防水利の整備 @ 国が定める「消防水利の基準」に基づき、区は、区部における消防水利の整備を防災広場の整備にあわせ推進しているが、震災時の同時多発火災に対処するため、経年防火水槽の耐震化を進め、既存水利の機能維持を図るほか、建築物の焼失危険度の高い地域や震災対策上重要な地域を中心に、開発行為にあわせた防火水槽の建設および民間の建設の基礎ピットを利用した地下ピット水槽等の設置に努める。 A 区は、消防水利補助金制度を活用した消防水利の整備促進を図る。 B 区は、都市づくりと一体となった消防水利を確保するため、関係公共機関等が行う集合住宅の建設や民間の開発行為、市街地再開発事業等に際して、防火水槽を確保するよう働きかけるほか、耐震性を有する防火水槽や、巨大水利としての深井戸を整備するとともに、区および関係機関と連携し、河川、海等あらゆる水源の有効活用を図り、消防水利の確保に努める。 C 区は、防災区民組織等が利用しやすいよう防火水槽の鉄蓋を整備する。 (4)地震火災用資機材の整備 @ 東京消防庁では消防部隊の効果的運用を図るための巨大水利の活用や水利不足地域消火用資機材など部隊運用資機材を整備していく。 A 防災区民組織等による初期消火用の水源として、消火栓・排水栓等の活用を図る。 (5)消防団の強化 品川区には、地域に密着した防災活動機関として、品川・大井・荏原の3消防団が設置されている。 @ 品川区における消防団員は3団17分団で団員数は600名(令和6年1月1日現在)である。これらの消防団員は震災時には、消防隊等と連携を図りながら初期消火、消防活動および救出救護等を行うとともに、平常時には地域の防災リーダーとして区民や防災区民組織に対して出火防止、初期消火、救出救護等の技術的な指導を行うなど、地域の防災活動の中核として重要な役割を担っている。このため消防団活動を強化、充実するため可搬ポンプ積載車、防塵マスク、簡易救助器具、防災資機材格納庫、携帯無線機、照明器具、応急救護用資機材等を整備し活動体制の強化を図っていく。 A 地域住民に救出、救護知識および技術を習得させるための応急手当普及員を育成する。 B 分団本部施設を地域ごとに整備し、防災コミュニティ活動の推進と震災等の消防団体制の強化を図る。 C 消防団に積極的に協力している事業所を「消防団協力事業所」として認定し、地域防災体制の一層の充実を図る。 D 消防団員の募集広報を行い、入団促進を図る。 資料24 消防団員および装備 (6)消防活動路の確保 @ 震災時には、道路周辺の建物や塀、電柱など工作物の倒壊、さらには道路の陥没等により、消防車両等が通行不能になることが予想される。このことから、消防活動の円滑化の観点から、防災都市づくり事業等に対し、消防活動に必要な幹線的道路の拡幅、無電柱化、コーナー部分の隅きり整備などに関係機関とともに検討し意見反映を図り、消防活動路等の確保に努める。 A 消防活動路等の確保・円滑な活用に向け、民間から借り上げた特殊車両等の運行技能者を養成する等の対策を推進する。 (7)消火活動が困難な地域への対策 震災時には、路面の破損や道路周辺建物等の倒壊により消防車両の通行が著しく制約されるため、使用不能な水利が生じ、断水のため消火栓の使用が期待できない。このため、消防水利の整備、消防隊用可搬式ポンプの整備および消防団の災害活動体制の充実を図り、消火活動が困難な区域の解消を図る。 (8)地域防災体制の確立 @ 大規模地震時には、火災が同時に多発する可能性があり、また、救助、救急事象の多発や消防活動障害の発生により、円滑な消火活動が阻害される場合がある。このような状況において、それぞれの地域で防災関係機関、区民・事業所等様々な組織の連携による活動体制を早期に確立し、火災の拡大防止を図る必要がある。したがって、地域の防災体制を確立するため、次の施策を推進する。 ア 事業所と防災区民組織等との連携体制 地震時における火災等の被害から地域社会の安全を守るためには、地域の防災区民組織等とともに事業所の自衛消防組織等をも含めた地域ぐるみの対応が期待されることから、地域防災の充実を図るため、地域の防災区民組織等と事業所の自衛消防組織等とが相互に協力して、連携できる体制を整備する。 イ 合同防災訓練の実施 地域防災力は、消防機関をはじめとして消防団、災害時支援ボランティア、防災区民組織および事業所の自衛消防組織等の各組織が協力し、より一層の効果を発揮することができる。このため、組織間の連携を促進し、協議会の設置や定期的な合同訓練を実施する。 ウ 救命講習の推進 @ 区は、応急手当普及促進のため専門的な知識技能を有する消防団、災害時支援ボランティア等と協働した救命講習を実施する。 A?区は、平成26年に「品川区災害対策基本条例」を制定し、さらに平成28年より、しながわ防災学校にて、防災区民組織、事業所に対して協力連携の必要性を普及している。 6 高圧ガス・有毒物質等の安全化 (1)高圧ガス保管施設、毒物・劇物取扱施設および放射線等使用施設 都環境局では、高圧ガス取扱事業所、毒物・劇物取扱施設および放射線等使用施設を有する事業所の震災時の安全性確保のため、東京都震災対策条例に基づく事業所防災計画の作成を指導する。また、放射線等使用施設の安全化について、都では、火災予防条例に基づく届け出により、東京消防庁が消防活動に必要な情報を把握しており、関係機関に必要な情報の共有を図る。さらに、RI(ラジオ・アイソトープ)使用医療機関で、被害が発生した場合、都保健医療局がRI管理測定班を編成し、地域住民の不安除去に努める。 (2)危険物等の輸送の安全化 @ 東京消防庁は、タンクローリー、トラック等の危険物を輸送する車両については、立入検査等を適宜実施して、構造、設備等について、法令基準に適合させるとともに、当該基準が維持されるよう指導を強化する。 A 鉄道タンク車による危険物輸送について、東京都震災対策条例に基づき関係事業所が作成した防災計画の遵守、徹底を図る。 B?「危険物の運搬または移送中における事故時の措置・連絡用資料(イエローカード)」の車両積載を確認し、活用の推進を図る。 ? 第4章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 対策の基本的な考え方 災害時の人命救助や消火活動、物資輸送等を迅速・円滑に行うには、社会基盤である道路・交通、ライフラインの地震・津波による被害を最小化するだけではなく、低下した機能を早期回復することが必要である。 ここでは、道路や河川、港湾、鉄道といった交通関連施設管理者や、電力、ガス、上下水道、通信等のライフライン事業者が行う施設の耐震対策、災害時の態勢、実施する応急・復旧対策の内容を示す。 各対策の要点 対策1 インフラ対策 第1 道路・橋梁 ○災害時の物流維持や避難時の安全性の向上に向け、道路ネットワークの形成、広域避難場所への避難経路の明確化、避難所へのアクセス可能な道路空間の確保を進める。 ○区は、迅速な対応に向け調査方法、調査の優先順位、関係機関との連携、道路啓開に関する手順等について明確化する。 第2 鉄道施設 ○JR東日本、JR東海、都交通局、東急電鉄、京浜急行電鉄、東京モノレール、東京臨海高速鉄道は現況、整備計画等を示すとともに、これを推進する。 第3 河川・港湾 ○高潮防御施設整備事業、中小河川改修事業(護岸改修、調節池工事等)を進めてきた。 ○区は、河川管理施設等を良好な状態に保つため、維持管理に努める。 対策2 緊急輸送ネットワーク 第1 緊急輸送ネットワーク ○震災時に果たすべき輸送路の機能に応じて、緊急輸送ネットワークを整備するとともに、輸送路の複線化を図るため陸・海・空・水上・地下にわたる輸送ネットワークを整備推進する。 ○緊急啓開道路の確保や水上輸送の円滑化に向けた対策を進める。 対策3 ライフライン対策 第1 水道 ○都水道局は、水道施設の耐震化や耐震継手管への取替えの推進を図るとともに、バックアップ機能等を強化する。 第2 下水道 〇都下水道局では震災時の下水道機能や交通機能を確保するため、避難所などから排水を受け入れる下水道管を対象にマンホールとの接続部の耐震化などを実施してきた。また 、交通機能を確保するため 、液状化の危険性が高い地域の緊急輸送道路などを対象にマンホールの浮上抑制対策を実施してきた 。 〇無電柱化している道路や一時滞在施設などを対象に追加し、下水道管とマンホールの接続部の耐震化およびマンホールの浮上抑制対策を推進する。 第3 電気・ガス・通信等 〇区は、災害時の大規模停電に備え、区民避難所等、災害時の拠点となる施設等における自立・分散型電源等の確保を推進する。 ○東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本、日本郵便、ケーブルテレビ品川は現況、整備計画等を示すとともに、これを推進する。 ○地震による施設被害を最小限にするため、施設および設備は防災設計(耐震、耐火、耐水設計等)とするとともに、万が一被災した場合においても、業務の継続、早期の施設復旧ができるよう対策を推進する。 対策4 公共建造物対策 第1 公共建造物 ○区は、避難所、区有施設等の公共施設を対象とし、災害時における被害を最小限にとどめるための対策(消防水利等の設備充実、防災計画の立案等)を進める。 【用語の解説】 @緊急啓開道路 地震等の災害発生時に、被災地および被災者に対する救護活動、支援物資・食料等の輸送を迅速かつ確実にするために、緊急道路障害物除去(倒壊した建築物等の路上障害物の除去および陥没や亀裂等の応急補修)を優先的に実施する路線のことをいう。 A緊急輸送ネットワーク 緊急輸送ネットワークには、第一次、第二次、第三次とあり、指定拠点と他県および指定拠点相互間を結ぶものをいう。第一次緊急輸送ネットワークとは、都と区市町村本部間および都と他県との連絡を図るもの。第二次緊急輸送ネットワークとは、第一次緊急輸送路と救助、医療、消火等を行う主要初動対応機関との連絡を図るもの。第三次緊急輸送ネットワークとは、主に緊急物資輸送拠点間の連絡を図るもの。 B災害拠点病院 主に重症者の収容・治療を行う都が指定する病院をいう。 C災害用伝言ダイヤル 災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合にNTTにより提供が開始される声の伝言板のことをいう。電話からの他、インターネットを利用した災害用伝言板(web171)もある。 ? 対策 対応テーマ 対策1 インフラ対策 対策2 緊急輸送ネットワーク 対策3 ライフライン対策 対策4 公共建造物対策 対策1 インフラ対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 東京国道事務所 ・道路施設の点検、整備 第三管区 海上保安本部 (東京海上保安部) ・救難防災用資機材の整備 ・航行環境の整備 東京航空局 ・地震計の整備等 ・資機材等を常備 都 ・耐震化等の鉄道の安全確保策の実施および促進、早期復旧に向けた事前対策 都建設局第二建設事務所 ・道路・橋梁の整備 都港湾局 ・防潮堤、水門・排水機場等の海岸保全施設の整備 ・気候変動に伴う海面水位の上昇を想定した高潮高に対応するため防潮堤の嵩上げ等を実施 都建設局 ・土のう等、水防資機材の備蓄 ・河川施設の整備 区 ・橋梁の整備、耐震補強 ・道路付帯施設の整備 ・土木施設の被害状況マニュアルの作成 ・各鉄道事業者と連携を密にし、通信手段を確保する。 ・防災資機材および水防資機材の備蓄 ・河川施設の維持修繕 首都高速道路 ・首都高速道路の整備、点検・補修補強 鉄道事業者 ・耐震化等の鉄道の安全確保策、早期復旧に向けた事前対策 ・計画運休に関する区への情報提供 東京電力 パワーグリッド ・計画停電に関する区への情報提供 ? 【具体的な取組】 第1 道路・橋梁 ○災害時の物流維持や避難時の安全性の向上に向け、道路ネットワークの形成、広域避難場所への避難経路の明確化、避難所へのアクセス可能な道路空間の確保を進める。 ○区は、迅速な対応に向け調査方法、調査の優先順位、関係機関との連携、道路啓開に関する手順等について明確化する。 1 主要な生活道路整備方針 @ 現行の道路網整備では、消防活動困難区域の存在、木密地域での建物倒壊等による道路閉塞により、広域避難場所や避難所への避難支障等が課題となっている。 A?区では、品川区まちづくりマスタープランの中で、主要な生活道路整備方針について、防災性の向上を視点とした以下の事項を検討することとしている。 ・消防活動困難区域の解消として、道路ネットワークの形成 ・広域避難場所への避難経路を防災道路ネットワークとして明確化 ・避難所へのアクセス可能な道路空間の確保 2 区、関係機関 機関別の取組み内容は以下のとおりである。 図表2-36 機関別の取組み内容 機関名 現況、点検・整備計画等 区 1 現況 区では車道橋と人道橋(歩道橋含む)を管理している。 資料25 区管理の橋梁 区で管理する橋梁は、落橋防止装置等の設置による耐震化が概ね完了している。 また、本区内の高台にある道路は、必然的に土留擁壁を要する箇所が多いので、これら土留を主として整備し、がけ崩れ等の災害を未然に防止している。 2 橋梁の整備 阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、人的被害を防ぐとともに、災害時の応急活動が円滑に実施できるように橋梁の耐震化を図っている。 その際、避難道路や鉄道等を跨ぐ重要度の高い橋梁から順次整備している。 3 道路付帯施設の整備 道路上のガードレール、街路灯、その他付帯施設については、腐朽したもの、破損したものなどを、防災をかねて逐次更新している。 4 土木施設の被害対応マニュアルの作成 大規模災害発生のとき、迅速な対応ができるよう道路法に基づく各種点検要領より実施する調査方法、調査の優先順位、関係機関との連携、道路啓開に関する手順等についてマニュアルを作成した。 東 京 国 道 事 務 所 1 道路施設の点検 管内の橋梁、構造物等をパトロールにより点検し、道路維持管理、施設対策に反映させる。 資料26 東京国道事務所品川出張所管理橋梁 2 道路施設の整備 道路施設の災害対策は、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえ、耐震点検を行い必要な補強を実施している。 都 第 二 建 設 事 務 所 1 道路施設の点検 管内の橋梁、構造物等をパトロールにより点検し、道路維持管理、施設対策に反映させる。 2 道路の整備 道路は、都市生活を支える根本的都市施設であり、震災時には、避難、救援・救護、消防活動等に重要な役割を果たす。このため、都市計画道路の整備を促進して、道路網の多重化を図るとともに、救援・消防活動にも有効な道路を整備していく。 区内の都道は、大部分整備が進んでいるが、拡幅未整備区間等もあり、現在、特定整備路線(放射第2号線、補助第28号線、補助第29号線)、環状第6号線、補助第26号線、補助第28号線等の整備を進めている。 3 橋梁の整備 橋梁については、関東大震災と同規模の地震に耐えうる基準により建造されているが、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえ、震災時における避難、救援、復旧活動等に支障のないよう最新の基準に基づき、架替・補強等を推進する。また、区内の橋梁の架替え工事を、現在品川埠頭と大井埠頭を結ぶ若潮橋で行っている。 資料27 都第二建設事務所管理橋梁 4 事業計画 道路の整備については、国の社会資本整備重点計画や都と特別区および26市2町で策定した第四次事業化計画等に基づき、事業化に向け引き続き取組んでいく予定である。 また、震災発生時における避難道路の確保のため、一般橋梁の整備を図る。 首 都 高 速 道 路 1 現況 (1)道路の現況 名称 区内延 入口 出口 非常電話 非常口 1号 羽田線 4.5km [上り]鈴ヶ森 [下り]勝島 [上り]勝島 [下り]鈴ヶ森 上り10箇所 下り12箇所 上り2箇所 下り2箇所 2号 目黒線 2.8km [上り] 戸越、 原 [下り] 荏原、戸越 上り4箇所 下り6箇所 上り1箇所 下り なし 湾岸線 4.4km [東行き] 大井 [西行き] [東行き] [西行き] 大井 東行き 36箇所 西行き 36箇所 東行き 1箇所 西行き 2箇所 計 11.7km (2)耐震性と施設の安全対策 首都高速道路の構造物は、「橋、高架の道路等の新設および補強に係る当面の措置について」(建設省道路局:平成7年5月)やこれを踏まえて改訂された「橋、高架の道路等の技術基準について」(建設省道路局長、都市局長通達:平成8年11月)に従い、地質、構造等の状況に応じ、兵庫県南部地震級の地震に対しても落橋や倒壊を生じないよう高架橋の安全性を強化する対策を実施している。また、トンネル、高架橋等には、非常口を整備し、災害時の緊急事態においても、お客様は、これらの非常口から安全に脱出できるよう安全性を確保している。 2 事業計画 (1)事業計画の概要 @ 阪神・淡路大震災における高架橋等の被害状況を踏まえ、「橋、高架の道路等の技術基準について」等に基づき、兵庫県南部地震級の地震に対しても落橋・倒壊を生じない対策は完了し、より速やかな機能回復を可能とする対策を実施していく。 A 道路構造物等の安全を確保するために定期点検を行う。 (2)実施計画の内容 ア 高架橋の安全性の強化 「橋、高架の道路等の技術基準について」に基づき、より速やかな機能回復を可能とする対策を実施していく。具体的には、ゴム支承への取替え、落橋防止構造の設置、橋脚横梁に桁かかり長の確保を行う。 ・プレストレスト橋梁、RC桁橋での支承耐震工事の実施。 ・鋼桁橋の支承耐震工事の実施。 ? 第2 鉄道施設 ○JR東日本、JR東海、都交通局、東急電鉄、京浜急行電鉄、東京モノレール、東京臨海高速鉄道は現況、整備計画等を示すとともに、これを推進する。 1 区 各鉄道事業者との通信手段を確保する。 2 東京消防庁 震災時の安全性の確保のため、東京都震災対策条例第10条および第11条に基づき、事業所防災計画の作成を指導する。 3 鉄道事業者 @ 国土交通省が開催する「大規模地震発生時における首都圏鉄道の運転再開の在り方に関する協議会」の検討成果等を踏まえ、早期の運行再開を図るため、国や各鉄道事業者と再開時刻等を調整するための通信手段を確保する。 A 鉄道事業者は、耐震化をはじめとした鉄道の安全確保策や、早期復旧に向けた対策を図る。 ? 図表2-37 機関別の取組み内容 機関名 現況、点検、整備計画等 JR東日本東京支社 1 線路建造物等の耐震性確保についての計画 (1)耐震設計は、条件に応じた震度法・修正震度法・動的解析法および応答変位法を採用している。 (2)主要建造物は、関東大震災クラスの地震に耐えられるように設計されている。 (3)落橋防止対策は、鋭意施工中であるが、さらに当面の措置として「既存の鉄道構造物に係る耐震補強の緊急措置について」(平成7年7月運輸省通達)により対応する。また、耐震設計基準の見通しについては「運輸省鉄道施設耐震構造検討委員会」の結論を待って適切に対応する。 2 防災関係資機材の設備計画 地震の規模、被害の多様性から復旧に多くの困難な問題が発生する。鉄道が被害を受けた場合、その復旧資機材は多岐にわたるので地震に備えて常に大量の資機材を貯蔵し確保しておくことは経済的に極めて困難である。将来起こり得る地震を予測して必要最小限の資機材を常時用意しておき、不足は他の方面から補給を受ける方法をもって防災関係資機材を確保する。 業務上、事故復旧に備えて、レッカー車、クレーン車、モーターカー、トラック、ジャッキ、発電機、レール、電線類など必要な復旧資機材を確保して担当の業務機関が管理しているが、さらに重機械類、その他必要な資機材については関係の民間の企業から緊急に協力が得られるように体制を整えている。また応急資機材は業務系統別に備蓄、整備、点検、拡充に努めている。 3 地震時の運行計画 ア 80ガル以上の場合、列車の運転を中止し、全線の点検後、安全を確認した区間から、運転中止を解除する。 イ 40ガル以上80ガル未満の場合、25km/h以下の徐行運転を行い、施設の点検後、安全を確認した区間から速度規制を解除する。 ウ 40ガル未満の場合、特に運転規制は行わない。 4 東海道新幹線 東海道新幹線は、耐震列車防護装置を使用して列車の運行を制御する。感震器2台(40、80ガル設定)と地震動を正しく記録する強震計とからなり、沿線の全変電所に設置されている。地震が発生し40ガルあるいは80ガルを超えると感震器が作動して自変電所と、隣接変電所の遮断機が解放されて約40kmの区間にわたって停電し、その間にある列車はATC装置により信号が現示されることによって停止する。それと同時に、東京にある総合指令所に地震表示が送られて地震発生の状況およびその区間が分かるようになっており、200km/h高速運転の安全を図っている。 都交通局 1 計画の目的 施設の安全性をさらに高めるための耐震対策を行い、利用者の安全確保に加え、運行の早期再開を図る。 2 施設の現況 当局の地下鉄道施設は、昭和35年12月の浅草線一部開業を初めとし、浅草・三田・新宿・大江戸線の4路線、総営業キロ109km、106駅を有している。このうち、高架部分は7.6km、8駅である。 品川区内における当局の駅は、浅草線の五反田・戸越・中延駅と三田線の目黒駅であり、すべて地下駅である。 3 施設の耐震性 都営地下鉄においては、阪神・淡路大震災を受けて出された国の通達に基づく耐震対策をすでに完了しているが、東日本大震災を踏まえ、施設の安全性をさらに高めるとともに、早期の運行再開を図るため、引き続き高架部の橋脚および地下部の柱の耐震補強を行っている。 東急電鉄 東急電鉄 1 計画の目的 当社の路線は東京西南部および京浜地区にまたがる東京〜川崎〜横浜という立地条件や各路線が比較的短小であること、さらに当社線相互およびJR・他社線との連絡が多いこと等から、地震に関する防災計画の基本目標を人命・人身の安全確保を第一とし、地震による被害を最小限にとどめ、公共機関の社会的責任を果たすことを目的としている。 2 施設の現況 当社が営業する鉄軌道は9路線総延長110.7kmあり、そのうち品川区には、目黒線、大井町線、池上線の各一部が走っている。 3 施設の耐震性 (1)駅施設の耐震補強 「鉄道駅の耐震補強の推進」に関する国土交通省通達により、高架橋等の土木構造物に加え、駅舎やホームの屋根等の建築物についても耐震補強を行うことが規定された。この通達に基づき、緊急的に耐震の確保が必要な駅施設の耐震補強工事を行う他、その他の駅施設についても順次実施する。 4 施設設備の点検および安全性の確保 (1)火気使用設備等の点検および地震時の安全性の確保 ア 震災に対する事前措置のため各駅区の防火管理者は、随時次により点検検査を実施し、必要と認めたときは速やかに改修、補強整備する。 ・建物にとりつけられた工作物の落下防止 ・避難通路の物品の放置ならびに転倒落下物の有無 ・火気使用設備器具等の自動消火装置の良否および周囲に転倒落下するおそれのある物品の存否についての点検 ・危険物の転倒落下防止策ならびに保管状況の良否 イ 火気使用設備器具は各駅区とも防火管理者が随時点検整備する。 (2)電気施設の点検および地震時の安全確保 感電、漏電防止策については、地震時に高圧配電線が断線し、人が触れたりまたは大地に接触したときは、接地継電器が作動して自動遮断し警報する。電車線が断線して列車等に接触した場合は、しゃ断器が自動遮断し警報する。 地震がおさまり再送電するときは、関係方面と緊密に連絡をとり、安全を確かめたうえで送電する。 高圧配電線および電車線は緊急停止要請により送電を停止する。 (3)消火設備等の点検および耐震性の確保 各駅区には、消火器、簡易消火用具を備え付け、各防火管理者が毎月1回点検整備する。車両にあっては、各車両ごとに消火器を備え付け、係員が3ヶ月に1回点検する。ただし屋内に消火栓、自動火災報知器設備がある駅区では、各設備の破損、変形の有無その他主として外観的事項に関する点検を6ヶ月に1回、作動試験、性能試験、その他主として機能的事項に関する点検は1年に1回、指定業者が点検し必要に応じ改修補強整備する。 (4)情報通信網の点検および耐震性の確保 交換設備については、支持装置について定期的に点検整備を行う。また通信線路については、地上線路化を推進する。 (5)車両等の非常停止装置等の設置 ア 車両等の非常停止装置 列車無線電話装置は全線、防護無線装置は、東横線、新横浜線、目黒線、大井町線、田園都市線、池上線、多摩川線、世田谷線(軌道線)車両には、管区との間に電車無線が整備され使用中である。 イ 運行車両の緊急措置要領 ・駅における非常列車停止装置として、ホーム非常停止ボタンの設置が必要な80駅すべてのホームに設置している。(目黒線、こどもの国線、世田谷線を除く) ・踏切道に特殊信号発光機を設置し、非常ボタンの操作および障害物検知装置の検知があった時に作動し運転士に異常を知らせる。(ATCと連動の東横線、目黒線、大井町線、こどもの国線では接近列車を自動減速する) ・列車無線電話設置車両は運輸司令が列車無線電話で列車停止を指示する。 ・防護無線装置設置車両は、周囲の車両を停止させる必要があるときに列車から警報信号を発報操作する。警報信号を受報した車両は、ただちに停止手配を執る。 京浜急行電鉄 1 計画の目的 地震災害による旅客の安全確保はもちろんのこと、鉄道施設の被害を最小限にくい止め、さらに迅速・的確に復旧作業にあたり公共交通機関としての責任を果たすことを目的とした。 2 路線の概況 当社の鉄道路線は、本線、空港線、大師線、逗子線、久里浜線の5路線からなり営業キロ程は87.0kmである。このうち品川区内の営業キロ程は4.4kmであり、駅は北品川、新馬場、青物横丁、鮫洲、立会川、大森海岸の6駅で、北品川駅を除く5駅は高架駅となっている。 3 各設備の点検整備 各設備の点検整備は次のとおりである。 (1)建築物および工作物の点検整備 これまで高架橋および駅施設の耐震化を進めており、今後も計画的に取組むことにより、人災を未然に防ぎ、震災時における輸送力の確保へと繋げていく。また、土構造物、高架橋・橋梁、抗土圧構造物、トンネルの通常全般検査を確実な検査サイクルで実施し、変状の早期発見と迅速な補修措置によるパッケージングで安全を図っていく。 (2)火気使用設備の点検整備 火気使用設備の点検整備に関しては、「火災ならびに災害防止規則」(京急達第127号)により点検整備を実施する。 (3)電気施設の点検整備 電気施設の点検整備に関しては、感電防止対策およびに漏電防止対策を実施する。 (4)消火設備の点検整備 駅および車両に係る消火設備は「火災ならびに災害防止規則」により実施する。 (5)避難設備および放送設備の点検整備 高架線上での地上誘導設備および放送設備の点検整備を図る。 (6)通信施設の整備 通信施設の整備は、有線電話不能時を想定し、本社、総合司令所および主要駅区所に設置してある無線装置を使用し情報連絡を確保する。 4 列車の緊急停止対策 全車両に列車無線が整備されており、地震が発生し、列車運行に支障があると認めたときは、列車無線により全列車の緊急停止措置をとる。 5 防災教育および訓練計画 (1)職員に対し防災に関する教育等を実施して防災意識の向上を図る。 (2)防災訓練、鉄道事故復旧訓練等を実施する。 6 旅客に対する広報計画 地震発生時における旅客の混乱防止を図るため、駅または車内での放送、ポスター・広報紙等を活用し防災意識の高揚を図る。 7 災害用資機材・用品の備蓄計画 災害発生時に備え、各部において復旧資機材を確保し、その他必要な用品についても備蓄を行う。 東 京 モ ノ レ ー ル 1 計画の目的   施設の安全性をさらに高めるための耐震対策を行い、利用者の安全確保に加え、運行の早期再開を図る。 2 施設の現況   当社は、昭和39年9月に都心と羽田空港を結ぶ空港アクセス鉄道として開業し、現在営業キロ17.8km、11駅を有している。このうち品川区内は、営業キロ4.0km、駅は天王洲アイル駅および大井競馬場前駅の高架駅2駅である。 3 施設の耐震性   鉄道駅の耐震補強に関する国土交通省通達に基づき、高架橋等の土木構造物および駅舎等の建築物について耐震補強を順次実施している。 東京臨海高速鉄道 1 計画の目的 大規模地震に対して、施設の安全性を高めるための耐震対策を行い、利用者の安全確保を図る。 2 施設の状況 当社は新木場駅から東京テレポート駅を経由し大崎駅を結ぶ、営業キロ12.2kmの路線であり、大崎駅よりJR埼京線と相互直通している。総駅数は8駅であり、このうち大崎駅についてはJR東日本に管理を委託している。 品川区内にある当社管理の駅は天王洲アイル駅、品川シーサイド駅、大井町駅の3駅であり、すべて地下駅である。 3 施設の耐震性 国の省令に基づく耐震対策はすべて完了しており、現在は国の通達に基づく耐震対策を高架区間(品川区外)において順次実施している。 ? 第3 河川・港湾 ○高潮防御施設整備事業、中小河川改修事業(護岸改修、調節池工事等)を進めてきた。 ○区は、河川管理施設等を良好な状態に保つため、維持管理に努める。 1 河川 (1)目黒川 目黒川は、河口から鈴懸歩道橋までの約2.0kmを高潮防御施設整備事業、その上流約5.4km(そのうち品川区内は約1.7km)を中小河川改修事業として整備を進めてきた。 ア 高潮防御施設整備事業 伊勢湾台風級の高潮に対処できる防潮堤の建設は、現在概ね完了している。 イ 中小河川改修事業 (ア)護岸改修 1時間あたり50mm降雨に対処する護岸の建設は、現在概ね完了している。残事業は、河積確保のための五反田大橋の取付護岸改修である。 (イ)目黒川荏原調節池 @ 当調節池は、1時間あたり75mm降雨への対処も視野に入れた地下4層式、最大貯留量約20万m3の施設で、その上部には、中高層の公営住宅等の施設が建設された。 A 調節池工事は、平成3年度に着工し、途中、完成した層から段階的に供用を開始し、平成13年度より全面稼動となっている。 (2)立会川 立会川は、月見橋から上流については下水道立会川幹線として暗渠化されており、その下流部756mの開渠部は、高潮防御施設整備事業として進めてきた。 ア 高潮防御施設整備事業 伊勢湾台風級の高潮に対処できる防潮堤の建設は、昭和55・56年度に河口部の50mを整備している。 (3)河川管理施設の維持等 水防法および河川法で定められた河川管理施設等を良好な状態に保つための維持、修繕に関する基準に留意し、維持管理に努める。 ? 2 港湾 都では、昭和35年から海岸保全施設の建設を計画し、対象区域を東京港全体に広げて建設工事を実施している。また、防潮ラインの内側についても耐震性を考慮した内部護岸の整備を進めている。 区内の水門施設は以下のとおりである。 (1)天王洲水門 ・門扉型式       単葉ローラーゲート ・有効幅員       12m×2連 ・上空制限高(A.P.)    +5.8m ・竣工年度       昭和47年度 ・耐震改修年度     平成28年度 (2)目黒川水門 ・門扉型式       単葉ローラーゲート ・有効幅員       12m×2連 ・上空制限高(A.P.)  +5.8m ・竣工年度       昭和47年度 ・耐震改修年度     平成26年度 3 法定外公共物 @ 品川区における法定外公共物は総延長約10,252mあり、そのうち公共溝渠としての機能が残っている箇所は、宅地内排水等が接続されている一部の箇所である。 A?公共下水普及率100%(概成)となっている現在、家屋の建替え等にあわせ改善の指導を行い、通路化の必要なものについては順次実施していく。 資料28 浸水対策箇所図 ? 対策2 緊急輸送ネットワーク 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・緊急輸送ネットワークの整備 区 ・緊急輸送ネットワークの拠点の指定 【具体的な取組】 第1 緊急輸送ネットワーク ○震災時に果たすべき輸送路の機能に応じて、緊急輸送ネットワークを整備するとともに、輸送路の複線化を図るため陸・海・空・水上・地下にわたる輸送ネットワークを整備推進する。 ○緊急啓開道路の確保や水上輸送の円滑化に向けた対策を進める 1 区・都の緊急輸送ネットワーク @ 緊急輸送ネットワークは指定拠点と他県および指定拠点相互間を結ぶ。 A 震災時に果たすべき輸送路の機能に応じて、第一次(区市町村、他県との連絡)、第二次(主要初動対応機関との連絡)、第三次(緊急物資輸送拠点との連絡)の緊急輸送ネットワークを整備する。 ・第一次緊急輸送ネットワーク 応急対策の中枢を担う都本庁舎、立川地域防災センター、区市町村庁舎、輸送路管理機関および重要港湾、空港等を連絡する輸送路 ・第二次緊急輸送ネットワーク 第一次緊急輸送路と放送機関、自衛隊や警察・消防・医療機関等の主要初動対応機関、ライフライン機関、ヘリコプター災害時臨時離着陸場候補地等を連絡する輸送路 ・第三次緊急輸送ネットワーク トラックターミナルや駅等の広域輸送拠点、備蓄倉庫と区市町村の地域内輸送拠点等を連絡する輸送路 B 輸送路の多ルート化を図るため、陸・海・空・水上・地下にわたる輸送ネットワークを整備する。 C 緊急輸送の実効性を担保するため、交通規制を実施する「緊急自動車専用路」、「緊急交通路」および道路障害物の除去や応急補修を優先的に行う「緊急道路障害物除去路線」との整合を図る。 2 緊急啓開道路 @?震災時、道路に看板や電柱等の倒壊など障害物が散乱することが予想され、その場合、被災者の救出救助活動、応急物資の輸送に支障が生じるおそれがある。このため、都および区では緊急輸送路を確保するため緊急啓開道路を選定しており、震災時各道路管理者は、この選定道路における障害物の除去および亀裂等の応急補修を優先的に行うものとする。 A 緊急啓開道路の啓開に必要なバックホウ、積載型トラッククレーン車、ブルドーザー等の重機および作業員の確保について、民間事業者と協定の締結等により事前に確保しておく。 B 緊急啓開道路路線の選定基準を以下に示す。 図表2-38 緊急啓開道路路線の選定基準 機関名 選  定  基  準 都 原則として、都建設局第二建設事務所管理道路のうち下記(1)〜(3)にあたるもの (1)緊急交通路等の交通規制を行う路線 (2)緊急輸送ネットワークの路線(緊急輸送道路) (3)避難場所に接続する応急対策活動のための道路の路線 区 (1)広域避難場所に接続する応急対策活動のための道路の路線 (2)都の緊急啓開道路と備蓄倉庫を結ぶ路線 (3)荏原地区における応急対策活動のための横断道路の路線 資料29 区内緊急道路啓開網および備蓄倉庫位置図 3 水上輸送 @ 震災時の緊急輸送ネットワークについては、道路輸送が中心となるが、水上輸送についても充分な活用が必要である。 A 都は、海上輸送基地が広域輸送基地として活用できるよう必要な機能を整備するとともに水上輸送基地についても必要な整備を図る。 B 区は、区が管理する船着場の防災上の活用を推進するとともに、区内の船着場について防災上の活用に向けた総合的な調整を図る。 C 区が管理する船着場を、災害時は防災船着場として水上輸送の拠点として供用するとともに、平常時は舟運事業や観光事業等に活用して船着場の場所を認識してもらい、災害時に防災船着場と各施設の円滑な移動や避難等の実現を図る。 D 区は、災害時における施設等の被害状況把握や船舶確保等の運用体制を構築し、訓練等により水上輸送の活用の実効性を確保する。 ? 対策3 ライフライン対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・避難所等、災害時の拠点となる施設等における自立・分散型電源等の確保 東京電力 パワーグリッド ・施設の耐震化、観測、通信設備の整備 東京ガス グループ ・製造施設、供給施設、通信施設、その他の安全設備の安全化対策 都水道局 ・施設の耐震化およびバックアップ機能等の強化 都下水道局 ・管きょの耐震化、既存施設の耐震化、設備の震災対策 NTT東日本 ・通信用建物、鉄塔、所内設備の耐震対策 ・予備電源設備の強化 ・通信網の信頼性向上 ・ネットワークシステムの監視・措置機 ・災害時の輻輳対策 ・開発計画等 ケーブルテレビ 品川 ・地上波テレビ・品川区民チャンネル等のTV放送の供給および、インターネット・電話などの通信サービスの提供に用いる基幹設備・伝送路等の安定運営の確保 ? 【具体的な取組】 第1 水道 ○都水道局は、水道施設の耐震化や耐震継手管への取替えの推進を図るとともに、バックアップ機能等を強化する。 関係機関の取組み内容は以下のとおりである。 図表2-39 機関別の取組み内容 機関名 現況、点検、整備計画等 都水道局 1 基本計画 水道施設の耐震化や耐震継手管への取替えの推進を図るとともに、バックアップ機能等を強化する。 2 現況 (1)応急給水槽・給水所等施設 所  在  地 確保水量 応急給水槽 豊町2-1 戸越公園 内 1,500m3 八潮5-6 しおじ公園内 1,500m3 東品川3-27 都立八潮高校内 100m3 目黒区下目黒5-37 都立林試 の森公園内 1,500m3 (2)配水管(令和5年3月31日現在) 配水本管 (口径400mm以上) 58km 配水小管 (口径50〜350mm) 534km 計 592k m 3 取組内容 (1)水道施設の耐震化の着実な推進 震災時における水道施設の被害を最小限にとどめ、給水を可能な限り確保するため、これら浄水場等の耐震化について、それぞれの重要度や更新時期等に配慮しながら、計画的に進めていく。 (2)耐震継手管への取替えを実施 より効果的に震災時の断水被害を軽減できるよう、重要施設への供給ルートの耐震継手化を令和4年度末までに完了させた。その後、地域全体の断水率を軽減するため、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域の耐震継手化を重点的に進め、令和10年度までに解消していく。 (3)バックアップ機能のさらなる強化 震災等で浄水場等の機能が停止しても可能な限り給水できるよう、浄水場と給水所との間や各給水所を結ぶ広域的な送配水管のネットワーク化を進めていくとともに、導水施設など特に重要な幹線については二重化を進めるなど、水道施設全体のより一層のバックアップ機能の強化を図っていく。 (4)自家用発電設備の新設・増強整備による電力の自立化 大規模停電時など、不測の事態が生じた場合でも安定給水を実現するため、浄水場等に自家用発電設備を新設・増強して電力の自立化を推進し、浄水処理および送配水ポンプ等の運転が継続できるように電源の確保を図っていく。 都水道局 ? 第2 下水道 〇都下水道局では震災時の下水道機能や交通機能を確保するため、避難所などから排水を受け入れる下水道管を対象にマンホールとの接続部の耐震化などを実施してきた。また 、交通機能を確保するため 、液状化の危険性が高い地域の緊急輸送道路などを対象にマンホールの浮上抑制対策を実施してきた 。 〇無電柱化している道路や一時滞在施設などを対象に追加し、下水道管とマンホールの接続部の耐震化およびマンホールの浮上抑制対策を推進する。 関係機関の取組み内容は以下のとおりである。 図表2-40 機関別の取組み内容 機関名 現況、点検、整備計画等 都下水道局 都下水道局 1 下水道施設の安全化推進 大規模な地震が発生した場合でも、下水道機能を確保するとともに、避難時の安全性やトイレ機能を確保するため、震災対策を推進する。 2 現況(令和5年3月31日現在) (1)区内管きょ延長        454,640m 幹 線  38,677m 枝 線 415,963m (2)ポンプ所       7箇所 ア 品川ふ頭ポンプ所(品川区東品川5-8-17) 汚水ポンプ     200mmφ−2台 150mmφ−1台 計画排水量(汚水) 0.306m3/秒 イ 天王洲ポンプ所(品川区東品川2-1-17) 汚水ポンプ     200mmφ−3台 計画排水量(汚水)  0.067m3/秒 ウ 東品川ポンプ所(品川区東品川3-9) 雨水ポンプ    1,500mmφ−5台 計画排水量(雨水)  20.8m3/秒 エ 鮫洲ポンプ所(品川区東大井1-13-14) 汚水ポンプ     450mmφ−4台 雨水ポンプ    1,500oφ−4台 計画排水量(汚水)  1.036m3/秒 計画排水量(雨水) 15.943m3/秒 オ 八潮ポンプ所(品川区八潮5-7-6) 汚水ポンプ     500mmφ−4台 計画排水量(汚水) 1.425m3/秒 カ 勝島ポンプ所(品川区勝島1-4) 汚水ポンプ     600mmφ−3台 雨水ポンプ    1,500mmφ−5台 計画排水量(雨天時汚水)1.653m3/秒 計画排水量(雨水)   24.444m3/秒 3 事業計画 (1)管きょの耐震化 避難所や災害拠点病院などトイレ機能を確保するため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管を対象に、マンホールとの接続部の耐震化やマンホールの浮上抑制対策をこれまでの対象施設の9割で完了している。さらに、一時滞在施設や災害拠点連携病院等から排水を受け入れる下水道管を対象に追加し、マンホールとの接続部の耐震化およびマンホールの浮上抑制対策等を推進する。 震災時に緊急車両が通行する無電柱化している道路や区が指定している緊急道路障害物除去路線等を対象道路に追加し、液状化によるマンホールの浮上抑制対策等を推進する。 地区内残留地区において、下水道管とマンホールの接続部の耐震化およびマンホールの浮上抑制対策等を推進する。 (2)施設の耐震化 想定される最大級の地震動に対し、揚水、簡易処理、消毒等、震災時においても必ず確保すべき機能を担う施設の耐震化を実施する。 (3)設備の震災対策 電力の供給が途絶えた場合でも雨水の排除機能等が維持できるように非常用発電機を設置しているほか、震災時にも施設の安定的な運転を確保するため、電源や燃料の多様化を推進する。 (4)下水道事業(雨水対策) 内水の対策については、平成22年度末に下水道第二立会川幹線中流部が完成し、暫定貯留管(34,500t)として利用中である。今後ポンプ所への接続管きょ、立会川雨水放流管等の整備により、立会川沿岸の浸水被害の軽減に向けた対策を推進し、1時間50mmの大雨に対処する計画である。 暗渠部の構造は「道路土工擁壁カルバート架設構造物工指針(日本道路協会)」により施工されており、防災上の安全性は確保されているが、車道については6tの荷重制限をしている。 ? 第3 電気・ガス・通信等 〇区は、災害時の大規模停電に備え、区民避難所等、災害時の拠点となる施設等における自立・分散型電源等の確保を推進する。 ○東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本、日本郵便、ケーブルテレビ品川は現況、整備計画等を示すとともに、これを推進する。 ○地震による施設被害を最小限にするため、施設および設備は防災設計(耐震、耐火、耐水設計等)とするとともに、万が一被災した場合においても、業務の継続、早期の施設復旧ができるよう対策を推進する。 関係機関の取組み内容は以下のとおりである。 図表2-41 機関別の取組み内容 機関名 現況、点検、整備計画等 区 1 施設の現況   庁舎および区民避難所には、停電時、自動起動し72時間稼働する非常用発電機を設置している。 2 非常用電源整備 (1)区民避難所をはじめとした区有施設の他、区内の鉄道駅に、被災者の重要な情報収集手段であるスマートフォン等を充電するため、蓄電池等の配備を進めていく。 (2)災害時地域拠点として管内の被害状況の調査、情報収集、救援、応急復旧活動等の拠点となる区内13箇所の地域センターに、一定程度の電力を確保し、機能停止することのないよう対策を進めて行く。 (3)事業者と給電用車両の提供に関する災害時協力協定を締結し、非常用電源の確保を推進していく。 東 京 電 力 パ ワ ー グ リ ッ ド 1 現況 品川支社受け持ち区域(品川区、目黒区、大田区)には電力を供給するための送電線、変電所、配電線等の電力流通設備が施設されている。 品川支社の施設状況は下記のとおりとなっている。 (令和5年3月末現在) 項   目 数  量 変電所(配電塔含む) 74箇所 品川区17箇所(再掲) 送電線 延長(地中 ) 680km 66kV〜275kV送電線 電柱 57千基 品川区14千基(再掲) 配電線延長(架空) 6,450km 配電線 延長(地中) 1,666km 2 施設の耐震設計方針 (1)地震に対しては充分な科学的解析を行い、さらに過去の地震等の経験を活かして万全の設計を行っており、配電柱は電気設備の技術基準に規定されている風圧荷重が地震動による荷重を上回るため、これにより設計する。 (2)地盤軟弱地域の支持物には前項設計方針のほか、さらに根伽の補強等を重点的に実施する。 (3)避難道路の配電設備に対する巡視、点検の強化を図り設備の維持管理に努める。 3 観測、通信設備の整備 (1)ラジオ、テレビ等の気象情報に加え、社外からの各種気象情報を把握し、適切な復旧対策が遂行できるよう整備を図っている。 (2)局地的情報連絡を補完する意味から車載型無線設備、携帯用無線設備を保有しており、さらに災害規模により、これら無線設備の補充を必要とする場合には、他エリアの保有分の使用も可能な体制とする。 東 京 ガ ス グ ル ー プ 1 施設の現況 ガスを供給する主要施設は、製造施設である基地が4箇所(令和元年8月現在)、ガスホルダーのある整圧所が12箇所(令和元年8月現在)と、導管(総延長63,189q(令和5年3月末現在))からなる。 2 施設の安全化対策 設備、施設の設計は、ガス事業法、消防法、建築基準法、道路法等の諸法規ならびに一般社団法人建築学会、公益社団法人土木学会の諸基準および一般社団法人日本瓦斯協会基準に基づいている。 施 名 安全化対策 製造施設 1 施設の重要度分類に基づき、それぞれのクラスに応じた設 計法を適用し、耐震性の向上および安全性を確保する。 2 緊急遮断弁、防消火設備、防液堤の設置、保安用電力の確保等の整備を行い二次災害の防止を図る。 供給施設 1 新設設備は、ガス工作物の技術上の基準等に基づき耐震性を考慮した設計とし、既設設備は必要に応じて補強を行う。 2 二次災害の発生を防止するため、ガスホルダーや地区ガバナには緊急遮断装置を設置し、地震の大きさや被害の程度等から供給停止判断を行い、速やかに、導管網ブロックの供給停止判断を行う。 (1)導管網ブロック化 震災時に被災地区の供給停止による二次災害の防止と、被害のない地区への供給確保により早期復旧を図るため、供給区域をブロック化している。 ア 低圧導管網の地区ブロック化(Lブロック化) 局地的地震被害の発生に対し、供給停止地区と供給継続地区に分割できるよう、低圧導管網を300以上のブロックに分割している。 なお、ガスの圧力を中圧から低圧に減圧する装置(地区ガバナ)には構造物の被害との相関の高いSI値を計測するセンサーを設置している。 さらに、必要に応じてこれらの地区ガバナを遠隔遮断することのできる防災システムを整備している。 イ 中圧導管網の地域ブロック化(Kブロック化) 中圧導管網は阪神・淡路大震災レベルの地震においても被害が軽微となるよう高い耐震性を持たせており、供給停止する可能性は極めて低いものと考えられるが、万が一の場合への備えとして、全供給区域を25以上のブロックに分割し、中圧導管網上に遠隔操作可能な緊急遮断バルブを設置している。 東 京 ガ ス グ ル ー プ (2)放散塔の設置 地震時のガスによる二次災害を防止するため、導管内のガスを安全に大気中に放散する設備(放散塔)などを、基地・整圧所・幹線ステーション等に設置している。 通信施設 1 ループ化された固定無線回線の整備 2 可搬型無線回線の整備 その他の 安全設備 1 地震計の設置 地震発生時、各地の地震動が把握できるよう基地・整圧所・幹線ステーションに地震計を設置するとともに、地区ガバナには感震遮断装置と遠隔遮断装置を設置している。 2 安全装置付ガスメーターの設置 二次災害を防止するため、震度5程度の地震時にガスを遮断するマイコンメーターを設置している。 3 整備計画 (1)製造所、製圧所設備 ア 重要度および災害危険度の大きい設備の耐震性はもともと高く設計されているとともに、必要に応じて耐震性を向上させ、適切な維持管理を行う。 イ 防消火設備、保安用電力等を維持管理し、二次災害防止を図る。 (2)供給施設 ア 導管を高圧・中圧・低圧に区分し、それぞれの状態に応じた最適な材料、継手構造等を採用し、耐震性の向上を図る。 イ すべての地区ガバナにSIセンサーを設置し、揺れの大きさ(SI値)・ガスの圧力・流量を常時モニタリングする。この情報を解析し、高密度に被害推定を行い、必要な場合に遠隔遮断制御により、当該ブロックの供給停止を行う。 NTT東日本 1 計画目標 震災時の応急対策を円滑に実施し、またパニックの発生を防止するには、迅速かつ的確な情報の伝達を図る必要がある。 震災による通信施設の被害を最小限に防止するため、通信設備および付帯設備の防災設計(耐震・耐火・耐水設計等)を実施するとともに、通信施設が被災した場合においても、応急通信が確保できるよう通信設備の整備を行う。 2 事業計画 災害時において通信を確保するため、次の諸施策を計画・実施中である。 (1)通信用建物、鉄塔、所内設備の耐震対策 独自の構造設計指針により、耐震設計の実施、二重床、キャビネットによる機械室設備の固定実施および建物内の情報システムや端末耐震対策を実施する。 (2)予備電源設備の強化 バッテリー、予備電源エンジンの耐震強化および移動電源車の配備を図る。 (3)通信網の信頼性向上 ア 光ファイバー網のループ化と伝送路自動切替えおよび、ループ化または伝送路の2ルート化による自動切替えの整備を図る。 イ 交換機からの伝送回線は複数ビルに分散設定し、通信途絶を防止する。 ウ 通信ケーブルの地中化を計画的に推進する。 エ 行政機関、警察、消防等防災上重要な通信を確保するため、加入ケーブルの2ルート化および異ケーブルへの分散収容を図る。 (4)ネットワークシステムの監視・措置機能 NTT−MEネットワーク事業本部において、24時間監視・措置体制を行っている。 (5)災害時の輻輳対策 地震、噴火等の災害の発生により、被災地へ向かう安否確認のため通話等が増加し、被災地へ向けての通話がつながりにくい状況になっている場合に、個人の安否確認手段として、災害用伝言ダイヤル(171)およびWeb171の提供を開始する。 (6)開発計画等 ア 通信衛星を活用する衛星通信システムの開発 イ 通信施設の信頼性対策の充実 ? 機関名 現況、点検、整備計画等 ケ ー ブ ル テ レ ビ 品 川 1 現況 品川区総世帯の約8割の世帯(ケーブルテレビ品川集計)に対して、ケーブルテレビ回線を接続し、NHK、在京民放、品川区民チャンネルの地上テレビ放送を配信している。有料加入者に対しては、多チャンネル放送サービス(BS放送を含む)、インターネット接続、電話、緊急地震速報等のサービスを提供している。 品川区関連施設に対しても緊急地震速報を提供しており、一部施設においては館内放送にも連携している。 また、区とケーブルテレビ品川とで締結した相互協定に基づき、品川区民チャンネルによる緊急放送を通じて、情報の提供を行う。 これらのサービスを提供するため、光ハイブリッド方式伝送路、光ファイバー伝送路が区内に敷設されている。 <ケーブルテレビ品川の施設概要(令和5年9月末現在> 本社 戸越 テレビ再送信設備・品川区民チャンネル制作/放送設備・電気通信事業用設備 光ハイブリッド方式伝送路 総延長 約488km (同給電設備  140箇所) FTTH伝送路 総延長 約94km 接続世帯数 約19万世帯 緊急地震速報提供 品川区施設 173箇所(うち館内放送連携 88箇所) 2 伝送路の冗長性および設計方針 (1)光ハイブリッド方式伝送路および光ファイバー伝送路は、ループ構成の路線設計を行い、冗長性を高めた設計としている。 (2)電柱への伝送路の添架については、「有線電気通信設備令・同施行規則」に基づき、設計・工事を行っている。 (3)東京電力柱・NTT柱への共架申請にあたっては、電線施設の共架技術基準等に則り、両社の指導のもとで、設計、工事を行っている。 3 設備遠隔監視・区との連絡設備等の整備 (1)伝送路設備は本社で遠隔監視を行っており、迅速に状況を把握し、適切な復旧対策ができるよう整備を図っている。 (2)品川区と本社間は、光ファイバー回線による連絡および災害放送回線の2重化を図り、また区から貸与されている防災無線機による連絡体制を構築している。 (3)伝送路設備に対する巡視、点検の強化を図り設備の維持管理に努める。 各通信業者 1 施設の安全化対策 電気通信設備および附帯設備の防災設計(耐震・耐火・耐水設計等)を実施するとともに、通信施設が被災した場合においても、応急の通信が確保できるよう通信設備の整備を行う。 事項 安全化対策 電気通信設備 1 電気通信設備等の高信頼化 次のとおり電気通信設備と、その附帯設備(建物を含む。以下「電気通信設備等」という。)の防災設計を実施する。 (1)豪雨、洪水、高潮または津波等のおそれがある地域にある電気通信設備等について、耐水構造化を実施 (2)暴風または豪雪のおそれのある地域にある電気通信設備等について、耐風または耐雪構造化を実施 (3)地震または火災に備えて、主要な電気通信設備等について耐震および耐火構造化を実施 電気通信システム 1 電気通信システムの高信頼化 災害が発生した場合においても通信を確保するため、次の各項に基づき通信網を整備する。 (1)主要な伝送路を多ルート構成またはループ構成とする。 (2)主要な中継交換機を分散設置 (3)大都市において、とう道(共同溝を含む。)網を構築 (4)通信ケーブルの地中化を推進 (5)主要な電気通信設備について、必要な予備電源(移動電源車配備、燃料確保/供給オペレーション等)を確保 (6)重要加入者については、当該加入者との協議により加入者系伝送路の信頼性を確保するため、2ルート化を推進 2 基地局における通信確保等 (1)区役所等災害対策拠点、医療機関、人口密集地等の重要エリアの通信を確保するために、基地局等において、非常用発電機による無停電化やバッテリー長時間化に取組む。 (2)避難者や帰宅困難者が多く発生する可能性のある地域での通信確保等、柔軟で迅速なサービス復旧を行うため、移動基地局車、可搬型基地局、移動電源車等を配備する。 ? 対策4 公共建造物対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・消防水利等の設備充実 ・防災計画の立案 ・文化財の保全 【具体的な取組】 第1 公共建造物 ○区は、避難所、区有施設等の公共施設を対象とし、災害時における被害を最小限にとどめるための対策(消防水利等の設備充実、防災計画の立案等)を進める。 1 区立幼稚園・区立学校 (1)災害予防体制 @ 区立幼稚園・区立学校は、耐火建築物となっており、耐火面の予防措置については特に考慮するものはない。 A 漏電その他による火災を早期に探知し最小限の被害にとどめるための設備として自動火災報知設備や消火器を設置している。 B 火災発生の場合の消火水利としてプールや屋内消火栓を設置している。 C 火災発生時の緊急避難のための設備として救助袋を設置している。 D 電気設備が使用不能となった場合、給水が不能となった場合の措置については綿密な計画を樹立しておくものとする。 E 学校施設は一時集合場所および避難所に充てられることになるが、校具教材等の散失を防ぐための予防措置については綿密な計画をたてておくものとする。 F?品川区立学校施設長寿命化計画に基づき、学校施設の改築や改修を進めるとともに、品川区公共施設等総合計画に基づき、定期的な点検等により適切な維持管理を推進し、修繕・更新等を実施する。 2 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館 (1)災害予防体制 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館については、耐火建築物となっており、耐火面の予防措置については特に考慮するものはないが、公共施設等総合計画に基づき、公共施設の計画的な維持管理・修繕・更新等を実施する。 ア 災害時の応急計画立案 図書館長、文化センター館長、品川歴史館副館長、きゅりあん館長、品川区スポーツ協会事務局次長(以下「施設長」という)は立地条件等を考慮して、常に災害時の応急計画を樹立し自衛防災組織の結成をはかり職員がそれぞれの分担において防災活動を行い得るような明確な計画をたてておく。 イ 災害時における留意事項 職員は常に気象状況等に注意し、災害発生のおそれがある場合は、施設長の指揮に従い緊急事態に備えて次の事項を守ること。 ・会議、出張等を中止すること ・利用者の避難を中心とした災害時の事前、事後の処置方法を検討すること ・教育委員会、警察署、消防署等への連絡網の確認を行うこと ・勤務時間外において施設長は、所属職員の所在を確認し、非常招集の方法を定め職員に周知させておくこと ウ 器具の設置 @ 漏電その他による火災を探知もしくは早期処置により最小限の被害にとどめるための措置として火災報知機、火災感知器、消火器、誘導灯を設置している。 A 火災発生の場合の消火水利として消火栓を利用し得るよう設置している。 B 火災発生時の緊急避難のための設備として救助袋および緩降機を措置している。 3 区営住宅等 @ 区は、区営住宅等および従前居住者住宅において、定期的な点検により建物の劣化状況を把握しながら、品川区公営住宅等長寿命化計画に基づき、適切な時期に予防保全的な計画修繕工事を実施する。また、躯体や設備の耐久性を向上させ、長寿命化を図るための改善工事を実施する。 A?公営住宅法で定める耐用年限70年を迎える住宅については、順次建替え整備を行っていく。 4 文化財について 区内には別冊資料による区分の文化財が保存されている。区は、災害予防措置について関係機関と協力して指導・啓発を行う。また、災害発生時には被害状況を速やかに把握し、文化財の保全について、所有者および関係機関と連携して対応する。 資料30 文化財の区分 ? 第5章 災害対応体制 対策の基本的な考え方 大規模地震の発生や、強い台風の直撃等により区内に被害が発生した際には、発災直後の的確かつ迅速な初動対応が、多くの区民の生命・身体・財産を保護することにつながるとともに、被害の拡大防止および早期復旧を可能とする。このため、被害の状況に応じた機動的な対応や都、他地方自治体、自衛隊をはじめとした防災関係機関との迅速かつ円滑な連携ができる体制の強化や広域応援の調整が必要である。また、応援部隊が継続的に活動できる拠点施設等の確保も必要である。 ここでは、大規模な地震が発生した場合における活動体制、国や域外の自治体などとの広域的な連携および応援部隊の活動拠点の整備等について示す。 各対策の要点 対策1 職員活動体制 第1 災害対応体制の確立 ○区は、災害時における対応体制確立に向けて、災害対策本部体制の実効性を高めるとともに、本部運営訓練、非常参集訓練、現地実動訓練、図上訓練を定期的に実施することで、災害対応体制の充実・強化に努める。 第2 業務継続体制の確保 ○区は、災害時における庁舎や電気・通信機器の使用不能等により業務支障、人、物、情報が大幅な制約を受けた場合でも一定の業務を継続できるよう、策定した区業務継続計画に基づく対策を進める。また、必要に応じて計画を更新する。 対策2 関係機関との連携 第1 連携体制の確立 ○区は、防災区民組織、民間団体との間で、災害時連携の強化に向けた協力体制の充実を図る。 ○消防機関において、地震被害の態様に即した各種の計画等に基づく即応体制を確立する。 第2 広域連携体制の構築 ○区は、災害時における応急対策活動の万全を期するため、他の地方自治体との相互協力体制の充実を図り、広域連携体制を構築する。 対策3 応急活動拠点 第1 応急活動拠点の整備 ○災害時の応急活動に向け、オープンスペース(ヘリコプター活動拠点、大規模救出救助活動拠点等)の整備を進める。なお、「しながわ中央公園」を中核とした応急活動拠点を整備した。 ? 【用語の解説】 @BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画) 組織の被害を最低限に抑えることを目的とするほか、一刻も早く事業活動を再開し様々な物資やサービス等を提供すること。 A応急活動拠点 救助・救出、物資搬送等のヘリポート、災害廃棄物の仮置場、建設型応急住宅の建設地など、オープンスペースを応急的に活動の拠点としている場のこと。 B緊急消防援助隊 被災地の消防力のみでは対応困難な大規模災害に、区長、知事あるいは消防庁長官の要請により出動し、現地で災害救助活動を行う組織をいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 職員活動体制 対策2 関係機関との連携 対策3 応急活動拠点 対策1 職員活動体制 【各機関の役割】 機関名 役    割 区 ・災害対応体制の確立 ・業務継続体制の確保 【具体的な取組】 第1 災害対応体制の確立 ○区は、災害時における対応体制確立に向けて、災害対策本部体制の実効性を高めるとともに、本部運営訓練、非常参集訓練、現地実動訓練、図上訓練を定期的に実施することで、災害対応体制の充実・強化に努める。 1 災害対策本部の組織・運営 区は、区の地域に地震災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、法令、東京都地域防災計画、本計画の定めるところにより、各防災機関および他自治体等の協力を得て応急対策を実施する。 このため、必要があると認めたときは、品川区災害対策本部(以下「本部」という)を設置する。本部の組織および運営は、災害対策基本法、品川区災害対策本部条例(以下「本部条例」という)、品川区災害対策本部条例施行規則(以下「本部条例施行規則」という)の定めるところによる。 (1)本部の組織 ア 組織 本部の組織は、本部条例および本部条例施行規則に定めるところによる。 ? 図表2-42 災害対策本部の組織 本部長室 部 課(カッコ内は区組織) ≪本部長≫ 区長 ≪副本部長≫ 副区長 教育長 ≪危機管理監≫ 災害対策担当部長 ≪本部員≫ 指令情報部長 企画部長 総務部長 会計部長 区民支援部長 滞留者支援部長 避難対策部長 (補完避難所) 避難対策部長 (福祉避難所) 避難対策部長 (区民避難所) 保健衛生部長 建築住宅部長 土木部長 議会対策部長 ≪事務局≫ 指令情報部 指令情報部 (部長:災害対策担当部長) (副部長:選挙管理委員会事務局長、監査委員事務局長) 情報課・運用課・統制課・物資調整課(総務課、防災課、選挙管理委員会事務局、監査委員事務局、企画課) 企画部 (部長:企画部長) 財政課(財政課) 情報推進課(デジタル推進課) 施設整備課(施設整備課) 経理課(経理課) 生活再建課(税務課) 総務部 (部長:区長室長) 人事課(人事課、新庁舎整備課) 広報報道課(戦略広報課) 会計部 (部長:会計管理者) 会計管理室(会計管理室) 区民支援部 (部長:地域振興部長) 地域活動課(地域活動課、地域産業振興課) 管理課(戸籍住民課) 滞留者支援部 (部長:文化スポーツ振興部長) 滞留者支援課(文化観光戦略課、スポーツ推進課、人権・ジェンダー平等推進課) 避難対策部(補完避難所) (部長:子ども未来部長) 子ども支援課(子ども育成課(すまいるスクールを除く)、子育て応援課、児童相談課、保育入園調整課、保育施設運営課、子ども家庭支援センター) 避難対策部(福祉避難所) (部長:福祉部長) 福祉課(福祉計画課、障害者施策推進課、障害者支援課、高齢者福祉課、高齢者地域支援課、生活福祉課) 避難対策部(区民避難所) (部長:教育委員会事務局教育次長) 避難所対策課(庶務課、学務課、指導課、教育総合支援センター、品川図書館、国保医療年金課、子ども育成課(すまいるスクール)) <協力体制:小中学校・義務教育学校> 保健衛生部 (部長:健康推進部長) (副部長:品川区保健所長) 保健衛生課(健康課、地域医療連携課、生活衛生課、保健予防課) 保健救護課(品川保健センター、大井保健センター、荏原保健センター) 建築住宅部 (部長:都市環境部長) 都市復旧課(都市計画課、住宅課) 建築課(木密整備推進課、都市開発課、建築課) 廃棄物課(環境課、品川区清掃事務所) 土木部 (部長:防災まちづくり部長) 指揮課(地域交通政策課、土木管理課) 工作課(道路課、河川下水道課、公園課) 議会対策部 (部長:区議会事務局長) 議会対策課(区議会事務局) ? イ 部の編成および課等の事務分掌 部の編成および課等の事務分掌は災害初動対応マニュアルに定める。 2 本部職員の初動および活動態勢 (1)区の活動態勢 ア 責務 区の地域に地震・津波災害が発生し、または発生するおそれがある場合においては、区は第1次的防災機関として、法令、東京都地域防災計画、本計画の定めるところにより、他の区市町村、都および指定地方行政機関ならびに区域内の公共的団体および住民等の協力を得て、その有する全機能を発揮して災害応急対策の実施に努めるものとする。 イ 活動態勢の考え方 @ 区の責務を遂行するため必要があるときは、本部を設置し、災害対策に従事する職員を配置する。 A 区は、本部を設置し、または廃止したときは、ただちに、都にその旨を報告するとともに、警察署、消防署等の関係機関に通報する。 B 区は、本部に関する組織を整備し、本部の設置または廃止、非常事態に応ずる配備態勢、職員の配置および服務等に関する基準を定める。 C?区の地域に災害救助法が適用されたときは、区本部長は都本部長の指示を受けて、法に基づく救助事務を補助する。 D 区は、平常時から各課に防災担当職員を設置するなど検討し、体制を強化する。 E 区は、夜間休日等の勤務時間外の地震発生に備え、情報連絡体制を確保する。 (2)本部の非常配備態勢 災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、本部がとる非常配備態勢は次のとおりである。 ア 休日夜間宿日直における防災体制 (ア)目的 休日夜間等勤務時間外に災害等が発生し、または発生するおそれがある場合に対処するため、休日夜間宿日直を設置し、防災情報の収集連絡にあたっている。また、管理職による危機管理宿直制度を活用し、本部体制等が整うまでの初動対応にあたるなど、24時間即応可能な体制を整備する。 (イ)管理職宿直員の職務 管理職宿直員は、防災課長および総務課長の指揮監督のもとに警戒待機し、災害等が発生し、または発生するおそれがある場合は、職員の招集、情報の収集・伝達等を行う。 イ 本部の非常配備態勢の種類 災害発生時における本部の配備態勢および対象職員は、次のとおりとする。 (ア)地震発生による配備態勢 図表2-43 発生時の震度による配備態勢 震度 発生時間別配備態勢 広報等 勤務時間外(対象職員) 勤務時間内 震度3 情報収集態勢 ・防災課 ・総務課 ・戦略広報課 (自宅等における情報収集) 情報収集態勢 ・しなメール ・区公式SNS ・品川区民チャンネルテロップ 震度4 監視態勢 (被害状況によっては時間外配備態勢に移行する) ・防災課 ・総務課 ・戦略広報課 (その他の管理職職員・待機寮職員は自宅待機とする) 監視態勢 (被害状況によっては非常勤務態勢(5種態勢)に移行する) ・しなメール ・区公式SNS ・品川区民チャンネルテロップ 震度5弱・5強 時間外配備態勢 ※次の職員は指定場所に自動参集する。 ・管理職職員 ・監視態勢職員 ・待機寮職員 ・6q圏内居住職員 非常勤務態勢 (5種態勢) ・防災無線放送 ・しなメール ・区公式SNS ・品川区民チャンネルテロップ 震度6弱 以上 時間外配備態勢 (震度6弱以上) ※全職員が指定場所に自動参集する。 非常勤務態勢 (5種態勢) ? (イ)配備態勢の考え方 図表2-44 被災状況による配備態勢 態勢 被災状況 対応 情報収集態勢 監視態勢 ・被害はない ・情報収集 ・被災状況調査 時間外配備態勢 非常勤務態勢 (5種態勢) ・勤務時間外に震度5弱以上の地震が発生 (被害の発生が予想される) ・情報収集 ・被災状況調査 ・応急対応 ・災害拡大防止措置 資料31 時間外配備態勢動員対象地域 3 区の防災訓練 区は、地域における第1次的防災機関として災害対策活動を円滑に行うため、防災訓練に必要な組織および訓練実施方法等に関する計画を定め、平常時よりあらゆる機会をとらえ、訓練の実施に努める。 (1)参加機関 区、事業者、都、防災関係機関 (2)訓練項目 本部運営訓練、非常参集訓練、現地実動訓練、図上訓練 第2 業務継続体制の確保 ○区は、災害時における庁舎や電気・通信機器の使用不能等により業務支障、人、物、情報が大幅な制約を受けた場合でも一定の業務を継続できるよう、策定した区業務継続計画に基づく対策を進める。また、必要に応じて計画を更新する。 1 業務継続体制の確保 (1)事業継続に係る取組みの特徴 @ BCPとは、Business Continuity Planの略であり、災害発生時等に短時間で重要な機能を再開し、事業を継続するために事前に準備しておく対応方針を計画として作成するものであり、その内容としては、事業のバックアップのシステムやオフィスの確保、災害に即応した要員の確保、迅速な安否確認などが典型である。 A 事業継続の取組みは、以下の特徴をもっている。 ・事業に著しいダメージを与えかねない重大被害を想定すること。 ・災害後に活用できる資源に制限があると認識し、継続すべき重要業務を絞り込むこと。 ・各重要業務の担当ごとに、どのような被害が生じるとその重要業務の継続が危うくなるかを抽出して検討すること。 ・重要業務の継続に不可欠で、再調達や復旧の制約となりかねない重要な要素(ボトルネック)を洗い出し、重点的に対処すること。 ・重要業務の目標復旧時間を設定し、その達成に向け事前準備をすること。 ・指揮命令系統の維持、情報の発信・共有、災害時の経営判断の重要性など、危機管理や緊急時対応の要素を含んでいること。 (2)業務継続計画の策定・見直し @ 災害発生時には、避難所運営、災害復旧等に多くの区職員が従事し、その一方で、庁舎や電気・通信機器の使用不能等により業務に支障をきたすことによる、行政サービス機能の大幅な低下が想定される。 A 災害時に人、物、情報が大幅な制約を受けた場合でも、一定の業務を的確に行えるよう、品川区業務継続計画に基づき、その対策の事前準備を進める。 B 毎年の見直し・検討を行い、必要がある場合に修正等を実施する。 C?災害全般に係る業務継続計画以外に、ICT部門の業務継続計画(ICT-BCP)を策定しており、必要に応じ随時修正を実施していく。 D 業務継続計画の策定・見直しの際は、必要に応じて都の助言を得る。 (3)業務継続計画に基づく体制構築 @?業務継続体制を確保するため、必要な人員や資源の継続的な確保、受援体制の強化、定期的な教育、職員研修等を推進する。 A 業務継続計画に基づき、応急対策業務および優先業務を行う体制を整備する。 (4)災害対策本部の代替施設(施設概要、代替機能、設備) @?総合庁舎が障害あるいは業務集中により機能不全となる場合において、必要に応じて、災害対策本部室以外の災害対策本部設置についても検討する。 A 区役所の近隣で、災害対策本部機能の代替施設として、以下の2施設を候補とし、災害時優先電話や情報通信設備など必要な防災機能の向上を図る。 ・第1優先候補:中小企業センター ・第2優先候補:総合区民会館(きゅりあん) B 総合庁舎の移転改築と併せて、高い耐震性やライフラインのバックアップ機能を備えた新庁舎において、災害対策本部室、本部会議室、情報機器室に加え、応援職員や関係機関とのワークスペースなど必要諸室の整備、災害対策本部要員室の充実、ICTを活用し災害対策従事者が一同に集まらなくとも情報共有・活動ができる仕組みの導入検討など、災害対策本部機能の強化を図る。 <施設に必要な代替機能の例> ・災害対策本部支援室 ・非常用自家発電設備 ・災害情報システム ・固定系防災行政無線遠隔制御装置 ・地域系防災行政無線副統制台 ・東京都災害情報システム(DIS) ? 対策2 関係機関との連携 【各機関の役割】 機関名 役    割 警察機関 ・協力体制の強化 消防機関 ・協力体制の強化 区 ・防災区民組織、公的機関、民間団体等との連携強化 ・近隣区との協力体制の強化・充実、他の地方自治体との相互協力関係の強化 【具体的な取組】 第1 連携体制の確立 ○区は、防災区民組織、民間団体との間で、災害時連携の強化に向けた協力体制の充実を図る。 ○消防機関において、地震被害の態様に即した各種の計画等に基づく即応体制を確立する。 1 防災区民組織との協力 区は、区内の防災区民組織と相互の連絡を密にし、その機能を災害時に充分発揮できるよう協力体制の確立に努めるものとする。 本区においては各町会・自治会を単位とした防災区民組織が震災時には、その組織が中心となり防災関係機関と協力し区民の生命・身体および財産を災害から守るものとする。なお、協力業務としては下記のものが考えられる。 @ 異常現象、災害危険箇所等を発見した場合に、区その他関係機関に連絡すること。 A 災害に関する予警報その他情報を、区域内住民に伝達すること。情報は主に防災関係機関の出先より入手する。 B 震災時における広報・広聴活動に協力すること。 C 震災時における出火の防止、初期消火および人命救助に関し協力すること。 D 避難誘導、避難所の運営等被災者の救助業務に協力すること。 E 被災状況の調査に協力すること。 F 被災区域内の秩序維持に協力すること。 G 救助物資または被災者等の輸送に協力すること。 H 災害時における医療、助産活動に協力すること。 I 地域における避難行動要支援者の支援に協力すること。 J その他の災害応急対策業務に協力すること。 ? 2 公的機関および民間団体等との協力体制 区は、事業者等および公的機関と災害時における連携を図るため、災害時における各種の協力に関して定める協定を締結している。 災害時協定には、次のようなものがある。 @ 医療救護(医療等の応急救護活動、医薬品の提供) A 物資供給(水・食料、生活物資等の提供) B 緊急輸送(車両等の提供) C 避難者、帰宅困難者の受入(補完避難所、一時滞在施設の提供) D 災害広報(災害に係る各種広報の実施) E 施設等復旧関連(道路等の応急修理、路上障害物の除去等) F 役務提供(避難所運営補助、理容サービス等の提供) 資料32 品川区災害時協定一覧 3 区有施設指定管理者との協力体制 区は、区有施設の指定管理者との協力体制を構築するため、災害時の区との役割分担についてあらかじめ協定等で定める。なお、協定の内容は、以下の点に留意する。 @ 施設として果たすべき機能を明確に定める。(区民避難所、補完避難所、一時滞在施設等) A 区民避難所等の役割がある場合は、区との役割分担を明確に定める。 B 指定管理者が管理する施設を災害時に利用することによって、新たに必要となる費用や施設の通常利用ができないことによる利用料金収入の補填等の追加負担、また、不要となる費用の減額等の精算について、その方針や協議の方法(協議開始時期や手続、協議対象事項等)をあらかじめ定める。 4 警察機関との協力体制 区は、警察機関と災害時における連携を図るため、相互の連絡を密にし、その機能を災害時に充分発揮できるよう協力体制の確立に努めるものとする。 なお、業務としては、下記のものが考えられる。 @ 被害実態の把握および各種情報の収集に関すること。 A 被災者の救出救助および避難・誘導に関すること。 B 行方不明者等の捜索および調査に関すること。 C 遺体の調査等および検視に関すること。 D 交通の規制に関すること E 緊急通行(輸送)車両の標章および証明書の交付に関すること。 F 公共の安全と秩序の維持に関すること。 5 消防機関との協力体制 区は、消防機関と災害時における連携を図るため、相互の連絡を密にし、その機能を災害時に充分発揮できるよう協力体制の確立に努めるものとする。 なお、業務としては、下記のものが考えられる。 @ 火災およびその他災害の救助、救急情報に関すること。 A 火災およびその他の災害の予防、警戒および防御に関すること。 B 人命の救助および救急に関すること。 C 危険物施設および火気使用設備器具等の安全化のための規制指導に関すること。 D 防災意識の高揚および防災行動力の向上ならびに事業所の自主防災体制の指導育成に関すること。 E 応急救護知識技術の普及および自主救護能力の向上に関すること ? 第2 広域連携体制の構築 ○区は、災害時における応急対策活動の万全を期するため、他の地方自治体との相互協力体制の充実を図り、広域連携体制を構築する。 1 他の地方自治体との相互協力 区は、災害時における応急対策活動の万全を期するため、近隣区との協力体制の強化・充実を図るとともに、必要に応じ他の地方自治体との相互協力の協定を締結するものとする。 @?特別区は平成8年2月「特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定」を締結し、平成26年3月に改正しており、被災を免れた区、あるいは被災が軽微な区は災害を受けた区に対して、特別区支援対策本部を設置し、連携して支援にあたる。 A?区、目黒区、大田区、世田谷区および渋谷区は平成7年12月「災害時における城南5区相互応援協定」を締結し、被害の大きな区に対し、物資、職員、避難住民の受入等の支援にあたる。 B 区と神奈川県山北町および山梨県早川町は平成7年3月「災害時における相互援助に関する協定」を締結し、交流協定の精神に基づき災害時における応急対策および復旧対策の援助協力にあたる。 C?区と岩手県宮古市は、平成14年1月「災害時における相互援助に関する協定書」を締結し、被災区市に対し人的・物的な応援にあたる。 D?区と福島県双葉郡富岡町は、平成17年4月「災害時における相互援助に関する協定書」を締結し、被災区市に対し人的・物的な応援にあたる。 E 区と静岡県三島市他19市町は平成9年12月「東海道五十三次市区町災害時相互応援に関する協定書」を締結し、平成28年4月に改正しており、被災市区町に対し、人的・物的な応援にあたる。 F 区と鹿児島県鹿児島市他6市は平成26年11月「龍馬の絆で結ぶ災害時相互応援に関する協定」を締結し、被災市区町に対し、人的・物的な応援にあたる。 G?区と千葉県夷隅郡大多喜町は令和元年12月「災害時における相互援助に関する協定」を締結し、被災市区町に対し、人的・物的な応援にあたる。 H?区と都および都内区市町村は令和3年12月「東京都及び区市町村相互間の災害時等協力協定書」を締結し、被災または被災するおそれのある区市町村に対して連携して支援にあたる。 ? 対策3 応急活動拠点 【各機関の役割】 機関名 役    割 都 ・オープンスペース(ヘリコプター活動拠点、大規模救出救助活動拠点等)の 確保 ・ヘリサインの設置 区 ・震災時の応急対策活動が行えるような活動拠点やアクセス機能整備に係る 協力 ・ヘリコプター活動拠点の確保に係る協力 ・大規模救出救助活動拠点等に係る協力 【具体的な取組】 第1 応急活動拠点の整備 ○災害時の応急活動に向け、オープンスペース(ヘリコプター活動拠点、大規模救出救助活動拠点等)の整備を進める。なお、「しながわ中央公園」を中核とした応急活動拠点を整備した。 1 都と区の取組 @ 区は、災害時に、避難誘導、救出・救助、医療搬送、ボランティア参集、ライフライン復旧等の応急対策活動を迅速かつ効率的に行うことで、人命の保護と被害の軽減を図るとともに、その後の区民生活の再建と都市復興を円滑に進めることができる。なお、東京都震災対策条例では、事前にこれらの活動に供する土地および家屋の確保に努めることを定めている。 A 都は、都内の利用可能なオープンスペースを国および区ならびに関係機関と協議のうえ、把握し具体的な使用計画を策定する。 B 都は各応援部隊が被災者の救出救助等を行うためのオープンスペースを大規模救出救助拠点として指定しており、区では、大井ふ頭中央海浜公園、品川清掃工場、しながわ中央公園を候補地としている。 C?震災時の応急対策活動が円滑に行えるよう、活動拠点やアクセス機能の整備について、施設管理者が都および区の協力のもとに取組むとともに、都と施設管理者は、発災時の使用に係るマニュアル等を作成する。 D 区は、震災時の空地の利用は時間経過に応じてニーズが変化することから、事前に関係部署でニーズの共有と候補地の選定、活用方法を定めておく。 ? 2 ヘリコプター活動拠点の確保 @ 都は、迅速な救出・救助、消防活動、物資輸送等に資するためにヘリコプターの緊急離着陸場を国や区および関係機関と協議のうえ、あらかじめ確保する。 A?しながわ中央公園拡張整備完了に伴い、平成28年度に「しながわ中央公園」を緊急離着陸場に指定した。 B 医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場については、都が指定する災害時拠点病院からおおむね5km以内の陸路地点に医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場を都が指定する。 C 上記以外の用途のヘリコプター離着陸場としての候補地をあらかじめ選定し、災害時には、この候補地の中から必要に応じて使用するための措置を国や区および関係機関と連携して行う。 3 大規模救出救助活動拠点等の確保 @ 都は、自衛隊、広域緊急援助隊(警察庁)、緊急消防援助隊(総務省消防庁)、その他の広域支援・救助部隊等のベースキャンプとして活用するオープンスペースを国や区および関係機関と協議のうえ、大井ふ頭中央海浜公園(35°35'35.2"N 139°45'06.1"E)、品川清掃工場(35°36'31.6"N 139°45'14.0"E)、しながわ中央公園(35°36'34.5"N 139°43'42.2"E)を候補地としている。 A ライフラインの復旧拠点と重複する大規模救出救助活動拠点については、ライフラインの復旧活動での利用にも考慮する。 B?公園などの整備等を推進し、大規模救出救助活動拠点の充実を図る。 4 ヘリサインの設置 @ 災害時に、被災地上空から被害状況を確認するとともに、地上の救助機関部隊や本部と連携し、迅速・効率的なヘリコプターによる応急対策活動を行うため、都は、都立施設の屋上へ、ヘリコプターから視認できる施設名を表示する。 A ヘリサインの設置にあたっては、「九都県市首脳会議防災対策委員会による申し合わせ」を基準に取組む。 ? 第6章 情報通信 対策の基本的な考え方 応急対策の適切な実施、区民の混乱の回避に向け、被災状況の収集、本部内や関係機関との情報共有、区民へ情報を伝達するための情報通信体制の整備が必要である。 ここでは、発災後の情報通信の確保に向け、関係機関等の相互の通信、区民への情報提供についての対策を示す。 各対策の要点 対策1 情報通信体制 第1 情報通信連絡手段の整備 ○区は、災害時において円滑な通信環境の確保が可能なよう、平常時から複数系統での通信手段を整備する。 ○区は、固定系やデジタル移動通信等の防災行政無線の整備・更新や、地図情報による区内の被害情報等の収集・集約システムの導入等により、情報通信連絡手段の充実を図る。 対策2 区民への情報伝達体制 第1 災害広報に係る情報提供手段の整備 ○区は、災害時に区民等が正しい情報を基に適切な行動をとることができるよう、平常時から複数の情報伝達手段を整備する。 ○区は、安否確認等をはじめ、住民相互間による情報共有の可能な環境整備を関係機関との連携のもと進め、これを周知・啓発する。 第2 報道機関への対応 ○報道機関への対応(以下「報道対応」という)の目的は、被害の拡大防止、被災者の不安の解消および被災地に対する協力気運の醸成にある。 ○区は、報道対応において、正確性および適時性、対応窓口の一本化ならびに誠実な対応に留意する。 【用語の解説】 @防災行政無線 区内学校、公園等に配置している屋外拡声装置から、大地震、津波等の緊急情報を音声により区民に周知するシステムをいう。 A緊急地震速報 地震発生直後に震源に近い観測点でとらえた初期微動を解析し、地震波が到達する前に地震の発生を知らせるシステムをいう。 Bエリアメール 区が配信元となり、各携帯電話会社が提供する「緊急速報エリアメール(NTTドコモ)」・「緊急速報メール(KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)」のサービスを活用して、災害情報を配信するシステムである。 CSNS(ソーシャルネットワーキングサービス) 人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイトのことで、大規模災害発生などにより、電話(固定電話、IP電話、携帯電話)を使った「音声による緊急通報」に障害が発生した場合において、インターネット回線を活用した通信として、救助要請や安否確認に活用が期待されるシステムをいう。 Dケーブルテレビ品川 ケーブルテレビ放送、ケーブルインターネット、固定電話、緊急地震速報、しながわテレビプッシュなどの5サービスを提供している品川区を事業免許エリアとする放送局のことをいう。災害時は、区民チャンネルを活用して区本部発表による正確な災害情報・生活情報などを被災者に提供する。 E緊急情報ネットワークシステム(Em-Net)の整備 行政専用の通信回線「LGWAN」を利用して、国と地方自治体との間で緊急時に必要な情報を送受するシステムの通称をいう。首相官邸が地域を指定して当該地域の都道府県・市町村へメッセージを発信、当該地域の自治体はアラートを強制的に受信する。これによって、有事における緊急性の高い情報の迅速かつ確実な伝達が期待される。 F被災情報管理システム 区内の被災状況や対応状況について、地理情報システム(GIS)を利用して、情報の収集・集約・分析を行い、災害対策本部の意思決定、対策指示、避難所や職員間での情報共有を図るシステムをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 情報通信体制 対策2 区民への情報伝達体制 対策1 情報通信体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・区における連絡責任者および指定電話等の整備 ・区災害対策本部と各防災関係機関による円滑な通信体制の確立 ・防災行政無線固定系の整備促進 ・デジタル移動通信の整備促進 ・防災行政無線を補完する情報伝達手段の確保 ・緊急地震速報受信機器の配備拡大 防災関係 機関 ・区災害対策本部と各防災関係機関による円滑な通信体制の確立 ・防災関係機関における連絡責任者および指定電話等の整備 【具体的な取組】 第1 情報通信連絡手段の整備 ○区は、災害時において円滑な通信環境の確保が可能なよう、平常時から複数系統での通信手段を整備する。 ○区は、固定系やデジタル移動通信等の防災行政無線の整備・更新や、地図情報による区内の被害情報等の収集・集約システムの導入等により、情報通信連絡手段の充実を図る。 1 通信連絡体制の整備 (1)区災害対策本部と各防災関係機関による円滑な通信体制の確立 @ 災害時には、通信施設の損壊等により有線通信の途絶が予想されるため、区は、無線による通信体制を確立していくものとする。 A?大震災時には無線通信に情報連絡が集中する。このため、区は、定期的に関係機関、施設等とのデジタル移動通信の訓練や区内一斉防災訓練での各避難所との通信訓練を実施し、無線局の円滑な運用体制を確保する。 B 区災害対策本部における情報連絡窓口は指令情報部とし、都および各防災関係機関との無線通信を行う。 C 区災害対策本部が設置された場合、各防災機関は区災害対策本部へ各機関で使用している無線により、相互に情報交換を行うものとする。 D 区は引き続き、防災区民組織との情報交換手段の充実を図っていく。 図表2-45 防災関係機関との無線通信系統図 (2)区および防災関係機関における連絡責任者および指定電話等の整備 災害時における、区を中心とした、防災関係機関相互の通報伝達等の各種通信連絡を、現状の限られた通信連絡手段の中で迅速かつ円滑に行うため、区ならびに各防災関係機関は、それぞれ連絡責任者および指定電話等を定めた防災関係機関の事務担当者名簿を作成し、各機関の通信窓口を統一し、通信連絡系統を整備している。 2 防災行政無線の整備 (1)東京都防災行政無線および区防災行政無線の活用 都および区では、有線の途絶を想定し無線通信の活用を積極的に推進しており、本区の無線通信としては、都が整備した東京都防災行政無線および区が整備した防災行政無線がある。 (2)防災行政無線固定系の整備 @ 親局を情報機器室に設置し、拡声器を備えた屋外子局を学校、公園など区内155箇所に設置し、主として災害時の区民向けの情報伝達用に使用する。また、屋外子局を補完するため戸別受信機を区立学校、保育園など区有施設等に配置している。 A?「全国瞬時警報システム(J-ALERT)」を導入し、即時性のある情報配信体制を整備した。 B?区は、令和3年度までに無線通信設備の更新およびデジタル化への移行といった防災行政無線を整備し、区民への情報連絡体制を構築した。 資料33 防災行政無線固定系設置一覧 3 デジタル移動通信の整備 @?平成6年度、区は800MHz帯を利用した地域防災無線を導入し、防災関連機関や生活関連機関との通信手段の整備を図ってきたが、電波法の改正を踏まえ、平成19年度、新たな通信手段として、260MHz帯を利用した、デジタル移動通信を導入している。 A デジタル移動通信は、災害時、主に区災害対策本部と区立施設および区内に立地している防災関係機関との連絡に用いる。 資料34 デジタル移動通信設置一覧 4 携帯型IP無線機 区は、携帯型IP無線機は、災害時、主に区災害対策本部と区内各地の避難施設との連絡に用いる。 資料35 IP無線機設置一覧 5 被災情報管理システムの活用 @ 区は、被災情報管理システムにより、各避難所における避難者の受入れ状況、区内で発生した被害とその対応などの情報を管理する体制を構築している。 A 区は、都や民間事業者等と連携し、建築物の被災状況や廃棄物処理施設の状況に関する情報を集約する仕組みを構築する。 6 無人航空機(ドローン)を活用した情報伝達体制の構築に向けた検討 区は、無人航空機(ドローン)を活用した発災時の被害、避難者の移動・滞留等の情報の可視化等、迅速な避難・救援を誘導するための情報伝達の体制について構築する。 ? 図表2-46 無線通信系統図 ? 7 防災行政無線を補完する情報伝達手段の確保 (1)しなメール等での放送内容の確認 区は、防災行政無線で放送した内容を、しなメール(しながわ情報メール)、X(エックス(旧ツイッター)およびライン(LINE)の品川区公式アカウントにおいて、防災行政無線による音声放送と同時にテキスト配信している。 (2)「防災行政無線確認ダイヤル」の整備 区は、防災行政無線により放送した内容の聞き逃し、再確認などに対応するため、フリーダイヤルの防災行政無線確認ダイヤル(0120-562-311)を運用している。 (3)商店街放送設備との連動 区は、防災行政無線による音声放送を補完するため、区内9商店街が設置している放送設備に防災行政無線放送を連動させている。 (4)FMしながわとの連動 区は、防災行政無線による緊急放送を行った際には、FMしながわ(88.9Mhz)に連動させ、割込み放送を実施している。 8 緊急地震速報受信機器の配備拡大 区は、地震発生時に区有施設の利用者の安全確保を図るため、気象庁が発表する緊急地震速報(予報)を受信する機器を区の主要施設173施設に配備している。 資料36 緊急地震速報装置設置一覧 9 緊急情報ネットワークシステム(Em-Net)の整備 区は、多様な情報通信手段の確保を目的とし、国と地方自治体間の総合行政ネットワーク(LGWAN)を利用して、緊急情報の双方向通信を行う緊急情報ネットワークシステム(Em-Net)を整備した。 10 通信インフラの整備 区では、震災など緊急時の通信手段の確保を目的とするとともに、通常時は区への誘客や地域のにぎわい創出につなげるためにフリーWi-Fiを導入しており、大井町駅や大崎駅等の主要駅前を始め、避難所や広域避難場所となる大規模公園や総合庁舎、地域センター等の公共施設へ設置を進めている。 併せて、発災時の通信環境を強化のため、ケーブルテレビ品川が整備した地域広帯域移動無線アクセスシステム(地域BWA)を区民避難所に配備した。 また、地域広帯域移動無線アクセスシステム(地域BWA)を活用した携帯電話を区内病院や医師会等の医療関係機関へ配備した。? 対策2 区民への情報伝達体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・複数の情報伝達手段による区民への情報提供体制の整備 【具体的な取組】 第1 災害広報に係る情報提供手段の整備 ○区は、災害時に区民等が正しい情報を基に適切な行動をとることができるよう、平常時から複数の情報伝達手段を整備する。 ○区は、安否確認等をはじめ、住民相互間による情報共有の可能な環境整備を関係機関との連携のもと進め、これを周知・啓発する。 1 災害時における複数の情報伝達手段の活用 @?区は、防災行政無線、区ホームページ、しなメール、区公式SNS等を活用して、災害時に情報提供する。 A?区が配信元となり、各携帯電話会社が提供する「緊急速報エリアメール(NTTドコモ)」・「緊急速報メール(KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)」のサービスを活用して、災害情報を配信する。 B 区は、ケーブルテレビ品川、FMラジオ(FMしながわ、inter Fm)を通じた情報提供を行う。 2 地域住民等相互間の安否確認手段の周知 @ 区は、区民が日頃から、安否確認など発災時の行動を家族とよく相談するよう周知する。 A 区は、SNS等の新たな通信基盤を活用した情報提供体制の整備を推進する。 3 災害情報共有システムの整備 区は、特に避難情報や避難所開設情報、災害対策本部設置情報等の重要情報に関しては、ケーブルテレビ品川の品川区民チャンネルのデータ放送やインターネット等を通じて、確認することが可能な災害情報共有システム(L-ALERT)を整備した。 ? 第2 報道機関への対応 ○報道機関への対応(以下「報道対応」という)の目的は、被害の拡大防止、被災者の不安の解消および被災地に対する協力気運の醸成にある。 ○区は、報道対応において、正確性および適時性、対応窓口の一本化ならびに誠実な対応に留意する。 1 報道対応の目的 災害時、報道機関のニーズに応え説明責任を果たすことは区の責務である。 災害時の報道対応の目的は、報道を通じ、被害状況、活動状況や被災地のニーズを区内外に発信して、被害の拡大防止、被災者の不安の解消および被災地に対する協力気運の醸成を図ることにある。 2 報道対応にあたっての留意事項 (1)正確性および適時性 区は、被災者や報道機関のニーズに対応した正確な情報をタイムリーに提供することが必要である。この際、報道機関に対し定期的に情報を提供するとともに、重要な事項については随時に発表する。また、事実と異なる情報が流れていることを確認した場合には、流言や風評被害を防止するため、否定情報を迅速に発信する。 (2)対応窓口の一本化 対応する部署によって発表内容や見解が異なることがないよう、報道機関への対応窓口は総務部広報報道課に一本化する。しかしながら、災害時、報道機関の関心は広範多岐にわたり、総務部広報報道課のみでの対応は困難となるので、区災害対策本部内で情報を共有し、総務部広報報道課の統制の下、他の部署においても対応する。 (3)誠実な対応 区は、報道記者に対応する際、被災した区民や災害に注目する国民に話しているつもりで、真摯な態度で誠実に対応する。また、記者発表等で使用する広報資料は、報道機関のニーズに合致しているかを吟味し、区民等が理解しやすいものとする。 ? 第7章 備蓄・輸送対策 対策の基本的な考え方 災害時において、被災者である区民に必要な物資を継続的に供給していく必要があることから、ここでは区が都等と連携して行う物資の備蓄、拠点(倉庫や地域内輸送拠点等)整備、円滑な輸送を行うための実施体制等について定める。 各対策の要点 対策1 備蓄物資等の確保  第1 食料および生活用品等の確保 ○区は、避難所のほか、自宅での避難生活を選択する区民も念頭に、食料および生活用品を確保する。品目は、特に要配慮者や女性、ペット等、多様な視点を念頭に、内容の充実、見直しを図る。 第2 応急給水による飲料水および生活用水の確保 ○災害時における断水期間、被災者(避難所生活者および避難所以外で生活する被災者)に必要な飲料水および生活用水の確保について、区は都との相互協力体制のもと、応急給水用資機材の配備および応急給水槽による飲料水の確保を行う。 第3 備蓄体制の整備 ○区は、区内5地区(品川・大崎・大井・荏原・八潮)ごとに必要な備蓄量を各地区の区民避難所および災害対策備蓄倉庫(集中備蓄倉庫、分散備蓄倉庫)に備蓄する。 ○区は、区民避難所で物資が不足した際の迅速な供給体制を構築するとともに、災害時の物資輸送の負担軽減を図る。 ○区は、新たな災害対策備蓄倉庫の確保を引き続き推進する。 対策2 輸送体制の整備  第1 関係機関と連携した輸送体制の整備 ○民間の事業者の積極的な活用を念頭に、災害時に調達可能な輸送体制を平常時から構築する。 ○区は、災害時における関係機関との連携を円滑に行うために、都、区、関係機関の役割分担を明確にする。  第2 輸送車両等の確保 ○輸送車両は、区有車両を優先して使用するほか、関係機関等を通じた輸送車両の確保ができる体制を整える。 ○陸上輸送が困難な場合を想定し、防災船着場やヘリポートを活用した輸送ができる体制を整える。  第3 燃料の確保 ○区は、施設における非常用発電機や輸送車両のための燃料を確保するため、施設における燃料備蓄量の定期確認や区有車両について常時一定量の燃料を給油しておく等の対応を進める。 ○区は、関係団体との協定締結等により、円滑な燃料供給に向けた対応確認、訓練実施等の対策を進める。 【用語の解説】 @アルファ化米 炊飯したり、蒸したりしたごはんを乾燥させた米のことをいう。水やお湯で戻して食べる。 A応急給水 災害時に断水した場合、区内の給水拠点(応急給水槽等)や備蓄倉庫から飲料水を避難者等に提供することをいう。 B広域輸送基地 都が他県等から輸送される物資を受入れ、一時保管、地域内輸送拠点への積み替えなどを行う場所のことをいう。トラックターミナル、埠頭、空港などが候補地となる。 C地域内輸送拠点 区が都等から輸送される物資を受入れ、避難所等へ輸送するために仕分け、一時保管などを行う場所のことをいう。 D災害対策備蓄倉庫 区内に整備された集中備蓄倉庫および分散備蓄倉庫のことをいう。 E区民避難所備蓄倉庫 区民避難所ごとに整備されている備蓄倉庫をいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 備蓄物資等の確保 対策2 輸送体制の整備 対策1 備蓄物資等の確保 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・食料等の備蓄 ・飲料水、生活用品の確保 区 ・資機材、食料、飲料水等の備蓄 ・協定締結による食料の調達体制の確保 ・区民等への防災意識の啓発 ・応急給水用資機材の維持管理 ・備蓄倉庫の整備(集中備蓄と分散備蓄の推進) 【具体的な取組】 第1 食料および生活用品等の確保 ○区は、避難所のほか、自宅での避難生活を選択する区民も念頭に、食料および生活用品を確保する。品目は、特に要配慮者や女性、ペット等、多様な視点を念頭に、内容の充実、見直しを図る。 1 食料、生活用品等の備蓄 (1)基本的な考え方 震災直後は、外部からの支援が期待できないことに加え、ライフラインの停止等により自助だけでは生活環境の維持が難しくなる。そのため、区は、震災直後の区民の生活支援に向けた備蓄物資の確保を進めている。 @ 必要備蓄量は、都の被害想定における避難所避難者数(約9万人)とする。 A?震災対策における都・区間の役割分担(資料37 震災対策における都・区間の役割分担(昭和52年合意))に基づき、区として避難所避難者数約9万人の約1日分の備蓄物資を確保している。 B 避難者から求められる物資は、時間の経過とともに変化することを踏まえ、要配慮者や女性などの様々なニーズに対応した物資の確保に留意する。 C 備蓄物資は、主に区民避難所備蓄倉庫および災害対策備蓄倉庫に保管する。備蓄物資の備蓄量等については、資料38 主な災害対策用備蓄品一覧に示す。また、福祉避難所や一時滞在施設において、食料や生活用品等の備蓄物資を確保している。 D 自宅等の避難所以外で避難生活を送る区民への支援方法について検討する。 (2)物資種別ごとの確保の考え方 ア 食料・飲料水の確保 @ 主食(アルファ化米等)について、都・区間の役割分担に基づき、区は避難所避難者の1日分を備蓄している。 A 区は、食物アレルギー患者をはじめとした多様な避難者へ対応するため、ニーズの把握やアセスメントを実施し、食物アレルギー等に配慮した備蓄物資の確保に努める。また、文化・宗教上の理由に配慮した食料の備蓄に努める。 B 1歳6ヶ月未満の乳幼児用として必要な調整粉乳については、区が最初の3日分を備蓄し、それ以降は都が備蓄または調達する。 C 飲料水の確保は都の役割となっており、区は円滑な応急給水活動に向けて、応急給水用資機材の整備等に努めるとともに、給水活動の遅れに備えて区においてもペットボトル飲料水を備蓄している。 イ 生活用品 @ 都・区間の役割分担では、生活用品の確保は都の役割とされているが、輸送の遅延に備えて区においても最低限必要な毛布等を備蓄している。 A 区は、女性や乳幼児の視点に配慮した物資(生理用品やおむつ等)の備蓄について、量的質的な拡充を引き続き推進していく。 ウ 応急資機材 区および防災機関は、災害時の水や燃料の不足に備え、平常時から災害応急対策活動および災害復旧に必要なろ過器、投光機等の資機材の備蓄に努める。また、平常時から応急資機材の整備、点検に努める。 エ その他 区は、感染症対策に必要な物資を区民避難所に格納している。 また、区ではペット用の備蓄(飼育のためのケージ等)を最低限実施する。 2 協定締結を通じた食料の調達体制の確保 震災時には、ライフラインが停止することが予測され、避難を要しない区民に対しても食料を提供する必要が生じることが考えられる。そのため、区は、関係団体との協定による主食の確保に努める。 3 協定締結を通じた生活用品の調達体制の確保 区は、災害時における生活用品の確保を行うため、関係団体との協定締結を推進する。 4 他機関からの支援による物資の確保 国・他区市町村または民間事業者等からの支援により物資を確保する。支援・調達物資は、都を通じて区の地域内輸送拠点に一括して集積し、そこから避難所等へ円滑に供給できる体制を構築している。詳細については「第10章受援体制」に示す。 5 区民等への備蓄に関する啓発 物資の支援については、発災後3日目までは、区と都が連携して対応し、4日目以降は、 国、他自治体、協定団体等から受入れ、被災者に提供する。ただし、震災時には、様々な事情により市場流通機能が麻痺し、必要な物資が期待通りに供給されない可能性が高い。そのため、区として備蓄・輸送体制の一層の充実を図るとともに、生活必需物資を7日分以上(最低3日分)備蓄することの必要性について、区民に対し周知する。また、通常の備蓄に加え、普段の生活で購入する食料や生活用品を少し多めに購入する「日常備蓄」の考え方を周知する。 ? 第2 応急給水による飲料水および生活用水の確保 ○災害時における断水期間、被災者(避難所生活者および避難所以外で生活する被災者)に必要な飲料水および生活用水の確保について、区は都との相互協力体制のもと、応急給水用資機材の配備および応急給水槽による飲料水の確保を行う。 1 応急給水の考え方 @?都は、震災時の飲料水について、生命維持のため最低限必要な量である1人1日3?を基本とし、区民の居住場所からおおむね2kmの範囲内に災害時給水ステーション(給水拠点)を設けることを目標としている。 資料39 給水拠点となる施設一覧 A 都は、災害時給水ステーション(給水拠点)からおおむね2km以上離れている避難場所等で、関係行政機関から要請があり、必要があると認める場合には、車両輸送による応急給水を行う。給水車の要請が多数の場合は、原則、「病院等」「水を供給できない給水拠点」「避難所」の対応順位で、応急給水を行う。 B 震災時における都と区の役割分担は、東京都地域防災計画に基づき、応急給水槽における飲料水の確保は都が行い、応急給水用資機材の設置および被災者への給水は区が実施する。 C 都との協定(給水施設の維持管理および運用に関する協定)に基づき、応急給水についての相互協力体制を整備する。 2 給水体制の充実 @ 都は、震災時に飲料水を提供するため、浄水場、給水所等にエンジンポンプ、応急給水栓、給水タンク等の応急給水用資機材を配備するとともに、老朽化した既設応急給水用資機材を更新する。 A 都は、震災時の応急給水活動を迅速かつ的確に実施するため、応急給水用資機材一式を収納する施設のない災害時給水ステーション(給水拠点)に、専用の倉庫を設置する。 B 都は、災害時給水ステーション(給水拠点)に指定されている浄水場、給水所等において、震災時の応急給水活動をより安全かつ確実に行うため、応急給水用設備の改良を行う。 資料40 応急給水用資機材の保有状況 3 生活用水の給水に係る計画 災害時には、飲料水の他にトイレ等に使用する生活用水の確保も重要である。そのため、区は、区内3箇所にある震災対策用井戸を整備するとともに、区民避難所に指定している区立学校等に浅井戸を整備し、プールの水とあわせ生活用水の確保に努めている(井戸やプールの水は、ろ過機により浄化し、生活用水として使用する)。 資料41 震災対策用井戸? 4 公共施設等を更新する際の雨水貯留施設の設置促進 区は、今後、老朽化した公共施設等を更新する際、当該施設を防災拠点として活用する必要があると判断された場合において、雨水貯留施設等の設置について検討する。 第3 備蓄体制の整備 ○区は、区内5地区(品川・大崎・大井・荏原・八潮)ごとに必要な備蓄量を各地区の区民避難所および災害対策備蓄倉庫(集中備蓄倉庫、分散備蓄倉庫)に備蓄する。 ○区は、区民避難所で物資が不足した際の迅速な供給体制を構築するとともに、災害時の物資輸送の負担軽減を図る。 ○区は、新たな災害対策備蓄倉庫の確保を引き続き推進する。 1 備蓄倉庫の整備 (1)基本的な考え方 @ 区は、区民避難所(区立学校等)を中心として備蓄し、物資の充実に努める。 A 区は、区民避難所での物資が不足した場合、各地区内の災害対策備蓄倉庫(分散備蓄倉庫)から補完する。これにより、災害時の物資輸送の負担軽減を図る。 B 地区内で物資が不足した場合は、災害対策備蓄倉庫(集中備蓄倉庫)や余力のある周辺の地区から物資を輸送し補完する。 (2)災害対策備蓄倉庫の適正配置等 区は、区内5地区ごとに必要な備蓄量を確保するため、災害対策備蓄倉庫(分散備蓄倉庫)を適正に配置・整備するとともに、災害対策備蓄倉庫(集中備蓄倉庫)の整備についても推進する。 (3)区民避難所の備蓄物資の拡充 狭あい道路が多い区内において災害発生直後は、災害対策備蓄倉庫から区民避難所への物資輸送が困難になることも想定されるため、区は、分散備蓄の推進とともに、区民避難所の備蓄物資の量的かつ質的な拡充に努める。拡充にあたっては、区民避難所(区立学校等)の教室等を活用した新たな備蓄スペースの確保とともに既存の備蓄倉庫で収めるための物資のコンパクト化を実施している。 2 集中備蓄と分散備蓄の推進 (1)集中備蓄倉庫 避難者の多い避難所への物資補充や救援物資等を一時保管する目的で定め、荷捌き機能およびスペースがある倉庫。 (2)分散備蓄倉庫 災害時に速やかに必要な物資を配布できるよう避難所周辺に整備する倉庫。車両輸送が困難な場合を考え、物資搬出および運搬に必要な資機材を計画的に確保する。? 図表2-47 集中備蓄倉庫および分散備蓄倉庫の概要 倉庫数 面積 荷捌き機能 車両動線 配布先 保管方法 集中備蓄倉庫 5 広い あり 優・良 全避難所 パレット 分散備蓄倉庫 23 狭い なし 可・不可 近隣避難所 棚 ※倉庫数は令和5年4月1日現在の数値。その他項目は、目安として記載。 図表2-48 集中備蓄と分散備蓄の考え方 3 備蓄倉庫の確保 @?区は、備蓄物資の保管場所として、区民避難所備蓄倉庫と災害対策備蓄倉庫を確保している。 A 激甚災害では、通行やライフラインの遮断、物資の停止が長期化し、都や外部からの応援物資が大幅に遅れることも想定される。そのため、区は、備蓄量の拡充を図るため、新たな備蓄倉庫の確保を引き続き推進する。 資料42 備蓄物資の保管場所 ? 対策2 輸送体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・輸送体制の整備 ・広域輸送基地の整備 ・船舶等の確保 ・桟橋の維持管理 ・災害時臨時離発着場の選定 ・民間倉庫を活用した広域的な体制構築の推進 区 ・輸送体制の整備 ・地域内輸送拠点の整備 ・輸送車両等の確保 ・燃料の確保 ・船舶等の確保 ・桟橋の維持管理 ・災害時臨時離発着場の選定 【具体的な取組】 第1 関係機関と連携した輸送体制の整備 ○民間事業者の積極的な活用を念頭に、災害時に調達可能な輸送体制を平常時から構築する。 ○区は、災害時における関係機関との連携を円滑に行うために、都、区、関係機関の役割分担を明確にする。 1 輸送体制の整備 @ 都は、発災時に円滑な物資の輸送調整、車両調達等が行えるよう、輸送事業者等の関係機関と連携し、実践的な訓練の実施等を通して応急時の輸送体制を確立する。 A 区は、地域内輸送拠点や備蓄倉庫等から避難所等への物資輸送についての所要の手続きや関係機関の連絡窓口について明確にする。 2 地域内輸送拠点の整備 @ 区が都等から輸送される物資を受入れ、避難所等へ輸送するために仕分け、一時保管等を行う場所として、大井競馬場および京浜トラックターミナルに設置する。ただし、都が京浜トラックターミナルを広域輸送基地として使用する場合は、緊急物資の受入場所の確保および荷役作業、都が指定する場所への緊急物資の輸送など、都の業務を優先するものとする。 A 区は、災害時における支援物資等の輸送体制を強化するため、JPロジスティクス株式会社と「災害時等における輸送業務等の協力に関する協定」を令和5年2月に締結した。協定内容には、備蓄物資・支援物資の輸送だけでなく、同社が管理する施設の地域内輸送拠点としての提供や荷役作業等に必要な人員の派遣、資機材の供給も含む。 B さらに、新たな輸送拠点として民間輸送事業者等の施設の活用を検討する。また、輸送拠点の荷役は、輸送量が増加すると、保管や積込み等にノウハウが必要となることから、事前に輸送事業者団体との連携を図り、支援を受ける体制を構築する。 図表2-49 輸送拠点 項目 内   容 広域輸送基地 ・都が他県等からの支援物資等の受入れ、一時保管、地域内輸送拠点等への積替・配送等を行うための拠点(トラックターミナル、埠頭、空港等) 地域内輸送拠点 ・区が都等から輸送される支援物資等の受入、仕分け、一時保管、避難所等への輸送等を行うための拠点 第2 輸送車両等の確保 ○輸送車両は、区有車両を優先して使用するほか、関係機関等を通じた輸送車両の確保ができる体制を整える。 ○陸上輸送が困難な場合を想定し、防災船着場やヘリポートを活用した輸送ができる体制を整える。 1 区有車両等 区の災害応急対策にあたり、区有車両を優先して使用する。また、区有車両が使用できない場合でも、リヤカー等その他の輸送手段を活用できるよう準備する。 2 緊急通行(輸送)車両の確認申出 区は、災害時に区有車両等を緊急通行(輸送)車両として使用するために、車両の使用の本拠の位置を管轄する警察署に「緊急通行(輸送)車両確認申出書」等を提出する。 警察署では、申出受理後、書類審査を経て標章および証明書を交付する。詳細は、「第3編 第1部 第3章 災害対応体制」に示す。 3 協力協定に基づく調達 @ 区は、東京都トラック協会品川支部、赤帽首都圏軽自動車運送協同組合城南支部、ヤマト運輸株式会社新東京主管支店、佐川急便株式会社関東支社、トヨタモビリティサービス株式会社、JPロジスティクス株式会社と車両の優先提供に関する協定を締結する等、災害時の車両確保に取組んでいる。 A 区は、災害時における車両要請の連絡手段や受入体制を構築する。 4 防災船着場等舟運の活用 @?道路閉塞等、陸路の活用が困難な場合の物資輸送の手段として、水上輸送を活用する。 A 区は、拠点となる桟橋を適切に維持管理する。 B 区は、人員・物資の水上輸送に必要となる船舶の確保や災害時の桟橋の使用等について、民間事業者等の協力を得て進める。 5 災害時臨時離着陸場候補地(ヘリポート)の選定 災害時には、道路障害や交通混雑のため陸上輸送が困難となることも予想される。そのため区および都は、ヘリコプターによる支援物資や人員の緊急空輸を考慮して、災害時臨時離着陸場候補地を選定する。 第3 燃料の確保 ○区は、施設における非常用発電機や輸送車両のための燃料を確保するため、施設における燃料備蓄量の定期確認や区有車両について常時一定量の燃料を給油しておく等の対応を進める。 ○区は、関係団体との協定締結等により、円滑な燃料供給に向けた対応確認、訓練実施等の対策を進める。 1 燃料の確保 @ 区は、平常時における燃料のストック状況、発災後の連絡体制、燃料の輸送体制、燃料供給を受ける施設の受入体制等を定期的に確認する。 A 特に区有車両の燃料に関しては、すべての車両について常時一定量以上の燃料を維持するよう、給油の基本的なルールを定めている。 2 民間事業者との連携 @ 区では、燃料の確保にあたっては、「災害時における石油燃料の優先供給に関する協定」(東京都石油商業組合第2方面支部・東京都石油業協同組合第2方面支部、平成6年)を締結している。 A 区は、東京都石油商業組合第2方面支部・東京都石油業協同組合第2方面支部との間での合同防災訓練を通じた実効性の向上に努める。 ? 第8章 避難者対策 対策の基本的な考え方 揺れや火災等の危険から命を守るための一時的避難や、在宅避難、避難所での避難生活について周知を進める。また、避難者の多様性に配慮しつつ区民避難所等の良好な生活環境を確保するとともに、ペット同行避難の体制整備を進める。 避難行動要支援者の安全確保に向けて、関係機関との連携を推進する。 各対策の要点 対策1 避難体制 第1 避難指示等の基準 ○避難を行う前提となる避難指示等に係る権限、対象、一般的基準を示す。 第2 地震発生時の避難施設の役割 ○避難を行うにあたっての前提となる避難施設(一時集合場所、広域避難場所、区民避難所等)および避難の流れについて示す。 第3 風水害発生時の避難施設の役割 ○避難を行うにあたっての前提となる避難施設(自主避難施設、避難場所、在宅での避難、親戚・知人宅やホテル・旅館、区民避難所等)および避難の流れについて示す。 第4 避難方法の周知等 ○区は、避難方法について、地域または町会・自治会、防災区民組織、住民へ周知するとともに、円滑な避難の実現に向け体制を強化する。 第5 安全確保計画の策定 ○区教育委員会、社会福祉施設等の施設管理者は、災害発生時における園児・児童・生徒や施設利用者の安全を確保するため、実態に応じた避難計画を作成する。 第6 避難所等の指定・安全化 ○区は、避難所等の指定基準や指定の現況等に基づき、さらなる機能の充実等を目指す。 ○区は、要配慮者等の生活スペースの確保を進める。 対策2 区民避難所の管理・運営体制の整備 第1 区民避難所の管理・運営体制の整備 ○区は、各避難所単位でのマニュアルを整備し、管理運営体制の充足を図る。また、避難所に対して、全避難所での受け入れを前提としたペットの同行ルールの設定等の対策を進める。 ○区は、災害時に区民避難所以外の避難者の避難先を区として把握することの重要性を区民へ周知する。 ○区は、地域の協力を得て、避難所外で生活する避難者の所在等を把握する手法の確立を目指す。 対策3 要配慮者の安全確保 第1 要配慮者の安全確保 ○区は、品川区避難行動要支援者支援計画に位置付けた要配慮者対策に係る前提、考え方等に基づき、登録対象者に対して、避難行動要支援者名簿への登録の推進を図っていく。なお、要配慮者対策に係る前提、考え方については、品川区避難行動要支援者支援計画に位置付けている。 対策4 在宅避難 第1 在宅避難の普及 ○区は、在宅避難のための備えについて周知する。特に耐震性能の高いマンションについて地震災害時は在宅避難を基本とし、自助の取組みについて周知する。 第2 在宅避難者の支援方法の検討 ○区は、区民避難所における在宅避難者を対象とした支援の方法について検討する。 ○区は、在宅避難をしている要配慮者等への支援方法を検討する。 【用語の解説】 @一時(いっとき)集合場所 避難を行う場合に、防災区民組織(町会・自治会)単位で一時的に集合して様子を見る場所または集団で避難するための身近な集合場所のことをいう。 A自主避難施設 台風の規模などに応じて、開設の是非、開設時刻を区が決定し、区職員が開設・運営する施設をいう。 B避難場所 土砂災害、目黒川氾濫、高潮氾濫、多摩川氾濫等の災害事象ごとに開設する施設および避難の発令基準を定めて、避難指示または高齢者等避難の発令に併せて区が開設を決定し、区職員が開設・運営する場所のことをいう。 C区民避難所 災害対策基本法に基づき定め、自宅の損壊などにより避難生活を送る必要が生じた際に避難者を受け入れる施設をいう。 D補完避難所 区民避難所の収容力に不足が生じた場合に、これを補完する他の施設等のことをいう。 E福祉避難所 区民避難所で他の避難者と生活を送ることが困難で、あらかじめ指定した避難行動要支援者を受け入れる施設のことをいう。 F広域避難場所 大地震時に発生する延焼火災等の危険から避難者の身の安全を確保し、火勢の弱まりを待つ場所で、都が指定しているオープンスペースのことをいう。 G地区内残留地区 震災時に大規模延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない地区のことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 避難体制 対策2 区民避難所の管理・運営体制の整備 対策3 要配慮者の安全確保 対策4 在宅避難 対策1 避難体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・避難所等における通信環境やトイレ環境の確保に関する区市町村の支援 区 ・避難指示等の基準 ・避難施設の役割 ・避難方法の周知 ・避難場所の指定・安全化 【具体的な取組】 第1 避難指示等の基準 ○避難を行う前提となる避難指示等に係る権限、対象、一般的基準を示す。 1 避難指示等の権限および対象 @?災害対策基本法第60条の規定に基づき、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、人の生命または身体を災害から保護し、被害の拡大を防止するため特に必要があると認められるときは、区長は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示することができる。さらに、災害が発生し、またはまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえつて人の生命または身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、区長は、必要と認める地域の必要と認める居住者、滞在者その他の者に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示することができる。 A 区長が上記の立退きを指示することができないとき、または区長から要請があったときは、同法第61条の規定に基づき、警察官または海上保安官は、必要と認める地域の居住者等上記の対象者に対し、避難のための立退きを指示することができる。 2 避難指示等の一般的基準 避難指示等の基準は、原則として次のような事態になった場合に発するものとする。 <避難指示等の一般的基準> ・避難の必要が予想される警報が発せられたとき(例えば津波警報等) ・大震災時、火災が延焼拡大し、人命に及ぼす危険性が大きいと予想されるとき、または、大地震時に同時多発の火災が延焼拡大し、ふく射熱等により人命に及ぼす危険性が著しく大きいと予想されるとき ・建物の倒壊の可能性が高く、生命または身体に危険性があると認められるとき ・河川が警戒水位を突破し、洪水のおそれがあるとき ・避難の必要が予想される各種気象警報が発せられたとき ・河川の上流地域が水害を受け、下流地域に危険があるとき ・崖崩れ等により著しい危険が切迫しているとき ・有毒ガスの流出拡散により、人命に及ぼす危険性が高いと予想されるとき ・爆発のおそれがあるとき ・その他、住民の生命および身体を災害から保護するため、必要と認められたとき 図表2-50 避難指示等の種類、居住者がとるべき行動等 避難情報等 居住者等がとるべき行動等 【警戒レベル5】 緊急安全確保 ●発令される状況:災害発生または切迫(必ず発令される情報ではない) ●居住者等がとるべき行動:命の危険 直ちに安全確保! ・指定緊急避難場所等への立退き避難することがかえって危険である場合、緊急安全確保する。 ただし、災害発生・切迫の状況で、本行動を安全にとることができるとは限らず、また本行動をとったとしても身の安全を確保できるとは限らない。 【警戒レベル4】 避難指示 ●発令される状況:災害のおそれ高い ●居住者等がとるべき行動:危険な場所から全員避難 ・危険な場所から全員避難(立退き避難または屋内安全確保)する。 【警戒レベル3】 高齢者等避難 ●発令される状況:災害のおそれあり ●居住者等がとるべき行動:危険な場所から高齢者等は避難 ・高齢者等※は危険な場所から避難(立退き避難または屋内安全確保)する。 ※避難を完了させるのに時間を要する在宅または施設利用者の高齢者および障害のある人等、およびその人の避難を支援する者 ・高齢者等以外の人も必要に応じ、出勤等の外出を控えるなど普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自主的に避難するタイミングである。例えば、地域の状況に応じ、早めの避難が望ましい場所の居住者等は、このタイミングで自主的に避難することが望ましい。 ? 第2 地震発生時の避難施設の役割 ○避難を行うにあたっての前提となる避難施設(一時集合場所、広域避難場所、区民避難所等)および避難の流れについて示す。 1 避難施設 (1)一時(いっとき)集合場所 避難を行う場合に、防災区民組織(町会・自治会)単位で一時的に集合して様子を見る場所または集団で避難するための身近な集合場所をいう。 資料43 町会・自治会別 一時(いっとき)集合場所・区民避難所等一覧 (2)広域避難場所 大地震時に発生する延焼火災等の危険から避難者の身の安全を確保し、火勢の弱まりを待つ場所で、都が指定しているオープンスペースをいう。 なお、震災時に大規模延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない地区は、地区内残留地区として位置付けている。 資料44 広域避難場所一覧 資料45 地区内残留地区一覧 (3)区民避難所 災害対策基本法に基づき定め、自宅の損壊等により避難生活を送る必要が生じた際に避難者を受け入れる施設をいう。 避難所で提供する生活支援の主な内容は次のとおりとし、提供する対象はすべての被災者とする。 項目 内容 安全・生活基盤の提供 ・安全な施設での受入れ ・飲料水、食料、生活用品等の提供 ・一時的な生活の場の提供 保健・医療等の支援 ・傷病の治療、健康相談、心のケア等の保健医療サービスの提供 ・トイレ、風呂、ごみ処理、防疫対策等、衛生的な生活環境の維持 情報支援 ・災害情報、安否確認等の提供 ・生活支援相談・復興支援情報等の提供 資料46 区民避難所設置計画 (4)補完避難所 区民避難所の受入能力に不足が生じた場合に、これを補完する他の施設等をいう。 資料47 補完避難所一覧 (5)福祉避難所 区民避難所で他の避難者と生活を送ることが困難で、あらかじめ指定した避難行動要支援者を受け入れる施設のことをいう。 資料48 福祉避難所一覧 2 避難の流れ (1)発災直後 まず、自身の身の安全を守るための行動を行う。揺れがおさまったところで、出火防止のための点検を行い、必要に応じて初期消火を行う。その後、避難路の確保を行った上で、家族や自宅の状況等について確認する。 (2)避難行動 @ 自宅(高層マンションを含む)が無事、安全である場合、自宅に留まる。 A 自宅が損壊している、家での生活に不安がある等の場合、状況に応じた最寄りの安全な場所(一時集合場所、広域避難場所、防災広場・公園、区民避難所、補完避難所、津波避難施設等)へ一時的に避難し、状況を確認する。 B 区は、地震災害の発生後、風水害のおそれがある場合の避難など、複合災害を想定した避難行動の方法を検討する。 (3)避難生活 @ 自宅(高層マンションを含む)で生活が可能な場合、自宅に戻り生活する。 A 自宅で生活が不可能と判断した場合、指定された区民避難所で避難生活を送る。 B 区民避難所に入れなかった場合、補完避難所へ避難する。あらかじめ指定された避難行動要支援者は福祉避難所で避難生活を送る。 C 親戚・知人宅やホテル・旅館等、多様な避難先を検討し、避難生活を送る。 ? 図表2-51 地震発生時 ? 第3 風水害発生時の避難施設の役割 ○避難を行うにあたっての前提となる避難施設(自主避難施設、避難場所、在宅での避難、親戚・知人宅やホテル・旅館、区民避難所等)および避難の流れについて示す。 1 避難施設 (1)自主避難施設 区内15の各地区に開設する施設をあらかじめ指定しておき、台風の規模などに応じて、開設の是非、開設時刻を区が決定し、区職員が開設・運営する。 資料49 自主避難施設一覧 (2)避難場所 区は、土砂災害、目黒川氾濫、高潮氾濫、多摩川氾濫等の災害事象ごとに開設する施設および避難の発令基準を定め、避難指示または高齢者等避難の発令に併せて区が開設を決定し、区職員が開設・運営する。 資料50 避難場所一覧(土砂災害、目黒川氾濫、高潮氾濫、多摩川氾濫) (3)在宅での避難、親戚・知人宅やホテル・旅館等への避難 区は、避難所の受入人数に限りがあることを踏まえ、自宅で安全確保が可能な場合における在宅での避難(屋内安全確保)、親戚・知人宅やホテル等への避難等、状況に応じた多様な避難行動の実践について区民へ促す。 (4)区民避難所等 区は、開設する避難所(区民避難所、補完避難所、福祉避難所)、開設担当、運営主体などについて被害の規模に応じて定める。 2 避難の流れ (1)平時および大雨・台風のおそれ 区民は、品川区防災地図等により、浸水ハザードマップ等を踏まえ、災害に備えた避難行動を確認し、自宅にいることが不安である場合、自主避難施設に避難する。 (2)避難行動 @?自宅が浸水想定区域や土砂災害(特別)警戒区域にある場合、避難場所、親戚・知人宅やホテル・旅館、自主避難施設等、安全な場所に避難する。 A?自宅が浸水想定区域にある場合でも、浸水する深さよりも高いところにいる、浸水しても水がひくまで我慢できる、飲料水・食料等の備えが十分にある場合は、屋内安全確保も可能とする。 B?自宅が浸水想定区域や土砂災害(特別)警戒区域にない場合、自宅(在宅避難)に留まることも可能とする。 (3)避難生活 @ 自宅で生活が可能な場合、自宅に戻り生活する。 A 自宅で生活が不可能と判断した場合、指定された区民避難所で避難生活を送る。 B?区民避難所に入れなかった場合、補完避難所へ避難する。あらかじめ指定された避難行動要支援者は福祉避難所で避難生活を送る。 C 親戚・知人宅やホテル・旅館等、多様な避難先を検討し、避難生活を送る。 図表2-52 風水害発生時 ? 第4 避難方法の周知等 ○区は、避難方法について、地域または町会・自治会、防災区民組織、住民へ周知するとともに、円滑な避難の実現に向け体制を強化する。 1 区民への避難方法、状況等の周知 (1)地域または町会・自治会、防災区民組織への周知 @ 区は、避難時における集団の形成や自主統制の状況について、地域または町会・自治会単位の実情を把握するよう努める。 A?区は、防災区民組織等に対して、震災後の対応の流れについて「しながわ防災学校」等で周知啓発を図っていく。 B 区は、避難の指示等を行ういとまがない場合の区民の避難について、あらかじめ地域の実情や発災時の状況に応じた避難の方法を想定しておく。 (2)住民への周知 @ 効率的・効果的な避難を実現するため、地震発生時の一時集合場所、広域避難場所区民避難所、補完避難所および福祉避難所、風水害発生時の自主避難施設、避難場所および区民避難所等の役割、安全な避難方法について、区は都と連携を図りながら周知していく。 A 区は、想定災害を踏まえた防災地図を作成し、避難行動について啓発していく。 B?風水害発生時の避難方法について、区は区民等に対して、適時・的確な避難の方法を普及・啓発するため、東京マイ・タイムラインを用いて、自分や家族の避難行動の検討に関する講習会等を実施する。 C 区は、避難所の受入人数に限りがあることを踏まえ、自宅での生活が可能な場合における在宅での避難、親戚・知人宅やホテル等への避難等、状況に応じた多様な避難行動の実践について啓発していく。 2 広域避難場所の運営について @ 区は、避難住民の安全を保持するため、災害時に事態の推移に即応した適切な措置を講ずる必要があることから、その内容および方法等について、あらかじめマニュアル等に定めておく。 A 2以上の区にわたって所在する広域避難場所または2以上の区の被災住民が利用する広域避難場所の運営について、関係する区があらかじめ協議して対処する。 B 区は、広域避難場所の運営において必要な資機材を確保しておく。 3 円滑な避難実現に向けた体制強化 区は、避難すべき区域および判断基準(具体的な考え方)を含めたマニュアルを策定するなど、避難指示等が適切なタイミングで適当な対象地域に発令できるよう努める。 ? 第5 安全確保計画の策定 ○区教育委員会、社会福祉施設等の施設管理者は、災害発生時における園児・児童・生徒や施設利用者の安全を確保するため、実態に応じた避難計画を作成する。 1 区教育委員会 @?校長または幼稚園長(以下「校長等」という)は、災害発生時における園児・児童・生徒の安全確保と管理について万全を期するために、学校および地域の実態に応じて、具体的な避難計画を作成する。 A 校長等は、避難計画を園児・児童・生徒ならびに所属職員に周知徹底するとともに、その計画に基づき計画的に避難訓練を実施するように努める。 B 教育委員会や地域と連携し、区内防災訓練に積極的に取組む。 C 校長等は、避難計画を作成するにあたり、次の事項に留意する。 ・学校の防災組織に基づき、連絡・通報の方法および情報伝達の方法を確認すること。 ・災害発生の時間や場所に応ずる避難方法・経路を具体的に確立するとともに、園児・児童・生徒の登下校時における避難方法を想定し、防災区民組織(町会・自治会)との協力で、安全を確保できるようにすること。 ・名簿・非常災害時家庭連絡簿等、非常時に必要なものを表にして(「非常持ち出し一覧表」)すぐに搬出できるようにしておく。 ・帰宅できない児童等の対応、備蓄品等を避難所連絡会議で協議しておく。 ・保護者への引き渡しが困難な児童・生徒用に、児童・生徒数の3割の3日分の食料、飲料水および毛布を備蓄しておく。 2 区保育課 @ 園児名簿・緊急・非常災害連絡簿等、非常時に必要なものを表にして(「非常持ち出し一覧表」)すぐに搬出できるようにしておく。 A 「火災・震災・避難心得」をつくり、常時見やすい場所に掲示しておく。 B 年に1回避難計画を見直し、避難計画をもとに保育園の実情に合わせた避難訓練を月に1回実施するよう努める。 C 各保育園の備蓄庫にアレルギー対応食品や離乳食、オムツを含む園児3日分の備蓄を実施する。 3 社会福祉施設等の施設管理者 @ 社会福祉施設等の施設管理者は、災害発生時における施設利用者の安全を確保するため、実態に応じた避難計画を作成する。 A 職員に対し避難計画を周知徹底するとともに、その計画に基づいた避難訓練を定期的に実施する。なお、複合施設は、他施設と連携して避難訓練を実施する。 B?避難訓練を実施する場合は、施設利用者に対しても参加を働きかけることとし、職員・消防機関・施設利用者が協同して避難訓練を実施する。 C 施設利用者と、訓練、研修を行い、防災意識の向上を図る。 第6 避難所等の指定・安全化 ○区は、避難所等の指定基準や指定の現況等に基づき、さらなる機能の充実等を目指す。 ○区は、要配慮者等の生活スペースの確保を進める。 1 一時(いっとき)集合場所 (1)一時集合場所の選定基準 一時集合場所は、集合した人の安全が確保されるスペースを有し、地域住民の生活圏と結びついた学校のグラウンド、神社・仏閣の境内、公園、緑地、団地の広場等を基準として、区が選定する。 (2)一時集合場所の選定 混乱の発生を防止するために、避難場所に至る前に避難者が一時的に集合して集団を形成し、秩序正しい避難態勢を整える場所として、事前に防災区民組織(町会・自治会)単位で一時集合場所を区が選定する。 2 広域避難場所 ここでは、広域避難場所および避難道路の指定について定める。 (1)設置計画 @ 震災時においては、行政と住民が一体となって、出火防止、初期消火等被害の軽減のために全力を尽くすことが重要である。しかしながら、地震火災が拡大し、生命に危険が及ぶような場合には避難が必要となる。都では、そのような事態に備えて、あらかじめ広域避難場所および避難道路を確保している。 A 広域避難場所は、主として大地震時の市街地大火から区民の生命を守るため、あらかじめ安全な場所を確保するものであり、東京都震災対策条例第47条第1項に基づいて都が指定している。 (2)指定の考え方 @?周辺市街地大火によるふく射熱に対し、安全を確保できる有効面積があること。 A 震災時に避難者の安全を著しく損なうおそれのある施設が、避難場所内部に存在しないこと。 B 受入人員に対して、避難場所内の建物、道路、池などを除き、利用可能な避難空間として、原則として1人あたり1m2を確保できること。 C 避難場所ごとの地区割当計画の作成にあたっては、町丁目、町会・自治会区域を考慮する。 D 津波による浸水の危険性を考慮し、安全性の確保に努める。 ? (3)避難道路 ア 避難道路の指定 広域避難場所への避難には、任意の経路を利用することを原則としているが、遠距離避難地域または、火災による延焼の危険性が著しい地域については、避難者を安全、円滑に誘導するため、東京都震災対策条例第48条に基づき避難道路を都が指定している。 イ 指定の考え方 @ 広域避難場所までの距離が3q以上の遠距離避難地区、または、火災による延焼の危険性が著しく、自由避難が困難な地区について指定する。 A?避難道路は、原則として幅員15m以上とする。 図表2-53 区部避難道路系統 番号 避難 場所名 利用 区名 避難道路系統図 延長 距離 39 大井競馬場・ しながわ区民公園 品川  B区道準幹線32号→区道幹線一級7号→ (西大井六丁目)  (西大井一丁目) 2.2 (注)○内数字・・・・・避難道路系統番号 3 区民避難所 (1)区民避難所の指定基準 @?災害対策基本法第49条の7に基づき、区は地域防災計画において、あらかじめ避難所(福祉避難所を含む)を指定し、区民に周知しておく。 A 区民避難所の指定基準は、「大規模災害における応急救助の指針について(平成9年6月30日 社援保第122号厚生省社会・援護局保護課長通知)改正平成14年3月20日」を基におおむね次のとおりとする。 ・区民避難所は、原則として、町会・自治会等または学区域を単位として指定する。 ・区民避難所は、耐震・耐火・鉄筋構造を備えた公共建物等(学校等)を利用する。 ・区民避難所に受入れる避難者数は、おおむね居室3.3m2あたり2人とする。 ・区民避難所の指定にあたっては、津波等の浸水想定も考慮して選定する。 B 指定した区民避難所の所在地等については、警察署、消防署等関係機関に周知するとともに、東京都災害情報システム(DIS)への入力等により、都に報告する。 (2)区民避難所の指定 ア 基本的な考え方・経緯・現況 @ 区はこれまで、区立学校を避難所の中核とし、地域の防災拠点として位置付け、町会・自治会単位で区民避難所を指定してきた。 A この指定校方式は、区民に相当程度に定着し、分かりやすくかつ実践的であることから、令和4年の被害想定に対しても基本的考え方は、維持することとし、周辺施設との連携強化により、必要な対応を行うこととする。 B 震災時に、建物の倒壊・消失等により住居に制約を受けた区民等の一時的な生活場所として、区立学校46箇所および区立施設等6箇所を区民避難所に指定している。 C 被害想定による避難生活者増に対しては、これまで同様、区立学校等の教室および体育館を基本とする。 <区民避難所の受入基準> 3.3uあたり 2人 <避難所避難者の想定> 避難所避難者数        87,418人 受入計画  (内訳) 区民避難所      86,000人       補完避難所      38,000人         合 計      124,000人 ? イ 区民避難所の安全化 区民避難所に指定された建物は、建築年度を考慮して耐震診断に基づく補強工事や学校等の改築を計画的に進めてきた。これにより、災害時に安全な利用ができるよう努めている。 ウ 区民避難所の機能の充実 @ 区は、区民避難所となる施設において、避難者が安全に避難生活を過ごせるように、倉庫や学校の空き教室を利用して、備蓄を保管する場所を設け、食料・毛布・簡易トイレの備蓄物資や資機材を配備している。 A 避難所生活が、少しでもスムーズに送れるように、仮設トイレ用の便槽の設置、飲料水を確保するための受水槽遮断装置、生活用水を確保するための生活用井戸やプール水のろ過機の設置、さらには、停電時における電源確保のために全学校に非常用発電設備を設置しているとともに、災害時に優先して電話が使用できる災害用優先電話の設置など避難所機能の充実に努めている。 図表2-54 区民避難所の施設整備状況 施設種別 整備状況 備蓄倉庫 全施設整備済 ろ過機 全施設整備済 生活用井戸 43施設整備済 仮設トイレ用便槽 全施設整備済 非常用発電設備 全施設整備済 受水槽遮断装置 全施設整備済 B 区は、学校の屋上に校名表示板の設置、校門付近に避難町会名の表示板の設置、さらに受入教室に指定町会の表示板を設置し、地域の区民避難所の位置を防災地図に明示し住民に周知したところであり、今後も、避難所機能の一層の充実を図っていく。 C 区は、区民避難所における情報取得対策の充実を図る。 D 区は、区民避難所への避難経路の安全化を図っていく。 E 区は、区職員が不在の施設に関する指揮命令系統を確立しておく。 F 区は、指定管理者施設における災害対応について事前の取組みを協議しておく。 エ 区民避難所内における要配慮者スペースの確保 要配慮者も、区民避難所に避難を行うこととなるが、一般の避難者との同居が困難な人およびその家族のために、各避難所連絡会議等は、区民避難所の一部を要配慮者用にあらかじめ指定しておくこととする。また、円滑な避難生活を送ることができるように区民避難所となる施設の要配慮者利用を想定して、車椅子使用者対応トイレ等の設置、一般トイレの洋式化、育児・介助者同伴や性別に関わらず利用できる男女共用トイレ等の設置などバリアフリー化を推進する。 4 補完避難所 @ 区民避難所での受け入れが困難な状況となった場合の予備的な措置として、区は、児童センター、都立学校等を補完避難所として指定する。 A 区は、区民避難所が不足する場合に備え、民間施設等と災害時に補完避難所として施設を使用する内容の協定を結ぶなど、避難所の確保に努める。 5 福祉避難所 @ あらかじめ指定した避難行動要支援者は、福祉避難所にて受け入れることになる。区は、福祉避難所として、社会福祉施設等の利便性等の状況に鑑み指定しており、引き続き、施設を使用する内容の協定を結びながら確保していくとともに、移送、受入体制の整備を図っていく。 A 避難行動要支援者と介護者を1組で7u程度のスペースを確保する。 B 耐震・耐火に加えて避難行動要支援者の特性を踏まえ、努めてバリアフリーを備えた建物を利用する。 C 区は、備蓄品や関係機関との連絡体制の整備等により、防災機能の強化を図る。 D 避難行動要支援者に対して、円滑な情報伝達ができるよう、区は、多様な情報伝達手段の確保に努める。 6 その他避難所 区は、上記避難所等に加え、乳幼児や妊産婦の避難所等の開設について検討する。 ? 対策2 区民避難所の管理・運営体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・女性・要配慮者等の視点を踏まえた、避難所管理運営指針の改定や区市町村の避難所運営体制整備の支援 区 ・区職員向け避難所開設・運営マニュアルの更新 ・食料備蓄や必要な資機材、台帳等の整備 ・区民避難所の衛生管理対策の促進 ・ペットの同行避難の体制整備 ・都、関係団体等と協力した動物救護体制の整備 防災区民 組織等 ・避難所連絡会議の運営 ・施設単位の避難所開設・運営マニュアルの作成・更新 ・避難所運営訓練等 【具体的な取組】 第1 区民避難所の管理・運営体制の整備 ○区は、各避難所単位でのマニュアルを整備し、管理運営体制の充足を図る。また、避難所に対して、全避難所での受け入れを前提としたペットの同行ルールの設定等の対策を進める。 ○区は、災害時に区民避難所以外の避難者の避難先を区として把握することの重要性を区民へ周知する。 ○区は、地域の協力を得て、避難所外で生活する避難者の所在等を把握する手法の確立を目指す。 1 避難所連絡会議 避難所連絡会議は、避難所の円滑な運営を行うことを目的に平時より設置されている会議体である。 (1)避難所連絡会議の設置 ア 避難所連絡会議の組織 @ 避難所連絡会議は、防災区民組織が主体となり、学校職員、区職員等の協力の下に開催する。 A 避難所連絡会議の議長は、防災区民組織の本部長から選出する。 B 避難所連絡会議は、災害時に避難所運営会議へ移行する。 C 避難所連絡会議議長は、避難所運営会議議長へそのまま移行する。なお議長不在の際は、副議長がその任を担う。 イ 避難所連絡会議による運営体制の充実・強化 @ 平常時から施設管理者(校長または施設長)が事務局となり、避難所連絡会議を設置・運営し、区民避難所の管理・運営の方法、防災区民組織の役割等について決め、マニュアルの整備および訓練に向けた事務を担う。教職員は、在校中に発災した場合、児童・生徒の安全確保と安否確認、保護者への引き渡し、教育活動再開のための応急教育計画の作成・実施を優先的に行う。それらの業務が縮小し、さらに、区民避難所への避難者が増えてきた場合、避難所運営に可能な限り協力するものとする。 A 避難所運営訓練等を実施し、災害時に対応できる体制を整える。 B?区民避難所ごとに具体的な避難計画(避難所開設・運営マニュアル)を作成する。 C 区民避難所の統合、縮小、閉鎖を円滑に行うために、発災後の段階に応じた教育活動の再開に向けて、応急教育計画、学用品調達および支給計画を作成する検討を平常時より進めておく。 D 避難所内で使用する毛布、シーツ等については、状況に応じて、燃えにくい素材のもの(不燃性・難燃性のある製品、防炎品など)を使用するなど、適切な防火対策に努める。 ウ 区民避難所以外で生活する避難者の把握 @ 避難所以外で生活する避難者の情報を区民避難所単位でとりまとめることを基本とする。 A 避難所以外で生活する避難者は、最寄りの区民避難所へ避難先や避難環境等を連絡することとし、届出が必要なことについて、平常時から普及・啓発を行う。普及・啓発にあたって、避難所単位での避難所開設・運営マニュアルの事前対策として位置付ける等の対策を取る。 B さらに、避難所運営会議の構成員である防災区民組織は、避難所以外で生活する要配慮者について、避難行動要支援者名簿に基づき実態を把握するとともに、あわせて、その他の避難所以外で生活する避難者についても個別訪問等により実態の把握に努める。 ? 図表2-55 避難所運営組織図 (2)派遣職員への周知徹底 区民避難所に派遣される職員へ、あらかじめ指揮代行者、配置、本部への報告方法などを具体的に定めた「避難所の開設・運営マニュアル」を配布し、周知徹底を図っていく。 2 避難所開設・運営マニュアル (1)区職員向け避難所開設・運営マニュアルの整備 @ 区は、区民避難所の管理運営が混乱なく円滑に行われるよう、都が作成した「避難所管理運営の指針(区市町村向け)」および「避難所の防火安全対策」に基づき、主に区職員が活用する「避難所開設・運営マニュアル」を作成した。 A?熊本地震や近年の豪雨災害の教訓等を踏まえて、町会・自治会内でのテント生活者、車中避難者、在宅避難者への支援の協力、性的マイノリティや文化・宗教上の理由に配慮した避難所運営、ペット飼育対策等を反映させる等、避難所開設・運営マニュアルの見直しを図る。 B?区民避難所の運営は、女性や高齢者・障害者等、多様な視点での配慮が必要なため、区民避難所運営会議には女性や青年、子育て中の世代、福祉関係者など幅広い人材確保に努めるとともに、区民避難所運営会議の開催を通してネットワークの形成を図る。 (2)施設単位の避難所開設・運営マニュアルの整備 @ 施設単位での避難所開設・運営マニュアルをすべての区民避難所にて完備することを目指す。 A すでに作成済みの施設においても、熊本地震や近年の豪雨災害における避難所運営の教訓等を踏まえ、避難所運営におけるジェンダー・ギャップの解消、要支援者や在宅避難者への支援の協力、性的マイノリティや文化・宗教上の理由に配慮した避難所運営、ペット飼育対策に係る視点を追加し、さらなるレベルアップを推進する。 B 避難所開設・運営マニュアルに沿った避難所運営が可能なよう、避難所運営会議単位での避難所運営訓練を実施するよう努める。 3 区民避難所の設備、運営 @ 区は、区民避難所における受水槽、井戸、仮設トイレ、非常用設備、デジタル移動通信機・災害時優先電話等の通信機器、プライバシー確保用物品(パーテーション等)などのほか、要配慮者に必要な設備の拡充に努める。さらに、テレビ、ラジオ、インターネット接続機器、公衆電話、スマートフォン充電用蓄電池等、被災者による情報の入手に資する機器の整備を図る。また、停電時においても、施設・設備の機能が確保されるよう、自立・分散型電源の確保を推進する。 A 区民避難所の運営において、管理責任者に女性を配置するなど女性の参画を推進するとともに、男女のニーズの違いや性的マイノリティの多様性等に配慮する。特に、女性専用の物干し場、更衣室、授乳室の設置や生理用品、女性用下着の女性による配布、女性や子ども等に対する性暴力・DVの発生防止など、区民避難所における安全性とプライバシーの確保を図り、女性や子育て家庭、要配慮者等、多様なニーズに配慮した区民避難所の運営に努める。また、区は、文化・宗教上の理由に配慮した食料の備蓄、礼拝やプライバシーを確保することができる空間の整備に努める。さらに、排出される生活ごみの分別を徹底する。 B 区は、地域内の区立学校等を区民避難所として新たに指定したときは、食料の備蓄や必要な資機材、台帳等を整備するなど、避難所機能の強化を図る。 C 物資、情報および人的支援の充足状況を把握し不足するものについて区民避難所派遣職員を通じて区災害対策本部に要請する。 D 区民避難所においてボランティアを円滑に受け入れられるよう、体制整備を図る。 E 区では、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に係る避難所運営マニュアルを作成しており、マニュアルに基づき感染症対策を行うこととしている。また、感染症対策に必要な物資(マスク、手指消毒液、非接触型温度計、サーマルカメラ、簡易間仕切り、大型扇風機等)を区民避難所に格納している。さらに、夏季には熱中症の危険性が高まるため、区は、熱中症の予防や対処法に関する普及啓発に努める。 4 区民避難所の衛生・防火管理 @ 避難所運営会議の中に衛生管理担当を設置するなど、区民避難所の衛生管理対策を促進する。 A 避難所運営会議の中で、防火担当責任者を指定するなど、区民避難所の防火安全対策を促進する。 5 区民避難所における動物飼育対策 (1)基本的な考え方 @ ペットは、原則として、犬、猫等小動物とする。 A 災害時における動物飼育は避難所連絡会議等において、避難所単位で受入れ方針を検討することとする。区は、ペットの避難場所が不足する場合に、近隣避難所との調整役を担う。 B 災害時には、飼い主とともに同行避難してくるペットに対して、区民避難所における避難者の間でのトラブルの防止を図るため、避難所連絡会議等で区民避難所への同行の可否や、同行の可能な所定の区民避難所についてペットの避難エリアを定めるといった区民避難所における適正な飼育方法について対応策を検討していく。 <避難所におけるペットの受け入れ方針(例)> ・避難所では、人間の居住場所とペットの飼育場所を完全に分離し、ペットはケージ内・繋ぎ止めにより飼育する。 ・避難所でのペットの管理は、飼い主による自主管理を原則とする。 ・避難所に持ち込まれた飼い主不明動物は、都保健医療局が保護するまで、ペットと同じ場所で一時的に飼育する。 C 避難所連絡会議は、区民避難所へペットと同行避難を希望する避難者の把握に努める。 D 被災地区の動物の保護と救護については、迅速な対応が求められるため、区は、平素から関係団体等と連携・協力体制を築き対策を検討する。平成27年度に獣医師会との間で「災害時における愛護活動の救護活動等に関する協定」を締結、区は災害が発生し、動物救護が必要な場合、獣医師を区民避難所へ派遣し、動物の救護活動が円滑に行える体制を整えていく。 E ペットの保護に関しては、広域的な対応が必要であるので、区は、都に対して関係団体等との協力体制の確立を要請していく。 (2)獣医師会および都・区・区民(飼い主)の役割 ア 獣医師会の役割 ・被災動物の救護および応急措置 ・飼い主の判明しない被災動物死亡時の引取、埋葬等 ・その他必要な災害応急業務 イ 都(保健医療局)の役割 ・被災動物の保護 ・関係団体等との連絡調整 ・関係団体等との協働による「動物救援本部」の設置 ・区民避難所等におけるペットの適正飼育の指導等 ウ 区の役割 ・同行避難動物の飼育場所、最低限の食料備蓄等の確保 ・区民避難所等におけるペットの飼育状況の把握および都・関係団体への情報提供 ・区民避難所等におけるペットの適正飼育について避難所運営マニュアルに記載および指導等 ・施設単位の避難所開設・運営マニュアルによる訓練の実施 ・獣医師会との連携 エ 区民(飼い主)の役割 ・動物対策部(仮称)の立ち上げと運営 ・区民避難所で人間とペットが共存できるための飼育ルールに従うことの同意 ・動物対策部が行うべき作業への参加の同意 ・飼育場所の設営・維持 ・同行避難動物の管理・飼育 ・区との連絡 (3)区民への周知・啓発 @?人とペットの災害対策ガイドライン(環境省、平成30年3月)に基づき、災害発生時に、飼い主による同行避難や適正な飼育管理が行われるよう、区は、平常時から飼い主に対する啓発等の対策を講じる A 地区の防災訓練に都獣医師会品川支部も参加し、ペットの保護訓練やしつけ教室のなかで区民に対して積極的に啓発を図っていく。 B 区は、ペットを飼育する区民に対して、同行避難や区民避難所での飼育のためのケージ等最低限の物資を備蓄するとともに、個人備蓄(食料・水、ペットシーツ、トイレ用品等)を自ら実施するよう周知する。 C 区は、ペットとの同行避難が可能な区民避難所の周知、および区民避難所内での飼育についての同行避難ルールを検討するとともに、ルール・知識の普及・啓発に努める。 6 避難訓練 @ 区は、避難訓練により、避難経路、避難場所を周知する。 A 区は、避難訓練を通じ、児童・生徒自身の力で安全を確保する技術を習得させる。 B 区内一斉防災訓練において、本部訓練と合わせて避難所運営訓練を行い、通信等連携訓練を実施する。 C 校長等は、児童・生徒の引き渡し訓練を実施し、引き渡しルールについて教職員、保護者で共通理解を図る。 ? 対策3 要配慮者の安全確保 【各機関の役割 機関名 役   割 都 ・区市町村が行う避難行動要支援者に対する個別避難計画作成等の取組みを支援 区 ・要配慮者、避難行動要支援者、避難支援等関係者の定義 ・支援体制づくり(品川区要配慮者支援体制の拡充) ・福祉避難所の設置 防災区民組織・警察署・消防署・その他支援機関 ・地域における安全体制の確保 ・社会福祉施設等の安全対策の推進 【具体的な取組】 第1 要配慮者の安全確保 ○区は、品川区避難行動要支援者支援計画に位置付けた要配慮者対策に係る前提、考え方等に基づき、登録対象者に対して、避難行動要支援者名簿への登録の推進を図っていく。なお、要配慮者対策に係る前提、考え方については、品川区避難行動要支援者支援計画に位置付けている。 1 用語の整理 (1)要配慮者 要配慮者とは、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者である。 (2)避難行動要支援者 避難行動要支援者とは、要配慮者のうち災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者である。 (3)避難支援等関係者 避難行動要支援者の避難支援等に関係する者(防災区民組織、警察署、消防署、区、その他避難支援等の実施に携わる関係者)である。 ? 図表2-56 各用語の定義と関係 図表2-57 要配慮者(避難行動要支援者を含む)該当範囲 ? 2 避難行動要支援者の把握 災害対策基本法では、区が避難行動要支援者の把握に努めるよう定められており、災害時の円滑な状況把握等において、避難行動要支援者名簿は重要な役割を担う。避難行動要支援者名簿による対象者の把握は、避難行動要支援者支援の第一歩となる点を踏まえて、対策を進める。 (1)避難行動要支援者名簿の作成 @ 発災時に避難支援等関係者が避難行動要支援者の安否確認・救出救助・避難誘導を迅速かつ適切に行えるよう、区は、避難行動要支援者名簿を以下のとおり作成する。 A 品川区における避難行動要支援者名簿として、品川区避難行動要支援者名簿(名簿A:発災時外部提供用)と品川区避難行動要支援者名簿(名簿B:平常時外部提供用)があり、品川区避難行動要支援者名簿を包括している。 <避難行動要支援者名簿について> ・名簿A:品川区避難行動要支援者名簿(発災時外部提供用):避難行動要支援者に該当する者すべてが登録された名簿。災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合は個人情報の外部提供についての同意の有無にかかわらず避難支援等関係者その他の者に外部提供することができる。 ・名簿B:品川区避難行動要支援者名簿(平常時外部提供用):地域における支援体制構築のため、避難行動要支援者に該当する者で以下の(1)〜(4)のうち個人情報の外部提供への同意者のみが登録された名簿。平常時より避難支援等関係者に配付し、「品川区避難支援個別計画書」の作成や訓練実施など地域における支援体制構築のために活用する。 (1)要介護度1〜5の認定を受けている高齢者 (2)身体障害者手帳所持者のうち1級〜3級に該当する者 (3)愛の手帳所持者のうち1度〜2度に該当する者※ (4)(1)〜(3)に該当しない者のうち本名簿への登録を特に希望する者で避難誘導に支援が必要と区が判断する者  ※施設入居・入所者等は該当範囲に含まない。 (2)避難行動要支援者名簿の情報入手、登録・更新方法 ア 名簿A:品川区避難行動要支援者名簿(発災時外部提供用) @ 関係各課が把握している避難行動要支援者の情報を入手し、登録する。 A?避難誘導に支援が必要と自ら希望した者の申請に基づき情報を入手し、登録する。 B 住民基本台帳情報の更新、関係各課が所持する情報の更新を行う。 イ 名簿B:品川区避難行動要支援者名簿(平常時外部提供用) @ 毎年、未登録者および新規対象者に意向調査を実施し、個人情報外部提供同意書に同意した避難行動要支援者の情報を登録する。 A 避難誘導に支援が必要と自ら希望した者の情報を入手し、登録する。 B 情報変更確認調査による情報更新を行う。 (3)避難行動要支援者名簿の外部提供および個人情報保護に関する措置 区は、避難行動要支援者名簿を外部提供する場合、外部提供をした避難支援等関係者に対し、品川区避難行動要支援者名簿の取扱いに関する教示書の提供や受領書兼誓約書の提出等の個人情報保護対策を講じる。 3 支援体制づくり(品川区要配慮者支援体制) @ 発災時における要配慮者の被害を最小限にとどめるためには、要配慮者の支援に関わるすべての人が協力し、対応することが重要である。そのために、自助・共助・公助の理念に基づきそれぞれが役割を担って行動し、要配慮者を支援する体制(品川区要配慮者支援体制)を構築する。 A?区は、平常時において要配慮者を含め各関係者と協力・連携しながら支援体制を構築し、発災時において迅速かつ円滑な支援を実施することを責務とする。 B 要配慮者および各関係者は、それぞれの役割を理解し支援体制構築および発災時の支援実施に可能な限り協力することに努める。 C?区は、「品川区避難行動要支援者支援計画」を策定し、要配慮者支援における具体的な内容を取りまとめており、計画に基づき支援体制の構築を推進する。 D 区は、複数の情報伝達手段による区民への情報提供体制の整備を推進している。高齢者や障害者など要配慮者の個々の状態(視力低下、聴覚障害等)にあった情報伝達方法を検討し支援体制づくりを行う。 4 安否確認・避難誘導体制づくりのための訓練と研修の実施 (1)しながわ防災学校による研修の実施 区は、要配慮者の支援体制づくりを推進するために地域の防災リーダーを育成する研修を、しながわ防災学校の地域防災ベーシックコースや地域防災ステップアップコース等にて実施する。また、しながわ防災体験館の要配慮者避難誘導体験等を活用する。 (2)避難誘導ワークショップの実施支援 @ 傾斜が多い地域、海抜の低い地域、マンションが多い地域、木密地域など各地域性に応じた避難誘導が行えるよう、区は、防災区民組織など地域住民の協力により避難誘導ワークショップを区内全域で引き続き実施していく。 A 避難誘導ワークショップでは、発災時を想定し避難行動要支援者の避難誘導ルートを設定し模擬的に避難誘導を行うことで、危険箇所や防災設備等を把握しつつ避難誘導時に配慮が必要となる事項を検証し、支援体制の拡充に役立てる。 B 全町会・自治会で最低1回はワークショップを実施するよう、区は引き続き、防災区民組織に働きかけを行う。 C 区は、しながわ防災学校を活用し、町会・自治会自らが避難誘導ワークショップを行える体制整備を支援する。 (3)各種防災訓練の実施 総合防災訓練や区民避難所または防災区民組織等の単位で行われる訓練などで避難誘導ワークショップの実施や区民避難所における要配慮者への配慮に関する学習などを行うことを通じ、支援内容に具体性を持たせていく。 (4)品川区避難支援個別計画書の作成 @ 避難行動要支援者の支援体制を実効性のあるものにするために、区および防災区民組織において個々の避難行動要支援者ごとに支援者や支援方法等を定めた計画書(品川区避難支援個別計画書)を作成していく。 A 個別計画書の作成対象者の区分ごとに区の担当部署を定め、個別計画書を作成していく。 B 区は、個別計画書の作成のほか、介護や障害の程度により防災区民組織等による避難誘導が難しい避難行動要支援者の支援を行う上で、医療関係者や福祉専門職等の避難支援等関係者以外の支援者の確保に努める。 C 区は、避難支援等関係者等の安全確保に努める。 D 避難支援等関係者等は相互に連携し、平常時の支援体制づくりや発災時の要支援者の安否確認・救出救助・避難誘導の実施を行うが、その支援に際しては自身の身の安全に十分配慮する必要がある。 E 避難支援等関係者等は自身もしくは自身の家族等の生命および身体の安全を守ることを前提として可能な範囲での支援を行うものであり、支援の義務が課されるものではない。 5 区民避難所の設置と受け入れ体制の強化 (1)要配慮者に対応した各区民避難所の運営体制づくり @ 区民避難所で、要配慮者を受け入れるにあたっては、それぞれの特性を踏まえた対応が求められることから、平常時より要配慮者の特性の理解啓発に努める。 A 各避難所連絡会議等で区民避難所となる学校の一部を要配慮者用に指定するなど要配慮者が避難所生活者となることを想定し、発災時に対応できるような体制づくりを進める。 B 区は、要配慮者が避難所において避難生活を送るうえで必要な食料、生活用品や簡易トイレ・毛布・大人用おむつ等の備蓄をするとともに、物資の調達体制を確立する。 (2)福祉避難所の設置 あらかじめ指定した避難行動要支援者は福祉避難所で保護することとなるため、災害協定を締結した区内社会福祉法人等と区が協力し、発災に備えた準備を行う。 6 在宅避難をしている要配慮者への支援 区は、在宅避難をしている要配慮者への支援方法を検討していく。 7 福祉ボランティア、他都市応援職員の活用 区は、福祉ボランティア、他都市応援職員の活用に関する事前対応を検討していく。 8 地域・警察署・消防署・その他支援機関 要配慮者に対し、防災区民組織、警察署、消防署等の避難支援等関係者が行う安全確保対策を定め、これを推進する。 (1)地域における安全体制の確保 日頃からの見守り隊など様々な活動を通して、生活全般に介助の必要な高齢者、身体障害者等の避難行動要支援者の安全確保は、近隣住民である防災区民組織や地域住民・警察署・消防署・社会福祉施設等による協力、連携の体制を平常時から確立していく。 (2)その他支援機関の安全対策の推進 @?区は、社会福祉施設等において支援体制づくりへの協力、施設と周辺地域の事業所、町会等との間、および施設相互間の災害応援協定等の締結を促進する。 A 区は、各施設の自衛消防訓練の充実指導に努める。 ? 対策4 在宅避難 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・高層マンションにおける「東京とどまるマンション」の普及広報 区 ・在宅避難の普及 ・在宅避難者の支援方法の検討 【具体的な取組】 第1 在宅避難の普及 ○区は、在宅避難のための備えについて周知する。特に耐震性能の高いマンションについて地震災害時は在宅避難を基本とし、自助の取組みについて周知する。 1 在宅避難のための備えの周知 災害発災後、自宅の被害が軽微で、安全が確保され居住できる場合、在宅避難が可能となる。区は、家具等の転倒・落下防止、ガラスの飛散防止、7日間分以上の飲料水・食料・生活用品の家庭内備蓄、循環備蓄(ローリングストック)等、自助の取組みについて啓発を行う。 特に耐震性能の高いマンションについて地震災害時、区では在宅避難を基本とし、自助の取組みについて周知する。また、マンション居住者と地域住民との間の共助の仕組みづくりについて、その啓発に努める。 第2 在宅避難者の支援方法の検討 ○区は、区民避難所における在宅避難者を対象とした支援の方法について検討する。 ○区は、在宅避難をしている要配慮者等への支援方法を検討する。 1 区民避難所における支援 区は、避難所運営会議等と連携し、区民避難所における在宅避難者を対象とした食料・生活用品等の配布、保健医療サービスや防災情報の提供など、生活環境の整備に必要な支援について検討し、避難所開設・運営マニュアルの見直しに努める。 2 要配慮者等への対応 区は、在宅避難をしている要配慮者等を対象とした栄養相談や健康相談、災害時特有のPTSDに対するきめ細かいメンタルケア等、支援方法を検討していく。 第9章 帰宅困難者対策 対策の基本的な考え方 帰宅困難者が徒歩で帰宅することにより、関係行政機関等による応急活動に支障をきたすことに加え、余震の発生等により徒歩帰宅者自身にも危険が及ぶおそれがある。このため、帰宅困難者の発生の抑制および混乱収拾後に帰宅を始める帰宅困難者の支援が必要である。 ここでは、事業者等による従業員等を施設内で待機させるための対策、行き場のない帰宅困難者を受け入れる施設の確保および混乱収拾後の帰宅支援対策について示す。 各対策の要点 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 第1 従業員等の施設内待機・帰宅抑制 ○事業者等は、従業員等が施設内で待機できるよう、施設の安全を確保するとともに、従業員等向けの飲料水・食料等の備蓄を確保する。 ○事業者等は、発災時に来客者等が滞在している可能性も考慮し、来客者等向けの飲料水・食料等の備蓄に努めなければならない。 第2 施設利用者受入体制の確保 ○事業者等は、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会で取りまとめた「大規模な集客施設や駅等における帰宅困難者対策ガイドライン」を参考として、施設利用者保護に係る対策を事業所防災計画等へ反映する。また、検討した対策を関係者や従業員等に周知するとともに、訓練の実施を通じ定期的に対応を確認し、防災力向上に努める。 対策2 滞留者への情報提供体制の整備 第1 区として実施する帰宅困難者対策 ○区は、帰宅困難者を含めた滞留者の混乱を防止し適切な情報共有・提供を行うために、通信事業者と連携して、災害用伝言ダイヤルや災害伝言板等の情報通信体制の整備を進める。また、これらの普及啓発に向け、パンフレット配布等を実施する。 対策3 一時滞在施設の確保および支援体制の整備 第1 区として実施する帰宅困難者対策 ○区は、発災時において行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設を確保する。 ○区は、一時滞在施設として確保した施設に、3日分の飲料水・食料等を備蓄する。 ○区は、女性や要配慮者等のニーズを考慮した帰宅困難者対策を進める。 第2 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 ○区は、行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の確保のため、事業者等に協力の呼びかけを行う。 ○区は、ターミナル駅周辺での多数の滞留者の発生に備え、事業者等および関係行政機関等を構成員とした駅周辺帰宅困難者対策協議会を設置し、地域の支援ルールを定め、訓練等の実施により混乱防止体制を確立する。また、大崎駅周辺地域では都市再生安全確保計画を、大井町駅と目黒駅ではエリア防災計画を作成しており、必要に応じて計画の修正を行う。 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 第1 徒歩帰宅者の帰宅支援 ○区は、徒歩帰宅者の円滑かつ安全な帰宅を支援するため、都の災害時帰宅支援ステーションの設置に協力するとともに、徒歩帰宅者支援のための備蓄品を確保する。 ○区は、徒歩帰宅者を支援するための体制を構築する。 ○区は、混乱収拾後の徒歩帰宅者支援を想定した訓練の実施を通じた体制整備を進める。 【用語の解説】 @帰宅困難者 「帰宅困難者」とは、遠方に外出しているなどの理由により一般的に徒歩での帰宅が困難な者のことをいう。距離別の帰宅困難割合の考え方を下表に示す。 図表2-58 距離別帰宅困難割合 自宅までの距離 帰宅困難割合 〜10km 全員帰宅可能(帰宅困難割合=0%) 10km〜20km 被災者個人の運動能力の差から、帰宅困難者割合は1km遠くなるごとに10%増加 20km〜 全員帰宅困難(帰宅困難割合=100%) A徒歩帰宅者 「徒歩帰宅者」とは、徒歩での帰宅が可能で、徒歩による帰宅を行う者をいう。 B一時滞在施設 「一時滞在施設」とは、都や区が指定、もしくは協定を締結した事業者等の施設であり、滞在すべき場所を持たない滞留者を一時的(最長3日間)に受け入れる施設をいう。 C長周期地震動 「長周期地震動」とは、規模の大きな地震が発生した場合、長周期の地震波が発生し、震源から離れた遠方まで到達して、平野部では地盤の固有周期に応じて長周期の地震波が増幅されることをいう。継続時間も長くなることがある。 D災害時帰宅支援ステーション 「災害時帰宅支援ステーション」とは、学校等の公共施設や、沿道に多数の店舗があるコンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンド等の民間施設のうち、都との協定に基づき災害時の帰宅支援を行う指定された施設をいう。店舗には、都から提供をうけるステッカー等を利用者に見えやすい入口等に掲出している。 災害時帰宅支援ステーションが徒歩帰宅者に対して行う主な支援内容は、水道水およびトイレの提供、地図等による道路情報およびラジオ等で知り得た通行可能な道路等の情報提供等である。 ※店舗の被害状況により、支援を実施できない場合もある。 図表2-59 災害時帰宅支援ステーションステッカー ? 対策 対応テーマ 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 対策2 滞留者への情報提供体制の整備 対策3 一時滞在施設の確保および支援体制の整備 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 【各機関の役割】 機関名 役  割 都 ・事業所の防災対策・帰宅困難者対策の強化 事業者等 ・従業員等の施設内待機計画の策定 ・従業員等のための3日分の飲料水・食料等の確保 ・来客者等のための備蓄の推進 ・施設の安全確保 ・従業員等の安全確保 【具体的な取組】 第1 従業員等の施設内待機・帰宅抑制 ○事業者等は、従業員等が施設内で待機できるよう、施設の安全を確保するとともに、従業員等向けの飲料水・食料等の備蓄を確保する。 ○事業者等は、発災時に来客者等が滞在している可能性も考慮し、来客者等向けの飲料水・食料等の備蓄に努めなければならない。 1 事業者等における施設内待機計画の策定 @?事業者等は、「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン(平成27年3月)」を参考に、従業員等の施設内待機・帰宅抑制に係る事項を、あらかじめ事業所防災計画、事業継続計画(BCP)その他の内部規則に定める。 A?必要に応じ、他の事業者等や関係行政機関等との連携、地域における帰宅困難者対策等の取組みへの参加について事業所防災計画等に明記する。 B 事業者等は、施設内待機・帰宅抑制に係る事項を全従業員等に周知する。 2 事業所等における飲料水・食料等の備蓄の確保 @ 事業者等は、従業員等が施設内で待機できるよう、3日分の飲料水・食料等の備蓄に努めなければならない。 A 事業者等は、関係行政機関等による応急活動が優先される発災後3日間は、従業員等の一斉帰宅による大規模な交通渋滞の発生防止および従業員等の安全確保の観点から、事業者等が従業員等を施設内に待機させる必要がある。このことから、備蓄量の目安は3日分となる。 ただし、次の点に留意する必要がある。 【一斉帰宅抑制における従業員等の備蓄の考え方について】 1 対象となる企業等 首都直下地震発生により被災の可能性がある国、都、区市町村の官公庁を含む全ての事業者 2 対象となる従業員等 雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員 3 3日分の備蓄量の目安 飲料水については、1人あたり1日3リットル、計9リットルとする。 主食については、1人あたり1日3食、計9食とする。 毛布については、1人あたり1枚とする。 その他の品目については、物資ごとに必要量を算定する。 4 備蓄品目の例示 (1)飲料水:ペットボトル入り飲料水 (2)主食:アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺 ※飲料水や食料の選択にあたっては、賞味期限に留意する必要がある。 (3)その他の物資(特に必要性が高いもの) 毛布、簡易トイレ、衛生用品、敷物(ビニールシート等)、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池、救急医療薬品類 (備 考) 1 上記品目に加えて、事業継続等の要素も加味して、企業ごとに必要な備蓄品を検討していくことが望ましい。 (例)非常用発電機、燃料、工具類、調理器具(携帯用ガスコンロ、鍋等)、副食(缶詰等)、ヘルメット、軍手、自転車、地図 2 企業等だけでなく、従業員自らも備蓄に努める。 (例)非常用食品、ペットボトル入り飲料水、運動靴、常備薬、携帯電話用電源 B?事業者等は、共助の観点から、来客者等に対応するため一割程度多めの備蓄に努める。 3 施設内の安全措置の確保 @ 事業者等は、日頃から耐震診断・耐震改修やオフィスの家具類の転倒・落下・移動防止措置、事務所内のガラス飛散防止措置その他の施設内の安全措置に努める。 A 発災時の建物内の点検箇所を事前に定め、安全点検のためのチェックリストを作成する。また、停電時の対応も含め、建物の安全確保の方針について、事業所防災計画等で具体的な内容をあらかじめ定める。なお、高層ビルについては、高層階で大きな揺れの影響を受ける長周期地震動への対策を進める。 4 従業員等の安否確認手段等の確保 @?事業者等は、発災時における従業員等との連絡の手段・手順を定める。従業員等が安心して施設内に待機できるよう、家族等との安否確認手段を従業員へ周知を図る。 A?外出する従業員等は、事前に訪問先を告げ、急な変更の場合は、なるべくメール等を活用して所在場所を職場に連絡するなど、発災時に事業者等が従業員等の居場所を把握できるよう平素から努める。 B?安否確認は、電話の輻輳や停電等の被害を想定し、以下の手段のうち、それぞれの通信手段網の特性を踏まえて複数の手段を確保しておくことが望ましい。 ・固定および携帯電話の音声ネットワークを利用するもの (例)災害用伝言ダイヤル171 ・固定および携帯電話のパケット通信ネットワークを利用するもの (例)災害用伝言板、web171、災害用音声お届けサービス、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、IP電話 等 C 事業者等は、従業員等に対し家族等との安否確認の訓練を行うようにする。 D?自衛消防訓練等を定期的に実施する際に、施設内待機に関する訓練を行い、施設内待機の手順等について確認し、必要な場合は改善を行う。 E 事業者等は、年1回以上の訓練を定期的に行い、その結果は必ず検証し、事業所防災計画等に反映させる。 5 帰宅困難者対策に係る周知・啓発 区は、事業者等において帰宅困難者の発生を抑制するため、経済団体等と協力して事業者等に対して、区の帰宅困難者対策について周知・啓発を行う。 第2 施設利用者受入体制の確保 ○事業者等は、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会で取りまとめた「大規模な集客施設や駅等における帰宅困難者対策ガイドライン」を参考として、施設利用者保護に係る対策を事業所防災計画等へ反映する。また、検討した対策を関係者や従業員等に周知するとともに、訓練等を通じ定期的に対応を確認し、防災力向上に努める。 1 集客施設および駅等の施設利用者保護 @?事業者等は、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会で取りまとめた「大規模な集客施設や駅等における帰宅困難者対策ガイドライン」を参考に、施設利用者の保護に係る事項を計画し、あらかじめ事業所防災計画等に反映させる。その際、他の事業者等との連携、関係行政機関との連携、地域における帰宅困難者対策等の取組みへの参加などについても明記するよう努める。 A?建物所有者とテナントが存在する複合ビルの場合、事業者等は、建物ごとの個別の事情に応じて、あらかじめ役割分担を取り決める。 B?事業者等は、施設利用者の保護に係る事項をマニュアル等にまとめた後、必要な箇所に配置し、発災後に直ちに確認できるようにする。また、あらかじめ全従業員等に周知し、理解の促進を図る。 C?事業者等は、施設利用者の安全確保のため、発災直後の施設内待機や安全な場所への誘導や案内手順について、あらかじめ検討する。あわせて、必要と考えられる備蓄品の確保や必要とする人への提供方法、車椅子や救護用担架など要配慮者や急病人への対応および女性への配慮についても具体的に検討しておく。 D?事業者等は、日頃から家具類の転倒・落下・移動防止措置、施設内のガラス飛散防止措置その他の施設内の安全措置に努める。なお、高層ビルについては、高層階で大きな揺れの影響を受ける長周期地震動への対策を進める。 E?事業者等が管理する施設に隣接して、道路や通路、広場等、自治体等が管理所有する施設がある場合は、これらの自治体等の管理者と連携して施設の安全確保を行う必要がある。 F?事業者等は、施設の安全点検のためのチェックリストを作成するとともに施設利用者が待機するための施設内の安全な待機場所リストも準備する。 G?事業者等は、施設の特性や事情に応じて、施設利用者保護のために必要となる飲料水・食料等を備蓄する。 H?事業者等は、訓練等を定期的に実施することにより、施設利用者保護の手順について確認し、必要な場合は改善を行う。 I 事業者等は、建物所有者、施設管理者、テナント事業者と相互に協力し、年1回以上の訓練を定期的に行い、その結果を必ず検証し、事業所防災計画等に反映させる。 ? 対策2 滞留者への情報提供体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・帰宅困難者対策におけるシステムの整備 ・都立一時滞在施設におけるWi-Fiおよび災害時用公衆電話の整備 区 ・通信事業者等との協力体制の構築 事業者等 ・情報通信基盤および情報提供体制を整備 【具体的な取組】 第1 区として実施する帰宅困難者対策 ○区は、帰宅困難者を含めた滞留者の混乱を防止し適切な情報共有・提供を行うために、通信事業者と連携して、災害用伝言ダイヤルや災害伝言板等の情報通信体制の整備を進める。また、これらの普及啓発に向け、パンフレット配布等を実施する。 1 滞留者への情報通信体制の整備 (1)通信事業者との連携による情報通信体制の整備 区は、震災時の滞留者に対する災害関連情報の提供を行うため、通信事業者と連携して、情報通信基盤および情報提供体制を整備する。 (2)通信事業者による取組み 通信事業者は、あらかじめ行政機関や報道機関と連携協力して、事業者等および帰宅困難者が必要な情報を得られる仕組みを構築する。また、防災訓練等においてパンフレットの配布等を実施し、災害用伝言ダイヤル、災害伝言板等の普及啓発に努める。 (3)災害関連情報を提供する仕組みの検討 区は、無人航空機(ドローン)、デジタルサイネージ等、様々な手法を活用し滞留者へ災害関連情報を提供する仕組みを検討する。 ? 対策3 一時滞在施設の確保および支援体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・一時滞在施設の確保 ・一時滞在施設における電力・通信体制の強靭化の推進 区 ・一時滞在施設の確保 ・行き場のない帰宅困難者向けの備蓄品の備蓄 ・女性や要配慮者等のニーズを考慮した帰宅困難者対策の推進 ・事業者等との協力体制の構築(駅周辺帰宅困難者対策協議会の設置) ・事業者等への帰宅困難者対策に係る周知・啓発 事業者等 ・駅周辺帰宅困難者対策協議会への参画 経済団体等 ・一斉移動の抑止と安否確認 ・正確な情報の入手と自らの判断による対応行動 【具体的な取組】 第1 区として実施する帰宅困難者対策 ○区は、発災時において行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設を確保する。 ○区は、一時滞在施設として確保した施設に、3日分の飲料水・食料等を備蓄する。 ○区は、女性や要配慮者等のニーズを考慮した帰宅困難者対策を進める。 1 一時滞在施設の確保 (1)一時滞在施設の確保 区は、発災時において行き場のない帰宅困難者を受け入れ、混乱の発生を防止するため、事業者等の協力を得て一時滞在施設の確保に努める。 (2)女性や要配慮者等に配慮した一時滞在施設の確保 区は、一時滞在施設を確保するにあたっては、女性や要配慮者等が滞在しやすい一時滞在施設を確保するよう努める。 2 飲料水・食料等の備蓄 (1)行き場のない帰宅困難者用の飲料水・食料等の備蓄およびそのスペースの確保 区は、事業者等の協力を得て一時滞在施設を確保する際には、備蓄品を保管するためのスペースをあわせて確保し、その施設に3日分の飲料水・食料等を備蓄する。 また、各種の情報収集や安否確認などに用いるスマートフォン等の電源対策として、各主要駅周辺に蓄電池を配備する。 (2)女性や要配慮者のニーズに対応した備蓄の推進 区は、帰宅困難者対策を進めるにあたり、生理用品やおむつ等、女性や要配慮者のニーズを考慮した備蓄品の確保に努める。 第2 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 ○区は、行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の確保のため、事業者等に協力の呼びかけを行う。 ○区は、ターミナル駅周辺での多数の滞留者の発生に備え、事業者等および関係行政機関等を構成員とした駅周辺帰宅困難者対策協議会を設置し、地域の支援ルールを定め、訓練等の実施により混乱防止体制を確立する。また、大崎駅周辺地域では都市再生安全確保計画を、大井町駅と目黒駅ではエリア防災計画を作成しており、必要に応じて計画の修正を行う。 1 一時滞在施設の提供に対する協力依頼 区は、発災時に行き場のない帰宅困難者を受け入れるため、一時滞在施設の確保に努める。このため、区内の事業者、集合住宅の管理組合等に呼びかけを行い、協力を求める。なお、指定管理施設については協定を締結し、可能な限り協力を促す。 2 駅周辺帰宅困難者対策協議会による活動 区は、ターミナル駅周辺に多くの滞留者が発生した場合に備え、周辺の事業者等および関係行政機関等と連携して駅周辺帰宅困難者対策協議会を設置し、災害時の構成員の役割を定める。 【平時における駅周辺帰宅困難者対策協議会の主な活動】 ・地域の特性、課題を踏まえた地域の支援ルールの作成 ・地域の支援ルールに基づいた滞留者誘導訓練や情報連携訓練の実施 @ 駅周辺帰宅困難者対策協議会では、首都直下地震発生時のターミナル駅周辺の混乱防止と滞留者の安全確保のため地域の支援ルールを作成する。区は、平成25年度に目黒駅周辺地域において、平成28年度に大井町駅周辺地域において、平成30年度に大崎駅および五反田駅周辺地域において、地域の支援ルールを作成した。今後、訓練を通じて、地域の支援ルールを検証し、実効性の向上を図る。また、大規模災害時における駅周辺の安全確保と混乱の防止に向けて、大崎駅周辺地域(大崎駅・五反田駅)では都市再生安全確保計画を、大井町駅と目黒駅ではエリア防災計画を作成しており、必要に応じて計画の修正を行う。 A?地域の支援ルールには、対象となる地域の特性や平常時および発災時の構成員の役割、活動の拠点や活動に必要な資機材の一覧その他必要な事項を定める。 B 駅周辺帰宅困難者対策協議会では、地域の支援ルールに基づき、平素から情報連携訓練や滞留者誘導訓練を行い、必要に応じて地域の支援ルールを見直すことにより、発災時における協議会による混乱防止のための活動の有効性を高める。 C?一時滞在施設の運営にあたっては、品川区一時滞在施設運営マニュアル等を活用する。? 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 【各機関の役割】 機関名 役  割 都 ・災害時帰宅支援ステーションの設置推進 ・徒歩帰宅者の輸送手段の検討、整備 区 ・国、都、近隣区市町村、地域と連携した徒歩帰宅者支援体制の構築 ・事業者等および徒歩帰宅者に対する情報提供体制の構築 ・徒歩帰宅者支援に係る訓練の実施 事業者等 ・帰宅ルールの策定 ・徒歩帰宅者支援体制への参画、協力 従業員等 ・日頃からの災害に対する準備 【具体的な取組】 第1 徒歩帰宅者の帰宅支援 ○区は、徒歩帰宅者の円滑かつ安全な帰宅を支援するため、都の災害時帰宅支援ステーションの設置に協力するとともに、徒歩帰宅者支援のための備蓄品を確保する。 ○区は、徒歩帰宅者を支援するための体制を構築する。 ○区は、混乱収拾後の徒歩帰宅を想定した訓練の実施等を通じた体制整備を進める。 1 徒歩帰宅支援場所の確保 (1)災害時帰宅支援ステーション設置推進に係る都への協力 都が帰宅支援対象道路として指定している第一京浜、第二京浜、および中原街道の周辺では、発災後、概ね4日を経過し混乱が収拾した後に帰宅を始める多くの徒歩帰宅者の通過が予想される。これら多くの徒歩帰宅者の支援のため、コンビニエンスストアやガソリンスタンド等の災害時帰宅支援ステーションの設置を、区は都と連携し推進していく。 (2)徒歩帰宅者支援のための備蓄 区は、混乱収拾後の徒歩帰宅者支援のため、区の施設等を活用して飲料水・食料等の備蓄に努める。 2 徒歩帰宅者支援体制の構築 (1)地域と連携した徒歩帰宅者支援体制の構築 区は、混乱収拾後の徒歩帰宅者を支援するため、区内の事業者等と連携し、支援体制を構築する。 (2)徒歩帰宅者支援における近隣区市町村との協力体制の構築 区は、都心から神奈川県方面への徒歩帰宅者が多く発生すると予想されることから、徒歩帰宅者支援にあたっては、近隣区市町村、特に隣接区と協力して実施する。 3 徒歩帰宅者を想定した訓練の実施 区、通信・交通事業者、事業者等は、連携して訓練を実施し、災害時帰宅支援ステーション、赤十字エイドステーションの開設や事業者等の帰宅ルールの検証など、徒歩帰宅支援の充実を図るとともに、情報共有を図る。 4 帰宅ルールの策定 事業者等は、混乱が収拾した後に従業員等を帰宅させるため、あらかじめ帰宅ルールを事業所防災計画等に定める。 5 従業員等の日常からの備え 従業員等は、災害時に徒歩帰宅することを考慮し、スニーカーなどの歩きやすい靴の準備や連絡手段を事前に家族で話し合うなど、日常から備えるよう努める。 ? 第10章 受援体制 対策の基本的な考え方 震災時には、多くの支援が必要となり、人的、物的の両面において、品川区災害時受援計画を踏まえ、国、都、他の地方自治体、関係機関から支援を受けるための受援体制の構築が必要である。さらに、区内の大使館や領事館を通して海外からの広域支援があることも想定し、より多くの支援を円滑に受入れ、適切な災害対応につなげていくことが重要である。 ここでは、人的・物的支援の受入れ時における対応および円滑な受入れに向けた体制整備について示す。また、「東京都災害時受援応援計画」を踏まえ、都との協力体制の充実・強化を図るよう努める。 各対策の要点 対策1 受入体制 第1 受入体制構築に向けた基本方針 ○区のみでは対応が困難な場合、他の地方自治体や関係機関の協力を得る必要がある。区は、広域支援を円滑に受入れるための体制を整備する。 第2 受入体制の整備 ○区は、他の地方自治体、専門機関、民間団体等からの適切な支援を受入れるために、平常時より受入体制の充実を図る。 第3 受入体制の充実に向けた取組み ○区は、協定の実効性強化や訓練、既往災害の教訓等を踏まえた受援マニュアルの作成により、さらなる受入体制の充実を図る。 対策2 人的支援の受入れ 第1 人的支援の受入体制構築に向けた基本方針 ○発災時、人的支援の受入れを円滑に実施するため、区は、受援業務の手順や区災害対策本部内の役割分担を明確にする。 第2 応援団体の受入体制の整備 ○区は、地方自治体や専門機関、民間団体、ボランティア等を円滑に受入れるために事前に想定可能な事項(支援内容、活動拠点、宿泊場所等)の検討を進める。 対策3 物的支援の受入れ 第1 物的支援の受入体制構築に向けた基本方針 ○区は、円滑な支援物資の受入れ、配分、避難所等への輸送を行うためのさらなる輸送体制の充実を図る。 第2 支援物資等の受入体制の整備 ○区は、地域内輸送拠点の施設整備および拠点の運営方法の具体化等の具体的な手順、役割分担の明確化等を進める。 第3 義援物資の受入れ ○区による義援物資の取扱いは、被災者のニーズを踏まえ、受付の要否や問い合わせ等を広報するなど迅速に対応する。 【用語の解説】 @ボランティア(専門ボランティア・一般ボランティア) ボランティアとは、社会福祉事業などに自発的に奉仕活動をする人をいう。本計画では、被災地の復旧・復興のためにボランティア活動をする人を言う。また、専門的な技能を有する専門ボランティアと、一般的なボランティアに分類される。  A地域内輸送拠点 区が避難所等へ食料、生活用品を輸送するための仕分け、一時保管機能を持つ場所のことをいう。 Bボランティアコーディネーター 災害時のボランティア活動を円滑に行うため、ボランティアの受入れや活動先の調整など、災害ボランティア活動の中核的な役割を担うボランティアのことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 受入体制 対策2 人的支援の受入れ 対策3 物的支援の受入れ 対策1 受入体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・他の地方自治体や関係機関、民間団体等との受入体制構築 ・協定の実効性強化 ・訓練の実施 ・受援マニュアル等の作成 【具体的な取組】 第1 受入体制構築に向けた基本方針 ○区のみでは対応が困難な場合、他の地方自治体や関係機関の協力を得る必要がある。区は、広域支援を円滑に受入れるための体制を整備する。 @?区は、災害の状況や災害特性によって、必要に応じて他の機関に協力を要請し、災害対策の円滑な実施を図る。 A 区は、被災者の生活の安定と再建を図るうえで重要な役割を持つボランティアの受入体制を構築する。 B 区は、災害時において他の地方自治体や関係機関等と迅速な情報共有を行うための連絡体制を整備する。 C 区は、通常業務(非常時優先業務)に係る支援も想定した体制構築を行う。 ? 第2 受入体制の整備 ○区は、他の地方自治体、専門機関、民間団体等からの適切な支援を受入れるために、平常時より受入体制の充実を図る。 1 他の地方自治体の受入体制の整備 大地震等の災害が発生した場合には、被災した自治体独自では十分な対策等が実施できないことが想定される。この場合において、被災を免れた自治体あるいは比較的被害が少ない自治体は、被災した自治体の要請に基づき支援を実施する。 区は、このような事態に備え、国や都および他の地方自治体からの支援を踏まえた受援体制を構築するとともに、自治体間相互の応援をより円滑に行えるようにするため協定締結を進める。 2 ボランティアの受入体制の整備 @ 震災等の大規模災害時におけるボランティア活動は、被災者の生活の安定と再建を図るうえで重要な役割を担っている。そのため区をはじめ防災関係機関は、ボランティアとの連携協力体制を構築する。 A 区は、区社会福祉協議会等との連携による区災害ボランティアセンターの設置・運営訓練等を実施する。 3 専門機関(自衛隊、消防機関、警察機関等)の受入体制の整備 @ 各専門機関の宿泊場所、活動スペース等は、原則、応援側が確保することとするが、必要に応じて、区として提供できるよう検討する。 A 応援に必要な車両や重機の待機場所等に必要なオープンスペースとして、大規模救出救助活動拠点(大井ふ頭中央海浜公園、品川清掃工場)を候補地として想定する。 4 民間団体等の受入体制の整備 @?区は、民間団体等と協定を締結し、災害時の協力業務および方法について協議し、円滑な受入体制を整える。 A 区は、災害が発生し応急対策活動を行う場合において、必要と認める業務について協定団体等に対し協力要請を行う体制を整える。 ? 第3 受入体制の充実に向けた取組み ○区は、協定の実効性強化や訓練、既往災害の教訓等を踏まえた受援マニュアルの作成により、さらなる受入体制の充実を図る。 1 受入体制の準備 区は、発災時に迅速かつ円滑に応援を受入れるため、以下のとおり、受入体制の準備を行うものとする。 ・応援職員等に依頼する応急・復旧業務やその必要人数、執務スペースをあらかじめ検討しておく。 ・応援職員等の宿泊場所・野営地・駐車場・資材置場の候補地をあらかじめ検討しておく。 ・地図、資料、資機材、業務ごとのフローやマニュアルをあらかじめ用意しておく。 2 災害時協力協定の実効性強化 区は、協定を締結するだけでなく、具体的な運用のあり方や発災時の連絡体制の構築(連絡担当者の設定、電話不通を想定した連絡手段の確保等)について、協定締結先と事前に調整・協議を行う。 3 訓練の実施 区は、他の地方自治体、協定締結事業者等からの受援を想定した図上訓練等を定期的に実施し、受援力の維持・向上に努める。 4 受援計画の改定 @ 区は、受援をより円滑に行うために、必要に応じて都からの助言を踏まえ、品川区災害時受援計画を改定していく。 A 区は、受援することが想定される業務を検討し、受援対象業務カルテ等の形態で、受援業務の内容、要請先、必要な資機材、情報等取りまとめておき、応援職員と共有することで、より円滑な災害対応の実現を目指す。 ? 対策2 人的支援の受入れ 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・地方自治体の受入れ体制の整備 ・専門機関の受入れ体制の整備 ・民間団体の受入れ体制の整備 ・ボランティアの受入れ体制の整備 消防機関 ・品川、大井、荏原各東京消防庁災害時支援ボランティアの育成および活動 区社会福祉協議会 ・ボランティア受入れ体制の整備の連携 【具体的な取組】 第1 人的支援の受入体制構築に向けた基本方針 ○発災時、人的支援の受入れを円滑に実施するため、区は、受援業務の手順や区災害対策本部内の役割分担を明確にする。 @ 大規模災害発生時に、災害対応を円滑に行うためには、外部からの応援等を適切に受入れることが重要となるため、区は、受援業務の手順や区災害対策本部内の役割分担を明確にする。 A 災害時協力協定を締結している機関への対応や自衛隊の災害派遣要請等の業務については、「第3編 災害応急対策 第3章 災害対応体制」を参照する。 第2 応援団体の受入体制の整備 ○区は、地方自治体や専門機関、民間団体、ボランティア等を円滑に受入れるために事前に想定可能な事項(支援内容、活動拠点、宿泊場所等)の検討を進める。 1 地方自治体の受入れ @?区は、災害対策基本法第68条に基づき、応援が必要な状況となった場合、都に対して応援を求めることができる。 A?区は、災害対策基本法第67条に基づき、応援が必要な状況となった場合、他市町村等に対して応援を求めることができる。 B その他、事前に相互支援に関する協定等を結んでいる自治体へ応援を求めることができる。 2 ボランティアの受入れ (1)ボランティアの種類 ボランティアの形態は、専門ボランティアと一般ボランティアに大別される。 ア 専門ボランティア @ 専門ボランティアとして活躍が期待される仕事には次のものが考えられる。 ・建物の応急危険度判定 ・語学 ・医療(医師、看護師) ・福祉(手話、介護福祉士等) 等 A 品川、大井、荏原消防署では、震災時に消防活動を支援する登録制の専門ボランティアとして「東京消防庁災害時支援ボランティア」の募集および育成を行っている。また、ボランティア活動を統率するリーダーおよびコーディネーターの育成を継続的に実施するとともに、元東京消防庁職員の登録者を積極的に活用している。 B 都においては「応急危険度判定員」「語学ボランティア」等の防災ボランティアの登録、育成を行っており、また日本赤十字社東京都支部では「赤十字災害救護ボランティア」「地域赤十字奉仕団」等の登録を行っている。 イ 一般ボランティア 一般ボランティアの活動内容としては次のものなどが考えられるが、今後拡充を図っていく。 ・避難所の運営補助(給食・給水、広報、印刷物の配布、救護物資の仕分け・運搬・配布、清掃・洗濯、高齢者の話し相手、子どもの遊び相手、引越し) ・災害廃棄物の処理 等 (2)専門ボランティアの受入体制 @ 区は、都などが事前登録制により実施しているボランティアについて、専門領域ごとに受入担当部署を定め、受入体制を整備する。 A 区は、災害時に必要な能力を生かせるよう、平常時から専門能力を持ったボランティアの登録制度を整備する(例:区ホームページを通じた被災建築物応急危険度判定員募集)。 (3)一般ボランティアの受入体制 区では、ボランティアの活動拠点となる災害ボランティアセンターを中小企業センター内に確保し、区災害対策本部との通信体制を確立するとともに、ボランティアの受入れ、情報提供、あっ旋等を行っていく。平時より災害時におけるボランティア活動の啓発に努める。 @ ボランティアの総合受付は福祉部が行う。 A 福祉部は、ボランティアの需給を把握し、ボランティアに情報を提供するとともに活動のあっ旋を行う。 B 災害時におけるボランティアの受入れを円滑に行えるよう「ボランティア活動支援マニュアル」を更新し、充実に努める。 C 区は、平時より区社会福祉協議会と連携し、ボランティアセンター開設訓練の実施や災害時におけるボランティア活動の啓発を行っていく。また、ボランティアコーディネーターの育成にも努めていく。 (4)東京都災害ボランティアセンターとの連携 @ 都は、災害時に東京ボランティア・市民活動センターと協働で東京都災害ボランティアセンターを設置し、区と連携して、一般のボランティアが被災地のニーズに即した円滑な活動ができるよう以下について支援する。 ・災害ボランティアコーディネーターの派遣 ・区災害ボランティアセンターの立上げ・運営支援 ・区市町村間の資機材・ボランティア等の需給調整    等 A 区および区災害ボランティアセンターは、都から情報を収集するとともに、前記支援について要請する。 (5)特別区間での連携体制 大規模災害時の特別区相互間の協力による応急対策および復旧対策の円滑化を図るため、「特別区災害時相互協力および相互支援に関する協定」を締結し、ボランティアの受入れ支援に関する事項について、協力および支援体制を整備している。 3 専門機関(自衛隊、消防機関、警察機関等)の受入れ @ 専門機関は活動に必要な環境を自ら確保し、災害対応にあたる。ただし、区は、災害対応にあたり必要な情報を円滑に共有できる体制について整備を進める。 A 専門機関の活動が他機関と競合重複しない作業分担となるよう、区は、円滑な情報共有ができる体制を整える。 4 民間団体の受入れ @ 区は、支援を依頼する内容に応じて、受入れのための環境整備を行うよう努める。必要に応じて、作業場所や宿泊場所等の確保についても検討する。 A 区は、各民間団体と災害時における具体の連携方法や連絡手段等の災害時における活動を円滑に進めるための受入体制を整備するよう努める。 ? 対策3 物的支援の受入れ 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・輸送体制の充実 ・地域内輸送拠点等の施設整備 ・地域内輸送拠点等の円滑な運用に向けた対策 【具体的な取組】 第1 物的支援の受入体制構築に向けた基本方針 ○区は、円滑な支援物資の受入れ、配分、避難所等への輸送を行うためのさらなる輸送体制の充実を図る。  区は、東日本大震災や熊本地震等の教訓を踏まえ、円滑な支援物資の受入れ、配分、避難所等への輸送を行うためのさらなる輸送体制の充実を図る。 第2 支援物資等の受入体制の整備 ○区は、地域内輸送拠点の施設整備および拠点の運営方法の具体化等の具体的な手順、役割分担の明確化等を進める。 1 地域内輸送拠点の施設整備 @ 地域内輸送拠点は、大井競馬場および京浜トラックターミナルに設置する。大井競馬場の使用が制限される場合は、旧東品川清掃作業所の使用を検討する。東京都が京浜トラックターミナルを広域輸送基地として使用する場合は、緊急物資の受入場所の確保および荷役作業、東京都が指定する場所への緊急物資の輸送など東京都の業務を優先するものとする。 A?区は、地域内輸送拠点において、連絡手段の確保、電源の確保(非常用発電機含む)、集配機能の確保(積降ろし場所の確保、フォークリフトの動作環境整備、パレット、台車等の備蓄等)の施設整備を進めるように努める。 2 地域内輸送拠点等の円滑な運用に向けた対策 @ 事前に想定している地域内輸送拠点以外に、臨時に受入場所を設置する必要がある場合は、区災害対策本部長の指示により開設することとし、受入れのための体制を整備する。 A 受入場所の運営は、支援物資の受入れ、払い出し、仕分け、整理をボランティアと連携・協力して行う。 B 区は、円滑な支援物資の受入れ、配分を行うため、各避難所における生活用品等の需給状況の確認作業や受付・問合せ先の広報等、想定される対応を踏まえた役割分担や連絡体制を構築しておく。 C?区は、民間輸送企業のノウハウや、被災地での取組み事例を活かして対策を検討する。 第3 義援物資の受入れ ○区による義援物資の取扱いは、被災者のニーズを踏まえ、受付の要否や問い合わせ等を広報するなど迅速に対応する。 1 個人からの義援物資受入れ(個人からの問い合わせ対応の基本) 個人等から提供される義援物資は、カートンの形状やサイズ、数量、品名等が不均一であり、仕分けや在庫管理に多くの手間や時間を要することから、個人等からの小口・混載の義援物資は受け付けないことを基本とする。 2 企業からの義援物資受入れ (1)区による義援物資の受入れ ア 企業からの義援物資の取扱いの問い合わせ 区は、企業等から寄せられる物資については、物資の種類、数量、輸送手段の有無等の必要事項を確認する。 イ 義援物資の調整・配送先の確保 区は、物資ニーズを踏まえ、配送先等を決定する。 ウ 義援物資の受入れ 区は、避難所または地域内輸送拠点等で義援物資を受入れる。 (2)都を経由した義援物資の受入れ ア 企業からの義援物資の取扱いの問い合わせ 都(福祉局)は、物資の種類、数量、輸送手段の有無等の確認を行う。 イ 都(物資・輸送調整チーム)への情報伝達 都(福祉局)は、上記で確認した事項を都(物資・輸送調整チーム)へ連絡する。 ウ 区との調整 都(物資・輸送調整チーム)は、区の物資ニーズを踏まえ、配送先等を決定する。 エ 企業への連絡 都(物資・輸送調整チーム)は、企業に配送先、輸送手段等の必要な情報を連絡する。 ? 第11章 医療救護等対策 対策の基本的な考え方 震災時には家屋やブロック塀の倒壊、火災、崖崩れ等により多数の負傷者等の発生が想定されるため、発災直後より適切な医療救護体制を確立し活動を行う必要がある。 ここでは、発災直後から設置する区の医療救護所等にて行う医療救護活動に必要な要員、医薬品・医療資器材の確保等について示す。 各対策の要点 対策1 初動医療体制  第1 初動医療体制の構築 ○区は、品川区災害医療コーディネーター、災害薬事コーディネーターの委嘱を行う。 ○区は、負傷者等の搬送体制の整備、医療救護班員となる医師会等との協定締結などにより、初動医療体制の構築に努める。 ○区は、都や周辺自治体、医療機関との連携を強め、広域的な医療体制を強化する。 対策2 医薬品・医療資器材の確保 第1 医薬品・医療資器材の確保 ○区は、区内に医薬品・医療資器材の備蓄を進めている。また、薬剤師会と連携した医薬品・医療資器材および体制の確保を図る。 対策3 遺体の取り扱い 第1 遺体の収容・火葬体制の確保 ○遺体収容所は、死者への尊厳や遺族感情、効率的な検視・検案・身元確認の実施に資する施設が指定できるよう準備を行う。また、収容スペースの充足に向け、災害時に特段の用途を有しない施設を基本に、遺体収容所としての指定準備を進める。 ○区は、都と連携し、都内全域および近隣県の火葬場を活用して広域的に火葬を行う体制を確保する。 ? 【用語の解説】 @災害医療コーディネーター 医療救護活動を迅速かつ的確に実施するため、物的資源、人的資源などの協議や調整を行う医師をいう。 図表2-60 災害医療コーディネーター一覧 名 称 説 明 東京都災害医療コーディネーター 都全域の医療救護活動等を統括・調整するために医学的な助言を行う、都が指定する医師 東京都地域災害医療コーディネーター 各二次保健医療圏域の医療救護活動等を統括・調整するために都が指定する医師 品川区災害医療コーディネーター 区内の医療救護活動等を統括・調整するために医学的助言を行う、区が指定する医師 A災害薬事コーディネーター 必要とされる医療が迅速かつ適切に提供されるよう、品川区災害医療コーディネーター等と連携し、地域の薬事に関する調整および助言を行う薬剤師をいう。 BDMAT(Disaster Medical Assistance Team) 医師、看護師、救急救命士、事務官から構成され、災害発生直後(概ね48時間以内)に活動を開始できる機動性を持ち、専門的な訓練を受けた医療チームをいう。 C医療救護所 多くの傷病者に対応するため発災時に病院の診療機能の確保または被災者の健康管理等を目的に期間を定めて設置される医療救護活動を行う場所をいう。医療救護所は、緊急医療救護所と学校医療救護所に分類される。 Dトリアージ(大規模災害における治療対象患者選別) トリアージとは、災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めることをいう。 E防疫 防疫とは、感染症の流行を防ぎ、また、その侵入を予防するための対策をいう。 F広域火葬体制 大規模災害により区内の火葬場の火葬能力だけでは区内の遺体の火葬を行うことが不可能となった場合、近隣区市町村の火葬場を活用して広域的に火葬を行うことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 初動医療体制 対策2 医薬品・医療資器材の確保 対策3 遺体の取り扱い 対策1 初動医療体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 医師会 ・災害時における医療救護活動に関する協定に基づく活動体制の整備 歯科医師会 ・災害時における救護活動に関する協定に基づく活動体制の整備 薬剤師会 ・災害時における医療救護活動と医薬品等の供給に関する協定に基づく活動体制の整備 柔道整復師会 ・災害時における救護活動に関する協定に基づく活動体制の整備 区 ・医療救護活動体制 ・品川区災害医療コーディネーターの委嘱 ・災害薬事コーディネーターの委嘱 ・医療救護所の指定 ・負傷者等の搬送体制の整備 ・区と医師会等との連携 ・広域的な医療体制の強化 ・医療機関における防災対策の促進 【具体的な取組】 第1 初動医療体制の構築 ○区は、品川区災害医療コーディネーター、災害薬事コーディネーターの委嘱を行う。 ○区は、負傷者等の搬送体制の整備、医療救護班員となる医師会等との協定締結などにより、初動医療体制の構築に努める。 ○区は、都や周辺自治体、医療機関との連携を強め、広域的な医療体制を強化する。 @ 被害が発生した場合に、被災者に対して迅速かつ的確な救護救援活動を実施するためには、事前対策を講じておく必要がある。 A ここでは、救護救援活動の中でも人命尊重の見地から特に重要な初動医療体制の確立を計画する。 B 医療救護対策を実施する際の基本となる医療救護活動におけるフェーズ区分および主な医療救護活動の内容を次ページに示す。 図表2-61 医療救護活動におけるフェーズ区分と主な活動内容 1 品川区災害医療コーディネーターの委嘱 @ 区は、災害時に医療救護活動に係る医学的な助言を求めるため、「品川区災害医療コーディネーター」を委嘱する。 A 区は、東京都災害医療コーディネーター、東京都地域災害医療コーディネーターと連携した情報集約の仕組み、複数の連絡手段を確保する。 ? 図表2-62 品川区災害医療コーディネーターの役割  2 災害薬事コーディネーターの委嘱 区は、災害時における区内の医薬品の供給等を円滑に行うため、「品川区災害薬事コーディネーター」を委嘱する。 3 医療救護本部(医療救護活動拠点)の設置 区は、医療救護活動を統括・調整するために設置する医療救護本部(医療救護活動拠点)について、区災害医療コーディネーターや区災害薬事コーディネーターと連携し体制を整備するとともに、連絡体制の整理を行う。 4 医療救護班の設置 区は、医療救護活動を行うため、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会からなる医療救護班を設置する。 5 医療救護所の設置 区は、医療救護班を派遣して負傷者等の対応を行うため、発災時に期間を定めて緊急医療救護所と学校医療救護所を設置する。 (1)緊急医療救護所の設置 区は、超急性期においてより多くの人命を救うため、限りある病院の診療機能を確保することを目的に、トリアージ等を行う場所として病院の門前に緊急医療救護所を設置する。 資料51 緊急医療救護所一覧 (2)学校医療救護所の設置 区は、急性期以降を目安に地域医療が回復するまでの間、傷病者の治療や被災者の健康管理等を行う場所として、学校の保健室等に学校医療救護所を設置する。 資料52 学校医療救護所一覧 ? 6 負傷者等の搬送体制の整備 @ 区は、車両や船舶等を保有する関係機関との新たな協定締結に向けて取組み、さらに搬送体制の拡充を図る。 A 大震災時には、救急車の不足が予想されるため、区は、区有車両や雇上げ車両等の活用や燃料の調達等、災害時に医療救護を必要とする区民等を安全に医療機関へ搬送するための体制を確保する。 B 区は、搬送するための車両の確保が難しい場合に備えて、防災区民組織等にリヤカーや担架等を配備する他、より一層の備蓄を行うよう周知・啓発する。 7 区と医師会等との連携 (1)品川区・荏原医師会との協定 区は、災害時における医療救護活動を行うため、昭和51年8月「災害時における医療救護活動に関する協定」の締結を行い、その後の情勢変化に対応して、平成24年度に従前の協定を改定した。今後も継続的に内容の見直しを図る。 (2)品川・荏原歯科医師会との協定 区は、災害時における歯科医療活動を行うため、平成7年8月「災害時における救護活動に関する協定」を締結し、平成22年6月に従前の協定を改定した。 (3)品川区薬剤師会との協定 区は、災害時に医療救護活動と医薬品の供給に関し、品川区薬剤師会との間において、平成8年3月に「災害時における医療救護活動と医薬品等の供給に関する協定」を締結し、令和2年4月に従前の協定を改定した。 (4)東京都柔道整復師会品川支部との協定 区は、災害時における医療救護活動を行うため、平成12年1月「災害時における救護活動に関する協定」の締結を行った。 (5)医療機関との連携 区は、「品川区災害医療コーディネーター」の委嘱の他、情報伝達手段の確保のため、地域広帯域移動無線アクセスシステム(地域BWA)を活用した携帯電話の配備、医療機関が実施する訓練への区職員の参加など、連携体制の整備を行っている。 8 広域的な医療体制の強化 区は、都や周辺自治体、医療機関と連携を強め、広域的な医療体制を強化する。 9 医療機関における防災対策の促進 区は、区内の各病院における災害対策マニュアル等の作成を促進するとともに、各病院において、自家発電装置の整備や受水槽の耐震化等を行い、ライフラインの寸断に備えるよう促す。? 対策2 医薬品・医療資器材の確保 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・医薬品・医療資器材等の備蓄 ・災害時における医薬品・医療資器材確保に向けた体制整備 【具体的な取組】 第1 医薬品・医療資器材の確保 ○区は、区内に医薬品・医療資器材等の備蓄を進めている。また、薬剤師会と連携した医薬品・医療資器材および体制の確保を図る。 1 医療ミニセットの配備 区は、災害時の傷病者の応急手当に活用するため、区民避難所となる区立学校等に医療ミニセットを配備する。 2 医薬品・医療資器材の備蓄 @ 区は、薬剤師会等と協議のうえ医療救護活動に必要な発災から3日分程度の医薬品、医療資器材を確保する。 A 区は、感染症のまん延防止等のため、災害時の防疫・消毒用資器材を備蓄する。 B 区の備蓄医薬品等で不足が生じた際には、都への要請に加え医薬品等の卸売販売業者から円滑に調達が行えるよう、事前に薬剤師会と協力のうえ卸売販売業者と協定を締結する。 C 区は、災害薬事センターの設置、運営方法の具体化等について、薬剤師会と連携を図る。 ? 対策3 遺体の取り扱い 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・広域火葬体制の整備および関係団体との協定等の締結 区 ・遺体収容所の指定 ・火葬場の確保 ・死亡届について身元不明者分の発行と受理全般、火葬許可証の発行 【具体的な取組】 第1 遺体の収容・火葬体制の確保 ○遺体収容所は、死者への尊厳や遺族感情、効率的な検視・検案・身元確認の実施に資する施設が指定できるよう準備を行う。また、収容スペースの充足に向け、災害時に特段の用途を有しない施設を基本に、遺体収容所としての指定準備を進める。 ○区は都と連携し、都内全域および近隣県等の火葬場を活用して広域的に火葬を行う体制を確保する。 1 遺体収容・火葬に係る体制整備 (1)遺体収容所運営に係る整備 区は、遺体収容所の運営等に関する次の事項について、あらかじめ関係機関と協議を行い、整備に努めていく。 ・遺体収容所の管理者の指定等、管理全般に関する事項 ・行方不明者の捜索、遺体搬送に関する事項 ・検視・検案未実施遺体の一時保存等の取扱いに関する事項 ・遺体収容所設置等に供する資機材の確保、調達、保管および整備に関する事項 (2)遺体収容に係る資機材の配備 区は、遺体収容に必要な資機材として、防護服、マスク、グローブ、消毒液、ゴーグル、シューズカバー、遺体収容袋等について、しながわ中央公園内災害対策備蓄倉庫に配備した。 2 遺体収容所の指定 @ 遺体収容所は、死者への尊厳や遺族感情、効率的な検視・検案・身元確認の実施に資するよう、原則として下記の要件を満たす施設を区が指定する。 ・屋内施設であること ・避難所や医療救護所など他の用途と競合しない施設であること ・身元不明者の一時保存場所として使用可能な施設であること A 区は、遺体収容所の運営体制、不足した場合の候補地についても定めておく。 B 区の対応能力を超え遺体収容スペースの不足が生じるおそれがある場合は本部に連絡し、都および関係機関との連携の充実・強化に努める。 資料53 遺体収容所設置箇所 3 広域火葬体制の整備 都の調整のもとで都内全域および近隣県等の火葬場を活用して広域的に火葬を行う体制を確保することを目的に、都は、区市町村および関係機関等と協議のうえ、平成11年3月に、「東京都広域火葬実施計画」を策定した。この計画に基づき、遺体の保存等に係る資材等の確保、遺体の搬送、火葬の協力について、関係団体等と協定を締結し、災害時における円滑な広域火葬体制の整備を行った。 資料54 近隣の火葬場 図表2-63 火葬体制 ? 第12章 津波対策 対策の基本的な考え方 東日本大震災以降、区民や事業者等と共同して津波からの避難対策を推進しており、現在公表している避難対象地域内の区民や事業所等が自主的な情報取得と避難行動を実施できるよう、引き続き支援していく必要がある。 ここでは、避難対象地域からの即時的な避難を区民や事業所等が実現できるよう、区として必要な活動や体制、避難に有用な津波情報や避難指示の伝達方法、また津波被害の軽減に必要な施設整備等の対策について示す。 各対策の要点 対策1 活動・避難体制 第1 避難指示の発令基準 ○津波のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示の発令基準に基づき、区は津波発生時の避難対象地域等に対して、避難指示を発令する。 第2 水防資機材の整備 ○施設管理者および区は、津波や地震による堤防決壊に伴う堤内地被害の拡大防止に向け、水防上必要な資機材の整備を行う。また、区は迅速・確実な水防活動に向け、平常時から活用可能な車両を確保し、また輸送経路等の事前確認をしておく。 対策2 区民等への情報提供 第1 津波警報・注意報等の情報収集、伝達体制の構築 ○区および都は、津波警報・注意報発表時において、津波が到達するまでに、あらゆる情報伝達手段を活用した正確な情報伝達を行える体制を整える。 対策3 津波による浸水被害の軽減 第1 施設の整備等 ○区は都と連携し、区内の河川施設、海岸保全施設、下水道施設等の耐震対策、耐水対策の推進を図る。 【用語の解説】 @海岸保全施設 海岸保全施設とは、高潮・波浪等の海岸災害から背後の人命や財産を守る役割を担う防潮堤、水門、排水機場、陸閘(りくこう)、内部護岸等をいう。 A津波ハザードマップ 津波が発生した場合の津波の危険度や、避難場所・避難経路、津波による危険箇所など、避難に必要な情報を掲載しているマップをいう。 B津波と高潮について 図表2-64 津波と高潮について ? 対策 【対応テーマ】 対策1 活動・避難体制 対策2 区民等への情報提供 対策3 津波による浸水被害の軽減 対策1 活動・避難体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 国 ・水防上必要な資機材の整備 都 ・水防上必要な資機材の整備 ・津波浸水予測調査 ・津波ハザードマップ等作成支援 ・津波に関する知識の普及啓発 ・津波避難訓練の実施 防災関係機関 ・津波に関する知識の普及啓発 ・海岸保全施設の整備・改修 ・津波避難訓練の実施 区 ・津波避難施設の指定 ・安全な避難誘導体制の整備 ・津波避難誘導等に係る体制確保 ・津波に関する知識の普及啓発、対策の周知 ・区民の津波自主避難マップの作成支援等 ・津波に対する防災訓練の実施 ・水防活動に資する水防資機材および施設の整備等 ・水防活動における車両等の確保、輸送経路の確認 施設管理者 ・施設利用者の安全確保体制の確立 ・水防上必要な資機材の整備 区民等 ・津波避難施設、避難場所および避難経路等の把握ならびに津波避難訓練への参加 ・津波避難誘導等に係る訓練の実施 ? 【具体的な取組】 第1 避難指示の発令基準 ○津波のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示の発令基準に基づき、区は津波発生時の避難対象地域等に対して、避難指示を発令する。 1 避難対象地域 区は、津波のおそれがある場合に避難を呼びかける避難対象地域を、以下のとおり定めている。 図表2-65 避難対象地域 気象情報 対象地域 津波警報 北品川1・2丁目の一部、東品川1丁目の一部、東大井2丁目の一部、南大井1丁目の一部、および津波注意報の対象地域 津波注意報 都立京浜運河緑道公園、都立大井ふ頭中央海浜公園、しながわ花街道、勝島かもめ水辺広場、東品川水辺広場、東品川海上公園、天王洲アイル第一水辺広場、天王洲アイル第二水辺広場、天王洲運河水辺広場、天王洲アイル第四公園、五反田ふれあい水辺広場、東海橋防災船着場 資料55 津波発生時の避難対象地域 2 避難指示の発令基準 (1)避難指示の権限および対象 @?災害対策基本法第60条の規定に基づき、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、人の生命または身体を災害から保護し、被害の拡大を防止するため特に必要があると認められるときは、区長は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示することができる。 A 区長が上記の立退きを指示することができないとき、または区長から要求があったときは、同法第61条の規定に基づき、警察官または海上保安官は、必要と認める地域の居住者等上記の対象者に対し、避難のための立退きを指示することができる。 (2)避難指示の一般的基準 避難のための指示の基準は、原則として次のような事態になった場合に発するものとする。 ・避難の必要が予想される津波警報が発せられたとき。 ・その他住民の生命または身体を災害から保護するため、必要と認められるとき。 (3)気象情報に基づく避難指示の発令基準 津波注意報、津波警報が発せられた際は、避難指示を発令するものとする。また、気象情報に対応した住民に求める行動を以下の表に示す。 ? 図表2-66 津波の発令基準一覧 発令基準 避難指示等の種類 住民に求める行動 津波警報 避難指示の発令 ・避難対象地域にいる人は、直ちに高台へ避難する。 ・高台まで避難する時間がない場合は高い場所(2階以上の堅牢な建物、津波避難施設等)へ避難する。 津波注意報 避難指示の発令 ・避難対象地域にいる人は直ちに水辺から離れる。 ・避難対象地域には近づかない。 ・海の中にいる人は、直ちに海から上がって海岸から離れる。 ※首都直下地震等による東京の被害想定では、東京湾沿岸部の津波高は、品川区で満潮時最大T.P.+2.38mであり、大津波警報は想定されていないが、大津波警報が発表された場合は、予想津波高に応じて対象地域を拡大し避難指示を発令する。 3 津波避難施設の指定 @?区は、津波からの避難者を緊急的に受け入れる津波避難施設として、区・都有施設26箇所、協定を締結している民間施設11箇所を指定しており、引き続き津波避難施設の確保を進める。(令和5年7月現在) A 津波避難施設の基本的な要件を以下に示す。 ・建物周辺地盤の標高が5m以下であること。 ・耐震診断によって耐震安全性が確認されている、または新耐震設計基準(昭和56年施行)に適合していること。 ・原則としてRCまたはSRC構造の3階建て以上の建物であること。 資料56 津波避難施設一覧 B 区は、津波による危険が予想される地域において、地形および避難時間を考慮した津波避難施設および避難路の整備や、津波自主避難マップの活用を通じた安全な避難路の啓発を進める。また、避難路の整備等について国・都に対し必要に応じて協力を要請する。 4 避難体制の確保 (1)区としての避難誘導体制の確保 @?区は、平成28年度に策定した避難指示の基準を基に、区民等を安全に避難誘導できるよう体制を整える。 A 区は、都の支援のもと津波警報・注意報等が発表された際の、区民や事業者、観光客、船舶等の迅速な避難を促すための、安全な避難誘導体制をあらかじめ確保する。 B 区は、避難行動要支援者の支援体制を実効性のあるものにするために、品川区および防災区民組織において個々の避難行動要支援者ごとに支援者や支援方法等を定めた計画書(品川区避難支援個別計画書)を作成していく。また、個別計画書の作成のほか、介護や障害の程度により防災区民組織等による避難誘導が難しい避難行動要支援者の支援を行う上で、医療関係者や福祉専門職等の避難支援等関係者以外の支援者の確保に努める。 (2)施設管理者としての避難誘導体制の確保 旅客航路事業者、鉄道事業者、海岸付近に存在する施設の管理者等は、津波の発生に備え避難計画を作成するとともに、施設利用者の安全確保の体制をあらかじめ整える。 5 津波浸水予測結果に基づく災害リスクの周知 (1)標高図や海抜標示板による区民への啓発 区は、区内の地盤高調査によって得られた標高データを基に、海抜を示した標示板を地域に設置するとともに、標高をホームページで公開している。これにより、区民への津波・高潮に対する意識を醸成するとともに、避難や日頃の備えに対する啓発を続ける。 図表2-67 海抜標示板の設置 (2)津波からの避難先、避難方法、避難経路等の周知 ア 区として行う周知 @?津波においては個人の迅速な避難行動が重要となるため、区は、津波の危険性や津波警報・注意報、避難指示等の伝達方法、避難行動等に関するパンフレット、広報紙、防災に関する研修会およびホームページの活用等により、日頃から津波に対する知識の普及に努める。 A?区は、津波に対する想定外への対応を確実に実施していくとともに、個人および地域の防災意識の啓発、行動力の向上を図るため、区民一人ひとりによる「津波自主避難マップ」作成を引き続き推進していく。特に「しながわ防災学校」では、地域実践コースのメニューとして津波避難ワークショップを位置付け、実施を呼びかける。 B?区は、海側低地部の標高4m以下に位置する小学校を対象として津波に関するDVD等により自主避難の啓発に努める。 イ 周知・啓発 @ 大規模な地震の際には、水門の非稼動、防潮堤の損壊等により、津波被害が発生する可能性も想定できる。そのため、防災区民組織等はワークショップ等を開催し、区民等への周知・啓発を図る。区は、地域が行う自主的な取組みに対して必要に応じて協力する。 A?都が「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく津波浸水想定を設定した場合、または、「首都直下型地震等による東京の被害想定」の見直しを行った場合、それに基づいて、区は津波ハザードマップの作成を行う。 6 津波避難訓練等の実施による対応力の向上 (1)区の役割 @ 区民等の津波による人的被害を防止するため、迅速かつ確実な情報のもとで避難活動が行えるよう、区は防災区民組織や関係機関を含めた防災訓練を行うよう努める。 A 区は、津波に対する避難場所の指定・整備をする際には、高齢者・子ども・障害者等の移動方法等に配慮して行う。また、これらの人々に配慮し、分かりやすい津波注意報・警報、避難指示等の伝達手段の確保に努める。 B 区は、観光客等においても迅速な避難が行えるよう、情報伝達手段等の確保に努める。 (2)区民等の役割 ア 津波避難施設、避難場所および避難経路等の把握 区民等は、日頃から津波に関する地域の危険性を認識し、津波避難施設、避難場所および避難経路等の所在を把握しておく。 イ 津波避難誘導等に係る訓練の実施 区民等の安全な避難行動を担保するためには、津波警報・注意報等の情報伝達網と津波ハザードマップ等を実地で理解しておくことが重要であり、津波自主避難マップの作成や実践的な訓練を通して、理解を深める。 ? 第2 水防資機材の整備 ○施設管理者および区は、津波や地震による堤防決壊に伴う堤内地被害の拡大防止に向け、水防上必要な資機材の整備を行う。また、区は迅速・確実な水防活動に向け、平常時から活用可能な車両を確保し、また輸送経路等の事前確認をしておく。 1 施設管理者の役割 津波や地震による堤防等の決壊による被害を防止するため、施設管理者は、水防上必要な資機材の整備を行う。 2 区の役割 @ 区は、水防管理団体として、管内における水防活動を充分に行うことができるよう、水防資機材および施設の整備ならびに輸送の確保に努める。 A?管内の水防活動に直ちに対応できるよう、車両等の確保、輸送経路等を確認しておく。 ? 対策2 区民等への情報提供 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・あらゆる手段を活用した正確な情報伝達 区 ・あらゆる手段を活用した正確な情報伝達 ・避難情報緊急通知コールの整備 【具体的な取組】 第1 津波警報・注意報等の情報収集、伝達体制の構築 ○区および都は、津波警報・注意報発表時において、津波が到達するまでに、あらゆる情報伝達手段を活用した正確な情報伝達を行える体制を整える。 1 あらゆる情報伝達手段を活用した正確な情報伝達 区および都は、津波警報・注意報等の情報伝達を防災行政無線だけでなく、テレビ、ラジオ、携帯電話(エリアメール等を含む)、全国瞬時警報システム(J-ALERT)、しなメール等のあらゆる情報伝達手段を活用し、適切に正確な情報伝達を図る。 2 避難情報緊急通知コールの整備 @?区では、避難対象地域のうち避難を必要とする方を主たる対象に「避難情報緊急通知コール」を整備している。 A 「避難情報緊急通知コール」は、通知サービスに登録した区民等に対して、津波注意報もしくは津波警報発表により、区が避難指示を発令した場合に、電話やメールによる避難情報の伝達を行うものである。 ? 対策3 津波による浸水被害の軽減 【各機関の役割】 機関名 役   割 都建設局 ・東部低地帯の河川施設整備計画(第二期)に基づき、堤防の耐震対策を実施する。 都港湾局 ・「東京港海岸保全施設整備計画」に基づき、防潮堤、水門等の海岸保全施設の耐震対策等を促進する。 都下水道局 ・下水道管やポンプ所の被害に備え、災害時における応急復旧業務に関する協定を締結している民間団体において必要な資機材を整備しておくよう協力を求める。 【具体的な取組】 第1 施設の整備等 ○区は都と連携し、区内の河川施設、海岸保全施設、下水道施設等の耐震対策、耐水対策の推進を図る。 1 河川施設(都建設局) @ 地震により一部損傷した場合にも、津波等に対する堤防高を確保できるように、堤防の耐震対策を実施する。 A?整備にあたっては、広域的に地盤が低い地域、堤防背後の地盤高を勘案し、計画的に対策を講じていく。 2 海岸保全施設(都港湾局) @ 東京都沿岸部における地震・津波・高潮に対する安全性を確保するとともに、気候変動の影響に対応するため、海岸保全施設整備を推進する。 A 水門、防潮堤、内部護岸等の耐震対策については、東京港において将来にわたって考えられる最大級の地震動に対応することを基本とし、耐震性の強化を図る。 B?水門の電気・機械設備について、必要な機能が保持できるよう、耐水対策を実施する。 C 防潮堤の整備にあたっては、気候変動に伴う海面水位の上昇を想定した高潮高に対応するため、嵩上げ等を行う。 3 下水道施設(都下水道局) @ ポンプ所について、想定される最大級の地震動に対し、揚水機能など震災後においても必ず確保すべき機能を維持するため、必用最低限の施設能力を確保する耐震対策を実施する。 A ポンプ所において、停電のためポンプの機能が停止した場合、ディーゼル発電機やガスタービン発電機等の非常用発電機によってポンプ運転を行い、揚水不能の事態が起こらないよう対処する。 B ポンプ場は、目標を超える降雨や複合災害等による水害が万が一発生することを考慮し、高潮、津波、外水氾濫、内水氾濫に対して、各施設における最も高い対策高で耐水化を推進する。 ? 第13章 放射性物質対策 対策の基本的な考え方 地震の揺れに伴い区内随所で発生する建物倒壊や施設被害等の直接被害に関連して、危険物質を取り扱う施設や地域の周辺では、危険物質が大気中に拡散する事故災害が起きる可能性がある。事故災害の中でも特に放射性物質によるものは、風評被害を引き起こす可能性もある。そのため、区民の動揺や心理不安等が発生または拡大しないための措置が必要である。 ここでは、放射性物質の影響が想定される地域からの区民等の避難や、区民生活の安定に寄与する正しい情報を広報するうえでの庁内体制について示す。 各対策の要点 対策1 活動体制の整備 第1 放射線対策に係る体制の構築 ○区は、原子力災害による放射性物質等の影響が懸念される事態が発生、またはその発生が予見される場合に備え、より迅速かつ機能的に対応できる体制を構築する。 対策2 区民等への情報提供 第1 原子力防災に関する知識の普及啓発 ○区は都と連携し、原子力防災に関する知識の普及啓発のため、区民等に対して必要な広報活動等を実施する。 対策3 放射線等使用施設における予防措置 第1 放射線等使用施設への対応 ○国は、RI(ラジオ・アイソトープ)の使用、販売、廃棄等に関する安全体制を整備するとともに、立入検査の実施による安全確保の強化に努める。 【用語の解説】 @放射線量の基準について 国際放射線防護委員会の勧告のことをいう。自然に浴びる放射線以外で平常時に一般の人が浴びてもよい量を年間1,000マイクロシーベルト以下としている。 A放射線量に係る単位について シーベルト(Sv)とは、人体に放射線を受けたときの影響を示すものをいう。(1,000マイクロシーベルト=1ミリシーベルト、1マイクロシーベルト=0.001ミリシーベルト) ベクレル(Bq)とは、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位である。 BRI(ラジオ・アイソトープ) 放射線を出す同位元素(ウラン、ラジウム、カリウム等)のことをいう。核医学検査および放射線治療で使用している。 ? 対策 対応テーマ 対策1 活動体制の整備 対策2 区民等への情報提供 対策3 放射線等使用施設における予防措置 対策1 活動体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・放射線対策実施に係る体制の構築 【具体的な取組】 第1 放射線対策に係る体制の構築 ○区は、原子力災害による放射性物質等の影響が懸念される事態が発生、またはその発生が予見される場合に備え、より迅速かつ機能的に対応できる体制を構築する。 1 実施体制の構築 区は今後、都内において原子力災害による放射性物質等の影響が懸念される事態が発生した場合に備え、より迅速かつ機能的に対応できる体制を構築する。 ? 対策2 区民等への情報提供 【各機関の役割】 機関名 役   割 都・区 ・原子力防災に関する知識の普及啓発 【具体的な取組】 第1 原子力防災に関する知識の普及啓発 ○区は都と連携し、原子力防災に関する知識の普及啓発のため、区民等に対して必要な広報活動等を実施する。 @ 都および区は原子力防災に関する知識の普及啓発のため、次に掲げる事項について広報活動等を実施する。 ・放射性物質および放射線の特性に関すること ・放射線による健康への影響および放射線防護に関すること ・緊急時に国や都等が講じる対策の内容に関すること ・放射線、放射線量の測定等に関すること A 区の教育機関においては、原子力防災に関する教育の充実に努める。 B 原子力防災に関する知識の普及と啓発に際しては、要配慮者を念頭に置き情報提供を推進する。 ? 対策3 放射線等使用施設における予防措置 【各機関の役割】 機関名 役   割 国 ・RIの使用、販売、廃棄等に関する安全体制を整備 ・立入検査の実施による安全確保の強化 【具体的な取組】 第1 放射線等使用施設への対応 ○国は、RI(ラジオ・アイソトープ)の使用、販売、廃棄等に関する安全体制を整備するとともに、立入検査の実施による安全確保の強化に努めている。 1 国による各種の安全予防対策の実施 放射線等使用施設については、国(原子力規制委員会)が、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に基づき、RI(ラジオ・アイソトープ)の使用、販売、廃棄等に関する安全体制を整備するとともに、立入検査の実施による安全確保の強化、平常時はもとより震災時においても監視体制がとれるよう各種の安全予防対策を講じている。 ? 第14章 洪水・高潮対策および都市型水害対策 対策の基本的な考え方 品川区は、台風や高潮によって、過去に洪水や内水氾濫が発生し、大きな被害を受けてきたが、河川の護岸や下水道施設の整備により、水害はかなり減少した。 しかし、住宅の建設の増加や不透水面積の拡大により、豪雨時に雨水が地中に浸透せずに一気に下水道に流れ込み、排水能力を超えた下水管からの雨水が路上に噴き出すなど、いわゆる都市型水害の発生が見られるようになった。また、水防法等の改正(平成29年6月施行)に伴い社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設(以下「要配慮者利用施設」という)等の施設管理者に対して、避難確保計画の作成および避難訓練の実施対策を促進している。あわせて、避難確保計画の作成・変更や避難訓練の実施報告に対して、必要に応じ助言・勧告を行う(水防法等の改正(令和3年7月施行))。このような状況を踏まえて、洪水・高潮対策、都市型水害対策などの施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 第1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 ○区は、洪水予報が発せられた場合、浸水が想定される区域に情報を伝達する。 第2 防災拠点施設における浸水対策と資機材の備蓄の推進 ○区は、防災拠点施設の平常時からの点検と浸水対策、資機材の備蓄を推進する。 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 第1 平常時からの情報提供 ○区は、浸水ハザードマップ等により、区民に情報提供を行う。 第2 洪水予報等に関する情報の収集・伝達 ○区は、複数の手段による区民への情報伝達体制を確保している。洪水予報等が発せられた場合は、浸水が想定される区域に情報を伝達する。 第3 区民への雨量等の情報提供 ○区は、インターネット等を活用し、雨量等の情報を区民に提供している。 対策3 浸水被害の軽減 第1 河川の整備 ○洪水・高潮対策として高潮防御施設整備事業や中小河川改修事業を実施するとともに、都市型水害対策として総合的な治水対策を推進している。 第2 下水道の整備 ○目黒川・立会川流域において雨水排水施設能力の増強対策を推進している。 第3 流域における雨水対策 ○都や区では、河川や下水道の整備に加えて、保水、遊水機能の増大を図るため雨水の流域対策を積極的に推進している。 第4 水位・雨量情報システムの整備 ○区は、河川監視システムに基づき、洪水対策の強化を図るとともに、民間会社の気象情報を活用し水防対策の充実を図っている。 第5 建造物対策 ○区は、建造物対策として、水害のおそれのある地域における防水板の設置助成、屋外広告物対策を実施している。 第6 鉄道施設に係る浸水対策 ○区は、平常時から各鉄道事業者と連携し、鉄道の復旧状況等について、情報共有する体制を整備する。 【用語の解説】 @水防法 洪水、雨水出水、津波または高潮に際し、水災を警戒・防御し、それによる被害を軽減することを目的に制定された法律をいう。水防組織と水防活動の全般を定めている。 A洪水予報河川 洪水によって相当の被害が発生するおそれのある指定河川をいう。品川区内では、目黒川が指定されており、平成24年6月から目黒川洪水予報が開始されている。 B品川区浸水ハザードマップ 大雨による河川の増水や下水道処理能力を超える流入により、水が溢れた場合の、浸水する範囲やその程度、避難所を示したものをいう。 C都市型水害 地表がアスファルトやコンクリートなどで舗装されているため、水を浸透・吸収することができずに、下水処理能力を超えてしまい、水が溢れることで生じる浸水被害などをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 対策3 浸水被害の軽減 対策1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・浸水想定区域における警戒避難体制の整備 ・防災拠点施設における浸水対策と資機材の備蓄の推進 【具体的な取組】 第1 浸水想定区域における警戒避難体制の整備 ○区は、洪水予報が発せられた場合、浸水が想定される区域に情報を伝達する。 @ 区は、浸水想定区域(目黒川浸水想定、多摩川浸水想定、高潮浸水想定)において、洪水予報等や避難情報の伝達方法等について、区民に対する周知徹底を推進するとともに、よりきめ細やかな対応を図るため、浸水想定区域内の要配慮者利用施設(本計画に施設の名称および所在地を定めたものに限る。)へ洪水予報等を伝達する。 A 区は、本計画に名称および所在地を定められた要配慮者が利用する施設に対し、水防法・土砂災害防止法に基づき実施が義務化されている避難確保計画作成および避難訓練の実施に関する周知・啓発を図る。また、施設管理者等から避難確保計画の作成・変更や避難訓練の実施について報告があったとき、区は内容を確認し、必要に応じて助言・勧告を行う。 資料57 浸水想定区域等内の要配慮者利用施設一覧 第2 防災拠点施設における浸水対策と資機材の備蓄の推進 ○区は、防災拠点施設の平常時からの点検と浸水対策、資機材の備蓄を推進する。 @ 区は、風水害対策の要である防災拠点施設が、河川の氾濫、浸水時に機能を果たせるかどうか点検と対策の推進を行う。 防災拠点施設:庁舎、地域センター、水防倉庫、避難所等 対策例:施設の床面・機器の嵩上げ、防水板の設置等 A 区は、水防活動、避難活動、避難者支援のための資機材、物資を常時から備蓄しておき、それらを風水害時に円滑に活用・配給できるよう地域防災計画に定め、体制を点検し充実を図る。? 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・平常時からの情報提供 ・洪水予報に関する情報の収集・伝達 ・区民への雨量等の情報提供 【具体的な取組】 第1 平常時からの情報提供 ○区は、浸水ハザードマップ等により、区民に情報提供を行う。 @ 区は、大雨による河川の増水や下水道処理能力を超える流入により、水が溢れた場合を想定した浸水ハザードマップを作成し、ホームページで区民に情報を提供している。あわせて、水害の危険性や対策の必要性をパンフレット等の配布やインターネット等への掲載を通じて広める。 A 浸水ハザードマップは令和元年6月に都が作成した城南地区河川流域浸水予想区域図に避難所を示し、実際の避難などに役立つよう作成したものである。 B?想定した大雨の規模は想定し得る最大規模の降雨(総雨量 690mm、時間最大雨量 153mm)であるが、雨の降り方や土地の形態の変化、河川・下水道の整備状況によって変わることもあるので、大雨が降ると常にこのような浸水があるものではなく、状況によって浸水することもありうるので、十分注意するよう呼びかけている。 C 区は、浸水ハザードマップを作成し、全戸配布を行っている。 D 区は、作成した浸水ハザードマップを水防計画、地域防災計画等へ活用する。 E 区は、浸水想定区域内の要配慮者が利用する施設等の名称、所在地を把握する。 第2 洪水予報等に関する情報の収集・伝達 ○区は、複数の手段による区民への情報伝達体制を確保している。洪水予報等が発せられた場合は、浸水が想定される区域に情報を伝達する。 @?区は、洪水氾濫の対策として、迅速かつ的確な災害対応のために、まず正確な情報の収集・伝達が必要である。このため、防災関係機関が連携を図り、情報の交換に努め、必要な情報を共有・伝達できる体制を構築する。 A 区は、防災行政無線や広報車による広報や、浸水想定区域内においては、通知サービスに事前登録した区民等に対して、電話やメールで避難情報を提供する「避難情報緊急通知コール」を導入する等、複数の手段による区民への情報伝達体制を確保している。 B 都では、洪水のおそれがあるという情報を提供する河川として、目黒川を洪水予報河川に指定している。都と気象庁の合同により、洪水予報が発せられた場合、区は浸水が想定される区域に情報を伝達する。 C 国では、多摩川を洪水予報河川に指定している。国土交通省と気象庁の合同により、洪水予報が発せられた場合、都が通知を受け、都からの情報に基づき、区は浸水が想定される区域に情報を伝達する。 D 区は、水防法・土砂災害防止法に基づき、浸水想定区域等内において、要配慮者が利用する施設で、当該施設の利用者の円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められる施設(本計画に名称および所在地を定められた要配慮者が利用する施設)に対して、防災行政無線等により以下の情報を伝達する。 ・大雨警報、洪水警報 ・目黒川および多摩川洪水予報 ・河川水位情報 ・高齢者等避難、避難指示および緊急安全確保 ・その他、浸水対策上、有効な情報等 資料57 浸水想定区域等内の要配慮者利用施設一覧(再掲) E 区は、区民等が必要としている情報をテレビ、ラジオ等のマスメディアを通じ、情報を迅速に提供するなど、マスコミとの連携の強化を図る。 図表2-68 目黒川洪水予報実施区間と基準地点 ? 図表2-69 洪水予報の種類と発表基準(目黒川) 種類 発表基準 (目黒川)氾濫危険情報 基準地点のいずれか1地点の水位が、概ね1時間以内に氾濫発生水位に到達することが見込まれる場合、あるいは氾濫危険水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる場合に発表する。 (目黒川)氾濫注意情報解除 全ての基準地点の水位が、氾濫危険水位を下回り、洪水のおそれがなくなったとき 図表2-70 洪水予報河川発表基準水位(目黒川) 基準地点 所在地 水防団待機 水位 (指定水位) 氾濫注意 水位 (警戒水位) 氾濫危険水位 氾濫発生水位 青葉台 目黒区青葉台 − − 10.05m 11.94m 荏原調節池 上流 品川区西五反田 − − 4.47m 5.42m 図表2-71 洪水予報の種類と発表基準(多摩川) 種類 発表基準 (多摩川)氾濫注意情報 基準地点のいずれかの水位が、氾濫注意水位に到達し、さらに水位上昇が見込まれるとき (多摩川)氾濫警戒情報 基準地点のいずれかの水位が、概ね2〜3時間後に氾濫危険水位に到達すると見込まれるとき、あるいは避難判断水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれるとき (多摩川)氾濫危険情報 基準地点のいずれかの水位が、急激な水位上昇によりまもなく氾濫危険水位を超え、さらに水位の上昇が見込まれるとき、あるいは氾濫危険水位に到達したとき (多摩川)氾濫発生情報 洪水予報を行う区域において、氾濫が発生したとき (多摩川)氾濫注意情報解除 基準地点の水位が、氾濫注意水位を下回り、氾濫のおそれがなくなったとき 図表2-72 洪水予報河川発表基準水位(多摩川) 基準地点 所在地 水防団待機 水位 (指定水位) 氾濫注意 水位 (警戒水位) 避難判断 水位 氾濫危険 水位 計画高 水位 調布橋 青梅市上長渕 0.20m 1.00m 1.20m 1.60m 4.70m 石原 調布市多摩川3丁目 4.00m 4.30m 4.30m 4.90m 5.94m 田園調布 大田区田園調布 4.50m 6.00m 7.60m 8.40m 10.35m ? 第3 区民への雨量等の情報提供 ○区は、インターネット等を活用し、雨量等の情報を区民に提供している。 @ 区では、区役所等の区内3箇所で降水量を、目黒川の水位を西五反田や大崎橋等の4箇所で、立会川の水位を中延、立会川橋等の3箇所で計測している。この情報はインターネット等を活用し広く提供している。 図表2-73 水位計設置場所(品川区HPより) 河川名 水位計 設置場所 目黒川 西五反田 品川区西五反田3−9 大崎橋 〃 西五反田1−29 昭和橋 〃 東品川3−8 青葉台 目黒区青葉台2−17 立会川 中延 品川区荏原5−14−5 立会川橋 〃 南大井4−2 荏原南公園  〃 荏原6−16−4 ? 対策3 浸水被害の軽減 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・雨水排水施設能力の増強対策 ・流域における雨水対策の推進 区 ・流域における雨水対策の推進 ・建造物対策 【具体的な取組】 第1 河川の整備 ○洪水・高潮対策として高潮防御施設整備事業や中小河川改修事業を実施するとともに、都市型水害対策として総合的な治水対策を推進している。 1 洪水・高潮対策 区内を流れる河川は、目黒川約3.7kmと立会川約6.2kmの河川、総延長約9.9kmである。その改修状況は、次のとおりである。 (1)目黒川 目黒川は、河口から鈴懸歩道橋までの約2.0kmを高潮防御施設整備事業、その上流約1.7kmを中小河川改修事業として整備を進めてきた。 ア 高潮防御施設整備事業 伊勢湾台風級の高潮に対処できる防潮堤の建設は、昭和53年度に着工し、概ね完了している。 イ 中小河川改修事業 (ア)護岸改修 1時間あたり50mm降雨に対処する護岸の建設は、昭和53年度に着工し、概ね完了している。 (イ)目黒川荏原調節池 @?当調節池は、75mm降雨への対処も視野に入れた地下4層式、最大貯留量約20万m3の施設で、その上部には、中高層の公営住宅等の施設が建設された。 A?調節池工事は、平成3年度に着工し、途中、完成した層から段階的に供用を開始し、平成13年度より全面稼動となっている。 (2)立会川 立会川は、月見橋から上流については下水道立会川幹線として暗渠化されており、その下流部756mの開渠部は、高潮防御施設整備事業として進めてきた。 ア 高潮防御施設整備事業 伊勢湾台風級の高潮に対処できる防潮堤の建設は、昭和55・56年度に河口部の50 mを整備している。なお、立会川河口部では、高潮対策のため、樋門と排水機場の整備が予定されている。 2 都市型水害対策 @?都は、区部や多摩部の中小河川において、1時間50oの降雨に対処するため、護岸整備を基本に、調節池や分水路を整備するとともに、近年の時間50oを超える降雨への対応として、公共空間を活用した調節池による効率的な整備を進めている。 A 治水施設の整備を図るとともに、下水道事業や流域の雨水流出抑制施設とを連携させた総合的な治水対策を推進し、水害の早期軽減を図る。 第2 下水道の整備 ○目黒川・立会川流域において雨水排水施設能力の増強対策を推進している。 1 洪水・高潮対策 @ 下水道は、汚水を適切に処理し良好な水環境を創り出すとともに、雨水を速やかに排除し、都市を浸水から守るための重要な機能を有している。 A 区の下水道普及率は、平成6年度末に概成100%を達成しており、現在1時間あたり50mmの降雨を安全に処理できる整備を進めている。しかし、近年の都市化の進展に伴い雨水浸透域が減少し下水道への雨水流出量が増大してきたこと等から、一部の地域において台風や集中豪雨時に浸水被害が発生している。 B 目黒川・立会川流域において雨水排水施設能力の増強を図るべく、立会川雨水放流管(平成24年以降)や、第二戸越幹線(平成29年以降)の整備を進めている。 資料28 浸水対策箇所図(再掲) 2 都市型水害対策 @ 都は、「東京都豪雨対策基本方針(改定)」(令和5年12月)において、豪雨対策は、都内全域で気候変動を踏まえた年超過確率1/20規模相当の降雨に対応するものとし、目標降雨は、区部の場合は東京管区気象台(大手町)のデータから時間85mmとしている。取組みの方向性は、目標降雨までは浸水被害を防止、目標を超える降雨に対しても、生命の安全、減災および早期復旧・復興に重要な機能を確保することとしている。 A 豪雨対策としては、目標降雨に対し、河川整備、下水道整備、流域対策の主要な施策で浸水被害を防止することとし、目標を超える降雨に対しても、家づくり・まちづくり対策、避難方策に取組み、もしもの備えを進めていくこととしている。 B?内水氾濫への対応では、過去の浸水実績に加えて、流出解析シミュレーションの結果などを考慮し、浸水リスクが高い地区において、幹線や貯留施設などを優先的に整備する「重点地区」を選定している。品川区では、東大井、大井、戸越、西品川が「重点地区」として選定されており、幹線の整備が進められている 第3 流域における雨水対策 ○都や区では、河川や下水道の整備に加えて、保水、遊水機能の増大を図るため雨水の流域対策を積極的に推進している。 近年の集中豪雨による水害に対して、従来からの河川、下水道の整備に加えて、保水、遊水機能の増大を図るため、次のような雨水の流域対策を積極的に推進する必要がある。 ・学校、公園等を利用した雨水の貯留および浸透施設の設置。 ・公共施設における雨水の貯留および浸透施設の設置。 ・道路の浸透ますや、透水性舗装などによる浸透施設の設置。 ・一定規模以上の民間開発事業における貯留および浸透施設の設置指導。 ・各家庭における貯留および浸透施設設置者への助成金交付および広報。 ・グリーンインフラを活用した雨水の貯留・浸透等の推進。 第4 水位・雨量情報システムの整備 ○区は、河川監視システムに基づき、洪水対策の強化を図るとともに、民間会社の気象情報を活用し水防対策の充実を図っている。 @ 区は、河川監視システムにより、区内河川(目黒川・立会川)に設置した、雨量観測局・水位観測局の各データの収集を行うとともに、都建設局第二建設事務所等が設置している雨量・水位観測局のデータを受信し、洪水対策の強化を図っている。 A 区は、民間気象会社と契約を行い、詳細な気象情報を基に、水防対策の充実を図っている。 第5 建造物対策 ○区は、建造物対策として、水害のおそれのある地域における防水板の設置助成、屋外広告物対策を実施している。 @ 建物やその付属物を洪水や強風から守るために、所有者または管理者が常時適切な防災措置を講じておくことが大切である。 A 建築基準法等では、防災のための一定基準を定めているが、ここでは水害の危険が高い地域の規制指導および屋外広告物の防災措置について定める。 1 建造物の改造指導 区は、水害のおそれのある地域において、浸水被害の軽減を図るため、住宅・店舗・事務所等に防水板の設置を行う者に対し、工事費の一部を助成する。 2 屋外広告物対策 広告塔、看板等の屋外広告物は強風時に脱落し、被害を与えることも予想される。このため、区は屋外広告物条例および道路法に基づき、設置者に対し設置の許可申請および設置後の維持管理に際し、改善指導を行っている。 3 土のう配置 区は、道路冠水による家屋への浸水を防止するため、浸水危険箇所付近の道路・公園等に水防用土のうを配置し、家屋の所有者または管理者が速やかに浸水防止に対処できるようにする。 第6 鉄道施設に係る浸水対策 ○区は、平常時から各鉄道事業者と連携し、鉄道の復旧状況等について、情報共有する体制を整備する。 鉄道事業者は、鉄道の安全確保策や、早期復旧に向けた対策を図る。 図表2-74 各機関の役割 機関名 役   割 都 ・耐震化等の鉄道の安全確保策の実施および促進、早期復旧に向けた事前対策 区 ・各鉄道事業者と連携を密にし、通信手段を確保する。 鉄道事業者 ・浸水対策、避難計画等鉄道の安全確保策、早期復旧に向けた事前対策  ? 第15章 土砂災害対策 対策の基本的な考え方 品川区では、傾斜度30度以上、高さ5m以上の急傾斜地で人家や公共施設に被害を及ぼすおそれのある急傾斜地および近接地と定義している急傾斜地崩壊危険箇所が、43箇所、都から公表されている。 また、区内50箇所が土砂災害警戒区域に指定されており、そのうち、36箇所が土砂災害特別警戒区域に指定されている。 このような状況を踏まえて、土砂災害対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 第1 土砂災害警戒区域の指定 ○土砂災害防止法により、都は土砂災害警戒区域を指定する。 第2 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 ○区は、都が指定した土砂災害警戒区域ごとに、警戒避難体制に関する事項を定める。 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 第1 平常時からの情報提供 ○区は、土砂災害ハザードマップ等により、区民に情報提供を行う。 第2 土砂災害に関する情報の収集・伝達 ○区は、土砂災害警戒情報等を収集し、これらの情報に基づき、住民へ土砂災害発生の危険性や避難指示等、避難場所の開設状況等を伝達する。 対策3 がけ崩れ対策 第1 防災上危険ながけ・擁壁の改善指導等 ○区は、がけ・擁壁の改善指導等とともに、擁壁の築造または改修工事に要する費用の助成により対策を推進していく。 【用語の解説】 @土砂災害防止法 土砂災害のおそれのある区域を明らかにし、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとする法律をいう。 A土砂災害警戒区域 がけ崩れ等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域として、土砂災害防止法に基づき指定される区域をいう。 B土砂災害特別警戒区域 がけ崩れ等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域として、土砂災害防止法に基づき指定される区域をいう。  C土砂災害警戒情報 大雨による土砂災害発生の危険度が高まった時、区長が避難指示等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都と気象庁が共同で発表する防災情報をいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 対策3 がけ崩れ対策 対策1 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・土砂災害警戒区域等の指定 区 ・土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 【具体的な取組】 第1 土砂災害警戒区域の指定 ○土砂災害防止法により、都は土砂災害警戒区域を指定する。 @ 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止の推進に関する法律」(以下「土砂災害防止法」という)は、土砂災害から国民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれがある区域において住宅等の新規立地の抑制等のソフト対策を推進しようとするものである。 A 土砂災害防止法により、都は、土砂災害警戒区域を指定する。 第2 土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備 ○区は、都が指定した土砂災害警戒区域ごとに、警戒避難体制に関する事項を定める。 区は、警戒区域ごとに、土砂災害に関する情報の収集および伝達、予報または警報の発令および伝達、避難、救助、その他警戒区域における土砂災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項を定める。 ? 対策2 情報の収集・伝達体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・平常時からの情報提供 ・土砂災害に関する情報の収集・伝達 【具体的な取組】 第1 平常時からの情報提供 ○区は、土砂災害ハザードマップ等により、区民に情報提供を行う。 区は、住民に対し、急傾斜地の崩壊等のおそれがある箇所や避難場所、災害のおそれがある場合に伝達する情報や伝達方法等について、土砂災害ハザードマップ等により、その内容等を事前に周知する。 第2 土砂災害に関する情報の収集・伝達 ○区は、土砂災害警戒情報等を収集し、これらの情報に基づき、住民へ土砂災害発生の危険性や避難指示等、避難場所の開設状況等を伝達する。 @ 関係機関や住民から土砂災害の危険性を予測するための情報を収集・分析し、住民へ土砂災害発生の危険性を確実に伝達することが必要である。このため、区は都や気象庁から気象・雨量情報、土砂災害警戒情報等を収集するとともに、消防、警察、消防団等から前兆現象や災害発生等の情報を収集し、これらの情報に基づき、住民へ土砂災害発生の危険性や避難指示等、避難所の開設状況等を伝達する。 A なお、区では、防災行政無線や広報車による広報等以外に、通知サービスに事前登録した区民等に対して、電話やメールで避難情報を提供する「避難情報緊急通知コール」を導入する等、複数の手段による区民への情報伝達体制を確保している。 B?また、区内で土砂災害の危険度が高まっている詳細な領域は、土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)で確認することができる。区は、区長が避難指示を発表する際の判断に活用するとともに、区民へ避難の判断等に活用できることを周知する。 ? 対策3 がけ崩れ対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・防災上危険ながけ・擁壁の改善指導等 【具体的な取組】 第1 防災上危険ながけ・擁壁の改善指導等 ○区は、がけ・擁壁の改善指導等とともに、擁壁の築造または改修工事に要する費用の助成により対策を推進していく。 @ 区は、集中豪雨によるがけ・擁壁等工作物の崩壊による災害を未然に防止するため、がけ・擁壁などの調査を基に、防災上危険ながけ・擁壁の改善指導等を促進する。 A?がけ・擁壁に関する調査結果を平成29年6月に公表しており、擁壁の築造または改修工事に要する費用の一部を助成する制度を設け、より一層の対策推進を図っている。 ? 第16章 竜巻対策 対策の基本的な考え方 竜巻は一度発生すると家屋の倒壊や車両の転倒、飛来物の衝突などにより、短時間で大きな被害をもたらすことがある。また、積乱雲からはダウンバースト等の突風もしばしば発生し、竜巻と同様に短時間で大きな被害をもたらすことがある。 このような状況を踏まえて、竜巻対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 災害情報の収集・伝達体制の整備 第1 竜巻情報等気象情報の収集・伝達 ○区は、竜巻注意情報が気象庁より伝達された場合に、状況に応じ区民へ広報を行う。 対策2 予防知識の啓発・普及 第1 竜巻予防の啓発・普及 ○区は、「竜巻等突風災害とその対応(パンフレット)」を活用し、竜巻等突風のメカニズムや身の守り方等について啓発・普及を行う。 【用語の解説】 @竜巻 積乱雲に伴う強い上昇気流により発生する激しい渦巻きで、多くの場合、漏斗(とうと)状または柱状の雲を伴う。被害域は、幅数十〜数百メートルで、長さ数キロメートルの範囲に集中するが、数十キロメートルに達したこともある。 Aダウンバースト 積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突して水平に吹き出す激しい空気の流れ。吹き出しの広がりは数百メートルから十キロメートル程度で、被害地域は円形あるいは楕円形など面的に広がる特徴がある。 ? 対策 対応テーマ 対策1 災害情報の収集・伝達体制の整備 対策2 予防知識の啓発・普及 対策1 災害情報の収集・伝達体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・竜巻情報等気象情報の収集・伝達 【具体的な取組】 第1 竜巻情報等気象情報の収集・伝達 ○区は、竜巻注意情報が気象庁より伝達された場合に、状況に応じ区民へ広報を行う。 竜巻等の発生のメカニズムについては未だ研究段階であるが、気象庁では、竜巻等突風が発生しやすい気象状況となった場合に、局地的な「竜巻注意情報」を発信している。竜巻注意情報は、積乱雲の下で発生する竜巻、ダウンバースト等による激しい突風に対して注意を呼びかける情報で、雷注意報を補足する情報として、各地の気象台等が担当地域(概ね一つの県)を対象に発表されるもので、この情報は気象庁より防災機関に伝達される。 区は、竜巻等突風発生時に、迅速かつ円滑に災害広報を実施できるよう、報道機関との連携を図り、平常時から広報体制を整備し、竜巻注意情報が気象庁より伝達された場合に、状況に応じ区民へ広報を行う。 対策2 予防知識の啓発・普及 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・竜巻予防の啓発・普及 【具体的な取組】 第1 竜巻予防の啓発・普及 ○区は、「竜巻等突風災害とその対応(パンフレット)」を活用し、竜巻等突風のメカニズムや身の守り方等について啓発・普及を行う。 @ 内閣府では、「竜巻等突風災害とその対応(パンフレット)」を作成し、日本における竜巻等突風災害の特徴と個人の身の守り方を国民に紹介している。区は、これらのパンフレット等広報資料を活用し、区民への普及を図る。 A 区は、防災訓練時等防災イベントの際に、内閣府のパンフレット等を紹介するとともに、区民に対して竜巻等突風のメカニズムや身の守り方等についての啓発・普及を行う。 ? 第17章 富士山噴火降灰対策 対策の基本的な考え方 富士山が噴火した場合には、他の火山とは比較にならない広範かつ多大な被害が生じるおそれがある。品川区においても降灰の被害が予想されているため、富士山降灰対策について、対策を講じる必要がある。中央防災会議防災対策実行会議「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」では、令和2年4月に「大規模噴火時の広域降灰対策について −首都圏における降灰の影響と対策− 〜富士山噴火をモデルケースに〜(報告)」を公表しており、降灰による交通等への影響が報告されている。 このような状況を踏まえて、富士山噴火降灰対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 災害時対応体制の確立 第1 災害対策本部の組織・運営 ○災害時における対応体制確立に向けて、災害対策本部の組織・運営について、平常時から定める。 第2 対応に必要な機材の備蓄 ○区および防災機関は、富士山噴火降灰対策に必要な機材の備蓄に努める。 第3 降灰時の対応行動の周知 ○区は、健康被害、交通被害および建物被害への予防対策、降灰中の対応について、周知を図る。 【用語の解説】 @火山灰 噴火の際に放出される細粒の噴出物。粒子の直径が約2mm以下のもの。直径約2mm〜6cmを火山礫(れき)、6cm以上を噴石という。 A降灰 火山灰、火山砂および火山礫が降下する現象のことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 災害時対応体制の確立 対策1 災害時対応体制の確立 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・災害対策本部の組織・運営 ・対応に必要な機材の備蓄 ・降灰時の対応行動の周知 【具体的な取組】 第1 災害対策本部の組織・運営 ○災害時における対応体制確立に向けて、災害対策本部の組織・運営について、平常時から定める。 @?区は、法令、東京都地域防災計画、本計画の定めるところにより、各防災機関および他自治体等の協力を得て応急対策を実施する。 A?このため、必要があると認めたときは、品川区災害対策本部(以下「本部」という)を設置する。本部の組織および運営は、災害対策基本法、品川区災害対策本部条例(以下「本部条例」という)、品川区災害対策本部条例施行規則(以下「本部条例施行規則」という)の定めるところによる。 B?本部の組織は、本部条例および本部条例施行規則に定めるところによる。 C?その他、職員の初動および活動態勢、本部の設置、廃止等の詳細については、「第5章 災害対応体制」に定めるところによる。 D 参考に、国の火山観測体制および気象庁の実施する火山観測は次のとおりである。 ? 図表2-75 国の火山観測体制 気象庁 東京大学地震研究所 防災科学技術研究所 他の国の機関 【常時観測】 ・地震計 ・GPS ・空振計 ※現地観測 随時 遠望観測 毎日 ・地震計 ・傾斜計 ・全磁力計 ・GPS ・潮位計 ・傾斜・歪計 ・電磁気観測 ・地中温度計 ・CO2土壌ガス ・地震計 ・傾斜計 ・電磁気観測 ・歪計 ・地中電界変動計 ・雨量計 ・気圧計 ・風速計 ・重力計 ・水位計 産業技術総合研究所、国土地理院、海上保安庁が地殻変動観測、準測定等の観測を実施している。 図表2-76 気象庁の実施する火山観測 区分 内容 振動観測 地震計により、火山およびその周辺に発生する火山性地震、火山性微動を観測する。 地殻変動観測 地震計により、火山およびその周辺に発生する火山性地震、火山性微動を観測する。 表面現象の観測 監視カメラ等により、噴煙の状態や噴出物等の観測を行う。また、空振計により、火山噴火等に伴う空気振動を観測する。 その他の観測 磁力計により、マグマの活動等に伴う地磁気の変化を観測する。また、噴気地帯等の噴気温度やガス等を定期的に観測する。 第2 対応に必要な機材の備蓄 ○区および防災機関は、富士山噴火降灰対策に必要な機材の備蓄に努める。 @ 区および防災機関は、降灰への対応に備え、平常時から災害応急対策活動および災害復旧に必要なマスク、ゴーグル等の機材の備蓄に努める。 A?また、平常時から応急資機材の整備、点検に努める。その他の備蓄品については、「第7章 備蓄・輸送対策」に定めるところによる。 第3 降灰時の対応行動の周知 ○区は、健康被害、交通被害および建物被害への予防対策、降灰中の対応について、周知を図る。 1 健康被害への予防対策 @ 住民、事業者等は、マスクや目を守るゴーグル、水、食料、衣料品、携帯ラジオ等の非常持出用品の準備をしておく。 A 外出する際はマスクやハンカチ、もしくは衣服で鼻と口を覆う。 B コンタクトレンズは使用せず、眼鏡やゴーグルをかける。 C 可能な限り、常にすべてのドアや窓を閉めておく。 2 交通被害への予防対策 (1)自動車運転の制限 少量の降灰でも視界が悪くなり、自動車の運転による火山灰の巻き上がりによってさらに条件が悪化する。また、火山灰は自動車の故障原因にもなるため、運転は控える。 (2)運転の際の注意事項 @ どうしても運転しなければならない場合は、十分な車間距離を取り、ヘッドライトを点けて徐行運転を心がける。 A 乾いた火山灰がフロントガラスに堆積している際にワイパーを使うと、フロントガラスを傷つける可能性があるため、走行中において定期的に停車して、フロントガラスの清掃を行う。 B 火山灰が大量に積もった後には、800kmから1,600kmの走行ごと、もしくは大量の火山灰を浴びた後に、整備工場で清掃する。 C エンジンやラジエーター等の重要部品まで毎日清掃する。 3 建物被害への予防対策 @ ドアや窓を閉め、すき間風が入る窓にはテープを張る。 A 電化製品にはラップ等でカバーをして、周囲の火山灰が完全に無くなるまでカバーをはずさない。 B 下水がつまらないように、雨どいや配水管を排水溝からはずす。さらに、排水溝もつまらないように、火山灰と水が地面に流れるような状態にする。 4 降灰中の対応 @ 屋内にとどまり、パニックに陥らず冷静に行動する。 A 屋外にいる場合は、避難できる施設を探す。 B?仕事中に火山灰が降り始めてしまった場合には、火山灰が降り止むまで屋内に留まる。 第18章 大規模火災対策 対策の基本的な考え方 品川区は、人口や産業が集中する都市である一方、現在も木造住宅密集地域が広く分布しており、火災等が発生した場合には、平成28年に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災になる可能性がある。 このような状況を踏まえて、大規模火災対策対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 火災の予防 第1 防火意識の普及徹底等 ○区は、消防機関に協力して、区民に対する防災指導等を実施する。 対策2 建築物等の防火対策 第1 一般建築物等の防火対策に関する指導 ○区は、必要に応じて、消防機関が実施する一般建築物等の防火対策に関する指導に協力する。 第2 高層建築物の防火対策(防火管理および防災管理の充実強化) ○区は、必要に応じて、消防機関が実施する高層建築物の防火対策に関する指導に協力する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 火災の予防 対策2 建築物等の防火対策 対策1 火災の予防 【各機関の役割】 機関名 役   割 区および 消防機関 ・防火意識の普及徹底等 【具体的な取組】 第1 防火意識の普及徹底等 ○区は、消防機関に協力して、区民に対する防災指導等を実施する。 1 区民に対する防災指導 @ 区は、パンフレット、ポスター、ホームページ等各種の媒体を用いて、防火意識の普及を図る。 A?区は、出火防止、初期消火および応急救護の要領について、しながわ防災体験館等を活用し、教育や訓練を通じて、区民の防火意識と防災行動力の向上を図る。 B 区は、都民防災教育センターを活用し、区民の防災意識と防災行動力の向上を図る。 2 事業所の防火管理および防災管理指導 @ 消防機関は、防火管理および防災管理指導を通じて、事業所における防火管理および防災管理体制の充実強化を図る。 A 消防機関は、統括防火防災管理者、防火管理者、防火管理技能者、火元責任者、その他の防火管理および防災管理業務に従事する者に対して自衛消防に係る指導を行うことにより、事業所の防災行動力を向上させる。 B 詳細は、「第5章 災害対応体制」に定めるところによる。 3 火災予防査察 消防機関は、消防法第4条または第16条の5の規定に基づき、消防対象物または危険物貯蔵所等に立ち入り、その位置、構造、設備および管理の状況ならびに危険物の貯蔵、取扱状況について、検査や質問等を行い、火災予防上の欠陥事項があれば関係者に指摘し、是正指導を徹底する。 対策2 建築物等の防火対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区および 消防機関 ・一般建築物等の防火対策に関する指導 ・高層建築物の防火対策(防火管理および防災管理の充実強化) 【具体的な取組】 第1 一般建築物等の防火対策に関する指導 ○区は、必要に応じて、消防機関が実施する一般建築物等の防火対策に関する指導に協力する。 @ 建築物の位置、構造および設備は建築基準法関係法令、消防用設備等は消防法関係法令に基づき、それぞれ定められた技術上の基準に適合した状態に施工および維持・管理するよう指導する。 A 建築物に対し、火災予防査察を実施する。 B 小規模雑居ビルに対し、各地で発生した同種ビルの火災を受けて改正された消防法、建築基準法および火災予防条例に基づきそれぞれ定められた基準に適合させるなど、防火上の観点から必要な指導を行う。 第2 高層建築物の防火対策(防火管理および防災管理の充実強化) ○区は、必要に応じて、消防機関が実施する高層建築物の防火対策に関する指導に協力する。 @ 地下街、超高層ビルの特性に応じた実効性のある訓練の実施、防火施設・避難施設の適正な維持管理、実態に即した消防計画の樹立等、防火管理および防災管理業務の執行体制の充実強化について指導する。 A また、災害の発生時において、情報連絡、避難誘導、初期消火等の災害活動が効果的に行われるよう、自衛消防隊の活動能力の向上を図るとともに、防災センターの機能の充実、さらに、ガスの漏洩による災害を防止するため、関係施設・設備の点検・整備および初動措置について必要な指導を行う。 ? 第19章 危険物事故対策 対策の基本的な考え方 品川区には、ガソリン、灯油など消防法上の危険物を指定数量以上貯蔵し、または取り扱う危険物施設は、令和2年3月末日現在544施設あり、また、指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、取り扱う少量危険物貯蔵取扱所は912施設ある。さらに、火災予防条例別表に定められた燃えやすい物品や、消防活動が困難なゴムのり、油かす、紙類等の物品を一定数量以上貯蔵し、取り扱う施設は、指定可燃物貯蔵取扱所として規制されており、令和2年3月末日現在130施設ある。これらの施設で事故が発生した場合、そこで働く従業員はもとより周辺の住民にも大きな影響が及ぶ。 このような状況を踏まえて、危険物事故対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 危険物施設の安全化 第1 危険物等の安全対策に関する指導等 ○各消防署は、危険物施設を対象として、安全対策に関する指導等を実施する。 対策2 危険物等の輸送の安全化 第1 危険物等の輸送時における安全対策に関する指導等 ○各消防署は、石油元売各社に対し、危険物等の輸送時における安全対策に関する指導を実施する。 対策3 災害時対応体制の確立 第1 高圧ガス保管施設の連絡体制の整備 ○区は、災害時の対応体制を確立するため、平常時から関係機関との連絡体制を整備する。 第2 応急用資機材の整備 ○区および関係機関は、災害が発生した場合、二次災害を防止し被害を最小限に止めるため、応急用資機材の整備を図る。 ? 対策 対応テーマ 対策1 危険物施設の安全化 対策2 危険物等の輸送の安全化 対策3 災害時対応体制の確立 対策1 危険物施設の安全化 【各機関の役割】 機関名 役   割 消防署 ・危険物等の安全対策に関する指導等 【具体的な取組】 第1 危険物等の安全対策に関する指導等 ○各消防署は、危険物施設を対象として、安全対策に関する指導等を実施する。 危険物施設については、日頃からそれぞれの関係法令等に基づき、規制、指導等を実施し、防災体制の強化を図っていく必要がある。石油類、高圧ガス、火薬、毒劇物、化学薬品の貯蔵、使用施設の安全化を進めるにあたり、各消防署が実施すべき対策について以下に示す。また、関係機関は東京都地域防災計画大規模事故編に定める保安計画を準用し、対策を進めることとする。 <各消防署が推進する対策> 危険物施設(石油類施設)において実施する対策 ○通常時から危険物流出等の事故原因を究明し、改修指導および類似事故の発生防止を図ることにより危険物施設の健全性を確保し、大規模事故への進展を防止する。また、危険物流出等の大規模事故が発生した際は、その原因を究明し、類似事故の発生防止のための措置を講じる。 ○危険物事業所の自主保安体制の強化を図り、事故の未然防止と災害発生時の被害の軽減を図るため、大規模危険物施設における防災資機材の備蓄および訓練の実施ならびに危険物事業所間相互の応援組織の育成・充実を推進すること。 ○危険物施設の位置、構造等の安全化を図るため、設置許可等にあたっては、法令で定める用地を確保させること。 ○危険物施設については、消防法令に基づき、貯蔵し、または取り扱う危険物の種類・数量および施設の態様に応じ、位置、構造、設備に関する規制と、危険物の貯蔵・取扱いおよび運搬に関する規制を行い、安全化を図る。また、事故の未然防止と災害対応力の強化等を図るため、自主保安管理等にかかわる指導を推進する。 対策2 危険物等の輸送の安全化 【各機関の役割】 機関名 役   割 消防署 ・危険物等の輸送時における安全対策に関する指導等 【具体的な取組】 第1 危険物等の輸送時における安全対策に関する指導等 ○各消防署は、石油元売各社に対し、危険物等の輸送時における安全対策に関する指導を実施する。 タンクローリーは、走行中のものおよび常置場所におけるものについて、消防法第4条または第16条の5の規定に基づき、その位置、構造、設備および管理の状況ならびに危険物の貯蔵取扱状況について、検査や質問等を行い火災予防上の欠陥事項があれば関係者に指摘し、是正指導を徹底する。 各消防署は、石油元売各社に対し、下記事項について指導する。 ・危険物輸送の動態に対応した輸送手段についての保安基準の遵守 ・種類別の危険度を考慮した輸送手段についての保安基準の遵守 ・安全度の高い輸送手段への移行 ? 対策3 災害時対応体制の確立 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・高圧ガス保管施設の連絡体制の整備 ・応急用資機材の整備 関係機関 ・応急用資機材の整備 【具体的な取組】 第1 高圧ガス保管施設の連絡体制の整備 ○区は、災害時の対応体制を確立するため、平常時から関係機関との連絡体制を整備する。 高圧ガスの移動や事業所における事故に対し、出動要請を受けて応援出動する際の連絡体制について以下に示す。 図表2-77 高圧ガス保管施設の連絡体制 第2 応急用資機材の整備 ○区および関係機関は、災害が発生した場合、二次災害を防止し被害を最小限に止めるため、応急用資機材の整備を図る。 @?危険物の取扱いについては、予防・保安計画により安全対策を実施しているが、万一、災害が発生した場合に、二次災害を防止し、被害を最小限に止めるためには、平常時から応急用資機材を整備し、直ちに応急対策を実施することが必要である。 A?各関係機関は、東京都地域防災計画大規模事故編に定める内容に基づき、応急用資機材の整備を図ることとする。? 第20章 大規模事故対策 対策の基本的な考え方 品川区では、羽田空港や調布飛行場から離発着する航空機が上空を通過することや14路線40駅の鉄道が通っていること、高速道路や国道、都道等の複数の幹線道路が通っている等の条件から、大規模な事故が発生する可能性がある。 このような状況を踏まえて、大規模事故対策の施策を次のとおり計画する。 各対策の要点 対策1 航空機事故対策 第1 航空機による墜落・衝突事故等の防止 ○区は、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 対策2 鉄道事故対策 第1 列車の衝突、脱線等の鉄道事故の防止 ○区は、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 対策3 道路・橋梁・トンネル災害対策 第1 所管する道路等の安全確保 ○区は、所管する道路について、平常時から道路の安全確保に努める。また、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 ? 対策 対応テーマ 対策1 航空機事故対策 対策2 鉄道事故対策 対策3 道路・橋梁・トンネル災害対策 対策1 航空機事故対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 都港湾局 ・ヘリポート施設および飛行場施設の維持管理 東京空港 事務所 ・飛行場施設の維持管理等 区 ・関係機関との平常時からの連絡体制整備 【具体的な取組】 第1 航空機による墜落・衝突事故等の防止 ○区は、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 1 都港湾局 @?ヘリポート内における航空機の安全な運航を確保するため、ヘリポート施設の維持管理を行う。 A?空港内における航空機の安全な運航を確保するため、飛行場施設(滑走路、エプロンおよび保安施設等)の維持管理を行う。 2 東京空港事務所 @?空港内における航空機の安全な運行を確保するため、飛行場施設(滑走路、エプロンおよび保安施設等)の維持管理を行う。 A?空港に離発着する航空機およびその周辺空域を航行する航空機の安全と円滑な運行を確保するため、必要な措置を講ずる。 ? 対策2 鉄道事故対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 鉄道機関 ・列車の衝突、脱線等の鉄道事故の防止 区 ・関係機関との平常時からの連絡体制整備 【具体的な取組】 第1 列車の衝突、脱線等の鉄道事故の防止 ○区は、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 図表2-78 鉄道機関の役割 機関名 役 割 JR東日本 ○事故災害を予防し、人命の安全、輸送を確保するため、下記のとおり車両の安全や地上施設の改良整備の推進を図るとともに、列車を安全運行できるよう列車の運行にかかわる人員に対して、継続的な安全教育を実施する。 1?車両や線路等の検査基準および関係法令等に基づく定期または随時保守点検を実施する。 2?橋梁や停車場、建物等も保守点検を継続的に実施するとともに、耐震性の確保を図る。 3?信号装置、連動装置、転てつ装置、自動列車停止装置、放送装置、消火設備等の保安設備の整備および改良を推進する。 東急電鉄 ○建造物の点検については土木実施基準等関係法令に基づき2年に1回定期検査を行い、必要に応じ補修、改良等を実施する。 ○田園都市線、大井町線、こどもの国線、東横線、目黒線には自動列車制御装置(ATC)を、池上線、東急多摩川線には自動列車停止装置(ATS)を装備し、列車の安全確保を図っている。 京浜急行電鉄 ○踏切道の連続立体化工事を進めているほか、次の保安装置を装備し事故の未然防止に努めている。 1 自動列車停止装置(ATS) 2 列車無線装置 3 踏切支障報知装置 4 ガードアングル(脱線防止ガード) 半径300m以下の曲線および、自動車が通行する全踏切道の列車が進出する方向に設置している。 都交通局 ○鉄道輸送における安全の確保を図るため、人的、物的の両面において取扱いに関する多角的な保安対策を講じ、列車衝突、列車火災、列車脱線等の重大事故の発生を未然に防止する。 1 保安対策 信号装置、連動装置、転てつ装置、自動列車制御装置、自動列車停止装置、自動列車運転装置、列車集中制御装置、列車無線電話、放送装置、消火設備、脱線防止ガード等を整備して、列車運転の安全を期する。 2 設備および規程等の整備 保安設置その他の設備に対して検査、保守等を行い、機能の保持に努めるとともに、運転取扱いに関する規程等の整備を図り、安全の確保を図る。 東京 メトロ ○列車の衝突、脱線等の鉄道事故を防止し、人命の安全および輸送の確保を図るため、次の対策を実施する。 1 保安対策 運行管理システム、電力管理システム、車両情報管理システム、施設管理情報システム、自動列車制御装置、自動列車運転装置、信号装置、連動装置、転てつ装置、列車無線装置、列車防護装置、脱線防止ガード等を整備して、列車運転の安全・安定輸送を図る。 2 設備および規定等の整備 保安設備およびその他の設備に対し検査および整備等を行い、機能の保持に努めるとともに、省令の改正にあわせ、運転取扱いに関する規程、整備実施基準等の整備を行い、定期的な教育を実施し安全の確保を図る。 東京 モノ レール ○大規模事故、災害を予防し人命の安全および輸送の確保を行うため、次の対策を実施し重大事故発生を未然に防止する。 1 車両や線路等の検査基準、関係法令等に基づく保守点検を実施する。 2?運行管理システム、電力管理システム、自動列車制御装置(ATC)、列車無線装置等を整備して、安全安定輸送を図る。 東京臨海高速鉄道 ○輸送の安全確保を図るため、次の保安設備等により事故の未然防止に努めている。 運行管理システム(PTC)、電力管理システム、信号装置、連動装置、転てつ装置、列車集中制御装置、列車無線装置、列車防護装置、自動列車停止装置、脱線防止ガード等 ? 対策3 道路・橋梁・トンネル災害対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 関係機関 ・所管する道路等の安全確保 区 ・所管する道路の安全確保 ・関係機関との平常時からの連絡体制整備 【具体的な取組】 第1 所管する道路等の安全確保 ○区は、所管する道路について、平常時から道路の安全確保に努める。また、大規模事故災害時において関係機関と円滑な情報共有を行うため、平常時より連絡体制の整備に努める。 図表2-79 道路・橋梁事故に係る関係機関の役割 機関名 役   割 東京国道事務所 ○東京国道事務所が所管する道路について、安全性確保のため、次の措置を講ずる。 1 定期的な安全点検の実施 2 応急・復旧措置訓練 3 関係機関との緊密な情報連絡体制の確保 4 事故多発箇所の施設改善 東日本高速道路 中日本高速道路 ○中/東日本高速道路防災業務計画に定める災害予防に基づき、未然に災害を防止し、または災害が発生した場合においても被害を最小限にとどめるため、平常時から高速道路等の計画的に点検を実施するなど保全管理に努める。 ○事故が多発する箇所の安全対策を検討し、実施に努める。 首都高速道路 ○防災業務計画に基づき未然に災害を防止し、または被害を最小限にとどめるため、平常時から路面状況や道路施設等のきめ細かな点検と補修を行う。また、事故多発地点を中心に大型注意喚起板、渋滞末尾情報板の設置等の交通安全対策を行う。さらに関係機関と協力して取締り・啓発活動を行う。 都建設局 ○都建設局が所管する道路について、大規模事故の発生を未然に防止するため、次の措置を講ずる。 1 定期的な安全点検の実施および適切な措置 2 事故多発箇所の施設改善 ○万一、大規模事故が発生した場合においても、被害を最小限にするため、次の措置を講ずる。 1 応急措置訓練の実施 2 関係機関との緊密な情報連絡体制の確保 警視庁 ○事故多発箇所における表示板等の設置、交通安全指導の徹底 区 ○所管する道路について、安全点検や補修、改修を行うなど、平常時から道路の安全確保に努める。 ? 図表2-80 トンネル内の事故防止に係る関係機関の役割 機関名 役 割 東日本高速道路 ○トンネル内に火災検知器等の通報・警報設備や消火設備を設置している。また、トンネル延長および交通量に応じて、トンネル内の遠方監視設備を設置し、道路管制センターにおいて監視を実施している。 ○トンネル内で、異常が発生した場合に、トンネルに進入しようとする車両に対する情報提供のためトンネル入口情報板を運用している。 ○停電時に非常用設備の機能を維持するため、自家発電設備等を設置している。 中日本高速道路 ○「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、延長および交通量によって区分されるトンネル等級に応じ、通報・警報設備、消火設備等の非常用施設を設置している。 首都高速道路 ○トンネル内には、通報・警報設備や消火設備、災害を監視する監視用テレビ装置等の各設備を設置している。また万一、災害が発生した場合には、管制室で各設備を制御し、被害を最小限に抑えるとともに、利用者へ警報を発令し、避難設備によって安全を確保する。 都建設局 ○「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、延長および交通量によって区分されるトンネル等級に応じ、通報・警報設備、消火設備等の非常用施設を設置している。 都港湾局 ○トンネル内には、消火設備、通報・警報設備等の防災設備を設置している。 ○停電に備え自家発電設備を設けている。 ? 第21章 区民生活の再建 対策の基本的な考え方 震災後に、被災した区民が早期に生活を再建していくには、区内の生活環境や住環境を早期に復旧・安定させることが重要となる。ここでは、発生したし尿やごみ等の処理や、区民の住宅等の確保に係る必要な手続き等について示す。 各対策の要点 対策1 生活再建のための準備 対策2 罹災証明の発行準備 ○区は、災害に係る住家被害認定調査、罹災証明発行、被災者台帳の作成まで一貫した実施体制を構築する。体制構築に向け、被災者生活再建支援システムの導入や家屋・住家被害認定調査員のボランティア受入れに関するマニュアル作成等を行った。 対策3 被災住宅の応急修理 ○区は、被災住宅の応急修理に関する相談体制の整備や応急修理制度の周知、必要な資材の調達に係る準備等について、事前に検討しておく。 対策4 応急仮設住宅等 ○区は、避難所生活の早期解消に向けて、応急仮設住宅等の供給に係る調整・管理等を円滑に行うために必要な対策として、建設型応急住宅の設置候補場所の調査、区営住宅等の空住戸の活用等について検討を進める。 対策5 応急教育・保育 ○校長等は、災害時における円滑な応急教育・保育の開始に向けて、あらかじめ適正な計画等を立てておくものとする。 対策6 災害がれき処理のための事前準備 ○区は、災害がれき処理のための応急仮置場、一次仮置場について、区内の全公園を対象に、候補地の確保などについて検討する。二次仮置場、仮設処理施設、資源化物一時保管場所は特別区が共同で設置することとしている。 対策7 生活ごみ・片付けごみ処理のための事前準備 ○区は、特別区で連携し災害廃棄物を処理する体制を整備している。なお、特別区で共同処理しきれない場合、都を窓口とし他府県で広域処理を実施できるよう体制を整備している。 対策8 トイレの確保およびし尿処理のための準備 ○区は、避難者向けの災害用トイレを順次確保し、事業所および家庭に対しては1週間分の災害用トイレ、トイレ用品の備蓄を推奨する。 ○区や各機関は、各種訓練や「しながわ防災学校」により区民への災害用トイレに関する知識の普及啓発に努める。 ○区は、近隣区、都、東京二十三区清掃協議会や民間事業者と連携し、し尿の収集運搬を実施する体制整備を進める。 【用語の解説】 @罹災証明 自然災害などにより住家などが破損した場合、その程度を一定の基準に基づき判定し、証明することをいう。保険の請求や税の減免などの手続き、大規模災害が発生した場合に行われる各種救援措置に必要となる。 A住家被害認定調査 地震や風水害等の自然災害により被害のあった住宅について、国の定める「災害の被害認定基準」等に基づき、全壊、半壊等の「被害の程度」を認定する調査をいう。罹災証明の基礎資料として使用される。 B被災者台帳 公平な支援を効率的に実施するため、個々の被災者の被害の状況や支援の実施状況、支援にあたっての配慮事項等を一元的に集約し作成する台帳のことをいう。 C応急仮設住宅等 応急仮設住宅は、民間賃貸住宅を活用した「賃貸型応急住宅」と「建設型応急住宅」のことをいう。これに「公的住宅の活用による一時提供型住宅」を含む場合、「応急仮設住宅等」という。 D災害がれき 道路啓開や救助捜索活動に伴い生じる廃棄物、被災建築物の解体撤去で発生する廃棄物のことをいう。 E応急仮置場・一次仮置場 救助活動、建物解体、道路啓開現場や地区仮置場から区が収集した災害廃棄物を集積し、分別・保管する仮置場のことをいう。 F地区仮置場 住宅地などに設置し、片付けごみなどを搬入する仮置場のことをいう。区立公園等の区民に身近な場所に設置する。 G二次仮置場 各区の災害廃棄物を集積、分別し、処理するまでの間、保管する仮置場のことをいう(特別区が共同で設置)。 H資源化物一時保管場所 資源化処理した災害廃棄物を買取り業者に引き渡すまでの間、必要に応じて一時的に保管する場所のことをいう(特別区が共同で設置)。 I生活ごみ 被災した区民の排出する生活ごみ(避難施設および在宅避難で排出される生活ごみを含む)、その他、災害に起因する廃棄物のことをいう。 J片付けごみ 損壊家屋から排出される家財道具のことをいう(通常の粗大ごみは除く)。 ? 対策 対応テーマ 対策1 生活再建のための準備 対策2 罹災証明の発行準備 対策3 被災住宅の応急修理 対策4 応急仮設住宅等 対策5 応急教育・保育 対策6 災害がれき処理のための事前準備 対策7 生活ごみ・片付けごみ処理のための事前準備 対策8 トイレの確保およびし尿処理のための準備 対策1 生活再建のための準備 【各機関の役割】 1 罹災証明の発行準備 機関名 役   割 都総務局 都福祉局 ・区が発行する罹災証明手続きの迅速化を促進 ・区の応援要員の確保の検討 ・義援金の募集・配分について、早期配分に必要な手続きの明確化 ・義援金に関する寄付控除(国税および地方税)等の取り扱いの確認 東京消防庁 ・火災による被害状況調査体制の充実 ・区との協定締結や事前協議による罹災証明交付に係る火災被害の情報収集等、連携体制の確立 区 ・罹災証明等、各種事務手続きに関する職員研修を実施 ・義援金の募集・配分について、早期配分に必要な手続きの明確化 ・義援金に関する寄付控除(国税および地方税)等の取り扱いの確認 2 応急仮設住宅等 機関名 役   割 都住宅政策本部 ・入居者の孤立防止や団地・地域住民との交流に配慮し、建設型応急住宅の規模に応じた集会室等の設置について検討 区 ・建設型応急住宅の設置候補場所の調査 ・区営住宅等の空住戸を活用する方法の検討 3 応急教育・保育 機関名 役   割 区 ・災害時における円滑な応急教育・保育の開始に向けた事前の計画作成 4 災害がれき処理のための事前準備 機関名 役   割 都 ・区を通して、都内全域のがれき処理体制を把握 ・区の応援要請に迅速に対応するため、都内の収集機材や中間処理施設の現況を把握し、機材の確保や処理体制の協力体制を構築 ・広域的ながれき処理体制について、連携体制の構築を推進 区 ・所管区域内の廃棄物関連施設や運搬車等の現況を把握し、施設の耐震化の促進や不足が想定される人員や資機材に対する備えを検証、確保 ・石綿使用建築物等の把握、石綿対応体制の整備 5 生活ごみ・片付けごみ処理のための事前準備 機関名 役   割 都 ・区を通して、都内全域のごみ処理体制を把握 ・区の応援要請に迅速に対応するため、都内のごみ収集・運搬機材や廃棄物処理施設の現況を把握、機材の確保や処理体制の協力体制を構築 ・広域的なごみ処理体制について連携体制の構築を推進 区 ・ごみ処理に関する窓口 ・所管区域内の清掃庁舎や収集運搬車等の現況を把握し、施設の耐震化の促進や、人員・資機材の不足が想定される場合に備えて、人員・機材に対する備えを確認 ・片付けごみの仮置場について、区内の全公園を対象に、候補地の確保や設置・管理方法などについて検討 ・災害廃棄物に係る知識の普及啓発 6 トイレの確保およびし尿処理のための準備 機関名 役   割 都環境局 ・区の対応のみでは困難となった場合に備え、関連事業者との協定等の締結を推進 ・し尿の収集・運搬に関する広域的な調整を円滑に実施 都下水道局 ・収集されたし尿の受入れ・処理体制の構築 ・下水道施設の耐震化 ・トイレの設置ができる指定マンホールの拡大 区 ・災害用トイレの確保、区民への災害用トイレに係る知識の普及啓発 ・し尿の収集・運搬に関する近隣区と連携した体制構築、し尿運搬車等の確保 ・都下水道局が管理する水再生センターや指定マンホールへの収集・運搬体制の確保等 対策2 罹災証明の発行準備 ○区は、災害に係る住家被害認定調査、罹災証明発行、被災者台帳の作成まで一貫した実施体制を構築する。体制構築に向け、被災者生活再建支援システムの導入や家屋・住家被害認定調査員のボランティア受入れに関するマニュアル作成を行った。 @?区は、効率的な被災者台帳の管理や、罹災証明の発行を支援する被災者生活再建支援システムを導入し、区民生活の早期再建を図っている。 A 区は、罹災証明の発行根拠となる、災害に係る住家被害認定調査に関する都の研修への参加および区独自の訓練を実施する。 B 区は、災害に係る住家被害認定調査、罹災証明発行、被災者台帳の作成まで一貫した実施体制を構築する。 C 区は被災者の援護を総合的かつ効率的に実施するために必要があると認められる際には、被災者台帳を作成でき、必要の範囲内で個人情報を使用、情報提供を求めることができる。 D 区は、東京消防庁と被害状況調査体制の充実を図るとともに、協定締結や事前協議等を行い、罹災証明発行に係る火災被害の情報共有等、連携体制を確立する。また、罹災証明の発行に必要な固定資産関連情報について東京都主税局と連携を図る。 E 区は、家屋・住家被害認定調査員に関する人材確保のために、区独自でも関係協会と協定を締結する。また、災害時の迅速かつ円滑な実施のために日頃からの訓練を実施する。 ? 対策3 被災住宅の応急修理 ○区は、被災住宅の応急修理に関する相談体制の整備や応急修理制度の周知、必要な資材の調達に係る準備等について、事前に検討しておく。 @ 区は、被災住宅の応急修理に関する相談体制の整備や応急修理制度の周知、必要な資材の調達に係る準備、修理業者リストの作成等について、事前に検討しておく。 A 区は、避難所生活の早期解消に向けて、被災住宅の応急修理および一時提供住宅・応急仮設住宅の供給に係る調整・管理について定めた住宅確保マニュアルを作成した。マニュアルに基づき、都や関係団体等と役割分担について調整するとともに、発災後の業務オペレーションを想定した訓練の実施に努める。 ? 対策4 応急仮設住宅等 ○区は、避難所生活の早期解消に向けて、応急仮設住宅等の供給に係る調整・管理を円滑に行うために必要な対策として、建設型応急住宅の設置候補場所の調査、区営住宅等の空住戸の活用について検討を進める。 @ 区は、建設型応急住宅の設置に関する事項を整理し、建設型応急住宅の設置場所を事前に検討しておく。 A 区は、民間賃貸住宅の空き住戸を賃貸型応急住宅として位置付け、民間事業所との協定を締結する。また、平常時から空き住戸の物件情報の把握に努める。 B 区は、区営住宅等の空住戸を活用する。 C 区は、応急仮設住宅等に関する相談体制の整備について、事前に検討しておく。 D 区は、避難所生活の早期解消に向けて、被災住宅の応急修理および一時提供住宅・応急仮設住宅の供給に係る調整・管理について定めた住宅確保マニュアルを作成した。マニュアルに基づき、都や関係団体等と役割分担について調整するとともに、発災後の業務オペレーションを想定した訓練の実施に努める。 E 区は、関係機関(日本赤十字社等)との連携に努める。 ? 対策5 応急教育・保育 ○校長等は、災害時における円滑な応急教育・保育の開始に向けて、あらかじめ適正な計画等を立てておくものとする。 第1 応急教育に係る事前準備 @ 校長または園長は、学校・幼稚園の立地条件等を考慮したうえ、災害時の応急教育計画、指導の方法などについて、あらかじめ適正な計画を立てておくものとする。 A 応急教育計画の作成にあたっては、次の点に留意するものとする。 ・平常時と同様の教育活動が行えない場合も、可能な範囲の教育活動の維持、推進を図る。 ・登校する児童・生徒等の人数に応じた応急教育を実施する。 ・地域の被災状況等を踏まえ、当該学年に適切な応急教育を実施する。 B 教育委員会、警察署、消防署および保護者への連絡網ならびに協力体制を確立する。 C 教育委員会は、勤務時間外における教職員の参集、連絡体制、役割分担等の計画を作成し、教職員に周知する。 第2 応急保育に係る事前準備 保育園長は、保育園の立地条件等を考慮したうえ、災害時の応急保育、指導の方法などについて、あらかじめ適正な計画、マニュアル等を検討する。 対策6 災害がれき処理のための事前準備 ○区は、災害がれき処理のための応急仮置場、一次仮置場について、区内の全公園を対象に、候補地の確保などについて検討する。二次仮置場、仮設処理施設、資源化物一時保管場所は特別区が共同で設置することとしている。 第1 災害がれき処理体制の整備 @ 区が主体的に設置・運営する応急仮置場、一次仮置場について、区内の全公園を対象に、候補地の確保や設置・管理方法などについて検討する。なお、二次仮置場、資源化物一時保管場所は特別区が共同で設置する。 A 区は、災害がれき処理(道路啓開や公費解体に関する災害がれき処理等)、災害廃棄物処理に関するマニュアルを作成し、迅速かつ円滑に活動できるよう、訓練を実施する。なお、マニュアルの作成に際し、石綿使用建築物等の把握、石綿対応体制の整備について検討する。あわせて、各マニュアルでは、担当部課等を記載し明確にしておく。 B 区は、所管区域内の廃棄物関連施設や運搬車等の現況を把握し、施設の耐震化の促進や不足が想定される人員や資機材に対する備えを検証、確保する。 C 区は、区内民間事業者等と協定を締結し、協力体制を構築する。 D 区は、災害発生時の組織体制・役割分担について、庁内部署との連携を重視し、関係部署が対応すべき項目を整理する。 ? 対策7 生活ごみ・片付けごみ処理のための事前準備 ○区は、特別区で連携し災害廃棄物を処理する体制を整備している。なお、特別区で共同処理しきれない場合、都を窓口とし他道府県で広域処理を実施できるよう体制を整備している。 第1 迅速な処理体制の整備 @ 区は、自区域内で発生した災害廃棄物について、収集・運搬を実施し、中間処理については、東京二十三区清掃一部事務組合が管理するごみ処理施設や民間の処理施設を活用するなどして、特別区で連携し、処理を行う。 A 特別区で共同処理しきれない場合は、都を窓口として、他道府県での広域処理を実施する。なお、最終処分の実施については、特別区および都と連携して実施する。 B 区は、片付けごみの仮置場(地区仮置場)について、区内の全公園を対象に、候補地の確保や設置・管理方法などについて検討する。また、震災時においても分別が必要であるので、地区仮置場は、腐敗性廃棄物、可燃系廃棄物、不燃系廃棄物、危険物・有害物の4区分を基本とし、あわせて廃家電などを含め、レイアウト例を作成する。 なお、一次仮置場については、区内の大規模公園を対象に候補地を選定する。 第2 災害廃棄物に係る知識の普及啓発 発災時の災害廃棄物処理を速やかに実施するためには、家庭におけるごみ排出の抑制や、ごみの分別排出の協力が不可欠である。また、仮置場の設置や運営には周辺住民の理解が欠かせない。区は、品川区災害廃棄物ハンドブックを作成し全戸配布を行っており、災害廃棄物に関する情報を提供し区民意識の啓発を図っている。 対策8 トイレの確保およびし尿処理のための準備 ○区は、避難者向けの仮設トイレを順次確保し、事業所および家庭に対しては可能な限り1週間分の携帯トイレ、トイレ用品の備蓄を推奨する。 ○区や各機関は、各種訓練や「しながわ防災学校」により区民への災害用トイレに関する知識の普及啓発に努める。 ○区は、近隣区、都、東京二十三区清掃協議会や民間事業者と連携し、し尿の収集運搬を実施する体制整備を進める。 第1 災害用トイレの確保 @ 区は、避難者向けの仮設トイレを順次確保していく。 ・仮設トイレ以外の簡易トイレ等も確保していく。 ・要配慮者用トイレの備蓄に配慮する。 ・強固な構造のトイレや防犯性の高いトイレ等の備蓄により、利用者の利便性を確保する。 ・下水道管直結型マンホールトイレの整備を都と連携し進める。 ・既存トイレの耐震化を行った。 A?事業所および家庭に対しては、1週間分の簡易トイレや携帯トイレ、トイレ用品の備蓄を推奨する。また、水の汲み置き等により生活用水を確保するよう「しながわ防災学校」等を通じて周知・啓発していく。 第2 災害用トイレ係る知識の普及啓発 @ 区や各機関は、仮設トイレ等の設置箇所や備蓄等について総合防災訓練や避難所訓練などの各種訓練や「しながわ防災学校」にてあらかじめ住民に周知し、仮設トイレに関する知識の普及啓発に努める。 A?仮設トイレの設置や利用等の経験は、重要であり、各機関は仮設トイレの設置・利用を既存訓練に積極的に取り入れていく。 B 避難所や各家庭で使用された携帯トイレは、燃えるごみとは運搬方法が異なるため、分別排出方法について、区民に周知する。 第3 し尿の収集運搬について @?し尿処理における収集・運搬については、近隣区と連携した体制の構築を図る。また、収集車両の確保等、災害廃棄物処理関係団体からの支援については、東京二十三区清掃協議会を通じた協定により協力・支援を受ける。 A 区は、し尿収集車について、協和興業株式会社および株式会社東海運輸と「災害時におけるし尿収集車両等の供給に関する協定」を締結し、車両確保に努めている。 B 区は、し尿収集が区だけで対応できない場合に備えて、東京都を通じて他自治体に応援要請する仕組みを整備しておく。 C 区は、都下水道局と下水道処理施設(水再生センターおよび主要管きょの指定マンホール)への搬入ができるよう締結している覚書に基づき体制を確保している。し尿の受入れ体制について、円滑な運用に向けたし尿受入れ訓練の実施を検討する。 D 区は、仮設トイレやマンホールトイレ設置場所の正確な把握を行う。 E 区は、簡易トイレ等の収集運搬方法および中間処理体制の構築を行う。 F 区は、変化に応じて対策・マニュアルのアップデートを行う。 図表2-81 災害廃棄物処理に関する基本的なフロー ? 図表2-82 仮置場などの類型 種別 定義 設置主体 設置時期 地区仮置場 住宅地等に設置し、区民が自ら片付けごみ等を搬入する仮置場(区立公園などを利用した区民に身近な場所に設置する仮置場) 区 3日後 〜1か月 応急仮置場 救助活動、道路啓開等により発生する災害がれきの一時的な仮置場として設置する。 区 発災後24時間以内〜1週間 一次仮置場 救助活動、建物解体、道路啓開現場や、地区仮置場、応急仮置場等から区が収集した災害廃棄物を集積し、分別・保管する仮置場 区 3日後 〜3年 二次仮置場 各区の災害廃棄物を集積、分別し、処理するまでの間保管する仮置場。仮設処理施設も併設する。(特別区内で数箇所を想定) 特別区 3週間後 〜3年 資源化物一時保管場所 資源化処理した災害廃棄物を買取り業者に引き渡すまでの間、必要に応じて一時的に保管する場所(二次仮置場に併設することを想定) 特別区 3週間後 〜3年 第3編 災害応急対策 第1部 震災応急対策 第1章 安全なまちづくり 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 第3章 災害対応体制 第4章 情報通信 第5章 備蓄・輸送対策 第6章 避難者対策 第7章 帰宅困難者対策 第8章 受援体制 第9章 医療救護等対策 第10章 津波対策 第11章 放射性物質対策 第12章 区民生活の再建 第2部 風水害応急対策 第1章 安全なまちづくり 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 第3章 災害対応体制 第4章 情報通信 第5章 備蓄・輸送対策 第6章 避難者対策 第7章 帰宅困難者対策 第8章 受援体制 第9章 医療救護等対策 第10章 区民生活の再建 第3部 富士山噴火降灰応急対策 第1章 災害時対応体制の確保 第2章 情報の収集・伝達 第3章 応援協力・派遣要請 第4章 警備・交通規制 第5章 避難 第6章 救援・救護 第7章 インフラの応急対策 第8章 ライフライン等の応急対策 第9章 火山灰の収集および処分 第4部 大規模事故応急対策 第1章 初動体制 第2章 情報の収集・伝達 第3章 広報・広聴活動 第4章 救急・救助・医療 第5章 避難対策 第6章 交通・輸送対策 第7章 危険物輸送車両等の応急対策 第8章 自衛隊の派遣要請 第9章 事故別の主な災害対応(防災関係機関の役割)   ? 第1部 震災応急対策 第1章 安全なまちづくり 対策の基本的な考え方 震災時には、公共の安全を確保するとともに、公共施設機能の早期回復に努める必要がある。また、河川や公共施設の応急対策等により二次被害を防止する必要がある。 ここでは、施設の応急対策について示す。 各対策の要点 対策1 施設の応急対策 第1 公共の安全確保、施設の本来機能の回復 ○社会公共施設等の応急危険度判定や砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊防止施設の応急対策等を進めることで安全を確保するとともに、公共施設機能の早期回復に努める。 第2 河川や公共施設の応急対策等による二次被害防止 ○都市基盤の根幹をなす道路、河川等の公共施設は、早期の応急復旧を行うとともに、堅牢な復旧を行う必要がある。そのため、公共施設の綿密な改修計画を作成し、関係機関との調整を図り、対策を進める。 ? 対策 対応テーマ 対策1 施設の応急対策 ※防火対策の応急・復旧対策は、「第1部 第3章災害対応体制」に定めるところによる。 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 施設の応急対策・早期復旧 都 ■道路・橋梁施設の復旧に係る計画 ■港湾施設、海岸施設の復旧に係る計画 ■河川施設の復旧に係る計画 ■上下水道施設の復旧に係る計画 区 ■道路・橋梁施設の復旧に係る計画 施設 管理者 ■社会公共施設等の応急対策 ■砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊防止施設の 応急対策 東京電力 パワーグリッド ■電気施設の復旧に係る計画 東京ガスグループ ■ガス施設の復旧に係る計画 NTT 東日本 ■通信施設の復旧に係る計画 ケーブルテレビ 品川 ■放送施設の復旧に係る計画 都交通局 JR東日本 東京モノレール 東急電鉄 京浜急行電鉄 東京臨海高速鉄道 ■線路、橋梁の復旧 ■運転再開計画 ■復旧資機材の確保 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 施設の応急対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・道路・橋梁施設の復旧に係る計画 ・港湾施設、海岸施設の復旧に係る計画 ・河川施設の復旧に係る計画 区 ・道路・橋梁施設の復旧に係る計画 施設管理者 ・社会公共施設等の応急対策 ・砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊危険箇所等の応急対策 ? 【具体的な取組】 第1 公共の安全確保、施設の本来機能の回復 ○社会公共施設等の応急危険度判定や砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊防止施設の応急対策等を進めることで安全を確保するとともに、公共施設機能の早期回復に努める。 1 社会公共施設等の応急危険度判定 地震が発生したとき、応急対策上重要な役割を果たす社会公共施設等について、余震等による倒壊、部材の落下等から生じる二次災害を防止するため、早期に被害状況を調査し、使用できるかどうかを応急的に判定する。 (1)社会公共施設等の応急危険度判定 ア 都立および区立の公共建築物が被災した場合 @ 都および区は、その所管する公共建築物が被災した場合、必要に応じて応急危険度判定を実施する。 A 区は、区有建築物の応急危険度判定に係る実施本部を設置し、区有建築物の施設管理者による概況調査結果等をもとに、早期に応急危険度判定を実施する建築物を決定、実施計画書の作成とともに応急危険度判定を実施する。 B 区は、その判定が困難な場合、都に判定実施の支援を要請する。 C 都は、公共建築物等応急危険度判定部会を設置し、判定実施の調整を行う。 D 都は、判定部会の決定に基づき、都の応急危険度判定技術者等を活用し、判定を実施する。 E 応急危険度判定技術者が不足する場合、都は他団体への協力を要請する。 イ その他の社会公共施設が被災した場合 @ 社会公共施設の管理者は、その所管する社会公共施設が被災した場合、必要に応じて応急危険度判定を実施する。 A 社会公共施設の管理者は、その所管する社会公共施設の判定が困難な場合、都または区に判定実施の支援を要請する。 B 都は公共建築物に準じて、社会公共施設の判定を実施する。 (2)社会公共施設等の応急対策 ア 各医療機関 @ 施設長は、あらかじめ策定した計画に基づき、患者の生命保護を最重点に対応する。 A 通信手段の確保に努めるとともに、状況に応じて必要な措置をとるなど万全を期する。 ? イ 社会福祉施設等 @ 社会福祉施設等の責任者は、被災後速やかに施設内外を点検し、落下・倒壊等の危険箇所の有無を確認する。必要に応じて応急修理を行い、安全を確保する。 A 利用者の状況、職員の状況、施設建物の被害状況を把握し、通信手段の確保に努めるとともに、必要に応じて応急計画を策定する。 B 施設独自での復旧が困難である場合は、区の関係組織へ被害状況を報告し、入所者の移転等の処遇方法について援助を要請する。 C 震災の被害を受けなかった施設の責任者は、援助を必要とする施設の責任者に積極的に協力し、入所者の安全を確保する。 ウ 学校施設 @ 校長は、児童・生徒等の安全確保を図るため、避難計画を作成し、この計画に基づいて行動する。 A 自衛防災組織を編成し、役割分担に基づき行動する。 B 緊急時には、関係機関へ通報して臨機の措置を講ずる。 C?学校施設が避難所になった場合は、避難者の健康と安全の確保に努めるとともに、余震や火災予防についても充分な措置をとる。 D 通信手段の確保に努めるとともに、学校施設の応急修理を迅速に実施する。 エ 文化財施設 @ 文化財に被害が発生した場合には、その所有者または管理者は、ただちに東京消防庁に通報するとともに被害の拡大防止に努め、被災状況を速やかに調査し、区教育委員会へ報告する。都・国指定文化財については、区教育委員会を経て都教育委員会・文化庁へ報告する。 A 関係機関は被災文化財の被害拡大を防ぐため、協力して応急措置を講ずる。 2 砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊防止施設の応急対策 @ 区は、土砂災害の危険性が高い箇所について関係機関や住民に周知を図り、応急対策を行うとともに、災害のおそれがある場合は避難対策を実施する。 A 区は、土砂災害の発生状況等の情報収集を行い、都に報告する。 ? 第2 河川や公共施設の応急対策等による二次被害防止 ○都市基盤の根幹をなす道路、河川等の公共施設は、早期の応急復旧を行うとともに、堅牢な復旧を行う必要がある。そのため、公共施設の綿密な改修計画を作成し、関係機関との調整を図り、対策を進める。 1 計画方針 @ 道路、河川等の公共施設については、災害後ただちに応急復旧を行うが、当面の応急措置が終わり、社会全般が落着きを取り戻し、社会経済活動が平常に近い状態になれば、本格的な復旧作業が可能となる。 A これらの諸施設は、都市基盤の根幹をなすものであり、堅牢な復旧が望まれるところである。 B 特に区立の公共施設において綿密な改修計画を作成し、関係機関との調整を図り、応急対策を進めるよう努める。 C ここでは、各公共土木施設の復旧について必要な施策を述べることとする。 2 道路・橋梁施設の復旧【区防災まちづくり部・東京国道事務所・都建設局第二建設事務所・首都高速道路】 @ 道路管理者は、道路、橋梁および付属物等が被害を受けた場合は、被害状況を速やかに調査し、公益占用物件等の復旧計画と調整のうえ、被害を受けた施設を復旧する。公共の安全確保上、緊急に行う必要のある対象は、次のとおりとする。 ・道路の埋没または決壊により交通が不可能または著しく困難であるもの。 ・道路の埋没または決壊で、これを放置することにより、二次被害を生ずるおそれがあるもの。 A 首都高速道路の復旧計画については、次のとおりとする。 ・首都高速道路等の機能を速やかに回復するため、現地調査を実施し、被害状況およびその原因を精査し、復旧工法等を決定する。 ・災害復旧にあたっては、現状復旧を基本としつつも、災害の再度発生防止等の観点から、可能な限り改良復旧を行うよう努める。 3 港湾施設の復旧【都港湾局】 @ 港湾管理者は、管理する港湾施設が地震等により被害を受けた場合は、速やかに被害状況を調査し、被害を受けた施設を復旧する。 A 特に、公共の安全確保上緊急に復旧を行う必要のある対象は、次のとおりである。 ・係留施設の損壊で、船舶の係留または荷役に重大な支障を与えているもの。 ・臨港交通施設の損壊で、これによって当該臨港交通施設による輸送が不可能、または著しく困難であるもの(他の施設による輸送が著しく困難でない場合を除く)。 ・港湾の埋そくで、船舶の航行または停泊に重大な支障を与えているもの。 ・外かく施設の損壊で、これを放置すると、著しい被害を生ずるおそれがあるもの。 4 海岸施設の復旧【都港湾局】 海岸管理者は、地震等により被害を受けた場合は、被害状況を速やかに調査し、復旧を行うものとする。特に公共の安全確保上緊急に復旧を行う必要のある対象は、次のとおりである。 ・防潮堤、水門の損壊 ・護岸損壊でこれを放置すると、著しい被害を生ずるおそれがあるもの 5 河川施設の復旧【都建設局第二建設事務所】 河川管理者は、管理する施設が地震等により被害を受けた場合は、被害状況を速やかに調査し、復旧を行うものとする。特に公共の安全確保上緊急に復旧を行う必要のある対象は次のとおりである。 ・堤防の破堤、護岸、天然河岸の決壊等で、区民の日常生活に重大な影響を与えているもの。 ・堤防護岸等の決壊で破堤のおそれがあるもの。 ・河川の堤防護岸等の脚部の深掘りで根固めをする必要があるもの。 ・河川の埋そくで流水のそ通を著しく阻害するもの。 ? 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 対策の基本的な考え方 震災時には、被害の拡大防止のためにインフラやライフラインの応急措置などを実施するとともに、人命救助や消火活動、物資輸送等を迅速・円滑に行うため、また、区民生活の再建に向けて、低下した機能を早期に回復することが必要である。 ここでは、道路・橋梁、鉄道施設および河川に係るインフラ対策、水道、下水道、電気・ガスなどのライフライン対策について示す。 各対策の要点 対策1 インフラ対策 第1 道路・橋梁 ○道路、橋梁および道路付属物等が被害を受けた場合、各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、公益占用物件および沿道等の復旧計画との調整のうえ、施設を復旧する。 第2 鉄道施設 ○多数の人員を高速で輸送している鉄道での被害は、直接人命にかかわるおそれがあるため、迅速かつ適切な応急措置を各交通機関が実施する。 第3 河川 ○河川の応急復旧、所管施設の緊急工事等に向けて立案する応急対策計画、復旧計画をもとに、区、都は連携して、河川における障害物除去等を行う。 対策2 ライフライン対策 第1 水道(都水道局) ○災害時における飲料水の確保および被害施設の復旧に対処するため、都水道局はこれに必要な人員および車両の確保、情報の収集連絡体制等を確立する。 ○施設被害について情報収集をもとに適切な復旧方針を決定し、配水区域の調整により、断水区域の減少に努める。 第2 下水道(都下水道局) ○非常配備態勢に基づいて職員を配置し、下水道施設の被害に対し迅速に応急復旧活動を行う。 ○管きょ、ポンプ所、工事現場の施設被害を把握し、損傷状況に応じた応急復旧、機能回復を図る。 第3 電気・ガス・通信など ○東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本、日本郵便、ケーブルテレビ品川は所管施設の応急対策を講じ、地震災害による施設被害の早期復旧を図り、もって社会安全の確保に努める。 ? 対策 対応テーマ 対策1 インフラ対策 対策2 ライフライン対策 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 インフラ対策 関東地方 整備局 ■河川・港湾・空港施設等の復旧および機能確保 東京国道 事務所 ■道路、橋梁の応急対策 ■道路関係障害物の除去 都 ■道路関係障害物の除去 ■運転規制および乗務員の応急対応 ■鉄道施設の復旧および機能確保 ■河川・港湾・空港施設等の復旧および機能確保 都建設局 第二建設事務所 ■道路、河川の応急対策 区 ■道路、河川の応急対策 ■道路、河川、住宅関係障害物の除去 ■道路の復旧および機能確保 首都高速 道路 ■首都高速道路・橋梁の応急対策 鉄道機関 ■運転規制および乗務員の応急対応 ■鉄道施設の復旧および機能確保  ■駅構内における滞留者の状況に関する区への情報提供 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 インフラ対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 関東地方 整備局 ・河川・港湾・空港施設等の復旧および機能確保 東京国道事務所 ・道路、橋梁の応急対策 ・道路関係障害物の除去 都 ・道路関係障害物の除去 ・運転規制および乗務員の応急対応 ・鉄道施設の復旧および機能確保 ・河川・港湾・空港施設等の復旧および機能確保 都建設局 第二建設事務所 ・道路、河川の応急対策 区 ・道路、河川の応急対策 ・道路、河川、住宅関係障害物の除去 ・道路の復旧および機能確保 首都高速道路 ・首都高速道路・橋梁の応急対策 鉄道機関 ・運転規制および乗務員の応急対応 ・鉄道施設の復旧および機能確保 ・駅構内における滞留者の状況に関する区への情報提供 ? 【具体的な取組】 第1 道路・橋梁 ○道路、橋梁および道路付属物等が被害を受けた場合、各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、公益占用物件および沿道等の復旧計画との調整のうえ、施設を復旧する。 1 道路、橋梁に係る活動態勢 @ 道路、橋梁および道路付属物等が災害により被害を受けた場合、各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、公益占用物件および沿道等の復旧計画と調整のうえ、被害を受けた施設を復旧する。特に、公共の安全確保上、緊急に復旧を行う必要のある対象は次のとおりである。 ・道路の陥没または決壊で、これによって当該道路による交通が不可能または、著しく困難であるもの ・道路の陥没または決壊で、これを放置することにより二次災害を生じるおそれのあるもの A 各機関の活動体制はおおむね次表のとおりである。 図表3-1 機関別の対応内容 機関名 活   動   内   容 都建設局 1 道路の緊急点検 都道や緊急障害物除去路線に指定された区道について、都建設防災ボランティアなどと連携して緊急点検を行う。 2 損壊箇所の応急措置等 災害時における応急対策業務に関する協定に基づき、協力業者が損壊箇所の応急措置等を実施する。 3 交通規制や迂回道路の選定 被災状況や交通状況を把握し、道路交通を確保するため、交通規制の措置や迂回道路の選定など、通行者の安全対策を行う。 4 緊急道路の障害物除去 災害時における応急対策業務に関する協定に基づき、協力業者が道路上の障害物の除去等を実施する。 区 1 被災状況の調査等 被災状況調査を実施するとともに被災状況を整理し、道路等の啓開に備え、災害協力協定締結団体の人員や重機等を把握し、出動準備要請を行う。 2 交通規制および応急復旧に向けた準備 交通規制や民間協力団体への応援要請、障害物の除去および応急復旧に向けた準備として、自衛隊との活動調整等に取り組む。 3 緊急啓開道路の応急復旧が不可能な場合の対応等 応急復旧が不可能な場合の対応として迂回路の選定や緊急啓開道路の変更等の対応を行う。 4 道路啓開および交通の開放 道路等の復旧のため、道路上の倒壊建物等を撤去・運搬し、交通を開放する。 東京国道事務所 1 道路施設の点検 被害状況および交通状況を速やかに把握するため、パトロールを実施する。 また、道路情報モニター等からの道路情報の収集に努める。巡視結果等から、詳細な点検が必要と思われるものについては、点検要領等により速やかに実施するものとする。 2 災害時の応急措置 (1)巡視の結果およびモニター等からの情報をもとに、必要に応じ迂回路の選定と、その誘導等の措置を行い、交通路の確保に努める。また、交通規制が必要な箇所は、関係機関と調整を図り、必要な措置を講ずる。 (2)緊急輸送道路については、関係機関との調整を図りつつ、東京国道業務継続計画(BCP)に定める最重要区間を最優先として道路啓開(路上障害物の除去等)により、速やかに緊急輸送機能を確保する。 (3)上記(1)(2)の措置にあたっては、緊急輸送道路と広域輸送拠点とのアクセス道路の確保についても考慮することとし、関係する道路管理者等と連携しつつ、必要な協力・支援を行うものとする。 3 応急復旧 (1)パトロールによる巡視結果等に基づき、迂回路、代替路等を考慮し、優先順位を定め復旧計画を策定し、速やかに応急復旧工事を行い、緊急輸送路の確保に努めるものとする。 (2)応急復旧工法は、被害の状況・資機材の有無等を考慮して、適切な工法を選定するものとする。 4 本復旧 本復旧は、破損原因を究明し、これに対応した工法で施工する。 復旧工法の選定は、技術基準や構造令等に従い、適切な工法を選定するものとする。 首都高速道路 1 災害時における体制 災害または交通障害の発生が予想されるとき、あるいは発生したときは、警戒体制、緊急体制または非常体制のうち、災害の種類およびその程度に応じた適切な規模および内容の体制をとり、速やかな社員の非常参集、情報収集連絡体制の確立および災害対策本部の設置等必要な措置を講ずる。 2 災害応急対策 災害が発生したときは、お客様の安全を確保しつつ、二次災害の防止と緊急輸送機能の確保を最優先に、次の応急対策を実施し、首都高速道路等の機能回復を図る。 (1)災害が発生したときは、会社は警察が実施する交通規制に協力し、かつ規制状況等をお客様に広報する。 (2)お客様の被災の状況を緊急に把握し、消防等関係機関への迅速な情報伝達、出動・協力要請により、被災者の救出救護その他安全確保に努める。 (3)道路構造物、管理施設等について、その被害の状況を緊急点検し、必要に応じ応急復旧に努める。 (4)工事の箇所については、その被災状況に応じて必要な措置を講ずる。 2 道路関係障害物除去 @ 道路管理者は、緊急通行車両の通行を確保するため、放置車両や立ち往生車両等の移動等の命令を行う。 A 運転者がいない場合や、破損により車両の移動が困難な場合等においては、道路管理者は自ら放置車両や立ち往生車両等の移動等を行う。 B 道路管理者による放置車両や立ち往生車両等の移動等の措置のため、やむを得ない必要がある場合には、他人の土地の一時使用、竹木その他の障害物の処分を行うことができる。 図表3-2 各機関の対応内容 機関名 内   容 都建設局 第二建設事務所 ・「災害時における応急対策業務に関する協定」および「協力承諾書」に基づき、協力業者が道路上の障害物の除去等を実施する。 区 ・道路上の破損物、倒壊物の除去を行い、交通の確保に努める。特に指定避難道路については最優先に実施する。なお、国、都等、他の道路管理者と密接な連絡をとり、協力して障害物の除去を行うものとする。 東京国道 事務所 ・道路上の障害物の状況を調査し、除去対策をたて、関係機関と協力の上、所管する道路の障害物の除去等を実施する。 資料58 都第二建設事務所 資機材備蓄状況 第2 鉄道施設 ○多数の人員を高速で輸送している鉄道での被害は、直接人命にかかわるおそれがあるため、迅速かつ適切な応急措置を各交通機関が実施する。 @ 発災時において、被害を最小限にとどめ、輸送の確保を図ることは交通機関の責務である。 A 特に、多数の人員を高速で輸送している鉄道は、直接人命にかかわる被害が発生するおそれがあるため、迅速かつ適切な応急措置を次により各交通機関が実施する。 1 災害時の活動態勢 (1)災害対策本部等の設置 震災が発生した場合、各交通機関は全力をあげて旅客および施設の安全確保と緊急輸送を行うため、災害対策本部等を設置する。 (2)通信連絡体制 災害情報および応急措置の連絡指示ならびに被害状況の収集等の通信連絡は、列車無線、指令電話、鉄道電話等を利用するとともに、必要に応じて、無線車、移動用無線機を利用する。 2 発災時の初動措置 @ 地震発生と同時に、各交通機関は、運転規制等適切な初動措置を実施し、乗客の安全確保を図る。 A 各機関の初動措置は次のとおりである。 図表3-3 機関別の対応内容 機関名 運転規制の内容、乗務員の対応、その他の措置 都 交 通 局 地 下 鉄 運 転 規 制 の 内 容 都営地下鉄内に設置する地震計の震度に応じて、総合指令所以下の運転規制を行う。 1 震度「3」の場合 → 特に運転規制は行わない 2 震度「4」の場合 @ 直ちに全列車に対し25q/h以下の徐行運転を指示し、駅務管区長(以下「駅長」という)ならびに保守担当の各管理所長および検修場長(以下「所長」という)に施設点検を依頼する。 A 駅長からの駅構内施設点検完了報告および全区間にわたる列車徐行運転完了後、55q/h以下の運転に規制を緩和する。 B 所長からの施設点検完了の報告に基づいて、運転規制を解除する。 3 震度「5弱」の場合 @ 直ちに全列車に対し運転中止を指示し、駅長および所長に施設点検を依頼する。 A 駅長からの駅構内施設点検完了報告に基づいて、全列車に対して試運転列車とし15q/h以下の注意運転を指示する。 B 試運転列車が全区間にわたって走行を完了したときは、全列車に対し25q/h以下の徐行運転を指示する。 C 列車が25q/h以下の徐行運転で全区間にわたって走行を完了したときは、55q/h以下の運転に規制を緩和する。 D 地上部45km/h・地下部55km/h以下(大江戸線は50km/h以下)で全区間にわたって走行を完了後、運転規制を解除する。 4 震度「5強」以上の場合 @ 直ちに全列車に対し運転中止を指示し、駅長および所長に施設点検を依頼する。 A 駅長および所長からの施設点検完了(ゾーン地震計に「5強以上」と表示された区間)の報告に基づいて、全列車に対して試運転列車とし15q/h以下の注意運転を指示する。 B 試運転列車が全区間にわたって走行を完了したときは、全列車に対し25q/h以下の徐行運転を指示する。 C 列車が25q/h以下の徐行運転で全区間にわたって走行を完了したときは、55q/h以下の運転に規制を緩和する。 D 地上部45km/h・地下部55km/h以下(大江戸線は50km/h以下)で全区間にわたって走行を完了後、運転規制を解除する。 乗 務 員 の 対 応 列車を運転中強い地震を感知し、列車を運転することが危険と認めたときまたは列車無線により運転中止の指令を受けたときは、次の取り扱いをする。 1 駅に停車中のときは出発を見合せ、駅長の指示に従う。 2 走行中のときは、前途支障の有無に注意し、速度を節制の上、次駅まで走行することに努める。 3 やむを得ず駅間に停止したときは、状況を判断して乗客の安全確保に努める。 4 早期地震警報システムが動作し、緊急地震警報(震度4以上)を受信した場合は、駅間であっても直ちに停止する。ただし、開口部付近を運転中の場合は、側壁の崩れ、落下物などのおそれがあるため、停車は極力避ける。 その他の措置 震災発生と同時に、関係各所は必要箇所を点検するとともに、乗客の安全確保を図る。 JR東日本 運 転 規 制 の 内 容 1 地震が発生した場合の列車の運転取り扱いは次による。 (1)80ガル以上の場合、列車の運転を中止し、全線の点検を行った後、安全が確認された区間から運転中止を解除する。 (2)40ガル以上80ガル未満の場合、25q/hまたは35q/h以下の徐行運転を行い施設の点検を行った後、安全を確認した区間から速度規制を解除する。 (3)40ガル未満の場合、特に運転規制は行わない。 2 列車の運転方法はその都度決定するが、おおむね次により実施する。 (1)う回または折り返し運転 (2)臨時列車の特発 (3)バス代行または徒歩連絡 乗 務 員 の 対 応 1 運転中に地震を感知して、列車の運転が危険と認めた場合は、直ちに列車を停止させる。 2 列車を停止させる場合、その停止位置が築堤、切取り、橋梁上、または陸橋下のような場合は進路の安全を確認の上、安全と認められる場所に列車を移動させる。 3 列車を停止させた場合、最寄りの停車場の駅長と連絡をとり、その指示を受ける。 東急 電 鉄 運 転 規 制 の 内 容 地震の規模 運転規制の内容(運輸司令長の取り扱い) 震度4 1 直ちに全列車の停止を指令する。 2 震動停止後、25q/h以下の注意運転を指令する。 3 構造物等に異常がない旨確認後、平常運転に復する。 震度5弱 1 直ちに全列車の停止を指令する。 2 震動停止後、15q/h以下の注意運転で先行列車があった場所まで運転する。 3 乗務員および駅長から構造物等に異常がない旨報告があった場合は、25q/h以下の注意運転を実施する。 4 電力司令長および保線区長から構造物等に異常がない旨報告があった場合は、平常運転に復する。 震度5強以上 1 直ちに全列車の停止を指令する。 2 電力司令長および保線区長から構造物等に異常がない旨報告があった場合は、25q/h以下の注意運転を指令し、乗務員または駅長、区長から進路等に異常がある旨の報告がない場合は平常運転に復する。 早期 地震 警報 シス テム 気象庁が地震の最初の揺れを観測した時に配信する緊急地震速報を運輸司令所等で受信し、一定規模の地震が予想される場合に、列車無線を使用して緊急停止信号および音声メッセージを鉄道線の全列車、軌道線の全電車に対して自動的に通報する。これを受信した運転士は直ちに非常制動の手配を執り、列車を減速または緊急停止させる。 乗 務 員 の 対 応 運転士は、早期地震警報システムを受報したとき。または強い地震を感知したとき、および運輸司令長から列車を停止させるように指示を受けたとき。 1 地上部においては、橋梁、盛土部、ずい道等をなるべく避けて速やかに停止する。 2 地下部においては、速度を25km/h以下まで低下させ、駅間停車を避けるために駅に進入し停止する。ただし、危険を察知した時は直ちに停止する。 そ の 他 の 措 置 災害発生と同時に、関係部署により次の措置をとるとともに、状況により災害対策本部を設置して対応する。 1 被害状況の把握        5 負傷者の救出救護 2 線路、駅施設、電気設備等の点検 6 電気施設の緊急措置 3 出火防止および初期消火    7 通信による災害情報の緊密化 4 旅客の避難誘導        8 防災機関との連携 京 浜 急 行 電 鉄 運 転 規 制 の 内 容 地震の規模 運転規制の内容 震度4 1 列車の停止を指令する。 2 地震終息後、35km/h以下の速度で注意運転をする。 3 関係駅長の報告により、列車の運行に支障のないことを確認したときは、正常運行の確保に努める。 震度5弱 1 列車の停止を指令する。 2 地震終息後、駅長から駅構内の運転諸設備について、列車の運行に支障のないことを確認したときは、25km/h 以下の速度で注意運転をする。 3 関係駅長の報告により、列車の運行に支障のないことを確認したときは、正常運行の確保に努める。 震度5強以上 1 列車の停止を指令する。 2 地震終息後、駅間に停止している列車があるときは、列車の停止した場所の最寄り駅長から、駅構内の運転諸設備に異常がない旨の報告と、停止している列車の乗務員から見通せる範囲内に異常がないことを確認したときは、施設司令と協議のうえ、旅客の避難誘導のため、15km/h以下の速度で最寄り駅まで運転を指令することができる。 3 地震終息後、駅長から駅構内の運転諸設備について、また、保守担当責任者から要注意箇所について、列車の運行に支障のないことを確認したときは、25km/h 以下の速度で注意運転をする。 4 関係駅長および保守担当責任者の報告により、列車の運行に支障のないことを確認したときは、正常運行の確保に努める。 ? 機関名 運転規制の内容、乗務員の対応、その他の措置 京 浜 急 行 電鉄 乗 務 員 の 対 応 1 乗務員は、強い地震を感知したとき、または運輸司令もしくは駅長から震度4以上の地震が発生した旨の通報を受けたときは、橋梁、トンネルおよび踏切道を避けて安全と思われる場所に速やかに列車を停止させる。 2 地震終息後、運転再開の指令を受けたときは、指定された速度以下で注意運転を行う。 3 最寄りの報告指定駅に到着したときは、駅長に対して運転した区間における線路等の状態の列車運転に対する支障の有無を報告する。 4 運輸司令から指定速度規制の解除指令を受けたときは、逐次正常運行に復するように努める。 東 京 モ ノ レ | ル 運 転 規 制 の 内 容 1 昭和島運転指令室に地震計を設置しており、運転指令は地震を感知、または地震発生の報告を受けたとき、または緊急地震速報の警報を受信したときは、列車無線により速やかに全列車を停止させる。 2 その後の運転規制、設備の点検等については次による。 震度 計測震度 規制内容 3以下 3.4以下 一旦停止後、通常運転 4弱 3.5〜3.9 40km/h以下の速度で運転指令者が指示する区間まで注意して運転 4強 4.0〜4.4 施設区長の指示があるまで40km/h以下の速度で注意して運転 5弱 4.5〜4.9 施設区長の指示があるまで15km/h以下の速度で注意して運転 5強以上 5.0以上 事故対策本部長または施設区長の指示があるまで停止させること 乗 務 員 の 対 応 1 列車運転中に地震を感知した場合、または運転指令から停止手配の指令があったときは、速やかに列車を停止させる。 2 列車を停止させる場合、その停止位置が曲線や勾配区間の場合は、進路の安全を確認の上、安全と認められる箇所に列車を移動させる。 3 列車を停止した後は、運転指令に状況を報告し、その後の指示を受ける。 その他の措置 計測震度4.0以上の場合は、線路、電路、沿線の状況等について点検する。また、防災無線・FAX等により情報の収集に努め、関係部署に周知するほか、個々の列車に情報の伝達と適切な指示をする。 機関名 運転規制の内容、乗務員の対応、その他の措置 東 京 臨 海 高 速 鉄 道 運 転 規 制 の 内 容 1 震度3以下の場合 特に運転規制は行わない。 2 震度4(60ガル)の場合 運輸指令室長は、直ちに全列車に対し25km/h以下の徐行運転をするよう通告する。 3 震度5弱(100ガル)以上の場合 運輸指令室長は、直ちに運転中止の通告をする。 乗 務 員 の 対 応 1 運転士は運転中に強い地震を感知し、列車または車両を運転することが危険と認めた場合は、直ちに列車または車両を停止させる。この場合において停止した箇所が危険であると認めたときは、進路の状況を確かめた上、安全と認められる箇所まで移動する。 2 運転士は列車を停止させたときは、その状況を運輸指令室長に報告し、その後の指示を受ける。 ? 3 乗客の避難誘導 @ 列車の停止が長時間にわたるときや、火災等の二次災害の危険が迫っているときは、乗客の安全のため的確な避難誘導を行う。 A 各機関の措置は次のとおりである。 図表3-4 機関別の対応内容 機関名 避  難  誘  導  方  法 都交通局 (地下鉄) 駅および列車等の状況を的確に把握し、適切な放送により旅客の混乱を防止するとともに、旅客を安全な場所へ避難誘導する。 JR東日本 一般駅では、地方自治体の指定した避難地に誘導する。また、東京地下ルートは総武線錦糸町〜品川間(9.5km)であるが、トンネルの深さが地下22〜32mにおよび、駅施設は地下4〜5階に位置している。このため、ホームに降りた乗客は直上階のホームまで導き、地下1階まで直通エスカレーターを経て改札空間に誘導する。 東急 電鉄 1 駅における避難誘導は定められた一時集合場所および避難所または広域避難場所に旅客を安全に誘導する。 2 乗務員は、旅客の混乱を防止するため、適切な車内放送を行い、状況により避難誘導の手配をとる。 京浜急行 電鉄 1 駅における避難誘導 駅長は駅従業員を指揮して駅構内の状況および旅客の動態を把握し、適切な放送等により旅客の混乱を防止するとともに、旅客を安全な場所に避難誘導する。 2 列車乗客の避難誘導 乗務員は、併発事故の防止を考慮して対向列車に充分注意し、旅客を安全な場所または最寄り駅まで避難誘導する。 東京 モノレール 1 駅における避難誘導 災害状況を的確に把握し、適切な案内誘導により旅客の混乱を防止するとともに、安全な場所へ避難誘導する。 2 列車乗客の避難誘導 (1)列車が駅に停止している場合 車内放送等により乗客の沈静化に務め、原則として、乗客は列車から直接ホームに降車させる方針をとる。 (2)列車が駅間で停止した場合 ア 隣接線路または後続の列車に乗客を移乗させるか、あるいは救援列車を運転し乗客を受け入れる。 イ アによることのできない箇所では、地形その他地上部の安全を充分考慮したうえで応急はしご、または緩降機により地上に誘導する。 東京臨海 高速鉄道 駅長および駅務助役は的確な状況判断のもとに、駅係員を指揮して次により旅客の避難誘導にあたる。なお、高齢者、子ども等単独で避難することが危険と認められる旅客に対しては、他の旅客の協力を得て避難誘導する。 (1)地下より地上が安全と認めたとき 避難場所を、放送装置などを利用して旅客に周知し、その方向の出口に誘導する。 (2)地上より地下が安全と認めたとき 駅構内で被害が少なく、かつ地上への緊急退避に有利な場所を選定し誘導する。 (3)いずれも危険と認めたとき 状況を判断し、最も安全適切と認められた処置をとり旅客の安全退避に努める。 なお、このような状況下においても、迅速かつ的確に旅客の誘導が行えるよう、平素から災害を想定した教育訓練を実施し、管理体制の確立を図る。 4 事故発生時の救護活動 @ 地震により、旅客等に事故が発生した場合、適切な救護措置を行う。 A 各機関の救護活動は次のとおりである。 図表3-5 機関別の対応内容 機関名 救  護  活  動 都交通局 地下鉄駅係員は、負傷者の救護措置を行い、旅客の生命の安全を図る。 JR東日本 地震の発生とともに旅客の避難状況を把握して、次の措置を行う。 1 放送により状況を案内する。 2 負傷者、高齢者、幼児等を優先救護する。 3 出火防止に務める。 4 営業を中止して駅構内の混乱拡大を防止する。 5 被害の状況により、消防署、警察署に出動を要請するとともに、救護所を開設する。 東急 電鉄 災害発生時には、異常時対策規程に基づき、対策本部を設置し、救護活動にあたるとともに、消防署、警察署に出動を要請する。 京浜急行 電鉄 死傷者の救護を最優先とし、続発事故の防止に万全を講ずるものとし、必要により警察署および消防署に通報し、出動・救援の要請を行う。 東京 モノレール 災害発生時には、駅従業員、乗務員はその状況を冷静に判断し、死傷者の救護を最優先とし、負傷者に対する応急措置と最寄の病院へ受入または救急車を要請する。 東京臨海 高速鉄道 1 乗務員は、地震その他あらゆる事故発生により人命に危険が生じたときは、これの救助を先決として最善を尽くす。 2 乗務員は、列車内の旅客に負傷者が発生した場合、速やかにその旨を運輸指令室長または駅務助役に報告するとともにその救護にあたる。この場合、旅客の中の医師、看護師を探すとともに周囲の旅客に協力を積極的に要請する。 5 浸水事故発生時の措置 @ 地震による堤防の破壊等により、地下鉄等の地下路線に浸水が生じた場合、人命にかかわる事態につながるおそれがある。このため、浸水の防止等の対応措置を講ずる。 A 各機関の対応措置は次のとおりである。 図表3-6 機関別の対応内容 機関名 対  応  措  置 都交通局 土のう、止水板、防水扉、自動浸水防止装置等により浸水を防止するとともに、既設排水ポンプにより浸水箇所の排水を行う。 JR東日本 1 防止板および防水ゲート等により浸水を防止する。 2 万一浸水した場合は、直ちに旅客を安全な場所へ誘導し、安全を図る。 3 トンネル内に浸水した場合は、排水ポンプにより排水する。 東急 電鉄 地震発生時、駅の出入口から浸水のおそれがあるときは、浸水防止板を使用して防護にあたる。また浸水により列車運転に支障があると予想された場合は、直ちに運輸司令長に報告するとともに、旅客を安全な場所に避難させる等の措置をとり、その状況を把握し駅長に報告する。 京浜急行 電鉄 品川駅〜泉岳寺駅間の地下鉄通風口には防水自動シャッターを備え、浸水を防止するとともに、トンネル内に浸水した場合は排水ポンプにより排水する。空港線大鳥居駅から先のトンネル区間については、浸水対策として、トンネル入口部に浸水防止扉や浸水防止壁を設置。また、大鳥居駅地上入口および天空橋地上入口についても、浸水対策として防水シートや防水シャッターを設置している。 東京 モノレール 駅の出入口から浸水のおそれがあるときは、土のうを配備し浸水を防止する。各トンネルや地下通路において浸水が発生した時は、排水ポンプで排水する。旅客を直ちに安全な場所に誘導し、安全確保を図る。 東京臨海 高速鉄道 地震発生時、駅出入口から浸水のおそれがあるときは、土のう、止水板、防水扉等を使用して防護にあたる。万一浸水した場合はただちに旅客を安全な箇所へ誘導するとともに、排水ポンプにより排水する。 ? 6 復旧計画 @ 鉄道施設は、震災後の都市機能の確保や各種の復旧対策に寄与するため速やかに応急復旧を行って輸送の確保に努めるものとし、各鉄道機関は応急対策の終了後、被害原因の調査分析を行い、この結果に基づき、再び同様な被害を受けぬよう本復旧計画をたて、実施する。 A 施設の被害状況に応じた復旧を行う。 (1)都交通局 @ 長期にわたり営業再開が困難で、大規模復旧工事が必要と考えられる場合、局の災害対策本部および事業部で復旧活動の基本方針を策定する。 A 施設等の安全性に重大な影響は与えず、補修工事等により営業再開が可能な場合、関係部は、当該施設管理事業所および協力会社等において復旧の実施計画を策定した上で、施設の復旧を行う。 (2)各鉄道事業者 @ 鉄道施設は、震災後の都市機能の確保や各種の復旧対策に寄与するため、速やかに応急復旧を行って輸送の確保に努める。 A 各鉄道事業者は、応急対策の終了後、被害原因等の調査分析を行い、この結果に基づき、再び同様な被害を受けないよう、本復旧計画を立て実施する。 ? 第3 河川 ○河川の応急復旧、所管施設の緊急工事等に向けて立案する応急対策計画、復旧計画をもとに、区、都は連携して、河川における障害物除去等を行う。 1 河川の機関別の対応内容 図表3-7 機関別の対応内容 機関名 活  動  内  容 都 ○災害が発生した場合、直ちに、堤防、護岸等の河川管理施設および工事箇所の被災状況を確認する。 ○破損等の被害を受けた場合には、特に、氾濫水による被害の拡大防止に重点を置き、速やかに施設の復旧に努め、都および区の行う応急措置に関し、必要に応じて技術的指導を行うほか、備蓄の提供も実施する。 ○区の実施する応急措置に関し、技術的助言および総合調整を行うほか、応急・復旧対策を総合的判断の下に実施する。 ○河川管理施設の応急・復旧対策について区に技術的助言を行うほか、被害を受けた箇所の復旧工事は直接実施する。 ○巡回・点検および応急対策については、災害時における応急対策に関する協定により対処する。 区 1 被災状況の確認 災害が発生した場合、直ちに、防災船着場、桟橋等の河川管理施設の被災状況を確認する。 2 応急対策計画 (1)地震、津波等により、区有防災船着場および護岸等河川管理施設が崩壊等の被害を受けた場合には、被害の拡大防止のため、施設の応急措置に努めるとともに排水に全力をつくす。 (2)河川、護岸の応急復旧としては、管理用通路の補修、大型土のうによる補強など、施設の基本的構造の変更を伴わないものについては、区で対応する。応急復旧に要する資機材は指定の水防倉庫に備蓄するものとする。 3 復旧計画 (1)水防活動と並行して管内の施設、特に工事中の箇所および危険箇所を重点的に巡視し、被害箇所については、直ちに都に報告するとともに、必要な措置を実施するものとする。 2 河川関係障害物除去 区は、河川機能を確保するため、都建設局第二建設事務所と密接な連絡をとり、協力して河川における障害物の除去を行う。 3 河川管理施設の応急復旧等 都は、区の河川管理施設の応急復旧、局所管施設の緊急工事等を行う。 (1)河川および内水排除施設 被害を受けた箇所の復旧工事を除き、都の助言のもと、区が河川管理施設の応急措置を図る。 ? 対策2 ライフライン対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・上水道施設の応急対策に係る活動 ・応急対策としての被害調査実施、被害状況把握 ・災害復旧用資機材の整備、管きょ、ポンプ所、工事現場等での応急対策 ・水道の復旧対策 ・下水道の復旧対策 東京ガス グループ ・震災時の初動措置、資機材等の調達、車両の確保等の応急措置 ・震災時の広報 NTT東日本 ・通報、連絡、情報の収集、報告、重要通信のそ通確保、被災地特設電話の設置、災害用伝言ダイヤルの提供等の応急対策 ・応急復旧、災害復旧、復旧順位とサービス復旧目標等の措置 ・料金免除等の取り扱い 日本郵便 ・料金免除等の取り扱い ・支援物資の振り分け ・車両の貸し出し 東京電力パワーグリッド ・復旧の順位の決定 ・災害時における復旧資機材の確保 ・電気の応急対策 ・電気の復旧対策 ガス事業者 ・ガスの応急対策 ・ガスの復旧対策 通信事業者 ・通信の応急対策 ・災害復旧工事を計画、設計 ・通信の復旧対策および応急復旧工事終了後の被害の原因の調査分析 ? 【具体的な取組】 第1 水道(都水道局) ○災害時における飲料水の確保および被害施設の復旧に対処するため、都水道局はこれに必要な人員および車両の確保、情報の収集連絡体制等を確立する。 ○施設被害について情報収集をもとに適切な復旧方針を決定し、配水区域の調整により、断水区域の減少に努める。 1 計画方針 @ 災害時における飲料水の確保および被害施設の復旧に対処するため、都水道局はこれに必要な人員および車両の確保、情報の収集連絡体制等を確立する。 A 復旧にあたっては、施設の被害についての情報を収集・分析をとおして、適切な復旧方針を決定し、可能な限り都民への給水を確保するため、配水調整により断水区域の減少に努める。また、送配水管等にあたっては、あらかじめ定めている復旧の優先順位に基づき、効率的に復旧作業を進める。 2 活動態勢 (1)活動主体 図表3-8 活動主体別の所管区域 活動主体 所管区域 水道局南部支所 大田区(ただし、令和島を除く)・品川区(ただし、東八潮を除く。) 水道局品川営業所 品川区(ただし、東八潮を除く。) (2)動員態勢および応急活動体制の確立 震災時における飲料水の確保、応急復旧および情報連絡などに従事する必要人員、資機材等を確保するため動員態勢を確立する。なお、夜間・休日等においては、職員は地震の震度に応じて定められた態勢により参集する。また、有線による通信連絡が不能となることを想定して、無線設備および都防災行政無線等を活用し、応急連絡ならびに応急復旧の連絡体制の確立を図る。 資料59 非常配備態勢【都水道局】 3 応急対策 (1)施設点検 地震発生後、速やかに水道施設および工事現場等を点検し、被害状況を把握する。 ア 被害調査の実施 貯水、取水、導水、浄水施設および給水所等の被害調査は、速やかに施設ごとに行う。 イ 被害状況の把握 @ 管路については、あらかじめ定めた重要点検箇所の巡回点検を実施し、管路の水圧、漏水、道路陥没等の有無およびその程度のほか、地上構造物にあっては被害の程度等の把握に努める。 A 点検に先立ち、浄水場、給水所等のポンプ運転状況、管路テレメーター等から異常箇所の情報を把握する。 ウ 重要点検箇所 ・首都中枢機関、災害拠点病院等への供給管路 ・第一次重要路線、第二次重要路線および配水小管重要路線 ・応急給水施設、避難所等に至る路線 ・緊急輸送道路、鉄道および主要道路の横断箇所 ・国道、共同溝および河川に関わる道路管理者または河川管理者の指示による点検箇所 (2)応急措置 被害箇所の復旧までの間、二次災害発生のおそれがある場合および被害の拡大するおそれがある場合には、速やかに次の応急措置を行う。 ア 取水、導水、浄水施設および給水所 取水塔、取水せき等の取水施設および導水施設に亀裂、崩壊等の被害が生じた場合は、必要に応じて取水・導水の停止または減量を行う。 イ 送・配水管路 @ 漏水により道路陥没等が発生し、道路交通上非常に危険と思われる箇所については、断水後、保安柵等による危険防止措置を可能な限り実施する。 A 管路の被害による断水区域を最小限にとどめるため、速やかに配水調整を行う。配水調整作業は、浄水場から給水所への送水および主要幹線機能の確保を優先し、各路線の上流側から順次進める。 ウ 給水装置 家屋の倒壊、焼失等により、給水装置の使用見込がなくなった場合は、メーター上流の漏水箇所を修繕し、第一止水栓で閉栓する。なお、第一止水栓で閉栓できない場合はプラグ等により止水する。 (3)復旧対策 ア 復旧活動の方針 @ 取水・導水施設の被害については、浄水機能および配水機能に大きな支障をおよぼすため、最優先で復旧する。 A 浄水施設の被害のうち、施設の機能に重要な影響を及ぼすものについては、速やかに復旧活動を実施する。 B?管路(首都中枢機関等への水道水供給にかかわる管路を除く)の被害については、配水系統の変更等により断水区域を最小限にした上で、あらかじめ定める復旧の優先順位に基づき、段階的に復旧作業を進める。 イ 管路の復旧計画 都中枢機関、災害拠点病院等への水道水供給にかかわる管路の被害については、発災後3日以内の復旧を目指す。 (ア)復旧計画 復旧にあたっては、随時、配水系統などの変更等を行いながら、あらかじめ定めた順位をもとに、被害の程度および復旧の難易度、被害箇所の重要度、浄水場・給水所の運用状況等を考慮して給水拡大のために最も有効な管路から順次行う。なお、資機材の調達、復旧態勢および復旧の緊急度等を勘案し、必要に応じて仮配管、路上配管等の仮復旧を実施する。 (イ)送・配水管路における復旧活動 断水区域を限定し、可能な限り給水を継続しながらあらかじめ定めた以下の優先施設から順次復旧する。 ・首都中枢機関、災害拠点病院等への供給管路 ・第一次重要路線 ・送水管および広大な区域を持つ配水本管 ・第二次重要路線および配水小管重要路線 ・配水本管および小管の骨格となる路線 ・その他給水上極めて重要な路線 ・応急給水施設、避難所等に至る管路 ・復旧活動に支障となる箇所 (ウ)給水装置の復旧活動 @ 公道内の給水装置の復旧は、配水管の復旧および通水と並行して実施する。 A 首都中枢機関、災害拠点病院等の重要施設は、配水小管の復旧および通水状況にあわせ、機能が回復するよう優先して復旧にあたり、順次その他の給水管についても復旧を行う。 B 一般住宅等の給水装置の復旧は、その所有者等からの修繕申込みがあったものについて応急措置を行う。 C なお、配水に支障を及ぼす給水装置の破損等については、申込みの有無にかかわらず応急措置を実施する。 4 広報 (1)広報方法 広域的な広報は、掲示板への掲示、給水対策本部総務・広報班が都本部を通じて、報道機関の協力を得て実施する。事業所の所管区域内を対象とする広報は、拡声機付き自動車による路上広報、および区の協力を得て、区の防災行政無線により実施する。 (2)広報内容 ア 地震発生直後に行う広報 ・水道施設の稼動状況 ・浄水場および給水所における飲料水 ・応急対策の基本方針 ・その他住民への協力要請等 イ 応急対策開始後に行う広報 ・水道施設の被害概要およびおおよその復旧見込み ・復旧作業の実施方針 ・応急給水の実施方針および給水拠点での応急給水実施状況 ・住民の注意すべき事項および協力要請 ウ 応急対策の進ちょくに伴う広報 ・水道施設の被害詳報および復旧見込み ・前日までの作業状況および新たに給水可能になった地域 ・当日の復旧活動の概要 ・水質についての注意 ・住民への協力要請 5 早期復旧対策 @ 取水・導水施設の被害は、浄水機能に大きな支障を及ぼすため、その復旧は、最優先で行う。 A 浄水施設の被害のうち、施設の機能に重要な影響を及ぼすものについては、速やかに復旧活動を行う。 B 管路の復旧にあたっては、随時、配水系統などの変更等を行いながら、あらかじめ定めた順位をもとに、被害の程度および復旧の難易度、被害箇所の重要度、浄水場・給水所の運用状況等を考慮して給水拡大のために最も有効な管路から順次行う。なお、資機材の調達復旧態勢および復旧の緊急度等を勘案し、必要に応じて仮配管、路上配管等の仮復旧を実施する。 C 送・配水管路における復旧活動は、断水区域を限定し、可能な限り給水を継続しながらあらかじめ定めた優先施設から順次復旧する。 D 公道内の給水装置の復旧は、配水管の復旧および通水と並行して実施する。 E 首都中枢機関、災害拠点病院等の重要施設は、配水小管の復旧および通水状況にあわせ機能が回復するよう優先して復旧にあたり、順次その他の給水管についても復旧を行う。 F 一般住宅等の給水装置の復旧は、その所有者等から修繕申込みがあったものについて応急措置を行う。なお、配水に支障を及ぼす給水装置の破損等については、申込みの有無にかかわらず応急措置を実施する。 第2 下水道(都下水道局) ○非常配備態勢に基づいて職員を配置し、下水道施設の被害に対し迅速に応急復旧活動を行う。 ○管きょ、ポンプ所、工事現場の施設被害を把握し、損傷状況に応じた応急復旧、機能回復を図る。 1 震災時の活動態勢 @ 非常配備態勢に基づいて職員の配置を行い、下水道施設の被害に対し、迅速に応急復旧活動を行う。 A 応急復旧にあたっては、災害時における応急復旧業務に関する協定を締結している民間団体と連携して対処する。 2 応急復旧対策 (1)災害復旧用資機材の整備 迅速に応急措置活動を実施するため、ポンプ所に資機材を備蓄するとともに災害時の応急復旧に関する協定を締結している民間団体に対し資機材の提供について協力を求める。 (2)管きょ @ 緊急輸送道路を地上巡視し、下水道施設に起因する道路陥没等を早急に把握し、損傷状況に応じた応急復旧を実施する。 A 速やかに震災復旧活動の拠点を設置し、管きょの被害状況および高潮防潮扉の操作状況など、防災上重要な施設について重点的に被害状況および措置状況を集約する。 (3)ポンプ所 @ 各施設の点検を行い、施設の被害に対しては、箇所、程度に応じて応急措置を実施する。 A 万一機能上重大な被害が発生した場合は揚水施設の復旧を最優先する。これらと並行して各施設の損壊箇所をただちに処置し、流下機能の確保と揚水、簡易処理、消毒などの機能の回復を図る。 (4)工事現場 工事中の箇所においては、受注者との緊密な連携の下、速やかに被害状況を把握し、被害を最小限に抑えるとともに二次災害の発生を防止するための緊急措置を実施する。また、避難路等での工事箇所については、道路管理者ならびに交通管理者の指示に従い応急措置等を行う。 3 早期復旧対策 @ 被害が発生したときは主要施設から復旧を図る。復旧順序については、水再生センター・ポンプ所、幹線管きょ等の主要施設の復旧に努め、その後、枝線管きょ、ます・取付管の復旧を行う。 A 被害状況に応じ、他の大都市等へ復旧支援を要請し、その受入れに対応する。 (1)管きょ等 緊急調査で判明した被害について、より詳細に被害状況を把握・整理し、汚水の流下機能を確保するための復旧を行う。 (2)水再生センター・ポンプ所 @ 水再生センター・ポンプ所は、流下機能の確保と揚水、簡易処理、消毒、および放流の機能の回復を図り、さらに環境負荷の低減、公共用水域の水質の向上に努める。 A 水再生センター・ポンプ所において、停電のためポンプの機能が停止した場合、ディーゼル発電機やガスタービン発電機などの非常用発電機によってポンプ運転を行い、揚水不能の事態が起こらないよう対処する。また、最低限の機能確保のための復旧を行う。 B 停電が続く場合には、非常用発電設備の燃料油について、東京都石油業協同組合および東京都石油商業組合との安定供給協定により、確保に務める。 ? 第3 電気・ガス・通信など ○東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本、日本郵便、ケーブルテレビ品川は所管施設の応急対策を講じ、地震災害による施設被害の早期復旧を図り、もって社会安全の確保に努める。 1 電気施設の応急対策(東京電力パワーグリッド) 地震災害による電気施設被害の早期復旧を図り、社会安全の確保に務め、公益事業者としての使命の完遂を期す。 (1)前提条件(被害想定) @ 配電柱は電気設備の技術基準に規定されている風圧荷重が地震動による荷重を上回るため震度6弱程度では、ほとんど地震力そのものによって大きな被害を受けることはないと考えられるが、一部地域の地すべり、地盤沈下による支持物の倒壊、傾斜とこれに密集地帯の火災や浸水と付近建物の倒壊など二次、三次災害により送電不能となるおそれがある。 A しかしながら一般家庭が倒壊、焼失したり、工場地帯が操業不能となったりすることなど需要側の理由による送電中止分を除けば、供給側設備(配電線)に起因する供給支障は局所的、小規模なものに限定されると思われる。 (2)応急復旧 ア 復旧の順位 @ 復旧にあたっては恒久復旧を原則とするが、災害の規模、設備の需要度、被害の状況等により、やむをえないものについては仮復旧工事を施す。 A 災害復旧計画の策定および実施にあたっては、人命にかかわる箇所、復旧対策の中枢となる官公署、民心の安定に寄与する報道機関、病院、避難所などを原則的には優先することとする。ただし設備の被害状況、復旧の難易を勘案して供給上復旧効果の最も大きいものから行うものとする。なお、需要側においても自家発電設備を設置してその万全を期するよう協力を依頼する。 B 長期浸水地区が発生した場合は、その地区内の重要施設に対しては、負荷切替、応急ケーブルの新設等により仮送電する。 イ 災害時における復旧資機材の確保 @ 復旧資機材は、次のいずれかの方法で速やかに確保する。 ・隣接事業所の融通 ・他電力会社等からの融通 ・現地調達 A 被害状況によっては災害復旧資材置場としての用地確保が必要となることがあり、このため当社単独の交渉では困難と思われる場合には防災会議に依頼して用地の迅速な確保を図るものとする。 2 ガス施設の応急対策(東京ガスグループ) 災害によりガス施設に被害が生じた場合は、二次災害の発生を防止するとともに、速やかに、応急措置を行い、ライフライン施設としての機能を維持することが必要である。このため、災害対策の迅速かつ適切な実施を図るため、震災時の活動態勢、発災時の初動措置、応急措置、災害時の広報について必要な事項を定める。 (1)震災時の初動措置 ・官公庁、報道機関および社内事業所等から、被害情報等の情報収集 ・事業所設備等の点検 ・製造所、整圧所における送出入量の調整または停止 ・ガス導管網の地域ブロックの被害状況に応じた供給停止判断 ・その他状況に応じた措置 (2)応急措置 @ 非常事態対策本部の指示に基づき、各事業所が連携し、被害の応急措置にあたる。 A 施設を点検し、機能および安全性を確認するとともに必要に応じて調整修理する。 B 地震発生直後に地震防災システムにより被害推定を行い、ガス供給停止の必要性等を総合的に評価し、適切な応急措置を行う。 C?ガスの供給が停止した地区については、可能な限り速やかなガス供給再開に努める。 D その他現場の状況により適切な措置を行う。 (3)資機材等の調達 復旧に必要な資機材を確認し、調達が必要な資機材は、次のような方法により確保する。 ・取引先、メーカー等からの調達。 ・各支部間の流用。 ・他ガス事業者からの融通。 (4)車両の確保 緊急車・工作車を保有しており常時稼動可能な態勢にある。 3 通信施設の応急対策(NTT東日本) (1)通報、連絡 NTTグループ各社は、各対策組織相互の通報、連絡は情報を統括する組織を窓口として行う。 (2)情報の収集、報告 災害が発生し、または発生するおそれがあるときは、重要通信の確保、もしくは被災した電気通信設備等を迅速に復旧するため、次の情報を収集し、対策組織の長に報告するとともに関係組織相互間の連絡、周知を行う。 ・気象情報、災害予報等 ・電気通信設備等の被災状況、そ通状況および停電状況 ・当該組織の災害応急復旧計画および措置状況 ・被災設備、回線等の復旧状況 ・復旧要員の稼動状況 ・その他必要な情報 (3)重要通信のそ通確保 災害時に際し、次により臨機に措置をとり、通信輻輳の緩和および重要通信の確保を図る。 ・応急回線の作成、網措置等そ通確保の措置をとること ・通信のそ通が著しく困難となり、重要通信を確保するため必要があるときは、電気通信事業法第8条第2項および電気通信事業法施行規則第56条の定めるところにより、臨機に利用制限等の措置をとること ・非常、緊急電報は、電気通信事業法第8条第1項および電気通信事業法施行規則第55条の定めるところにより、一般の通話または電報に優先して取り扱うこと ・警察、消防、その他の諸官庁等が設置する通信網と連携をとること ・電気通信事業者および防災行政無線等と連携をとること (4)被災地特設電話の設置 災害救助法が適用された場合等には避難場所に、被災者が利用する特設公衆電話の設置に努める。 (5)災害用伝言ダイヤルの提供 地震等の災害発生により著しく通信輻輳が発生した場合は、安否等の情報を円滑に伝達できる災害用伝言ダイヤル等を速やかに提供する。 資料60 災害用伝言ダイヤルの利用方法【NTT東日本】 (6)復旧対策 @ 災害に伴う電気通信設備等の応急復旧は、恒久的復旧工事との関連ならびに情勢の緊急度を勘案して、迅速・適切に実施する。 ・被災した電気通信設備等の復旧は、サービス回復を第一義として速やかに実施する ・必要と認めるときは、災害復旧に直接関係のない工事に優先して、復旧工事に要する要員・資材および輸送の手あてを行う ・復旧にあたっては、行政機関、ライフライン事業者と連携し、早期復旧に努める A 応急復旧工事終了後、速やかに被害の原因を調査分析し、この結果に基づき必要な改良事項を組み入れて災害復旧工事を計画、設計する。 B?被災地における地域復興計画の作成・実行にあたっては、これに積極的に協力する。 C 復旧順位とサービス復旧目標を以下に示す。 図表3-9 復旧順位とサービス復旧目標 順位 復旧する電気通信設備 サービス 復旧目標 1 以下の機関に設置されている電気通信設備 ○気象機関 ○水防機関 ○消防機関 ○災害救助機関 ○警察機関 ○防衛機関 ○輸送の確保に直接関係がある機関 ○通信確保に直接関係がある機関 ○電力の供給の確保に直接関係がある機関 24時間以内 2 以下の機関に設置されている電気通信設備 ○ガス・水道の供給の確保に直接関係がある機関 ○選挙管理機関 ○新聞社、放送事業者または通信社の機関 ○預貯金業務を行う金融機関 ○国または地方公共団体の機関(第1順位となるものを除く) 3日以内 3 第1順位および第2順位に該当しないもの 10日以内※ (※激甚災害の場合は14日以内) 4 郵便施設の応急対策(日本郵便)  災害が発生した場合、災害の態様および国民の被災状況等被災地の実情に応じ、次のとおり、郵便事業に係る災害特別事務取り扱いおよび援護対策を迅速かつ的確に実施する。 (1)郵便物送達の確保および窓口業務の維持 @ 被災地における郵便物の運送、集配の確保または早期回復を図るため、災害の態様と規模に応じて、運送集配の経路または方法の変更、郵便物区分方法の変更、臨時運送便、臨時集配便の開設等適宜の応急措置を講ずる。 A 被災地における窓口業務の維持を図るため、被災により業務継続が不能となった郵便局は、仮局舎設置による窓口業務の迅速な再開、臨時窓口の開設、窓口取扱時間または取扱日の変更等の措置を講ずる。 (2)区民への周知 郵便局を利用中の区民に対し、警戒宣言が発せられた旨を適切な方法により周知する。 (3)非常参集態勢等 速やかに社員の非常参集、情報収集連絡態勢等必要な態勢をとる。 (4)郵便関係 ア 被災者に対する郵便葉書等の無償交付 災害救助法適用地域の郵便局において、被災世帯1世帯あたり、郵便葉書および郵便書簡を無償交付する。 イ 被災者が差し出す郵便物の料金免除 災害救助法適用地域の郵便局において、被災者が差し出す郵便物の料金免除を実施する。 ウ 被災地あて救助用郵便物の料金免除 被災者の援助を行う地方公共団体、日本赤十字社、その他総務省令で定める法人または団体にあてた救助用現金書留郵便物等の料金免除を実施する。 エ 利用の制限または業務の停止 重要な郵便物の送達の確保または交通の途絶のため、災害の規模等に応じ、郵便物の利用制限または郵便業務の一部を停止することがある。 (5)ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険関係 ゆうちょ銀行の非常払およびかんぽ生命保険の非常取り扱いについて、各社から要請があった場合は取り扱いを実施する。 (6)周知方法 郵便局窓口や局前等に掲出する。 (7)車両の貸し出し 品川区の災害対策本部の要請に基づき、協議のうえで郵便配達用車両を除く車両の貸出を行う。 5 電気・ガス・通信等の早期復旧対策 (1)東京電力パワーグリッド @ 災害に伴う応急・復旧対策については、恒久的復旧工事との関連ならびに情勢の緊急度を勘案して、迅速適切に実施する。 A 各設備の復旧は、災害状況、被害状況、復旧の難易度を勘案して、電力供給上復旧効果の大きいものから、あらかじめ定めた手順により実施する。 (2)東京ガスグループ、ガス事業者 @ ガスの供給を停止した場合の復旧作業については、二次災害を防止するため、あらかじめ定めた手順により実施する。 A?LPガスの使用の再開にあたっては、安全の確認を充分に行う必要がある。このため、都は、東京都LPガス協会の点検体制の確立について支援を行う。 (3)各通信事業者 @ 応急復旧工事終了後、速やかに被害の原因を調査分析し、この結果に基づき必要な改良事項を組み入れて災害復旧工事を計画、設計する。 A 被災地における地域復興計画の作成・実行にあたっては、これに積極的に協力する。 ? 第3章 災害対応体制 対策の基本的な考え方 震災時には、迅速な区災害対策本部の設置や災害対応体制の確立、救助・救急や消火活動、緊急輸送などについて、防災関係機関と連携した災害対応が必要である。 ここでは、大規模な地震が発生した場合における活動体制、関係機関との連携、応急活動拠点の調整、警備・交通規制の実施に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 職員活動体制 第1 災害対応体制の確保 ○区災害対策本部の円滑な運営のため、本部職員の災害活動体制に基づく迅速な本部の設置に努める。災害対策本部職員の弾力的な配備を行う等、職員配備を工夫し、より円滑な災害対応に向けた体制を確立する。 対策2 関係機関との連携 第1 救助・救急活動体制の確保 ○関係機関は、救助・救急活動および所管にかかわる応急対策を実施するとともに、区が実施する災害対応が円滑に行われるよう協力する。 第2 応援協力・派遣要請 ○都、防災関係機関との相互協力、自衛隊への災害派遣要請等に向けた手順を定める。 対策3 応急活動拠点 第1 応急活動拠点の調整 ○都と連携して、オープンスペースや航空機の使用について調整する。 対策4 警備・交通規制の実施 第1 警備の実施 ○警察機関や東京海上保安部は、区民等の生命の安全確保、各種犯罪の予防・取締りおよび海難防止その他公共の安全と秩序の維持に努める。 第2 交通規制の実施 ○警察機関は、大地震発生直後、道路における危険を防止するとともに、人命救助、消火活動等に従事する緊急自動車の円滑な通行を確保するため、交通規制を実施する。 ○東京海上保安部は、船舶交通の整理指導・制限、航路障害物の除去、危険物積載船の保安措置等により交通の安全を確保する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 職員活動体制 対策2 関係機関との連携 対策3 応急活動拠点 対策4 警備・交通規制の実施 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 職員活動体制 区 ■災害対策本部の組織・運営 ■本部職員の初動および活動態勢 関係機関との連携 東京消防庁 ■限られた消防力を最大限に活用した消火活動 ■組織的な人命救助と救急活動 ■警視庁、自衛隊、消防団、災害派遣医療チーム(東京DMAT)、防災区民組織等と連携協力による消火・救助・救急活動 ■計画に基づく多様な手段を活用した災害情報の収集伝達、防災関係機関との情報交換 区 ■都、防災関係機関との相互協力 ■自衛隊への災害派遣要請 応急活動拠点 都 ■オープンスペースの使用についての総合調整 区 ■オープンスペースの利用に関する都への要請 警備・交通規制の実施 警察機関 ■警備、および交通規制 東京海上保安部 ■警備、および交通規制 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 職員活動体制 【各機関の役割】 機関名 役    割 区 ・災害対策本部の組織・運営 ・本部職員の初動および活動態勢 【具体的な取組】 第1 災害対応体制の確保 ○区災害対策本部の円滑な運営のため、本部職員の災害活動体制に基づく迅速な本部の設置に努める。災害対策本部職員の弾力的な配備を行う等、職員配備を工夫し、より円滑な災害対応に向けた体制を確立する。 1 災害対策本部の組織・運営 (1)本部の設置および廃止 ア 本部の設置 @?区は、区の地域に地震災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、非常配備態勢を発令する必要があると認めるときは、本部を設置する。 A 本部を構成する部長職(参事を含む、以下同じ)の職にある者が、本部を設置する必要があると認めるときは、災害対策担当部長に本部の設置を要請することができる。 B 災害対策担当部長は、本部設置の要請があった場合、その他の状況により本部を設置する必要があると認めた場合は、本部条例施行規則第3条第1項の副本部長の職にあてられている者と協議のうえ、本部の設置を区長に要請する。 イ 本部の設置の通知等 @ 区長(以下、本部長とする)は、本部が設置されたとき、直ちに次に掲げる者のうち都知事については必ず、その他の者についても必要と認めた者に対し、本部の設置を通知しなければならない。 ・都知事 ・部長および課長 ・各防災機関 ・隣接の区長 A 部長および課長は、災害対策担当部長から本部の設置の通知を受けた場合、その旨を所属職員に周知徹底させなければならない。 ? ウ 本部の標示の掲出 本部が設置された場合は、第二庁舎4階災害対策本部室前または適当な場所に「品川区災害対策本部」の標示を掲出する。 エ 本部長室の開設 @ 本部長は、原則として本部を設置したときは、本部条例施行規則第2条の本部長室の構成員を招集するものとする。 A 本部長は、災害の状況その他により必要があると認めたときは、本部条例施行規則第4条第2項の本部員を指名するものとする。 オ 本部の廃止 @ 本部長は、区の地域について災害が発生するおそれが解消したと認めたとき、または、災害応急対策が概ね完了したと認めたときは、本部を廃止する。 A 本部の廃止の通知等は、本部の設置の通知等に準じて処理する。 (2)本部職員の配置および服務等 ア 職員の配置 @ 部長および課長は、あらかじめ部または課の分掌事務を遂行するため、各非常配備態勢において、本部の事務に配置すべき職員を本部条例施行規則第7条に基づく本部の職員として任命し、必要な名簿を備えておかなければならない。 A 部長および課長は、非常配備態勢の指令を受けたときは、直ちに、災害の状況に応ずる次の措置をとらなくてはならない。 ・配備人員に基づき、職員を所定の部署に配置すること。 ・職員の参集方法および交替方法を周知徹底させること。 ・その他の高次非常配備態勢に応じる職員の配置に移行できる措置を講じること。 B 次に該当する職員は、原則として動員対象外とし、通常業務に従事するものとする。 ・病弱者等で、災害時の応急業務に従事不可能と思われる職員 ・学校、福祉施設等に子ども等を預けている職員で、その職員の他に保護する者がいない職員 ・他に保護する者のいない病弱者と生計を一にする職員 ・妊娠育児休業中の女性職員 ・会計年度任用職員 C 必要に応じて、区災害対策本部職員の弾力的な配備を行う。 <弾力的な配備例> ・防災課経験職員の区災害対策本部への従事 ・緊急時における外部の専門家・有識者等の意見や技術提供等の支援を本部運営に活用できるような仕組みの構築? イ 職員の服務 (ア)職員の遵守事項 @ すべての職員は、本部が設置された場合は、次の事項を遵守しなければならない。 ・常に災害に関する情報および本部関係の指示に注意すること。 ・不急の行事、会議、出張等は中止すること。 ・正規の勤務時間が終了しても、上司の指示があるまで退庁しないこと。 ・勤務場所を離れている場合においても、常に所在を明らかにし、進んで上司と連絡をとること。 ・非常配備態勢が発令されたときは、自発的に参集すること。 A すべての本部の職員は、自らの言動によって、住民に不安を与え、住民の誤解を招きまたは本部の活動に支障をきたすことのないよう厳に注意しなければならない。 (イ)職員の動員状況の把握と報告 人事課は、災害が発生した場合、昼夜間を問わず、区組織を通じ、職員の所在を明らかにし、職員の生命の安全と、非常事態に対応する職員の確保に努め、本部に報告する。 ・部の庶務担当課(災害対策本部の組織の分掌事務で上位の課)は、部における各課の職員の報告に基づいて、集計のうえ人事課に報告する。 ・各課は、係単位に職員の行動を直ちに把握するとともに、部の庶務担当課に報告する。 ・人事課は、各部の報告に基づいて本部に報告する。 (ウ)職員の被服 本部の業務に従事する職員は、災害等が発生し、または発生するおそれがある場合、直ちに災害対策応急活動に従事できるよう原則、防災服を着用することとする。 (エ)職員への給食 本部の業務に従事する職員が、円滑な災害対策応急活動に従事できるよう、東京都災害対策本部の業務に従事する職員に対する給食要綱(昭和38年8月)を準用し、適切な給食を実施する。 (オ)職員の医療救助 職員に対する医療救助の円滑な推進を図るため、連絡体制、救助体制、搬送体制を確立する。 (カ)災害補償 @?本部職員の災害に関する補償は「地方公務員災害補償法」(昭和42年8月1日法律 121号)の定めるところにより実施する。 A 区民の災害業務従事者は「災害に際して応急処置の業務に従事した者または水防に従事した者の損害補償に関する条例」(昭和52年3月30日条例第16号)の定めるところにより実施する。 (3)本部の財務 ア 財源 災害発生直後の救助から復旧に至る一定期間に必要な資金として、平成29年度に新設した「品川区災害復旧基金」を財源とする。 イ 費用の負担 本部設置後の各部、各課の分掌事務の遂行に要した経費は、本部が負担する。 ウ 予算手続き等 予算に関する手続きおよび物資調達・工事執行・支払等については別途定める。 2 防災会議の招集 区の地域に災害が発生した場合において、当該災害にかかる災害応急対策に関し防災関係機関相互の連絡調整を図る必要があるときは、区防災会議の委員は、品川区防災会議運営規程第2条第2項により会長に区防災会議の招集を要請するものとする。 ? 対策2 関係機関との連携 【各機関の役割】 機関名 役    割 東京消防庁 ・限られた消防力を最大限に活用した消火活動 ・組織的な人命救助と救急活動 ・警視庁、自衛隊、消防団、災害派遣医療チーム(東京DMAT)、防災区民組織等と連携協力による消火・救助・救急活動 ・計画に基づく多様な手段を活用した災害情報の収集伝達、防災関係機関との情報交換 ・区市町村本部に参画し、消防的見地から情報提供や助言等を行う 区 ・都、防災関係機関との相互協力 ・自衛隊への災害派遣要請 【具体的な取組】 第1 救助・救急活動体制の確保 ○関係機関は、救助・救急活動および所管にかかわる応急対策を実施するとともに、区が実施する災害対応が円滑に行われるよう協力する。 1 救助・救急活動 震災時には、建物、施設構造物やブロック塀をはじめ、看板・窓ガラス等の落下、火災および水害等による多数の救助・救急を要する事態の発生が予想される。このため、関係機関が連携・協力体制を確立し、迅速・的確な救助・救急活動にあたる。 (1)救助・救急活動 @?特別救助隊および救急隊が連携し、救助・救急資機材を活用して組織的な人命救助・救急活動を行う。 A 救助・救急活動に必要な重機、救急資機材等に不足を生じた場合は、関係事業者との協定等に基づく迅速な調達を図り、実効性のある活動を行う。 B 救急活動にあたっては、医療救護所が開設されるまでの間、消防署に仮救護所を設置するとともに、救助・救急現場に現場救護所を設置し、医療関係機関、消防団員、災害時支援ボランティア等と連携し、救急資機材等を有効に活用して傷病者の救護にあたる。 C 救急救命士等のトリアージに基づき、緊急度の高い傷病者を最優先とし、救急車等を活用して、医療機関へ迅速に搬送する。 D?警視庁、自衛隊、災害派遣医療チーム(東京DMAT)、防災区民組織等と連携協力し、救助・救急の万全を期する。 (2)多数傷病者発生時の活動 @ 消防署に非常用救急資機材の増強整備を図り、救護体制を強化する。 A?消防隊、区、地区医師会、災害派遣医療チーム(東京DMAT)等と密接な連携を図り、効果的な医療活動を行う。 B?消防隊、区、地区医師会、災害派遣医療チーム(東京DMAT)等は協力して、重症者を優先し、負傷者等を医療機関へ搬送する。 (3)情報収集等 @ 本部は、災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院等の被害状況および傷病者の受入れ情報について、都・地区医師会等、関係機関との連携により情報収集を図る。 A 救急救護に必要な医療機関の診療情報は、東京消防庁の広域災害救急医療情報システム(EMIS)により行うとともに、職員を災害拠点病院等へ派遣して把握する。 B 収集した医療機関等の診療情報はホームページ等を活用し、住民に提供する。 2 緊急輸送 @ 物資等の緊急輸送は、情報の収集・伝達と並んで災害応急対策活動の根幹といえる。輸送路と輸送手段が同時に確保されて、はじめて効率的に円滑な緊急輸送が可能となる。 A ここでは、緊急啓開道路、輸送車両の確保等について必要な事項を定める。なお、水上輸送に関しては、区内の河川等船着場の活用を図るものとする。 ? (1)緊急啓開道路 ア 緊急啓開道路の作業態勢 図表3-10 各機関の対応内容 機関名 作  業  態  勢 区 (1)区緊急啓開道路については、品川建設防災協議会との「災害時における除去等応急対策業務に関する協定」に基づき、土木部長の指示により実施する。 (2)上下水道、電気、ガス、電話等道路占用施設の被害を発見した場合は当該施設管理者および当該道路管理者に速やかに通報する。緊急の場合には、所轄警察署や消防署と緊密な連絡をとって、現場付近の立入禁止、避難誘導等、周知措置等住民の安全確保のための措置をとり事後連絡をするものとする。 都建設局第二建設事務所 (1)管理区間   主要地方道 東京丸子横浜線(中原街道)        約 3.4q         白金台町等々力線(目黒通り)       約 1.2q         日本橋芝浦大森線(海岸通り、旧海岸通り) 約 5.2q         環状六号線(山手通り)          約 5.5q   特例都道  鮫洲大山線                約 5.4q         北品川四谷線(外苑西通り)        約 1.9q 東品川下丸子線(池上通り)   約 2.8q         品川埠頭線                約 0.6q (2)管理都道の被害状況を調査し、関係機関と情報交換を行う。 (3)都の定めた緊急道路啓開路線の選定基準に従い、その路線を優先的に啓開して交通の確保に努める。 (4)道路の占用物件に被害が発生した場合は、当該管理者に復旧を指示し、必要な保安措置について指導調整を行う。 東京国道事務所品川出張所 (1)管理区間   一般国道   1号  至 品川区東五反田3丁目               至 品川区西大井 6丁目     約 3,900m         15号  至 品川区北品川 3丁目               至 品川区南大井 2丁目     約 4,400m         357号   東八潮〜八潮 3丁目 約 4,900m         357号B.P  北品川2丁目〜八潮5丁目   約 3,100m (2)管理区間内道路の被害状況を調査し、関係機関と的確な情報交換を行う。 (3)被害状況に応じた応急復旧作業を実施し、交通路の確保に努める。 (4)企業占用物件に被害が発生した場合には、当該管理者に復旧を指示し、必要な保安措置について指導調整を行う。 資料61 資機材供給可能数【品川建設防災協議会】 資料29 緊急道路啓開網および備蓄倉庫位置図(再掲) (2)輸送車両等の確保 ア 車両調整計画 区における車両船艇の調達は以下に掲げる計画で対処する。 (ア)乗用自動車 区有乗用自動車を使用する。不足が生じる場合は、区内タクシー会社から企画部経理課が調達をする。 (イ)貨物自動車 「災害時における応急対策用貨物自動車の供給に関する協定」に基づき、東京都トラック協会品川支部から企画部経理課が調達する。 なお、調達数に不足が生じる場合は、都に対し企画部経理課が調達あっ旋を要請する。 (ウ)船舶 「災害時における民間事業者施設の使用に関する協定」に基づき、民間事業者から企画部経理課が調達する。また、区で所有する船舶についても物資輸送等で活用を検討する。 資料62 供給可能車両数【トラック協会品川支部】 資料63 災害対策協力隊編成表【トラック協会品川支部】 イ 配車計画 企画部経理課が調達した車両船艇等の各部への配分は、次に定めるところによる。 (ア)配分計画 災害予防および災害応急対策に必要な車両、船艇等は、企画部経理課において乗用自動車、貨物自動車の緊急計画をたて、必要な輸送力を確保する。 (イ)配分手続 @ 各部において車両を必要とするときは、車種、乗車人員数または積載トン数、台数、引渡場所、日時を明示のうえ企画部経理課に請求する。 A 企画部経理課は、供給先から調達し要請した部に引渡す。 B 船艇等についても車両と同様であるが、陸上輸送を必要とするときは、要請した部が輸送するものとする。 ウ 車両(船艇)の待機 @ 災害発生のおそれのあるときは、企画部経理課はその状況に応じ乗用自動車、貨物自動車を待機させることができる。 A 各部から要請のあった場合は、上記の中から各部へ引渡し、必要によっては直ちに補充しておく。 B 各部において待機車両または船艇等の確保を必要とするときは、企画部経理課に要請し、当該部用として待機させることができる。 エ 雇上料金等 災害対策用車両、船艇等の使用料金は、平常時の契約料金を準用し関係者と協議のうえ定める。 図表3-11 各部車両保有数一覧表 (令和5年4月1日現在) 乗用車 貨物車 乗合 合計 軽 小型・普通 軽 小型 普通 企画部 1 1 2 総務部 2 16 10 6 1 1 36 地域振興部 6 14 20 文化スポーツ振興部 1 1 2 品川区保健所 3 1 4 都市環境部 2 2 品川区清掃事務所 4 1 14 1 15 35 防災まちづくり部 3 6 4 1 3 17 教育委員会事務局 1 2 1 4 合計 20 26 46 10 21 1 122 (3)緊急通行車両等の申請手続 ア 緊急通行(輸送)車両の確認申出(災害発生前) 区長や車両の使用者または管理責任者は、災害応急対策に従事する車両について、災害発生前において、緊急通行(輸送)車両であることの確認を受け、標章と緊急通行(輸送)車両確認証明書の交付を受ける。 (ア)対象となる緊急通行(輸送)車両 緊急通行(輸送)車両として確認申出をするためには、下記項目の全てを満たすことが必要である。 ・災害対策基本法第50条第1項に定める災害応急対策に従事する車両 ・大規模地震対策特別措置法第21条第1項に定める地震防災応急対策に従事する車両 ・原子力災害対策特別措置法第26条第1項に定める緊急事態応急対策に従事する車両 ・武力攻撃事態における国民の保護のための措置に関する法律第10条第1項に定める国民の保護のための措置の対策に従事する車両 ・区が保有・調達する車両または区と災害時の協定・契約を締結した企業・団体等の車両 ・東京都内に使用の本拠を有する車両 (イ)確認申出に関する手続 区長や車両の使用者または管理責任者は、車両の使用の本拠の位置を管轄する警察署に「緊急通行(輸送)車両確認申出書」および以下の添付書類を提出する。 ・自動車検査証または軽自動車届出済証の写し(原動機付自転車は標識交付証明書) ・災害応急対策を実施するための車両として使用されるものであることを確かめるに足りる書類 ・区の車両であることを確かめるに足りる書類 ・区と災害時の協定・契約を締結している企業・団体については、その協定書・契約書の写し 資料64 緊急通行車両確認申出書 資料65 緊急輸送車両確認申出書 (ウ)標章および証明書の交付等 標章および証明書は、車両の使用の本拠の位置を管轄する警察署において申出受理後、書類審査を経て後日交付される。 なお、標章または証明書を亡失、滅失、汚損または破損した際、区は再交付申出書を提出する。また、標章および証明書の記載事項が変更した際は、記載事項変更届出書および変更事項が確認できる書類を提出する。 イ 規制除外車両の事前届出(災害発生前) 民間事業者等の活動のうち、大規模災害発生時に優先すべきものに使用される車両は、所定の要件を満たしている場合、事前に届出を行い、審査を受けておくことで災害発生時に標章・証明書の交付をスムーズに受けることができる。 (ア)対象となる規制除外車両 規制除外車両として事前届出ができるのは、東京都内に使用の本拠を有する車両で、以下@からEまでのいずれかの車両に限定される。 @ 医師・歯科医師、医療機関等が使用する車両(自宅から勤務地への通勤利用を除く。) A 医薬品、医療機器、医療用資材等を輸送する当該企業が使用する車両 B 患者等を搬送する車両(ストレッチャーまたは車椅子等を固定して搬送可能な車両) C 建設用重機 D 道路啓開作業車両 E 重機輸送用車両(建設用重機と同一の使用者に限る。) (イ)事前届出に関する手続 規制除外車両の事前届出にあたっては、車両を規制除外車両として使用して行うこととなる業務の実施について責任を有する者が、車両の使用の本拠の位置を管轄する警察署に「規制除外車両事前届出書」および以下の添付書類を提出する。 ・自動車検査証または軽自動車届出済証の写し(原動機付自転車は標識交付証明書) ・車両@の場合、医師・歯科医師免許または使用者が医療機関等であることを確認できる書類 ・車両Aの場合、使用者が医薬品、医療機器、医療資材等の製造者または販売者であることを確認できる書類 ・車両Bの場合、車両の写真(ナンバープレートおよび車両の構造または装置が確認できるもの) ・車両C、D、Eの場合、車両の写真(ナンバープレートおよび車両の形状が確認できるもの。車両Eは重機を積載した状況のもの) 資料66 規制除外車両事前届出書 (ウ)事前届出済証の交付等 事前届出済証の交付は、車両の使用の本拠の位置を管轄する警察署において届出受理後、書類審査を経て後日交付される。 事前届出済証の交付を受けた後に、記載事項内容の変更または亡失、滅失、汚損、破損した際は、内容が確認できる書類(車検証等)を持参し、再交付の申請を行う。 ウ 災害発生後の各種手続 災害発生後の手続きについては、緊急通行(輸送)車両と規制除外車両で手続きが異なる。申請先は、警視庁本部、交通機動隊、高速道路交通警察隊、警察署、緊急交通路上の交通検問所となる。 (ア)緊急通行(輸送)車両確認申出済の車両 すでに標章・証明書の交付を受けているため、標章を車両に掲示し緊急交通路を通行できる。検問所等で停止を求められた際は、車両に掲示している標章の確認を受ける。 (イ)緊急通行(輸送)車両確認申出を新規で申請する車両 上記の緊急通行(輸送)車両の確認申出に関する手続に従って必要書類を準備し、書類審査を受け標章・証明書の交付を受ける。 (ウ)緊急通行車両等事前届出済証の交付を受けている車両 廃止された「大規模災害時における緊急交通路の交通規制に係る緊急通行車両の確認について(通知)」(平成25年6月28日)に基づき、緊急通行車両等事前届出済証の交付を受けている場合、「緊急通行車両確認申出書」を記載し、標章・証明書の交付を受ける。 (エ)規制除外車両事前届出済証の交付を受けている車両 すでに交付を受けている規制除外車両事前届出済証を提示し、「規制除外車両確認申出書」を記載し、標章・証明書の交付を受ける。 (オ)規制除外車両事前届出済証の交付を受けていない車両 上記の規制除外車両の事前届出に関する手続と同様の添付書類を準備し、「規制除外車両確認申出書」を提出し、書類審査を受け標章・証明書の交付を受ける。 (4)海上緊急輸送 @ 区は、区が所管する防災船着場について、損傷の有無の点検を行い、安全を確認し災害対策本部に報告する。 A 東京海上保安部は、巡視船艇による緊急輸送を的確に行うため、次に掲げる措置を講じる。 ア 人員および救援物資 都等から傷病者、医者および避難者等または救援物資の緊急輸送の要請を受けたときは、海上における災害応急対策の実施に支障をきたさない範囲において、関係機関と調整して積極的にこれを実施する。 イ 災害復旧資材の輸送 都等から岸壁、護岸および防波堤等が損壊し、復旧作業のために必要な資材の海上輸送の要請を受けたときは、巡視船艇で輸送可能なものについては、海上における災害応急対策の実施に支障をきたさない範囲において、その要請に応じる。 3 労働力の確保 @ 災害時においては、区職員のみでは必ずしも充分ではないため、防災区民組織等の協力を得るとともに品川建設防災協議会との間で協定を結び必要な労務の確保を図っている。 A 以下の事項に該当する場合は事後に人事課へ報告するものとする。 ・各部は応急対策活動を実施するのに人員を確保できないときは、前記協定により必要な要員の要請ができる。 ・各方面隊隊長は、被災者の救護活動を遂行するのに必要な労務は現地で防災区民組織等の協力を得て確保するが、充足できない場合は、現地で都の基準の賃金で労働者を雇いあげることができる。 B 協定による労働者では不足の場合には、本部長は各部所要人員をとりまとめ、東京労働局および城北労働・福祉センターに労務供給(労働者の確保または休職者の紹介)を要請する。 (1)労働者の引渡しについて @ 区は労働者確保の通報受理後速やかに、労働者輸送等の配車措置を講じ、労働者の引渡しを受ける。 A 作業終了後においても待機場所、または適宜の交通機関までの労働者の輸送について協力する。 (2)賃金および賃金の支払いについて @ 賃金は都に準じて定め、必要に応じて給食を支給するものとする。 A 支払いについては就労現場において作業終了後、直ちに支払うこととする。 4 防災関係機関の活動態勢 (1)責務 災害が発生した場合、または発生するおそれがある場合、指定地方行政機関、指定公共機関および指定地方公共機関は、所管にかかわる災害応急対策を実施するとともに、都および区が実施する応急対策が円滑に行われるよう、その業務について協力するものとする。 (2)活動態勢 指定地方行政機関等は、第1の責務を遂行するため必要な組織を整備するとともに、災害応急対策に従事する職員の配置および服務の基準を定めておくものとする。 ア 東京国道事務所 災害が発生し、または発生するおそれがある場合、被害を未然に防止し被害を最小限にとどめるよう、「東京国道防災業務計画」にしたがって活動態勢をとる。 資料67 東京国道事務所の活動態勢 イ 東京海上保安部 (ア)救出・救護活動 @ 船舶海難、人身事故等に関する情報を入手したときは、巡視船艇等を集中的かつ効率的に運用し、人命救助を最優先に海難救助を実施するものとする。 資料68 東京海上保安部所属船艇等一覧表【東京海上保安部】 資料69 防除資機材常備状況表【東京海上保安部】 A?負傷者の救出・救護にあたっては、都・日赤東京都支部・東京消防庁等関係機関と協力して救助活動にあたる。 (イ)危険物流出対応 危険物が流出したときは、その周辺海域の警戒を厳重にし、必要に応じて火災の発生防止および付近船舶等に対する移動命令、または避難指示を行う。 (ウ)火災対応 船舶火災または、海上火災が発生したときは、速やかに巡視船艇等により消火活動を実施するとともに、必要に応じ火災船舶を安全な海域に沖出し曳航し、または処分等の措置を講じる。 ウ JR東日本 (ア)災害対策組織・動員に関する計画 @ 東京支社および各駅・箇所に地震災害対策本部を設置する。 A 東京支社災害対策本部の組織および業務分担内容は次のとおりである。 資料70 東京支社 災害対策本部組織図【JR東日本】 資料71 東京支社 災害対策本部 組織・業務分担表【JR東日本】 (イ)社員の緊急動員 大地震(震度6弱以上)が発生した場合は、全社員は非常呼び出しがなくても、自律的に勤務箇所または、各社員の所属する最寄りの駅・区所へ非常参集し、各長の指揮下に入り活動する。 (ウ)情報連絡に関する計画 @ 震度6弱以上の地震が発生した場合は、地震被害の情報収集と旅客の救助活動を行うため、各地区指導センターが情報連絡拠点として機能する。 A 情報連絡拠点の任務等は、次のとおりである。 ・責任者は、地区指導センター所長とし、地区内現場の旅客・社員の負傷状況、建築物、列車等の被害状況を収集して、本社および支社対策本部へ報告する。 ・非常参集した社員の参集箇所別総数を本社対策本部へ報告し、本社対策本部の指示に基づき、救助社員を救助現場へ派遣する。 B 震度6弱以上の地震が発生した場合の、各駅・区所等の対策本部の任務等は、次のとおりである。 ・責任者は、各駅・区所長とし、自駅・区所内の被害状況および社員の参集状況を把握し、情報連絡拠点へ報告する。 ・被害発生現場にあっては、現地対策本部を設置して、人命救助および復旧活動等に努める。 エ 都交通局 災害が発生した場合、および発生のおそれがある場合は、直ちに局内各部課および各事業所の長に伝達し、伝達の対象となる職員に対して周知を図る。 資料72 関係機関連絡系統【都交通局】 オ NTT東日本 (ア)災害対策本部の設置 @?大規模地震に関し警戒宣言が発せられた場合、および地震による災害が発生し、または発生するおそれがある場合は、災害対策本部を設置する。 A 災害対策本部は被害状況、通信のそ通状況等収集を行い、重要通信を確保し、応急復旧対策、広報活動その他の業務を行う。 B 都災害対策本部および関係機関との連絡調整を行う。 (イ)社員の動員計画 地震等災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、業務の運営あるいは応急対策および応急復旧に必要な動員を行うため、次のとおり動員計画を定めている。 ・災害対策本部要員の非常招集:東京地方に「震度5強」以上の地震が発生した場合、災害対策本部要員は非常駆けつけを行うものとする。 ・社員の非常配置:災害時における応急復旧の内容により、社員の配置、担務、作業内容等の方法を定めている。 ・社員の非常招集方法:夜間、休日等に社員を非常招集する場合の連絡方法を定めている。 ・事業所相互間の応援:全国の支社、関係グループ会社、事業所等への応援要請方法を定めている。 (ウ)情報連絡 @ 地震等により災害の発生または発生するおそれがある場合は、情報連絡体制を確立し、情報の収集および伝達にあたる。また、本社から事業部、関係グループ会社および災害対策本部員、社員への周知等の連絡網を整備、確立している。 A 気象業務法に基づき、気象庁から伝達される津波警報等の各種警報については、速やかに関係する区市町村等に通報する。 カ 東京電力パワーグリッド 大規模地震が発生した場合の初動対応の迅速化、的確化を図るため、非常態勢の自動発令など社員の自動出動を行う。 キ 東京ガスグループ (ア)震災時の活動態勢 対策本部および支部を設置し、必要な社員等を動員するとともに、災害対策の実施に必要な活動基盤を強化して、速やかに非常の事態に対応しうる体制に移行する。 (イ)震災時の動員態勢 震度階に基づきあらかじめ各社員に定められた自動動員基準により動員するほか、必要に応じて動員する。 ? 図表3-12 震災時の非常事態体制 体制区分 災害の具体的な状況・被災の程度 本部長 第0次非常体制 1 震度5弱の地震が発生した場合 防災・供給部長 第1次非常体制 1 震度5強の地震が発生した場合 東京ガス ネットワーク社長 第2次非常体制 1 震度6弱以上の地震が発生した場合 2 震度5弱・震度5強以上の地震が発生し、 (中圧または低圧)ブロックを供給停止した場合 東京ガス社長 ク 東急電鉄 交通事業本部異常時対策規定に基づき組織非常配備態勢は次のとおりとする。 資料73 事故・災害対策本部の組織【東急電鉄】 資料74 特別、第1種(A)(B)体制発令時の動員数および事故・ 災害対策本部の本部員(現業)【東急電鉄】 ケ 京浜急行電鉄 災害時における活動組織は、「鉄道事故・災害対策規程」によるがその大綱は次のとおりである。 資料75 鉄道部門災害対策本部の組織および業務分掌【京浜急行電鉄】 コ 東京モノレール  災害時における活動組織の編成は、当社運転事故処理手続の定めるところによる。活動編成は、次のとおりである。 資料76 活動編成【東京モノレール】 サ 東京臨海高速鉄道 @ 災害が発生したときは、その状況により災害対策本部を設置する。 A 組織図は、資料のとおりとする。状況により本部長は組織の縮小を行う。 B 被災地において非常措置、応急復旧を行う場合は必要により現地対策本部を設置する。 資料77 災害対策本部の組織【東京臨海高速鉄道】 ? 第2 応援協力・派遣要請 ○都、防災関係機関との相互協力、自衛隊への災害派遣要請等に向けた手順等を定める。 @ 区は、災害が発生した場合、または発生のおそれがある場合、各防災関係機関はあらかじめ定めてある、所掌事務または業務に従って応急対策を実施するが、その災害の状況によっては必要に応じて他の機関に協力を求め、災害対策の円滑な実施を期さなければならない。 A 特に被害が広範囲に及ぶ場合、区の防災関係機関のみの対応では困難が想定されるため、被災していない近隣区市町村や民間の協力を得て災害対策を実施する必要がある。 B ここでは、これら相互協力および自衛隊災害派遣要請計画について必要な事項を定める。 1 相互応援協力 (1)資料・情報等の提供および交換 災害時における各種災害情報および災害対策上必要な資料は、当該情報等を収集した機関が関係機関に情報を提供し、あるいは交換し、あわせて可能な限り区へも通報することとする。 (2)都との相互協力 @ 区は、都との連携を図り協力して災害対策の実施にあたる。 A 区長は、区の能力では災害対策を円滑に実施することができない場合は、都知事に対し応援または応援のあっ旋を求めるなどして災害対策の万全を期することとする。この場合、都総務局総合防災部に対し、次に掲げる事項についてとりあえず口頭または電話等をもって要請し、後日文書によりあらためて処理するものとする。 ア 応援要請または応急措置の実施を求める場合 @ 災害の状況および応援を求める理由 A 応援を希望する機関名 B 応援を希望する人員、物資等 C 応援を必要とする場所、期間 D 応援を必要とする活動内容 E その他必要な事項 イ 被災者を他地区へ移送要請する場合 @ 被災者を他地区へ移送要請する理由 A 移送を必要とする被災者の数 B 希望する移送先 C 被災者の受け入れに要する期間 D その他必要な事項 ウ 他の自治体、他の防災関係機関等の応援要請のあっ旋を求める場合 @ 災害の状況および応援のあっ旋を求める理由 A 応援を希望する機関名 B 応援を希望する人員、物資等 C 応援を必要とする場所、期間 D 応援を必要とする活動内容 E その他必要な事項 (3)防災関係機関との相互協力 ア 協力の実施 @ 各防災関係機関は、他の機関から応援を求められた場合は、自らの応急措置の実施に支障のない限り、協力または便宜を供与するものとする。 A 各防災関係機関の協力業務の内容は、「防災機関の業務大綱」に定める範囲とする。 イ 経費の負担 国あるいは他の自治体から派遣を受けた職員に対する給与および経費の負担方法は所定の方法による。(災害対策基本法施行令第18条派遣職員の給与等) 2 自衛隊への災害派遣要請 区は、災害が発生し、または発生するおそれがあり、人命または財産の保護のため必要があると認めた場合は、都知事に対し自衛隊の災害派遣を要請するものとする。 (1)派遣の要請 自衛隊の災害派遣には災害の様相等に対応して、次のような方法がある。 ア 要請による災害派遣 @ 災害が発生し、知事が人命または財産の保護のため必要があると認めて自衛隊に災害派遣要請をした結果、派遣される場合 A 災害に際し、被害がまさに発生しようとしている場合で、知事が予防のため自衛隊に災害派遣要請をした結果、派遣される場合 B 災害が発生し、またはまさに発生しようとしている場合で、区長が応急措置を実施するため必要があると認めて、知事に対して災害派遣を要請するよう求め、これを受けて知事が自衛隊に災害派遣要請をした結果、派遣される場合 イ 知事が要請するいとまがない場合における災害派遣 @ 災害に際し、通信の途絶等により、知事との連絡が不能である場合に、区長または警察署長その他これに準ずる官公署の長から災害に関する通報を受け、直ちに救援の措置をとる必要があると認められる場合 A 災害に際し、通信の途絶等により、知事との連絡が不能である場合に、部隊による収集その他の方法により入手した情報から、直ちに救援の措置をとる必要があると認められる場合 B 災害に際し、関係機関に対して当該災害に係る情報を提供するため、自衛隊が情報収集を行う必要があると認められる場合 C 災害に際し、自衛隊が実施すべき救援活動が明確な場合に、当該救援活動が人命救助に関するものであると認められる場合 D 災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、知事からの災害派遣要請を待ついとまがないと認められる場合 E 庁舎・営舎その他の防衛省の施設またはこれらの近傍に災害が発生し、自衛隊が自主的に派遣する場合 (2)災害派遣の方法 @ 区は、災害派遣を要する事態が発生し、自衛隊の災害派遣を要請しようとする場合は、次に掲げる事項を明らかにし、電話、口頭をもって都総務局総合防災部に依頼するものとする。 ・災害の状況および派遣を要請する事由 ・派遣を希望する期間 ・派遣を希望する区域および活動内容 ・その他参考となるべき事項 A 区は、緊急避難、人命救助の場合、事態が急迫し、都知事に対して自衛隊の災害派遣を要請するといとまがないときは、直接自衛隊に被害状況を通知し、事後、所定の手続きを速やかに行うものとする。 (3)災害派遣部隊の受入体制 ア 受入・活動計画の策定 派遣される部隊を円滑に受け入れ、かつ応援を求める災害応急対策活動について速やかに受入・活動計画を策定する。なお、自衛隊の活動が他機関と競合重複しないよう重点的・的確・効率的な作業分担となるよう配慮するものとする。 イ 作業計画および資機材の準備 自衛隊の応急救護活動に関して、いかなる状況において、どのような分野(救助、救急、応急医療、緊急輸送等)について、派遣要請を行うのか、平常時より計画しておくとともに、必要な資機材をあらかじめ準備し、また、施設の使用に際して管理者の了解をあらかじめ取りつけておくものとする。 ウ 宿舎等の配慮 派遣された部隊が効率的かつ円滑に活動できるよう宿舎等必要な設備を可能な限り配慮するものとする。 エ 住民の協力 区は、派遣部隊が円滑に活動できる環境醸成のために、派遣部隊の活動に対し周辺住民の積極的な協力を求める。 オ 自衛隊LOの受入れ 区指令情報部は、庁舎、現地の活動拠点等の必要な場所において、自衛隊LOを受け入れ、災害および対応状況に関する情報を提供する。 (4)災害派遣部隊の活動内容 区分 活 動 内 容 被害状況の把握 車両、航空機等状況に適した手段によって情報収集活動を行い、被害の状況を把握する。 避難の援助 避難情報等が発令され、避難、立ち退き等が行われる場合で必要があるときは、避難者の指導、搬送等を行い、避難を援助する。 避難者等の捜索救助 行方不明者、負傷者等が発生した場合は、通常他の救援活動に優先して捜索救助活動を行う。 水防活動 堤防、護岸等の決壊に対しては、土のうの作成、運搬、積み上げ等の水防活動を行う。 消防活動 火災に関しては、利用可能な消防車その他の防火用具をもって、消防機関に協力して消火にあたる。 道路または水路の啓開 道路もしくは水路が損壊し、または障害がある場合は、それらの啓開または除去にあたる。 応急医療、救護および防疫 被災者に対し、応急医療・救護および防疫を行う。 人員および物資の緊急輸送 緊急患者、医師その他救援活動に必要な人員および救援物資の緊急輸送を実施する。この場合において航空機による輸送は、特に緊急を要すると認められるものについて行う。 被災者生活支援 被災者に対し、炊飯、給水および入浴等の支援を行う。 救援物資の無償貸付または譲与 「防衛省所管に属する物品の無償貸付および譲与等に関する省令」(昭和33年総理府令第1号)に基づき、被災者に対し、救援物資を無償貸付または譲与する。 危険物の保安および除去 能力上可能なものについて火薬類、爆発物等危険物の保安措置および除去を実施する。 その他臨機の措置等 その他、自衛隊の能力で対処可能なものについては、臨機に措置をとる。 (5)経費の負担 自衛隊の救援活動に要した次に列挙する経費は、原則として派遣を受けた当区が負担するものとし、2以上の地域にわたって活動した場合の負担割合は、関係機関が協議して定める。 ・災害派遣部隊が救援活動を実施するため必要な資機材(自衛隊装備品を除く)等の購入費、借上料および修繕費 ・災害派遣部隊の宿営に必要な土地、建物等の使用および借上料 ・災害派遣部隊の宿営および救援活動に伴う光熱水費・電話料等 ・災害派遣部隊の救援活動の実施に際し生じた(自衛隊装備品を除く)損害の補償 ・その他救援活動の実施に要する経費で、負担区分に疑義ある場合は、自衛隊と派遣を受けた当区とで協議するものとする。 (6)撤収要請 区は、都と陸上自衛隊第1普通科連隊と協議のうえ、所定の災害派遣部隊の撤収要請を行う。 (7)臨時ヘリポートの開設 @ 区は、ヘリコプター離発着のため、以下の場所に臨時ヘリポートを開設する。   (風向・風速の確認、夜間離発着のための必要な処置含む。) ・天王洲公園野球場       (35°37'13.0"N 139°45'00.3"E) ・鮫州運動場          (35°36'20.3"N 139°44'40.0"E) ・西大井広場公園        (35°36'08.2"N 139°43'24.4"E) ・八潮公園多目的広場(大井埠頭)(35°36'02.4"N 139°45'10.5"E) ・大井ふ頭中央海浜公園     (35°35'35.2"N 139°45'06.1"E) ・林試の森公園         (35°37'29.2"N 139°42'02.5"E) ・しながわ中央公園       (35°36'33.1"N 139°43'37.5"E) A その際、区は都を通じ国土交通省に、ヘリポート周辺における飛行の統制・制限・NOTAM(航空情報)の発出等の処置を要請する。 ? 3 警察への災害派遣要請 @ 大規模災害発生時、警察は、定められた基準に基づき活動を開始する。警察機関による救出救助活動に関する必要な要請や調整は、区に派遣されるLO等を通じて行う。 A 警視庁は、消火・救助・救急活動において、生存者の救出を最優先に行い、救出した負傷者の医療救護所等への引き継ぎ、重機類等装備資機材等の有効活用、第一次交通規制および第二次交通規制、自衛隊、東京消防庁、防災区民組織等と連携協力、航空救助部隊の編成を行う。 B 警察災害派遣隊は、情報収集、避難誘導、救出救助、検視、遺体の調査および身元確認の支援、緊急交通路の確保および緊急通行車両の先導、行方不明者の捜索、治安維持、被災者等への情報伝達、被災地等における活動に必要な通信の確保等を行う。 C 区は、区内活動部隊では十分な対応ができないと判断される場合、都に対して、救出救助部隊の派遣要請を行う。 4 消防への派遣要請 @ 大規模災害発生時、消防は、定められた基準に基づき活動を開始する。消防による救出救助活動に関する必要な要請や調整は、区に派遣されるLO等を通じて行う。 A 東京消防庁は、延焼火災が多発したときは、全消防力を挙げて消火活動を行い、震災消防活動体制が確立したときは、消火活動と並行して救助・救急等の活動を行う。延焼火災が少ない場合は、救助・救急活動を主力に活動する。 B 緊急消防援助隊は、消火、人命救助、傷病者の応急処置・救急搬送、情報収集等を行う。緊急消防援助隊に関する応援は、区指令情報部からの要請に応じて、都本部(救出・救助統括室)と東京消防庁等が連携し、総務省消防庁へ要請する。 C 区内の消防力では十分な対応ができないと判断される場合、区および第二消防方面本部は、都に対して緊急消防援助隊の派遣要請を行う。 ? 対策3 応急活動拠点 【各機関の役割】 機関名 役    割 都 ・オープンスペースの使用についての総合調整 区 ・オープンスペースの利用に関する都への要請 【具体的な取組】 第1 応急活動拠点の調整 ○都本部と連携して、オープンスペースや航空機の使用について調整する。 @ 地震が発生したとき、応急活動を効果的に実施するために、応急対策上重要な役割を果たすオープンスペースや航空機の使用について、必要に応じて、都が総合的に調整する。 A 都は、現地機動班からの情報や都各局、区、関係機関等からの情報により、オープンスペースの被害状況、施設や設備等の使用の可否、使用範囲等を確認し、その状況について継続的に把握するとともに、活動拠点として使用できる場所を確定する。 B 都各局および区は、オープンスペースの利用要望を都本部に提出する。 C 都本部は、オープンスペース使用調整会議において、都各局および区市町村の利用要望と、自衛隊、他県等の警察・消防の応援部隊の使用見込との調整を行う。 D 各活動拠点では、都の現地機動班が各応援部隊の受入れ準備を行うとともに、受入れに伴う各機関との連携や各種調整、各機関の活動に必要な支援を行う。 E 各機関は、活動拠点から区内の被災現場に進出し、救助活動を実施する。 F オープンスペースを使用する機関は、使用状況を定期的に都本部へ報告する。 G オープンスペース使用調整会議は、報告に基づき、時系列に応じたオープンスペースの有効活用を図る。 H 都本部は、航空機使用調整会議において、東京航空局等と連携・協力し、次の調整を行う。 ・離発着場の指定 ・応急対策に使用する航空機の需給調整 ? 対策4 警備・交通規制の実施 【各機関の役割】 機関名 役    割 警察機関 ・警備、および交通規制 東京海上保安部 ・警備、および交通規制 【具体的な取組】 第1 警備の実施 ○警察機関や東京海上保安部は、区民等の生命の安全確保、各種犯罪の予防・取締および海難防止その他公共の安全と秩序の維持に努める。 @ 震災時には、区民の生命、身体、財産の保護および各種犯罪の予防、取締ならびに交通秩序の維持、その他被災地における治安の万全を期することが極めて重要である。 A ここでは、警備・交通規制について必要な事項を定める。 B 災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合、速やかに関係機関は、総力をあげて区民の生命の安全確保、各種犯罪の予防・取締りおよび海難防止その他公共の安全と秩序の維持に努めるものとする。 図表3-13 各機関の対応内容 機関名 活  動  内  容 警察機関 1 警備本部等の設置 警視庁管内に大地震が発生した場合には、直ちに警備本部等を設置して指揮体制 を確立する。 2 部隊運用等 災害事務の処理に必要な最小限の処理を除いて部隊を編成し、被害実態の把握、交通規制、救出救助、避難誘導等の措置をとる。 3 警備活動 建物倒壊、火災、津波等により発生する被害の拡大防止のため、次の警備活動等を行う。 ・被害実態の把握および各種情報の収集 ・交通規制 ・被災者の救出救助および避難誘導 ・行方不明者の捜索および調査 ・遺体の調査等および検視 ・公共の安全と秩序の維持 東京海上保安部 海上における治安の維持 1 海上における治安を維持するため、次に掲げる措置を講じる。 (1)災害発生地域において、巡視船艇により挙動不審船に対する立入検査等を実施し犯罪の予防・取締りにあたる。 (2)巡視船艇等により重要施設周辺海域等の警戒を実施する。 (3)警察および公共機関等と連絡を保ち、治安情報等の収集にあたる。 2 東京海上保安部は、海上漂流遺体を発見した場合は、都および警察署と協議して定められた岸壁に揚収し、所要の措置を行った後、区に処理を引き継ぐ。 第2 交通規制の実施 ○警察機関は、大地震発生直後、道路における危険を防止するとともに、人命救助、消火活動等に従事する緊急自動車の円滑な通行を確保するため、交通規制を実施する。 ○東京海上保安部は、船舶交通の整理指導・制限、航路障害物の除去、危険物積載船の保安措置等により交通の安全を確保する。 図表3-14 各機関の対応内容 機関名 活  動  内  容 警察機関 1?大地震発生直後、道路における危険を防止するとともに、人命救助、消火活動等に従事する緊急自動車の円滑な通行を確保するため、次の交通規制を実施する。 (1)第一次交通規制 ア 環状7号線における都心方向への流入禁止 環状7号線から都心方向へ流入する車両の通行を禁止する。   イ 環状7号線内側の通行禁止     道路の損壊等により都心部の交通に著しい支障があると認めるときは、一時的に環状7号線の内側について区域または路線を指定して広域的に車両の通行を禁止する。 ウ 環状8号線における都心方向への流入抑制 環状8号線から都心方向へ流入する車両の通行を抑制する。 エ 緊急自動車専用路における通行禁止 都内高速道路、国道4号、国道17号、目白通り、国道20号、国道246号、外堀通りを緊急自動車および道路点検車等(以下「緊急自動車等」という。)以外の車両の通行を禁止する道路として指定し、緊急自動車等以外の車両の通行を禁止する。 (2)第二次交通規制 被害状況、道路交通状況、災害応急対策の進展状況等を勘案し、第一交通規制から次の交通規制に移行する。 ア 被災状況等に応じた交通規制 原則として第一次交通規制により実施した交通規制を継続するものとするが、被害状況等により、規制範囲を拡大、または縮小する。 イ 緊急交通路の指定 第一次交通規制で指定した緊急自動車専用路を緊急交通路として指定するとともに、被害状況等に応じて指定35路線(区内では、第一京浜国道、第二京浜国道、中原街道が指定)に掲げる路線の中から緊急交通路を指定し、緊急自動車以外の車両の通行を禁止する。 東京 海 上 保 安 部 ・東 京 湾 海 上 交 通 セ ン タ ー 海上交通安全の確保 1 船舶交通の整理指導・制限等 船舶交通が輻輳する海域に巡視船を配置して船舶交通の整理指導を行うとともに、次に掲げる場合等で船舶交通に危険が生じまたは生じるおそれがあるときは船舶交通を制限し、または禁止する。 (1)海難の発生 (2)岸壁等係留施設、その他の海上構造物の損壊 (3)大量の危険物等の海上への流出 (4)いかだ、材木、コンテナおよびその他の航路障害物の海上への流出 2 航路障害物の除去 海難船舶、漂流物および沈没物等により、船舶交通に危険が生じまたは、生じるおそれがあるときは、所有者に対しこれらの除去、その他船舶交通の危険防止のための措置を講ずることを命令または勧告する。 また、特に必要がある場合で原因者が不明な場合等は、都港湾局(東京港管理事務所)と協議して処理する。 3 危険物積載船の保安措置 危険物積載船の保安について、次に掲げる措置を講じる。 (1)危険物積載船については、状況に応じて移動を命じ、または危険物積載船周辺の船舶交通を制限し、もしくは禁止する。 (2)危険物荷役中の船舶については、状況に応じて荷役の中止を命じる。 4 工事作業等の再開 工事作業等を再開するものについて、事故防止のために必要な措置を講じるよう命じまたは指導する。 5 水深の検測 東京港および周辺海域において、船舶交通に支障となる水深の異常が認められた場合は、都港湾局等関係機関と密接な連絡をとり、速やかに水深の検測を実施するとともに、海事関係団体等に周知する。 ? 第4章 情報通信 対策の基本的な考え方 震災時には、災害対応のため、被害状況等を収集し、防災関係機関と情報共有を図る必要がある。また、区民の混乱回避に向け、複数の伝達手段を用いて災害広報活動を行う必要がある。 ここでは、被害状況等の収集・伝達体制および防災関係機関との連絡体制、区民への情報伝達体制について示す。 各対策の要点 対策1 情報通信体制 第1 被害状況等の収集・伝達体制 ○デジタル移動通信およびIP無線機を用いて円滑な情報収集を行う。また、区災害対策本部および都と計画で定められた項目を中心に迅速な情報共有を図る。 第2 防災関係機関との連絡体制 ○国、都、関係機関等への報告・連絡は、各機関に応じて適した通信手段を用いて、迅速に実施する。 ○東京海上保安部、東京消防庁、東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本等の関係機関における情報の収集、広報に係る対策についての連絡を緊密にし、災害時における円滑な対応に努める。 対策2 区民への情報伝達体制 第1 区による災害広報活動 ○区民等への情報伝達に向け、災害情報を把握するとともに、防災行政無線、広報車等の複数の伝達手段を用いた災害広報活動を行う。また、要配慮者等へも情報が伝わるよう留意し、災害広報活動を行う。 ○報道機関等と連携しながら、広く区民に災害情報を周知できるよう災害広報活動を行う。 ? 対策 対応テーマ 対策1 情報通信体制 対策2 区民への情報伝達体制 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 情報通信体制 区 ■デジタル移動通信およびIP無線機を活用した災害関連情報の収集 ■被害状況等の区災害対策本部への報告 ■被害状況等の都への報告 東京海上保安部 ■海事関係団体および都災害対策本部等との情報連絡 ■巡視船艇等による情報収集 東京 消防庁 ■消防救急無線、消防電話および区防災行政無線等各種の通信連絡手段を活用した各防災関係機関との情報連絡 ■震災消防対策システムの運用 NTT 東日本 ■各種警報の伝達 東京電力 パワー グリッド ■被害情報の収集 ■停電の復旧見込みおよび電気事故防止に関する広報 東京ガスグループ ■被害情報の収集 ■ガス供給停止地区の復旧見通し ■二次災害防止に関する広報 区民等への情報伝達体制 区 ■災害情報の収集、住民への広報 ■複数の情報伝達手段による被災者への正確な災害情報・生活情報の広報 ■報道機関への発表 ■応急復旧対策に係る記録 警察機関 ■各方面本部、警察署からの情報収集、都への報告 ■東京消防庁、自衛隊等防災関係機関と情報交換 東京 消防庁 ■災害情報、消防活動状況等の広報 NTT 東日本 ■通信のそ通および利用制限の措置状況および被災した電気通信設備等の応急復旧状況等の広報 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 情報通信体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 東京海上保安部 ・海事関係団体および都災害対策本部等との情報連絡 ・巡視船艇等による情報収集 東京消防庁 ・消防・救急デジタル無線、消防電話および区防災行政無線等各種の通信連絡手段を活用した各防災関係機関との情報連絡 ・震災消防対策システムの運用 ・都、区市町村および関係機関が有する災害情報等をリアルタイムで共有する体制を構築 ・病院端末装置の活用により、救急告示医療機関との情報共有 ・高所カメラの整備、緊急情報伝達システム、他機関保有映像の活用により情報収集伝達体制を強化 NTT東日本 ・各種警報の伝達 東京電力 パワーグリッド ・被害情報の収集 ・停電の復旧見込みおよび電気事故防止に関する広報 東京ガスグループ ・被害情報の収集 ・ガス供給停止地区の復旧見通し ・二次災害防止に関する広報 区 ・デジタル移動通信およびIP無線機を活用した災害関連情報の収集 ・被害状況等の区災害対策本部への報告 ・被害状況等の都への報告 【具体的な取組】 第1 被害状況等の収集・伝達体制 ○デジタル移動通信およびIP無線機を用いて円滑な情報収集を行う。また、区災害対策本部および都と計画で定められた項目を中心に迅速な情報共有を図る。 1 情報の収集手段 (1)デジタル移動通信およびIP無線機を活用した災害関連情報の収集 情報の収集については、区民および防災関係機関からの情報について地域センター等を窓口として、デジタル移動通信およびIP無線機を活用し、区災害対策本部設置以前は防災課、設置後は指令情報部(情報課)で集約する。 (2)コールセンター設置による情報の収集 区民等からの被害情報等の収集・把握および各種問い合わせに対応するため、コールセンターを区災害対策本部室内に設置する。 2 被害状況の収集 区災害対策本部および都と共有すべき被害状況に係る項目について以下に示す。 (1)人的被害 @?人的被害については、次により区別して掲げるが、重軽傷者の別が把握できない場合は暫定的に負傷者として報告すること。 A 死者とは、当該災害が原因で死亡し、遺体を確認したもの、または遺体を確認することができないが、死亡したことが確実なもの。 B?行方不明者とは、当該災害が原因で所在不明となり、かつ、死亡の疑いのあるもの。 C 負傷とは、災害のため負傷し、医師の治療を受ける必要のあるもの。負傷のうち、「重傷」とは1月以上の治療を要する見込みのもの、「軽傷」とは、1月未満で治療できる見込みのもの。 (2)住家の被害 @ 住家とは、人が起居できる設備のある建物または現に人が居住のために使用している建物をいう。なお、土蔵、小屋であっても現実に人が居住しているときは住家とみなす。 A 世帯とは、生計を一つにしている実際の生活単位をいう。 B 棟とは、一つの独立した建物をいう。 C?収集する情報は、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない(一部損壊)、床上浸水、床下浸水である。 (3)非住家の被害 @?非住家とは官公庁庁舎、学校、病院、公民館、神社仏閣等および土蔵、倉庫、車庫、納屋等の住家以外の建物をいう。 A 非住家被害とは、非住家に対する全壊、半壊程度の被害を受けたもの。 (4)その他の被害 @ 道路決壊とは、首都高速道路、一般国道、都および区道が決壊し、車両の通行が不能となった程度の被害を受けたもの。 A 道路の一部損壊とは、首都高速道路、一般国道、都および区道の道路の一部が損壊し、道路の決壊に至らない程度に被害を受けたもので、応急的に修理を要するもの。 B 橋梁流失とは、道路に架設した橋が一部または全部流失し、一般の渡橋が不能になった程度の被害を受けたもの。 C 橋梁の一部損壊とは、道路に架設した橋の一部が損壊し橋梁の流失に至らない程度の被害を受けたもので、応急的に修理を要するもの。 D 堤防の決壊とは、河川の堤防が決壊した程度に被害を受けたもの。 E 堤防の一部損壊とは、堤防決壊に至らない程度に被害を受けたもので応急的に修理を要するもの。 F 被害船舶とは、ろかいのみをもって運転する舟以外の船で、船体が没し、航行不能になったものおよび流失し、所在が不明になったもの、ならびに修理しなければ航行できない程度の被害を受けたもの。 G その他の被害とは、港湾の被害で特に報告を必要とするもの。 (5)被災者 @ 被災世帯とは災害によって何らかの被害を受けたもの。 A 被災者とは、被災世帯の構成員をいう。 (6)被害額 物的被害の概算額を千円単位として計上する。 3 被害状況等の区災害対策本部への報告 (1)報告事項 報告事項は次のとおりとする。 ・気象状況 ・活動状況 ・被害状況 ・避難所等の状況 (2)報告の区分 各報告主管部は、次の区分により、被害状況等の報告を行う。 ア 速報 被害の大小にかかわらず状況を把握し直ちに報告する。 イ 中間報告 災害応急対策活動を実施している間、毎日正午までに前日分についてとりまとめ報告する。 ウ 決定報告 災害応急対策活動が完了した後、文書によりとりまとめて報告する。なお、この際、可能なかぎり現地写真を添付することとする。 4 被害状況等の都への報告 @?災害が発生した時から当該災害に関する応急対策が完了するまで、区災害対策本部は、各種報告をとりまとめ都に報告する。 A?家屋の倒壊や火災が多発する災害が発生した場合および災害対策基本法第53条に基づく被害の状況の報告が都にできない場合には、国(現地対策本部または総務省消防庁)に報告する。 B 東京都災害情報システム(DIS)データ端末に入力し報告する。 C 報告すべき事項を以下に示す。 ・災害の原因 ・災害が発生した日時 ・災害が発生した場所または地域 ・被害状況 ・災害に対して既に取った措置および今後取ろうとする措置(日時、場所、活動人員、使用資機材等) ・災害救助法適用の要否および必要とする救助の種類 ・その他必要な事項 ? 第2 防災関係機関との連絡体制 ○国、都、関係機関等への報告・連絡は、各機関に応じて適した通信手段を用いて、迅速に実施する。 ○東京海上保安部、東京消防庁、東京電力パワーグリッド、東京ガスグループ、NTT東日本等の関係機関における情報の収集、広報に係る対策についての連絡を緊密にし、災害時における円滑な対応に努める。 @ 区は、災害が発生するおそれのある現象を確認した場合や通報を受けた場合には、防災関係機関へ連絡する。 A 区は、災害原因に関する重要な情報について、都または関係機関から通報を受けたとき、または通報などにより知ったときは直ちに区域内の公共的団体、その他重要施設の管理者、防災区民組織等に周知する。 ? 対策2 区民への情報伝達体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 東京消防庁 ・災害情報、消防活動状況等の広報 警察機関 ・各方面本部、警察署からの情報収集、都への報告 ・東京消防庁、自衛隊等防災関係機関と情報交換 NTT東日本 ・通信のそ通および利用制限の措置状況および被災した電気通信設備等の応急復旧状況等の広報 区 ・災害情報の収集、住民への広報 ・複数の情報伝達手段による被災者への正確な災害情報・生活情報の広報 ・報道機関への発表 ・応急復旧対策に係る記録 【具体的な取組】 第1 区による災害広報活動 ○区民等への情報伝達に向け、災害情報を把握するとともに、防災行政無線、広報車等の複数の伝達手段を用いた災害広報活動を行う。また、要配慮者等へも情報が伝わるよう留意し、災害広報活動を行う。 ○報道機関等と連携しながら、広く区民に災害情報を周知できるよう災害広報活動を行う。 1 災害情報の収集 @ 総務部広報報道課は、区災害対策本部の設置と同時に、常時連絡員を区災害対策本部室に派遣し、情報を把握するとともに、検討を行い、報道機関への発表、住民への広報に備える。連絡員は情報の収集にあたり、指令情報部等の関係各部とも緊密な連絡を保ち、発表資料の正確、迅速な把握を期するものとする。 A 被災情報管理システムを活用して、区内の被災情報等を収集・集約する。 B?無人航空機(ドローン)を活用し、発災時の被害、避難者の移動・滞留等の情報の可視化を行う。 2 住民への広報 住民に対する広報は、デマ・誤報などの防止を図るため、可能なかぎり統一的な内容で広報するものとする。広報事項および内容等の調整は区災害対策本部長が行うものとする。 (1)防災行政無線 地震発生直後に起こる第二次災害とその拡大のおそれがある場合は、区防災行政無線により全区内、または地域ごとの広報活動を行うとともに、同じ内容を音声で聞ける防災行政無線確認ダイヤルによる配信も行う。 (2)広報車 危険が予想される地域には、重点的に広報車を出動させる。広報車は区災害対策本部と密接な連絡をとり、状況に応じた効果的な広報活動を行う。災害が終息したときは広報車により被災地を巡回して移動相談を行い、救護措置の万全を期するものとする。 (3)臨時広報紙の発行 災害発生時の混乱した状況において、区の発表内容や生活情報などを被災者に正確に伝えるため、臨時広報紙を発行し広報活動を行う。 (4)ホームページ 区の発表内容や生活情報などを被災者に正確に伝えるためにホームページを活用し広報活動を行う。 (5)ケーブルテレビ品川の活用 @ 区内を放送区域としてケーブルテレビ品川との相互協定に基づき、品川区民チャンネルによる緊急放送を通じて、情報提供を行う。 A?区災害対策本部発表による正確な災害情報・生活情報などを初動期、復旧・復興期、各時期において適宜、被災者に提供する。 (6)品川区公式SNS、ヤフー防災速報 災害時においては、X(エックス(旧ツイッター))、フェイスブック(Facebook)、ライン(LINE)品川区公式SNS、ヤフー(Yahoo!)防災速報を活用し、災害時の情報発信・広報を行う。 (7)エリアメール 区が配信元となり、各携帯会社が提供する「緊急速報エリアメール(NTTドコモ)」・「緊急速報メール(KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)」のサービスを活用して、災害時の高齢者等避難や、避難指示、緊急安全確保を配信する。 (8)メール配信 しなメールを活用し、気象庁が発表する震度3以上の震度速報・地震情報および津波警報等の情報配信や災害・緊急時等の情報発信を行う。 (9)FMラジオ inter Fm(89.7Mhz)との「災害時等における放送要請に関する協定」により、災害時等における放送の協力を要請できる。令和元年6月にFMしながわ(88.9Mhz)は防災行政無線と連動し、緊急時割込放送を行う。 (10)デジタルサイネージ 新たな広報媒体として導入したデジタルサイネージを活用して、リアルタイムに防災気象情報・緊急情報等を含め、様々な情報を積極的かつ効果的に発信する。 3 災害情報伝達手段の充実 @ 区は、現在確立している情報伝達手段の他、過去の災害から非常に有効な手段の一つとされているFMラジオ局の活用をはじめ、情報不足による区民の動揺や不安を払拭するために伝達手段の一層の充実を図る。 A 視覚障害者、聴覚障害者、在宅の高齢者等に配慮した情報提供を実施する。 <要配慮者の情報伝達に係る配慮事項(例)> ・CATV:ナレーションをまじえた情報提供、テロップ、手話通訳者の活用 ・HP:音声読み上げ機能や外国語対応による生活情報や福祉サービス等の情報提供 ・防災区民組織による安否確認時、防災行政無線や広報車等での伝達時に各避難所にて提供収集可能であることを周知 4 報道機関への発表 (1)発表の方法 @ 災害に関する情報および区災害対策本部長室の災害対策事項、その他区民に周知すべき事項は、企画部長が事項の軽重、緊急性等を検討したうえで、広報報道課における記者への口頭説明もしくは各社への電話連絡(あらかじめ作成した文書を読み上げること)によって報道機関へ発表するものとする。 A 被災者に対して喫緊に伝えるべき事項は、広報報道課が区災害対策本部発表の情報を、ケーブルテレビ品川をはじめ、放送事業者に対して提供する。 B 口頭説明で発表を行うときは、関係部長が立ち会うものとする。また、広報報道課が報道機関からの電話照会その他に応ずる。 (2)臨時会見場・記者室の設置 報道機関への区災害対策本部発表や取材対応を円滑に行うため、防災センター内に臨時会見場・記者室を設け対応する。 (3)発表内容 災害発生時に報道機関に対し提供すべき内容は、当時の状況に応じて、次のうちから選択する。 ア 発生した災害の状況 区内における地震情報、津波関連情報等 イ 被害の状況 区民等の被災状況、建物・道路の被害状況、火災の発生状況と延焼の可能性、交通関連情報、ライフライン関連情報、帰宅困難者の滞留状況、危険物保有施設の被害状況等 ウ 応急対策の実施状況 @ 災害対策本部の開設・活動状況全般 A 避難に関する事項:避難指示等の内容、区民避難所等の開設状況等 B 医療関連情報:医療救護所の開設状況等 C 物資関連情報:物資の配送状況、給水ポイント、救援物資の状況等 D 広域応援職員関連情報:受入状況、活動内容等 エ 今後の見通し ライフライン・輸送機関・道路等の復旧見通し、帰宅困難者の帰宅開始時期、教育・保育再開時期等 オ 支援ニーズ 不足物資やボランティア等のニーズに関する事項 カ 生活再建等に関する事項 各種相談窓口、建物被害調査、義援金の受入口座について等 5 応急復旧活動に係る記録 区は、災害発生時より、被害および活動状況を写真・ビデオ等におさめ、復旧対策、広報活動の資料等として活用する。 ? 第5章 備蓄・輸送対策 対策の基本的な考え方 震災時には、被災者である区民に必要な物資を継続的に供給していく必要がある。 ここでは、備蓄物資等の供給、緊急車両等による輸送、水・食料・生活用品等の安定供給に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 備蓄物資等の供給 第1 備蓄物資の供給 ○避難所運営会議との連携により地域内での避難者数を早期に把握するとともに物資供給に係る計画を作成し、適切・迅速な物資供給を行う。 第2 応急給水による飲料水および生活用水の供給 ○災害時給水ステーション(給水拠点)での応急給水を基本とし、災害時給水ステーション(給水拠点)からの距離がおおむね2km以上離れている医療施設および福祉施設等から要請があった場合には、車両輸送による応急給水を行う。必要に応じて応急給水栓による応急給水を行う。 ○生活用水は、区立学校等のプールや震災対策用井戸等を活用し、供給できるよう努める。 第3 支援物資の受入れ配分調整 ○支援物資および調達物資の受入れは、区の地域内輸送拠点で行う。 ○大量の支援物資および調達物資の受入れ、仕分け、配布は、ボランティアの協力を得て対応する。 ○要配慮者を考慮した物資を適切に配分するため、仕分け、配布にあたり、避難所へ相談窓口を設置する等、配慮する。 第4 寄付による支援物資の取扱い ○区に寄付された支援物資を被災者に配分する。 ○個人による被災地への支援物資の提供は、被災地、非被災地双方の職員の負担となることから、抑制を図るよう留意した広報を行う。 対策2 緊急車両等による輸送 第1 緊急車両等による輸送 ○輸送車両として、緊急車両(区有車両、協定に基づく車両)を確保する。 ○輸送車両以外にも移動手段等で車両等が必要になるため、各部における需要・供給量を適切に把握するとともに、担当部署を定め情報を集約し、効率的な配車に努める。 第2 輸送および配布 ○食料、生活用品、応急対策用物資等に係る人員の確保、物資の輸送・配布を区は、都と連携して実施する。 第3 燃料供給要請 ○大量の燃料確保が必要となるため、関係機関への迅速な燃料支援の要請を行う。 対策3 水・食料・生活用品等の安定供給 第1 水・食料・生活用品等の安定供給 ○多様・変容する避難者ニーズを適切に把握するとともに、ニーズに対応した物資の確保および配布に努める。また、要配慮者や女性の視点に配慮した物資についても確保するともに、配布方法等についても留意する。 【用語の解説】 @広域輸送基地 都が他県等から輸送される物資を受入れ、一時保管、地域内輸送拠点への積み替えなどをする場所のことをいう。トラックターミナル、埠頭、空港などが候補地となる。 ? 対策 対応テーマ 対策1 備蓄物資等の供給 対策2 緊急車両等による輸送 対策3 水・食料・生活用品の安定供給 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h 72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 備蓄物資等の供給 区    ■食料供給に係る計画立案、食料の配布    ■生活用品の供給体制の確保、配布       ■被災者への応急給水(給水拠点)       ■応急給水槽における必要な資機材の設置    ■支援・調達物資の受入れ ■供給体制の確保、配布 都       ■給水所における必要な資機材の設置       ■災害拠点病院等の医療機関への応急給水 緊急車両等による輸送 区    ■人員および物資の輸送    ■輸送業者等との連携 ■緊急車両の確保 ■燃料支援の要請 都    ■人員および物資の輸送    ■区からの要請に基づく車両のあっ旋 飲料水・食料・生活必需品の安定供給 区 ■水、食料、生活用品等の安定供給および多様・変容するニーズへの柔軟な対応 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 備蓄物資等の供給 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・給水所における必要な資機材の設置 ・災害拠点病院等の医療機関への応急給水 区 ・食料供給に係る計画立案、食料の配布 ・生活用品の供給体制の確保、配布 ・被災者への応急給水(給水拠点) ・応急給水槽における必要な資機材の設置 ・支援・調達物資の受入れ、供給体制の確保、配布 【具体的な取組】 第1 備蓄物資の供給 ○避難所運営会議との連携により地域内での避難者数を早期に把握するとともに物資供給に係る計画を作成し、適切・迅速な物資供給を行う。 1 物資供給に係る計画 @ 区は、物資の適正な供給を目的とし、避難所ごとに避難者数を把握するとともに、避難者への物資供給に係る計画を立案する。これをもとに必要な食料・飲料水等を供給する。 A?道路啓開が本格化し、陸上輸送が可能と考えられる4日目以降は、国や都からの支援・物資や調達物資、炊き出し等で対応する。 B 被害の状況等により、区が備蓄する物資だけでは不足することが考えられるため、事業者等にも物資の提供について協力を呼びかける。 ? 2 不足する物資の調達 区は、避難者数を想定し、需要・供給状況を早期に把握し、物資調達に係る計画を立案する。 物資の調達は、都等の関係機関や協定を結んでいる関係団体に対して要請する。 (1)調達体制 食料や生活用品について、避難所運営会議との連携のもと避難所単位での需要・供給状況を調査するとともに、不足する場合、あるいは不足することが見込まれる場合はその調達方法について食料調達に係る計画および、生活用品調達に係る計画を立案し、都等の関係機関に支援を要請する。 (2)食料の調達 @ 調達は、物資調達・輸送調整等支援システムから都へ要請する。 A?精米協定に基づき、東京都米穀小売商業組合品川支部から精米の優先提供を受ける。 B?飲料水は、避難所等における備蓄で不足する場合、災害時協定(東海道五十三次市区町災害時相互応援に関する協定 他)に基づく提供、応急給水(第2 応急給水による飲料水および生活用水の供給 参照)により確保する。 (3)生活用品の調達  @ 被害想定世帯数約49,950世帯(避難所避難者数87,418人に対して、令和5年6月1日現在の住民基本台帳の世帯数/人口を乗じたもの)に対し、生活用品等の給(貸)与を行うためには、区の備蓄数量、品目で不足することが考えられる。そのため、関係業者に協力を依頼し、平素から、調達可能数の把握に努め、早急に実情を把握する。 A 災害救助法適用後、生活用品等の給(貸)与の必要が生じたときは、状況により、物資の調達を都に要請する。ただし、被災の状況により、現地調達が適当と認められる場合については、現地調達する。 3 給(貸)与基準 (1)食料の給与基準 @ 被災者に対する炊き出しその他による食料給与の配付基準は、原則として、災害救助法施行細則に定めるところによる。 A ただし、この基準により難い事情がある場合は、都知事の事前承認を得て別途定めるものとする。 (2)生活用品給(貸)与基準 @ 被災者に対する給(貸)与基準は、災害救助法の有無にかかわらず、原則として、災害救助法施行細則に定めるところによる。 A この基準により難い事情がある場合は、都知事の事前承認(内閣総理大臣の承認を含む)を得て別途定めるものとする。 第2 応急給水による飲料水および生活用水の供給 ○災害時給水ステーション(給水拠点)での応急給水を基本とし、災害時給水ステーション(給水拠点)からの距離がおおむね2km以上離れている医療施設および福祉施設等から要請があった場合には、車両輸送による応急給水を行う。必要に応じて、応急給水栓による応急給水を行う。 ○生活用水は、区立学校等のプールや震災対策用井戸等を活用し、供給できるよう努める。 1 震災時の応急給水方法 (1)災害時給水ステーション(給水拠点)での応急給水 応急給水槽を災害時給水ステーション(給水拠点)として応急給水を行う。 (2)医療施設および福祉施設等への応急給水 災害時給水ステーション(給水拠点)からの距離がおおむね2km以上離れている医療施設および福祉施設、避難所等から要請があり、必要と認められる場合には、車両輸送による応急給水について、区は都に対し速やかに要請する。給水車の要請が多数の場合は、原則、「医療施設および福祉施設」「水を供給できない給水拠点」「避難所」の対応順位で、都は応急給水を行う。 (3)仮設給水栓による応急給水 断水地域の状況、水道施設の復旧状況等に応じて、特に必要がある場合に、消火栓等に仮設給水栓を接続して応急給水を行う。 (4)避難所応急給水栓による応急給水 避難所応急給水栓が設置されている避難所では、区が応急給水用資機材を接続して応急給水を行う。 2 給水拠点での都(水道局)との役割分担 応急給水槽では、区が応急給水に必要な資機材等の設置および被災者への応急給水を行う。給水所では、水道局は応急給水に必要な資機材の設置を行い、区は被災者への応急給水を行う※1※2。応急仮配管、仮設給水栓では、水道局が配管または設置を行い、区は被災者への応急給水を行う。 ※1 敷地の一部を柵で区切った浄水場(所)・給水所では、応急給水エリアの鍵を区等または都が解錠し、資機材の設置が不要な蛇口等から区が給水を行う。 ※2 区が必要と認める場合、都へ水道管の通水状況等を確認した上で、都から区へ貸与された資機材(給水用スタンドパイプ等)を使用し、あらかじめ都が指定した区民避難所付近の指定された応急給水栓から、区が応急給水を行うことができる。 3 給水基準 震災時における飲料水の給水は、生命維持のため最低限必要な量である1人1日3?を基準とする。 4 給水体制 @ 都は、震災が発生した場合、給水状況や住民の避難状況など必要な情報を把握し、応急給水の実施に関わる給水体制を確立する。 A 道路が運行不能で輸送が困難な場合は、区において区民避難所に設置されている受水槽の水、また、ろ過器によりプールの水等を利用するなど、あらゆる方法によって飲料水および生活用水の確保に努める。 B 車両輸送を必要とする災害拠点病院等の医療機関については、都は区からの要請により、給水タンク等の応急給水用資機材を活用し、水道局保有車両および雇上げ車両などによって輸送する。 5 区民避難所での応急給水 区民避難所における応急給水は次の方法により実施する。 @ 備蓄倉庫内にあるペットボトル飲料水を活用する。 A 避難所施設の受水槽の活用および他の区有施設の受水槽から輸送する。 B 応急給水栓が設置されている避難所では、応急給水栓を接続して応急給水を行う。 C 都が設置した応急給水槽から各避難所に飲料水を輸送する。 D 大震災時飲料水協定により民間施設の受水槽から提供を受ける。 第3 支援物資の受入れ配分調整 ○支援物資および調達物資の受入れは、区の地域内輸送拠点で行う。 ○大量の支援物資および調達物資の受入れ、仕分け、配布は、ボランティアの協力を得て対応する。 ○要配慮者を考慮した物資を適切に配分するため、仕分け、配布にあたり、避難所へ相談窓口を設置する等、配慮する。 1 物資の受入れ場所(地域内輸送拠点) 区は、調達物資および支援物資の受入れ場所を、大井競馬場と京浜トラックターミナルの2箇所設置する。 2 物資の仕分け等 区は、調達物資および支援物資の受入れ、仕分け、配布は担当課で配布計画等を作成し、ボランティアの協力を得て行うこととする。 第4 寄付による支援物資の取扱い ○区に寄付された支援物資を被災者に配分する。 ○個人による被災地への支援物資の提供は、被災地、非被災地双方の職員の負担となることから、抑制を図るよう留意した広報を行う。 @ 区は、寄付による支援物資の取扱いについて、生活用品等の需給状況等を踏まえ、適宜その要否を検討・決定し、被災者へ提供するとともに、受付・問い合わせ先等を広報するなど迅速に対応する。 A 個人が被災地に支援物資を送ることは、被災地方公共団体の負担になることから、特定個人への配送物を除き、極力抑制を図るべきとされている。そのため、個人の寄付による支援物資の取扱いの抑制に向けた適切な広報を行うよう努める。 ? 対策2 緊急車両等による輸送 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・区からの要請に基づく車両のあっ旋 ・人員および物資の輸送 区 ・緊急車両の確保 ・人員および物資の輸送 ・輸送事業者との連携 ・燃料支援の要請 【具体的な取組】 第1 緊急車両等による輸送 ○輸送車両として、緊急車両(区有車両、協定に基づく車両)を確保する。 ○輸送車両以外にも移動手段等で車両等が必要になるため、各部における需要・供給量を適切に把握するとともに、担当部署を定め情報を集約し、効率的な配車に努める。 1 緊急車両の確保 区は、原則として以下の車両を緊急車両として確保する。下記の方法によっても所要の車両が調達不能もしくは不足する場合には、都へ調達のあっ旋を要請する。 @ 区有車両(区災害対策本部が設置された場合には、すべての区有車両を応急対策活動のために使用) A 協力協定に基づく車両(東京都トラック協会品川支部、赤帽首都圏軽自動車運送協同組合城南支部、ヤマト運輸株式会社新東京主管支店、佐川急便株式会社関東支社、トヨタモビリティサービス株式会社、JPロジスティクス株式会社との協定に基づき確保) 2 災害発生後の緊急輸送車両に関する手続 緊急輸送車両確認申出済の車両は、すでに標章・証明書の交付を受けているため、標章を車両に掲示し緊急交通路を通行できる。緊急輸送車両確認申出を新規で申請する車両、廃止された「大規模災害時における緊急交通路の交通規制に係る緊急通行車両の確認について(通知)」に基づき緊急通行車両等事前届出済証の交付を受けている車両は、標章・証明書の交付を受けるために、区長や車両の使用者または管理責任者による手続きが必要となる。詳細については、「第1部 第3章 災害対応体制」の定めるところによる。 3 車両の待機 @?災害発生のおそれがあるときは、都は東京都トラック協会品川支部所属組合員に待機の依頼をする。都は、区各部から請求のあった場合は上記のうちから引渡し、必要によっては直ちに補充する。 A?区において待機車両を必要とするときは、都に請求し待機させることができる。 4 調達料金 @?貨物自動車の使用料金および待機料金は平常時の契約料金を準用する。 A?乗用車および船舶の雇上料金および待機料金について、都の定める基準と均衡を失しないよう関係各機関と協議のうえ定める。 第2 輸送および配布 ○食料、生活用品、応急対策用物資等に係る人員の確保、物資の輸送・配布を区は、都と連携して実施する。 1 物資の輸送 (1)調達物資の輸送 都は、調達した食料および生活用品等について、原則として広域輸送基地を一時積替基地として活用し、地域内輸送拠点へ調達業者等の協力を得て輸送する。 (2)他道府県等からの支援物資の輸送 都は、他道府県等からの陸上輸送による支援物資等は、原則として広域輸送基地で引き継ぎ、都福祉局が地域内輸送拠点に輸送する。 ? 図表3-15 陸上輸送に係る概念図 2 海上輸送 東京海上保安部は、巡視船艇による緊急輸送を的確に行うため、次に掲げる措置を講じる。 (1)海上輸送基地の決定 @ 陸上輸送することが困難な場合、または大量の物資が必要な場合は、被災状況や道路啓開状況を踏まえ、都が海上輸送基地を決定する。 A 埠頭内で物資が滞留した場合、港湾施設で一時保管後、地域内輸送拠点へ輸送する。 (2)支援物資の輸送 都等から支援物資の緊急輸送の要請を受けたときは、海上における災害応急対策の実施に支障をきたさない範囲において関係機関と調整して積極的にこれを実施する。 (3)災害復旧資材の輸送 都等から岸壁、護岸および防波堤等が損壊し、復旧作業のために必要な資材の海上輸送の要請を受けたときは、巡視船艇で輸送可能なものについては、海上における災害応急対策の実施に支障をきたさない範囲において、その要請に応じる。 3 防災船着場の活用 区内には、東京都地域防災計画に位置付けられた防災船着場として、しながわ水族館船着場、東海橋船着場、品川天王洲船着場、東品川二丁目船着場、五反田船着場、大井ふ頭中央海浜公園船着場、勝島1丁目船着場、水辺ライン(大井)船着場があり、災害時には防災船着場として活用する。 また、その他に利用可能な船着場として、東品川海上公園船着場がある。 資料78 防災船着場一覧 4 輸送事業者等との連携 都は、輸送事業者等と連携して、発災時において、物資対策全般を司る体制を整備する。 第3 燃料供給要請 ○大量の燃料確保が必要となるため、関係機関への迅速な燃料支援の要請を行う。 区は、状況に応じて、東京都石油商業組合第2方面支部・東京都石油業協同組合第2方面支部と締結している「災害時における石油燃料の優先供給に関する協定」に基づき、緊急車両等の燃料および区民の生活を確保するための燃料支援を要請する。 ? 対策3 水・食料・生活用品の安定供給 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・飲料水、食料、生活用品等の安定供給および多様・変容するニーズへの柔軟な対応 【具体的な取組】 第1 水・食料・生活用品の安定供給 ○多様・変容する避難者ニーズを適切に把握するとともに、ニーズに対応した物資の確保および配布に努める。また、要配慮者や女性の視点に配慮した物資についても確保するともに、配布方法等についても留意する。 1 多様なニーズへの対応 @ 被災地で求められる物資は、時間の経過とともに変化し、多様化する。また、要配慮者によって必要となる物資は異なる。 A 区は、変化していく避難者ニーズを把握し、物資の確保および配布に努める。なお、生理用品等の配布は女性が行うなど、プライバシー等に配慮した物資の配布を行う。 B?都は、広域的見地から区市町村を補完するため、事業者と連携した調達体制を整えて、必要な物資の確保に努める。 2 食料の供給 @ 区は、備蓄物資の供給や協定に基づく物資の調達を継続して実施する。ただし、区の備蓄、協定による調達物資では、物資が不足する場合、国や都、他県等からの支援・調達物資や炊き出し等により供給する。 A 震災後およそ4日目以降、国や都による支援・調達物資や炊き出しにより供給する。 3 飲料水の確保 @ 区は、飲料水の消毒および消毒効果の確認を行う。 A ライフライン復旧後、給水設備の点検および残留塩素濃度を確認し、飲用の可否等について、区民に適正に周知する。 第6章 避難者対策 対策の基本的な考え方 自宅での生活が可能な場合は、在宅避難を基本とするが、避難指示等が発令された場合、区民等は最寄りの安全な場所へ一時的に避難するとともに、防災区民組織は避難行動要支援者の安否確認および避難誘導を行う必要がある。 また、災害直後から避難者が区民避難所へ避難することが考えられるため、区民避難所を早期に開設するとともに、管理・運営を円滑に行う必要がある。 ここでは、避難誘導、区民避難所の開設・運営等に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 避難誘導 第1 避難誘導に向けた準備 ○避難指示等の発令対象・基準等に基づき、区民等に伝達する情報の伝達方法や取るべき行動など、区災害対策本部としての避難の考え方等を定める。 第2 避難行動および避難誘導 ○避難指示等が発令された場合、地元警察署および消防署の協力を得て、区民、防災区民組織は最寄りの安全な場所へ一時的に避難する。 ○避難行動要支援者は、家族や近隣住民の支援を受け避難を行う。防災区民組織は、避難行動要支援者の安否確認および避難誘導を行う。 ○区有施設では、最寄りの安全な場所での施設利用者の安全確保に向け、避難誘導を行う。 対策2 区民避難所の開設・運営等 第1 区民避難所の開設・運営 ○区民避難所の開設や避難所運営機能を確保する上で必要な対応を行う。 ○区民避難所内での健康維持に向けた広報・指導等を実施する。 第2 共同生活をする上での配慮 ○健康管理、衛生管理、要配慮者支援、ジェンダー平等の視点、ペットの管理等、避難所における共同生活を行う上での配慮事項について示す。 第3 避難者の他地区への移送 ○区民避難所に避難者を受入れることが困難な場合、他地区への移送について、都知事(都福祉局)へ要請する。 対策3 在宅避難 第1 在宅避難者への支援 ○区は、防災区民組織と連携し、在宅避難者の実態把握に努める。 ○区は、避難所運営会議等と連携し、区民避難所において必要な支援を行う。 ○区は、要配慮者等を対象として、巡回方式により栄養相談や健康相談等を実施する。 ※ここでいう区民避難所とは、区内最大震度5弱または5強の際に区が開設・運営する自主避難施設を含む。以下、第12章まで同じ。 ? 対策 対応テーマ 対策1 避難誘導 対策2 区民避難所の開設・運営等 対策3 在宅避難 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 避難誘導 都福祉局 ■区による要配慮者の移送支援 警察機関 消防機関 ■避難の指示(地域において危険が切迫し、区長が避難の指示をすることができないと認めるとき、または区長から要請があったとき) ■避難への協力 区 ■避難指示等の発令 ■警戒区域の設定(区域への立入りを制限もしくは禁止し、または、退去の指示 区・区民 ■防災区民組織単位(町会・自治会)であらかじめ指定してある一時集合場所または最寄りの安全な場所への誘導 ■避難行動要支援者の避難支援 区民避難所の開設・運営等 都 (災害対策本部) ■都県境を越える避難についての調整 ■都立施設や国の施設、ホテル・旅館、民間施設等の活用など、避難所等の確保のための支援策を実施 都福祉局 ■避難者の移送先の決定 ■移送先の区市町村との調整 ■避難者の移送方法を決定、移送手段の確保 区 ■区民避難所の開設および管理・運営 ■区民避難所閉鎖に係る関係者との調整 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 避難誘導 【各機関の役割】 機関名 役   割 都福祉局 ・区による要配慮者の移送支援 警察機関 消防機関 ・避難の指示(地域において危険が切迫し、区長が避難の指示をすることができないと認めるとき、または区長から要求があったとき) ・避難への協力 区 ・避難指示等の発令 ・警戒区域の設定(区域への立入りを制限もしくは禁止し、または、退去の指示) 区・区民 ・防災区民組織単位(町会・自治会)であらかじめ指定してある一時集合場所または最寄りの安全な場所への誘導 ・避難行動要支援者の避難支援 【具体的な取組】 第1 避難誘導に向けた準備 ○避難指示等の発令対象・基準等に基づき、区民等に伝達する情報の伝達方法や取るべき行動など、区災害対策本部としての避難の考え方等を定める。 1 避難指示等の発令 避難指示等の発令に係る権限等は以下のとおりである。 (1)区 @ 区の地域において危険が切迫した場合には、区長は地元警察署長および消防署長と協議のうえ、避難を要する地域ならびに避難先を定めて避難指示等を発令する。 A 区長は、災害が発生または、発生しようとしている場合において、住民の生命、身体を保護するために必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、当該区域への立入りを制限もしくは禁止し、または、退去を命ずることができる。 (2)警察機関 @?地域において危険が切迫し、区長が避難の指示をすることができないと認めるとき、または区長から要求のあったときは、警察署長が住民等に避難の指示を行うことができる。 A?避難の指示等行った場合、警察署長は直ちに区長に対し、避難の指示を行った日時、対象地域等を通知するものとする。 (3)消防機関 @ 消防署長は、人命危険が著しく切迫し、通報するいとまがない場合は、避難の指示等およびその後の区市町村への通報を実施する。 A 被災状況を勘案し、必要な情報を区長および関係機関に通報する。 (4)都 災害の発生により区がその全部または大部分の事務を行うことができなくなったとき、都知事は、避難のための立退きの指示に関する措置の全部または一部を区長に代わって実施するものとする。 2 避難指示等の伝達 (1)避難情報の伝達対象 @ 避難指示等の伝達は、「第4章情報通信」に準じて区民等に伝達するものとする。 A 区は、高齢者や障害者など要配慮者の個々の状態(視力低下、聴覚障害など)にあった情報伝達方法を検討し、避難の円滑化を図るための体制づくりを行う。 (2)避難情報の伝達手段 @?区は、発災時の被害状況によっては、通信手段が利用困難となる可能性があるため、以下のとおり複数の手段を用いて避難情報等の発信が行える体制を整える。 A 複数の手段を準備することにより、視覚・聴覚などに障害があり情報の取得の方法が制限されている方や外国人旅行者等の来訪者の要配慮者へも情報が伝わりやすくする。 ? 区における情報発信手段 @音声による情報発信 (視覚障害者等への情報発信手段 ) ○防災行政無線固定系 ○防災行政無線固定系の商店街接続 ○全国瞬時警報システム(J-ALERT) ○緊急地震速報 ○FMしながわ ○防災ラジオ ○ケーブルテレビ品川(テレビプッシュ) ○広報車 ○無人航空機(ドローン)(飛行可能な場合) A文字による情報発信(聴覚障害者等への情報発信手段) ○臨時広報紙 ○区ホームページ ○SNS(X(エックス(旧ツイッター))、フェイスブック(Facebook)、ライン(LINE)) ○ケーブルテレビ品川(L字・テレビプッシュ) ○しなメール ○緊急速報エリアメール Bその他の手段による伝達 ○ケーブルテレビ品川(品川区民チャンネル) ○報道機関への発表 3 避難指示等の報告 区長は、避難指示等の発令を行った場合は、直ちに都本部に報告するものとする。 第2 避難行動および避難誘導 ○避難指示等が発令された場合、地元警察署および消防署の協力を得て、区民、防災区民組織は最寄りの安全な場所へ一時的に避難する。 ○避難行動要支援者は、家族や近隣住民の支援を受け避難を行う。防災区民組織は、避難行動要支援者の安否確認および避難誘導を行う。 ○区有施設では、最寄りの安全な場所での施設利用者の安全確保に向け、避難誘導を行う。 避難指示等が発令されたときの避難行動および避難誘導は次のとおり行うこととする。 1 避難行動 (1)最寄りの安全な場所への一時的な避難 @?区民、防災区民組織は最寄りの安全な場所(一時集合場所、区民避難所、防災広場・公園等)へ一時的に避難する。 A 避難を行う場合は、混乱の防止、避難秩序の維持、危険防止のため可能な限り防災区民組織(町会・自治会)単位で集団避難を行う。 B 避難行動要支援者の避難支援は、防災区民組織等の協力を得て行う。 C 町会・自治会単位であらかじめ指定した一時集合場所に集合し、ここで災害の拡大状況等の様子を見ながら、危険が迫った場合は、防災区民組織のリーダー、警察官、区職員等の誘導により区民避難所等へ避難する。 (2)広域避難場所への避難 @ 火災の拡大延焼等により危険が迫り、一時集合場所への移動が危険な場合や、一時集合場所での滞在が危険な場合は、防災区民組織のリーダー、警察官、区職員等の誘導により広域避難場所へ避難を行う。 A 都が割りあてた広域避難場所への避難を原則とするが、延焼火災の状況等により難しい場合は他の避難場所へ避難する。 2 避難誘導 (1)関係機関と連携した避難誘導 @ 避難指示等が発令された場合は、地元警察署および消防署の協力を得て、防災区民組織単位(町会・自治会)で防災区民組織のリーダーを中心に集団で一時集合場所もしくは最寄りの安全な場所に誘導する。 A 避難指示等を発令するいとまがない場合において、危険が切迫した場合も、避難指示等が発令された場合と同様とする。 (2)避難行動要支援者への避難誘導 避難行動要支援者は、家族や近隣住民、避難支援等関係者から支援を受け避難する。また、避難支援等関係者は要支援者の安否確認を行い、適切に避難誘導を行う。 (3)区有施設における避難誘導 区有施設における避難誘導の基本的な考え方として、施設管理者は発災後、職員および施設利用者の安全、状況を確認した上で、施設内に留まることが危険であると判断した場合、最寄りの安全な場所へ施設利用者を誘導する。 3 警察における対策 @ 最寄りの安全な場所に集合した地域住民、事業所従業員等で、町会等の役員および事業所の責任者等のリーダーを中心にした集団単位で、指定された避難施設に避難させる。この場合、避難行動要支援者は優先して避難させる。 A 避難誘導にあたっては、現場での個別広報のほか、あらゆる装備を活用し、広報活動を行う。 B 火災等の規模や態様等により、できる限り必要な部隊を配置し、地域住民・事業所等のリーダーとの連絡を通じて、必要な避難措置を講じる。 C?避難施設では、できる限り所要の警戒員を配置し、防災関係機関と緊密に連絡をとり、被害情報の収集ならびに広報活動、行方不明者等の把握および危険と認めた場合の再避難の措置等を講じ、避難場所の秩序維持に努める。 4 消防機関における対策 @ 災害の進展等により、住民を避難させる必要がある場合、区に通報する。 A 人命危険が著しく切迫し、通報するいとまのない場合、避難の指示等およびその後の区市町村への通報を実施する。 B 避難の指示等がなされた場合には、災害の規模、道路橋梁の状況、火災拡大の経路および消防部隊の運用等を勘案し、必要な情報を区、関係機関に通報する。 C 避難指示等がなされた場合は、災害状況および消防力の余力に応じ、広報車の活用等により避難指示等の伝達を行う。 D 避難指示等が出された時点以降の消火活動は、避難施設、避難道路の安全確保に努める。 ? 対策2 区民避難所の開設・運営等 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 (災害対策本部) ・都県境を越える避難についての調整 ・都立施設や国の施設、ホテル・旅館、民間施設等の活用など、避難所等の確保のための支援策を実施 都福祉局 ・避難者の移送先の決定 ・移送先の区市町村との調整 ・避難者の移送方法を決定、移送手段の確保 区 ・区民避難所の開設および管理・運営 ・区民避難所閉鎖に係る関係者との調整 【具体的な取組】 第1 区民避難所の開設・運営 ○区民避難所の開設や避難所運営機能を確保する上で必要な対応を行う。 ○区民避難所内での健康維持に向けた広報・指導等を実施する。 1 区民避難所の開設および管理・運営 災害直後から避難者が区民避難所へ避難することが考えられるため、区民避難所を早期に開設するとともに、混乱を防止し、教室、体育館等の割あてをはじめとして、区民避難所の管理・運営を円滑に行う必要がある。そのために避難所運営会議を設置している。 (1)区民避難所の開設 ア 開設対応 @?区本部長は、発生した地震の状況に応じて区民避難所の開設を判断する(図表3-16参照)。区民避難所を開設する必要があると認めたときは、避難対策部長に開設指令をする。避難対策部長は、本部長から指令を受けたときは、直ちに職員を区民避難所に派遣する。 A 区民避難所(自主避難施設を除く)を開設するときは、早急に応急危険度判定を実施し、開設するものとする。 B 区民避難所の開設期間は、災害発生の日から7日以内とする。ただし、状況により期間を延長する必要がある場合には、都知事の事前承認(内閣総理大臣の事前承認を含む)を受ける。 C 保健衛生部長等を構成員とする医療救護本部は、急性期以降を目安に地域医療が回復するまでの間、傷病者の治療や被災者の健康管理等を行う場所として、学校の保健室等に学校医療救護所を設置する。 資料52 学校医療救護所一覧(再掲) 図表3-16 避難所開設基準 震度 避難施設数 開設主体 震度4 − − 震度5弱・5強 15箇所(自主避難施設) 区 震度6弱以上 52箇所(全区民避難所) 防災区民組織 資料49 自主避難施設一覧(再掲) イ 開設報告 @?区は、開設の日時、場所、避難者の数および開設予定期間等を速やかに都福祉局(指導監査部)および地元警察署、消防署等関係機関に連絡する。 A?都福祉局への連絡は、原則として東京都災害情報システム(DIS)への入力により行う。 ウ 区民避難所の拡充・確保 @ 区民避難所の受入能力に不足が生じた場合は、他の区立施設(児童センター、幼稚園、文化・体育施設等)、および都立学校、私立学校等を臨機に活用し、補完避難所を開設する。 A 地域で実施する安否確認や防犯活動等実施時において、区民避難所以外で生活する避難者(在宅避難・テント泊・車中泊等)を確認した場合、避難所運営会議等へ報告する。 B 区民避難所が不足する場合には、一時的に避難者を受入れるため、野外に受入れ施設を開設する。運用については、区民避難所と同様とし、支援が必要な場合、都福祉局へ要請をする。 (2)区民避難所運営時の配慮事項 @ 区民避難所の運営は、女性、性的マイノリティ、高齢者・障害者等へ配慮する必要があるため、区民避難所運営組織には女性や青年、子育て中の世代、福祉関係者など幅広い人材確保に努める。 A?女性や子ども等に対する性暴力・DVの発生防止など、区民避難所における安全性とプライバシーの確保を図る。 B 既往災害では車中避難をした方にエコノミークラス症候群による死者が発生した事例もあるため、やむなく避難生活を行う上での健康管理(リスク管理)に関する知識を啓発する(定期的な運動等)。 C 文化・宗教上の理由に配慮し、礼拝やプライバシーを確保することができる空間の整備に努める。 D 在宅避難など区民避難所に滞在しない被災者に対して、食料・生活用品等の配布、保健医療サービスや防災情報の提供など、生活環境の整備に必要な支援を行う。 (3)区民避難所派遣職員の任務 区民避難所における職員の任務はおおむね次のとおりである。 ア 区災害対策本部への報告事項 ・区民避難所およびその周辺の状況 ・区民避難所の開設(閉鎖) ・避難者数・負傷者数 ・応援の要請 ・食料、物資等要請品目 ・参集職員名 ・ライフラインの被害状況 ・その他必要な事項 イ 区災害対策本部から区民避難所への伝達事項 ・安否情報 ・食料、物資等に関する情報 ・広域避難場所への避難の必要性等の情報 ・その他必要な事項 ウ ボランティアの調整事項 ・ボランティアの受付 ・ボランティアの派遣要請 ・ボランティアへの活動指示 エ 避難所運営会議の運営支援 避難所運営会議の構成員として参加する。(区民避難所が開設された場合、避難所連絡会議が運営会議に移行する) (4)健康への配慮 区民避難所以外で生活する避難者は、自動車等の狭い空間での運動不足や、トイレに行く回数を減らすために水分摂取を控える等の理由から、体調の変調をきたしやすく、エコノミー症候群を引き起こしやすくなる。そのため、適度な運動や健康管理など、その予防方法等を避難者に呼びかける。対策例を次に示す。 <健康管理に関する対策例> ・対策の必要性を避難者等へ広く周知するにあたり必要な広報を実施する。 ・区民避難所に備蓄するエコノミー症候群への注意や予防法を記載したリーフレットを避難者に対して配布する。 ・区民避難所にて毎朝1回など、定期的な運動(ラジオ体操)などの実施を呼びかけこれを行う。巡回時等に予防効果のある弾性ストッキングを、必要性の高い避難者に配布する。? (5)要配慮者等への配慮 @ 区は、家屋倒壊、滅失により長期避難所生活を強いられる要配慮者等に対し、仮設住宅の建設入居に至るまでの間、栄養相談や健康相談を保健師・管理栄養士等による巡回方式にて実施する。他部署からの情報や相談をとおして把握した健康・医療ニーズ、栄養・食生活ニーズについて保健衛生部において管理・調整し、適切な支援を行う。 A?災害時特有のPTSDに対し、きめ細かいメンタルケアを行う。在宅避難をしている要配慮者等への巡回訪問相談もあわせて実施する。 B 日本語が堪能ではない外国人へ配慮するとともに、必要に応じて、東京都防災(語学)ボランティアの派遣を受ける。 C 避難者の中に、配偶者から暴力等を受け、加害者から危害を受けるおそれのある者が含まれる場合は、特に外部からの問い合わせ時等において個人情報保護の徹底に努める。 D 福祉避難所等において運営に支障を来たす場合、区は都災害福祉広域調整センターへ福祉専門職員の派遣を要請する。派遣を受けた場合、福祉専門職員の福祉避難所等への派遣調整を行う。 (6)区民避難所以外の場所に滞在する被災者への配慮 @ 区民避難所以外で生活する避難者からの避難情報(避難先や避難環境等)の届出のほか、区は、防災区民組織と連携し、在宅避難や区民避難所以外の場所に避難した被災者の実態把握に努める。 A 車中泊の避難者について、在宅避難ができない場合は、避難所に避難するよう呼びかける。 B 食料、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布および保健医療サービスの提供、その他避難所以外に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努める。 C 食事や支援物資の提供などについて、区民避難所において地域全体のために行われていることを周知徹底する。 (7)食料・生活用品等の供給・貸与 避難者(在宅避難など区民避難所等に滞在しない被災者を含む)に対する炊き出しその他による食品給与、被服、寝具その他生活用品の給与または貸与の配布基準は、原則として、災害救助法施行細則に定めるところにより、区が開設する区民避難所等において行う。ただし、この基準により難い事情がある場合(期間の延長、特別基準の設定)は、避難所開設期間延長の承認申請と同様に、別途、知事の事前承認(内閣総理大臣の承認を含む)を得て、定める。 (8)飲料水の安全確保 区は、区民避難所での飲料水の安全を確保するため、必要に応じて飲用に供する水の消毒を行う。区は、環境衛生指導班を編成し、それ以後の消毒について、消毒の確認を行うとともに、住民が自主的に消毒を行えるように消毒薬を配布し、消毒方法および消毒の確認方法を住民に指導する。 (9)食品の安全確保 @ 区は、食品衛生指導班を編成し、食品の安全を確保する。 A 都および区は連携し、避難者および炊き出しなどの調理に従事する者に対する食品の衛生的な取り扱いの指導等を行う。 (10)トイレ機能の確保 @?被災後、断水した場合には、学校のプール、防災用井戸等で確保した水を使用する。 A 発災後3日目までは、し尿収集車によるし尿の収集・運搬が困難な状況が予想されることから、区は、可能な限りし尿収集車による収集を要しない災害用トイレ(簡易トイレ等)を活用し、対応する。 B 発災後4日目からは、区は、し尿収集車による収集が可能な災害用トイレ(仮設トイレ等)を含めて確保し、対応する。 C 災害用トイレを設置する際には、高齢者、障害者、女性、子ども等の安全性の確保等に配慮し、多目的トイレ(だれでもトイレ)確保や設置場所の選定等を行う。 D 備蓄分が不足した場合には、区は都に対して要請し、都は広域応援等により必要数を確保する。 (11)公衆浴場等の確保 @ 区は、公衆浴場の営業状況、仮設浴場、シャワー施設の設置状況を把握する。 A 避難住民に対してその情報を提供するとともに浴場等の確保に努める。 (12)区民避難所への警察官の派遣 各警察署は、区民避難所に所要の警戒員を派遣・配置し、防災関係機関と緊密に連絡をとり、被害情報の収集ならびに広報活動、行方不明者等の把握および危険と認めた場合の再避難の措置等を講じ、区民避難所の秩序維持に努める。 2 区民避難所の閉鎖 (1)避難者への自立支援に係る関係者との調整 @ 区は、区民避難所の運営が軌道に乗り、避難者が落ち着いてきたら、関係機関と連携の上、生活の再建に向けた各種支援制度の説明会を開催する。説明会の開催は区民避難所以外で生活する避難者にも周知し、受けられる支援概要の理解を求める。 A 必要に応じて、避難者への個別面談や個別調査を実施し、住宅の被災状況や今後の再建計画、応急仮設住宅等の申込み状況、区民避難所を出る目途等について把握する。 B 区は、自立に向けた個別相談に応じ、特に要配慮者については、福祉避難所、関係各課等との連携を図りながら、きめ細かい対応を図る。 (2)避難所の縮小・閉鎖 ア 区民避難所の場合 @?区民避難所では、原則としてすべての避難者が解消されるまで開設を継続するが、施設の業務の本格的再開もあり、区民避難所を徐々に縮小していく必要がある。 A 区は、施設管理者と区民避難所の閉鎖時期や縮小の方法等について協議するとともに、避難者と施設利用者が共存生活を営むためのルールや体制を検討する。 B 長期避難の場合、区民避難所については、避難者の状況を見ながら、原則的に体育館と空き教室を利用する。 イ 区民避難所以外の施設の場合 @ 民間所有の施設や他の自治体の施設など、指定避難所以外の施設がやむなく避難所となった場合は、避難者数がピークの半分以下となった段階を目安として、施設管理者と避難所の迅速な引渡しと補償について協議する。 A 引渡しの期日を周知したうえで、避難者が全員解消されない場合には、残っている避難者に希望を確認し、他の避難所を手配して移ってもらう等の措置をとる。 第2 共同生活をする上での配慮 ○健康管理、衛生管理、要配慮者支援、ジェンダー平等の視点、ペットの管理等、避難所における共同生活を行う上での配慮事項について示す。 1 健康管理に係る配慮事項 @ 区は、区民避難所における健康相談、その他必要な保健活動を行う。 A 避難の長期化等必要に応じて、避難者や区民避難所に係わる運営スタッフ等の健康状態および医師や看護師等による巡回の必要性を把握し、必要な措置を講じるよう努める。 B インフルエンザ等の感染症予防(手洗い、うがい等)の励行を避難住民に周知するとともに、患者発生時の感染拡大防止対策を実施する。なお、区は、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に係る避難所運営マニュアルを作成しており、マニュアルを踏まえながら感染症対策を行う。 C 夏季には熱中症の危険性が高まるため、区は、熱中症の予防や対処法に関する普及啓発に努める。 2 衛生管理に係る配慮事項 @?区は、プライバシーの確保状況、入浴施設設置の有無および利用頻度、洗濯等の頻度、暑さ・寒さ対策の必要性、ごみの処理状況など、区民避難所の衛生状態等の把握に努め、必要な措置を講じるよう努める。 A ごみの適切な排出方法、トイレの使用方法など、避難住民への衛生管理上の留意事項を周知する。 B 避難住民の生活環境上必要な物品を確保する。 C 住民の区民避難所への適正誘導および受入ならびに過密状況を把握する。 D 立入禁止区域、土足禁止区域、喫煙(分煙)区域を設定する。 3 要配慮者に係る配慮事項 @ 避難所等の運営にあたっては、要配慮者の心身双方の健康状態に対して充分に気を配り、障害特性や個々の状態、ニーズの把握に努める。 A 要配慮者の特性に応じて必要となる物品を確保する。 4 ジェンダー平等の視点等に係る配慮事項 @ 区は、区民避難所等の運営における女性の参画を推進するとともに、男女のニーズの違い、性的マイノリティ等多様な視点に配慮するものとする。 A 女性専用の物干し場、更衣室、男女別のトイレ、授乳室の設置や生理用品、女性用下着の女性による配布、パトロールの実施や照明の配置による視認性の向上、プライバシーを確保したスペースづくり、区民避難所における性暴力・DVの発生防止といった安全性の確保など、女性や子育て家庭のニーズに配慮した区民避難所の運営に努める。 B 区民避難所運営においては、女性や要配慮者等が発言しやすい環境づくりが必要であるため、担当ごとに男女の責任者を配置するよう配慮する。 C ジェンダー平等の視点を反映した避難所運営の具体例を次に示す。 <母子世帯、子どもに配慮したエリア設定> ・乳児世帯や母子世帯等に関する専門エリアの設定 ・子どもが遊べるスペースの設定 <安心、健康な生活環境の確保> ・母子世帯配慮への呼びかけ(理解を求める、必要に応じて支援して欲しい等) ・更衣室や授乳室などの表示 <避難者の的確なニーズ把握> ・区民避難所入所者個別ヒアリングの実施 ・女性職員やボランティアによるニーズ調査 ・意見箱の設置・回収 5 防火・防犯に係る留意事項 @ 区民避難所の管理責任者は防火担当責任者を指定し、防火安全対策を講じる。 A 多数の人が出入りする区民避難所では、不審者等による犯罪や事件が起こりやすくなるため、女性や子ども、要配慮者等が被害にあわないよう、区民避難所内における防犯意識の啓発、見回りを実施する。 B?性暴力、DV防止ポスター、チラシ、カード、HP等の手段を用いた防犯に係る啓発等に努める。 6 ペット等管理 (1)区民避難所におけるペットの適正な飼育 @ 避難所連絡会議においてペットの飼育に関する事前の取り決めがある場合に、開設した区民避難所において、ペットの飼育場所を必要に応じて確保する。 A 区民避難所内に同行して来たペットの飼育場所を確保することを定めていない場合は、近接した避難所等に飼育場所を確保する。 (2)ペット等の救援 @ 区は、都、関係団体が行う動物救護活動に協力する。 A 逸走動物等が発生しないよう、飼い主への適切な指導を行う。 B 特定動物逸走時の措置(情報提供、避難誘導等)を関係機関と協議して進める。 7 ボランティアの受入れ @ 区は、ボランティア活動においても、性別や年齢等を問わず、互いの力を認め、性別の役割などを固定せず、個人個人が適材適所で活躍できるよう配慮する。 A 「避難所管理運営の指針」に基づいたマニュアルやボランティア活動支援マニュアル等の業務手順に従い、ボランティアを受入れる。 B 区災害ボランティアセンターを通じて、区民避難所で活動するボランティアを派遣する。 ? 第3 避難者の他地区への移送 ○区民避難所に避難者を受入れることが困難な場合、他地区への移送について、都知事(都福祉局)へ要請する。 1 移送要請 区長は、区の区民避難所に避難者を受け入れることが困難なときは、避難者の他地区(近隣の非被災地区もしくは小被災地または隣接県)への移送について、知事(都福祉局)に要請する。 2 避難者の移送 区長は、所属職員の中から移送先における避難所管理者を定め、移送先の区市町村に派遣するとともに、移送にあたっては引率者を添乗させる。 3 移送先の避難所運営 移送された避難者の区民避難所の運営は移送元である本区が行う。 図表3-17 避難者の域外避難に係る手順 ? 対策3 在宅避難 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・在宅避難者への支援 【具体的な取組】 第1 在宅避難者への支援 ○区は、防災区民組織と連携し、在宅避難者の実態把握に努める。 ○区は、避難所運営会議等と連携し、区民避難所において必要な支援を行う。 ○区は、要配慮者等を対象として、巡回方式により栄養相談や健康相談等を実施する。 地震発災後、耐震性能の高いマンション等で、被害が軽微で安全が確保され居住できる場合、在宅避難が可能となる。 区は、在宅避難者を対象として、以下の支援を実施する。 1 在宅避難者の実態把握 地域で実施する安否確認や防犯活動等実施時において、在宅避難者を確認した場合、避難所運営会議等へ報告する。 また、区は、防災区民組織と連携し、在宅避難者の実態把握に努める。 2 区民避難所における支援 区は、避難所運営会議等と連携し、区民避難所において在宅避難者を対象に食料・生活用品等の配布、保健医療サービスや防災情報の提供など、生活環境の整備に必要な支援を行う。 3 要配慮者等への対応 区は、在宅避難をしている要配慮者等を対象として、栄養相談や健康相談、災害時特有のPTSDに対するきめ細かいメンタルケアを巡回方式により実施する。 ? 第7章 帰宅困難者対策 対策の基本的な考え方 震災時、帰宅困難者が徒歩で帰宅することにより、関係行政機関等による応急活動に支障をきたすことに加え、余震の発生等により徒歩帰宅者自身にも危険が及ぶおそれがある。 ここでは、帰宅困難者の発生の抑制、滞留者への情報提供、一時滞在施設の運営、混乱収拾後の帰宅支援に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 第1 事業者等における帰宅困難者対策 ○事業者等は、従業員等および来客者等ならびに施設の安全を確認し、施設内または他の安全な場所に待機させる。 ○事業者等は、施設内で待機している施設利用者が混乱しないよう、また、一定期間後の帰宅に備えて正確な情報提供を心がける。 ○事業者等は、従業員等や来客者等のほか、滞留者の受け入れも想定した上で、事業者等にて判断し、可能な範囲で受け入れる。 第2 集客施設および駅等における施設利用者の保護 ○事業者等は、施設内および施設周辺の安全確認を実施する。 ○事業者等は、女性や要配慮者等の施設利用者にも配慮した対策(優先スペース確保やユニバーサルデザインの掲示板を活用した誘導)について実施する。 対策2 滞留者への情報提供 第1 滞留者への情報提供 ○区は、駅周辺での混乱防止のため、駅周辺帰宅困難者対策協議会を構成する事業者等と連携し、迅速な情報提供を行う。 対策3 一時滞在施設の運営 第1 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 ○区は、事業者等と連携して行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の開設要請、誘導、備蓄物資の配布等を円滑に行う。 ○区は、想定以上の混乱が生じ事業者等だけでは対応しきれない状況において、一時滞在施設へ区職員の派遣を行うよう努める。 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 第1 徒歩帰宅者の支援 ○区は、地域および事業者等と連携し、徒歩帰宅者への情報提供を中心とした帰宅支援を行う。 第2 輸送手段の提供 ○区は、適切な帰宅方法を選択できるよう、鉄道運行情報等の徒歩帰宅に必要な情報を提供する。 ○区は、関係機関と連携し、利用可能な輸送手段から適切な帰宅手段を選択できるよう、帰宅を支援する。また、その輸送手段の利用にあたっては、要配慮者の利用に配慮する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 対策2 滞留者への情報提供 対策3 一時滞在施設の運営 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 帰宅困難者の発生の抑制 都・区 ■一斉帰宅抑制の呼びかけ 事業者等 ■一斉帰宅行動の抑制 ■施設内待機の判断(施設の安全性の確認) ■事業再開に向けた応急復旧活動の実施 滞留者への情報提供 都 ■区や報道機関等と連携した帰宅困難者への情報提供 区 ■ターミナル駅周辺での滞留者への情報提供 ■災害情報システム等による情報提供 ■事業者等との連絡調整 警察 機関  ■駅周辺の混乱防止対策に係る区への支援 消防 機関  ■災害情報の提供等、駅周辺の二次災害発生防止に係る区への支援 事業者等 ■施設内に待機している施設利用者の保護・情報提供 通信 事業者 ■事業者等および帰宅困難者の保護・情報提供 ■災害伝言ダイヤル、災害伝言板等の利用に係る呼びかけ 報道 機関 ■行政情報や公共交通機関の運行状況の区民・事業者等への情報提供 一時滞在施設の運営 区  ■滞留者の誘導支援  ■開設された一時滞在施設への誘導  ■備蓄物資の速やかな配布 事業者 ■滞留者の誘導支援 ■開設された一時滞在施設への誘導 ■備蓄物資の速やかな配布 混乱収拾後の帰宅支援 都 ■都内の交通事業者からの情報集約   ■災害情報提供システム等による都民への情報提供        ■バス・船舶等による輸送手段を確保 区 ■徒歩帰宅者の誘導支援 ■事業者等と連携し、徒歩帰宅者支援を実施 警察 機関 ■誘導路の確保および徒歩帰宅者への情報提供 混乱収拾後の帰宅支援 事業者等 ■帰宅ルールに基づく帰宅開始の判断 ■徒歩帰宅者支援への協力 関東 運輸局 ■所管区域の総合的な交通情報の集約・提供 ■輸送手段の確保に必要な許認可の速やかな実施 鉄道 事業者 ■鉄道運行情報を区や都、報道機関に提供  ■発災後の早期再開に努める バス 事業者 ■運行状況等の情報を国や都、報道機関に提供      ■バス等による輸送手段を確保 ■:対策の開始時期の目安 【東日本大震災の教訓】 @帰宅困難者への対応 首都圏ではJR在来線がほぼ全線で運休するなど交通網が寸断され、駅周辺は帰宅困難になった人で溢れ返った。 首都直下地震対策大綱では、車両や徒歩帰宅者による道路の混雑状況等の情報を地方公共団体が把握、共有する体制や徒歩帰宅者に対して必要な情報を提供する体制について検討するほか、危険箇所や混雑箇所等での交通規制や誘導等に係る検討の必要性について指摘されている。 A行動ルールの事前周知 品川区内では、第一京浜、第二京浜が大量の徒歩帰宅者で溢れ返ったほか、主要ターミナル駅にて大量の駅前滞留者が発生し、対応に苦慮した。 B帰宅困難者の受入れ 東日本大震災では、区内における被害が限定的であった(都内全体では、94,001名の帰宅困難者を、地域住民用の避難所を含む1,030の施設で受入れた)。しかし、都内の多くで一時滞在施設としてあらかじめ指定された施設がなかったことや一部の施設に帰宅困難者が集中し、施設の許容範囲を超えるなど施設の確保と受入れに困難をきたした事例があった。 また、災害時帰宅支援ステーションと一時滞在施設との役割分担が不明確であったことや物資の準備等を円滑に行うことができなかったことから、帰宅困難者受入れ後の施設運営が混乱する事例が多くみられた。 ? 図表3-18 徒歩帰宅者、帰宅困難者の基本的な流れ(東日本大震災当時の様相) ? 対策1 帰宅困難者の発生の抑制 【各機関の役割】 機関名 役   割 都・区 ・一斉帰宅抑制の呼びかけ 事業者等 ・一斉帰宅行動の抑制 ・施設内待機の判断(施設の安全性の確認) ・事業再開に向けた応急復旧活動の実施 【具体的な取組】 第1 事業者等における帰宅困難者対策 ○事業者等は、従業員等および来客者等ならびに施設の安全を確認し、施設内または他の安全な場所に待機させる。 ○事業者等は、施設内で待機している施設利用者が混乱しないよう、また、一定期間後の帰宅に備えて正確な情報提供を心がける。 ○事業者等は、従業員等や来客者等のほか、滞留者の受け入れも想定した上で、事業者等にて判断し、可能な範囲で受け入れる。 1 一斉帰宅行動の抑制 事業者等は、事業所防災計画等や下記のガイドライン等により従業員等の安全確保、保護、家族等の安否確認等を行うことにより、発災直後の一斉帰宅行動を抑制する。 ・大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン ・事業所における帰宅困難者対策ガイドライン ・大規模な集客施設や駅等における利用者保護ガイドライン ・一時滞在施設の確保および運営のガイドライン ・帰宅困難者等への情報提供ガイドライン ・駅前滞留者対策ガイドライン 2 施設内待機の判断(施設の安全性の確認) @ 事業者等は、自らの従業員等および施設の安全を確認するとともに、区、国および都の一斉帰宅抑制の呼びかけ等を受け、関係行政機関等から提供される災害関連情報により、火災その他の周辺の状況を確認した上で、従業員等を施設内または他の安全な場所に待機させる。 A 事業者等は、来所者についても従業員等に準じて、施設内または他の安全な場所で待機させる。 B 事業者等は、建物の安全が確保されず従業員等を施設内に待機させることができない場合には、関係行政機関等からの一時滞在施設の開設情報をもとに、従業員等を誘導する。なお、テナントビルの場合は施設管理者の指示に従うものとする。 3 施設内で待機している施設利用者への鉄道等運行情報、その他施設利用者が必要な情報の提供 事業者等は、鉄道運行情報等の情報をはじめ施設内で待機している施設利用者が要する各種の情報について、テレビ、ラジオおよびインターネット等を通じて把握し、ホワイトボードへの掲示等により情報を提供する。 4 事業再開に向けた応急復旧活動の実施 事業者等は、従業員等を一時的に施設内に留め、事業者等の応急復旧活動要員として活用し、事業再開に努める。また、留まった従業員等は、可能な範囲で、地域の応急・復旧活動にも参加するなど、地域再生の一助となるよう努める。 図表3-19 事業者等における帰宅困難者対策の手順 第2 集客施設および駅等における施設利用者の保護 ○事業者等は、施設内および施設周辺の安全確認を実施する。 ○事業者等は、女性や要配慮者等の施設利用者にも配慮した対策(優先スペース確保やユニバーサルデザインの掲示板を活用した誘導)について実施する。 1 施設利用者への対応 @?事業者等は、施設利用者および自らが管理する施設の安全を確認する。 A 区、国および都の一斉帰宅抑制の呼びかけ等を受け、行政機関や関係機関から提供される災害関連情報により、火災その他の周辺の状況を確認したうえで、施設利用者を施設内の安全な場所で保護する。 2 女性や要配慮者等の施設利用者への配慮 @ 施設利用者の保護にあたっては、要配慮者への優先的な案内、女性や子ども連れ家族の区分けなど、受入れスペースの活用において可能な範囲で配慮する。 A 施設利用者の中には、要配慮者の存在も想定される。そのため、施設管理者は、ヘルプカードの保有状況の確認や、ユニバーサルデザインの施された掲示物の活用などを通じて、施設利用者への配慮に努める。? 対策2 滞留者への情報提供 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・区や報道機関等と連携した滞留者への情報提供 区 ・ターミナル駅周辺での滞留者への情報提供(無人航空機(ドローン)(飛行可能な場合)による情報提供含む。) ・災害情報システム等による情報提供 ・事業者等との連絡調整 警察機関 ・駅周辺の混乱防止対策に係る区への支援 消防機関 ・災害情報の提供等、駅周辺の二次災害発生防止に係る区への支援 事業者等 ・施設内に待機している施設利用者の保護・情報提供 通信事業者 ・事業者等および滞留者への情報提供 ・災害伝言ダイヤル、災害伝言板等の利用に係る呼びかけ 報道機関 ・行政情報や公共交通機関の運行状況の区民・事業者等への情報提供 【具体的な取組】 第1 滞留者への情報提供 ○区は、駅周辺での混乱防止のため、駅周辺帰宅困難者対策協議会を構成する事業者等と連携し、迅速な情報提供を行う。 1 混乱防止の活動 (1)公共交通機関や道路状況などの正確な情報提供 ア ターミナル駅周辺での混乱防止対策 @ 鉄道事業者は、駅周辺地図の配布、構内放送による誘導、運行状況の提供などにより、ターミナル駅周辺の混乱防止を図る。 A 区は、駅周辺帰宅困難者対策協議会などを活用し、滞留者に対する情報提供、誘導を行う。また、状況により、無人航空機(ドローン)の活用も考慮する。 (2)災害情報システム等による情報提供 区は、東京都災害情報システム(DIS)を利用して、各鉄道の運行状況や徒歩帰宅支援対象道路の被害状況などを収集し、滞留者に情報を提供する。 ? 対策3 一時滞在施設の運営 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・滞留者の誘導 ・開設された一時滞在施設への誘導 ・備蓄品の配布 事業者等 ・滞留者の誘導支援 ・開設された一時滞在施設への誘導支援 ・備蓄品の配布支援 【具体的な取組】 第1 事業者等と連携して行う帰宅困難者対策 ○区は、事業者等と連携して行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の開設要請、誘導、備蓄物資の配布等を円滑に行う。 ○区は、想定以上の混乱が生じ事業者等だけでは対応しきれない状況において、一時滞在施設へ区職員の派遣を行うよう努める。 1 一時滞在施設の開設、滞留者の誘導 (1)一時滞在施設に係る事業者等との連絡調整 @ 区は、駅周辺の滞留者の誘導先を確保するため、一時滞在施設に係る事業者、集合住宅の管理組合等に対し、受入れ要請を行う。 A?一時滞在施設に係る事業者等は区からの要請に応じて施設内での受入れ準備を行う。 (2)開設された一時滞在施設への誘導 区は、駅周辺帰宅困難者対策協議会、鉄道事業者および一時滞在施設に係る事業者等の協力を得て、行き場のない帰宅困難者を一時滞在施設へ誘導する。 (3)備蓄品の配布 区は、一時滞在施設に係る事業者等の協力を得て、受け入れた帰宅困難者に飲料水・食料、毛布等の備蓄品を配布する。 (4)区職員の派遣 区は、事業者等との連携を図りつつ、帰宅困難者の発生が想定以上の場合など事業者等では対応しきれない場合において、一時滞在施設に職員を派遣するよう努める。 2 一時滞在施設に受け入れられた滞留者による運営の協力 一時滞在施設に受け入れられた帰宅困難者は、区および一時滞在施設に係る事業者等による指示に従うとともに、一時滞在施設の運営に協力しなければならない。? 対策4 混乱収拾後の帰宅支援 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・都内の交通事業者からの情報を集約し、災害情報提供システムなどを活用して、区、都民等に提供 ・バス・船舶による輸送手段を確保 区 ・都や交通事業者などからの情報による徒歩帰宅者の誘導 ・地域および事業者等と連携し、徒歩帰宅者支援を実施 警察機関 ・誘導路の確保および徒歩帰宅者への情報提供 事業者等 ・帰宅ルールに基づく従業員等の帰宅開始の判断・指示 ・区と連携した徒歩帰宅者支援への協力 関東運輸局 ・所管区域の総合的な交通情報の集約・提供 ・輸送手段の確保に必要な許認可の速やかな実施 鉄道事業者 ・鉄道運行情報を区や都、報道機関に提供 ・発災後の早期運転再開に努める。 バス事業者等 ・運行状況、鉄道に乗り継ぎが可能な路線等に係る情報を区や都、報道機関に提供 ・バス等による輸送手段を確保 【具体的な取組】 第1 徒歩帰宅者の支援 ○区は、地域および事業者等と連携し、徒歩帰宅者への情報提供を中心とした帰宅支援を行う。 @ 都は、円滑な徒歩帰宅に向けて、災害時帰宅支援ステーションの確保などの帰宅支援体制を構築するとともに、帰宅支援の実施状況、災害関連情報や公共交通機関の運行情報等についてガイドライン等に則り報道機関やホームページ等を通じて事業者等や都民等に提供する。 A?都は、通行可能区間などの安全情報、沿道の火災・建物倒壊などの危険情報を収集し、これら情報を災害情報提供システムなどで都民等に提供する。 B 区は、徒歩帰宅者支援に係る情報連携訓練の実施等を踏まえて、地域および事業者等と連携し、徒歩帰宅者への情報提供や物資配布など徒歩帰宅者支援を行う。 C 警視庁は、交通規制資機材を活用した誘導路の確保および誘導を行うとともに、被害状況等徒歩帰宅に必要と認める情報の提供を行う。 D 事業者等は、帰宅経路沿いの被害状況などの情報や、関係行政機関等から提供される災害関連情報等により従業員等が安全に帰宅できることを確認し、事業者等で定めた帰宅ルールにより従業員等の帰宅を開始する。 第2 輸送手段の提供 ○区は、適切な帰宅方法を選択できるよう、鉄道運行情報等の徒歩帰宅に必要な情報を提供する。 ○区は、関係機関と連携し、利用可能な輸送手段から適切な帰宅手段を選択できるよう、帰宅を支援する。また、その輸送手段の利用にあたっては、要配慮者の利用に配慮する。 1 鉄道運行情報等の提供 @ 都は、国および九都県市等と連携し、災害時帰宅支援ステーションや輸送手段の確保などの帰宅支援体制を構築するとともに、帰宅支援の実施状況、鉄道運行情報その他の災害関連情報について報道機関やホームページ等を通じて事業者等や都民等に提供する。 A 区は、都や交通事業者等からの情報により、徒歩帰宅者を利用可能な輸送手段に誘導して、帰宅を支援する。 B 関東運輸局は、所管区域の総合的な交通情報の集約・提供を行うとともに、輸送手段の確保のため、必要な許可等を速やかに行う。 C 鉄道事業者は、折り返し運転の実施状況、乗り継ぎが可能な路線その他の鉄道運行情報に係る情報を区や都、報道機関に提供する。 D バス事業者は、運行状況、鉄道に乗り継ぎが可能な路線等に係る情報を区や都、報道機関に提供する。 E 報道機関は、行政機関や交通機関等からの情報を提供する。 2 輸送手段の確保 @ 国や都は、バス・船舶による輸送手段を確保する。 A バス事業者は、バスの運行にあたっては、鉄道折り返し駅までの短距離区間のピストン輸送など、効率的な形態により実施する。 B バス事業者等は、調達できるバス・船舶に限りがあるため、利用者については、要配慮者を優先する。 C 区は、都や交通事業者からの情報により、徒歩帰宅者を利用可能な輸送手段に誘導して、帰宅を支援する。 D 関東運輸局は、輸送手段の確保のため、必要な許可等を速やかに行う。 E 関東地方整備局は、利用可能な岸壁、海上経路、船舶情報等の船舶運航情報の収集・提供を行う。 F バス事業者等は、運行状況、鉄道に乗継ぎが可能な路線等に係る情報を区や都、報道機関に提供するとともに、国や都と連携して、バス等による輸送手段を確保する。 ? 第8章 受援体制 対策の基本的な考え方 大規模災害が発生した場合、区のみで災害対応を行うことが困難であることが想定され、他の地方公共団体職員、災害ボランティア、専門機関等の人的支援が必要となる。 また、国や都のほか、災害時応援協定に基づく物資調達、支援担当自治体(カウンターパート団体)等からの物資調達も必要となる。 ここでは、災害対策本部における対応、人的・物的支援の受入れに係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 受入体制 第1 災害対策本部における対応 ○応援の要請、応援団体の活動調整、待機場所等の確保、関係機関相互の連携に向けた調整等を行う。 第2 応援要請の判断の目安 ○応援要請の必要性を判断する目安となる内容を整理し、適切なタイミングで連絡を実施する。 第3 国、都による代行 ○区が事務の全部または大部分を行うことができない場合には、災害対策基本法に基づき、都もしくは国が事務を代行する。また区は、機能喪失時には、都・国へ代行の要請をする。 対策2 人的支援の受入れ 第1 地方自治体職員等の受入れ ○災害時における他の地方自治体職員の円滑な受入れに向けて、対応手順を示し、円滑な受入れ、災害対応を実施する。 第2 災害ボランティアの受入れ ○被災者の生活の安定と再建を図るうえで重要な役割を持つボランティアとの連携協力体制を構築し、効果的な応急対策の実施を図る。 第3 専門機関等の受入れ ○警視庁、東京DMAT、自衛隊等の専門機関等について、応援要請・受入れを行う。 対策3 物的支援の受入れ 第1 円滑な物資供給に向けた基本方針 ○物資の供給を円滑に実施するため、既往災害の教訓を生かした物資の調達および受入れを行う。 第2 物的支援の受入れ ○国、都等からの支援物資の受入れ、災害時協力協定に基づく物資の調達等を行う。 ? 【用語の解説】 @カウンターパート方式 被災区市町村ごとにカウンターパート団体(自治体)を定め、割りあてられた応援団体が被災地のニーズを把握して応援を行うことをいう。 Aプッシュ型支援 支援物資のニーズ情報が十分に得られない被災地へ、ニーズ予測に基づき緊急に物資を供給する場合の輸送方法をいう。 Bプル型支援 支援物資のニーズ情報が十分に得られる被災地へ、ニーズに応じて物資を供給する通常の物資支援の場合の輸送方法をいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 受入体制 対策2 人的支援の受入れ 対策3 物的支援の受入れ 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h 72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 受入体制 国 ■区の事務の代行 都 ■広域応援協定団体に対する応援要請 ■区の事務の代行 区 ■災害対策本部による応援要請 ■応援団体の活動調整 ■応援団体の待機場所等の確保 関係機関 ■応援団体等の情報共有部隊の派遣 人的支援の受入れ 国 ■海外ボランティアの受入れ支援 都 ■東京ボランティア・市民活動センターと協働で東京都災害ボランティアセンターを設置 ■区市町村災害ボランティアセンターや市民活動団体等に対して支援を実施 ■被災建築物応急危険度判定員等の専門ボランティアの派遣 ■海外ボランティアの受入れ支援 東京ボランティア・市民活動センター ■都と協働で東京都災害ボランティアセンターを設置・運営し 区市町村災害ボランティアセンターや市民活動団体等を支援 区 ■他の地方自治体職員等への応援要請 ■受援の準備 ■応援職員等の受入れ ■区災害ボランティアセンターの設置・運営 ■一般ボランティアの受入れ ■専門ボランティアの受入れ 警察機関 ■警視庁交通規制支援ボランティアの派遣 消防機関 ■東京消防庁災害時支援ボランティアの派遣 区社会福祉協議会 ■区災害ボランティアセンターの運営支援 ■対策の開始時期の目安? 対策1 受入体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 国 ・区の事務の代行 都 ・広域応援協定団体に対する応援要請 ・区の事務の代行 区 ・災害対策本部による応援要請 ・応援団体の活動調整 ・応援団体の待機場所等の確保 関係機関 ・応援団体等の情報共有部隊の派遣 【具体的な取組】 第1 災害対策本部における対応 ○応援の要請、応援団体の活動調整、待機場所等の確保、関係機関相互の連携に向けた調整等を行う。 1 応援要請先の決定 区は、他自治体等の支援を必要とする状況下において、都に対して速やかに応援要請を行うとともに、協定を締結する自治体等の中から応援要請先を決定する。 資料32 品川区災害時協定一覧(再掲) 2 応援の要請 @ 都への人的・物的応援に係る要請は、災害時に区市町村に参集する都職員(現地機動班)と連携し、東京都災害情報システム(DIS)や物資調達・輸送調整等支援システムの活用等により行う。 A 協定先への応援要請は、あらかじめ調整した連絡先に対して行う。 B 協定等に定められた方法で行うことを原則とするが、そのいとまがないなどやむを得ない場合には電話等の手段により口頭で行うものとする。 C 応援要請を行った際に、応援側の自治体等から応援団体が派遣される旨の情報を得た場合には、区の災害状況や途中のルートの状況など、情報提供をあわせて行うよう努める。応援団体が区災害対策本部に到着した際には、災害状況など今後の活動に必要な情報共有を行うものとする。 3 応援団体の活動調整 @ 区は、応援側の自治体等に対し、希望する支援内容を伝えるなど、活動調整を行う。調整結果は、総務部から各部に伝達するとともに、以降の調整方法等についてあわせて協議を行う。必要に応じて、さらに詳細な内容に関する打合せを各部との間で実施する。 A 区は、応援団体の活動スペースと必要資機材を確保するとともに、活動が円滑に進むよう配慮する。 B 都は、大規模な災害が発生し、都単独では十分な災害応急対策を講じることができない場合、広域応援協定団体(全国知事会、九都県市・関西広域連合、21大都市)等に対して人的応援を要請する。その際、応急対策職員派遣制度(総務省)を優先活用し、調整を行う。応急対策職員派遣制度は、全国の地方公共団体の人的資源を最大限活用して被災区市町村を支援する制度であり、平成30年から運用している。都から対口支援団体等の決定通知があった場合、区は、人的支援の受入れについて具体的な調整を対口支援団体等と行う。 4 応援団体の待機場所等の確保 区災害対策本部は各部と調整を行い、応援団体の待機場所、ミーティングスペースを確保する。また、必要に応じて駐車場、宿泊場所、食料、飲料水等を各部と調整のうえ準備する。 第2 応援要請の判断の目安 ○応援要請の必要性を判断する目安となる内容を整理し、適切なタイミングで連絡を実施する。 @?大規模災害時においては、被害状況の把握に時間を要することが考えられることから、区は、発災直後から他の地方自治体や防災関係機関等と連絡を取り合うなど、応援要請の機を逸しないように留意する。 A 応援要請の必要性を判断する際の目安となる事項の例を以下に示す。 ・区災害対策本部において、その時点または以降に応急対策の実施が困難と判断される場合 ・区災害対策本部の各部において、その時点または以降に当該部所管の業務の実施が困難または応援を受けることにより有効に機能すると判断される場合 ・特別な技術、知識、経験等を有する職員が不足する場合 ・その他、区災害対策本部長が応援要請の必要があると認める場合 ? 第3 国、都による代行 ○区が事務の全部または大部分を行うことができない場合には、災害対策基本法に基づき、都もしくは国が事務を代行する。また区は、機能喪失時には、都・国へ代行の要請をする。 @ 区は、災害の発生により、事務の全部または大部分を行うことができない場合、災害対策基本法第74 条の3に基づき、都が区の事務を代行する。また、都が区の事務を代行できない場合は、同法第73 条に基づき、指定行政機関または指定地方行政機関が区の事務を代行する。 A 都は、被災により区がその全部または大部分の事務を行うことが不可能となった場合には、応急措置を実施するため区に与えられた権限のうち、次の実施すべき応急措置の全部または一部を区に代わって行うものとする。 ・警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立ち入りを制限し、もしくは禁止し、または当該区域からの退去を命ずる権限 ・他人の土地等を一時使用し、または土砂等を使用し、もしくは収用する権限 ・現場の災害を受けた工作物等で応急措置の実施の支障となるものの除去等をする権限 ・現場にある者を応急措置の業務に従事させる権限 B 国土交通省等は、被災により区および都がその全部または大部分の事務を行うことが不可能となった場合は、応急措置を実施するため区に与えられた権限のうち、次の実施すべき応急措置の全部または一部を区に代わって行うものとする。 ・緊急輸送路を確保するため緊急かつ必要最小限の災害がれき・土砂等の除去や航路啓開のための港湾区域内の流木の除去等 ・他人の土地等を一時使用し、または土砂等を使用し、もしくは収用する権限 ・現場の災害を受けた工作物等で応急措置の実施の支障となるものの除去等をする権限 ・現場にある者を応急措置の業務に従事させる権限 ? 対策2 人的支援の受入れ 【各機関の役割】 機関名 役   割 国 ・海外ボランティアの受入れ支援 都 ・東京ボランティア・市民活動センターと協働で東京都災害ボランティアセンターを設置し、女性や子どものほか、高齢者、障害者、外国人など要配慮者等の視点も踏まえながら、区市町村災害ボランティアセンターや市民活動団体等に対して支援を実施 ・被災建築物応急危険度判定員等の専門ボランティアの派遣 ・海外ボランティアの受入れ支援 東京ボランティア・市民活動センター ・都と協働で東京都災害ボランティアセンターを設置、市民活動団体と協働で東京都災害ボランティアセンターを運営し、区市町村災害ボランティアセンターや市民活動団体等を支援 区 ・他の地方自治体等への応援要請 ・受援の準備 ・応援職員等の受入れ ・区社会福祉協議会との連携による区災害ボランティアセンターの設置・運営 ・一般ボランティアの受入れ ・専門ボランティアの受入れ 警察機関 ・警視庁交通規制支援ボランティアの派遣 消防機関 ・東京消防庁災害時支援ボランティアの受入れ 区社会福祉協議会 ・区災害ボランティアセンターの運営支援 【具体的な取組】 第1 地方自治体職員等の受入れ ○災害時における他の地方自治体職員の円滑な受入れに向けて、対応手順を示し、円滑な受入れ、災害対応を実施する。 1 応援要請 (1)応援要請の必要性の判断 @ 区災害対策本部の各部は、災害対応を行うにあたり、人員が不足した場合、応援の必要性について判断する。 A 区災害対策本部の各部は、必要な人員を総務部へ要請する。 (2)応援要請の決定 @ 行政機関や自衛隊に対する応援要請は、区災害対策本部会議で協議を行い、区災害対策本部長が決定する。なお、緊急・その他の事情により会議が開催できない場合は、会議を開催せず区災害対策本部長が決定することができることとする。行政機関に対する応援要請は、区市町村間相互の応援協定、都内区市町村相互応援に関する協定に基づき要請する。 A 区災害対策本部の各部で受援に係る協定を直接締結・運用している場合、応援要請の決定は、各部長が行う。 (3)応援要請の実施 @ 応援が必要と判断した場合、総務部は、以下の点を可能な限り明確にし、応援要請を行う。 ・要請人数 ・期間 ・集合場所 ・活動内容 ・活動場所 ・応援職員に求める要件(職種・資格・経験) ・必要な資機材 等 A 応援要請を伝えた後、文書等により応援要請内容の確認を行う。 B 区災害対策本部の各部で受援に係る協定を直接締結・運用している場合、各部から応援を要請する。 C 自衛隊に対する応援要請は、指令情報部より行う。 D 総務部は、応援要請の結果を取りまとめ、区災害対策本部会議にて情報共有する。 (4)応援の申し出への対応 @ 外部から応援の申し出があった場合、受援の判断は区災害対策本部が行う。 A 応援の申し出があった場合においても、区から応援要請を行った場合と同様の手順で、受援業務を行う。 2 受援の準備 (1)応援団体との連絡調整 各部は、応援団体と応援職員等の人数や到着時期、集合場所、携行品等について連絡調整を行い、区災害対策本部の各部と共有する。 (2)必要な資機材の準備 受援業務に必要となる資機材は、原則、応援を受入れる区災害対策本部の各部で準備する。ただし、自動車や特殊な業務に係る資機材等は、不足することが予想されるため、応援職員等に持参してもらうよう要請する。 (3)応援職員等に要請する業務内容・手順等の共有 応援職員を受入れる各部は、応援職員に要請する業務内容・手順等を整理する。災害時業務マニュアル等を応援職員にも配布できるよう準備する。 (4)応援職員等の宿泊場所および食料の確保 @ 応援職員等の宿泊場所は、原則、応援団体が自ら確保することとする。 A 応援団体による確保が困難な場合、総務部において調整する。 B 応援職員等の食料・飲料水等は、総務部が必要数を取りまとめ、指令情報部へ報告する。 3 応援職員等の受入れ (1)応援職員等の受付・報告 @?応援職員は、各部で受付を行う。受付時に、応援職員等の団体名や氏名、活動期間、宿泊場所等の基本情報を整理し、区災害対策本部会議にて共有する。 A 各部は、応援職員の受入れ状況をとりまとめ、区災害対策本部会議にて共有する。 (2)業務内容等の説明 @ 応援を受入れる区災害対策本部の各部は、応援職員等が行う業務の内容や手順について、応援職員等に説明を行う。 A 災害時業務マニュアル等の関連資料を配布する。 B 特殊な業務等を依頼する場合、必要に応じて研修等を実施するなど、円滑に災害対応が進むよう努める。 4 受援業務に係る対応 (1)応援職員等の状況把握・指示 @ 応援を受入れる区災害対策本部の各部は、応援職員と定期的に情報共有・指示を行う場を設けることとする。 A?応援を受入れる区災害対策本部の各部は、応援職員等から業務の実施状況を把握し、業務量および必要人員を踏まえ、必要に応じて、応援職員等の追加要請や業務内容の変更を検討する。 (2)応援職員等の交代に係る対応 @ 応援を受入れる区災害対策本部の各部は、応援職員等の交代に際して、適切に業務内容が引き継がれるよう、確実な情報共有に努める。 A 応援を受入れる区災害対策本部の各部は、引継ぎ時に確認すべき情報をとりまとめて、後任の担当職員と共有する。 (3)業務実施状況の報告・調整 @ 応援を受入れる区災害対策本部の各部は、応援職員等による業務の実施状況について取りまとめ、総務部へ報告する。 A 総務部は、区全体の受援状況を取りまとめて、区災害対策本部会議に報告するとともに、必要な調整を行う。 5 受援終了 (1)受援終了の判断・決定 @ 各部は、応援要請を行った業務が終了する、または、業務に必要な人員が確保可能な状況となるなど、受援の必要がなくなった場合、応援団体と連絡調整を行い、受援を終了する。 A 総務部は、受援を終了した場合、受援状況等を取りまとめ、区災害対策本部会議にて共有する。 (2)費用負担 @ 区は協定等に基づき、応援団体に対して費用負担等を行う。 A 総務部は、費用負担について、区災害対策本部会議で共有する。 第2 災害ボランティアの受入れ ○被災者の生活の安定と再建を図るうえで重要な役割を持つボランティアとの連携協力体制を構築し、効果的な応急対策の実施を図る。 1 区災害ボランティアセンターの設置 (1)区災害ボランティアセンター開設前の活動希望者の対応 区は、区災害ボランティアセンター開設前に、電話等によるボランティア活動希望の問合せがあった場合、開設まで待ってもらう旨を伝え、開設後に連絡をもらえるように説明する。開設後は、広報紙やメディア等で周知していく旨を伝える。 (2)区災害ボランティアセンター設置協議 @ 福祉部は、区災害ボランティアセンター設置にあたり、区社会福祉協議会と連携し実施する。 A 福祉部は、被災状況、区社会福祉協議会の状況も踏まえて、区災害対策本部と区災害ボランティアセンター設置にあたっての協議を行い、開設を決定する。 B 区災害ボランティアセンターは、中小企業センターに設置することを想定するが、福祉部長が、被災状況等により他の場所に設置した方が業務に適していると認めるときは、区災害対策本部と協議し、変更する。 (3)区災害ボランティアセンター運営体制の確保 @ 福祉部は、区社会福祉協議会と連携し、開設時間、募集するボランティアの範囲、派遣基準、資機材確保方法等の運営方針を決定する。 A 区は、都との連絡体制を確保するとともに、区社会福祉協議会と協力し、必要な人員を確保する。 B ボランティアセンター設置に向けて、以下の事項について実施する。 ・区災害ボランティアセンター内のレイアウトの決定 ・都へのボランティアコーディネーターの派遣要請 ・ボランティアの移動手段の確保 ・区災害対策本部へボランティア派遣要請方法の周知 ・活動資金・活動備品の調達 ・ボランティアの募集要領の作成・周知 ・ボランティア申込み受け付け手段の確保(電話、申込みフォーム?等) 2 区災害ボランティアセンターの運営 (1)周知・広報 ボランティアセンターを設置した旨を関係機関、各部署、区民等に周知・広報する。 (2)運営 区災害ボランティアセンターの運営においては、区社会福祉協議会を中心に、区および他社会福祉協議会と連携して実施する。 (3)ボランティアの受付 @ 受け付けたボランティアは、関係者間で共有を図る。 A ボランティアコーディネーター経験者を受付けた場合は、ボランティアセンターの運営補助に従事するよう依頼する。 (4)ボランティアの派遣 被災者のボランティアニーズの把握に努め、ボランティアを派遣する。 3 専門ボランティアの受入れ 都、東京消防庁などが事前登録制により実施しているボランティアについては、区災害ボランティアセンターではなく、専門領域ごとに、各機関が受入窓口を設置し、必要となる業務に応じて受入れを図る。 海外からのボランティアの受入れについては、都、国と協議の上、区災害対策本部でその対応を協議する。 (1)被災建築物応急危険度判定員 都に登録された建築士ボランティアで、余震等による建築物の倒壊など二次災害を防止するため、被災建物の当面の使用の可否を判定する業務に従事する。 (2)被災宅地危険度判定士 @?宅地造成等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第17条に規定する土木または建築技術者が該当する。 A 災害対策本部が設置される規模の地震または降雨等の災害により、宅地が大規模に被災した場合に、被害の発生状況を把握し、危険度判定を実施する。 (3)家屋・住家被害認定調査員 @ 区は、都や関係機関へ応援要請を行い、家屋・住家被害認定調査員を受入れるとともに、他道府県より支援のため派遣される調査員についても受入れを行う。 A 家屋・住家被害認定調査員は、地震や風水害等の災害により被災した家屋・住家の被害程度(全壊、半壊等)を認定する業務に従事する。 B 区は、家屋・住家被害状況調査を実施する人員確保に向けた協定締結に努める。 (4)建設防災ボランティア @ 公共土木施設の整備・管理等の経験により、同施設等の被災状況について一定の把握ができる知識を有する者が該当する。 A 震度5強以上の地震発生時には都建設局からの出動要請を受け、また、震度6弱以上の地震発生時には自主的に、それぞれ出動し、建設局所管施設の被災状況の点検業務支援および都立公園等避難場所における建設局所管施設の管理業務支援等を実施する。 (5)東京消防庁災害時支援ボランティア @ 東京消防庁は、応急救護や消防資機材等についての専門的な知識・技術を習得したボランティアを育成するため、応急救護に関する知識を有する者、震災時等に復旧活動時の支援に必要となる資格・技術等を有する者、消防職員・団員の経験者をボランティアとして登録を進めている。 A 登録ボランティアは原則として、各消防署へ自主的に参集し、署の指導により応急救護、消防署外での後方支援活動(現場での後方支援活動、現場への物資等の搬送等)、消防署内での後方支援活動(給食支援活動、備蓄物資等の搬入、仮設トイレ等の設定等)、火災調査活動の支援、消防設備等の応急措置の支援(資格者のみ)を行う。 (6)医療系ボランティア 赤十字災害救護ボランティア、地域赤十字奉仕団、特別赤十字奉仕団、赤十字個人ボランティア等をいう。医療救護班の活動支援や避難所における活動支援等の医療業務支援に従事する。 (7)福祉ボランティア @ 福祉ボランティアが必要な場合、都へ支援要請を行うことにより、福祉関係団体等の協力による広域的な支援が受けられる。 A 福祉ボランティア派遣に際しては、都へ要請内容、避難所の状況等のニーズを正確に報告することとする。 (8)警視庁交通規制支援ボランティア @ 大震災が発生した場合の交通対策として、警察署長は、警備業者、ボランティア等に対し配置指定交差点等における交通規制の補助活動を要請する。 A?警備業者、ボランティア等に、交通規制の補助活動を行わせる場合は、原則として、警察官の配置されている交差点に配置するものとし、活動中における受傷事故防止に特段の配意をする。 (9)東京都防災(語学)ボランティア 大規模な災害発生時において、語学力を活用し、被災外国人等を支援するため、一定以上の語学能力を有する者を、都は東京都防災(語学)ボランティアとして登録をしている。必要に応じて都へ支援要請し、当該ボランティアの受入れを行う。 第3 専門機関等の受入れ ○警視庁、東京DMAT、自衛隊等の専門機関や公共的団体等について、応援要請・受入れを行う。 1 救助・救急活動に係る関係機関の受入れ 震災時には、建物の倒壊、看板・窓ガラス等の落下、火災による多数の救助・救急を要する事態の発生が予想される。このため、関係機関が連携・協力体制を確立し、迅速・的確な救助・救急活動にあたる。関係機関(警視庁、東京DMAT)への応援要請に関しては、区災害対策本部にて応援の必要性について判断し、応援要請を行うものとする。詳細は、「第1部 第3章 災害対応体制」の定めるところによる。 2 自衛隊の受入れ 区は、災害が発生し、または発生するおそれがあり、人命または財産の保護のため必要があると認めた場合は、都に対し自衛隊の災害派遣を要請するものとする。詳細は、「第1部 第3章 災害対応体制」の定めるところによる。 3 警察機関の受入れ 災害が発生した場合、警察機関は定められた基準に基づき活動を開始する。警察機関による救出救助活動に関する必要な要請や調整は、区災害対策本部に派遣されるLO等を通じて行う。 4 消防機関の受入れ 災害が発生した場合、消防機関は定められた基準に基づき活動を開始する。消防機関による救出救助活動に関する必要な要請や調整は、区災害対策本部に派遣されるLO等を通じて行う。 5 関係省庁支援チーム等の受入れ 関係省庁支援チーム等の受入れにあたっては、区災害対策本部の各部が、支援を要請するとともに、受入れに向けた調整を行う。 図表3-20 関係省庁支援チーム等 関係省庁 支援チーム等 主な活動内容 文部科学省 被災文教施設応急 危険度判定 ・被災文教施設の応急危険度判定 厚生労働省 災害派遣医療 チーム(DMAT) ・急性期(概ね48時間以内)から医療活動を実施 ・病院の医療行為を支援 ・被災地の外に搬送する広域医療搬送 災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT) ・保健所が被災するなどして健康危機管理に関する指揮調整が混乱している場合、災害対策本部の指揮調整機能を支援 災害派遣精神医療 チーム(DPAT) ・医療機関や避難所の被災状況の情報収集とアセスメント ・既存の精神医療システムの支援 ・被災地での精神保健活動への専門的支援 ・被災した医療機関への専門的支援 国土交通省 緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE) ・被災状況の迅速な把握 ・被害の発生および拡大の防止 ・被災地の早期復旧その他災害応急対応に対する技術的な支援 ・気象解説による市町村や関係機関の防災対応を支援(気象庁防災対応支援チーム(JETT)) 全国被災建築物応急 危険度判定協議会 ・被災建築物の応急危険度判定 被災宅地危険度判定連絡協議会 ・被災宅地の危険度判定 ・擁壁等の宅地の危険度判定 環境省 災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net) ・一次仮置場の確保・管理運営、処理困難物対応等に関する現地支援 ・生活ごみやし尿、避難所ごみ、片付けごみの収集  ・運搬、処理に関する現地支援 6 指定地方行政機関等の受入れ (1)責務 災害が発生した場合、または発生するおそれがある場合、指定地方行政機関、指定公共機関および指定地方公共機関は、所管にかかわる災害応急対策を実施するとともに、都および区が実施する応急対策が円滑に行われるよう、その業務について協力するものとする。 (2)活動体制 指定地方行政機関等は、責務を遂行するため必要な組織を整備するとともに、災害応急対策に従事する職員の配置および服務の基準を定めておくものとする。詳細は、「第1部 第3章 災害対応体制」の定めるところによる。 ? 対策3 物的支援の受入れ 【各機関の役割】 機関名 役   割 国 ・プッシュ型の緊急物資輸送 都 ・プッシュ型の緊急物資輸送 ・広域輸送基地等から地域内輸送拠点への物資輸送 区 ・地域内輸送拠点における物資の受入れ ・地域内輸送拠点から各避難所等の物資配布場所への輸送 ・災害時応援協定に基づく物資調達 【具体的な取組】 第1 円滑な物資供給に向けた基本方針 ○物資の供給を円滑に実施するため、既往災害の教訓を生かした物資の調達および受入れを行う。 @ 区は、発災から3日間に必要となる最低限の物資について、都と連携して備蓄品の整備を進めているが、避難生活の長期化や、物流の復旧に時間がかかった場合、物資が不足することが想定される。 A 物資の調達や輸送、集積場所の管理等の業務は、区の通常業務とは異なっており、既往災害で、物資不足、物資の滞留、配送遅延などの混乱があった。 B 災害発生時に物資の供給を円滑に実施するため、既往災害の教訓を生かした物資の調達および受入れ体制を整備する。 第2 物的支援の受入れ ○国、都等からの支援物資の受入れ、災害時応援協定に基づく物資の調達等を行う。 1 国からの支援物資 @ 国は、都および区からの要請を待たずに、発災後4日目から7日目に必要不可欠と見込まれる物資を都が開設する広域輸送基地に輸送する(国から都に向けたプッシュ型支援)。 A 都は、国からの物資を区が開設する地域内輸送拠点に輸送するため、受入れのための体制を整える。 ? 2 都からの支援物資 (1)都が開設する物資拠点 都では、物資の積替・配送等を行う広域輸送基地を都内に25箇所指定するとともに、東京都トラック協会と車両供給に関して契約することによる輸送手段の確保や都備蓄倉庫での荷捌き作業の協力に関する協定の締結等により円滑な物資供給を行える体制整備に努めている。 (2)都への要請 区は、備蓄物資が不足し、災害時協力協定に基づく調達や支援物資の到着に時間がかかると見込まれる場合、都災害対策本部(物資・輸送調整チーム)に対して、物資調達・輸送調整等支援システムを使用し、物資の提供を要請する。 なお、発災当初、都は必要に応じて区からの要請を待たずに必要不可欠と見込まれる物資を区に輸送する(都から区に向けたプッシュ型支援)。その後、都はできる限り早期に具体的な物資の必要量を把握して輸送するプル型支援に切り替える。 (3)区の地域内輸送拠点への輸送 都は、区の要請に基づく物資を国からの支援物資と同様に、区の地域内輸送拠点へ輸送する。 3 災害時応援協定に基づく物資の調達 @ 区は、要請に基づき、地域内輸送拠点および区内の備蓄倉庫の在庫状況を確認したうえで、協定締結事業者に物資の提供を要請し、調達する。 A 区は、自治体間相互応援協定に基づく物資の供給が必要と判断した場合は、他自治体へ要請する。 4 支援担当自治体(カウンターパート団体)からの支援物資 @ 大規模災害が発生した場合、都は、各被災区市町村からの応援要請に基づき、広域応援協定団体へ応援を要請し、これにより各被災区市町村には、支援担当自治体(カウンターパート団体)が設定される。発災直後の支援担当自治体決定前は、都が広域応援協定団体に包括的に物資調達の応援を要請する。広域応援協定団体は、地区内輸送拠点または避難所へ支援物資を輸送する。 A 区に支援担当自治体が設定された後は、区は、支援担当自治体に直接要請し、支援が必要な物資の品目、数量、輸送先等を調整する。広域応援協定団体は、地区内輸送拠点または避難所へ支援物資を輸送する。 5 民間事業者等による支援物資等の受入れ (1)支援物資受入れの概要 @?災害発生時に、民間事業者等から支援物資が提供された場合、原則、地域内輸送拠点で受入れる。 A 区は、備蓄・調達による物資供給のみでは、物資の不足が生じると判断した場合、企画部等と連携し、テレビ、ラジオ、新聞等報道機関の協力やホームページ等を活用して物資の支援を呼びかける。 (2)留意事項 @ 支援物資は、民間事業者等から受入れるものとし、個人からは原則として受入れない。 A 受入対象とする物資の要件は次のとおりとする。 ・単品梱包または類似品種の梱包とする。 ・内容、数量、賞味期限、提供団体(連絡先)が分かるよう1箱ごとにラベル表示する。 ? 第9章 医療救護等対策 対策の基本的な考え方 震災時には家屋やブロック塀の倒壊、火災、崖崩れ等により多数の負傷者等の発生が想定されるため、発災直後より適切な医療救護体制を確立し活動を行う必要がある。 ここでは、初動医療体制、医薬品・医療資器材の確保、防疫体制、遺体の取り扱いに係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 初動医療体制 第1 初動連絡体制等の確立 ○被害情報の関係機関との共有、区民への情報提供を速やかに行う。 第2 初動医療体制の確立 ○区は、医療救護が必要な場合には、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会の協力を得て医療救護班を医療救護所へ派遣する。 第3 負傷者等の搬送 ○負傷者等の搬送が必要な場合は、搬送手段を確保する。 第4 保健相談活動 ○避難所生活者や在宅生活者等を対象とした健康相談や巡回健康相談、巡回精神相談チームによる被災者のメンタルケア、在宅人工呼吸器使用者や在宅難病患者の安否確認、健康障害を防ぐための保健相談活動を実施する。 対策2 医薬品・医療資器材の確保 第1 災害薬事センターの設置 ○区は、医療救護所や避難所等への医薬品等の供給拠点となる「災害薬事センター」を速やかに設置する。 第2 備蓄品・医薬品の要請 ○医療救護所における医薬品・医療資器材の調達・搬送について、区は、薬剤師会等と協力して実施する。医薬品・医療資器材の補充が必要な場合、区は都に協力要請する。 対策3 防疫体制 第1 感染症対策に係る防疫体制の配備 ○区災害対策本部長は、避難所、福祉避難所、一時集合場所、広域避難場所、その他災害箇所において、医療救護および防疫活動の必要があると認めたときは、保健衛生部長に速やかに活動体制の確立を行うよう指示する。 対策4 遺体の取り扱い 第1 行方不明者の捜索 ○区は、都総務局等各部局、所轄警察署等関係機関と連携し、遺体および行方不明者の捜索および収容を行う。 第2 遺体の検視・検案・身元確認等 ○区は、遺体収容所の運営を施設管理者との連携のもと行う。また、警視庁検視班、遺体収容施設等と連携しながら検視・検案・身元確認等に対応する。 第3 遺体の火葬 ○区は、死亡届の受理・火葬許可証の発行、遺体の搬送、火葬等の対応を区、警視庁、遺体収容施設等と連携しながら対応する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 初動医療体制 対策2 医薬品・医療資器材の確保 対策3 防疫体制 対策4 遺体の取り扱い 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 初動医療体制 区 ■医療情報の収集・伝達 ■初動医療体制の確立 ■医療救護活動拠点の設置 ■負傷者等の搬送            ■保健相談活動 医薬品・医療資器材の確保 区 ■災害薬事センターの設置 ■医薬品・医療資器材の供給と確保 防疫体制 都 ■感染症の流行状況等を踏まえて区市町村が実施する予防接種に関する指導・調整 区 ■防疫、消毒、保健活動、食品衛生・環境衛生指導等 ■感染症の流行状況等を踏まえた予防接種の実施 遺体の取り扱い 都 ■広域火葬に関する こと 区 ■遺体収容所の管理者の指定等、管理全般に関する事項 ■行方不明者の捜索、遺体搬送に関する事項 ■検視・検案未実施遺体の一時保存等の取り扱いに関する事項 ■遺体収容所設置等に関する資機材の確保、調達、保管および整備に関する事項 ■死亡届の受理・火葬許可証の発行等 ■遺体の火葬 ■身元不明遺骨の取り扱い ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 初動医療体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・医療情報の収集・伝達 ・初動医療体制の確立 ・医療救護本部(医療救護活動拠点)の設置 ・負傷者等の搬送 ・保健相談活動 【具体的な取組】 第1 初動連絡体制等の確立 ○被害情報の関係機関との共有、区民への情報提供を速やかに行う。 1 医療情報の収集・伝達 (1)被害情報の収集および情報連絡体制の強化 災害時に効果的な医療救護活動を行うためには、正確な被害状況等の把握が必要である。そのため、都、区災害医療コーディネーター、医師会等と連携し、人的被害、避難所の状況および、医療機関の被害状況や活動状況、外部支援(DMATや救護班、緊急消防援助隊)の活動状況について収集する体制を整備する。 (2)区民への情報提供 @ 収集した医療機関の被害状況および医療活動状況については、医師会等を通じて保健衛生部で把握し区民からの問い合わせに対応する。 A 総務部広報報道課は、医療機関の被害状況、医療活動状況、医療救護所の設置状況をホームページ等で区民に周知する。都は、報道機関等を通じて広報活動を行う。 第2 初動医療体制の確立 ○区は、医療救護が必要な場合には、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会の協力を得て医療救護班を医療救護所へ派遣する。 1 医療救護活動体制 @ 区は、災害が発生し医療救護が必要な場合は、医療救護活動を統括・調整するため、医療救護本部(医療救護活動拠点)を設置する。また、区災害医療コーディネーターや区災害薬事コーディネーターとの連携体制を確保する。 A 区は、医療救護所を設置し、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会の協力を得て、医療救護班を医療救護所へ派遣し、発災直後から医療救護活動が円滑に行える体制を整える。 B 区は、区災害医療コーディネーターおよび災害薬事コーディネーターへ医療救護本部(医療救護活動拠点)への参集を要請し、東京都災害医療コーディネーターおよび東京都地域災害医療コーディネーターと連携して、区内の医療救護活動の統括・調整を行う。 2 医療救護班の活動内容 医療救護班は、以下の活動を行う。 ・緊急医療救護所において、トリアージおよび軽傷者の応急措置等を行う。 ・学校医療救護所において、地域住民に医療機能を提供することを目的に診療や健康相談等の医療活動を行う。 図表3-21 トリアージの分類 分類 順位 識別票 症状の状態等 最優先治療群(重症群) 第1 赤 生命を救うため、直ちに処置を必要とするもの。窒息、多量の出血、ショックの危険のあるもの。 待機的治療群(中等症群) 第2 黄 ア 多少治療の時間が遅れても、生命に危険がないもの。 イ 基本的には、バイタルサインが安定しているもの。 保留群 (軽症群) 第3 緑 上記以外の軽易な傷病で、ほとんど専門医の治療を必要としないもの。 無呼吸群 第4 黒 気道を確保しても呼吸がないもの。 死亡群 既に死亡しているもの、または明らかに即死状態であり、心肺蘇生を施しても蘇生可能性のないもの。 ※トリアージとは、災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めることをいう。 3 医療救護活動支援の要請 区は、医療救護活動に必要な人員が不足する場合には、区南部保健医療圏医療対策拠点(東邦大学医療センター大森病院)に対し、医療チーム等の派遣を要請するほか、区内の病院で対応できない負傷者を受け入れる病院の確保等について要請する。 ? 第3 負傷者等の搬送 ○負傷者等の搬送が必要な場合は、搬送手段を確保する。 1 負傷者等の搬送、透析患者の透析用水の支援体制 @ 負傷者の搬送は、国・都・区および防災区民組織が協力して行うものとする。 A 傷病者を的確に病院等に搬送できるよう、区は都等と連携し、重症度、傷病者数および搬送距離に応じて、陸路、空路および水路による搬送手段の確保に努める。 B 搬送にあたっては、災害拠点病院、災害拠点連携病院等の受入体制を確認して搬送する。 C 透析患者への対応について、避難所等では、透析患者の情報を把握し、透析が受けられない状況にある場合、避難所や医療救護所等の医療従事者や管理者等から、東京都区部災害時透析医療ネットワーク区南部ブロック(品川区および大田区)の副ブロック長へ連絡し、受入可能な透析医療機関へ対応を依頼する。また、区は、避難所等において医療をはじめとする生活上の相談に対応し、透析患者から申し出があった場合、食事への相談、腹膜透析時のバック交換を行う場所や電源確保等の必要な支援を行う。透析用水の支援要請に際し、区南部ブロックの透析可能な透析医療機関は、副ブロック長に応急給水を依頼し、副ブロック長はブロック長と優先的に応急給水を行う透析医療機関を選定した上で、区災害対策本部へ支援要請を行う。区は、二次保健医療圏医療対策拠点を通じ、都保健医療局へ情報共有・連絡を行う。 D 在宅人工呼吸器等使用者については、平常時から区として患者の把握に努め、必要に応じ医療機関への搬送等を行う体制を確立することとする。 図表3-22 超急性期に想定される傷病者の搬送 ※災害拠点病院は主に重症者を、災害拠点連携病院は主に中等症者を受入れる。災害医療支援病院は、専門医療や慢性疾患への対応、その他医療救護活動を行う。 ※SCU(航空搬送拠点臨時医療施設、Staging Care Unit):航空機での搬送に際して患者の症状の安定化を図り、搬送を実施するための救護所として、被災地および被災地外の航空搬送拠点に、広域医療搬送や地域医療搬送に際して設置されるもの。 図表3-23 災害拠点病院一覧 (令和5年4月現在) 二次保健 医療圏 施設名 所在地 病床数 区南部 NTT東日本関東病院 品川区東五反田5−9−22 594 昭和大学病院 品川区旗の台1−5−8 815 東邦大学医療センター大森病院 大田区大森西6−11−1 916 日本赤十字社東京都支部 大森赤十字病院 大田区中央4−30−1 344 地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立荏原病院 大田区東雪谷4−5−10 461 独立行政法人労働者健康安全機構 東京労災病院 大田区大森南4−13−21 400 医療法人社団松和会池上総合病院 大田区池上6−1−19 384 図表3-24 災害拠点連携病院一覧 (令和5年4月現在) 二次保健 医療圏 施設名 所在地 病床数 区南部 公益財団法人 河野臨床医学研究所附属第三北品川病院 品川区北品川3−3−7 114 医療法人社団 おきの会 旗の台病院 品川区旗の台5−17−16 42 医療法人社団 東京巨樹の会  東京品川病院 品川区東大井6−3−22 296 社会医療法人財団城南福祉医療協会 大田病院 大田区大森東4−4−14 189 社会医療法人財団 仁医会牧田総合病院 大田区大森北1−34−6 329 医療法人社団 森と海東京 東京蒲田病院 大田区西蒲田7−10−1 124 独立行政法人地域医療機能推進機構 東京蒲田医療センター 大田区南蒲田2−19−2 230 ? 第4 保健相談活動 ○避難所生活者や在宅生活者等を対象とした健康相談や巡回健康相談、巡回精神相談チームによる被災者のメンタルケア、在宅人工呼吸器使用者や在宅難病患者の安否確認、健康障害を防ぐための保健相談活動を実施する。 1 保健師・管理栄養士等の巡回相談チーム等の編成 避難所等での不自由な生活の長期化や被災に起因する健康障害の発生などを防ぐため、区は、保健師・管理栄養士等の巡回相談チーム等を編成し、避難所生活者や在宅生活者等を対象として健康相談や巡回健康相談等を行う。 他部署からの情報や相談をとおして把握した健康・医療ニーズ、栄養・食生活ニーズについて保健衛生部において管理・調整し、適切な支援を行う。 2 メンタルケア体制の整備 被災のショックや避難所の長期生活などによるストレスは、しばしば心身の健康に障害を生じさせる。その対策として、区は、専門医等の協力を得て、巡回精神相談チームを編成し、被災者の相談にあたる。 都は、東京都災害派遣精神医療チーム(東京DPAT)を派遣し、災害派遣医療チーム(東京DMAT)や保健師チーム等と連携しながら、被災精神科病院の入院患者の転院・搬送支援、被災精神科病院や診療所機能回復までの外来診療支援、災害ストレスによる被災住民・支援者への対応、地域精神保健活動への支援などを行う。 3 在宅人工呼吸器使用者への対応 @ 区は、「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」を活用して作成した「在宅人工呼吸器使用者災害対策リスト」を基に、「品川区避難支援個別計画」で定めた方法により、在宅人工呼吸器使用者の安否確認を行う。 A 人工呼吸器使用者とその家族に被害状況、医療機関の開設状況等の情報を提供するとともに、在宅療養が継続できるよう支援する。 B 在宅療養の継続や避難所等への移送に際し、支援に支障があるときは、都へ支援を要請する。 4 在宅難病患者への対応 @?区は、都および医療機関、民生委員、介護士等と連携し、在宅難病患者の状況把握、搬送および救護の体制整備に努める。 A 在宅療養の継続や医療機関への移送に際し、支援に支障があるときは、都へ支援を要請する。 ? 対策2 医薬品・医療資器材の確保 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・災害薬事センターの設置 ・医薬品・医療資器材の供給と確保 【具体的な取組】 第1 災害薬事センターの設置 ○区は、医療救護所や避難所等への医薬品等の供給拠点となる「災害薬事センター」を速やかに設置する。 区は、地区薬剤師会と連携して、医療救護所や避難所等への医薬品等の供給拠点となる「災害薬事センター」を発災後速やかに設置する。 1 災害薬事コーディネーターの役割 災害薬事コーディネーターは、品川区災害医療コーディネーターおよび東京都地域災害医療コーディネーター、東京都災害医療コーディネーターの業務に協力する。 ・医薬品等の管理に関する調整業務:救護所等で必要になる医薬品等の受給状況の把握、卸売販売業者への発注、在庫管理等。 ・薬剤師班に関する調整業務:薬剤師班の差配、支援要請等。 ・薬剤関係者の調整業務:病院薬剤部、薬局、卸売販売業者等地域の薬事関係者の復旧状況や医薬品過不足状況の把握。薬事関係者の調整等。 第2 備蓄品・医薬品の要請 ○医療救護所における医薬品・医療資器材の調達・搬送について、区は、薬剤師会等と協力して実施する。医薬品・医療資器材の補充が必要な場合、区は都に協力要請する。 1 医薬品・医療資器材の調達・搬送 @ 医療救護所においては、原則として区が配備した医療資器材および薬剤師会が確保する医薬品・医療資器材を使用する。 また、不足する場合は、都へ協力を要請する他、関連業界から調達する。 A 医薬品・医療資器材の医療救護所への搬送は原則として薬剤師会が行う。ただし、区は、必要に応じて区有車両、雇上げ車両、リヤカー・台車等の活用を検討する。 ? 対策3 防疫体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・感染症の流行状況等を踏まえて区市町村が実施する予防接種に関する指導・調整 区 ・防疫、消毒、保健活動、食品衛生・環境衛生指導等 ・感染症の流行状況等を踏まえた予防接種の実施 【具体的な取組】 第1 感染症対策に係る防疫体制の配備 ○区災害対策本部長は、避難所、福祉避難所、一時集合場所、広域避難場所、その他災害箇所において、医療救護および防疫活動の必要があると認めたときは、保健衛生部長に速やかに活動体制の確立を行うよう指示する。 1 防疫体制 @ 区は、災害の種類、程度に即応した防疫活動として、飲料水の消毒や避難所および患者発生時等の消毒、ねずみ族およびこん虫駆除等を行う。 A 区は、インフルエンザや麻しんなどの流行状況等を踏まえ、予防接種および感染予防対策を実施する。 B 被災戸数および防疫活動の実施状況について、都保健医療局に報告する。 C 防疫活動の対応能力が充分でない場合は、都保健医療局に協力を要請する。 D 災害により防疫活動を必要とする場合の班編成は以下のとおりである。 ア 防疫班 防疫班が行う役割は以下のとおりである。 ・健康調査および健康相談 ・避難所等の防疫指導、感染症発生状況の把握 ・感染症予防のための広報および健康指導 イ 消毒班 消毒班が行う役割は以下のとおりである。 ・消毒薬の配布および消毒の確認 ・飲料水の消毒および指導 ウ 保健活動班 保健活動班が行う役割は以下のとおりである。 ・健康調査および健康相談の実施 ・広報および健康指導 エ 食品衛生指導班 食品衛生指導班が行う役割は以下のとおりである。 ・食品取り扱い場所における食品衛生指導および食中毒予防の啓発 ・区民への食中毒予防の啓発 ・食中毒発生時の対応 ・その他食品に起因する危害発生の防止 オ 環境衛生指導班 環境衛生指導班が行う役割は以下のとおりである。 ・飲料水の塩素による消毒の確認 ・区民への消毒薬、簡易残留塩素検出紙の配布 ・区民への消毒の実施方法および残留塩素の確認方法の指導 ・避難所の過密状況や衛生状態を調査・確認 ・避難所における室内環境の保持や寝具類の衛生確保のための助言・指導 ・避難所におけるハエや蚊の防除方法についての助言、指導 2 感染症対策 @ 一類・二類感染症など入院対応が必要な感染症が発生した場合や勧告入院中の患者に転院の必要が生じた場合などには、都保健医療局と都保健所、特別区保健所および政令市保健所(以下「都区市保健所」という。)が連携して、受入先医療機関の確保および移送・搬送手段の確保を行う。 A 都保健医療局および都区市保健所は、被災地や避難所における感染症の発生状況を把握し、評価・分析した情報を提供するとともに、必要に応じて感染拡大防止に向けた注意喚起を実施する。 B 区は、インフルエンザや麻しんなどの流行状況等を踏まえ、予防接種を実施する。 C 都区市保健所は、避難所等において感染症の集団発生が確認された際には、防疫班と連携して疫学調査および感染拡大防止対策を迅速かつ的確に実施する。 3 医療救護および防疫活動ならびに衛生指導 @ 災害時には、家屋や水道、下水道等が被害を受け、不衛生な生活を余儀なくされ感染症が蔓延するおそれがある。したがって、検病検査、防疫指導、家屋内外の消毒および病害駆除を行い、感染症の蔓延を防止し、また検案その他の衛生措置を行い被災者の衛生指導を徹底することとする。 A そのため、本部長は、避難所、広域避難場所、その他災害箇所において、医療救護および防疫活動の必要があると認められたときは、保健衛生部長に速やかに活動体制の確立を行うよう指示する。 B 区は、平素より防疫用資器材の備蓄および調達・配布計画の作成に努め、災害時において円滑な資器材の配布を行うこととする。 (1)保健衛生部の編成 災害時において保健所・各保健センターは、医療救護防疫活動およびその他の衛生指導を行い、管内の被災者救護活動を担当する。 (2)業務手順 保健衛生部組織の中から、「防疫班」、「消毒班」、「保健活動班」、「食品衛生指導班」および「環境衛生指導班」を編成して、防疫活動を実施する。 ア 防疫班 医療救護班・保健活動班と緊密に連携をとりながら、被災住民の健康調査を行い、感染症患者の早期発見に努め、被災地や避難所の感染症発生状況を把握するとともに、必要に応じて感染症予防のための対策等を行う。 イ 消毒班 防疫班と緊密に連携をとりながら、患者発生時の消毒(指導)・避難所の消毒の実施および指導を行う。 ウ 保健活動班 健康調査および健康相談の実施と並行して、保健所の食品衛生指導班および環境衛生指導班等の協力を得て、広報および健康指導、二次感染予防指導を行う。 エ 食品衛生指導班 区民および食品取り扱い場所(避難所、飲食店、炊き出し場所、食品の保管場所など)において、食品を取り扱う者に対して、食品の衛生的な取り扱いの指導・食中毒予防の啓発を行う。また、食中毒等の食品に起因する危害が発生した際は、調査し被害拡大を防ぐための措置を講ずる。 オ 環境衛生指導班 飲用しようとする水が塩素剤等で消毒されているか、確認を行う。それ以後は、住民が自主的に消毒を行えるように環境衛生指導班が住民に消毒薬を配布し、消毒方法および消毒の確認方法を指導する。また、プライバシーの確保状況、入浴施設設置の有無および利用頻度、洗濯等の頻度、暑さ・寒さ対策の必要性など、避難所の衛生状態等の把握に努め、必要な措置を講じるよう努める。 ? 対策4 遺体の取り扱い 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・広域火葬に関すること 区 ・遺体収容所の管理者の指定等、管理全般に関する事項 ・行方不明者の捜索、遺体搬送に関する事項 ・検視・検案未実施遺体の一時保存等の取り扱いに関する事項 ・遺体収容所設置等に関する資機材の確保、調達、保管および整備に関する事項 ・死亡届の受理・火葬許可証の発行等 ・遺体の火葬 ・身元不明遺骨の取り扱い 【具体的な取組】 @ 災害に際し、死亡者や行方不明者(行方不明の状態にあり、様々な状況から既に死亡していると推定される場合)が発生したときは、遺体の捜索・処理埋葬の各段階において、区・都および防災関係機関相互の連絡を緊密にして、遅滞なく処理し、人心の安定を図る。 A 遺体の取り扱いにあたっては、死者に対する礼が失われることのないように最大限配慮するとともに、遺族心情等を考慮して速やかに遺族に引き渡す必要がある。遺体の捜索、収容、検視・検案および火葬等については、次の流れにより、区、都、警察署等が協力して行う。 ? 図表3-25 遺体取り扱いの流れ ※1 警視庁は、区市町村が実施する遺体の捜索、遺体の収容等に協力する。自衛隊は、都の要請に基づき、行方不明者の救助・救出、遺体を関係機関へ引き継ぐ。 ※2 区市町村の要請に基づき、都保健医療局が関係機関(全国霊柩自動車協会等)に協力を要請する。 第1 行方不明者の捜索 ○区は、都総務局等各部局、所轄警察署等関係機関と連携し、遺体および行方不明者の捜索および収容を行う。 1 行方不明者および遺体の捜索 図表3-26 各機関の対応内容 機関名 活  動  内  容 区 ・都総務局等各部局、所轄警察署等関係機関と連携し、遺体および行方不明者の捜索および収容を行う。 都総務局 ・区からの要請等に基づき、行方不明者等の捜索や発見した遺体の収容に関して関係機関との連絡調整にあたり、捜索・収容作業が円滑に実施できるよう支援する。 警視庁 ・区が実施する遺体の捜索・収容に協力する。 ・各警察署において、行方不明者の届出受理の適正を期するとともに、情報の入手に努め、積極的に調査を実施する。 ・身元不明者については、人相・所持品・着衣・特徴等を写真撮影するとともに、遺品を保存して身元の確認に努める。 陸上自衛隊 第1師団等 災害派遣部隊 ・都の要請に基づき、行方不明者等の救助・救出に万全を期すとともに、救助・救出活動に伴い発見した遺体に関し、関係機関へ引き継ぐなど適正な処理を行う。 東京海上 保安部 ・東京港内およびその周辺に行方不明者が発生した場合は、所属巡視艇等により捜索を実施する。 ・上記により収容した遺体は、都および警察署等関係機関と協議して定められた岸壁に揚収し、所要の措置を行った後、区に処理を引き継ぐ。 ※捜索の期間は、災害発生の日から10日間とする。ただし、10日を経過してもなお遺体および行方不明者を捜索する必要がある場合には、捜索期間内(10日以内)に都知事あてに申請する。 2 遺体収容所への遺体の搬送 @ 区部は、遺体収容所の管理者に連絡のうえ、作業員の雇上げまたは警視庁等関係機関の協力を得て、遺体を遺体収容所に搬送する。遺体の輸送に際しては、遺体収容袋を使用する等して輸送するものとする。 A 遺体収容所への搬送に関して区は、以下を基本的な考え方とする。 ・遺体収容所の管理者に連絡の上、遺族等による搬送が困難な遺体の搬送 ・遺体搬送にあたり、状況に応じて都および関係機関への協力を要請 ・遺体収容所での受付に支障のないよう、遺体発見者・発見日時・発見場所・発見時の状況・遺体の身元認知の有無等を可能な限り確認 ・身元が明らかな遺体を搬送する場合は、遺族の付き添いを原則 3 遺体収容所の開設 @?区は、災害発生後速やかに、遺体収容所を開設し、必要器具を確保・調達したうえで、遺体を収容するとともに、開設状況について都および警視庁(所管警察署)に報告する。 A?遺体収容所の開設・運営等に関して区の対応のみでは充分でないと認められる場合は、都および関係機関に応援を要請する。 B 遺体収容施設の開設に際しては事前に定められた施設の活用を基本とするが、遺体が多数のため一時安置できない場合において、区有施設等を弾力的に活用する。 ? 第2 遺体の検視・検案・身元確認等 ○区は、遺体収容所の運営を施設管理者との連携のもと行う。また、警視庁検視班、遺体収容施設等と連携しながら検視・検案・身元確認等に対応する。 1 遺体収容所における業務 区は、遺体収容所に管理責任者を配置し、遺体収容所設置に関する初動的な対応や遺体収容所における各種業務を円滑に遂行するための連絡調整等にあたる。 遺体収容所においては、監察医務院等関係機関による検視・検案の実施、遺体検案書の交付の後、区は、死亡届の受理等の関係法令に基づく手続きを行い、警視庁や関係機関と連携し、遺体の引き渡しや必要に応じて遺体の洗浄等を一括的に処理することとする。 (1)遺体の身元確認 @ 区は、警視庁より引き継いだ身元不明遺体の適正な保管に努め、概ね1週間を経過した身元不明遺体を火葬する。 A 区は、引取人のない焼骨について、遺留品とともに1年間保管し、その後、都営納骨堂等に保管する。 (2)遺体の一時保存 災害時の遺体は、その身元識別に相当の時間を必要とするため、区は、遺体の腐敗防止対策を実施し一時保存を行う。 (3)遺体処置の期間 遺体処置の期間は、災害発生の日から10日以内とする。ただし、10日を経過してもなお遺体の処置が必要な場合は、処置期間内(10日以内)に都知事あて期間の延長を協議する。 2 遺体の検視・検案・身元確認等 区は、遺体収容所における検視・検案を含めた遺体収容所の運営を準備する。遺体の検視・検案について必要があるときは、警視庁に検視班等の現地出動または遺体収容所への出動要請を行い、これに必要な措置を実施する。また、状況によっては、医師会、歯科医師会の医師・歯科医師に検視・検案協力を依頼する。 (1)検視・検案活動 @ 区は、遺体収容所における検視・検案を含めた遺体収容所の運営を準備する。 A 検視・検案は、同一場所で集中的に実施できるよう、遺体収容所の配置および業務体制の整備等を決定する。 B 遺体の受付業務は、検視・検案業務を適正かつ円滑に実施できるよう、警視庁(各所管警察署)職員の指示に基づき協力して行う。 (2)遺体の身元確認 @ 区は、身元不明者および身元不明遺体の保管を周知する。 A 警視庁より引き継いだ身元不明遺体は適正な保管に努める。 (3)遺体の遺族への引渡し @ 警視庁や関係機関と連携し、警視庁「遺体引渡班」職員の指示に基づき遺体を家族に引き渡す。 A 検視・検案を終え遺族等に引き渡された遺体について、死亡届を受理し、速やかに火葬許可証(または特例許可証)を発行する。 (4)死亡者に関する情報の提供 都および警視庁(所管警察署)ならびに関係機関等と連携し、災害に伴う死亡者に関する情報を提供するとともに、問合せ窓口を開設する。 第3 遺体の火葬 ○区は、死亡届の受理・火葬許可証の発行、遺体の搬送、火葬等の対応を区、警視庁、遺体収容施設等と連携しながら対応する。 1 死亡届の受理・火葬許可証の発行等 @ 区は、検視・検案を終え遺族等に引き渡された遺体に関し、死亡届を受理し、速やかに火葬許可証を発行する(国により火葬許可証発行の特例が認められた場合は、特例許可証を発行)。 A 大規模災害時等に極めて多数の死亡者が発生し、死亡届に係る確認等ができない等、通常的な区の火葬許可証の発行が困難な場合、都から、国に対して特例的な措置を要請する等の支援を受ける。 2 火葬場への遺体の搬送 区は、遺族等による搬送・火葬が困難な遺体、または遺族のいない遺体について、火葬実施が可能と確認された場合、火葬場に搬送し火葬に付する。 3 遺体の火葬 遺体を火葬する場合、区は、災害遺体送付票を作成し、遺体を臨海斎場または桐ヶ谷斎場に搬送する。 ・火葬は、災害による一時的混乱時期に行うものであり、応急的な火葬である。 ・火葬の方法は、現物給付を原則として、棺、ドライアイス、骨壷等必要な物資の支給、あるいは火葬、納骨等に係る役務の提供とする。遺族がいない場合は、区が火葬に必要な物資の調達、火葬を一括して実施する。 ・遺留品は包装し、氏名札および遺留品処理票を付し、区が指定する保管所へ送付する。 ・遺留品引取りで希望する者があるときは、焼骨処理票によって整理のうえ交付する。 4 遺体の広域火葬 @ 区は、状況に応じて都に広域火葬の応援・協力を要請する。 A?区は都と調整を図り、広域火葬の円滑な実施と住民への広域火葬体制の広報に努める。 B 都の調整のもと割り振られた火葬場に、区は、火葬に必要な事項、手順等を確認し、遺体の搬送に必要な車両を確保する。 C 区は、遺体収容所から受入れ火葬場まで遺体搬送のための措置を講じ、区域内で対応できない状況となった場合には、都に対して、遺体搬送手段の確保を要請する。 5 身元不明遺骨の取り扱い @ 区は、身元不明遺体の遺骨を遺留品とともに火葬場から引き取り、遺骨遺留品保管所に保管する。1年以内に引取人が判明しない場合は、身元不明者扱いとして、都営納骨堂その他別に定める場所で保管する。 A 警視庁(所管警察署)と協力して身元不明の遺骨の引取人を調査する。 ? 第10章 津波対策 対策の基本的な考え方 南海トラフ巨大地震において、区内で最大となる津波高は2.38mであり、河川敷や一部の市街地が浸水するおそれがある。 ここでは、津波のおそれがあるときの活動体制や避難体制、津波による浸水被害の軽減に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 活動・避難体制 第1 人員配備・水防資機材の確保 ○区等は、津波のおそれがあるときは、直ちに事態に即応した配備体制をとり、大型土のう等の作製、運搬、積み込み等の水防活動を行う。 第2 避難対象地域からの区民等の避難誘導 ○区は、津波避難施設のほか津波による危険が及ばないと予想される地域にある高台を基本とし、より安全な場所への避難を促す。 ○また、防災行政無線や広報車等により伝達を行う。 第3 被災者の域外避難 ○区は避難所で全ての被災者を受け入れることが困難なときは、他地区への移送について、都へ要請する。 ○都から被災者の受入れを指示された場合は、受入体制を整備する。 対策2 津波による浸水被害の軽減 第1 河川・港湾施設の応急復旧、緊急工事等 ○区は、管内の河川施設(特に工事中の箇所および危険箇所)について重点的に巡視する。なお、区内の河川施設の応急・復旧対策については、大規模なものを除き、都の助言の下に実施する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 活動・避難体制 対策2 津波による浸水被害の軽減 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 活動・避難体制 都 ■被災者の域外避難の移送に関する調整を行う。 第三管区 海上保安部 ■船舶等に対して必要な命令または勧告等を実施 警視庁 ■避難指示の伝達および避難誘導を迅速・的確に実施 区 ■津波に関する情報の収集 ■関係部局・機関との連絡調整 ■避難指示の発令 ■避難の呼びかけ、避難誘導 ■人員配備・水防資機材の確保 ■被災者の域外避難の移送に関する都への要請 津波による浸水被害軽減 関東地方 整備局 ■都および区の行う応急対策支援 都 ■河川施設の応急・復旧および区が実施する応急措置支援 ■破損等の被害を受けた場合の復旧工事等の実施 ■管路、ポンプ所等の下水道施設の応急・復旧等の実施 区 ■管内の河川施設、特に工事中の箇所および危険箇所の重点的な巡視 ■被害箇所に係る都への報告および必要な措置の実施 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 活動・避難体制 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・被災者の域外避難の移送に関する調整 第三管区 海上保安部 ・船舶等に対して必要な命令または勧告等を実施 警視庁 ・避難指示の伝達および避難誘導を迅速・的確に実施 東京消防庁 ・津波の危険が予測される区域を管轄する消防署の活動体制は、火災等の発生および消防力の状況等を勘案し、震災消防活動に準じて活動 区 ・津波に関する情報の収集 ・関係部局・機関との連絡調整 ・避難指示の発令 ・避難の呼びかけ、避難誘導 ・人員配備・水防資機材の確保 ・被災者の域外避難の移送に関する都への要請 区民等 ・自発的な津波からの避難行動の実施 【具体的な取組】 第1 人員配備・水防資機材の確保 ○区等は、津波のおそれがあるときは、直ちに事態に即応した配備体制をとり、大型土のう等の作製、運搬、積み込み等の水防活動を行う。 1 水防活動体制 区等は、津波のおそれがあるときは、直ちに事態に即応した配備体制をとり、水防活動を行う。 2 取組内容 @ 区は、堤防、護岸の崩壊に対しては、大型土のう等の作製、運搬、積み込み等の水防活動を行う。堤防、護岸の崩壊による災害発生および崩壊の拡大防止のため、緊急的に応急措置が必要な場合は都と連携し、応急対策工事を行う。 A?異常を発見した場合や水防活動内容等を水防本部(建設局)、建設事務所に速報する。 ? 図表3-27 区の水防活動の流れ 図表3-28 水門操作情報伝達系統(目黒川水門・天王洲水門) 関係機関 無線番号 NTT回線 TEL FAX TEL FAX 東京港建設事務所 (高潮対策センター) 76111 76101 03-3521-3015 03-3521-2969 3 津波警報・注意報等発表時の初動体制 @ 区災害対策本部の設置および運営、災害対策要員の動員、非常配備に関する応急対策を実施する。 A?区内に津波警報・注意報等が発表されたときは、初動体制をとり、以下の業務を行う。 ・津波に関する情報の収集に関すること。 ・避難等に関する区民への周知に関すること。 ・関係部局・機関との連絡調整に関すること。 ・津波避難施設との連絡調整に関すること。 ? 第2 避難対象地域からの区民等の避難誘導 ○区は、津波避難施設のほか津波による危険が及ばないと予想される地域にある高台を基本とし、より安全な場所への避難を促す。 ○また、防災行政無線や広報車等により伝達を行う。 1 津波避難施設および避難経路 @ 避難目標は、津波避難施設のほか津波による危険が及ばないと予想される地域にある高台を基本とし、より安全な場所への避難を促す。ただし、避難する時間がない場合、高台まで遠くて避難が難しい場合は、近隣の津波避難施設や堅固な建築物の上層階への避難を促す。 A 避難誘導にあたっては、避難路の被害状況を勘案し、より安全な経路に誘導する。 2 避難の呼びかけ 避難を呼びかけるときは、防災行政無線、広報車、ホームページ、品川区公式SNS、エリアメールにより伝達するとともに、報道機関と連携しテレビやラジオ等により広報を行う。 3 避難誘導 @ 区は、津波警報・注意報等の情報を迅速・的確に収集し、警視庁や東京消防庁等と連携して区民や事業者、観光客等に伝達するほか、安全な避難路にて避難誘導を行う。避難を呼びかけるときは、防災行政無線、広報車および報道機関との連携を図る。 A 近海で地震が発生した場合、津波警報・注意報等発表以前であっても、津波が来襲するおそれがある。したがって、強い揺れ(震度4程度以上)または長時間ゆっくりとした揺れを感じたときには、次のとおり措置する。 ・津波による浸水想定区域内にいる者は、直ちに退避し、区民等は、テレビ、ラジオの放送を聴取する必要がある。また、区は津波発生時の対応について区民等に周知徹底を図る。 ・地震発生後、気象庁から津波注意報、津波警報等が発表されたときは、直ちに区民等に対して避難指示を発令する。 ? 第3 被災者の域外避難 ○区の避難所に被災者を受入れることが困難なときは、被災者の他地区への移送について、知事へ要請する。 ○都から被災者の受入れを指示された区長は、受入れ体制を整備する。 @ 区は、必要があると認められる場合は、被災者の域外避難の移送に関して都へ要請する。 A 区は、区の避難所に被災者を受け入れることが困難なときは、被災者の他地区(近隣の非被災地区もしくは小被災地または隣接県)への移送について、都に要請する。 B 被災者の他地区への移送を要請した際は、区職員の中から移送先における避難所管理者を定め、移送先の区市町村に派遣するとともに、移送にあたっては引率者を添乗させる。 C 区は、都から被災者の受入れを指示されたときは、受入体制を整備する。 D 移送された被災者の避難所の運営は移送元の区市町村が行い、被災者を受け入れた区は運営に協力する。 ? 図表3-29 津波予報(津波警報・注意報等)伝達系統図 (注)1 気象庁本庁から「NTT 東日本およびNTT 西日本」への伝達は、警報が発表されたときおよびそれが解除されたときに限られる。 2 小笠原村については、気象庁本庁から父島気象観測所あて情報を通報して、小笠原村役場を通じて防災関係機関、一般市民に通知される。 3 緊急警報信号は、津波警報発表時のみ発信する。 4 二重枠で囲まれている機関は、気象業務法施行令第8条第1項の規定に基づく法定伝達先 5 矢印付きの経路は、特別警報が発表された際に、通知もしくは周知の措置が義務付けられている伝達経路 ? 図表3-30 避難誘導態勢 ? 対策2 津波による浸水被害の軽減 【各機関の役割】 機関名 役   割 関東地方 整備局 ・都および区の行う応急対策支援 都 ・河川施設の応急・復旧および区が実施する応急措置支援 ・破損等の被害を受けた場合の復旧工事等の実施 ・管路、ポンプ所等の下水道施設の応急・復旧等の実施 区 ・管内の河川施設、特に工事中の箇所および危険箇所の重点的な巡視 ・被害箇所に係る都への報告および必要な措置の実施 【具体的な取組】 第1 河川・港湾施設の応急復旧、緊急工事等 ○区は、管内の河川施設(特に工事中の箇所および危険箇所)について重点的に巡視する。なお、区内の河川施設の応急・復旧対策については、大規模なものを除き、都の助言の下に実施する。 区内の河川施設の応急・復旧対策は、大規模なものを除き、都の助言の下に区が実施する。 図表3-31 河川施設等への対応 機関名 役   割 都建設局 ・水位および潮位の観測を実施する。 ・河川施設および工事箇所の被災の発見に努める。 ・堤防、護岸の崩壊による災害の発生を防止するため、また崩壊の拡大防止のため緊急的に応急措置が必要な場合は、応急対策工事を行う。 都港湾局 ・水門等については、地震発生および津波警報が発表された場合には、必要な操作体制をとる。 ・海岸保全施設および工事箇所の被災の発見に努める。 ・緊急的に応急措置が必要な場合は、応急対策工事を行う。 都下水道局 ・管路、ポンプ所などの被害状況を確認し、必要な応急措置を講じる。 警視庁 ・被災者の人命救助等にあたるほか、周辺地域の交通規制を行う。 消防機関 ・救助活動を要する場合、火災等の発生および消防力の状況等を勘案し、震災消防活動に準じて活動する。 区 ・堤防、護岸被災による災害の発生防止のために、水防活動が必要な場合は応急対策工事を行う。 ・建設事務所、支庁、都建設局道路管理部・河川部に速報する。 ? 図表3-32 港湾施設への対応 機関名 役   割 関東地方 整備局 ・関係機関と連携を図りながら、被害を受けた港湾施設を速やかに把握するとともに、応急対策に必要な支援を行う。 都港湾局 ・港湾施設について、関係機関および関係民間団体の協力を得て必要な措置を実施する。 ・被災時の応急対策業務ならびに港湾区域において発生した船舶の航行安全に支障となる障害物の除去を行う。 ? 第11章 放射性物質対策 対策の基本的な考え方 震災により、放射性物質等の影響が懸念される事態が発生した場合、またはその発生が予見される場合、関係機関から情報収集を行うとともに、区民等へ情報提供を行う必要がある。 また、放射性物質等の影響が想定される地域への避難指示等の発令や避難誘導、保健医療活動の実施、風評被害への対応などが必要である。 ここでは、放射線対策に係る活動体制の整備、区民等への情報提供や放射性物質に対する応急措置に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 活動体制の整備 第1 放射線対策に係る体制の配備 ○国や都などの各関係機関からの情報収集を行い、迅速に庁内関係部署と情報を共有する。 対策2 区民等への情報提供 第1 区民への情報提供等 ○放射線量や放射性物質の測定・結果を必要に応じて公表する。理解しやすく誤解を招かない表現に留意し、繰り返し広報するよう努める。 対策3 放射性物質に対する応急措置 第1 区民等の避難対策の実施 ○区は、事故時には必要に応じて、区民等に対する避難指示等の発令、避難誘導、避難所の開設、避難住民の保護、情報提供、関係機関との連絡を行う。 第2 区が実施する保健医療活動 ○区は、必要に応じて外部被ばく線量の測定等を実施するとともに、健康相談窓口を設置する。 第3 放射線物質による区内の影響への対応 ○風評被害への対応を実施する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 活動体制の整備 対策2 区民等への情報提供 対策3 放射性物質に対する応急措置 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h   72h 初動態勢の 確立期 即時対応期 復旧対応期 活動体制の整備 区 ■国や都など各関係機関からの正確な情報収集 ■放射線影響対策に係る検討会等の開催 区民への情報提供 区 ■放射線量等に係る測定・検査および結果の周知 放射性物質に対する応急措置 区 ■区民の避難対策の実施 ■風評被害の防止対策 ■健康相談に関する窓口の設置 ■必要に応じ、外部被ばく線量等の測定 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 活動体制の整備 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・国や都など各関係機関からの正確な情報収集 ・放射線影響対策に係る検討会等の開催 【具体的な取組】 第1 放射線対策に係る体制の配備 ○国や都などの各関係機関からの情報収集を行い、迅速に庁内関係部署と情報を共有する。 @ 区は、国や都など各関係機関からの正確な情報収集を実施する。 A 庁内関係部署で速やかに情報共有を図る。 B 必要に応じて、放射線影響対策に係る検討会等を開催し、必要な対応事項について協議する。 ? 対策2 区民等への情報提供 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・放射線量等に係る測定・検査結果の周知 【具体的な取組】 第1 区民等への情報提供 ○放射線量や放射性物質の測定・結果を必要に応じて公表する。理解しやすく誤解を招かない表現に留意し、繰り返し広報するよう努める。 区は、放射線量や放射性物質の測定・結果をホームページ等で公表する。 ・情報提供にあたっては、情報の発信源を明確にするとともに、専門用語やあいまいな表現は避け、理解しやすく誤解を招かない表現を用いる。 ・ホームページ以外の情報伝達手段も活用し、繰り返し広報するよう努める。 ? 対策3 放射性物質に対する応急措置 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・区民の避難対策の実施 ・風評被害の防止対策 ・健康相談に関する窓口の設置 ・外部被ばく線量等の測定 【具体的な取組】 第1 区民等の避難対策の実施 ○区は、事故時には必要に応じて、区民等に対する避難指示等の発令、避難誘導、避難所の開設、避難住民の保護、情報提供、関係機関との連絡を行う。 区は、事故時には、区民等の避難対策として、必要に応じ次の措置を行う。 ・避難指示等の発令 ・避難誘導 ・避難所の開設 ・避難住民の保護 ・情報提供 ・関係機関との連絡 第2 区が実施する保健医療活動 ○区は、必要に応じて外部被ばく線量の測定等を実施するとともに、健康相談窓口を設置する。 @ 区は、健康相談に関する窓口を設置する。 A 区は必要に応じ、外部被ばく線量の測定等を実施する。 第3 放射線物質による区内の影響への対応 ○区は、風評被害への対応を実施する。 風評等により経済的な被害や社会不安が生じる。このような風評被害を防ぐために、区は、正しい情報を把握し発信する。 ? 第12章 区民生活の再建 対策の基本的な考え方 震災後に、被災した区民が早期に生活を再建していくには、区内の生活環境や住環境を早期に復旧・安定させることが重要となる。 ここでは、被災世帯に対する罹災証明の発行、義援金の配分のほか被災者への支援、応急教育・保育、災害廃棄物の処理などに係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 罹災証明の発行 第1 家屋・住家被害状況調査等 ○被害認定のための具体的な調査方法や判定方法などを定め、住家の被害状況調査を行い、都本部に報告する。 第2 罹災証明の発行 ○区内全域に甚大な被害が発生した場合、罹災証明発行に係る組織を立ち上げ、都と連携して早期に体制を確立する。 ○区は、被害認定調査結果に基づき、被災世帯に対して、罹災証明を発行する。火災による焼損状況等については、消防署と調整を行う。 対策2 義援金の募集・受付・配分 第1 義援金品の募集・受付等 ○区に直接寄せられた義援金品および都・日本赤十字社等で構成された「東京都義援金品募集配分委員会」等から送付された義援金を受け付ける。 第2 義援金品の配分 ○義援金品の受付・募集および配分に関して、区・関係者からなる品川区義援金品募集配分委員会で検討し、配分計画を策定する。また、義援金の募集・配分について、必要な手続きを明確化し、迅速な配分に努める。 対策3 被災者支援 第1 被災者の生活相談等の支援 ○区は被災者のための総合相談窓口を設け、相談、要望、苦情等を聴取し、その解決を図る。また、臨時窓口設置等により被災者の生活保護にあたる。 ○災害の規模に応じて、消防庁舎その他必要な場所で各種相談等に応じる。 第2 被災者の生活再建資金援助等 ○被災者の生活を支援するために、災害弔慰金や災害援護資金、被災者生活再建支援金等の支援内容について定め、円滑な手続きを行う。 第3 職業のあっ旋 ○区は、離職者の状況を把握し、公共職業安定所等や区内の業界団体・組合等へ雇用の維持等について、必要な要請を行うこととする。 第4 区税・保険料等の徴収猶予および減免 ○被災した納税義務者または特別徴収義務者、国民健康保険、国民年金の被保険者に対し、地方税法または区条例により、期限の延長、徴収猶予および減免等の緩和措置をそれぞれの実態に応じ適時適切な措置を講じる。 第5 被災建築物および宅地の余震等に対する危険度判定 ○被害を受けた建物および宅地の安全性を調査し、継続使用に伴う二次災害の防止に向け、より迅速な対応に努める。 対策4 応急教育・保育 第1 応急教育 ○震災時における応急教育にあたり、校舎や通学路の安全確認や授業再開時の決定・周知等を円滑に行う。また、必要に応じて心のケアや学用品の支給を行う。 第2 応急保育 ○保育園児の生命および身体の安全ならびに保育の確保に万全を期する。 ○医療従事者等の園児受入れ等、災害時における柔軟な対応が取れる体制をとる。 対策5 災害廃棄物処理 第1 初動体制の構築 ○区建築住宅部廃棄物課を中心に主に土木部と連携して処理を実施する。 ○区は、特別区内の1箇所以上で震度6強以上が観測された場合、または(仮称)特別区災害廃棄物処理初動本部長が招集した場合、職員を派遣し、特別区初動本部との情報連絡体制を構築する。 第2 災害がれき処理の実施 ○区は、救助活動、道路啓開などにより発生する災害がれきを適切に保管するため、仮置場を設置する。また、実際の被害棟数に基づき、災害がれき発生量を推計し、災害がれき処理基本方針を策定する。 ○災害がれきの処理は、東京二十三区清掃一部事務組合処理施設および民間処理施設において、特別区が連携して処理を実施する。 第3 生活ごみ処理の実施 ○発災後72時間以降、生活ごみの各戸収集を順次再開するための収集運搬体制確保および収集ルートを構築する。 ○災害時に発生する区域内のごみ処理実行計画を策定し、速やかにごみの処理を行う。 ○被害状況等を把握し、ごみの収集運搬ルートを定めるとともに、収集車両、燃料、人員等を東京二十三区清掃協議会(特別区災害廃棄物処理初動本部)と連携して確保し、円滑なごみ処理を行う。 第4 し尿処理の実施 ○区は、仮設トイレ等の設置状況を把握し、し尿処理実行計画を作成の上、収集体制を整備する。 ○区内のし尿処理は、下水道管への直接処理を原則としながら、被災地域の環境衛生の早期回復を図るため、平常作業と並行して、被災地域および避難施設等からのし尿を収集し、処理・処分を行う。 第5 災害廃棄物処理実行計画の作成 ○区は、発災後1週間から1ヶ月以内を目途に、品川区廃棄物処理計画に基づき、災害廃棄物処理実行計画を策定する。 第6 区民やボランティアへの周知 ○災害廃棄物の適正処理を行うには、区民やボランティアの協力が欠かせないため、必要な情報について広報する。 対策6 災害救助法等の適用 第1 災害救助法の適用 ○区内における災害が災害救助法適用基準のいずれかに該当し、または該当する見込みであるときは、口頭または電話で災害救助法適用を知事に要請する。 第2 激甚災害の指定 ○「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく激甚災害(激甚災害、局地激甚災害)の指定を受ける場合の手続きを定める。 【用語の解説】 @災害救助法 災害に際して、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を目的とする法律のことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 罹災証明の発行 対策2 義援金の募集・受付・配分 対策3 被災者支援 対策4 応急教育・保育 対策5 災害廃棄物処理 対策6 災害救助法等の適用 【応急復旧活動フロー】 応急・復旧対策 発災 24h 48h 72h 初動態勢の確立期 即時対応期 復旧対応期 罹災証明の発行 区 ■家屋・住家被害状況調査等の実施 ■罹災証明の発行準備に係る周辺業務 ■罹災証明の発行手続 東京 消防庁 ■火災による被害状況調査を実施 義援金の募集・受付・配分 区 ■義援金品の募集・受付等 ■義援金品の配分 被災者支援 区 ■総合相談窓口の開設 ■災害弔慰金等の支給 ■被災者の生活確保 ■職業のあっ旋 ■各種資金の貸付 ■区税・保険料等の徴収猶予および減免 ■被災建築物および被災宅地の応急危険度判定 東京 消防庁 ■災害の規模に応じて、消防庁舎その他必要な場所で各種相談等に対応 応急教育・保育 区 ■応急教育(活動再開準備、学用品の支給等) ■応急保育(医療従事者等の臨時保育) ■:対策の開始時期の目安 ? 応急・復旧対策 発災 24h 48h 72h 初動態勢 の確立期 即時対応期 復旧対応期 災害廃棄物処理 都 ■地域ブロック協議会、災害廃棄物処理支援ネットワークおよび関係業界団体への応援要請、調整を実施 ■有害物質対策や仮置場等の衛生管理を指導区市町村からの各施設の被災状況報告を受け、支援策を検討 ■仮置場、最終処分場の確保に関する支援 ■区市町村と連携して国に対して、災害廃棄物処理への応援を要請 区 ■所管区域内の仮置場の集積や運搬状況等を把握 ■処理施設の被災状況を調査し、施設復旧策を検討、都に報告 ■実態相当規模のがれきの最終処分受入れ場所を確保 ■災害がれき処理基本方針の策定 ■区域内で策定されたごみ処理計画に基づくごみの処理 ■区域内で策定されたし尿処理計画に基づくし尿の処理 ■災害廃棄物処理実行計画の作成 災害救助法等の適用 区 ■災害救助法の適用に係る手続き ■激甚災害の適用手続き 被災住宅の応急修理 都 ■被災住宅の応急修理(災害救助法適用後) 区 ■都から委任された応急修理対象者の募集・選定事務の実施 応急仮設住宅等の供給 都 ■応急的に仮設住宅等を供給する。 区 ■建設型応急住宅の設置 ■建設資材の調達 ■:対策の開始時期の目安 ? 対策1 罹災証明の発行 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・家屋・住家被害認定調査等の実施 ・罹災証明の発行準備に係る周辺業務の実施 ・調査の結果に基づき、速やかに罹災証明の発行手続を実施 東京消防庁 ・火災による被害状況調査を実施 ・区と連携し、発行時期や発行場所等について調整を図り、火災被害に係る罹災証明書の発行手続の支援を実施 【具体的な取組】 第1 家屋・住家被害状況調査等 ○被害認定のための具体的な調査方法や判定方法などを定め、住家の被害認定調査を行い、都本部に報告する。 @ 区は、国が標準的なものとして示した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」を参考とし、あらかじめ被害認定のための具体的な調査方法や判定方法などを定める。 A 上記指針に基づき、住家の被害状況調査を行い、都本部に報告する。 第2 罹災証明の発行 ○区内全域に甚大な被害が発生した場合、罹災証明発行に係る組織を立ち上げ、都と連携して早期に体制を確立する。 ○区は、被害認定調査結果に基づき、被災世帯に対して、罹災証明を発行する。火災による焼損状況等については、消防署と調整を行う。 1 罹災証明の発行準備 @?区は、区内全域に甚大な被害が発生した場合、罹災証明発行に係る組織を立ち上げる。 A 被災者の生活応急対策は、罹災証明の発行や義援金の募集などの事務のほか、災害救助法に基づく適用準備など、都と連携して迅速に実施する。 ・都は、区の罹災証明の発行手続き事務のほか、家屋の現況調査に関する応援要請に対して、他自治体や公的機関、大学等人員調整を広域的に実施し、手続きを推進する。 ・罹災証明の発行根拠となる、災害に係る住家被害認定調査を実施する。 ・罹災台帳を取りまとめる。 ・罹災証明の発行基準(揺れ・火災・浸水・流出・液状化・暴風等)を近隣自治体と調整する。 ・災害に係る住家被害認定調査の結果をデータ化し、罹災証明の発行準備をする。 ・罹災証明発行会場や業務フロー確立などの準備をする。 ・罹災証明の発行基準や発行時期、会場等を広報等により周知する。 ・火災に関する罹災証明の発行について東京消防庁との連携を図る。 ? 図表3-33 罹災証明の発行手続きに関するフロー 2 罹災証明の発行 被災した世帯が各種の融資や租税等の減免などを受けるにあたって、当該災害によって被災したという証明が必要となることから、区においては、消防署と調整し、建物の損壊や倒壊について被害認定調査を実施し、その結果に基づき、被災世帯に対して、罹災証明を遅滞なく発行する。なお、消防署長は、火災による被害状況調査および罹災証明書の発行について、区と連携を図り、必要に応じて発行手続きの支援を行う。 (1)発行手続き 企画部生活再建課は、管内の罹災台帳(台帳によって確認できないものは、申請者の立証資料)等に基づき、被災者の申請により、罹災証明書を発行する。 (2)証明の範囲 災害対策基本法第2条第1項第1号に規定する被害の範囲で、住家の被害の程度として、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない(一部損壊)について証明する。 ? 対策2 義援金の募集・受付・配分            【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・義援金品の募集・受付等 ・義援金品の配分 【具体的な取組】 第1 義援金品の募集・受付等 ○区に直接寄せられた義援金品および都・日本赤十字社等で構成された「東京都義援金品募集配分委員会」等から送付された義援金を受け付ける。 1 義援金の募集 @ 都、区、日本赤十字社各機関は、被害の状況等を把握し、義援金の募集を行うか否かを検討し、行う場合は事前に定めた内容(義援金事務処理に係る基本マニュアル等)により、適切に取り扱う。 A 都の義援金募集に協力して受領した義援金については、寄託者の求めに応じ受領書を発行する。ただし、口座への振込みによる場合は、振込用紙をもって受領書の発行に代えることができる。 2 義援金品募集配分委員会の設置 @ 品川区を指定した義援金・義援物資の募集・配分については、区、区議会議員、有識者等からなる「品川区義援金品募集配分委員会」を設置する。 A 委員会での審議事項は以下のとおりである。 ・被災者への義援金品の配分計画の策定 ・義援金品の受付・配分に係る広報活動 ・その他義援金品の受付・配分等に関して必要な事項 3 義援金品の受付等 @ 義援金品を直接受け付けるほか、銀行等に口座を開設し、振込みによる義援金を受け付ける。 A 義援品は被害の状況を勘案し、被災者が必要とする物資についてのみ募集し、指定の受付窓口で受け付ける。また、個人等からの義援品の受入れにあたっては、円滑な輸送供給を図るため品目を指定する等の抑制を図る必要がある。 第2 義援金品の配分 ○義援金品の受付・募集および配分に関して、区・関係者からなる品川区義援金品募集配分委員会で検討し、配分計画を策定する。また、義援金の募集・配分について、必要な手続きを明確化し、迅速な配分に努める。   1 義援金の配分 @ 区へ直接義援された義援金については、区・関係者からなる「品川区義援金品募集配分委員会」が策定した配分計画に基づき、被災者に配分する。 A 委員会から送金された義援金については、委員会が策定した配分計画に基づき、被災者に配分する。 2 義援品の配分 区に寄託された義援品は、都等からの義援品とともに被災者に配分する。 図表3-34 義援金受付・募集・配分に係る対応 各機関 対   応 都総務局 都福祉局 ・義援金の募集・受付に関して、区、日本赤十字社、関係機関等と検討 ・義援金の募集・配分について、必要な手続きの明確化 ・義援金に関する寄附控除(国税および地方税)等の取り扱いの確認 区 ・義援金の受付・募集および配分に関して、都、日本赤十字社、関係機関等と検討 ・義援金の募集・配分について、必要な手続きの明確化 ・義援金に関する寄附控除(国税および地方税)等の取り扱いの確認 ? 対策3 被災者支援 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・総合相談窓口の開設 ・災害弔慰金等の支給 ・被災者の生活確保 ・職業のあっ旋 ・各種資金の貸付 ・区税・保険料等の徴収猶予および減免 ・被災建築物および被災宅地の応急危険度判定 消防機関 ・災害の規模に応じて、消防庁舎その他必要な場所で各種相談等に対応 【具体的な取組】 第1 被災者の生活相談等の支援 ○区は被災者のための総合相談窓口を設け、相談、要望、苦情等を聴取し、その解決を図る。また、臨時窓口設置等により被災者の生活保護にあたる。 ○災害の規模に応じて、消防庁舎その他必要な場所で各種相談等に応じる。 災害時には、生命・財産が失われ、多くの人々が被害を受け、混乱した事態が考えられる。区は、これらの混乱を速やかに収拾し、人心の安定と社会秩序の回復を図るため、防災関係機関等と協力し、区民生活安定のための緊急措置を講じる。 1 総合相談窓口の開設 @ 区は、大震災時、区は被災者のための総合相談窓口を設け、相談、要望、苦情等を聴取し、その解決を図るとともに、相談内容、被害状況について、区関係部署をはじめ、都、防災関係機関との連絡を密にし、相談体制の確立を図る。 A?総合相談窓口では、生活再建支援の相談、住まいに関する相談(被災住宅の応急修理、家屋解体・撤去、民間賃貸住宅の借上げ等)、各種専門相談(法律、住宅融資、金融、労働、経営)、外国人を対象とした相談に係る窓口を設置することを検討する。法律相談について、区は弁護士三会と協定を締結し連携を行っていくとともに、区の法律相談員についても、必要に応じて活用する。 B 相談窓口には、女性が相談しやすいよう女性の相談員の配置などを考慮する。 2 消防機関 災害の規模に応じて、消防庁舎その他必要な場所で各種相談等に応じる。 ・被災建物、仮設建物および避難所における火災予防対策の徹底 ・電気、都市ガス等の機能停止に伴う火気使用形態の変化に対応した出火防止および機能復旧時における出火防止対策の徹底 ・危険物施設等における余震に対する警戒体制、構造、設備に対する点検等の強化 3 生活保護 @ 区は、生活保護法の定めにより、被災者の生活保護を行うものとする。 A?職員を動員して、災害救助法発動中に、「対象者の把握」、「面接・調査員等の配備」、「資金の確保のための整備」を行い、災害救助法適用の期間経過後の混乱を緩和するための活動を行う。 B 福祉課は、災害により生活に困窮する世帯に対して、生活保護法の定めるところにより、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う。なお、災害の状況に応じて臨時窓口の開設、保護決定の迅速化、保護金品の支給等を行う。 4 被災者生活実態調査の実施 区民の被害状況について、住宅等の被害状況を把握するだけでなく、生活需要を把握するため、区は都と連携して、被災全世帯の被災前後の生活状況、今後の意向等の実態を調査する。 5 災害ケースマネジメントの実施 区は、平常時から、被災者支援の仕組みを担当する課を明確化し、災害ケースマネジメント(一人ひとりの被災者の状況を把握した上で、関係者が連携し、被災者に対して、きめ細やかな支援を継続的に実施する取組み)の仕組みの整備について検討する。 第2 被災者の生活再建資金援助等 ○被災者の生活を支援するために、災害弔慰金や災害援護資金、被災者生活再建支援金等の支援内容について定め、円滑な手続きを行う。 1 災害弔慰金等の支給 災害により死亡した場合、区は、品川区災害弔慰金の支給等に関する条例に基づき、遺族に対して災害弔慰金を支給し、身体または精神に著しい障害を受けた場合、その者に対し災害障害見舞金を支給する。 2 被災者の生活確保 災害により被害を受けた区民が、早期に再起更生できるよう、区は、被災者に対する職業のあっ旋、租税等の徴収猶予および減免、資金の融資等の実施により、被災者の生活確保を図る。 3 災害復旧特別会計および災害復旧基金 (1)目的 首都直下地震など大災害が発生した場合、国、都などからの災害救助、復旧に対する財政的支援には一定の期間を要することが想定される。区は、災害発生直後に迅速な災害救助、復旧体制を確立し、区民の生命・財産を守るための財政的な備えを確保することを目的とし、災害復旧特別会計および災害復旧基金を設けた。 (2)内容 ア 品川区災害復旧特別会計 区は、災害復旧基金を財源とした「品川区災害復旧特別会計」を設けることにより、災害時における区民の生命、財産等を保護し、その安全を確保するとともに、災害発生直後において迅速に災害救助、復旧対応を行う。 イ 品川区災害復旧基金 区は、品川区災害復旧特別会計の財源となる「品川区災害復旧基金」を設け、予測できない災害に備え、災害発生直後の救助から復旧に至る一定期間に必要な資金を積み立てる。 4 各種資金の貸付 (1)災害援護資金 災害救助法の適用となった災害により、家屋等に被害を受けた世帯には、区が、品川区災害弔慰金の支給等に関する条例に基づき、世帯の所得、住居・家財の損害の程度により貸付を行う。 (2)中小企業への融資 国または都において被災中小企業者等に対する金融施策が出た場合、区は、その周知・あっ旋を行い、区中小企業事業資金融資は当面平常時と同様のあっ旋を行う。 (3)災害応急対策融資のあっ旋 区は、災害による住宅の修復に必要な資金について、周知・あっ旋を行う。 (4)社会福祉協議会 被災者を対象として小口生活資金の貸付を行う。 (5)被災者生活再建支援金の支給 自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、被災者生活再建支援金を支給する。 第3 職業のあっ旋 ○区は、離職者の状況を把握し、公共職業安定所等や区内の業界団体・組合等へ雇用の維持等について、必要な要請を行うこととする。 1 職業のあっ旋 @ 災害により離職を余儀なくされた被災者に対する職業のあっ旋については、公共職業安定所を通じ、早期再就職の促進を図っていく。 A 区は、被災者のために開設する相談所等において、離職者の状況を把握し、公共職業安定所等に必要な要請を行っていく。 2 業界団体・組合等への雇用の維持についての要請 区は国・都と連携し、区内の業界団体・組合等へ雇用の維持について要請する。 第4 区税・保険料等の徴収猶予および減免 ○被災した納税義務者または特別徴収義務者、国民健康保険、国民年金の被保険者に対し、地方税法または区条例により、期限の延長、徴収猶予および減免等の緩和措置をそれぞれの実態に応じ適時適切な措置を講じる。 1 特別区税の納税緩和措置 (1)期限の延長 災害により、納税義務者等が期限内に申告その他書類の提出、または区税を納付もしくは納入することができないと認めたときは、次の方法により当該期限を延長する。 ・災害が広域にわたる場合、区長が職権により、地域、期日等を指定する。 ・その他の場合、災害が収まったあと速やかに被災納税義務者等により申請があったときは、区長が納期限を延長する。 (2)徴収猶予 @ 災害により、財産に被害を受けた納税義務者等が区税を一時的に納入することができないと認められるときは、1年以内において徴収を猶予する。 A やむを得ない理由があると認められるときは、さらに1年以内の延長を行う。 (3)滞納処分の執行停止等 災害により、滞納者が、無財産となる等被害を受けた場合は、滞納処分の執行停止、および延滞金の減免等適切な措置を講じる。 (4)減免 被災した納税義務者に対し、納期未到来の特別区民税・軽自動車税について被害の状況に応じて減免を行う。 (5)相続の承認等の延長 激甚な災害の際は、相続の承認等の期日の延長を行う。 2 国民健康保険料および介護保険料等の減免等 (1)徴収猶予 災害により、財産に損害を受けた納付義務者が保険料を一時的に納付することができないと認められるときは、その者の申請に基づき、その納付することができないと認められる金額を限度として、6ヶ月以内において徴収を猶予する。 (2)減免 区は、災害により、生活が著しく困難となった者に対し、申請により被災の状況に応じて保険料を減免する。 3 更新申請を有効期間内にできなかった場合の要介護更新認定の受理(要介護認定の更新申請の特例) 被保険者が、災害その他やむを得ない理由により当該申請に係る要介護認定の有効期間の満了前に当該申請をすることができなかったときは、当該被保険者は、その理由のやんだ日から1ヶ月以内に限り、要介護更新認定の申請をすることができる(介護保険法第28条より)。 4 国民年金保険料の免除等 (1)免除の申請 災害により、被害金額が財産の価格のおおむね2分の1以上である損害を受けたときは、その事実を明らかにすることができる書類を添付のうえ、区に申請し、社会保険事務所長の承認を得る。 (2)支給停止の解除 老齢福祉年金が所得制限により支給停止となっている場合、受給権者、配偶者、扶養義務者等が災害によって多大な被害を受けたときは、前年の所得を基準とした支給停止を解除する。 5 放送受信料の免除等 @?災害救助法(昭和22年法律第118号)による救助が行われた区域内において、当該救助に係る災害により半壊、半焼または床上浸水以上程度の被害を受けた建物に受信機を設置して締結されている放送受信料を免除することができる。 A この場合において、免除の期間は、当該救助の期間の初日の属する月およびその翌月の2ヶ月間とする。 B 非常災害があった場合において、免除すべき放送受信契約の範囲および免除の期間につき、あらかじめ総務大臣の承認を受けたものを免除する。 6 電話料金の減免 NTT東日本等の関係機関は、料金等の減免を行ったとき、ホームページ等に掲示するほか、報道発表等でその旨を周知するよう努める。 第5 被災建築物および宅地の余震等に対する危険度判定 ○被害を受けた建物および宅地の安全性を調査し、継続使用に伴う二次災害の防止に向け、より迅速な対応に努める。 @ 被災建築物および被災宅地の応急危険度判定は、被害を受けた建物および宅地の安全性を調査し、継続使用に伴う二次災害の防止を目的とした業務であり、発災後の早い時期に実施する必要がある。 A 区は、都が設置した建築士による防災ボランティア制度「被災建築物応急危険度判定員」および「被災宅地危険度判定士」の協力を得て行う。 ? 対策4 応急教育・保育 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・応急教育(活動再開準備、学用品の支給等) ・応急保育(医療従事者等の応急保育) 【具体的な取組】 第1 応急教育 ○震災時における応急教育にあたり、校舎や通学路の安全確認や授業再開時の決定・周知等を円滑に行う。また、必要に応じて心のケアや学用品の支給を行う。 震災時における、園児、児童・生徒の生命および身体の安全ならびに教育活動の確保を図るため、幼稚園、区立学校における災害予防、応急対策について、万全を期する必要がある。 また、応急教育の実施のため必要な事項について定める。 1 教育活動の再開 (1)校舎等の安全確認・整備 区は、あらかじめ定めてある授業再開に必要なスペースなどの安全確認・整備を行い、教室等の確保にあたる。 なお、授業再開にあたっては、二次災害防止のため、校舎等の安全点検を行う。 (2)児童・生徒等の通学路の安全確認 授業再開にあたっては、児童・生徒等が安全に通学できる通学路の安全確認を行う。 (3)授業再開時期の決定 教育委員会は、各学校と協議のうえ、授業再開時期の目処を定める。これに基づき校長は、学校の実情に応じて授業再開時期を決定する。 (4)授業再開の保護者への周知 授業再開にあたって学校は、保護者に対し、授業再開の時期について掲示、ビラ等の手段により、周知、徹底を図るものとする。 2 心のケアの充実 発災後、地震への恐怖、家族等の死傷に伴う悲しみ、将来に対する不安など、大人も子どもも心が疲弊している状態にある。応急教育の立案にあたっては、このような児童・生徒等の心の状態を配慮し、心のケアの指導体制の充実を図るものとする。 3 学用品の調達および支給計画 (1)支給の対象 区は、災害により住家に被害を受け、学用品を喪失またはき損し、就学上支障の生じた小学校児童および中学校生徒(私立学校を含む)に対し、被害の実情に応じ教科書(教材を含む)、文房具および通学用品を支給する。 (2)支給の期間 教科書については、災害の発生の日から1ヶ月以内、その他については15日以内とする。ただし、交通、通信の途絶により学用品の調達および輸送が困難と予想される場合には、都知事が内閣総理大臣の承認を受け、必要な期間を延長する。 (3)支給の方法 学用品は、原則として都が一括購入し、区が、被災児童および生徒に配分する。なお、学用品の給与を迅速に行うために都知事が区長に職権を委任した場合は、区が教育委員会および校長の協力を得て、調達から配分までの業務を行う。 (4)費用の限度 ア 教科書代 教科書および教材で、教育委員会に届け出て、またはその承認をうけて使用しているものを給与するための実費 イ 文房具および学用品 (災害救助法施行細則で定める額) 小学校児童   1人につき 4,700円   中学校生徒 1人につき 5,000円 高等学校等生徒 1人につき 5,500円                         (令和4年12月22日現在) ※幼稚園については「教育委員会」を「子ども未来部保育課」と読み替えるものとする。 第2 応急保育 ○保育園児の生命および身体の安全ならびに保育の確保に万全を期する。 ○医療従事者等の園児受入れ等、災害時における柔軟な対応が取れる体制をとる。 @ 震災時における、園児の生命および身体の安全ならびに教育活動の確保を図るため、保育園における災害予防、応急対策について、万全を期する必要がある。 A 応急保育の実施のため必要な事項について定める。 1 災害復旧時の態勢 @ 保育園長は、職員を掌握するとともに、次の事項を調査し、保育課長に報告のうえ、保育課長の指示を仰ぐ。 ・保育園児の被災状況 ・インフラの状況 ・保育のニーズ ・職員の出勤状況 A 保育課長は、災害対策本部の指示のもと、災害状況に即した応急保育計画を策定し、臨時の保育を行うなど、速やかに調整する。 B 保育課長は、保育園ごとに担当職員を定め、情報および指令の伝達について万全を期する。 C?医療従事者等、災害対応にあたる者が養育する園児を受入れる。受入れにあたっては、拠点園等の一部の施設に集約して受入れることを想定する。 2 保育所保育料等の減免等 災害により損失を受けた場合は、その損失の程度に応じて減免する。また、納付期限を延長する。 ? 対策5 災害廃棄物処理 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・区市町村の収集・運搬機材の不足や人員不足等の要請に対して、地方公共団体等の関係者によって組織する地域ブロック協議会、災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)および関係業界団体への応援要請、調整を実施 ・有害物質対策や仮置場等の衛生管理を指導区市町村からの各施設の被災状況報告を受け、支援策を検討 ・仮置場、最終処分場の確保に関する支援 ・区市町村と連携して国に対して、災害廃棄物処理への応援を要請 区 ・所管区域内の仮置場の集積や運搬状況等を把握 ・処理施設の被災状況を調査し、施設復旧策を検討、都に報告 ・実態相当規模のがれきの最終処分受入れ場所を確保 ・災害がれき処理基本方針の策定 ・区域内で策定されたごみ処理計画に基づくごみの処理 ・区域内で策定されたし尿処理計画に基づくし尿の処理 ・災害廃棄物処理実行計画の作成 区民 ・区の指導に基づく分別の徹底 【具体的な取組】 第1 初動体制の構築 ○区建築住宅部廃棄物課を中心に主に土木部と連携して処理を実施する。 ○区は、特別区内の1箇所以上で震度6強以上が観測された場合、または(仮称)特別区災害廃棄物処理初動本部長が招集した場合、職員を派遣し、特別区初動本部との情報連絡体制を構築する。 1 災害廃棄物処理体制の構築 @?災害廃棄物は、区建築住宅部廃棄物課を中心に主に土木部と連携して処理を実施する。 A 区は、特別区内の1箇所以上で震度6強以上が観測された場合、または(仮称)特別区災害廃棄物処理初動本部長が招集した場合に、あらかじめ指定した非常参集職員を(仮称)特別区災害廃棄物処理初動本部へ派遣し、特別区初動本部との情報連絡体制を構築する。 B?区は、都、協定締結先などと連絡調整の上、災害廃棄物の共同処理を実施する。また、自衛隊、警察、消防には災害対策本部を通じて協力要請を行う。なお、広域処理を行なう場合は、原則、都を窓口として、他府県に応援を要請するほか、環境省が事務局となって運営する災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)を活用し、廃棄物処理を円滑・迅速に行う。 C 区は、災害廃棄物の発生量をもとに、処理しなければならない災害廃棄物量を要処理量として逐次把握する。また、各仮置場への搬入状況を踏まえ、随時、発生量および要処理量の見直しを行うとともに、各処理施設の復旧見込時期や稼働状況を踏まえ、処理可能量を見直す。要処理量に対して、処理可能量が不足する場合は、人材、資機材、処理施設の確保や広域処理の調整を特別区対策本部へ要請する。 第2 災害がれき処理の実施 ○区は、救助活動、道路啓開などにより発生する災害がれきを適切に保管するため、仮置場を設置する。また、実際の被害棟数に基づき、災害がれき発生量を推計し、災害がれき処理基本方針を策定する。 ○災害がれきの処理は、東京二十三区清掃一部事務組合処理施設および民間処理施設において、特別区が連携して処理を実施する。 1 被害状況の把握 @ 区は、家屋などの倒壊および焼失状況、道路の被害、障害物などの状況、公園の被害状況について把握する。 A 区は、区清掃関連施設(清掃事務所など)、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設の被災状況、民間処理施設、最終処分場、有害物質処理事業者の被災状況、稼働状況を把握する。 B 区は、所管施設および品川清掃工場周辺の道路被災状況を把握する。 C?区は、協定締結機関などを通じて、重機、運搬車両等のなど提供先の被災状況を把握する。 D 区は、救出救助の実施状況、道路啓開作業の進捗状況、応急活動拠点等の利用状況や利用可否状況を把握する。 2 道路啓開等の実施 @ 協定締結機関との連絡手段を確保し、道路啓開および災害がれき運搬などに関する協力要請を行う。 A?区は、区内の道路被害状況を把握し、品川区地域防災計画に基づき、道路啓開作業(障害物の除去)を実施する。実施にあたっては、協定団体と連絡調整を行い、必要な重機などを確保する。道路啓開に伴う災害がれきは、仮置場などへ運搬し適切に保管する。 B 区が締結している協定先などだけでは災害がれきの運搬車両および仮置場などで使用する重機を確保できない場合は、都へ支援を要請する。 3 仮置場の設置等 @ 救助活動、道路啓開などにより発生する災害がれきを適切に保管するため、区は、一時的な仮置場として、応急仮置場を設置した場合には、災害対策本部を通じて、自衛隊、警察、消防などの救助活動機関へ設置場所を報告する。 A 応急仮置場に一時的に仮置きした災害がれきは、一次仮置場などを設置した場合は、速やかに一次仮置場などへ運搬するなどして、適切に管理する。 なお、一次仮置場は、区内の大規模な公園を中心に設置する。都有地および国有地を候補地とする場合は、都へ要請する。 B 一次仮置場に仮置きされた災害がれきなどは、一定期間後にさらなる分別などの処理を実施する二次仮置場へ搬出する。 二次仮置場の設置、運営は特別区全体で行い、実務は特別区対策本部が行う。 C 二次仮置場から処理施設、広域処理の積み出し施設などまで災害がれきを運搬する車両の確保、管理は対策本部において行う。 D 仮置場などを閉鎖した場合は、閉鎖した旨と閉鎖後に排出された災害がれきの処理方法を区民に周知する。区は、土壌調査などの環境測定を実施し、安全性を確認する。 4 有害物質の処理 @ 有害物質取扱施設や危険物取扱施設が被災し、有害物質などの漏えいがある場合は、事業者が応急措置を行いその後適切な処理を行う。 A 二次災害の発生のおそれが切迫している場合、東京消防庁などの機関による中和処理などの応急措置が実施される。事業者が自ら処理を行えない場合などで区が処理作業を担う必要がある場合は、応急措置が完了し安全が確保されてから、作業を実施する。 B 区は解体・撤去作業の際、がれきを種類別に分別して搬出し、また石綿を含有する建材については関係法令に基づき適正に取り扱うよう、仮置場の維持管理業務、仮置場からのがれきの搬出等、委託業者への指導を徹底する。 5 災害がれき発生量推計、処理の実施 @ 区は、実際の被害棟数に基づき、災害がれき発生量を推計する。災害がれき発生量の推計は、基本方針の策定にあたって重要であることから、できるだけ早期に正確に行う。災害発生直後において全壊・半壊・焼失ごとの被害棟数を調査し、把握する。把握することが困難であること予測される場合、全壊・半壊・焼失とみられる概ねの全体棟数から推計する。時間経過とともに建物被害概況調査の結果や被災建物応急危険度判定によって、全壊・半壊・焼失の内訳が明らかになった場合は、それぞれの被害棟数から災害がれきを推計する。 A 区は、災害がれき処理基本方針を策定する。災害がれき処理方針を作成し次第、都環境局および特別区初動本部に提出する。 B 災害がれきの処理は、東京二十三区清掃一部事務組合処理施設および民間処理施設において、特別区が連携して処理を実施する。処理施設の処理能力については、特別区初動本部が、民間処理施設については都環境局がそれぞれとりまとめ、情報の共有化を図る。 C 中間処理施設への災害がれきの搬入調整は、特別区対策本部において決定、指示を行う。 D 災害がれき処理にあたっては、埋立処分量削減のため可能な限り再資源化する。区または特別区対策本部は、民間処理施設で処理された資源化物を、できるだけ速やかに資源化物の引取り先業者に引渡せるように業者の確保に努める。 E 既存処理施設から発生した埋立処分を要する残渣などは、平常時の処理ルートで処理する。 F 特別区内における既存の廃棄物処理施設のみでは、災害がれき処理の終了目標期限までに処理を終了することが困難な場合には、特別区全体として速やかに仮設処理施設を整備し、目標期限までに処理が終了するように努める。 6 公費解体 @ 区は、発災の状況に応じて示される国の方針に基づき、倒壊の危険性の高い被災住宅などの公費解体の範囲について決定する。 A 区は、決定した公費解体の範囲を公表し、公費解体実施に必要な解体業者などとの契約を進めるなど、必要な準備を行う。 B 区は、公費解体に伴う災害がれき処理の申請・相談窓口の設置し、受付準備を行う。受付にあたっては、申請手順などについて明らかにし、区民に周知する。 C 区は、発災の状況に応じて示される国の方針に基づき決定した範囲を踏まえ、倒壊の危険性の高い被災住宅の除去や区民から要望のあった損壊家屋の解体撤去を実施する。 ? 図表3-35 災害がれき処理に係る対応の流れ 図表3-36 がれき推定発生量 被害想定 震災廃棄物想定発生量(万t) 都心南部直下地震 M7.3 夕方18時 風速8m 132          〃        風速4m 130 ? 第3 生活ごみ処理の実施 ○発災後72時間以降、生活ごみの各戸収集を順次再開するための収集運搬体制確保および収集ルートを構築する。 ○災害時に発生する区域内のごみ処理実行計画を策定し、速やかにごみの処理を行う。 ○被害状況等を把握し、ごみの収集運搬ルートを定めるとともに、収集車両、燃料、人員等を東京二十三区清掃協議会(特別区災害廃棄物処理初動本部)と連携して確保し、円滑なごみ処理を行う。 1 被害状況等の収集および共有 @ 区は、道路の被害、障害物などの状況を把握する。 A 区は、区清掃関連施設(清掃事務所など)、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設の稼働状況を把握する。 B 区は、所管施設および品川清掃工場周辺の道路被災状況などを把握し、特別区初動本部などと情報を共有する。 C 区は、区直営の運搬車両や独自に契約している車両、雇上業者車両の被害状況を把握し、活用可能な運搬車両の台数を把握する。 D 区は、各避難所の避難者数、避難所におけるライフラインの被害状況、地区仮置場の設置場所、緊急医療救護所および医療救護所の設置状況を把握する。 2 ごみ処理実行計画 区は、災害時のごみ発生量の推計結果と、避難所や地区仮置場などでの収集運搬を考慮した上で必要な車両や人員などを算定し、災害時のごみ処理作業計画を作成する。 3 地区仮置場の設置 @ 区は、あらかじめ検討した候補地より、被害状況に応じて、関係機関と調整の上、地区仮置場を選定・決定する。 A 区が設置した地区仮置場は、原則として区が管理を行う。必要に応じて民間委託も検討する。地区仮置場で受け入れる災害廃棄物は、区内で発生した災害廃棄物のうち、損壊家屋から排出される家財道具などの片付けごみとし、被災者が自ら運搬することを基本とする。具体的な分別種類としては、腐敗性、可燃性、不燃性、危険物の4区分を基本とし、廃家電などのスペースも検討する。 B 区は、区民に対して、家庭におけるごみ排出の抑制やごみの分別排出の呼びかけを行う。なお、自ら運搬することが難しい要配慮者などへの支援(ボランティア活用など)も検討する。 4 ごみの収集・運搬、処理等 @ 区は、災害時に避難所などから発生する生活ごみなどを収集し、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設へ搬入する。 A 事業系ごみについては、原則排出事業者が一般廃棄物収集運搬業者に委託し処理するが、状況に応じて区が収集運搬を行うなど柔軟な対応を検討する。 B 直営車両および雇上車両を確保しても、なお必要な清掃車両の確保ができない場合、区は、東京二十三区清掃協議会(特別区災害廃棄物処理初動本部)に対して協定締結先の車両の応援要請を行う。東京二十三区清掃協議会(特別区災害廃棄物処理初動本部)より、応援の可否、車種別台数、作業員数、応援期間について連絡を受けた場合は、応援を受け入れる。 C 区は、直営車両、雇上車両および東京二十三区清掃一部事務組合の協定締結先からの支援車両だけでは、必要とするごみの運搬車両を確保できない場合、都へ広域支援の要請を行う。 資料79 現有清掃事務所別人員、機材およびごみ処理能力 資料80 災害廃棄物仮置場の種類、候補地および災害廃棄物の種類 図表3-37 ごみ処理に係る対応の流れ ? 第4 し尿処理の実施 ○区は、仮設トイレ等の設置状況を把握し、し尿処理実行計画を作成の上、収集体制を整備する。 ○区内のし尿処理は、下水道管への直接処理を原則としながら、被災地域の環境衛生の早期回復を図るため、平常作業と並行して、被災地域および避難場所等からのし尿を収集し、処理・処分を行う。 区は、各避難所等の避難人数、仮設トイレの設置場所や、し尿収集車台数等を把握した上で、し尿収集計画を策定し、し尿収集を行う。 1 被害状況等の収集および共有 @ 区は、道路の被害、障害物などの状況、整備しているマンホールトイレの被害状況を把握する。 A 区は、区清掃関連施設(清掃事務所など)、下水道処理施設、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設、民間処理施設の被害状況、稼働状況を把握する。 B 区は、所管施設および品川清掃工場周辺の道路被災状況などを把握し、特別区初動本部などと情報を共有する。また、都下水道事務所、水再生センターとの連絡体制を確保し、下水道の被災状況について、相互に情報共有する。 C 区は、協定締結機関などを通じて、運搬車両など提供先の被災状況を把握する。 D 区は、各避難所の避難者数、避難所におけるライフラインの被害状況、仮設トイレの設置状況を把握する。 2 仮設トイレなどの確保 発災によって断水が発生した場合でも、下水道が使用できかつ排水用の生活用水(プール、災害用井戸、貯水槽など)を確保できるときは、水洗トイレを利用することができる。しかし、下水道が被害を受けた場合や生活用水を確保できない場合は、衛生上の観点からも直ちに水洗トイレの使用を控え、(便槽型)仮設トイレや簡易トイレ(携帯トイレ)を使用する。 @ 区は、避難所や地域の備蓄倉庫で保管している便槽型仮設トイレなどを必要に応じて設置する。トイレ用水は、学校などのプール、受水槽、非常災害用井戸などを活用する。 A 区は、下水道が活用できる場合、必要に応じて避難所および公園などに設置しているマンホールトイレを設置する。避難所内およびその周辺のマンホールトイレは、避難所運営会議にて設置を行う。公園などは、災害対策本部の要請に基づき、各部および防災区民組織が連携して設置する。トイレ用水は、学校などのプール、受水槽、非常災害用井戸などを活用する。 B 区は、あらかじめ避難所や地域の備蓄倉庫で保管している携帯トイレを必要に応じて活用する。また、各家庭や事業所において、下水道の機能に支障が発生している場合には、事業者・区民があらかじめ備蓄している簡易トイレなどを使用する。 3 し尿処理実行計画 区は、し尿処理実行計画を作成する。項目は以下のとおりとする。 ・し尿発生量の推計 ・必要となる資機材の量の推計 ・確保可能な資機材の量の把握 ・都へ応援要請する資機材の量の確定 ・収集計画の決定 4 し尿の収集・運搬、処理等 @ 区は、協定締結機関との連絡手段を確保し、し尿収集・運搬などに関する協力要請を行う。 A 区は、品川清掃作業所、民間し尿処理施設、清掃工場の稼働状況について情報を収集する。 B 区内のし尿処理は、下水道が整備されているため、下水道管へ直接処理(投入)を原則とする(指定マンホールおよび水再生センター)。品川清掃作業所および民間し尿処理施設の利用については、作業効率が良いと判断された場合に利用する。 C 区は、避難所などから発生する簡易トイレの便袋などの汚物を収集し、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設へ搬入する。尿については、各家庭・事業所においてポリタンクなどの容器で保管し、各事業所では、下水道復旧後にトイレへ排水する。下水道の障害が長期にわたる場合は、各家庭において保管している分については区が収集し、指定されたマンホールへ搬入する。 D 区は、下水道管への直接処理ができない場合かつ区が締結している協定先などからの調達だけでは運搬車両などが確保できない場合、都へ応援要請を行う。 ? 図表3-38 し尿処理に係る対応の流れ ? 第5 災害廃棄物処理実行計画の作成 ○区は、発災後1週間から1ヶ月以内を目途に、品川区廃棄物処理計画に基づき、災害廃棄物処理実行計画を策定する。 区は、発災後1週間から1ヶ月以内を目途に、品川区廃棄物処理計画に基づき、災害廃棄物処理実行計画を策定する。災害廃棄物処理実行計画に定める事項は以下のとおりとする。災害廃棄物処理実行計画を作成後、都および特別区対策本部に提出する。 なお、災害がれきの推計量、処理見込み量を修正した時、当初の計画に大きな変更が生じた時は、災害廃棄物処理実行計画を見直し、都および特別区対策本部に提出する。 T 計画の基本的事項 1.実行計画策定の目的 2.計画の位置付け 3.役割分担 4.基本方針 5.被災状況および処理見込量 6.分別および処理方法 7.処理期間 U 処理計画 1.集積計画(応急仮置場、地区仮置場、一次仮置場の設置) 2.回収計画 3.運搬計画 4.受入基準 5.作業計画 V 実施スケジュール W 計画の見直し 第6 区民やボランティアへの周知 ○災害廃棄物の適正処理を行うには、区民やボランティアの協力が欠かせないため、必要な情報について広報する。 1 区民への周知 区は、災害廃棄物の収集・排出方法、分別の必要性や分別方法、不法投棄や野焼きなどの不適正処理の禁止、公費解体に関する手続方法などについて、区報やホームページ、区民避難所や町会・自治会をとおして、区民に周知を行う。 2 ボランティアへの周知 区は、ボランティアの受入に関する手続き方法、ボランティアに対する広報(心構え、持ち物や装備、注意事項など)を、ホームページなどをとおして周知を行う。? 対策6 ?災害救助法等の適用 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・災害救助法および激甚法の適用基準 ・災害救助法の適用手続き ・激甚災害の適用手続き 【具体的な取組】 第1 災害救助法の適用 ○区内における災害が災害救助法適用基準のいずれかに該当し、または該当する見込みであるときは、口頭または電話で災害救助法適用を知事に要請する。 1 災害救助法の適用基準 災害救助法の適用基準は、災害救助法施行令第1条に定めるところによるが、品川区における具体的適用基準は、次のとおりである。 ・住家の滅失した世帯数が区の区域内の人口に応じ次の世帯数以上(災害救助法施行令別表第1に定める数以上)であること。 人口  407,128人(令和5年6月1日現在)  滅失世帯= 150世帯 ・都の区域内の住家の滅失世帯数が2,500世帯数以上であって、区の滅失世帯数が75世帯以上であること。(災害救助法施行令別表第2、3に定める数以上) ・都の区域内で住家が滅失した世帯の数が災害救助法施行令別表第4に定める数以上の場合または災害が隔絶した地域に発生したものである等災害にかかった者の救護を著しく困難とする特別の事情がある場合、かつ、多数の住家が滅失したものであること。 ・多数の者が生命および身体に危害を受けまたは受けるおそれが生じた場合。 2 住家の滅失等の認定 @ 住家が滅失した世帯の算定にあたっては、住家が半壊し、または半焼する等著しく損傷した世帯は2世帯をもって、住家が床上浸水、土砂のたい積等により一時的に居住することができない状態となった世帯は3世帯をもって、それぞれの住家の滅失した1世帯とみなす。 A 住家の被害の認定にあたっては、次に定めるところとする。 (1)住家の滅失等の認定 ア 住家が滅失したもの @ 住家の損傷、焼失、または、流失した部分の床面積がその住家の延面積の70%以上に達した程度のもの。 A 住家の損壊、焼失、または、流失した部分の床面積が@には達しないが、その住家が改築しなければ居住できない状態になったもの。 イ 住家が半壊または半焼する等著しく損傷したもの 住家が損壊または焼失した部分の床面積が、その住家の延床面積の20%以上、70%未満の場合であって、その部分の修理を行うことによって住家として使用できる程度のもの。 ウ 住家が床上浸水、土砂のたい積等により一時的に居住できない状態となったもの @ 上記ア、イに該当しない場合であって、浸水がその住家の床上に達した程度のもの。 A 土砂、竹木等のたい積により一時的に居住することができないもの。 (2)世帯および住家の単位 ア 世帯 生計を一にしている実際の生活単位をいう。 イ 住家 現実に居住のため使用している建物をいう。ただし耐火構造のアパート等居住の用に供している部屋がしゃ断、独立しており日常生活に必要な設備を有しているもの等については、それぞれ1住家として取り扱う。 3 住宅関係障害物除去 @ 災害救助法に基づき、住家に運びこまれた土石、竹木等の障害物の除去を実施する該当家屋を調査する。 A 除去対象戸数および所在を調査し、都総務局に報告するとともに、関係機関と協力して、障害物を除去する。 (1)除去条件 住家に運びこまれた土石、竹木等の障害物の除去は、災害救助法に基づき、次の条件に該当する住家を早急に調査のうえ実施する。 ・自らの資力をもってしては、障害物の除去ができないもの。 ・居室、炊事場等生活に欠くことのできない部分に、障害となるものが運び込まれているか、または敷地等に運び込まれているため、家の出入りが困難な状態にあるもの。 ・当面の日常生活が営み得ない状態にあるもの。 ・住家が半壊または床上浸水したものであること。 ・原則として、災害救助法適用の原因となった災害によって住家が直接被害を受けたものであること。 (2)実施方法 @ 災害救助法適用前は、本部長が除去の必要を認めたものを対象として実施する。 A 災害救助法適用後は、除去対象戸数および所在を調査し、都総務局に報告するとともに、関係機関と協力して土石、竹木等の障害物の除去を実施する。 4 災害救助法の適用手続き @?災害に際し、品川区内における災害が上述の災害救助法適用基準のいずれかに該当し、または該当する見込みであるときは、本部長は直ちに、次に掲げる事項について、口頭または電話で知事(都本部長)に連絡し、災害救助法適用を知事に要請しなければならない。なお、この場合後日改めて文書により正式に処理しなければならない。 ・火災発生の日時および場所 ・災害の原因および被害の概況 ・適用を要請する理由 ・適用を必要とする期間 ・既にとった救助措置およびとろうとする救助措置 ・その他必要な事項 A 本部長は災害の事態が急迫して知事の救助を待つことができないときは、災害救助法の規定による救助に着手し、その状況を直ちに知事(都本部長)に報告する。なおその後の措置については知事(都本部長)の指揮を受けるものとする。 B 災害救助法による救助の内容は、次のとおりである。 ・避難所および応急仮設住宅の供与 ・炊き出し、その他による食品の給与および飲料水の供給 ・被服、寝具その他生活用品の給与または貸与 ・医療および助産 ・災害にかかった者の救出 ・被災した住宅の応急修理 ・生業に必要な資金、器具または資料の給与または貸与 ・学用品の給与 ・埋葬 ・死体の捜索および処理 ・災害によって住居またはその周辺に運ばれた土石、竹木等で、日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去 (救助の程度、方法および期間については、都知事の定めた基準によるものとする) ? 第2 激甚災害の指定 ○「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく激甚災害(激甚災害、局地激甚災害)の指定を受ける場合の手続きを定める。 @ 著しく激甚である災害が発生した場合における地方公共団体の経費の負担の適正化と被災者の災害復興の意欲を高めることを目的とした「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(以下「激甚法」という)が制定(昭和37年)されている。 A この法律は、激甚災害として指定された災害を対象に、国の地方公共団体に対する特別の財政援助と被災者に対する特別の助成措置を内容としている。 B 区の地域に、大規模な災害が発生した場合、区としても迅速かつ適切な応急復旧を実施するため「激甚法」による助成援助等を受けることが必要である。 C このため、「激甚法」に基づく激甚災害の指定を受ける場合の手続きおよび指定を受けた場合の手続き等を定める。 1 激甚災害指定基準 昭和37年12月7日中央防災会議が決定した基準(平成12年10月31日改正)であり、国が特別の財政援助等の措置を行う必要がある事業の種類別に次表のように基準を定めている。 ? ? 図表3-39 激甚災害指定基準一覧 適用すべき措置 激甚災害とされる被害の程度 激甚法第2章(公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助) 次のいずれかに該当する被害 (A基準) 当該災害に係る公共施設災害復旧事業等(法第3条第1項第1号および第3号から第14号までに掲げる事業をいう。以下同じ。)の事業費の査定見込額が全国の都道府県および市町村の当該年度の標準税収入の総額のおおむね0.5%を超える災害 (B基準) 当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額が全国の都道府県および市町村の当該年度の標準税収入の総額のおおむね0.2%を超える災害であり、かつ、次の要件のいずれかに該当するもの 1 都道府県が負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額が当該都道府県の当該年度の標準税収入の25%を超える都道府県が1以上あること。 2 1の都道府県の区域内の市町村がその費用を負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額の総額が、当該都道府県の区域内の全市町村の当該年度の標準税収入の総額の5%を超える都道府県が一以上あること。 激甚法第5条(農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置) 省略 激甚法第6条(農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例) 省略 激甚法第8条(天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例) 激甚法第11条の2(森林災害復旧事業に対する補助) 激甚法第12条、13条、15条(中小企業信用保険法による災害関係保証の特例等) 次のいずれかに該当する被害 (A基準) 当該災害に係る中小企業関係被害額が、当該年度の全国の中小企業所得推定額(第二次産業および第三次産業国民所得に中小企業付加価値率および中小企業販売率を乗じて推計した額。以下同じ。)のおおむね0.2%を超える災害 (B基準) 当該災害に係る中小企業関係被害額が当該年度の全国の中小企業所得推定額のおおむね0.06%を超える災害であり、かつ、一の都道府県の区域内の当該災害に係る中小企業関係被害額が当該年度の当該都道府県の中小企業所得推定額の2%を超える都道府県またはその中小企業関係被害額が1,400億円を超える都道府県が一以上あるもの ただし、火災の場合または法第12条の適用の場合における中小企業関係被害額の全国の中小企業所得推定額に対する割合については、被害の実情に応じ特例的措置を講ずることがあるものとする。 激甚法第16条(公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助)、17条、18条(私立学校施設災害復旧事業の補助等)、19条(市町村施行の感染症予防事業に関する負担の特例) 激甚法第2章の措置が適用される激甚災害について適用する。ただし、当該施設に係る被害または当該事業量が軽微であると認められる場合を除く。 激甚法第22条(罹災者公営住宅建設事業に対する補助の特例) 次のいずれかに該当する災害 (A基準) 当該災害による住宅の滅失戸数が被災地全域でおおむね4,000戸以上である災害 (B基準) 次の要件のいずれかに該当する災害 ただし火災の場合における被災地全域の滅失戸数については、被害実情に応じ特例的措置を講ずることがあるものとする。 1 当該災害による住宅の滅失戸数が被災地全域でおおむね2,000戸以上であり、かつ、1市町村の区域内で2,000戸以上またはその区域内の住宅戸数の1割以上である災害 2 当該災害による住宅の滅失戸数が被災地全域でおおむね1,200戸以上であり、かつ、1市町村の区域内で400戸以上またはその区域内の住宅戸数の2割以上である災害 激甚法第24条(公共土木施設、農地および農業用施設等の小災害に係る地方債の元利補給等) 公共土木施設および公立学校施設小災害に係る措置にあつては法第2章の措置が適用される災害、農地および農業用施設等小災害に係る措置にあつては法第5条の措置が適用される災害 上記以外の措置 災害発生のつど被害の実情に応じ個別に考慮 2 局地激甚災害指定基準 @ 災害を市町村団体の被害の規模でとらえ、その被害の深度の深い災害について、激甚災害として指定するため、昭和43年11月22日中央防災会議が以下のように基準を定めている(平成28年2月9日改正)。 図表3-40 局地激甚災害指定基準一覧 局地激甚災害指定基準 適用すべき措置 (公共施設災害関係) 次のいずれかに該当する災害 @ 当該市町村がその費用を負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等(法第3条第1項第1号および第3号から第14号までに掲げる事業をいう。以下同じ。)の査定事業費の額が次のいずれかに該当する市町村が1以上ある災害(該当する市町村ごとの当該査定事業費の額を合算した額がおおむね1億円未満のものを除く。) (イ)当該市町村の当該年度の標準税収入の50%を超える市町村(当該査定事業費の額が1,000万円未満のものを除く。) (ロ)当該市町村の当該年度の標準税収入が50億円以下であり、かつ、当該査定事業費の額が2億5,000万円を超える市町村にあつては、当該標準税収入の20%を超える市町村 (ハ)当該市町村の当該年度の標準税収入が50億円を超え、かつ、100億円以下の市町村にあつては、当該標準税収入の%に当該標準税収入から50億円を控除した額の60%を加えた額を超える市町村 A @の公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額からみて@に掲げる災害に明らかに該当することとなると見込まれる災害(当該災害に係る被害箇所の数がおおむね10未満のものを除く。) 法第3条第1項各号に掲げる事業のうち、当該市町村が当該災害によりその費用を負担するものおよび法第4条第5項に規定する地方公共団体以外の者が設置した施設に係るものについて法第2章の措置ならびに当該市町村が当該災害について発行を許可された公共土木施設および公立学校施設小災害に係る地方債について法第24条第1項、第3項および第4項の措置 (農地、農業用施設等災害関係) 省略 (林業災害関係) (中小企業施設災害関係) 当該市町村の区域内における当該災害に係る中小企業関係被害額が当該市町村に係る当該年度の中小企業所得推定額の10%を超える市町村(当該被害額が1,000万円未満のものを除く。)が1以上ある災害。ただし、上記に該当する市町村ごとの当該被害額を合算した額がおおむね5,000万円未満である場合を除く。 法第12条の措置 A 激甚災害指定等の政令の公布時期は、過去の例によると、災害終了後2ヶ月以内に行われる。局地激甚災害指定基準による公共土木施設等および農地等にかかわるものについては、災害査定によって決定した災害復旧事業費を指標としているため、翌年になってから指定することとなっている。 B この場合、公共土木施設等については、所定の調査表により、局地激甚災害に関する必要な事項等を調査する。 3 激甚災害指定手続 大規模な災害が発生した場合、内閣総理大臣は、都知事等の報告に基づき、中央防災会議の意見を聞いて、激甚災害として指定すべき災害かどうか判断する。この場合、中央防災会議は、内閣総理大臣に答申するに際し、激甚災害指定基準または局地激甚災害指定基準に基づいて激甚災害として指定すべき災害かどうかを答申する。この手続きを図示すると次のとおりである。 ? 図表3-41 激甚災害指定の手続き (注)局地激甚災害の指定については、1月から12月までに発生した災害を一括して翌年の1月〜2月頃に手続きを行う。 4 激甚災害に関する調査報告 (1)区 区は、激甚災害指定基準または局地激甚災害指定基準を充分考慮して、災害状況等を都に報告する。 (2)都 @?都内に大規模な災害が発生した場合、知事は、区市町村の被害状況等を検討のうえ、激甚災害および局地激甚災害の指定を受ける必要があると思われる事業について関係各局に必要な調査を行わせる。 A 前記の各局は、施設その他の被害額、復旧事業に要する負担額そのほか激甚法に定める必要な事項を速やかに調査し、総務局に提出する。 B 総務局長は前記各局の調査をとりまとめ本部長室(庁議)に付議するものとする。 C 総務局長は、区市町村長の報告および前記各局の調査結果をとりまとめ、内閣総理大臣に報告する。 5 特別財政援助額の交付手続 (1)区 区は、激甚災害の指定を受けたときは速やかに関係調書等を作成し、都各局に提出するものとする。 (2)都 都関係局は、激甚法に定められた事業を実施する。激甚災害の指定を受けたときは、都関係局は、事業の種別ごとに激甚法および算定の基礎となる法令に基づき負担金を受けるための手続きその他を実施する。 ? 第2部 風水害応急対策 第1章 安全なまちづくり 対策の基本的な考え方 公共土木施設や公共建築物が災害により被害を受けた場合は、救出救助およびその他の応急活動に極めて重大な支障を及ぼすため、速やかに応急措置を講ずる必要がある。 ここでは、施設の応急対策について示す。 各対策の要点 対策1 施設の応急対策  第1 道路・橋梁 ○各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、被害を受けた施設を復旧する。  第2 河川 ○区は、区有防災船着場および護岸等河川管理施設が崩壊等の被害を受けた場合、被害の拡大防止のため、施設の応急措置に努める。また、河川、護岸の応急復旧として、施設の基本的構造の変更を伴わないものについて、区で対応する。  第3 社会公共施設等 ○区は、区有施設の被害状況を調査し、品川建設防災協議会との「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき、避難所等の応急措置を実施する。  第4 区立幼稚園・区立学校の施設 ○校長の指揮監督のもとに自衛防災組織が中心となって、防災活動を行う。  第5 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館の施設 ○図書館長、文化センター館長、品川歴史館副館長、きゅりあん館長、品川区スポーツ協会事務局次長は、応急計画を樹立し自衛防災組織の結成を図り、災害時には防災活動を行う。  第6 文化財について ○区は、災害発生時に文化財の被害状況を把握し、その保全について、所有者および関係機関と連携して対応する。 【用語の解説】 @品川建設防災協議会 区内の建設関係の事業所で組織されている協議会のことをいう。災害時等に地域において、防災に関する技術を活かし、公共建築物や公共土木施設の応急点検、復旧などを行う組織。 ? 対策 対応テーマ 対策1 施設の応急対策 ※「第1部 第1章 安全なまちづくり」を準用する。 対策1 施設の応急対策 第1 道路・橋梁 ○各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、被害を受けた施設を復旧する。 道路、橋梁および道路付属物等が災害により被害を受けた場合、各道路管理者は、被害状況を速やかに調査し、公益占用物件および沿道等の復旧計画と調整のうえ、被害を受けた施設を復旧する。特に、公共の安全確保上、緊急に復旧を行う必要のある対象は次のとおりである。 @ 道路の陥没または決壊で、これによって当該道路による交通が不可能または、著しく困難であるもの。 A 道路の陥没または決壊で、これを放置することにより二次災害を生じるおそれのあるもの。各機関の活動態勢は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」に定めるところによる。 第2 河川 ○区は、区有防災船着場および護岸等河川管理施設が崩壊等の被害を受けた場合、施設の拡大防止のため、応急措置に努める。また、河川、護岸の応急復旧として、施設の基本的構造の変更を伴わないものについては、区で対応する。 図表3-42 機関別の対応内容 機関名 活  動  内  容 都 ○災害が発生した場合、直ちに、堤防、護岸、排水施設、防災船着場等の河川管理施設および工事箇所の被災状況を確認する。 ○区の実施する応急措置に関し、技術的助言および総合調整を行うほか、応急・復旧対策を総合的判断の下に実施する。 ○河川管理施設の応急・復旧対策について区に技術的助言を行うほか、大規模なものについては直接実施する。 ○巡回・点検および応急対策については、災害時における応急対策に関する協定により対処する。 区 1 被災状況の確認 災害が発生した場合、直ちに、防災船着場、桟橋等の河川管理施設の被災状況を確認する。 2 応急対策計画 (1)風水害により、区有防災船着場および護岸等河川管理施設が崩壊等の被害を受けた場合には、被害の拡大防止のため、施設の応急措置に努めるとともに排水に全力をつくす。 (2)河川、護岸の応急復旧としては、管理用通路の補修、大型土のうによる補強など、施設の基本的構造の変更を伴わないものについて、区で対応する。応急復旧に要する資機材は指定の水防倉庫に備蓄するものとする。 3 復旧計画 (1)水防活動と並行して管内の施設、特に工事中の箇所および危険箇所を重点的に巡視し、被害箇所については、直ちに都に報告するとともに、必要な措置を実施するものとする。 第3 社会公共施設等 ○区は、区有施設の被害状況を調査し、品川建設防災協議会との「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき、避難所等の応急措置を実施する。 1 品川建設防災協議会との協定に基づく措置 区は、被災した避難所および他の区有施設の被害状況を調査し、品川建設防災協議会との「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき、避難所等の応急措置を実施する。 資料61 資機材供給可能数【品川建設防災協議会】(再掲) 資料81 災害対策協力隊編成表【品川建設防災協議会】 ? 2 文教施設の応急対策計画 この計画は、品川区の地域における下表の文教施設(区立学校その他の教育機関および文化財)の災害対策の万全を図り、応急の予防、災害対策、復旧対策を通じて施設としての維持、機能の達成をはかることを目標とする。 図表3-43 対象施設 種  別 数 備  考 幼  稚  園 9 小  学  校 31 中  学  校 9 義務教育学校 6 図 書 館 品川図書館 1 南大井図書館 1 荏原図書館 1 源氏前図書館 1 二葉図書館 1 大井図書館 1 ゆたか図書館 1 五反田図書館 1 大崎図書館 1 大崎図書館分館 1 八潮図書館 1 大崎駅西口図書取次施設 (おおさきこども図書室) 1 こみゅにてぃぷらざ八潮 1 五反田文化センター 1 東品川文化センター 1 南大井文化センター 1 荏原文化センター 1 旗の台文化センター 1 品 川 歴 史 館 1 品 川 文 化 財 143 個人所有者等区所有以外の文化財を含む きゅりあん 1 荏原平塚総合区民会館 (スクエア荏原) 1 総 合 体 育 館 1 戸 越 体 育 館 1 第4 区立幼稚園・区立学校の施設 ○校長の指揮監督のもとに自衛防災組織が中心となって、防災活動を行う。 1 災害予防体制 @ 区立幼稚園・学校は、耐火建築物となっており耐火面の予防措置については特に考慮するものはない。 A 漏電その他による火災を早期に探知し最小限の被害にとどめるための設備として自動火災報知設備や消火器を設置している。 2 災害時の態勢 @ 教職員の自衛防災組織が中心となり校長の指揮、命令のもとに臨機応変の防災活動を行うものとする。 A 事態の緊迫した場合は児童、生徒の生命と安全を守るための避難活動が第一義的に要請されるが、校舎の保全管理その他連絡に必要な人員は確保し残留させるものとする。 B 火災源となるおそれのある設備の処置、薬品の処理は責任者の手において万全になされるものとする。 C 電気設備が使用不能となった場合、給水が不能となった場合の措置については綿密な計画を樹立しておくものとする。 D 学校施設は一時集合場所および避難所に充てられることになるが、校具教材等の散失を防ぐための予防措置については綿密な計画をたてておくものとする。 3 災害復旧時の態勢 校長の指揮監督のもとに自衛防災組織が中心となって校舎の調査を行い、被害を受けた施設、器物等の点検を行う。電源水利の復旧については教育委員会その他の関係機関と連絡、指揮を受け、平常の体制に復旧することに努める。 第5 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館の施設 ○図書館長、文化センター館長、品川歴史館副館長、きゅりあん館長、品川区スポーツ協会事務局次長は、応急計画を樹立し自衛防災組織の結成を図り、災害時には防災活動を行う。 1 災害予防体制 @ 図書館、文化センター、品川歴史館、きゅりあん、体育館については、鉄筋構築がなされており、構造上の予防措置については特に考慮するものはない。 A 図書館長、文化センター館長、品川歴史館副館長、きゅりあん館長、品川区スポーツ協会事務局次長(以下「施設長」という)は立地条件などを考慮して、常に災害時の応急計画を樹立し自衛防災組織の結成を図り、職員がそれぞれの分担において防災活動を行い得るような明確な計画をたてておく。 B 職員は常に気象状況等に注意し、災害発生のおそれがある場合は、施設長の指揮に従い緊急事態に備えて次の事項を守ること。 ・会議、出張等を中止すること。 ・利用者の避難を中心とした災害時の事前、事後の処置方法を検討すること。 ・教育委員会、警察署、消防署等への連絡網の確認を行うこと。 ・勤務時間外においては、施設長は所属職員の所在を確認し、非常招集の方法を定め職員に周知させておくこと。 C 漏電その他による火災を探知もしくは早期処置により最小限の被害にとどめるための措置として器具を設置している。 第6 文化財について ○区は、災害発生時に文化財の被害状況を把握し、その保全について、所有者および関係機関と連携して対応する。 区は、災害予防措置について関係機関と協力して指導・啓発を行う。 また、災害発生時には被害状況を速やかに把握し、文化財の保全について、所有者および関係機関と連携して対応する。 ? 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 対策の基本的な考え方 初動・応急期では、ライフライン施設が被災した場合、停電、通信の輻輳、物流の停止などが想定され、避難生活への影響は甚大である。 ここでは、発災後も都市機能を維持するため、交通ネットワークの確保や、発災に備えたライフラインの応急対応について示す。 各対策の要点 対策1 インフラ対策  第1 交通の確保 ○区は、交通の障害となっている障害物の除去、道路・橋梁等の応急補修、排水等の応急対策について関係機関に連絡し、復旧を図る。  第2 鉄道施設 ○災害が発生した場合、各交通機関は、旅客および施設の安全確保と緊急輸送を行うため、災害対策本部等を設置する。 対策2 ライフライン対策  第1 上水道(都水道局) ○都水道局は、災害時における動員態勢および応急活動体制を確立する。  第2 下水道施設(都下水道局) ○都下水道局は、下水道施設の被害に対し、迅速に応急復旧活動を行う。  第3 ガス施設 ○各事業者は、風水害時の初動措置および応急措置を行う。  第4 通信施設 ○NTTグループ各社は、通信輻輳の緩和および重要通信の確保、被災地特設電話の設置や災害用伝言ダイヤルの提供を行う。 【用語の解説】 @災害用伝言ダイヤル 災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合にNTTにより提供が開始される声の伝言板のことをいう。電話からの他、インターネットを利用した災害用伝言板(web171)もある。 ? 対策 対応テーマ 対策1 インフラ対策 対策2 ライフライン対策 ※「第1部 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン」を準用する。 対策1 インフラ対策 第1 交通の確保 ○区は、交通の障害となっている障害物の除去、道路・橋梁等の応急補修、排水等の応急対策について関係機関に連絡し、復旧を図る。 交通の障害となっている倒壊樹木、漂流物、垂下電線等の除去および道路、橋梁等の応急補修ならびに排水等の応急対策については、関係機関に連絡し、復旧の促進を図る。 第2 鉄道施設 ○災害が発生した場合、各交通機関は、旅客および施設の安全確保と緊急輸送を行うため、災害対策本部等を設置する。 1 災害時の活動態勢 (1)災害対策本部等の設置 災害が発生した場合、各交通機関は全力をあげて、旅客および施設の安全確保と緊急輸送を行うため、災害対策本部等を設置する。 (2)通信連絡体制 災害情報および応急措置の連絡指示ならびに被害状況の収集等の通信連絡は、列車無線、指令電話、鉄道電話等を利用するとともに、必要に応じて、無線車、移動用無線機を利用する。 2 発災時の初動措置 (1)災害対策本部等の設置 災害が発生した場合、各交通機関は全力をあげて、旅客および施設の安全確保と緊急輸送を行うため、災害対策本部等を設置する。 (2)通信連絡体制 災害情報および応急措置の連絡指示ならびに被害状況の収集等の通信連絡は、列車無線、指令電話、鉄道電話等を利用するとともに、必要に応じて、無線車、移動用無線機を利用する。 (3)運転規制等の実施 各交通機関は、運転規制等適切な初動措置を実施し、乗客の安全確保を図る。 対策2 ライフライン対策 第1 上水道(都水道局) ○都水道局は、災害時における動員態勢および応急活動体制を確立する。 1 活動主体 活動主体 所管区域 水道局南部支所 大田区(ただし、令和島を除く)・ 品川区全域(ただし、東八潮を除く) 水道局品川営業所 品川区全域(ただし東八潮を除く) 2 動員態勢および応急活動体制の確立 災害時における飲料水の確保、応急復旧および情報連絡などに従事する必要人員、資機材等を確保するため動員態勢を確立する。なお、夜間・休日等においては、職員は被害の状況に応じて定められた態勢により参集する。また、有線による通信連絡が不能となることを想定して、無線設備および都防災行政無線を活用し、応急連絡ならびに応急復旧の連絡体制の確立を図る。 資料59 非常配備態勢【都水道局】(再掲) 第2 下水道施設(都下水道局) ○都下水道局は、下水道施設の被害に対し、迅速に応急復旧活動を行う。 1 活動主体 活動主体 所管区域 電話 下水道局南部下水道事務所 品川区(東八潮を除く)、目黒区、大田区(令和島を除く)、世田谷区 03-5734-5031 下水道局品川出張所 品川区(東八潮を除く) 03-3495-0351 下水道局東部第一下水道事務所 港区(台場に限る)、江東区、墨田区、品川区(東八潮に限る)、大田区(令和島に限る) 03-3645-9641 下水道局江東出張所 品川区(東八潮に限る) 03-3645-9273 2 応急対策 @ 非常配備態勢に基づいて職員の配置を行い、下水道施設の被害に対し、迅速に応急復旧活動を行う。 A 被害が大規模で、復旧に緊急を要する場合に協力を得ることができるように、民間団体との体制整備を進めている。このため、都下水道局では民間団体と応急復旧業務に関する協定および細目協定を締結している。 第3 ガス施設 ○各事業者は、風水害時の初動措置および応急措置を行う。 1 風水害時の初動措置 ・官公庁、報道機関および社内事業所等から、被害情報等の収集 ・事業所設備等の点検 ・LNG基地、整圧所における送出入量の調整または停止 ・ガス導管網の被害状況に応じた供給停止判断と導管網のブロック化 ・その他状況に応じた措置 2 応急措置 @ 非常災害対策本部の指示に基づき、各事業所が連携し、被害の応急措置にあたる。 A 施設を点検し、機能および安全性を確認するとともに必要に応じて調整修理する。 B ガス供給停止の必要性等を総合的に評価し、適切な応急措置を行う。 C ガスの供給が停止した地区については、可能な限り速やかなガス供給再開に努める。 D その他現場の状況により適切な措置を行う。 第4 通信施設 ○NTTグループ各社は、通信輻輳の緩和および重要通信の確保、被災地特設電話の設置や災害用伝言ダイヤルの提供を行う。 1 通報、連絡 NTTグループ各社は、各対策組織相互の通報、連絡は情報を統括する組織を窓口として行う。 2 情報の収集、報告 災害が発生し、または発生するおそれがあるときは、重要通信の確保、もしくは被災した電気通信設備等を迅速に復旧するため、次の情報を収集し、対策組織の長に報告するとともに関係組織相互間の連絡、周知を行う。 ・気象情報、災害予報等 ・電気通信設備等の被災状況、そ通状況および停電状況 ・当該組織の災害応急復旧計画および措置状況 ・被災設備、回線等の復旧状況 ・復旧要員の稼動状況 ・その他必要な情報 3 重要通信のそ通確保 災害時に際し、次により臨機に措置をとり、通信輻輳の緩和および重要通信の確保を図る。 ・応急回線の作成、網措置等そ通確保の措置をとること。 ・通信のそ通が著しく困難となり、重要通信を確保するため必要があるときは、電気通信事業法第8条第2項および電気通信事業法施行規則第56条の定めるところにより、臨機に利用制限等の措置をとること。 ・非常、緊急電報は、電気通信事業法第8条第1項および電気通信事業法施行規則第55条の定めるところにより、一般の通話または電報に優先して取り扱うこと。 ・警察、消防、その他の諸官庁等が設置する通信網と連携をとること。 ・電気通信事業者および防災行政無線等と連携をとること。 4 被災地特設電話の設置 災害救助法が適用された場合等には避難場所に、被災者が利用する特設公衆電話の設置に努める。 5 災害用伝言ダイヤルの提供 地震等の災害発生により著しく通信輻輳が発生した場合は、安否等の情報を円滑に伝達できる災害用伝言ダイヤル等を速やかに提供する。 ? 第3章 災害対応体制 対策の基本的な考え方 区は、水防法第3条の規定に基づき、水防管理団体(管理者=区長)として区の地域内の水防を十分に果たさなければならない。区においては、台風、豪雨等による風水害に対処するための水防本部は、次に定める災害対策本部(水防本部)の組織とする。気象状況により、風水害に対する注意と警戒が必要となったとき、区の地域について災害(災害救助法の適用基準に達する程度の災害)が発生し、または発生するおそれがある場合には、災害対策本部を設置する。 ここでは、水防機関として区の水防活動とともに、近隣区市町村等への応援協力や自衛隊への災害派遣要請、消防機関や警察機関等の活動について示す。 各対策の要点 対策1 水防情報  第1 気象情報 ○水防活動に利用している注意報および警報を示す。  第2 気象情報伝達 ○気象情報伝達系統図を示す。  第3 洪水予報伝達 ○洪水予報伝達経路を示す。  第4 警報の種類  第5 土砂災害警戒情報伝達 ○土砂災害警戒情報伝達経路を示す。  第6 観測通報 ○区は、他の水防機関と雨量・水位に係る観測データ等について情報交換を行うとともに、都水防本部と連絡をとり、常に的確な情報把握に努める。 対策2 水防機関の活動  第1 区の水防活動 ○区は、平素から監視員を配置しており、災害等の発生または発生のおそれが生じた場合、職員の招集、情報収集・伝達等を行う。 ○区は、浸水被害の発生または発生のおそれが生じた場合、その被害の軽減を図るため、災害対策本部を設置し初動活動配備態勢をしく。  第2 区災害対策本部の設置・運営 ○区は、風水害に即応するため、区長を本部長とする災害対策本部を設置する。  第3 倉庫および資機材 ○区は、水防作業が十分に行えるように資機材および設備の整備ならびに輸送の確保に努める。  第4 水防工法 ○水防工法は、現場の状況、工作物の構造および使用材料等を考慮して実施する。  第5 竜巻対策 ○気象庁は、気象庁防災業務計画に基づき、竜巻に係る情報を専用通信施設等により、都総合防災部等の関係機関、報道機関へ伝達する。  第6 雪害対策 ○降積雪時、区は雪害対策本部を設置し、事態に即応した配備態勢により除雪作業を行う。  第7 費用および公用負担 ○水防管理団体は、管理区域の水防に要する費用を負担する。区域外の区市町村が当該水防により著しく利益を受ける場合、水防に要する費用の一部を受益区市町村が負担する。 ○水防上緊急の必要があるとき、水防管理者または消防機関の長は、公用負担権限を行使する。 対策3 消防機関が実施する水防活動計画  第1 消防機関の水防活動 ○消防機関は、消防団や防災関係機関と連携を図り、水災から区民の生命、財産を保護するため水防活動を実施する。 対策4 応援協力  第1 相互応援協力 ○区は、被害が広範囲に及ぶ場合、被災していない近隣区市町村や民間の協力を得て災害対策を実施する。  第2 自衛隊への災害派遣要請 ○区長は、必要があると認めた場合は、都知事に対し自衛隊の災害派遣を要請する。 対策5 災害救助法の適用 対策6 警備活動   ○警察機関および東京海上保安部は、水害発生時における警備活動、交通規制を行う。 対策7 交通規制  第1 交通秩序の維持   ○警察機関は、危険箇所を表示し交通規制を行い、交通秩序の維持に努める。 ? 【用語の解説】 @水防法 水防組織と水防活動の全般を定めている法律をいう。洪水、雨水出水、津波または高潮に際し、水災を警戒・防御、これによる被害を軽減し、もつて公共の安全を保持することを目的としている。 A洪水予報 河川の増水や氾濫などに関する情報提供のため、気象庁が国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示して実施する予報のことをいう。品川区では、目黒川、多摩川が指定されている。 B水防警報 洪水、津波または高潮によって災害が発生するおそれがあるとき、水防を行う必要がある旨を警告して行う発表である。水防警報は、その区間およびその区間を代表する水防警報基準点を定めて、水位等の状況に応じて発表される。 CT.P.(Tokyo Peil) 東京湾平均海面といい、日本全国の土地の標高を決める基準をいう。A.P. 1.134mが零位である。 DA.P.(Arakawa Peil) 隅田川の水位を測るため、現在の中央区新川の河岸に設けられた霊岸島量水標の目盛りによる基準面をいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 水防情報 対策2 水防機関の活動 対策3 消防機関が実施する水防活動計画 対策4 応援協力 対策5 災害救助法の適用 対策6 警備活動 対策7 交通規制 ※対策4は「第1部 第3章 災害対応体制」を準用する。 ※対策5は「第1部 第12章 区民生活の再建」を準用する。 ※対策6・7は「第1部 第3章 災害対応体制」を準用する。 対策1 水防情報 第1 気象情報 ○水防活動に利用している注意報および警報を示す。 水防活動に利用している注意報および警報は次のとおりである。(水防法第10条第1項、気象業務法第14条の2第1項、同法施行令第6条) 図表3-44 種類と品川区の発表基準 種  類 雨 量 基 準 注  意  報 大雨注意報 大雨等によって水害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇表面雨量指数基準 11 ◇土壌雨量指数基準 127 高潮注意報 台風等による海面の異常上昇の有無および程度について一般の注意を喚起する必要がある場合。具体的には次の条件に該当する場合。 ◇潮位が東京湾平均海面(T.P.+2.0m (A.P.+3.1m)) 洪水注意報 洪水によって災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇流域雨量指数基準 立会川流域=9.1、目黒川流域14.4 (複合基準※ 立会川流域=[10,7.3]、目黒川流域[8,8])  ※[表面雨量指数,流域雨量指数]の組み合わせによる基準値 強風注意報 強風によって災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇平均風速=13m/s 大雪注意報 大雪によって災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇12時間の降雪の深さ=5cm 警   報 大雨警報 大雨等によって重大な災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 浸水害:表面雨量指数基準 17 土砂災害:土壌雨量指数基準 180 高潮警報 台風等による海面の異常上昇によって、重大な災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇潮位が東京湾平均海面(T.P.+2.4m (A.P.+3.5m)) 洪水警報 洪水によって重大な災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇流域雨量指数基準 立会川流域=11.4 (複合基準※ 目黒川流域[9,12.7])  ※[表面雨量指数,流域雨量指数]の組み合わせによる基準値 ◇指定河川洪水予報による基準 目黒川[青葉台・荏原調節地上流] 暴風警報 暴風によって重大な災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇平均風速=25m/s 大雪警報 大雪によって重大な災害が起こるおそれがある場合。 具体的には次の条件に該当する場合。 ◇12時間の降雪の深さ=10cm 記録的短時間大雨情報 ◇1時間雨量 100mm 土砂災害警戒情報 大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まった場合。 (注) (1)気象庁が発表する高潮注意報および警報の基準潮位は、東京湾平均海面(T.P.)と荒川工事基準面(A.P.)を併用する。なお、T.P.は、A.P.+1.13mであるが、実用上 1.1mとして取り扱う。 (2)「水防活動の利用に適合する注意報・警報」では、「水防活動用気象注意報・気象警報」を設けており「特別警報」が設けられていない。しかし、気象庁が平成25年8月30日より運用を開始した「特別警報」は、「一般の利用に適合する注意報・警報・特別警報」であり「水防活動の利用に適合する注意報・警報」として利用している。 資料82 特別警報の発表基準一覧 ? 第2 気象情報伝達 ○気象情報伝達系統図を示す。 図表3-45 気象情報伝達系統図(水防法第10条)                       基本系(情報伝達の第1系統) 補助系(確実な伝達を図るための第2系統) 常に基本系・補助系の2とおりの伝達を行うことで、 確実な情報伝達を図る。 ? 第3 洪水予報伝達 ○洪水予報伝達経路を示す。 水防活動時の情報伝達は、以下の点に十分留意するものとする。 @ 情報別に定められた伝達系統図に基づき、情報を迅速かつ確実に伝達する。 A 情報を受け取った場合は、原則として電話、システムまたはFAXにより受令確認を行う。ただし、「気象情報」、「水門操作情報」、「土砂災害警戒情報の発表対象外の区市町村への伝達」については受令確認を不要とする。 図表3-46 洪水予報伝達経路 ●目黒川                 ●多摩川 第4 警報の種類 資料83 水防警報の種類、内容および発表基準 ? 第5 土砂災害警戒情報伝達 ○土砂災害警戒情報伝達経路を示す。 都と気象庁が共同発表する土砂災害警戒情報の伝達系統は、下図のとおりである。 図表3-47 土砂災害警戒情報伝達経路 第6 観測通報 ○区は、他の水防機関と雨量・水位に係る観測データ等について情報交換を行うとともに、都水防本部と連絡をとり、常に的確な情報把握に努める。 @ 区は災害の発生を事前に予測し、被害の軽減を図り、もって区民の生命、財産を守るため、区内河川に雨量観測局・水位観測局を設置し監視を行うとともに東京都災害情報システム(DIS)や河川情報システムおよび民間の気象会社と契約を行い、区内の降雨情報等の提供を受けている。また、これらの観測データ等については、他の水防機関との相互連絡を密にし、情報交換を行うとともに、都水防本部と連絡をとり、常に的確な情報把握に努める。 A?平成14年に設置した立会川幹線および戸越幹線に光ファイバーケーブルの水位計を利用して、水防の初動体制充実に役立てている。 ? 対策2 水防機関の活動 第1 区の水防活動 ○区は、平素から監視員を配置しており、災害等の発生または発生のおそれが生じた場合、職員の招集、情報収集・伝達等を行う。 ○区は、浸水被害の発生または発生のおそれが生じた場合、その被害の軽減を図るため、災害対策本部を設置し初動活動配備態勢をしく。 区は、水防管理団体として、気象状況等により洪水または高潮のおそれがあるときは、災害対策本部を設置し、事態に即応した態勢をとる。 1 監視員による監視態勢 @ 夜間休日等勤務時間外に災害が発生し、または発生するおそれがある場合に対処するため、平素から監視員を配置し、防災情報の収集、連絡にあたっている。 A 監視員は、防災課長の指揮監督のもとに警戒待機し、災害等が発生し、または発生するおそれがある場合は、防災課長の指示に従い職員の招集、情報収集・伝達等を行う。なお、災害が発生するおそれがある場合には、水防上注意を要する箇所について巡視し、情報収集・伝達等を行う。 資料84 水防上注意を要する箇所 2 初動活動配備態勢 @ 風水害による洪水や高潮ならびに堤防、護岸等の崩壊などによる浸水被害の発生または発生のおそれが生じた場合、その被害の軽減を図るため、災害対策本部を設置し初動活動配備態勢をしく。 A?風水害における災害対策本部の初動活動配備態勢は、次のとおりとする。 ・拡大監視態勢 気象注意報または気象警報が発表され、風雨が強く被害発生のおそれがある場合 ・水防第1次配備態勢 気象警報が発表され、風雨が強く被害発生のおそれがある場合 ・水防第2次配備態勢 気象警報が発表され、局地的被害が発生し、拡大のおそれがある場合 ・水防第3次配備態勢 甚大な被害のおそれがある場合 資料85 初動活動配備態勢 資料86 初動活動態勢時の情報連絡系統 (1)区災害対策本部の設置基準 災害対策本部は、以下に該当する場合で、区長が必要と認めたときに設置する。 ・大雨、大雪、津波、高潮または洪水警報が発せられたとき。 ・大雨、大雪、津波、高潮または洪水注意報が発せられた場合等で災害の発生のおそ れがあるとき。 ・局地的災害が発生したとき。 (2)区災害対策本部の廃止 災害対策本部は、次の各号に該当する場合で区長が必要と認めたときに廃止する。 ・当該災害に対する応急対策がおおむね完了したと認めたとき ・災害の発生のおそれがなくなったとき ? 3 風水害初動活動配備態勢 ? 第2 区災害対策本部の設置・運営 ○区は、風水害に即応するため、区長を本部長とする災害対策本部を設置する。 首都圏への台風直撃等の大規模な被害発生が想定される風水害に即応するため、区長を本部長とした災害対策本部を設置する。災害対策本部の設置・運営については、以下のとおりである。 図表3-48 災害対策本部の分掌事務 災対組織(部) 災対組織(課) 通常組織 事務または業務大綱 指令情報部 情報課 運用課 統制課 物資調整課 総務課 防災課 選挙管理委員会事務局 監査委員事務局 企画課 1 災害関連情報の総括に関すること。 2 住民対応班(コールセンター)の運用に関すること。 3 各部への指令および活動状況の集約に関すること。 4 自衛隊・警察・消防の運用に関すること。 5 災害救助法の適用申請に関すること。 6 義援金品の受領に関すること。 7 災害対策本部の設置に関すること。 8 国、都および関係機関の情報収集に関すること。 9 避難対策の統制に関すること。 10 物資の確保および輸送に関すること。 11 災害復興計画の調整に関すること。 企画部 財政課 財政課 1 災害に伴う予算の編成に関すること。 情報推進課 デジタル推進課 1 情報システムの復旧に関すること。 施設整備課 施設整備課 1 区有施設(総合庁舎を除く)の安全確認および被害状況の調査、集約に関すること。 2 区有施設(総合庁舎を除く)の被災箇所の応急措置に関すること。 経理課 経理課 1 総合庁舎の管理保全に関すること。 2 工事等の契約に関すること。 3 車両、船舶等輸送手段の調達および配車調整に関すること。 4 緊急通行車両章の準備に関すること。 5 住民対応班(コールセンター)の設置に関すること。 生活再建課 税務課 1 住家被害認定調査に関すること。 2 被災台帳作成に関すること。 3 罹災証明書の発行に関すること。 総務部 人事課 人事課 新庁舎整備課 1 総合庁舎来庁者の救護に関すること。 2 各部間の人員調整に関すること。 3 自治体からの応援職員の受入れおよび人的受援(ボランティアを含む)の配分に関すること。 4 災害対応職員の対応に伴う予算の編成に関すること。 5 外国人に対する支援に関すること。 広報報道課 戦略広報課 1 災害に伴う広報/報道機関の対応に関すること。 2 災害の記録に関すること。 会計部 会計管理室 会計管理室 1 経費の支払いに関すること。 2 義援金品の出納保管に関すること。 3 金融機関との連絡、調整に関すること。 区民支援部 地域活動課 地域活動課 地域産業振興課 1 地域拠点(地域センター)の総括に関すること。 2 地域拠点(地域センター)の周辺被害状況集約、報告に関すること。 3 商店街、事業所の支援に関すること。 4 中小企業センターの管理保全および利用者の安全に関すること。 5 見舞金、災害弔慰金の支給に関すること。 6 災害援護資金の貸し付けに関すること。 7 総合相談窓口に関すること。 8 消費生活の安定化に関すること。 管理課 戸籍住民課 1 遺体の取り扱いに関すること。 2 地域拠点(地域センター)の支援に関すること。 滞留者支援部 滞留者支援課 文化観光戦略課 スポーツ推進課 人権・ジェンダー平等推進課 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握に関すること。 2 帰宅困難者の受入および援護(物資含む)に関すること。 3 被災状況の把握および報告に関すること。 4 帰宅困難者受入れ施設開設および管理運営に関すること。 避難対策部 (補完避難所) 子ども支援課 子ども育成課(すまいるスクールを除く) 子育て応援課 児童相談課 保育入園調整課 保育施設運営課 子ども家庭支援センター 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握に関すること。 2 情報の収集および連絡に関すること。 3 保護者への連絡に関すること 4 補完避難所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 避難対策部 (福祉避難所) 福祉課 福祉計画課 障害者施策推進課 障害者支援課 高齢者福祉課 高齢者地域支援課 生活福祉課 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握/情報の収集および連絡に関すること。 2 要配慮者の救助、支援に関すること。 3 避難行動要支援者対策班の設置に関すること。 4 福祉避難所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 5 被保護者の救援に関すること。 6 ボランティアの受入れおよびボランティアセンターの運営に関すること。 7 施設利用者の家族等への連絡に関すること。 避難対策部 (区民避難所) 避難所対策課 庶務課 学務課 指導課 品川図書館 教育総合支援センター 国保医療年金課 子ども育成課(すまいるスクール) <協力体制:小中学校・義務教育学校> 1 部所属施設の管理保全および利用者の安全に関すること。 2 各学校との連絡調整および指導に関すること。 3 学校施設、設備の被災箇所の応急措置に関すること。 4 教育長および教育委員との連絡調整に関すること。 5 被災児童および生徒への教科書、学用品の給付に関すること。 6 授業再開の準備に関すること。 7 区民避難所・自主避難施設・避難場所の開設・管理運営および避難対策の支援・調整に関すること。 8 図書館全館の被災状況の把握に関すること。 9 広域避難場所の状況把握、情報収集、報告に関すること。 保健衛生部 保健衛生課 健康課 地域医療連携課 生活衛生課 保健予防課 1 所属部署の管理保全および利用者の安全・被災状況の把握および報告に関すること。 2 医療救護本部の設置に関すること。 3 初動医療体制の構築(災害拠点病院等との連携を含む)に関すること。 4 医師会等関係団体との連携に関すること。 5 医療ボランティアの受入・調整に関すること。 6 医療救護所での医薬品・医療資器材の調達・管理に関すること。 7 都保健医療局および医療機関等への要請、連絡調整に関すること。 8 医療救護所の開設、運営/医療救護所運営の支援に関すること。 9 衛生指導に関すること。 10 衛生検査に関すること。 11 殺虫、消毒、防疫宣伝に関すること。 12 栄養・食生活支援の調整・管理に関すること。 保健救護課 品川保健センター 大井保健センター 荏原保健センター 1 被災状況の把握および報告に関すること。 2 感染症予防に関すること。 3 巡回健康相談に関すること。 建築住宅部 都市復旧課 都市計画課 住宅課 1 応急仮設住宅等の入居者の募集、選定に関すること。 2 被災者に対する給水に関すること。 3 都市復興計画の調整に関すること。 4 建設型応急住宅の設置に関すること。 5 風水害時の家屋・がけ崩れ調査に関すること。 建築課 木密整備推進課 都市開発課 建築課 1 がけ地および地盤調査に関すること。 2 区内建築物および宅地の応急危険度判定に関すること。 3 被災建築物応急危険度判定員との協力に関すること。 4 風水害時の家屋・がけ崩れ調査に関すること。 廃棄物課 環境課 品川区清掃事務所 1 災害廃棄物に関すること。 土木部 指揮課 地域交通政策課 土木管理課 1 土木施設の被害状況の集約、報告に関すること。 2 派遣された自衛隊との現場における連絡に関すること。 3 冠水・風水害調査(気象情報の分析評価を含む)に関すること。 工作課 道路課 河川下水道課 公園課 1 土木施設の被害状況の調査に関すること。 2 道路啓開(路上の倒壊建物等の障害物除去)、復旧に関すること。 3 街路樹の管理に関すること。 4 水門、防災船着場、桟橋の情報収集、復旧に関すること。 5 河川、橋梁および隧道の復旧に関すること。 6 津波の対応に関すること。 7 冠水・風水害調査に関すること。 8 公園および児童遊園の活用の調整に関すること。 9 公園および児童遊園の復旧、修理に関すること。 議会対策部 議会対策課 区議会事務局 1 議会対策本部と災害対策本部との連絡調整、区議会議員の対応に関すること。 ? 第3 倉庫および資機材 ○区は、水防作業が十分に行えるように資機材および設備の整備ならびに輸送の確保に努める。 区は、その管内における水防作業が十分に行えるように資機材および設備の整備ならびに輸送の確保に努めるものとする。 なお、管内各水防機関および最寄りの業者が保有する各種資機材を常時調査し、緊急の補給に備えておくものとする。 1 現地配備の土嚢類 資料87 現地配備の土嚢類 2 水防機械 資料88 水防機械 3 土砂採取場 資料89 土砂採取場 ? 第4 水防工法 ○水防工法は、現場の状況、工作物の構造および使用材料等を考慮して実施する。 水防工法は、現場の状況、工作物の構造および使用材料等を考慮して実施すること。材料および労力等、標準的な水防工法例を別冊資料に示した。 @ 積土のう  A 鋼板防護工     B 護岸裏積土のう C かま段工  D 吸水性水のう積工 資料90 水防工法の例示 第5 竜巻対策 ○気象庁は、気象庁防災業務計画に基づき、竜巻に係る情報を専用通信施設等により、都総合防災部等の関係機関、報道機関へ伝達する。 1 気象庁による情報提供 (1)予告的な気象情報 気象庁は、低気圧の発達などにより災害に結びつく気象現象が予想される場合、半日〜1日程度前に「大雨と雷および突風に関する東京都気象情報」などの標題で予告的な気象情報を発表する。このとき、竜巻などの激しい突風の発生が予想される場合には、「竜巻などの激しい突風」と明記して注意を呼びかける。 (2)雷注意報 気象庁は、積乱雲に伴う激しい現象(落雷、ひょう、急な強い雨、突風など)の発生により被害が予想される数時間前に雷注意報を発表する。このとき、竜巻などの激しい突風の発生が予想される場合には、注意報本文の付加事項に「竜巻」と明記して特段の注意を呼びかける。 2 竜巻注意情報 気象庁は、気象ドップラーレーダーの観測などから、竜巻等の激しい突風の発生するおそれがある時に、東京地方または伊豆諸島に対して竜巻注意情報を発表する。雷注意報が発表されている状況下において発表する情報で、有効期間は、発表から1時間である。 3 竜巻発生確度ナウキャスト @ 気象ドップラーレーダーの観測などを利用して、竜巻などの激しい突風の可能性のある地域を分布図(10km格子単位)で表し、その1時間後までの移動を予測する。竜巻発生確度ナウキャストは、平常時を含めて常時10分毎に発表する。 ・気象庁は、気象庁防災業務計画に基づき情報を専用通信施設等により、都総合防災部等関係機関、日本放送協会(NHK)等報道機関へ伝達する。 ・伝達は、発表者(都および気象庁)から地域防災計画で定めた伝達経路により行うものとする。指定公共機関および指定地方公共機関への情報伝達に関しては、大雨警報の伝達に準じる。 ? 図表3-49 竜巻など激しい突風に対する段階的な情報の発表 出典:気象庁ホームページ A 激しい突風をもたらす竜巻などの現象は、発現時間が短く、発現場所も極めて狭い範囲に限られている。一方、この情報は比較的広い範囲(おおむね一つの県)を対象に発表するので、竜巻注意情報が発表された地域でも必ず竜巻などの突風に遭遇するとは限らない。したがって、竜巻注意情報が発表された場合には、まず簡単にできる対応として、周囲の空の状況に注意を払う。さらに、空が急に真っ暗になる、大粒の雨が降り出す、雷が起こるなど、積乱雲が近づく兆候が確認された場合には、頑丈な建物に避難するなどの身の安全を確保する行動をとる。また、人が大勢集まる屋外行事や高所作業のように、避難に時間がかかると予想される場合には、気象情報や雷注意報にも留意し早めの避難開始を心がける。 B 竜巻注意情報が発表された場合、竜巻発生確度ナウキャストを見れば危険な地域の詳細や、刻々と変化する状況を把握することができる。雷注意報や竜巻注意情報と竜巻発生確度ナウキャストとを組み合わせて利用することが効果的である。 4 区の対応 @ 災害時の危機管理体制を確認するとともに、気象庁などとも連携の上、気象情報に十分留意し、竜巻等突風災害に係る対応についての住民に対する周知、啓発に努める。 A?気象庁から「全国瞬時警報システム(J-ALERT)」に送信されている竜巻注意情報を受信した場合、区の判断に応じ、防災行政無線等により周知を図る。 第6 雪害対策 ○降積雪時、区は雪害対策本部を設置し、事態に即応した配備態勢により除雪作業を行う。 @ 降積雪時には、区は雪害対策本部を設置し、道路交通の安全確保および区民生活の混乱の軽減を図るため、坂道と階段が多い通勤・通学路、歩道橋および主要駅周辺の区道などを重点に除雪作業を行う。除雪活動態勢、招集基準、雪害対策本部組織は災害対策本部設置時の規則を準用する。 A 積雪等の状況を判断し、本部長が必要であると認めた場合は、区内土木業者へ除雪等の作業を要請し、事態に即応した配備態勢により除雪作業を行う。 1 除雪活動の基本方針 基本的に除雪を行う箇所は、通勤・通学路および主要駅周辺の歩道橋等とする。除雪の実施にあたっては、区職員によるほか、業者に施工を委託する。 2 除雪箇所選定の考え方(区道を対象とする) ・区が管理する歩道橋および階段 ・主要駅の周辺(JR西大井駅・JR大井町駅等) ・急勾配の坂道(概ね10%以上) ・その他、本部長が必要と認める箇所 第7 費用および公用負担 ○水防管理団体は、管理区域の水防に要する費用を負担する。区域外の区市町村が当該水防により著しく利益を受ける場合、水防に要する費用の一部を受益区市町村が負担する。 ○水防上緊急の必要があるとき、水防管理者または消防機関の長は、公用負担権限を行使する。 1 費用負担 @ 水防管理団体は、その管理区域の水防に要する費用を負担するものとする。ただし、応援のために要した費用は当該応援を求めた水防管理団体が負担するものとし、その額および方法は、当該応援を求めた水防管理団体と、応援を求められた水防管理団体が協議して定める。 (水防法第32条、第16条第3・4項) A 区域外の区市町村が当該水防により著しく利益を受ける場合には、当該水防に要する費用の一部を受益区市町村が負担する。この費用の額および負担方法は両者が協議して定めるものとし、協議が成立しないときは知事にあっせんを申請することができる。 (水防法第32条の2、第2・3項) 2 公用負担 (1)公用負担権限 水防法第21条の規定により、水防上緊急の必要があるとき、水防管理者または消防機関の長は、現場において、必要な土地の一時使用、土石その他の資材の使用もしくは収用、車両その他の運搬具や器材の使用、工作物その他の障害物を処分する権限を行使することができる。 (2)公用負担権限証明 公用負担の権限を行使する場合、水防管理者または消防機関の長にあっては、その身分を示す証明書を、その他これらの者の委任を受けた者にあっては、次のような証明書を携行し、必要ある場合はこれを提示すること。              公用負担権限委任証明 第    号                  身 分    氏  名 上の者に○○区域における水防法第21条第1項の権限行使を委任したことを証明する。    年   月   日                      水防管理者            氏 名   印                    (または消防機関の長) 3 公用負担命令票 公用負担の権限を行使するときは、次のような公用負担命令票を作成し、その一通を目的物所有者、管理者またはこれに準ずべき者に交付する。 ただし、現場の事情により、そのいとまのないときは事後において直ちに処理するものとする。 公 用 負 担 命 令 票                        住   所                     負担者氏名 第    号  物 件  数 量  負担内容(使用、収用、処分等)  期 間  摘 要  水防法第21条の規定により右物件を収用(使用または処分)する。     年  月   日                     水防管理者            氏  名  印                    (または消防機関の長)                     事務取扱者          職 氏  名  印 4 損失補償 公用負担権限行使によって損失を受けた者に対し、水防管理団体は時価によりその損失を補償するものとする。(水防法第21条) ? 対策3 消防機関が実施する水防活動計画 第1 消防機関の水防活動 ○消防機関は、消防団や防災関係機関と連携を図り、水災から区民の生命、財産を保護するため水防活動を実施する。 1 水防活動 台風や局地的な集中豪雨等発生時には、洪水や河川の氾濫が予想されるため、現有消防力を効率的に運用し、消防団との適正な連携を図るほか、防災関係機関と連携を保ちつつ、その全機能をあげ水害を防御し、これによる被害を軽減することを目的に水災から区民の生命、財産を保護する。 (1)消防機関がとるべき活動態勢 ア 水防態勢 気象情報その他により水災が予想されるときは水防態勢を発令して関係機関と密接な連絡を行い、情報を収集分析し水防非常配備態勢の発令に備える。 イ 水防非常配備態勢 水災に対処するため気象状況、災害状況に応じ水防非常配備態勢を発令し事前計画に基づく活動を開始する。 ウ 水防計画 水防活動における計画は、次表のとおりである。 項目 内    容 水防計画 活動の基本 1 水災が発生しまたは発生しようとしている場合において、人命危険の防止および災害応急対策の円滑を図るため、特に必要があると認めた時は、所定の警戒区域を設定し、水防関係者以外の者の立入禁止等の措置を行う。 2 水防活動の実施にあたっては、水防管理者および河川管理者等と相互に協議し水防現場に適合した工法を決定する。 部隊の運用等 1 水災の規模等により、所定の計画に基づき、部隊運用および現場活動を行う。 2 水防部隊は、原則として火災には出場しない。 情報収集等 1 必要により消防小隊を出向させ、河川の巡視、被害発生状況等の情報収集を行う。 2 消防団員を積極的に活用し、水災状況の早期把握に努める。 3 関係機関へ職員を派遣し、相互に情報交換する。 消防団の活動 「第1部 第3章 災害対応体制」に準じ、所轄消防署と協力して災害防除活動にあたる。 対策4 応援協力 第1 相互応援協力 ○区は、被害が広範囲に及ぶ場合、被災していない近隣区市町村や民間の協力を得て災害対策を実施する。 @ 災害が発生した場合、または発生のおそれがある場合、各防災関係機関はあらかじめ定めてある、所掌事務または業務に従って応急対策を実施するが、その災害の状況によっては必要に応じて他の機関に協力を求め災害対策の円滑な実施を期さなければならない。 A 特に被害が広範囲に及ぶ場合、区の防災関係機関のみの対応では困難が想定されるので、被災していない近隣区市町村や民間の協力を得て災害対策を実施する必要がある。 第2 自衛隊への災害派遣要請 ○区長は、必要があると認めた場合は、都知事に対し自衛隊の災害派遣を要請する。 区長は、災害が発生し、または発生するおそれがあり、人命または財産の保護のため必要があると認めた場合は、都知事に対し自衛隊の災害派遣を要請するものとする。 対策5 災害救助法の適用 災害救助法の適用については、「第1部 第12章 区民生活の再建」に定めるところによる。 対策6 警備活動 ○警察機関および東京海上保安部は、水害発生時における警備活動、交通規制を行う。 機関名 内   容 警察機関 ・警備、および交通規制 東京海上保安部 ・警備、および交通規制 水害発生時における警備活動は、おおむね次のとおりとする。 ・河川およびその他危険箇所の警戒 ・災害地における災害関係の情報収集 ・警戒区域の設定 ・被災者の救出、救護 ・避難者の誘導 ・危険物の保安 ・交通秩序の確保 ・犯罪の予防および取り締まり ・行方不明者の調査 ・遺体の見分(検視) 対策7 交通規制 第1 交通秩序の維持 ○警察機関は、危険箇所を表示し交通規制を行い、交通秩序の維持に努める。 被災地およびその周辺は交通の混乱を生じ、かつ危険箇所が多いので、速やかに危険箇所を表示し、局地的な通行禁止、一方通行、う回等適切な交通規制を行い、交通秩序の維持に努める。 ? 第4章 情報通信 対策の基本的な考え方 災害時の各防災関係機関は緊密な連携のもと、応急対策を実施するため、的確な情報の収集・伝達を行うとともに、あわせて適切な広報活動を行うことにより、災害の発生もしくは拡大を未然に防止する必要がある。 ここでは、情報通信連絡体制、被害状況の報告体制、広報・広聴等について示す。 各対策の要点 対策1 情報通信連絡体制  第1 通信連絡体制の確保 ○区は、都および各防災関係機関と、無線等により情報交換を行う。  第2 防災関係機関との情報連絡系統 ○防災関係機関との情報連絡系統図を示す。 対策2 被害状況の報告体制  第1 被害状況等の本部への報告 ○区は、区民および防災関係機関等から情報を収集するとともに、本部長室へ被害状況および活動情報を報告する。  第2 水防活動の都への報告 ○区は、水防態勢時に、水防巡視等の水防活動を行った場合、都建設事務所に報告する。  第3 被害状況等の都への報告 ○区は、災害に関する応急対策が完了するまで、各種報告をとりまとめ、都に報告する。 対策3 広報・広聴等  第1 区による広報活動 ○区は、住民に対する広報に際し、できるかぎり統一的な内容で、多様な手段を用いて広報を行う。  第2 ケーブルテレビ品川による広報活動 ○区は、ケーブルテレビ品川との相互協定に基づき、品川区民チャンネルによる緊急放送を通じて、区民へ情報の提供を行う。 ? 【用語の解説】 @固定系同報無線 主として非常災害時の区民向け情報伝達用の拡声器を備えた屋外子局のことをいう。品川区では、区内の学校、公園などの155箇所に設置している。 Aエックス(旧ツイッター) 品川区にて平成23年12月1日から、新たな情報発信ツールとして開始しているX(エックス(旧ツイッター))のことをいう。Xとは、パソコンや携帯電話、スマートフォンなどから140文字以内の短文を投稿し、情報を発信するソーシャルメディアのことをいう。広報広聴課が運用している。 Bエリアメール あらかじめ決められたエリア内で、携帯電話に緊急情報(高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保等)が配信されるサービスのことをいう。 Cケーブルテレビ品川 ケーブルテレビ放送、ケーブルインターネット、固定電話、緊急地震速報、しながわテレビプッシュなどのサービスを提供している、品川区を事業免許エリアとする放送局をいう。災害時は、区民チャンネルを活用して災害対策本部発表による正確な災害情報・生活情報などを被災者に提供する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 情報通信連絡体制 対策2 被害状況の報告体制 対策3 広報・広聴等 ※「第1部 第4章 情報通信」を準用する。 対策1 情報通信連絡体制 第1 通信連絡体制の確保 ○区は、都および各防災関係機関と、無線等により情報交換を行う。 @ 災害対策本部における情報連絡窓口は指令情報部とし、都および各防災関係機関との無線通信等を行う。 A 災害対策本部が設置された場合、各防災機関は区本部室へ各機関で使用している無線等により、相互に情報交換を行うものとする。 B?災害対策本部が設置された場合は「第3編 第1部 震災応急対策」「第4章 情報通信」を準用する。 ? 第2 防災関係機関との情報連絡系統 ○防災関係機関との情報連絡系統図を示す。 情報連絡系統図は次のとおりである。 図表3-50 情報連絡系統図 ? 対策2 被害状況の報告体制 第1 被害状況等の本部への報告 ○区は、区民および防災関係機関等から情報を収集するとともに、本部長室へ被害状況および活動情報を報告する。 1 情報の収集 (1)デジタル移動通信およびIP無線機を活用した災害関連情報の収集 情報の収集については、区民および防災関係機関からの情報についてデジタル移動通信およびIP無線機等を活用し、災害対策本部の指令情報部で集約する。 (2)コールセンター設置による情報の収集 区民等からの被害情報等の収集・把握および各種問い合わせに対応するため、コールセンターを災害対策本部に設置する。 (3)無人航空機(ドローン)による被害情報の収集 気象条件等により、河川沿い等の被害状況について無人航空機(ドローン)を活用してリアルタイムで収集することに考慮する。 2 情報の伝達 本部長室への情報の伝達については、被災情報管理システムを用いるとともに、固定系同報無線等を通じ、区民に対する情報伝達の徹底を図るものとする。 3 被害状況および活動情報の本部長室への報告 報告事項は次のとおりとする。 気象状況、活動状況、被害状況、避難所等の状況 第2 水防活動の都への報告 ○区は、水防態勢時に、水防巡視等の水防活動を行った場合、都建設事務所に報告する。 区は、水防態勢時に、水防巡視等の水防活動を行った場合、各種報告をとりまとめ都建設事務所に報告する。 1 報告すべき事項 ・水防巡視箇所、河川・護岸等の状況 ・水防活動の実施状況 2 報告の方法 水防巡視点検表および水防活動報告書により、都建設事務所に報告する。 第3 被害状況等の都への報告 ○区は、災害に関する応急対策が完了するまで、各種報告をとりまとめ、都に報告する。 @ 区は、災害が発生した時から当該災害に関する応急対策が完了するまで、各種報告をとりまとめ都に報告する。 A?家屋の倒壊や火災が多発する災害が発生した場合および災害対策基本法第53条に基づく被害の状況の報告が都にできない場合には、国(総務省消防庁)に報告する。 1 報告すべき事項 ・災害の原因 ・災害が発生した日時 ・災害が発生した場所または地域 ・被害状況 2 報告の方法 東京都災害情報システム(DIS)データ端末に入力し報告する。 ? 対策3 広報・広聴等 図表3-51 各機関の役割 機関名 役  割 区 ・災害情報の収集、住民への広報 ・様々な方法による被災者への正確な災害情報・生活情報の広報 ・報道機関への発表 ・被害状況等に係る記録 警察機関 ・各方面本部、警察署からの情報収集、都への報告 ・東京消防庁、自衛隊等防災関係機関と情報交換 東京消防庁 ・災害に関する情報(水災等に関する情報、水防活動状況)を収集し、関係機関と協力し適時的確な広報活動を住民に対し実施 NTT東日本 ・通信のそ通および利用制限の措置状況および被災した電気通信設備等の応急復旧状況等の広報 第1 区による広報活動 ○区は、住民に対する広報に際し、できるかぎり統一的な内容で、多様な手段を用いて広報を行う。 1 災害情報の収集 総務部広報報道課は、災害対策本部の設置と同時に、常時連絡員を本部室に派遣し、情報を把握するとともに、検討を行い、報道機関への発表、住民への広報に備える。連絡員は情報の収集にあたり、指令情報部等の関係各部とも緊密な連絡を保ち、発表資料の正確、迅速な把握を期するものとする。 2 住民への広報 住民に対する広報は、デマ・誤報などの防止を図るため、できるかぎり統一的な内容で広報するものとする。広報事項および内容等の調整は本部長が行うものとする。 (1)防災行政無線 災害発生直後に起こる第二次災害とその拡大のおそれがある場合は、区防災行政無線の固定系により全区内、または地域ごとの広報活動を行う。 (2)広報車 危険が予想される地域には、重点的に広報車を出動させる。広報車は災害対策本部と密接な連絡をとり状況に応じた効果的な広報活動を行う。一応災害が終息したときは広報車により被災地を巡回して移動相談を行い、救護措置の万全を期するものとする。 (3)臨時広報紙の発行 災害発生時の混乱した状況において、区の発表内容や生活情報などを被災者に正確に伝えるため、臨時広報紙を発行し広報活動を行う。 (4)ホームページ 区の発表内容や生活情報などを被災者に正確に伝えるためにホームページを活用し広報活動を行う。 (5)品川区公式SNS、ヤフー(Yahoo)防災速報 災害時においては、X(エックス(旧ツイッター))、フェイスブック(Facebook)、ライン(LINE)品川区公式アカウント、ヤフー(Yahoo!)防災速報を活用し、災害時の情報発信・広報を行う。 (6)避難情報緊急通知コール 避難地域に指定されている区民に対し、通知サービスに事前登録した区民等に対して、区が避難指示等を発令した場合に、電話やメールにより伝達を行う。 (7)エリアメール 区が配信元となり、各携帯会社が提供する「緊急速報エリアメール(NTTドコモ)」・「緊急速報メール(KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)」のサービスを活用して、災害時の高齢者等避難や、避難指示、緊急安全確保を配信する。 (8)メール配信 しなメールを活用し、気象庁が発表する気象警報等の情報配信や、災害・緊急時等の情報発信を行う。 (9)FMラジオ FMしながわ(88.9Mhz)およびinter Fmとの「災害時等における放送要請に関する協定」により、災害時等における放送の協力を要請できる。 (10)デジタルサイネージ 新たな広報媒体として導入したデジタルサイネージを活用して、リアルタイムに防災気象情報・緊急情報等を含め、様々な情報を積極的かつ効果的に発信する。 3 災害情報伝達手段の充実 現在確立している情報伝達手段の他、情報不足による区民の動揺や不安を払拭するために伝達手段の一層の充実を図る。 ? 第2 ケーブルテレビ品川による広報活動 ○区は、ケーブルテレビ品川との相互協定に基づき、品川区民チャンネルによる緊急放送を通じて、区民へ情報の提供を行う。 @ 区内を放送区域としてケーブルテレビ品川との相互協定に基づき、品川区民チャンネルによる緊急放送を通じて、情報の提供を行う。 A 災害対策本部発表による正確な災害情報・生活情報などを初動期、復旧・復興期、各時期において適宜、被災者に提供する。 B ケーブルテレビ品川本社スタジオからの放送のほか、区役所内に臨時スタジオ機能を配置し、災害対策本部からの放送も行う。 C?L字放送(L字ウィンドウの文字放送)、しながわテレビプッシュによる気象・水防などの防災情報や任意の文字情報の配信を行う。 ? 第5章 備蓄・輸送対策 対策の基本的な考え方 災害時において、被災者である区民に必要な物資を継続的に供給していく必要があることから、ここでは、区が都等と連携して行う物資の備蓄、拠点整備、円滑な輸送を行うための実施体制等について定める。 備蓄・輸送対策については、「第1部 第5章 備蓄・輸送対策」に定めるところによる。 ? 第6章 避難者対策 対策の基本的な考え方 風水害時には、浸水、崖崩れ等、住民の避難を要する地域が出現することが予想される。このため、被災者の生命、身体の安全確保等について、適切な避難対策を講ずる必要がある。浸水、崖崩れ等のため、人命に危険を及ぼすと予想される場合、住民を安全な場所に避難させることにより、人的被害の発生を未然に防止しなければならない。 ここでは、避難指示等の発令、避難誘導、避難施設の役割、避難所の開設・管理運営に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 避難指示等の発令  第1 避難の指示等 ○区長は、災害が発生し、または発生するおそれがある場合、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示する。  第2 避難指示等の発令 ○避難指示等の発令に係る権限等を示す。  第3 避難指示等の伝達 ○区は、区民等への避難指示等の伝達とともに、要配慮者の個々の状態にあった情報伝達方法を検討し、避難の円滑化を図るための体制づくりを行う。 対策2 避難誘導  第1 避難誘導 ○区は、区民が自主避難施設、避難場所、親戚・知人宅やホテル等への立ち退き避難、屋内安全確保を行うよう促す。 ○避難行動要支援者については、避難支援等関係者が安否確認を行い、適切に避難誘導を行う。  第2 避難施設の役割 ○避難施設の役割を示す。 対策3 避難所の開設・管理運営 ○区は、浸水ハザードマップ等を踏まえ避難施設の安全性を点検し、水害時にも安全な避難施設を指定する。 ○区本部長は、避難施設を開設する必要があると認めたときは、避難対策部長に開設を指令、避難対策部長は、直ちに職員を避難施設に派遣する。 ? 【用語の解説】 @自主避難施設 区内に被害をもたらすような台風の直撃等に際し、自宅での滞在に不安を感じる方を受け入れる施設をいう。 A避難場所 災害対策基本法に基づき災害の事象ごとに定め、避難指示の発令等に際し、危険を回避するために一時的に避難者を受け入れる場所をいう。 B区民避難所 災害対策基本法に基づき定め、自宅の損壊などにより避難生活を送る必要が生じた際に避難者を受け入れる施設をいう。 C福祉避難所 区民避難所で他の避難者と生活を送ることが困難で、あらかじめ指定した避難行動要支援者を受け入れる施設のことをいう。 ? 対策 対応テーマ 対策1 避難指示等の発令 対策2 避難誘導 対策3 避難所の開設・管理運営 ※「第1部 第6章 避難者対策」を準用する。 対策1 避難指示等の発令 第1 避難の指示等 ○区長は、災害が発生し、または発生するおそれがある場合、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示する。 1 避難の指示等の権限および対象 @?災害対策基本法第60条の規定に基づき、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、人の生命または身体を災害から保護し、被害の拡大を防止するため特に必要があると認められるときは、区長は、必要と認める地域の居住者、滞在者その他の者に対し、避難のための立退きを指示することができる。 A 区長が上記の立退きを指示することができないとき、または区長から要請があったときは、同法第61条の規定に基づき、警察官または海上保安官は、必要と認める地域の居住者等上記の対象者に対し、避難のための立退きを指示することができる。 避難指示等の一般的基準 避難のための指示等の基準は、原則として次のような事態になった場合に発するものとする。 ・河川が警戒水位を突破し、洪水のおそれがあるとき。 ・避難の必要が予想される各種気象警報が発せられた時。 ・河川の上流地域が水害を受け、下流地域に危険があるとき。 ・崖崩れ等により著しい危険が切迫しているとき。 警戒レベル 避難指示等を発令する際には、避難行動が容易にとれるよう、行動を直感的に理解できる内容として提供するため、各段階に応じた警戒レベルを付して発令する。 ? 図表3-52 避難指示等の種類、居住者等がとるべき行動等 避難情報等 警戒レベル 相当情報 居住者等がとるべき行動等 【警戒レベル5】 緊急安全確保 ・大雨特別警報 ・氾濫発生情報 ・高潮氾濫発生情報 ・区へ浸水が到達 ・氾濫発生水位 ●発令される状況:災害発生または切迫(必ず発令される情報ではない) ●居住者等がとるべき行動:命の危険 直ちに安全確保! ・指定緊急避難場所等への立退き避難することがかえって危険である場合、緊急安全確保する。 ただし、災害発生・切迫の状況で、本行動を安全にとることができるとは限らず、また本行動をとったとしても身の安全を確保できるとは限らない。 【警戒レベル4】 避難指示 ・土砂災害警戒情報 ・氾濫危険情報 ・高潮特別警報 ・高潮警報 ・多摩川の堤防が決壊 ・氾濫危険水位 ●発令される状況:災害のおそれ高い ●居住者等がとるべき行動:危険な場所から全員避難 ・危険な場所から全員避難(立退き避難または屋内安全確保)する。 【警戒レベル3】 高齢者等避難 ・大雨警報(土砂災害) ・洪水警報 ・氾濫警戒情報 ・高潮注意報 ●発令される状況:災害のおそれあり ●居住者等がとるべき行動:危険な場所から高齢者等は避難 ・高齢者等※は危険な場所から避難(立退き避難または屋内安全確保)する。 ※避難を完了させるのに時間を要する在宅または施設利用者の高齢者および障害のある人等、およびその人の避難を支援する者 ・高齢者等以外の人も必要に応じ、出勤等の外出を控えるなど普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自主的に避難するタイミングである。例えば、地域の状況に応じ、早めの避難が望ましい場所の居住者等は、このタイミングで自主的に避難することが望ましい。 2 土砂災害のおそれがある対象地域および発令基準 土砂災害のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示等の発令基準を、以下のとおり定めている。 (1)警戒区域 ア 急傾斜地崩壊危険箇所 北品川3−7の一部、北品川4−9の一部、北品川5−11の一部、 東五反田3−16の一部、上大崎1−5の一部、上大崎3−10の一部 イ 土砂災害(特別)警戒区域 北品川3・5・6丁目の一部、南品川6丁目の一部 東五反田1・3・4・5丁目の一部、上大崎1・3・4丁目の一部 西五反田8丁目の一部、東大井3丁目の一部、八潮5丁目の一部 ? (2)避難指示等の発令基準 図表3-53 避難指示等発令基準 警戒レベル 避難情報の種類 発令(判断)基準 警戒レベル3 高齢者等避難の発令 大雨警報(土砂災害)が発表された場合(夜間に大雨警報(土砂災害)に切り替える可能性が高い場合を含む。) 警戒レベル4 避難指示の発令 土砂災害警戒情報が発表された場合(大雨警報(土砂災害)中の記録的短時間大雨情報発表を含む。) 警戒レベル5 緊急安全確保の発令 大雨特別警報が発表された場合(がけ崩れの発生と前兆現象の発見を含む。) 3 目黒川氾濫のおそれがある対象地域および発令基準 氾濫のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示等の発令基準を、以下のとおり定めている。 (1)避難対象区域 北品川1〜5丁目の一部、東品川1・3・4丁目の一部、南品川1〜4丁目の一部、西品川1丁目の一部、広町1丁目の一部、上大崎4丁目の一部、東五反田1〜3・5丁目の一部、西五反田1〜5・7・8丁目の一部、大崎1・5丁目の一部、大崎2〜4丁目の一部、東大井1丁目の一部 (2)避難指示等の発令基準 図表3-54 目黒川氾濫に対する避難指示等の発令基準 避難指示等の種類 発令基準 住民の行動 警戒 レベル 3 高齢者等避難の発令 なし なし 警戒 レベル 4 避難指示の発令 荏原調節池上流観測所における水位が氾濫危険水位(A.P.+4.47m)に達し、目黒川氾濫危険情報が発表された場合 避難対象地域にいる人は屋内安全確保(安全な上階へ垂直避難または浸水しない上層階に留まる)、あるいは避難場所等への立退き避難 警戒 レベル 5 緊急安全確保の発令 荏原調節池上流観測所における水位が氾濫発生水位(A.P+5.42m)に達した場合 避難対象地域にいる人は命の危険があることから直ちに安全を確保し、相対的に安全である場所へ直ちに移動 資料91 目黒川荏原調節池上流観測所の断面図 4 高潮浸水のおそれがある対象地域および発令基準 浸水のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示等の発令基準を、以下のとおり定めている。 (1)避難対象区域 北品川1〜5丁目の一部、東品川1〜4丁目、広町1丁目の一部、東品川5丁目の一部、南品川1〜4丁目の一部、大崎1丁目、東大井1〜2丁目、東大井3〜4丁目の一部、大崎5丁目の一部、南大井1〜4丁目、南大井5〜6丁目の一部、東五反田1・2丁目の一部、勝島1〜2丁目、勝島3丁目の一部、西五反田1〜5・7・8丁目の一部、八潮2・4丁目の一部 図表3-55 高潮浸水に対する避難指示等の発令基準 避難指示等の種類 発令基準 住民の行動 警戒 レベル 3 高齢者等避難の発令 高潮注意報の発表において警報に切り替える可能性が高い旨に言及された場合 避難対象地域にいる人は屋内安全確保または最寄りの避難場所への立退き避難の準備 避難行動要支援者等は避難を開始 警戒 レベル 4 避難指示の発令 高潮警報(警戒レベル4相当情報[高潮])発表された場合 (高潮特別警報(警戒レベル4相当情報[高潮])を含む。) 避難場所等への立退き避難、あるいは屋内安全確保(安全な上階へ垂直避難または浸水しない上層階に留まる) 警戒 レベル 5 緊急安全確保の発令 高潮氾濫発生情報が発表された場合 避難対象地域にいる人は命の危険があることから直ちに安全を確保し、相対的に安全である場所へ直ちに移動 ? 5 多摩川氾濫のおそれがある対象地域および発令基準 氾濫のおそれがある場合に避難を呼びかける避難指示等の発令基準を、以下のとおり定めている。 (1)避難対象区域 東大井2丁目の一部、南大井1・4〜6丁目の一部、南大井2・3丁目 図表3-56 多摩川氾濫に対する避難指示等の発令基準 避難指示等の種類 発令基準 住民の行動 警戒 レベル 3 高齢者等避難の発令 なし なし 警戒 レベル 4 避難指示の発令 多摩川の堤防(丸子橋〜大師橋間左岸)が決壊した場合 避難対象地域にいる人は避難場所等への立退き避難、あるいは屋内安全確保(安全な上階へ垂直避難または浸水しない上層階に留まる) 警戒 レベル 5 緊急安全確保の発令 品川区へ浸水が到達した場合 避難対象地域にいる人は命の危険があることから直ちに安全を確保し、相対的に安全である場所へ直ちに移動 第2 避難指示等の発令 ○避難指示等の発令に係る権限等を示す。 避難指示等の発令に係る権限等は以下のとおりである。 @ 区の地域において危険が切迫した場合には、区長は地元警察署長および消防署長と協議のうえ、避難を要する地域ならびに避難先を定めて避難指示等を発令する。 A 区長は、災害が発生または、発生しようとしている場合において、住民の生命、身体を保護するために必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、当該区域への立入りを制限もしくは禁止し、または、退去を命ずることができる。 B 地域において危険が切迫し、区長が避難の指示をすることができないと認めるとき、または区長から要請のあったときは、警察署長が住民等に避難の指示を行うことができる。この場合、警察署長は直ちに区長に対し、避難の指示を行った日時、対象地域等を通知するものとする。 C 消防署長は、災害の進展等により住民を避難させる必要がある場合は区長に通報し、住民等に避難指示の伝達を行う。また、被災状況を勘案し、必要な情報を区長および関係機関に通報する。 D?災害の発生により区がその全部または大部分の事務を行うことができなくなったとき、都知事は、避難のための立退きの指示等に関する措置の全部または一部を区長に代わって実施するものとする。 第3 避難指示等の伝達 ○区は、区民等への避難指示等の伝達とともに、要配慮者の個々の状態にあった情報伝達方法を検討し、避難の円滑化を図るための体制づくりを行う。 避難指示等の伝達は、「第1部 第4章 情報通信」に準じて区民等に伝達するものとする。また、高齢者や障害者など要配慮者の個々の状態(視力低下、聴覚障害など)にあった情報伝達方法を検討し、避難の円滑化を図るための体制づくりを行う。 対策2 避難誘導 第1 避難誘導 ○区は、区民が自主避難施設、避難場所、親戚・知人宅やホテル等への立ち退き避難、屋内安全確保を行うよう促す。 ○避難行動要支援者については、避難支援等関係者が安否確認を行い、適切に避難誘導を行う。 @?区は、「対策1 避難指示等の発令」に基づき避難指示等の発令等を行い、区民が自主避難施設、避難場所、親戚・知人宅やホテル等への立ち退き避難、屋内安全確保を行うよう促す。 A?避難行動要支援者については、避難支援等関係者が要支援者の安否確認を行い、適切に避難誘導を行う。また、要配慮者利用施設においては、事前に定めた避難確保計画に基づき対応する。 B 避難対象施設を所管する部署別の避難要領は下表のとおり。 図表3-57 避難対象の施設を所管する部署別の避難要領 所属 避難の処置 区教育委員会 ○校長等は、避難時において、常に、園児・児童・生徒の正確な人員と異常の有無を把握する。 そのために、避難誘導の任にあたる教職員は、出席簿を携行し、常に正確な人員と異常の有無を速やかに校長等へ報告しなければならない。 ○校長等および所属職員は、避難時において二次災害が発生しないよう迅速に適切な処置をとる。 ○地域住民が学校へ避難した場合および保護者が園児・児童・生徒を引取りにきた場合等においては、校長等は防災無線で正確な情報を収集し、混乱が生じないよう迅速に適切な指示・連絡を行う。 区保育課 ○避難にあたっては、園児の正確な把握を図る。 そのために、避難誘導の任にあたる職員は、園児名簿を携行し、常に正確な人員と異常の有無を速やかに園長へ報告する。 ○不安や動揺で混乱のおそれがあるので、区役所、警察署、消防署等の関係機関と緊密な連絡を保ち、さらに、ラジオ等により、正確な情報を収集し、的確迅速に行動し、デマにまどわされないようにする。 区シルバーセンター シルバーセンター職員は、館内の利用者数を把握し、施設の状況等の正確な情報収集に努めるとともに、高齢者地域支援課等、区からの指示に基づき、利用者が退館するまでの避難誘導を行う。 区児童センター ○職員は、情報を確認し、避難が必要な場合には、館内利用者に対し口頭または館内放送により伝達し避難させる。 ○館内利用者が退館するとき、混乱が予想されるので避難誘導にあたる。その際、避難誘導の任にあたる職員は、入館表等を携行し、正確な人員と異常の有無を確認する。 資料46 区民避難所設置計画(再掲) 第2 避難施設の役割 ○避難施設の役割を示す。 1 避難施設 (1)自主避難施設 区内15の各地区に開設する施設をあらかじめ指定しておき、台風の規模などに応じて、開設の是非、開設時刻を区が決定し、区職員が開設・運営する。 資料49 自主避難施設一覧(再掲) (2)避難場所 土砂災害、目黒川氾濫、高潮氾濫、多摩川氾濫等の災害事象ごとに開設する施設および避難の発令基準を定めて、避難指示または高齢者等避難の発令に併せて区が開設を決定し、区職員が開設・運営する。 資料50 避難場所一覧(土砂災害、目黒川氾濫、高潮氾濫、多摩川氾濫)(再掲) (3)在宅での避難、親戚・知人宅やホテル等への避難 避難所の受入人数に限りがあることを踏まえ、自宅で安全確保が可能な場合における在宅での避難(屋内安全確保)、親戚・知人宅やホテル等への避難等、状況に応じた多様な避難行動の実践について区民へ促す。 (4)区民避難所 開設する避難所(区民避難所、補完避難所、福祉避難所)、開設担当、運営主体などについて被害の規模に応じて定める。 ? 2 避難の流れ 図表3-58 風水害時の避難の流れ ? 対策3 避難所の開設・管理運営 ○区は、浸水ハザードマップ等を踏まえ避難施設の安全性を点検し、水害時にも安全な避難施設を指定する。 ○区本部長は、避難施設を開設する必要があると認めたときは、避難対策部長に開設を指令、避難対策部長は、直ちに職員を避難施設に派遣する。 @ 浸水ハザードマップ等を踏まえて避難施設の安全性を点検し、水害時にも安全な避難施設を指定する。 A 区本部長は、避難施設を開設する必要があると認めたときは、避難対策部長に開設指令をする。避難対策部長は、本部長から指令を受けたときは、直ちに職員を避難施設に派遣する。 B 避難施設を開設するときは、開設の日時、場所、避難者の数および開設予定期間等を速やかに都福祉局(指導監査部)および地元警察署、消防署等関係機関に連絡する。都福祉局への連絡は、原則として東京都災害情報システム(DIS)への入力により行う。 C 避難所の開設期間は、災害発生の日から7日以内とする。ただし、状況により期間を延長する必要がある場合には、都知事の事前承認(厚生労働大臣の事前承認を含む)を受ける。 ? 第7章 帰宅困難者対策 対策の基本的な考え方 風水害時には、帰宅困難者の発生も想定される。このため、帰宅困難者の発生の抑制および混乱収拾後に帰宅を始める者の支援が必要である。 ここでは、帰宅困難者対策について示す。 帰宅困難者対策については、「第1部 第7章 帰宅困難者対策」に定めるところによる。 第8章 受援体制 対策の基本的な考え方 大規模な風水害時には、多くの支援が必要となり、人的、物的の両面において、国、都、他の地方自治体、関係機関から支援を受けるための受援体制の構築が必要である。 ここでは、人的・物的支援の受入れ時における対応および円滑な受入れに向けた体制整備について示す。 受援体制については、「第1部 第8章 受援体制」に定めるところによる。 第9章 医療救護等対策 対策の基本的な考え方 区は、災害発生時の被害を最小限にし、人命の安全を図るためには、救援・救護を迅速かつ適切に行う。 ここでは、応急給水、食料供給等の調達、分配に関すること、医療および防疫態勢における医療救護班の活動内容、緊急輸送の手段、遺体の取り扱い等について示す。 医療救護等体制については、「第1部 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン」「第1部 第5章 備蓄・輸送対策」「第1部 第9章 医療救護等対策」等に定めるところによる。 ? 第10章 区民生活の再建 対策の基本的な考え方 災害により発生する「ごみ」、「し尿」および「がれき」を迅速かつ適切に処理するため、仮置場を設置する。また、実際の被害棟数に基づき、災害がれき発生量を推計し、災害がれき処理基本方針を策定する。 各対策の要点  第1 災害がれき処理の実施 ○区は、発生する災害がれきを適切に保管するため、仮置場を設置するとともに、災害がれきの発生量を推計し、処理計画を策定のうえ、処理を実施する。 対策 対応テーマ 第1 災害がれき処理の実施 ※「第1部 第12章 区民生活の再建」を準用する。 第1 災害がれき処理の実施 ○区は、発生する災害がれきを適切に保管するため、仮置場を設置するとともに、災害がれきの発生量を推計し、処理計画を策定のうえ処理を実施する。 1 被害状況の把握 @ 区は、床上、床下浸水の被害状況および道路、公園や周辺道路の被害状況について把握する。 A 区は、区清掃関連施設(清掃事務所など)、東京二十三区清掃一部事務組合管理施設の被災状況、民間処理施設、最終処分場の稼働状況を把握する。 B 区は、所管施設および品川清掃工場周辺の道路被災状況を把握する。 C 区は、協定締結機関の被災状況を把握する。 2 仮置場の設置等 @ 道路啓開などにより発生する災害がれきを適切に保管するため、区は、応急仮置場を設置する。 A 被災地区の浸水状況により地区仮置場を設置する。被災地区の状況を鑑みて一次仮置場を選定し、設置する。 B 一次仮置場に仮置きされた災害がれきなどは、一定期間後にさらなる分別などの処理を実施する二次仮置場へ搬出する。 二次仮置場の設置、運営は特別区全体で行い、実務は特別区対策本部が行う。 C 二次仮置場から処理施設、広域処理の積み出し施設などまで災害がれきを運搬する車両の確保、管理は特別区対策本部において行う。 D 仮置場などを閉鎖した場合は、閉鎖した旨と閉鎖後に排出された災害がれきの処理方法を区民に周知する。区は、土壌調査などの環境測定を実施し、安全性を確認する。 3 災害がれき発生量推計、処理の実施 @ 浸水想定地域図(想定最大規模)に基づき、風水害による災害廃棄物(災害がれき)の発生量を試算すると、最大で約7.4万トンに上ると推計される。実際の床上浸水、床下浸水の被害棟数から災害がれき発生量を推計し、片付けごみが早期に排出される点に留意して処理計画を策定する。 その他の区民生活の再建については、「第1部 第12章 区民生活の再建」に定めるところによる。? 第3部 富士山噴火降灰応急対策 第1章 災害時対応体制の確保 対策の基本的な考え方 富士山が噴火した場合には、他の火山とは比較にならない広範かつ多大な被害が生じるおそれがある。品川区においても降灰の被害が予想されているため、富士山噴火降灰について、対策を講じる必要がある。 ここでは、区災害対策本部の組織・運営、庁舎等の保全・機能確保に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 区災害対策本部の組織・運営 ○区は、非常配備態勢を発令する必要があると認めるときは、区災害対策本部を設置する。 対策2 庁舎等の保全・機能確保 ○区は、降灰が予測された場合、火山灰の建物内等への侵入防止措置、非常用電源の確保、車両を屋内へ移動する措置などを実施する。 対策 対応テーマ 対策1 区災害対策本部の組織・運営 対策2 庁舎等の保全・機能確保 ※対策1は「第1部 第3章 災害対応体制」を準用する。 対策1 区災害対策本部の組織・運営 ○区は、非常配備態勢を発令する必要があると認めるときは、区災害対策本部を設置する。 @ 区は、非常配備態勢を発令する必要があると認めるときは、本部を設置する。 A 本部を構成する部長職(参事を含む、以下同じ)の職にある者は、本部を設置する必要があると認めるとき、災害対策担当部長に本部の設置を要請することができる。 B 災害対策担当部長は、本部設置の要請があった場合、その他の状況により本部を設置する必要があると認めた場合は、本部条例施行規則第3条第1項の副本部長の職にあてられている者と協議のうえ、本部の設置を区長に要請する。 C?その他、本部の設置・廃止、本部職員の配置・服務、本部の財務等の詳細については、「第1部 第3章 災害対応体制」に定めるところによる。 対策2 庁舎等の保全・機能確保 ○区は、降灰が予測された場合、火山灰の建物内等への侵入防止措置、非常用電源の確保、車両を屋内へ移動する措置などを実施する。 1 庁舎等 降灰が予測された場合は、直ちに、窓を閉める、出入口を限定する、全館空調換気システム等を運転停止し、吸排気口を保護するなど、火山灰の建物内への侵入防止措置を実施する。また、停電に備え、非常用電源の確保、非常用発電機への火山灰侵入防止措置などについても実施する。 2 車両 降灰が予測された場合、不要不急の車両の使用を控え、運行中であれば、速やかに帰庁し、可能な限り地下駐車場などの屋内への移動を実施する。また、必要に応じ、吸気への火山灰侵入防止措置などについても可能な範囲で実施する。 ? 第2章 情報の収集・伝達 対策の基本的な考え方 降灰による被害時において、円滑な応急対策活動を実施するためには、各防災機関の緊密な連携のもと、降灰による被害に関する情報を的確かつ迅速に把握することが必要である。 ここでは、降灰情報の伝達および降灰による被害発生時における各防災機関の情報連絡体制、被害状況の把握、火山災害時の広報等について定める。 各対策の要点 対策1 噴火警報等  第1 噴火警報 ○気象庁火山監視・警報センターから発表される噴火警報について示す。  第2 噴火予報 ○気象庁火山監視・警報センターから発表される噴火予報について示す。 対策2 火山(降灰)情報 ○都内の降灰状況の情報受伝達体制を示す。 対策3 降灰状況等の報告 ○区は、都(総合防災部)に降灰状況等を報告する。 対策4 降灰予報  第1 降灰予報(定時) ○気象庁が発表する降灰予報(定時)について示す。  第2 降灰予報(速報) ○気象庁が発表する降灰予報(速報)について示す。  第3 降灰予報(詳細) ○気象庁が発表する降灰予報(詳細)について示す。  第4 情報連絡体制 ○区は、応急対策を実施するため、速やかに連絡態勢をとり、情報の収集にあたる。  第5 広報活動 ○区は、被害の拡大防止、区民生活の早期安定を図るため、火山灰の特性および注意事項等について広報活動を行う。 ? 対策 対応テーマ 対策1 噴火警報等 対策2 火山(降灰)情報 対策3 降灰状況等の報告 対策4 降灰予報 対策1 噴火警報等 第1 噴火警報 ○気象庁火山監視・警報センターから発表される噴火警報について示す。 居住地域や火口周辺に重大な影響を及ぼす噴火の発生が予想される場合に、気象庁火山監視・警報センターから、予想される影響範囲を付した名称で発表される。 第2 噴火予報 ○気象庁火山監視・警報センターから発表される噴火予報について示す。 火山活動が静穏な状態が予想される場合に、気象庁火山監視・警報センターから、発表される(なお、噴火警報の解除は、噴火予報として発表)。 対策2 火山(降灰)情報 ○都内の降灰状況の情報受伝達体制を示す。 @ 都内の降灰の状況は、下記の経路を通じて、気象庁地震火山部火山課火山監視・警報センターに集約される。 図表3-59 情報受伝達体制 A 都および各県から収集した降灰の情報は、気象庁地震火山部火山課火山監視・警報センターで取りまとめ、「富士山の火山活動解説資料」として公表される。解説資料は、都、区、防災関係機関に伝達される。? 図表3-60 火山現象に関する情報 情報等の種類 内容 発表時期 火山の状況に関する解説情報 火山性地震や微動回数、噴火等の状況や警戒事項について解説する情報 火山活動の状況に応じ適時発表 火山活動解説資料 地図や図表を用いて、火山活動の状況や警戒事項について解説する動画 毎月上旬または 必要に応じて適時発表 週間火山概況 過去1週間の火山活動の状況や警戒事項をとりまとめた資料 毎週金曜日 月間火山概況 前1ヶ月間の火山活動の状況や警戒事項をとりまとめた資料 毎月上旬 噴火に関する火山観測報 噴火が発生した時に、発生時刻や噴煙高度等の情報 随時 B 火山現象およびこれに密接に関連する現象についての観測成果ならびにこれに関する状況について、区は次により速やかに情報の伝達を行う。 図表3-61 情報伝達に係る区、関係機関の役割 機関名 役  割 区 ○降灰に関する重要な情報について、気象庁、関係機関から通報を受けたとき、または自ら知ったときは、直ちに管内の公共的団体、重要な施設の管理者、住民の防災区民組織等に通報するとともに、警察機関等の協力を得て区民に周知する。 都 ○都各局は、都総務局から受けた火山活動に関する情報を直ちに関係する所属機関等に通報する。 ○当該火山活動地域に所在する事業所は、収集した情報を各局に通報する。 警視庁 ○警視庁は、気象庁との連絡を密にし、火山情報の収集に努める。 ○警視庁は、火山活動に関する重要な情報について、気象庁、都総務局、その他関係機関から通報を受けたとき、または自ら知ったときは、直ちに地元警察署、駐在所等を通じて、区民に周知する。 東京消防庁 ○火山活動に関する重要な情報について、都本部等から通報を受けたとき、または自ら知ったときは、ただちに消防署等に一斉通報し、各消防署等は、区民に周知する。 ○降灰等に関する重要な情報について各消防署等から報告を求め、これを都本部等に通報する。 第三管区 海上保安本部 ○第三管区海上保安本部は、富士山に関する噴火情報や気象情報を入手したときは、船舶に航行警報を発する等関係機関に通報する。 東京航空局 ○気象庁等から降灰に関する通報を受けたときは、当該火山の上空および周辺を飛行中の航空機および関係機関に情報を周知する。 ? 対策3 降灰状況等の報告 ○区は、都(総合防災部)に降灰状況等を報告する。 降灰に関する調査報告にあたっては、次の報告事項を基本とする。なお、報告にあたっては、可能な範囲で写真等の添付についても配慮する。 ・降灰の有無、堆積の状況 ・降灰の程度(層厚等) ・被害等の状況 ・降灰時間 ・構成粒子の大きさ、特徴等 対策4 降灰予報 気象庁が発表する降灰予報では量の予測を含めた予報として、噴火を想定した事前の予報(定時)、噴火発生直後の予報(速報)、噴火発生後の精度の高い予報(詳細)を提供することとしている。降灰予報の種類別の概要について、以下に示す。 第1 降灰予報(定時) ○気象庁が発表する降灰予報(定時)について示す。 @ 噴火警報発表中の火山で、噴火により人々の生活に影響を及ぼす降灰が予想される場合に、定期的(3時間毎)に発表する。 A?18時間先(3時間区切り)までに噴火した場合に予想される、降灰範囲や小さな噴石の落下範囲を提供する。 第2 降灰予報(速報) ○気象庁が発表する降灰予報(速報)について示す。 @ 噴火の発生を通報する「噴火に関する火山観測報」を受けて発表する。 A 降灰予報(定時)を発表中の火山では、降灰への防災対応が必要となる「やや多量」以上の降灰が予測された場合に発表する。 B 降灰予報(定時)が未発表の火山では、噴火に伴う降灰域を速やかに伝えるため、予測された降灰が「少量」であっても必要に応じて発表する。 C 事前計算された降灰予報結果から適切なものを抽出することで、噴火後速やかに(5〜10分程度で)発表する。 D 噴火発生から1時間以内に予想される、降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を提供する。 E 降灰予測計算には時間がかかり、噴火発生後に計算を開始したのでは、噴火後すぐに降り始める火山灰や小さな噴石への対応に間に合わない。そこであらかじめ、噴火時刻や噴火規模(噴煙高)について複数のパターンで降灰予測計算を行い、計算結果を蓄積しておく。 第3 降灰予報(詳細) ○気象庁が発表する降灰予報(詳細)について示す。 @ 噴火の観測情報(噴火時刻、噴煙高など)を用い、より精度の高い降灰予測計算を行い発表する。 A 降灰予報(定時)を発表中の火山は、降灰への防災対応が必要となる「やや多量」以上の降灰が予測された場合に発表する。 B 降灰予報(定時)が未発表の火山は、噴火に伴う降灰域を速やかに伝えるため、予測された降灰が「少量」のみであっても必要に応じて発表する。 C 降灰予報(速報)を発表した場合、予想降灰量によらず、降灰予報(詳細)も発表する。 D 降灰予測計算結果に基づき、噴火後20〜30分程度で発表する。 E 噴火発生から6時間先まで(1時間ごと)に予想される降灰量分布や、降灰開始時刻を提供する。 図表3-62 降灰予報(定時)の例(桜島) ? 第4 情報連絡体制 ○区は、応急対策を実施するため、速やかに連絡態勢をとり、情報の収集にあたる。 富士山の噴火等による火山災害が発生したときは、円滑な応急対策を実施するため、速やかに連絡態勢をとり、迅速かつ的確な情報の収集にあたる。 富士山噴火降灰対策における情報連絡の流れ、区および関係機関の役割は、次のとおりである。 その他「第1部 第4章 情報通信」に定めるところによる。 図表3-63 情報連絡系統図 図表3-64 情報連絡体制 機関名 役  割 区 ○区は、都防災行政無線等を活用して、都と情報連絡を行う。 ○区は、保有する地域防災行政無線等を基幹に、またはその他の手段の活用により、区の各機関、都、管内の防災関係機関およびその他重要な施設の管理者との間に連絡系統を整備し、災害時の情報連絡態勢を確保する。 ○災害に関する情報の収集および伝達を円滑に処理するため、管内の警察署等の協力を確保しておく。 ○緊急を要する通信を確保し、または有線通信の途絶に対処するため、非常(緊急)通話もしくは非常(緊急)電報および非常無線通信を活用するよう、NTTおよび各施設管理者の協力を確保しておく。 ○区は、災害発生とともに、いつでも関係防災機関と通信連絡が行えるよう、必要な連絡態勢を確保する。 都総務局 ○都防災行政無線を基幹として、都各局保有の無線、有線電気通信設備の利用、電気通信設備の優先利用、非常無線通信の利用等各種の通信連絡手段の活用により都各部局、警察等各防災機関と情報連絡を行う。 ○気象庁からの通報に基づき、必要に応じ、連絡態勢を確保する。 警視庁 ○無線、警察電話、防災行政無線等により、各方面本部、警察署および各防災関係機関と情報連絡を行う。 東京消防庁 ○消防無線、消防電話および各種の通信連絡手段を活用し、各消防方面本部、管下消防署、消防団および各防災機関と情報連絡を行う。 第5 広報活動 ○区は、被害の拡大防止、区民生活の早期安定を図るため、火山灰の特性および注意事項等について広報活動を行う。 被害の拡大防止、区民生活の早期安定を図るため、次の事項についても積極的に広報を行う。 ・火山灰の特性および注意事項 ・降灰による健康被害防止に関すること。 ・噴火警戒レベルに応じた噴火の状況および安全情報等の提供 ・除灰に関する事項等 ・生活不安に係る広報 等 ? 第3章 応援協力・派遣要請 対策の基本的な考え方 各防災機関等の行う相互応援協力については、「第1部 第3章 災害対応体制」に定めるところによる。 降灰による被害が発生し、人命または財産の保護のため必要であると認めた場合は、自衛隊に対し、災害派遣を要請するものとする。要請手続等については、「第1部 第3章 災害対応体制」に定めるところによる。 第4章 警備・交通規制 対策の基本的な考え方 降灰による被害発生時には、視界不良や衝突事故などが急増し、様々な社会的混乱や交通の混乱等の発生が予想される。このため、都と連携し、区民の生命、身体および財産の保護を図るため、速やかに各種の犯罪の予防、取締、交通秩序の維持その他公共の安全と秩序を維持し、治安の維持の万全を期することが必要である。 ここでは、警備、交通規制について、必要な事項を定める。 各対策の要点 対策1 警備活動 ○「第1部 第3章 災害対応体制」を準用する。 対策2 交通規制  第1 交通情報の収集と交通統制 ○警視庁は、降灰の範囲、規模等の交通情報を収集するとともに、交通統制を行う。  第2 交通規制 ○警視庁は、関係県警察本部と連携しながら、交通規制を実施する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 警備活動 対策2 交通規制 ※対策1は「第1部 第3章 災害対応体制」を準用する。 対策1 警備活動 警備活動については「第1部 第3章 災害対応体制」に定めるところによる。 対策2 交通規制 降灰時には、視界不良による衝突事故やスリップ事故等が急増することが予想されることから、適切な交通規制を実施することが必要である。 以下に警視庁が実施する交通規制について示す。 第1 交通情報の収集と交通統制 ○警視庁は、降灰の範囲、規模等の交通情報を収集するとともに、交通統制を行う。 降灰の範囲、規模等の具体的な交通情報の収集に努めるとともに、交通障害の実態把握を速やかに行い、その状況を知事(都本部長)に通報する。 第2 交通規制 ○警視庁は、関係県警察本部と連携しながら、交通規制を実施する。 @ 広域的な降灰による被害発生時には、道路交通法第4条第1項に基づく、都公安委員会の決定により必要な措置を講ずる。隣接県に通じる国道その他の幹線道路については、関係県警察本部と連携を密にし、整合性のある速度規制等を実施して、交通秩序の維持に努める。 A 被災地およびその周辺を管轄する警察署長(高速道路交通警察隊長)は、道路交通法第5条第1項に基づき、被災地およびその周辺道路における危険防止、交通の安全および円滑を図るため、通行禁止、一方通行等の交通規制を実施する。 ? 第5章 避難 対策の基本的な考え方 降灰による避難については、「第1部 第6章 避難者対策、第7章 帰宅困難者対策」に定めるところによる。 第6章 救援・救護 対策の基本的な考え方 降灰による救援・救護については、基本的には、通常体制において救援および救護活動を行うが、必要に応じて「第1部 第9章 医療救護等対策」に定めるところにより、活動を行う。 第7章 インフラの応急対策 対策の基本的な考え方 降灰により、道路・橋梁および道路付属物、鉄道施設、河川管理施設に被害を受けた場合の対策は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」「第1部 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン」に定めるところによる。 第8章 ライフライン等の応急対策 対策の基本的な考え方 降灰による被害を受けた場合の対策は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」「第1部 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン」に定めるところによる。 ? 第9章 火山灰の収集および処分 対策の基本的な考え方 降灰による被害時において、円滑な応急対策活動を実施するため、また、区民生活の再建を図るうえで、火山灰を的確かつ迅速に収集・処分することが必要である。 ここでは、火山灰の収集・運搬、火山灰の処分・最終処分場の確保について示す。 各対策の要点 第1 火山灰の収集・運搬 ○火山灰の収集・運搬方法を示す。 第2 火山灰の処分・最終処分場の確保 ○区は、火山灰の処分方法について、関係機関との検討を踏まえ、今後決定する。 対策 対応テーマ 第1 火山灰の収集・運搬 第2 火山灰の処分・最終処分場の確保 第1 火山灰の収集・運搬 ○火山灰の収集・運搬方法を示す。 @ 火山灰の運搬は、一般廃棄物とは別に行い、飛散しないように努めるものとする。 A 宅地等に降った火山灰の運搬については、区が行うものとする。 B 宅地以外に降った火山灰の収集・運搬については、各施設管理者が行うものとする。 第2 火山灰の処分・最終処分場の確保 ○区は、火山灰の処分方法について、関係機関との検討を踏まえ、今後決定する。 @ 火山灰の処分の方法については、関係機関との検討を踏まえ、今後詳細に決定する。 A 都は、都内で処分場の確保ができない場合に備え、広域的な処分を検討するとともに国に働きかけていくことから、区はこの方針に従うものとする。 ? 第4部 大規模事故応急対策 第1章 初動体制 対策の基本的な考え方 火災、危険物の漏えいおよび爆発等の危険性が切迫するときおよびそれらに関する事故発生時には、各関係機関から情報の第一報が通報される。通報により、情報収集活動を実施し、状況に応じて、避難の指示、各関係機関で行われる医療救護活動の支援等を行う。また、必要により責任者を定めて現地連絡所を開設し、迅速な情報収集、指揮命令系統を確立する。なお、避難所開設の必要性等の対応は、各関係機関の活動状況を考慮に入れながら判断する。 各対策の要点 対策1 区災害対策本部の活動 ○区災害対策本部の活動を示す。 対策2 消防機関の活動 ○消防機関は、関係事業所の管理者等に対し、危険物施設の実態に応じた措置を講ずるよう指導する。また、災害応急対策等を実施する。 対策3 警察機関の活動 ○警察機関は、被害状況の調査、管理者への被害拡大防止の要請、交通規制や警戒区域の設定、救出救助活動を行う。 ? 対策 対応テーマ 対策1 区災害対策本部の活動 対策2 消防機関の活動 対策3 警察機関の活動 対策1 区災害対策本部の活動 ○区災害対策本部の活動を示す。 ・情報収集活動 ・医療救護活動 ・避難所運営 ・救助物資払出、輸送 ・遺体収容所確保、収容および搬送 ・広報情報提供活動 対策2 消防機関の活動 ○消防機関は、関係事業所の管理者等に対し、危険物施設の実態に応じた措置を講ずるよう指導する。また、災害応急対策等を実施する。 @?関係事業所の管理者等に対し、危険物施設の実態に応じた措置を講ずるよう指導する。 A 必要に応じて、応急措置命令等を実施する。 B 災害の進展等により、区民を避難させる必要がある場合、区へ通報する。 C 人命危険が著しく切迫し、通報するいとまのない場合の関係機関と連携した避難指示等は、その内容を区へ通報する。 D 災害時の広報活動および警戒区域に対する規制を行う。 E 災害応急対策を実施する(消火や負傷者および被災者の早期救出救助等)。 対策3 警察機関の活動 ○警察機関は、被害状況の調査、管理者への被害拡大防止の要請、交通規制や警戒区域の設定、救出救助活動を行う。 1 被害状況の調査、危険物の把握 危険物の保管場所等に警察官を派遣して、被害状況の調査を行い、被害発生の有無、被害発生時の被害拡大の可能性、危険物の種類および量等の把握を行う。 2 管理者への被害拡大防止の要請 危険物の保管場所等の管理者に対し、火気の使用禁止、危険物の移動禁止、漏出防止措置、立入禁止措置、現場広報等の要請を行う。 3 交通規制、警戒区域の設定 危険物の爆発、漏出等の被害が発生し、または発生しようとしている場合において、交通規制および警戒区域の設定を行う。 4 救出救助活動 二次災害に配慮した負傷者および被災者の早期救出救助にあたる。 5 関係機関への連絡通報 危険物に関する被害発生等を認知した場合は、防災関係機関に対する連絡通報を行い、連携して対応する。 ? 第2章 情報の収集・伝達 対策の基本的な考え方 事故災害時に各防災機関は、情報連絡体制をとり、被害状況の把握、広報、広聴等を行う必要がある。大規模事故等発生の際の災害対策については、事業者、施設管理者等の当事者機関による対応を原則とするが、大規模災害対策として、広域的、総合的な災害応急対策が必要と考えられる場合の情報連絡体制については、次のとおりである。 ここでは、情報連絡体制のほか、通信連絡態勢の確立について示す。 図表3-65 大規模事故等に係る通報経路図 各対策の要点 対策1 情報連絡体制 ○区は、東京都防災行政無線を使用して、都本部に情報連絡を行う。また、区内の関係機関およびその他重要な施設管理者との通信を確保する。 対策2 通信連絡態勢の確立 ○区および関係機関は、通信連絡責任者を選任し、通信連絡態勢を確立する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 情報連絡体制 対策2 通信連絡態勢の確立 対策1 情報連絡体制 ○区は、東京都防災行政無線を使用して、都本部に情報連絡を行う。また、区内の関係機関およびその他重要な施設管理者との通信を確保する。 都本部に対する情報連絡は、東京都防災行政無線を使用する。 @ 災害の状況により都本部に連絡することができない場合は、災害対策基本法に基づき政府の緊急災害現地対策本部または国(総務省消防庁)に対して直接連絡する。 A 防災行政無線またはその他の手段により、区内の関係機関およびその他重要な施設管理者との通信を確保する。 対策2 通信連絡態勢の確立 ○区および関係機関は、通信連絡責任者を選任し、通信連絡態勢を確立する。 区、関係機関は通信連絡態勢を、次のとおり確立する。 @ 区および関係機関は、情報の収集、伝達に関する直接の責任者として正副各1名の通信連絡責任者を選任する。また、通信連絡責任者は、通信連絡事務従事者をあらかじめ指名しておく。 A 区および関係機関は、夜間、休日を含め、常時、都と通信連絡が開始できるよう必要な人員を配置する。 第3章 広報・広聴活動 対策の基本的な考え方 区は、管内の地域等で大規模な事故が発生し、状況により広報活動を実施する必要があると考えられる場合は、直ちに警察署、消防署、その他現地の関係機関と密接な連絡のもと広報を行う。詳細については、「第1部 第4章 情報通信」に定めるところによる。 ? 第4章 救急・救助・医療 対策の基本的な考え方 大規模事故等が発生した場合、被害の軽減を図るとともに、人命救助および救急活動、医療救護活動を実施する必要がある。 ここでは、区による医療救護活動支援、救急・救助・医療に係る関係機関の対応について示す。 各対策の要点 対策1 医療救護活動支援 ○区は、緊急医療救護所を開設し、医師会等と連携しながら、医療救護に係る支援活動を実施する。 対策2 消防関係 ○大規模な事故等が発生した場合、消防機関は、関係機関と連携して被害の軽減を図るとともに、人命救助および救急活動を実施する。 対策 対応テーマ 対策1 医療救護活動支援 対策2 消防関係 対策1 医療救護活動支援 ○区は、緊急医療救護所を開設し、医師会等と連携しながら、医療救護に係る支援活動を実施する。 大規模事故等により多数の傷病者が発生、もしくは災害発生の第一報からその発生が見込まれるときは、情報収集活動とともに、医療救護支援活動を実施する。医療救護支援活動では、緊急医療救護所を開設し、医師会等と連携しながら、支援活動を実施する。また、状況に応じては、都に医療救護班の応援派遣を要請する。 対策2 消防関係 ○大規模な事故等が発生した場合、消防機関は、関係機関は連携して、被害の軽減を図るとともに、人命救助および救急活動を実施する。 大規模な事故等が発生した場合において、それらの事象から生命、身体および財産を保護するため、関係機関と連携の下、機能を十分に発揮して部隊等を運用し、災害等による被害の軽減を図るとともに、人命救助および救急活動を実施する。 ? 第5章 避難対策 対策の基本的な考え方 大規模な事故等が発生し、人命に及ぼす危険性が著しく大きいと予想されるときには、当該区域からの避難、立入りの制限等を命ずる必要がある。あわせて、避難所の開設や区民の保護を行う必要がある。 ここでは、避難対策について示す。 各対策の要点 対策1 避難対策 ○区は、危険が切迫した場合、管轄警察署および消防署と協議の上、地域、避難先を定めて避難の指示を行う。あわせて、避難所の開設や区民の保護を行う。 ○また、区は、必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、当該区域への立入りを制限もしくは禁止、または当該区域からの退去を命ずる。 対策 対応テーマ 対策1 避難対策 対策1 避難対策 ○区は、危険が切迫した場合、管轄警察署および消防署と協議の上、地域、避難先を定めて避難の指示を行う。あわせて、避難所の開設や区民の保護を行う。 ○また、区は、必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、当該区域への立入りを制限もしくは禁止、または当該区域からの退去を命ずる。 @ 避難、立ち退きの指示の基準は、原則として次のとおりである。 ・火災が延焼拡大し、人命に及ぼす危険性が大きいと予想されるとき、同時多発の火災が延焼拡大し、ふく射熱等により人命に及ぼす危険性が著しく大きいと予想されるとき ・危険物、高圧ガス、有毒ガス等の流出拡散により、人命に及ぼす危険性が高いと予想されるとき ・爆発のおそれがあるとき ・その他、住民の生命および身体を災害から保護するため、必要と認められたとき A?区内において、危険が切迫した場合には、区は、管轄警察署および消防署と協議の上、地域、避難先を定めて避難の指示を行う。この場合、区は直ちに都に報告する。あわせて、避難所の開設や区民の保護を行うこととする。 B 災害が発生し、まさに発生しようとしている場合において、人の生命身体に対する危険を防止するため、特に必要があると認めるときは、区は警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して、当該区域への立入りを制限し、もしくは禁止しまたは当該区域からの退去を命ずる。なお、避難所の開設場所については、災害の状況等を勘案し決定する。 C?その他、化学物質関連施設においては、破損、漏洩している機器の調査・確認、PCB汚染の表示等について、事業者と情報共有しながら応急措置を進める。 第6章 交通・輸送対策 対策の基本的な考え方 大規模な事故災害において、警察機関や海上保安部等と連携し、交通の秩序を維持する。交通対策の詳細は、「第1部 第5章 物資・備蓄対策」の定めるところによる。 災害時における避難者の緊急輸送に向け、緊急通行車両の確保や代替交通手段の確保等を行う。区で調達する緊急通行車両が不足した場合、都へ調達あっ旋を要請する。輸送対策の詳細は、「第1部 第5章 物資・備蓄対策」の定めるところによる。 ? 第7章 危険物輸送車両等の応急対策 対策の基本的な考え方 品川区では、大規模火災や大規模事故(航空機事故、鉄道事故、道路・橋梁・トンネル事故等)のほか、危険物輸送車両事故、沿岸部における油の流出事故も発生する可能性がある。 ここでは、危険物輸送車両の応急対策、流出油の応急対策について示す。 各対策の要点 対策1 危険物輸送車両の応急対策 ○区は、危険物輸送車両の事故時には、必要に応じて、住民に対する避難の指示、避難誘導、避難所の開設や避難住民の保護等を行う。 対策2 流出油の応急対策 ○区は、流出油の応急対策として、沿岸住民に対する火気管理の徹底指導や陸上への被害拡大防止、また、必要に応じて、沿岸住民に対する避難指示等を発令する。 対策 対応テーマ 対策1 危険物輸送車両の応急対策 対策2 流出油の応急対策 対策1 危険物輸送車両の応急対策 ○区は、危険物輸送車両の事故時には、必要に応じて、住民に対する避難の指示、避難誘導、避難所の開設や避難住民の保護等を行う。 1 区 事故時には必要に応じ、次の措置を実施する。 ・住民に対する避難の指示等 ・住民の避難誘導 ・避難所の開設、避難住民の保護 ・情報提供、関係機関との連絡 2 事業者等 事故等により、危険が想定される場合は、関係機関への通報等、応急措置を実施する。 対策2 流出油の応急対策 ○区は、流出油の応急対策として、沿岸住民に対する火気管理の徹底指導や陸上への被害拡大防止、また、必要に応じて、沿岸住民に対する避難指示等を発令する。 1 区 @ 沿岸住民に対する火気管理の徹底指導および災害状況の周知を実施する。 A 陸上への被害拡大防止を講ずる。 B 沿岸住民に対する避難指示等を発令する。 2 東京海上保安部、東京湾海上交通センター @ 災害発生時の作業態勢(初期消火および延焼防止措置、油処理剤、消火剤、オイルフェンス等の応急資材の調達輸送等) A 船舶の交通の制限(航行の制限または禁止、港内在泊船舶に対する避難指示および移動命令、その他必要な交通整理) B その他(港内および付近海域における火気の禁止または制限、漁業組合等に対する防災措置の指導、協力要請) ? 第8章 自衛隊の派遣要請 対策の基本的な考え方 自衛隊の派遣要請は、「第1部 第3章 災害対応体制」の定めるところによる。 ? 第9章 事故別の主な災害対応(防災関係機関の役割) 対策1 危険物事故対策時における関係機関の役割 図表3-66 危険物事故対策時における関係機関の役割 対応 担当 役割 危険物等事故応急対策の活動体制確立 区 職員を配備 区災害対策本部を設置 危険物取扱事業者 危険物取扱事業者の体制を整備 日本赤十字社、医師会 防災関係機関の活動体制を整備 危険物等事故に係る情報の収集・伝達 区 事故発生時の情報収集 事故の状況を都へ報告 危険物を東京消防庁へ報告 国 危険物等事故情報を都へ連絡 危険物等事故の拡大防止対策の実施 危険物取扱事業者 応急点検,応急措置を実施 区、防災関係機関 危険物等事故の拡大防止対策を実施 広報・広聴活動 区 情報の収集と公表の一元化 事故に関する広報を実施 区、危険物取扱事業者 各種問合せに対応 臨時被害相談所等の設置に協力 臨時被害相談所等を設置 相談業務を実施 救助、救急、医療救護、消火活動 危険物取扱事業者 消防機関、警察機関 事故発生直後の救助活動を実施 救助情報の収集・共有 救助活動を実施 他の公共団体等へ応援を要請 区、医師会、消防機関 救護所を設置し負傷者の応急手当 トリアージを実施 後方医療機関に搬送 他の公共団体に応援隊の派遣を要請 ヘリコプターによる搬送 消防機関、危険物取扱事業者 消火活動 避難対策 区、消防機関、警察機関 避難指示等を発令 避難誘導 避難所を開設 避難所を運営 要配慮者に対応 交通・輸送対策 警察機関、道路管理者 「通行禁止区域等」を指定 通行規制を実施 区、警察機関 緊急通行車両の確認 緊急輸送 自衛隊の派遣要請 区 自衛隊の派遣を要請 ? 対策2 航空機事故時における関係機関の役割 図表3-67 航空機事故時における関係機関の役割 対応 担当 役割 航空事故応急対策の活動体制確立 区 職員を配備 区災害対策本部を設置 東京航空局 東京航空局の体制を整備 日本赤十字社、医師会 防災関係機関の活動体制を整備 航空事故情報の収集・伝達 航空運送事業者 緊急事態または航空事故を連絡 東京航空局 事故発生の予想を連絡 事故発生(またはそのおそれ)を連絡 区 事故発生時の情報収集 事故発生時の通信連絡 事故の状況を都へ報告 航空機火災を東京消防庁へ報告 広報・広聴活動 区 情報の収集と公表の一元化 事故に関する広報を実施 区、航空運送事業者 各種問合せに対応 臨時被害相談所等の設置に協力 臨時被害相談所等を設置 相談業務を実施 救助、救急、医療救護、消火活動 消防機関 警察機関 捜索、救助情報の収集・共有 捜索、救助活動を実施 他の公共団体等へ応援を要請 区、医師会、消防機関 救護所を設置し負傷者の応急手当 トリアージを実施 後方医療機関に搬送 他の公共団体に応援隊の派遣を要請 ヘリコプターによる搬送 消防機関 消火活動 避難対策 区、消防機関、警察機関 避難指示等を発令 避難誘導 避難所を開設 避難所を運営 要配慮者に対応 交通・輸送対策 警察機関、道路管理者 「通行禁止区域等」を指定 通行規制を実施 区、警察機関 緊急通行車両の確認 緊急輸送 自衛隊の派遣要請 区 自衛隊の派遣を要請 ? 対策3 鉄道事故時における関係機関の役割 図表3-68 鉄道事故時における関係機関の役割 対応 担当 役割 鉄道事故応急対策の活動体制確立 区 職員を配備 区災害対策本部を設置 鉄道事業者 鉄道事業者の体制を整備 日本赤十字社、医師会 防災関係機関の活動体制を整備 鉄道事故情報の収集・伝達 鉄道事業者 事故発生(またはそのおそれ)を連絡 区 事故発生時の情報収集 事故発生時の通信連絡 事故の状況を都へ報告 列車火災を東京消防庁へ報告 広報・広聴活動 区 情報の収集と公表の一元化 事故に関する広報を実施 区、鉄道事業者 各種問合せに対応 臨時被害相談所等の設置に協力 臨時被害相談所等を設置 相談業務を実施 救助、救急、医療救護、消火活動 消防機関 警察機関 鉄道事業者 事故発生直後の救助活動を実施 救助情報の収集・共有 救助活動を実施 他の公共団体等へ応援を要請 区、医師会、消防機関 救護所を設置し負傷者の応急手当 トリアージを実施 後方医療機関に搬送 他の公共団体等に応援隊の派遣を要請 ヘリコプターによる搬送 消防機関、鉄道事業者 消火活動 初期消火活動に協力 避難対策 区、消防機関、警察機関 避難指示等を発令 避難誘導 避難所を開設 避難所を運営 要配慮者に対応 交通・輸送対策 警察機関、道路管理者、鉄道事業者 「通行禁止区域等」を指定 通行規制を実施 道路交通の混乱防止の協力要請 区、警察機関、鉄道事業者 緊急通行車両の確認 緊急輸送 代替交通手段を確保 自衛隊の派遣要請 区 自衛隊の派遣を要請 ? 対策4 道路・橋梁・トンネル事故時における関係機関の役割 図表3-69 道路・橋梁・トンネル事故時における関係機関の役割 対応 担当 役割 道路事故応急対策の活動体制確立 区 職員を配備 区災害対策本部を設置 道路管理者 道路管理者の体制を整備 日本赤十字社、医師会 防災関係機関の活動体制を整備 道路事故情報の収集・伝達 道路管理者 被害状況の情報収集 事故発生(またはそのおそれ)を連絡 再発防止のための緊急点検を実施 区 事故発生時の情報収集 事故発生時の通信連絡 事故の状況を都へ報告 トンネル内車両火災を消防庁へ報告 広報・広聴活動 区 情報の収集と公表の一元化 事故に関する広報を実施 区、道路管理者 各種問合せに対応 臨時被害相談所等の設置に協力 臨時被害相談所等を設置 相談業務を実施 救助、救急、医療救護,消火活動 消防機関 警察機関 道路管理者 事故発生直後の救助活動を実施 救助情報の収集・共有 救助活動を実施 他の公共団体等へ応援を要請 区、医師会、消防機関 救護所を設置し負傷者の応急手当 トリアージを実施 後方医療機関に搬送 他の公共団体等に応援隊の派遣を要請 ヘリコプターによる搬送 消防機関 道路管理者 消火活動 初期消火活動に協力 危険物による二次災害防止 避難対策 区、消防機関、警察機関 避難指示等を発令 避難誘導 避難所を開設 避難所を運営 要配慮者に対応 交通・輸送対策 警察機関、道路管理者 「通行禁止区域等」を指定 通行規制を実施 障害物の除去や応急復旧 区、警察機関 緊急通行車両の確認 緊急輸送 自衛隊の派遣要請 区 自衛隊の派遣を要請 ? 対策5 流出油等対策 東京海上保安部は、船舶、海洋施設または、その他の施設から海上に大量の油等が流出したときは、防除措置を講ずべき者が必要な措置を講じていない、または防除措置を講ずべき者のみでは防除が困難な場合、自ら応急防除作業を実施する。特に必要があると認めるときは、海洋汚染等および海上災害の防止に関する法律第41条の2に基づき、関係行政機関の長または関係地方公共団体の長その他執行機関に対し、排出された油等の防除その他の海洋汚染を防止するための必要な措置を講ずることを要請するとともに、次に掲げる措置を講じる。 第1 調査および指導 流出油等の防除措置を講ずるべき者が実施している防除措置を効果的に実施させるため、巡視船艇等により流出油等の状況、防除作業の実施状況等を総合的に調査、把握し、作業の分担、作業の方法等防除作業に必要な事項について指導を行う。 第2 防除措置の指示等 流出油等の防除措置を講ずべき者が、その措置を講じていないと認められるときは、必要に応じこれらの者に対し、防除措置を講ずべきことを命じまたは、一般財団法人海上災害防止センターに防除措置を講じることを指示する。 第3 沿岸漂着油の除去 都および港湾、漁港、河川および海岸の管理者による、沿岸に漂着した油等の除去のための作業に際して、必要な応急資機材の緊急輸送等に協力する。 第4 災害発生の措置 災害発生時における関係各機関のとるべき措置は、次表のとおりとする。 ? 図表3-70 流出油事故時における各関係機関の対応 対応 東京海上保安部 東京消防庁 警視庁 区 災害発生時の作業態勢 1?船舶・航空機による状況確認を実施するとともに、関係各機関との情報連絡体制を密とし、救助・防除体制を確立する。 ?災害が発生した場合はただちに関係機関の通報連絡体制を確立し、救助活動の推進を図る。 2?人命救助 関係機関と協力し、負傷者、被災者等の救出救助、避難誘導にあたる。 3?遭難船に対する災害局限措置の指導 (1)流出油箇所の閉鎖 (2)原因者手配による資機材による防除活動 (3)積荷油等の抜き取りまたは移送 4 初期消火および延焼防止 ? 火災が発生した場合の初期消火および延焼防止措置を行う。 5 警戒ならびに立入制限等 (1)海面流出油等の警戒および拡散状況の調査ならびに事故再発防止にあたる。 (2)現場への立入禁止、制限および付近の警戒にあたる。 関係機関と協力して必要な情報の収集ならびに現場の状況調査、現場への立入禁止、制限および付近の警戒にあたる。 6 応急資機材の調達輸送 油処理剤、消火剤、オイルフェンス、その他の応急資機材の調達輸送をする。 関係機関と協力して消火に必要な資機材の緊急輸送に協力する。 災害発生時の作業態勢 7 オイルフェンスの展張 関係機関と協力し、流出油等の拡散を防止するため、遭難船等の付近へ展張する。 8 流出油等の回収等 流出油等処理のため油回収船、油吸着材、油処理剤等による流出油等処理作業の指導 9?沿岸漂着油の除去 都および港湾等の管理者による除去作業に際して、必要な応急資機材の緊急輸送等に協力する。 10?遭難船の移動手配指導、遭難船を安全海域へ移動するため曳船の手配および曳航の指導、助言を行う。 状況により遭難船の移動について関係機関へ要請するとともに、特に内河川にあっては安全区域へ移動するため曳船の手配および曳航 11?タンカーバージによる残油瀬取りの指導、助言を行う。 タンカーバージによる残油瀬取りを関係機関へ要請する。 12 被害の拡大防止のため船艇、航空機の動員および関係機関に対する出動要請を行う。 自衛隊の出動要請 人命救助、被害の拡大防止等応急措置のための出動要請 13 その他の応急措置 その他 関係機関に対する協力要請 船舶の交通規制 1?航行の制限または禁止 関係機関と協力して危険水域付近に、警備艇および消防艇を配置して、海上または河川における船舶、船艇、筏等の通行禁止、制限および避難等の処置をとる。 2?港内在泊船に対する避難勧告および移動命令 3?その他必要な交通管制 その他 1?港内および付近海域における火気の禁止または制限 海上および河川における火気使用禁止、その他必要な広報を行うとともに、関係機関に協力を要請する。 2?東京港排出油等防除協議会の連絡網により事故発生情報等を会員に周知する等、必要な措置を講じる。 3?関係機関と協力し、沿岸住民および危険物貯蔵所等に対し、火気管理の指導、その他必要な広報を行う。 関係機関と協力し、沿岸住民に対する火気管理の徹底指導および災害状況の周知 4?沿岸住民への被害拡大防止措置の指導 関係機関と協力して陸上への被害拡大防止 5?関係機関と協力し、沿岸住民に対する避難指示、退去命令の伝達および避難誘導にあたる。 関係機関と協力し、沿岸住民に対する避難指示等 6?危険物貯蔵所の自衛措置の強化指導 7?漁業組合等に対する防災措置の指導、協力要請を行う。 8?沿岸漂流油の処分 ポンプ車隊を派遣し、流出油の引火防止を図るため流出油の拡散除去等を行う。 9 沿岸危険区域における交通の禁止および制限を行う。 10?その他必要な措置を行う。 その他必要な措置を行う。 第4編 災害復旧対策 第1部 震災復旧対策 第1章 安全なまちづくり 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 第3章 区民生活の再建 第2部 風水害復旧対策 第1章 安全なまちづくり 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 第3部 富士山噴火降灰復旧対策 第1章 インフラの復旧対策 第2章 ライフラインの復旧対策 第3章 宅地の降灰対策 第1部 震災復旧対策 第1章 安全なまちづくり 対策の基本的な考え方 震災時に上・下水道施設、電気施設、ガス施設、通信施設、放送施設、交通施設等の都市施設に被害が生じた場合、住民の生活に与える影響はきわめて大きいため、一刻も早く施設の機能を回復することが必要である。 ここでは、都市施設の復旧の取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 施設の早期復旧 第1 都市施設の復旧計画 ○上・下水道施設、電気施設、ガス施設、通信施設、放送施設等の都市生活の基幹をなす諸施設に関する復旧対策を機関別に示し、迅速な復旧活動に努める。 ? 対策 対応テーマ 対策1 施設の早期復旧 対策1 施設の早期復旧 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・道路・橋梁施設の復旧に係る計画 ・港湾施設、海岸施設の復旧に係る計画 ・河川施設の復旧に係る計画 ・上下水道施設の復旧に係る計画 ・公園・児童遊園の復旧、修理に係る計画 区 ・道路・橋梁施設の復旧に係る計画 ・河川施設の復旧に係る計画 ・公園・児童遊園の復旧、修理に係る計画 施設管理者 ・社会公共施設等の復旧計画 東京電力 パワーグリッド ・電気施設の復旧に係る計画 東京ガスグループ ・ガス施設の復旧に係る計画 NTT東日本 ・通信施設の復旧に係る計画 ケーブルテレビ品川 ・放送施設の復旧に係る計画 都交通局 JR東日本 東京モノレール 東急電鉄 京浜急行電鉄 東京臨海高速鉄道 ・線路、橋梁の復旧 ・運転再開計画 ・復旧資機材の確保 ? 【具体的な取組】 第1 都市施設の復旧計画 ○上・下水道施設、電気施設、ガス施設、通信施設、放送施設等の都市生活の基幹をなす諸施設に関する復旧対策を機関別に示し、迅速な復旧活動に努める。 1 計画方針 @ 上下水道、電気、ガス、通信、交通等の生活関連施設は都市生活の基幹をなすものであり、重要な機能をもっている。 A 震災時にこれら施設に被害が生じた場合には、住民の生活に与える影響はきわめて大きいため一刻も早くこれら諸施設の機能を回復し、供給、運行等を再開することが必要である。 2 水道施設の復旧【都水道局南部支所】 (1)基本方針 復旧は、被害の実態を把握し、効果的に実施する。 (2)管路の復旧 ア 復旧計画 @ 復旧にあたっては、随時、配水系統などの変更等を行いながら、あらかじめ定めた順位をもとに、被害の程度および復旧の難易度、被害箇所の重要度、浄水場・給水所の運用状況等を考慮して給水拡大のために最も有効な管路から順次行う。 A なお、資機材の調達、復旧態勢および復旧の緊急度等を勘案し、必要に応じて仮配管、路上配管等の仮復旧を実施する。 イ 送・配水管路における復旧活動 断水区域を限定し、可能な限り給水を継続しながらあらかじめ定めた以下の優先施設から順次復旧する。 ・首都中枢機関、災害拠点病院等への供給管路 ・第一次重要路線送水管および広大な区域を持つ配水本管 ・第二次重要路線および配水小管重要路線 ・配水本管および小管の骨格となる路線 ・その他給水上極めて重要な路線 ・応急給水施設、避難所等に至る管路 ・復旧活動に支障となる箇所 ウ 給水装置の復旧活動 @ 公道内の給水装置の復旧は、配水管の復旧および通水と並行して実施する。 A 首都中枢機関、災害拠点病院等の重要施設は、配水小管の復旧および通水状況にあわせ、機能が回復するよう優先して復旧にあたり、順次その他の給水管についても復旧を行う。 B 一般住宅等の給水装置の復旧は、その所有者等からの修繕申込みがあったものについて応急措置を行う。 C 配水に支障を及ぼす給水装置の破損等については、申込みの有無にかかわらず応急措置を実施する。 3 下水道施設の復旧【都下水道局】 (1)復旧計画 被害が発生したときは主要施設から復旧を図る。復旧順序については、水再生センター・ポンプ所、幹線管きょ等の主要施設の復旧に努め、その後、枝線管きょ、ます・取付管の復旧を行う。 ア 管きょ等 緊急調査で判明した被害について、より詳細に被害状況を把握・整理し、汚水の流下機能を確保するための復旧を行う。 イ ポンプ所 @ ポンプ所は、揚水機能等の回復を図る。 A ポンプ所において、停電のためポンプの機能が停止した場合、ディーゼル発電機やガスタービン発電機等の非常用発電機によってポンプ運転を行い、揚水不能の事態が起こらないよう対処する。また、最低限の機能確保のための復旧を行う。 B 停電が続く場合には、非常用発電設備の燃料油について、東京都石油業協同組合および東京都石油商業組合との安定供給協定により、確保に務める。 (2)復旧支援 被害状況に応じ、他の大都市等へ復旧支援を要請し、その受入れに対応する。 4 電気施設の復旧【東京電力パワーグリッド】 電気設備の復旧は、二次災害の防止と施設の機能回復のため下記の手順により行い、早期復旧を図る。 (1)復旧計画 @ 巡視・点検結果等により、上位電源系統を含めた電気施設の被害状況と、病院、官公署等の被害・復旧状況等の情報を把握して復旧計画を立案する。 A 復旧計画に基づき復旧要員、資機材の効果的な配置を行い、状況に応じて応援体制を確立する。 (2)特別高圧、高圧系統の復旧作業 @ 応急措置をした病院、官公署、広域の避難場所の本格送電をするために、その供給系統の復旧作業をする。 A 学校、公共施設、仮設住宅等被災者の避難生活施設の供給系統の復旧作業をする。 B 上記の復旧作業完了後に、その他の特別高圧、高圧系統の復旧作業を、区、警察、消防等の他機関と連携を密にして実施する。 (3)低圧系統の復旧作業 特別高圧、高圧系統の復旧作業と同様に復旧作業をする。 (4)送電の再開 特別高圧、高圧系統、低圧系統の復旧した被災地域から、安全確認作業をして送電する。 5 ガス施設の復旧【東京ガスグループ】 ガスの供給を停止した場合の復旧作業については、二次災害を防止するため、あらかじめ定めた下記の手順により実施する。 (1)製造施設・供給施設(共通) ガスの製造またはガスの供給を一時もしくは一部停止した場合には、あらかじめ定めた計画に基づき施設の点検および修理を行い、標準作業に則り各施設の安全性を確認した後、稼動を再開する。 (2)中圧導管の復旧(被害が発生した場合) ガス送出源から順に、導管網上に設置したバルブ等を利用してガスを封入し、漏洩検査を行い、漏洩箇所を修理する。 (3)低圧復旧地域のセクター化(被害が発生した場合) 低圧導管を遮断して、復旧地域を分割する。 (4)需要家宅のメーターガス栓の閉止(閉栓) 各需要家を訪問しメーター近傍にあるメーターガス栓を閉める。 (5)低圧導管の復旧 @ 管内に水等が浸入していた場合には、採水ポンプ等を利用して排出する。 A ガスを適切な圧力で封入し、漏洩調査を行い、漏洩箇所を修理する。 B ガス供給源から、修理が完了した範囲の導管網にガスを充填し、末端側より管内に混入した空気を排出する。 (6)需要家宅のガス管・排気管等の点検(内管の漏えい検査・修繕) 需要家宅内のガス栓から空気を封入し、圧力の変化を確認し、漏洩有無を判断する。その後、適切な圧力のガスを封入し、ガス検知器を使って漏洩箇所を特定し、配管取替え等の修理を行う。 (7)ガスの供給再開(開栓) メーターガス栓を開放し、需要家宅内のガス機器で燃焼試験を行い、供給管と内管の空気抜きが完了していることを確認し、ガスの供給を再開する。 6 通信施設の復旧【NTT東日本】 @ 災害により被災した通信回線の復旧は、あらかじめ定められた復旧順位に従って実施する。 A 応急復旧工事については、次により工事を実施する。 ・電気通信設備等を応急的に復旧する工事 ・原状復旧までの間、維持に必要な補給、整備工事 7 放送施設の復旧【ケーブルテレビ品川】 ケーブルテレビ品川の品川区民チャンネルによる区民への情報提供手段として、区有施設や避難所等、復旧順位の重要性を勘案して、復旧計画を策定するものとする。 8 交通施設の復旧 図表4-1 各機関の対応内容 機関名 内   容 都交通局 施設に被害のあったときは、関係部、当該施設管理事業所および協力会社において復旧の実施計画を策定し、復旧活動を行う。 ただし、被害の規模が大きいとき(長期の運休が見込まれるとき)は、災害対策本部および関係部が復旧活動の基本方針を策定した上で、これに基づき、関係部等が復旧の実施計画を策定し、復旧活動を行う。 JR東日本 地震その他の災害により線路、橋梁、その他の鉄道施設および車両等に被害を生じたときは、東京支社に事故対策本部、現地に事故復旧本部を設置し、速やかに関連会社等の協力を得て復旧に努め、人員および救援物資等の輸送にあたる。 東京 モノレール 地震その他の災害により線路、橋梁、その他の鉄道施設および車両等に被害を生じたときは、本部内に事故対策本部、現地に事故復旧本部を設置し、事故復旧に努めるとともに、関連会社等の協力を得て速やかに復旧に努めることとする。 東急 電鉄 1 災害発生の場合は、復旧要員を災害地点に急派させる。 2 災害復旧資材については、その必要量を常備している。 京浜急行 電鉄 1 災害発生の場合は、復旧要員を災害地点に急派させる。 2 災害復旧資材については、その必要量を常備している。 東京臨海 高速鉄道  地震その他の災害により大きな被害が発生した場合、本社に事故対策本部、現地に現地対策本部を設置し、復旧に向けた検討および計画策定を行い、関係会社等の協力を得て速やかに復旧に努めることとする。 9 公立施設の復旧 区は、区庁舎、地域センター、保育園、区立学校等、区有施設が災害により被災したときは、速やかに復旧を行い、社会公共施設としての機能を維持する。 ? 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 対策の基本的な考え方 震災時に区有施設や文教施設に被害が生じた場合、施設としての機能を回復することが必要である。 ここでは、公共建造物に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 公共建造物対策 第1 公共建造物 ○区は、区有施設、文教施設等について被害状況を把握し、復旧措置を実施する。 第2 区立学校の復旧 ○区立学校は、避難所として指定されており、区は被災した場合に復旧を行う。また、被害状況に応じて、人員、資材等を迅速に輸送し、修理を実施する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 公共建造物対策 対策1 公共建造物対策 【各機関の役割】 機関名 役   割 区 ・品川建設防災協議会との協定に基づく措置 ・文教施設の応急対策計画立案 ・各施設における復旧対策 ・区立学校の復旧 【具体的な取組】 第1 公共建造物 ○区は、区有施設、文教施設等について被害状況を把握し、復旧措置を実施する。 1 品川建設防災協議会との協定に基づく措置 区は、災害により被災した避難所および他の区有施設の被害状況を調査し、品川建設防災協議会との「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき、避難所等の復旧措置を実施する。 資料61 資機材供給可能数【品川建設防災協議会】(再掲) 資料81 災害対策協力隊編成表【品川建設防災協議会】(再掲) 2 文教施設の応急対策計画 区は、地域における文教施設(区立学校その他の教育機関および文化財)の災害対策の万全を図り、施設としての維持、機能の回復を図る。 資料92 文教施設の応急対策計画 対象施設 ? 3 各施設における復旧対策 (1)災害時の態勢 @ 学校勤務職員が中心となり校長の指揮、命令のもとに臨機応変な防災活動を行う。 A 事態の緊迫した場合は児童、生徒の生命と安全を守るための避難活動が第一義的に要請されるが、校舎の保全管理その他連絡に必要な人員を確保する。 B 火災源となるおそれのある設備の処置、薬品の処理は責任者の手において万全な対策をとる。 C 有線が使用できる場合、防災上必要な措置については継送・電話・伝令等により連絡する。 (2)災害復旧時の態勢 校長の指揮監督のもとに校舎の調査を行い、被害を受けた施設、器物の点検を行う。また、電源の復旧については教育委員会その他の関係機関と連絡、指揮を受け、平常の体制に復旧することに努める。 第2 区立学校の復旧 ○区立学校は、避難所として指定されており、区は被災した場合に復旧を行う。また、被害状況に応じて、人員、資材等を迅速に輸送し、修理を実施する。 @ 主に区立学校は避難所として指定されているため、被災したときは直ちに応急修理を行う必要があり、事故発生の報告に基づき、下表の担当課が、人員、資材等を迅速に輸送し、修理を実施する。 A 緊急に施工を要するときは、本部長の指揮を受け、経理課をとおして、品川建設防災協議会と協議のうえ工事を施工、事後に品川区契約事務規則に定める手続により事務処理を行う。 図表4-2 応急修理に係る対応事項および担当課 対応事項 担当課 事故発生報告 学校→庶務課 現場調査 庶務課、必要に応じ経理課、施設整備課に依頼 修理工事の設計、仕様、見積 庶務課、必要に応じ施設整備課 工事契約 経理課 資料93 区立学校校舎面積等一覧表 ? 第3章 区民生活の再建 対策の基本的な考え方 災害のため、住家が滅失または被災し居住する住家を得られない者に対して、区民生活の再建のため、応急仮設住宅等を迅速かつ的確に供与する必要がある。 ここでは、被災住宅の応急修理、応急仮設住宅等の供給に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 被災住宅の応急修理 第1 被災住宅の応急修理 ○区は都と連携し、居住に必要な最低限の応急修理を行うにあたっての実施主体、対象の調査および選定、基準および戸数、経費、期間等について定め、災害時に円滑に対応する。 対策2 応急仮設住宅等の供給 第1 応急仮設住宅等の設置・供給 ○区は、建設型応急住宅の設置にあたり、都と連携し、建設地の選定、建設型応急住宅の建設、入居者の選定等を円滑に行う。 第2 建設資材の調達 ○建設資材は、区が品川建設防災協議会と協力のうえ調達し、工事は業者に依頼する。また、応急建築資材のあっ旋についても品川建設防災協議会と協力し要請する。 ○都は、応援協定を締結する団体があっせんする建設業者を通じて、建設型応急住宅資材等を調達する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 被災住宅の応急修理 対策2 応急仮設住宅等の供給 対策1 被災住宅の応急修理 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・被災住宅の応急修理(災害救助法適用後) 区 ・都から委任された応急修理対象者の募集・選定事務の実施 【具体的な取組】 第1 被災住宅の応急修理 ○区は都と連携し、居住に必要な最低限の応急修理を行うにあたっての実施主体、対象の調査および選定、基準および戸数、経費、期間等について定め、災害時に円滑に対応する。 災害のため、「大規模半壊」の住家被害の認定を受けた世帯、または「中規模半壊」「半壊」もしくは「準半壊」の住家被害の認定を受け自らの資力では応急修理をすることができない世帯に対して、居住に必要な最小限の応急修理を行うものとする。 また、住家の被害の拡大を防止するための緊急の修理(屋根等に被害を受けた住家へのブルーシートの展張等)を行うものとする。 1 実施主体 住宅の応急修理は、災害救助法適用後は、都が行い区はこれに協力するものとする。ただし災害救助法が適用されない場合その他で、区長が特に必要と認めた場合は、区において実施するものとする。 2 対象者の調査および選定 @ 修理住宅の選定は都が定める基準により、都から委任された当該区市町村が募集・選定事務を行う。 A 区が実施する場合は、建築技術職員で調査班を編成し、被害程度を調査のうえ修理住宅の選定を行う。 3 基準および戸数   災害救助法適用後の応急修理は、都が(一社)東京建設業協会、全国建設労働組合総連合東京都連合会および(一社)災害復旧職人派遣協会のあっ旋する建設業者により行う。修理の対象は、日常生活に必要な居室、炊事場、トイレ等の部分とする。緊急の修理は、屋根等に被害を受けた住家へのブルーシートの展張等とする。 4 経費 一世帯あたりの経費は、国の定める基準による。なお、この費用の中には原材料費、労働費、輸送費、工事事務費等の一切の経費が含まれる。 5 期間 居住に必要な最小限の応急修理については、原則として、災害発生の日から3か月以内に完了する(国の災害対策本部が設置された災害においては6か月以内に完了)。 住家の被害の拡大を防止するための緊急の修理については、災害発生の日から10日以内に完了するものとする。 ? 対策2 応急仮設住宅等の供給 【各機関の役割】 機関名 役   割 都 ・応急的に仮設住宅等を供給 区 ・建設型応急住宅の設置 ・建設資材の調達 【具体的な取組】 第1 応急仮設住宅等の設置・供給 ○区は、建設型応急住宅の設置にあたり、都と連携し、建設地の選定、建設型応急住宅の建設、入居者の選定等を円滑に行う。 災害のため、住家が滅失または被災し居住する住家を得られない者を受け入れるため、建設型応急住宅を設置するが、被災した住宅の応急修理による居住性の維持、公営住宅の空き住戸を有効に活用する等も行う。また、応急仮設住宅等の供給については、都が区市町村に割り当てる、都営住宅の空き住戸、借り上げによる賃貸型応急住宅等について、区は被災者に対し入居者の募集および都が策定した選定基準に基づき入居者の選定を行う。また、必要戸数の確保が困難な場合には、区市町村相互間で融通しあう。なお、応急仮設住宅等への入居者体制については、要配慮者にも配慮し、可能な限り地域のつながりを尊重した体制を講じる必要がある。 1 設置主体 建設型応急住宅の設置は、災害救助法適用後は都が行い、区はこれに協力する。ただし、災害救助法が適用されない場合その他で、区長が特に必要と認めた場合は、区において設置する。 2 建設地の選定 建設型応急住宅の建設候補地は、西大井広場公園、鮫洲運動公園、八潮多目的広場、しながわ区民公園、しながわ中央公園等の大規模な区立公園および林試の森公園、大井ふ頭中央海浜公園等の都立公園とする。 区は、緊急の疎開先として、災害時の協力協定に基づき、山北町(神奈川県)および早川町(山梨県)に対し、建設型応急住宅の用地およびその建築資材の供給ならびに両町の施設における被災者の受入れ要請を行うこととする。 3 建設型応急住宅の建設 (1)設置戸数 災害救助法適用後、都は速やかに建設型応急住宅の必要数を把握する。 (2)構造 平屋建て、2階建ての軽量鉄骨系プレハブ、木質系プレハブ、木造またはユニットを標準とし、必要に応じ、その他構造を選定する。また、必要に応じて、集会所設置やバリアフリー対応等、被災者コミュニティや高齢者・障害者世帯に配慮した設備・構造の住宅とする。 (3)規模および経費 @ 一戸あたりの規模は、国の定めに基づき、地域の実情、世帯構成等に応じて都が設定する。 A 一戸あたりの設置経費は、国の定める基準による。 B 防火安全対策を講じる。 (4)建設期間 @ 災害発生後、可能な限り速やかに建設する。 A 災害発生の日から20日以内に着工する。 4 入居者の選定 (1)入居資格 次の各号にすべて該当する者のほか、都知事が必要と認める者とする。ただし、使用申込みは、一世帯1箇所限りとする。 ・住家が全焼、全壊または流失した者 ・居住する住家がない者 ・自らの資力では住家を確保できない者 (2)入居者の募集・選定 @ 入居者の募集計画は、被災状況に応じて都が策定し、区の区域内に住宅を割り当てる。ただし、区の区域内に必要戸数の確保が困難な場合には、区市町村相互間で融通しあうものとする。 A 入居者の募集は、区が行う。 B 入居者の選定は、都が策定する選定基準により、都から委任された当該区市町村が募集・選定事務を行う。 5 応急仮設住宅等の管理 @ 応急仮設住宅等の管理は原則として、供給主体が行う。 A 供与できる期間は内閣総理大臣が定める基準に従い、あらかじめ知事が定める。 ? 第2 建設資材の調達 ○建設資材は、区が品川建設防災協議会と協力のうえ調達し、工事は業者に依頼する。また、応急建築資材のあっ旋についても品川建設防災協議会と協力し要請する。 ○都は、応援協定を締結する団体があっせんする建設業者を通じて、建設型応急住宅資材等を調達する。 @ 災害救助法適用以外の場合において、原則として、建設資材は、区が品川建設防災協議会と協力のうえ迅速に調達し、工事は、これら業者に請負を依頼する。 A 応急建築資材のあっ旋についても品川建設防災協議会と協力し要請するものとする。 B 都は、建設型応急住宅資材等について、(一社)プレハブ建築協会、(一社)東京建設業協会、(一社)全国木造建設事業協会および(一社)日本木造住宅産業協会があっせんする建設業者を通じて調達する。 ? 第2部 風水害復旧対策 第1章 安全なまちづくり 対策の基本的な考え方 公共建築物や公共土木施設が災害により被害を受けた場合は、消火や救出救助およびその他の応急活動に極めて重大な支障を及ぼすため、速やかに復旧措置を講ずる必要がある。 施設の早期復旧に係る対策は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」の定めるところによる。 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン 対策の基本的な考え方 復旧期では、ライフライン施設が被災した場合、停電、通信の輻輳、物流の停止等が想定され、生活の再建に向けて影響は甚大である。 ここでは、発災後も都市機能を維持するため、発災に備えたライフラインの復旧対応に係る取組みについて示す。 各対策の要点 対策1 ライフライン対策  第1 電気施設 ○東京電力パワーグリッドは、電気施設の復旧に際して、人命にかかわる箇所、復旧対策の中枢となる官公署、報道機関、病院、避難所等を原則的には優先する。 対策 対応テーマ 対策1 ライフライン対策 ※その他の対策は「第1部 第2章 安全な交通ネットワークおよびライフライン」を準用する。 対策1 ライフライン対策 第1 電気施設 ○東京電力パワーグリッドは、電気施設の復旧に際して、人命にかかわる箇所、復旧対策の中枢となる官公署、報道機関、病院、避難所等を原則的には優先する。 1 復旧の順位【東京電力パワーグリッド】 ○人命にかかわる箇所、復旧対策の中枢となる官公署、民心の安定に寄与する報道機関、病院、避難所等を原則的には優先することとする。ただし設備の被害状況、復旧の難易を勘案して供給上復旧効果の最も大きいものから行うものとする。なお、利用者側においても自家発電設備を設置してその万全を期するよう協力を依頼する。 ○送電中配電線の巡視に目処が立った後、停電している配電線の設備巡視を実施し、設備被害を把握する。 ○送電再開時の公衆災害防止や復旧活動者の安全確保を目的として、停電配電線とそれに繋がるすべての区民(需要者)の設備の間を電気的に切り離しする。 ○停電している地域については、早期に送電を再開できるよう、被害を受けた設備の応急的な復旧工事を実施する。 ○区民(需要者)に対する個別の安全確認と送配電線への送電再開後、各戸個別訪問し、安全が確認できた場合は送電を開始する。(不在等の場合は送電を保留) ? 第3部 富士山噴火降灰復旧対策 第1章 インフラの復旧対策 対策の基本的な考え方 降灰により、道路・橋梁および道路付属物、鉄道施設、河川管理施設に被害を受けた場合の対策は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」に定めるところによる。 第2章 ライフラインの復旧対策 対策の基本的な考え方 降灰による被害を受けた場合の対策は、「第1部 第1章 安全なまちづくり」に定めるところによる。 第3章 宅地の降灰対策 対策の基本的な考え方 火山噴火によって降灰が長期間続いた場合は、宅地や公園等に大きな被害を与え、ひいては地域の経済活動や区民の社会生活に著しい障害をもたらし、地域の活力を失うこととなる。このため、降灰によって被害が発生した場合は、早急な復旧対策を行い地域の活力を取り戻す必要がある。 ここでは、宅地の降灰対策について示す。 各対策の要点 対策1 宅地の降灰対策 ○宅地に降った火山灰について、区民では対応が困難な対策は、区が対応する。 ? 対策 対応テーマ 対策1 宅地の降灰対策 対策1 宅地の降灰対策 ○宅地に降った火山灰について、区民では対応が困難な対策は、区が対応する。 宅地に降った火山灰は、所有者または管理者が対応することが原則である。しかし、区民では対応が困難な対策については、区が対応する。 除灰作業にあたっては、道路の側溝等の詰まりを防ぐため、火山灰を側溝等に流さないよう留意する。 第5編 災害復興対策 第1章 復興の基本的な考え方 第2章 復興事前準備 第3章 復興計画 第4章 都市復興 第5章 生活復興 第1章 復興の基本的な考え方 ○区は、復興に向けた基本的な考え方を整理するとともに、平素から震災復興マニュアルを策定し、災害時における円滑な対応に努める。 第1 基本的な考え方 @ 復興は、くらしや仕事など、被災者の一日も早い生活再建や安定を図る「生活復興」と、建築物や公共施設等を復旧するだけでなく、防災性を一層向上させ、震災に強い都市づくりを進める「都市復興」からなっている。 A 震災等に対しては、被災者自らが立ち上がることが必要である。しかし、個人の力では解決が困難な様々な課題への対応については、「地域が持っている力(地域力)」を生かした住民主体の復興が大きな力を発揮する。区はこの力を助け支えるため、区民と問題を共有し、自助・共助・公助の連携を図っていくことが大切である。 第2 震災復興マ二ュアルの見直し @ 震災復興マニュアルとは、復興の全体像とプロセスを示し、区民が復興に向けて行動する際の選択・判断基準等を示し、復興をできるかぎり速やかに、かつ円滑に進めるために実践的な行動内容・手順をあらかじめ示したものである。 A 都が作成した「東京都震災復興マニュアル(復興施策編・復興プロセス編)」を参考とし、平成20年度に品川区震災復興マニュアルを策定した。 B 区は、大規模な地震による甚大な被害に対して、復興に向けた迅速な対応をとれるようにするために、東日本大震災の知見を踏まえ、復興の全体像や震災直後から復興に向けて区がなすべき行動や事業等を定める震災復興マニュアルの見直しを検討する。 ? 第2章 復興事前準備 対策の基本的な考え方 大規模地震により、区内が甚大な被害を受けた場合、早急に復旧・復興を進めていく必要があるが、復興に対しては、区民や事業者と復興後のイメージを共有すること、スムーズな復興の進め方を事前に定めておくこと、職員の継続的な訓練が重要である。 ここでは、区と区民・事業者との復興後のイメージ共有や復興方針の合意形成に向けて、事前復興まちづくり訓練の実施検討、地域ごとのまちづくり協議会の設置検討などの取組みの推進について示す。 各対策の要点 第1 区民・事業者との復興後のイメージ共有に向けた事前復興まちづくり訓練の検討 ○区は、地域と協議しながら、災害を想定し復興を模擬体験する事前復興まちづくり訓練の実施について検討を行う。 第2 職員の復興に対する訓練への継続的参加 ○区は、都が実施する都市復興模擬訓練に参加し、区職員の復興に対する能力を醸成する。 第3 まちづくりについての合意形成、区民参加 ○区は、地域ごとのまちづくり協議会の設置を検討し、平常時から災害に強いまちづくりのための取組みを進める。 第4 復興を円滑に推進するためのデータの収集・蓄積等 ○区は、災害時の復興を迅速かつ円滑に進めるため、平常時から、基礎データの収集・蓄積等を進める。 対策 第1 区民・事業者との復興後のイメージ共有に向けた事前復興まちづくり訓練の検討 ○区は、地域と協議しながら、災害を想定し復興を模擬体験する事前復興まちづくり訓練の実施について検討を行う。 被災してしまった場合、避難所で公的援助を待つのみではなく、区民一人ひとりが復興・生活の立て直しを図るためにすべきこと(家族の安否の確認方法、自宅の再建方法・支援の種類の把握)を日頃から理解しておくことで、円滑で早期の生活再建が可能となる。また、円滑な復興を行うためには、地域と協働で、震災前から復興をどう進めるかを考えておく復興事前準備が重要となる。このためには、災害を想定し、復興を模擬体験する事前復興まちづくり訓練が有効となる。この訓練は、専門家を加え、講演、まち歩き、地図づくり等を体験しながら、復興後のまちのイメージや計画案を作成し、区民と区が共有するものである。区は地域と協議しながら、事前復興まちづくり訓練の検討を行うこととする。 第2 職員の復興に対する訓練への継続的参加 ○区は、都が実施する都市復興模擬訓練に参加し、区職員の復興に対する能力を醸成する。 都では、行政職員を対象とした都市復興模擬訓練を平成10年度から実施しており、区でも、震災後の都市復興を迅速かつ円滑に進めるための訓練に積極的に参加してきた。今後もこの訓練に継続的に参加し、区職員の復興に対する能力を醸成することとする。 第3 まちづくりについての合意形成、区民参加 ○区は、地域ごとのまちづくり協議会の設置を検討し、平常時から災害に強いまちづくりのための取組みを進める。 区は、平常時における「協議会方式」等による参加型まちづくりを推進し、非常時においても活動できる体制を整える。そのために、地域ごとのまちづくり協議会の設置を検討し、平常時から災害に強いまちづくりのための取組みを進め、事前に非常時におけるまちづくりのための指針や計画を策定しておく。 第4 復興を円滑に推進するためのデータの収集・蓄積等 ○区は、災害時の復興を迅速かつ円滑に進めるため、平常時から、基礎データの収集・蓄積等を進める。 区は、災害時の復興を迅速かつ円滑に進めるため、平常時から、基礎データの収集・蓄積、計画的な地籍調査の実施、3D都市モデルによるインフラ情報の蓄積など、可視化・活用の仕組みを構築していく。 ? 第3章 復興計画 対策の基本的な考え方 被災者の一日も早い生活復興および災害に強い都市づくりのため、都市復興を進めていく必要がある。 ここでは、復興本部の設置、復興計画の策定などの取組みについて示す。 各対策の要点 第1 復興本部の設置 ○区は、地震等により被害を受けた地域が相当の範囲に及び、復興に関わる事業を迅速かつ円滑に推進する必要があると認める場合、被災後1週間程度を目途に区復興本部を設置する。 第2 復興本部の役割および災害対策本部との関係 ○区災害対策本部が所掌する応急的な事務事業で、復興にも関係するものについては、両本部が緊密に連携しながら処理し、順次、体制および業務を区復興本部へ移行する。 第3 復興計画の策定 ○区は、復興計画の策定にあたって「くらしのいち早い再建と安定」、「安全で快適な生活環境づくり」などを念頭に入れ、災害復興に向けた取組みの方針を策定する。 対策 第1 復興本部の設置 ○区は、地震等により被害を受けた地域が相当の範囲に及び、復興に関わる事業を迅速かつ円滑に推進する必要があると認める場合、被災後1週間程度を目途に区復興本部を設置する。 @ 区は、地震等により被害を受けた地域が相当の範囲に及び、復興に関わる事業を迅速かつ円滑に推進する必要があると認める場合に区復興本部を設置する。 A 区復興本部は、被災後1週間程度を目途に設置するものとし、復興基本方針および復興計画を早期に策定するとともに、災害復興後の都市や区民生活ビジョン、復興計画の到達目標、事業指針等を区民に明らかにし、具体的な災害復興事業を推進していく。 B 区復興本部は、区災害対策本部とは別に、区長を本部長とする全庁的な組織とし、運営は、都市計画課、企画課、防災課の3課が事務局を担当する。 C 区復興本部の関連組織および分掌事務については、別途定めるものとし、区災害対策本部と緊密に連携をとりながら復興に関わる事業を推進する。 第2 復興本部の役割および災害対策本部との関係 ○区災害対策本部が所掌する応急的な事務事業で、復興にも関係するものについては、両本部が緊密に連携しながら処理し、順次、体制および業務を区復興本部へ移行する。 区復興本部は、復興事業を長期的視点に立って速やかに、かつ、計画的に実施する組織であり、災害応急・復旧対策を臨時的、機動的に実施する区災害対策本部とは、その目的と機能を異にする。しかしながら、復興に関連する一連の活動は、被災後間もない応急対策の段階から質的な変化を伴いつつ、連続的に、徐々に進行していくものであるため、区災害対策本部が所掌する応急的な事務事業で、復興にも関係し、それに大きな影響を与えるものについては、両本部が緊密に連携、連絡しながら処理し、順次、体制および業務を移行する。 図表5-1 復興本部の役割および災害対策本部との関係 第3 復興計画の策定 ○区は、復興計画の策定にあたって「くらしのいち早い再建と安定」、「安全で快適な生活環境づくり」などを念頭に入れ、災害復興に向けた取組みの方針を策定する。 @ 復興計画は、過去の災害の教訓を活かして、次の災害に備え、新しい理念に基づいた災害に強い都市を再建するためのマスタープランである。 A 区は、復興計画の策定にあたって「くらしのいち早い再建と安定」、「安全で快適な生活環境づくり」などを念頭に入れ、災害復興に向けた取組みの方針を策定していく。 B 復興計画は、円滑な都市づくりのための都市復興基本計画の策定、推進および生活復興に向けた住宅復興、産業復興、くらしの復興のための各種事業の推進を中心に計画内容を検討する。 ? 第4章 都市復興 対策の基本的な考え方 区は、被災後の都市復興の方針を示した都市復興基本方針を策定するとともに、大規模な災害を受けた地区を災害に強く、良好な環境へ復興するため、都市復興基本計画を策定する必要がある。 ここでは、都市復興基本方針の策定、都市復興基本計画の策定、都市復興事業の推進に係る取組みについて示す。 詳細については、「品川区震災復興マニュアル」に定めるところによる。 各対策の要点 第1 都市復興基本方針の策定等 ○区は被災後、速やかに都市復興の方向性を示すため、被災後2週間以内を目途に都市復興基本方針を策定する。また、都市復興基本方針等を踏まえ、復興対象地区について指定する。 第2 都市復興基本計画の策定 ○区は、大規模な災害を受けた地区を、災害に強く良好な環境へ復興するため、都市復興基本計画を策定する。なお、被害の程度、被災前の基盤整備状況等の指標によって地区を区分し、地区ごとに都市復興基本計画を策定する。 第3 都市復興事業の推進 ○区は、事業施工期間および資金計画などの内容を盛り込んだ復興まちづくりの事業計画を定め、区民と協働で事業を推進する。 対策 第1 都市復興基本方針の策定等 ○区は被災後、速やかに都市復興の方向性を示すため、被災後2週間以内を目途に都市復興基本方針を策定する。また、都市復興基本方針等を踏まえ、復興対象地区について指定する。 区は被災後、速やかに都市復興の方向性を示すため、被災後2週間以内を目途に都市復興基本方針を策定する。家屋被害概況調査、建築制限の設定内容を踏まえ、公表する。また、都市復興基本方針等を踏まえて、計画的な市街地形成を進めるために必要となる復興対象地区について指定する。 1 建築制限の実施 @?都は、被災の激しい地区を対象に建築基準法に基づく建築制限を実施する。このため、区は建築制限区域原案を作成し、都と制限区域の調整をする。 A 都は、区部の建築制限の区域指定を行う。区は、区民の理解と協力が得られるよう、相談や支援および適切な情報提供を行う建築相談窓口を開設する。 2 時限的市街地づくり 区は都と協力して、被災した区民の復興に至るまでの一時的な生活の場として時限的市街地の建設を支援する。時限的市街地は、仮設の住宅や店舗等と利用可能な残存建物で構成する。 3 復興対象地区の指定 @ 区は、被災状況の全体像が明らかになる被災後1ヶ月を目途に復興対象地区の指定を行う。 A また、重点復興地区および復興促進地区内において、緊急かつ健全な復興を行う必要がある区域については、「被災市街地復興特別措置法」に基づき、被災市街地復興推進地域に指定する。 第2 都市復興基本計画の策定 ○区は、大規模な災害を受けた地区を、災害に強く良好な環境へ復興するため、都市復興基本計画を策定する。なお、被害の程度、被災前の基盤整備状況等の指標によって地区を区分し、地区ごとに都市復興基本計画を策定する。 @ 区は、大規模な災害を受けた地区を、災害に強く良好な環境へ復興するために、都市復興基本計画を立案・策定する。 A 地区の被害の状況、被災前からの地域特性によって、復興に向けた実現手法、まちの復興イメージが異なることから、区は被害の程度、被災前の基盤整備状況等の指標によって地区を区分し、各々の地区ごとの都市復興基本計画を立案・策定する。 1 都市復興基本計画(骨子案)の公表 区が取組む都市復興の方向性を示した「都市復興基本計画」の骨子案を作成し、区民に周知する。 2 復興まちづくり計画等の策定 区は、区民の視点からのまちづくり提案を活かしつつ、復興地区区分に応じて、地区の全体像を明らかにする「復興まちづくり計画」と、それを実現するための具体的な都市計画事業の内容を示した「復興都市計画」および「修復型事業計画」を策定する。 3 都市復興基本計画の策定 区は、都市復興基本計画(骨子案)を基本に、復興まちづくり計画等の内容を反映し、区全域における都市づくり部門の復興基本計画となる「都市復興基本計画」を策定する。 第3 都市復興事業の推進 ○区は、事業施工期間および資金計画などの内容を盛り込んだ復興まちづくりの事業計画を定め、区民と協働で事業を推進する。 @ 区は、区民と策定した都市復興の計画を実現するため、事業施工期間および資金計画など、より詳しい内容を盛り込んだ復興まちづくりの事業計画を定める。 A 都市復興事業は、事業計画に基づき区民と協働で推進する。 ? 第5章 生活復興 対策の基本的な考え方 区は、一日も早い生活の再建に向け、都に協力し、住宅、産業、くらしの3つの視点から各種支援施策を進める必要がある。 ここでは、住宅復興、産業復興、くらしの復興に係る取組みの推進について示す。 詳細については、「品川区震災復興マニュアル」に定めるところによる。 各対策の要点 第1 住宅復興 ○区は、都が行う民間住宅や公営住宅の供給に係る事務に協力する。 第2 産業復興 ○区は、事業再開に係る一時的事業スペースの確保支援、資金支援や取引のあっ旋等の対策、失業者への安定雇用に係る支援等について検討を進める。 第3 くらしの復興 ○区は、都が中心となって行う福祉、保健、医療、文化・社会教育、消費生活、ボランティア等や専門家との連携、広域避難者等への支援に関する施策の事務に協力する。 対策 第1 住宅復興 ○区は、都が行う民間住宅や公営住宅の供給に係る事務に協力する。 区は本格復興に際して、過去の震災での経験も踏まえ、都が行う自力での再建に関する情報提供や被災者の相談に対応できる体制整備に係る施策に対する協力、支援を行う。 1 民間住宅の供給支援 区は、都が行う被災者の自立再建に向けた良質な民間賃貸住宅、分譲のマンションや戸建て住宅の供給に係る事務に協力する。 2 公共住宅の供給支援 区は、都が行う公共住宅等の新築・建替え、公共住宅等の買取り・借上げ、公社・機構住宅の供給促進等に係る事務に協力する。 ? 第2 産業復興 ○区は、事業再開に係る一時的事業スペースの確保支援、資金支援や取引のあっ旋等の対策、失業者への安定雇用に係る支援等について検討を進める。 区は、事業再開に係る一時的事業スペースの確保支援、事業再開に対する資金支援や取引のあっ旋等の対策を検討する。また、失業者への安定雇用に係る支援や、物流の安定化に向けた検討を進める。 第3 くらしの復興 ○区は、都が中心となって行う福祉、保健、医療、文化・社会教育、消費生活、ボランティア等や専門家との連携、広域避難者等への支援に関する施策の事務に協力する。 生活の側面から「復興」を考えると、一日も早く被災者のくらしを震災前の状態に戻し、その安定を図ることが必要である。そのため、区は、都が中心となって行う福祉、保健、医療、文化・社会教育、消費生活、ボランティア等や専門家との連携(ニーズに応じたボランティア派遣や専門家による復興まちづくり支援等)、広域避難者等への支援に関する施策の事務に協力する。