令和5年度第1回品川区医療的ケア児とう支援関係機関連絡会 議事要旨 開催日時 令和6年3月26日火曜日 午後6時30分から午後8時 出席者 楠田会長、小林委員、福島委員、菊地委員、島崎委員、矢野委員、原田委員、巻島委員、藤田委員、佐野委員、松ざき委員、今井委員、立木委員、石橋委員、矢木委員、唐澤委員 欠席者 松井委員、水江委員、榎本委員 次第1 開会 次第2 挨拶 次第3 議題 (1)報告事項 品川区各課からの報告、インクルーシブ広場ベルからの、質疑応答 (2)意見交換 医療的ケア児とう支援の課題について 次第4 閉会 配布資料 資料1 委員名簿 資料2 座席表 資料3 品川区医療的ケア児等支援関係機関連絡会運営要綱 資料4 障害者支援課における医療的ケア児への取組み 資料5 保育支援課における医療的ケア児保育支援事業 資料6 すまいるスクール事業について 資料7 令和5年度インクルーシブひろばベル活動報告 議事概要 1、開会 2、挨拶 福祉部長挨拶 3、議題の(1) 報告事項  ア 品川区の取組みについて、障害者支援課・保育課・保育支援課・子ども育成課保健センター・教育総合支援センターより報告 障害者支援課  資料4「障害者支援課における医療的ケア児への取組み」について説明 1 児童発達支援について 未就学の子どもを対象に、集団生活への適応を支援している。 2 放課後等デイサービスについて 就学している子どもを対象に、授業の終了後または休業日に生活能力向上のために必要な支援等を行っている。 3 品川区障害児通所支援事業運営補助金について 区独自の補助金である。区内在住の重症心身障害児および医療的ケア児が定員の半数以上を占める区内事業所を対象に、1事業所につき上限500万円を補助しており、看護師の配置等、療育環境の整備を図るものである。令和5年度実績は2事業所であり、令和6年度については、5事業所分を予算計上している。 4 重症心身障害児者等在宅レスパイト事業について 重症心身障害児で医療的ケアが必要な子どもおよび重度の障害により常時見守りを必要とする子どもを対象に、自宅へ看護師を派遣し、介護者である家族が行っているたん吸引、体位交換および食事介助等を一定期間代替えするものである。令和5年度は31人が利用しており、令和6年度からは新たに介護者の「就労」についても要件として追加している。また、近隣区では看護師を特別支援学校へ派遣しているという事例から、品川区においても令和6年度から実施する方向である。 5.医療的ケア児地域生活支援促進事業について インクルーシブひろばベル を指す。当該施設の登録者数は、令和5年度10月末時点で262世帯、令和6年度2月末時点で302世帯と増加傾向である。(インクルーシブひろばベルの詳細については、報告事項2を参照) 6.品川区重症心身障害者通所事業について(ピッコロ) 在宅の重症心身障害者の日中活動の場として、定員6名で運営を継続している。運動機能の低下防止のための訓練およびクオリティオブライフを高めるための日常生活の提供を行っている。 7.医療的ケア児等コーディネーターの配置について 令和5年度は区内に7人の医療的ケア児等コーディネーターを配置した。令和6年度は新規事業として、医療的ケア児等コーディネーター支援体制整備促進事業を開始し、NICU退院前のカンファレンス参加、在宅移行に係る連絡調整および各種相談等、各ライフステージに応じた課題解決に向けた継続的な支援を提供する。 8.品川区障害者医療ショートステイ事業 区独自の事業である。在宅療養をしている医療的ケアが日常的に必要な重症心身障害者等が、その保護者等による在宅での療養が一時的に困難になり、かつ通常の短期入所の利用が困難である場合に、医療機関が一時的に受け入れるものである。現在は酸素吸入を必要とする重症心身障害者が利用している。令和5年10月末時点で3件、令和6年2月末時点で5件の利用実績がある。   9.在宅人工呼吸使用者への非常用電源確保について 品川区災害時個別支援計画を作成した方を対象に、非常用電源装置の購入費用を助成しているものである。令和5年10月末時点で5件、令和6年2月末時点で8件の利用実績がある。 保育課 令和5年度実績および令和6年度の取組みについて説明(資料なし) 令和5年度の区立保育園における医療的ケア児の在園状況は、6園(公設民営1園を含む)・5名となっている。令和6年度の新規入園予定者は5名であり、令和5年度末に1名が解除予定であるため、令和6年度は9名が在籍することになる。9名の医療的ケアの内訳は、一型糖尿病2名・気管カニューレ内部吸引1名・経鼻経管栄養1名・酸素療法4名・胃ろう1名である。 令和5年度より医療的ケアの対象項目を拡大したことから、入園数は増加傾向にある。各保育園においては、大学病院の協力の下、アドバイザーという形式で小児科医師から毎月助言・指導を受けている。今後の課題として、幼保一体施設の受入れ体制の整備が挙げられる。幼保一体施設では、3歳まで保育園で過ごした後、4歳および5歳で幼稚園へ編入になる。区立保育園では医療的ケア児の受入れ体制の整備が進んでいる一方、幼稚園ではまだこれからという状況にあるため、今後改善へ向けて検討していく必要がある。 保育支援課 資料5 保育支援課における医療的ケア児保育支援事業 について説明 保育支援課は私立保育園を所管しており、医療的ケア児の保護者から自宅近辺や希望する私立保育園での受入れに関する相談を受けることがある。しかし、現状私立保育園では医療的ケア児の受入れに関するノウハウが無いため、令和6年度予算において看護師派遣に係る人件費補助費および研修受講費用補助費等を計上し、体制整備を進めていきたいと考えている。令和6年10月を目途に、私立保育園における医療的ケア児の受入れを開始できるように、モデル園の選定、区立保育園を参考とした研修の実施およびマニュアル作成等を進め、体制整備を支援していきたいと考えている。 子ども育成課 資料6 すまいるスクール事業について について説明 すまいるスクールは区の全児童放課後等対策事業として、放課後子ども教室と放課後児童クラブを一体型で行う事業であり、区立小学校および義務教育学校全37校の学校内で実施している。区内在住の全小学生を対象として、いつでも利用することが可能である。令和5年度における児童の登録率は、1年生が96%と最も高く、2年生および3年生の児童も80%を超えている。 すまいるスクールにおける医療的ケア児の対応については、令和3年10月より看護師を派遣し、利用時のケア等の対応を実施している。医療的ケア児の受入れに際しては、子ども育成課とすまいるスクールで保護者面談を実施した後、保護者の理解を得たうえで利用を開始している。子ども育成課が派遣する看護師とすまいるスクール担当指導員、学校管理職等と連携しながら対応に当たっている。 すまいるスクールにおける医療的ケア児の利用実績は、令和3年度1名、令和4年度2名、令和5年度4名であり、令和6年度は5名の利用を見込んでいる。医療的ケアの内容としては、たん吸引1名、導尿対応2名、人工肛門・盲腸ろう1名、インスリン投与対応1名である 品川保健センター 保健センターの取組みについて説明(資料なし) 保健センターでは、幅広い世代を対象に相談事業および支援事業を実施しており、医療的ケアを必要とする児童の保護者に対する関係機関の紹介等も行っている。また、東京都保健福祉局が実施している在宅療育支援事業の利用申請について、区内3つの保健センターにて受け付けている。 教育総合支援センター 区立学校における医療的ケアの看護師配置事業について説明(資料なし) 区立学校における医療的ケアの看護師配置事業は、令和3年度より実施しており、令和5年度は5校に5名の看護師を配置している。医療的ケアの内容については、導尿対応2名、人工肛門ストーマのパウチ交換2名、たん吸引1名である。令和6年度は6校に7名の看護師を配置する予定である。 本事業は主治医の指示を踏まえて実施しており、各学校においては医療的ケア安全委員会を実施し、管理職、校医、担任教諭、養護教諭および看護師が主治医の指示を共有する機会を設けている。 イ インクルーシブひろばベルからの報告(資料7 令和5年度インクルーシブひろばベル活動報告) インクルーシブひろばベルについて 医療的ケア児、保護者および家族等が、周囲の目を気にせず安心して過ごせる場所をつくりたいという思いから誕生した。障害のある子どもとその家族が様々なコミュニティとつながり、自分らしさを発揮できる社会を実現するべく日々運営している。 利用状況等について 大原児童センターの1階に位置し、平日の10時から17時まで運営している。対象年齢は0歳から18歳であるが、2歳以下の利用者が大半である。 相談室も備えており、予約での相談も受け付けている。登録世帯数は302世帯であり、年間約1,500名が利用している。利用者の約4割が発達障害を含む障害児であり、約1割が医療的ケア児である。医療的ケアの内容は、胃ろうおよび経管栄養、酸素吸入等である。 施設の紹介 1 スヌーズレン 薄暗い部屋の中で光や音を感じることができる部屋。発達段階において多動の子ども等が利用し、平時と異なる環境下において親子でゆっくり時間を過ごすことで、落ち着きを取り戻すといった効果がある。 2 フィーカの部屋 経管栄養ボトルを吊り下げるフックおよび医療的デバイス電源を常備し、医療的ケア児と家族等が一緒に食事を取ることができるスペース。 活動内容について 遊びの提供を主としており、手作りの玩具や感触を楽しむ玩具を用意し、玩具を叩く・引っ張る等により、障害のある子どもの反応を引き出すような工夫をしている。令和5年度においては、日本財団助成金による「おもちゃセット配布事業」の支援を受け、新しい玩具との入替えも実施した。また、季節ごとに親子で楽しめる制作活動や企画等も常時実施している。 イベント等を通じた交流のきっかけづくり 障害のある子どもと家族・きょうだいが一緒に楽しめるようなイベントを年間を通して実施している。令和5年度は、夏祭り週間やプラネタリウム、手作り玩具の制作等のイベントを実施した。また、子育てに役立つ研修も実施しており、令和5年度は親子参加型での救命講座を開催したが、非常に好評であった。 相談対応について 相談室(要予約)での個別相談のほか、交流スペースにおける子育て全般についての相談も受けている。相談内容としては「日中における子どもとの過ごし方」および「医療的ケア児の保護者の就労に関する悩み等」が多く寄せられている。 医療的ケア児等コーディネーターの活動について 当施設では2名の医療的ケア児等コーディネーターが在籍しており、医療的ケア児の保護者のサポートに当たっている。また、令和5年度は退院時のカンファレンスにも参加し、当施設の紹介を通じて医療的ケア児の退院後の過ごし方および療育器具等の情報提供をした。 令和6年度に向けて 令和6年度は現在の拠点である大原児童センターが工事期間に入るため、9月以降は仮移転先での運営となる。また、令和5年8月に施設の利用における予約制を廃止し、より気軽に利用できる環境づくりを進めている。 医療的ケア児が退院して地域生活に戻る際に、社会資源のひとつとして、当施設の存在をより多くの方に認知されるよう、引き続き策を練っていきたい。 ウ 各報告に対する質疑応答 委員A 医療的ケア児等コーディネーターの配置について への質問 医療的ケア児の保護者の就労について、保育園では定着しつつあるが、小学校への就学後においては、学校での長時間の付き添いを要するため、就労を断念せざるを得ないという声を聞く。そこで、医療的ケア児等コーディネーターの役割のひとつとして、各ライフステージに応じた個別相談等を実施していきたいと考えているが、今後どのように区の事業を活用すれば良いか。 障害者支援課からの回答 来年度、医療的ケア児等コーディネーターの方々が集まる会議を設定し、そこで具体的な課題を抽出し、今後医療的ケア児等コーディネーターがどのように関わっていくのかを議論したいと考えている。障害者支援課と医療的ケア児等コーディネーターが連携し、課題解決に向けて取り組んでいきたい。 また、先に述べた特別支援学校への看護師派遣についても是非利用いただきたい。    委員のご指摘のとおり、各ライフステージにおいて、医療的ケア児等コーディネーターが関わる場面は必ず出てくるものと考えているため、区と事業所等が一体となって充実させていきたい。 委員B 品川区各課からの報告全般への質問 質問1 区の情報発信について 医療的ケア児の退院調整において、現在病院のメディカルソーシャルワーカーおよび退院調整看護師が訪問看護ステーションの選定等を行っている。しかし、訪問看護ステーションによって持ち合わせている情報量が異なるため、その先の支援の繋がりに個人差が生じている。区および医療的ケア児等コーディネーターが、医療機関等へ積極的に情報発信してもらいたい。 質問2 看護師の確保、配置について 医療的ケアの内容は、年々多様化しており、今後増加が予想される糖尿病については細かいケアが求められる。そのような状況下において、看護師がカバーする範囲が益々拡大しているが、保育園および小学校ではどのように看護師を確保し、配置しているのか。 障害者支援課からの質問1に対する回答 区の情報発信について、退院調整時のメディカルソーシャルワーカー、医療的ケア児等コーディネーターおよび障害者支援課が一律公平かつ積極的に情報発信し、支援に関する情報の格差が生じないよう体制を整備していきたい。 教育総合支援センターからの質問2に対する回答 区立小学校においては、派遣による看護師の配置を行っている。糖尿病については、医師や栄養士からの助言に基づき対応を進めているが、専門的な知見が求められるため、教育総合センターにも看護師を配置する等、体制を整備していきたいと考えている。 子ども育成課からの質問2に対する回答 すまいるスクールにおいては、看護師派遣事業者との委託契約により看護師を派遣している。糖尿病の子どもについては、専門的な知見を持つ看護師の配置を確約できない点を保護者に説明し、ご理解いただいたうえで対応にあたっている。 委員B 学校等において、看護師が確保できないとなると最終的には保護者の負担が大きくなる。安全を担保しつつ看護師を確保することは容易ではないが、重要な課題として取り組んでもらいたい。 会長 B委員にご指摘いただいた糖尿病は、呼吸、循環および内分泌が関わる分野であり、より専門的な知識が求められるため、今後の課題だと考える。 委員C すまいるスクール事業について への意見 地域の子どもたちと一緒に過ごしたいという障害のある子どもの保護者の思いを、今後もしっかりと受け止めてもらいたい。障害のある子どもを受け入れることは本当に大変なことだと理解しているが、それはとても意味のあることだと捉えて、今後も運営していただきたい。委託先である運営事業者に対しても、障害のある子どもが「すまいるスクール」で育つことの意義を是非周知していただきたい。 議題の(1) 意見交換 医療的ケア児等支援の課題について 委員D 重症心身障害児を受け入れている施設において、元気に走り回る、物を投げる等ができる子どもが重症心身障害児として入所している現状がある。障害の区分けが困難なことは承知しているが、安全を担保するためには、スペースの確保および職員配置等の面において様々な課題がある。 会長 重症心身障害児は、単に身体および知的障害ということだけではなく、他の臓器の疾患も含まれるため、子どもの運動能力および活動範囲、医療的ケアの内容も様々である。この課題を解決するためには、予算と場所の確保が重要となるため、今後の課題として、行政にも現状を理解してもらいたい。 委員E 近年、障害児施設等では「スヌーズレン」の普及が進んでいるが、保育園にも「スヌーズレン」を取り入れてはどうか。障害のあるなしに関わらず、落ち着きを取り戻せる部屋があることは有意義だと考えている。 会長 保育課にて是非検討いただきたい。 会長 前回の連絡会において「行政による医療的ケア児の全数把握は実現可能か」という意見があった。今どのような支援がどの程度必要とされているかを行政が把握することで、より効果的に支援計画および予算へ反映させることが可能となる。また、災害時における個別支援にも繋がるため、行政による医療的ケア児の全数把握は重要だと言える。 一方、全数把握となると難しい面もある。全国の医療的ケア児数も発表されているが全て推計値となっており、調査方法も確立されていない。そこで、区の医療的ケア児の全数把握に対する方針・方策等があれば伺いたい 障害者支援課 区としては、医療的ケア児の全数把握について前向きに検討したいと考えている。課題としては、区外の訪問看護ステーションおよび医療機関等との協力関係の構築、個人情報問題等が挙げられるが、令和6年度以降、私どもで「案」を作成し、本連絡会で諮らせていただきたい。 会長 医療的ケア児の全数把握について、区も前向きに検討するとのことだが、より正確な数値を得るためにはどのような方法があるか、委員の皆様の意見を伺いたい。 委員F 他区において、アンケートによる全数把握調査を実施した経験がある。各家庭にアンケートを配布し、調査機関に統計を依頼する形で実施した。本アンケートにおいては、単なる数量調査に留まらず、必要とされている支援および事業所に足りない部分等も把握することができた。品川区でも実施することができれば、医療的ケア児等コーディネーターの役割および必要数等も見えてくるのではないか。 会長 現在、品川区では医療的ケア児の人数について、どのように把握をしているか。 福祉部長 品川区の第3期障害児福祉計画において、在宅レスパイト事業および障害児支援サービス利用者のうち、18歳未満の医療的ケアを要する方の人数として、30名と記載している。一方で、こうした事業やサービスを利用していない方および直接区とつながりの無い方の中にも医療的ケアを必要とする方はいるため、全数把握へ向けた取組みは必要だと考えている。 会長 医療的ケア児の全数把握の実現に向けて、区も前向きに検討していることが確認できた。実施方法をはじめ課題はあるが、世田谷区の事例を参考にしながら実現に向けて取り組んでもらいたい。最後に、今年度最後の連絡会の開催となったが、行政からの頼もしい報告もあり、支援の輪が広がっていることを嬉しく思う。今後も行政と事業者・団体等が密に連携を取り、品川区における医療的ケア児等の支援がより発展していくことを願っている。 4.閉会 障害者施策推進課長挨拶 以上