旧荏原第四中学校整備基本計画(素案) 令和7年(2025)品川区 目次構成 第1章 はじめに  1 第2章 基本計画策定の背景  2 1.旧荏原第四中学校周辺の現況整理  2 2.まちづくりの方針  5 3.周辺の状況  6 4.施設整備需要など  8 第3章 コンセプト  10 第4章 導入機能  12 第5章 施設整備の基本的な考え方  14 1.施設整備の方向性  14 2.SDGsについて  16 第6章 導入機能の具体的内容  19 1.共用スペース等  20 2.図書館  22 3.教育支援センター(マイスクール) 24 4.体育館  25 5.ホール・スタジオ  26 6.子育て支援のための機能  27 7.屋外運動施設  28 8.屋外施設  28 9.防災拠点  29 第7章 新施設の利用イメージ 30 Story1 30 Story2 32 Story3 34  第8章 建築計画の考え方  36 1.土地の法規制  36 2.インフラ  36 3.動線計画  37 4.植栽計画  38 5.景観計画  38 6.安全性  39 7.ユニバーサルデザイン  40 8.外構計画  40 9.構造計画  40 10.設備計画  41 11.緩衝  42 12.環境への配慮  42 第9章 ゾーニング  43 1.ゾーニング  43 第10章 事業実施方針  44 1.施設の整備および管理運営に関する基本的な考え方  44 2.事業スキーム  45 3.本事業に適用可能な手法  46 第11章 事業手法評価  50 1.定性的評価  50 2.定量的評価(VFM試算)  50 3.概算整備費  50 4.民間事業者の意向調査  50 5.結論  52 6.SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)の組成について  52 7.SPCに求められる役割  52 8.地域活動等との連携  52 第12章 事業スケジュール  53 1.サウンディング結果  53 2.前提  53 3.想定スケジュール  53 ? 参考資料  54 参考1)ワークショップの開催概要  55 参考2) 整備基本計画検討経過  60 第1章 はじめに 旧荏原第四中学校は平成23 年4 月に荏原第三中学校と統合し、現在の豊葉の杜学園に先駆けて、豊葉の杜中学校として開校しました。 平成25 年4 月、豊葉の杜中学校と杜松小学校、大間窪小学校が統合し、施設一体型小中一貫校である豊葉の杜学園が開校(品川区二葉)しました。 その跡地は、保育園、野球やサッカー等の活動場所、区民避難所等として利用されており、引き続き多くの区民の方々から愛される施設を作っていくため、 令和5年度に「旧荏原第四中学校跡地活用方針策定委員会」を立ち上げ、活用方針について検討を進めてきました。 令和6年度は活用方針で整理されたコンセプトを踏まえて、事業化検討を深度化すべく、導入機能や想定規模、事業手法、概算事業費、事業スケジュールに加えて、ワークショップを行い区民等の意向などを反映し基本計画を策定しました。 今後は、この基本計画に基づき、民間事業のノウハウを活用し、より充実したサービスの提供ができるよう、本事業を進めていきます。 【旧荏原第四中学校】  所在地:品川区豊町3−5−31  敷地面積:8,472.69u  用途地域:第一種住居地域  建ぺい率/容積率:60%/200% 1947(S22) 荏原第四中学校設立認可(延山小学校にて併設) 1950(S25) 中延小学校へ移転 1951(S26) 旧校舎落成 現在地へ移転 1954(S29) 校歌制定 1961(S36) プール竣工 1964(S39) 現校舎落成 1977(S52) 体育館落成 2011(H23) 荏原第三中学校と統合(豊葉の杜中学校として活用開始) 2013〜(H25〜) 品川区二葉へ移転(現 豊葉の杜学園)以降、暫定活用等       ? 第2章 基本計画策定の背景 1.旧荏原第四中学校周辺の現況整理 【周辺施設状況】 ?周辺の主な区有地施設は老朽化が進んでいます。 ?東急大井町駅より南側は、北側に比べ、オープンスペースが少ないです。 施設名 経過年数(R6.4末時点) 1 ゆたか図書館 48年 2 ゆたか保育園・児童センター 55年 3 エコルとごし 2年 4 戸越体育館 37年 5 旧荏原第四中学校 60年 6 ゆたかシルバーセンター 46年 7 南ゆたか保育園・児童センター 3年 8 杜松地域密着型多機能ホーム 9年 9 荏原第五地域センター 11年  【周辺の道路状況】 ? 本敷地周辺は、幅員4m未満の細街路が多く存在しています。  【周辺の土地利用状況】 ? 本敷地周辺は、独立住宅・集合住宅が多く、グラフが示すように、昼間人口に比べ夜間人口が多いことから、住宅街であることがわかります。  【周辺の建物状況】 ? 本敷地周辺は、木造住宅密集地域であり、「不燃化特区支援事業」の対象エリアに指定されています。 ? 本敷地は、不燃化率70%以上の耐火建物・準耐火建築物への建替えを目標とし、「都市防災不燃化促進事業」により木造建築物の建替えを推進中のエリアです。  【避難機能の状況】 ? 旧荏原第四中学校は区民避難所(572人)に指定されています。 ? 2.まちづくりの方針 戸越公園駅周辺まちづくりビジョン(平成27年(2015)1月策定) ◇荏原地域は災害時の火災延焼による甚大な被害が懸念される   木造住宅密集市街地が多く「災害に強いまち」の実現が喫緊の課題 戸越公園駅周辺まちづくりビジョン基本計画編(令和2年(2020)1月策定) ◇まちづくり目標 安心して暮らせる活力ある地域生活拠点 「Park Life Station戸越公園」の形成 〜補助第29号線整備および鉄道立体化を契機としたまちづくり推進〜 品川区まちづくりマスタープラン(令和5年(2023)3月改定) ◇荏原地区のまちづくりの目標 多様なライフスタイルでいつまでも住み続けられる安全・安心都市 ? 3.周辺の状況 (1) まちづくりの状況 ? 補助第29号線の整備や鉄道立体化を契機として、商店街の再編や周辺街区の共同化など建替えへの気運が高まっています。 ? 戸越公園と周辺の既存施設も含めて、子育て環境がより一層充実、居住地としての魅力が高まる事が期待されています。 【 連続立体交差化計画 】 ? 踏切除去による交通渋滞の解消に向けて、東京都が主体となり進めている東急電鉄大井町線(戸越公園駅付近)の連続立体交差化計画や品川区の戸越公園駅駅前広場等の計画が進められています。 (2)人口 ? 直近での人口は若干減少傾向にあるものの、20年以上前と比べると増加しています。 ? 将来推計では、令和20年頃まで増加傾向が続き、その後、緩やかに減少に転じると予測されています。 4.施設整備需要など (1)世論調査・地域要望 ? 地域要望として、 「避難所機能の確保」や「校庭や体育館の地域開放を継続」などがあります。 8つの施設類型 世論調査(%) (全域)1,197件 世論調査(%) (荏原東地区)128件 活用案の例 A 文化・スポーツ施設 40.1 36.7 文化センター・体育館など B 社会教育施設 33.5 37.5 図書館・歴史館など C 子育て支援施設 32.0 28.1 保育園・幼稚園など D 福祉保健施設 31.7 39.8 シルバーセンター・障害者福祉施設・健康センターなど E 行政系施設 23.3 21.9 庁舎・地域センターなど F 学校教育施設 18.3 14.8 小・中・義務教育学校・教育支援センターなど G 区民・集会施設 12.3 12.5 区民集会所・総合区民会館など H 産業系施設 7.3 5.5 創業支援施設など ※世論調査(令和4年度)で地域別にみた質問「あなたが住んでいる地区に優先的に整備または維持していくべきと考える施設はありますか。」の問に対する回答 ※複数回答による) (2)行政需要 機能 主な整備需要 不登校児童・生徒が学べる場所 ・現在五反田、浜川、八潮において教育支援センター(マイスクール)が整備されているが、近年不登校児童が増加傾向にあり、特に小学生の受け入れ施設の確保が課題となっている。マイスクール八潮以外にもグラウンドなどでの活動ができ、かつ区の中心に位置する荏原東地区へ教育支援センター(マイスクール)の整備が求められている。 屋外運動場 ・地域防災計画において、区民避難所(572名)に指定されている。今後も引き続き、地域の重要な防災拠点としての役割を担う必要がある。 ・近隣に位置するしながわ中央公園の多目的広場の利用率は高く、周辺地域における スポーツ等の利用ニーズがある。 ・少年野球・少年サッカー・グラウンドゴルフなど地域利用されている。 屋内運動場 ・地域防災計画において、区民避難所(572名)に指定されている。今後も引き続き、地域の重要な防災拠点としての役割を担う必要がある。 ・区立体育館が区内に2か所(総合体育館・戸越体育館)であり、区立体育館の延床面積が23区中20位と不足傾向にある(令和4年度特別区の統計)。 ・多数の団体が利用している。 その他 ・戸越公園駅周辺の公共施設の老朽化の対応。 ・地域ニーズや利用実態を踏まえ、多機能への用途転用、近隣施設との統合・複合化などを検討し、施設総量の適正化を図る(品川区公共施設等総合計画抜粋)。 第3章 コンセプト 昨年度の活用方針の検討では、第2章までに整理した、現況課題や需要把握と、地域住民とのワークショップ等から、コンセプトを整理しました。 「交流拠点」となるため @インクルーシブ Aサードプレイス Bネットワーキングの観点を重視 第4章 導入機能 ? 第5章 施設整備の基本的な考え方 1. 施設整備の方向性 方向性1 「みんなの学びの場」となる図書スペースを中心とした交流拠点 ? 図書スペースを中心に配置し、交流を促すラウンジやカフェの設置を検討します。 ? 個別活動の場、教育支援センター(マイスクール)、就労支援機能の設置を検討します。 ? 夜間や雨天時を含めた日常的な健康づくりや、災害時の避難や一時滞在を支える、屋内の大空間(体育館など)の設置を検討します。 ? 屋外のオープンスペースは、スポーツや緑を通じた交流の場となるとともに、災害時の避難を支える空間とします。 ? 地域活動への参加のきっかけを提供できる場所とします。 方向性2 交流拠点となるための設えと仕組み ? 旧荏原第四中学校が、多様な人々にとっての交流拠点となるために、戸越公園駅や周辺施設との回遊性を意識した設えとします。     また、インクルーシブ・サードプレイス・ネットワーキングの観点から、必要となる設え(ハード面)や仕組み(ソフト面)を下記のとおり検討します。 必要な設え(ハード面) 必要な仕組み(ソフト面) インクルーシブ 誰もが参加しやすく活躍できる場となるために 大きな入口や縁側がある 公園のような空間・設え どんな活動が行われているかが分かりやすく参加がしやすい工夫(多言語掲示板など) サードプレイス 家・学校・職場等以外で、居心地よく過ごせる場となるために 大空間の中に、落ち着いて学び交流する場を設置可能な設え(可動式間仕切り・可動式家具など) 家・学校・職場とは異なる、新しい学びや出会いの機会の提供(生涯学習プログラム、就労支援カフェなど) ネットワーキング 人と人との新たな出会いを創出する場となるために ・集団でスポーツ・農業・防災訓練などができる空間の確保 ・ユニバーサルデザイン 高齢者・障害者・外国人・ 子どもなども参加しやすくなる、「助け合い」の促進(介助・翻訳・見守りなど) 方向性3 平常時と災害時のフレキシブルな活用 ? 災害時において、助け合いながら、避難や一時滞在をスムーズかつ快適に行うことができるよう、例えば、屋内の大空間は、屋外のオープンスペースと一体的な活用が容易となるような設え (ゆとりある開口部・段差解消と可動式什器・備蓄倉庫など)となるよう検討します。 2. SDGsについて SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。 2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。 SDGsは2030年を達成年限とし、図 1の17のゴールと169のターゲットから構成されています。品川区長期基本計画が示す方向性はSDGsと重なるところが多く、 長期基本計画において掲げる各施策を推進することは、SDGsの達成にも資するものと考えます。 図 1 SDGsの17の目標(出典:国際連合広報センター) 旧荏原第四中学校の整備を進めるにあたり、計画・設計から解体・建設工事、完成後の運用の各段階において、 実現可能性のある内容や念頭に置くべき内容を次ページの表に示します。 ?  旧荏原第四中学校の跡地の整備に深く関連するSDGsの項目 〇本施設の整備コンセプトである、「誰も取りこぼさない助け合いの場」の実現に向け、育児・介護・障害・貧困や それらが複合化した課題の支援体制づくりを推進し、 一人ひとりの暮らしと生きがい、地域とともに創っていくことのできる交流拠点の実現に向けた取組みを推進します。 〇カフェ等の運営において、食品ロスの削減に努めます。 〇フェアトレード商品の購入により、生産者の経済的支援を目指します。 ○すべての人が利用しやすいスポーツ施設・付帯機能を整備します。 ○図書館機能を整備するとともに、学習室や文化に触れられる空間(スタジオ・ホール等)や屋外空間等とも連携した運営を充実させます。 ○教育支援センターを設け、不登校児童生徒の学びを支援します。 ○LGBTQなどすべての人が使いやすい更衣室やトイレ、シャワーブース等を設けます。 ○衛生的かつ節水に配慮した給排水衛生設備を整備します。 ○災害時の上下水途絶に備え、飲料水に使用可能な貯水槽等を確保するとともに、雨水や中水利用も検討します。 ○良好な屋内環境の整備と消費エネルギー削減の両立を図り、「ZEB認証」 の取得を目指します。 ○すべての人が利用しやすく、働きやすい施設・環境を実現します。 ○障害者を含めた多様な人が活躍できる職場環境の整備と就労機会の創出を目指します。 ○将来の技術革新や行政ニーズの変化に対応可能で、将来にわたり長く使える公共施設を目指します。 ○国籍、性別、年齢や障害の有無に関わらず、すべての利用者や職員が不自由なく利用できるよう、      ハード面とソフト面においてインクルーシブデザインやユニバーサルデザインに配慮します。 ○地域住民の憩いの場として交流機能を充実させます。 ○災害発生時には地域の避難所として機能を発揮できる施設とします。 ○施設のライフサイクルにおいて省CO2、省エネルギーを図るとともに、廃棄物量の抑制や資源循環に配慮します。 ○長寿命でメンテナンスの行いやすい施設とします。 ○自然光や自然換気、建物の熱特性を考慮した建物設計と再生可能エネルギーの利用により、温室効果ガス排出量の削減を目指します。 〇気候変動に起因した暴風雨や浸水などに耐えうる、安全で強い施設を目指します。 ○建設時、運用時、改修時など各段階において、非分解性の廃棄物の削減に配慮します。 ○敷地内に適切に緑を配置し、周辺の緑地と一体的に緑豊かな潤いのある市街地環境を形成します。 ○公共施設としてあらゆる人にとって安全な場所となる施設を目指します。 ○区民、各分野の専門家、区職員、民間事業者等のあらゆる人と協力しながら、施設の整備及び維持管理運営を行います。 ? 第6章 導入機能の具体的内容 第4章導入機能に示す、各機能における諸室等の内容を示します。事業提案時には民間事業者の優れた提案を受け付け、より高い費用対効果を目指します。 面積や諸室の具体的な数等の記載がある場合は、品川区が同規模程度の面積を期待することを示すものです(※計画内容は今後変更となる場合があります)。 また、障害者が仕事をする上で役立つ知識や技能を短期間で身に付けることを目的に、各機能等において、障害者を受け入れ、施設内の業務に関する作業実習を中心に、 訓練を行える体制を整えます。 ? 1.共用スペース等 旧荏原第四中学校のコンセプトである「多様な人々が集い・学び・助け合い・心と体の健康を育む交流拠点」とするため、明るく開放感のある共用スペースを確保し、 幅広い世代の人たちが自由に訪れ、交流の促進やにぎわいが図れる施設となることを目指します。 また、ゆとりある開口部など、屋外のオープンスペースと一体的な活用ができる設えとします。 共用スペースは施設のエントランス等に広い空間として確保し、様々な導入機能の利用者がまず訪れ、交流がうまれやすい場所とします。 各機能の総合受付を設置するほか、案内板やイベント、トピック情報などを発信し、すべての利用者がわかりやすく、使いやすい施設となるための役割を担います。 また、施設内にカフェを整備することにより、誰もが集いやすい空間を創出し、居場所・交流拠点としての魅力を向上します。 具体的な諸室 内容 共用スペース (エントランス含む) ・様々な導入機能の利用者がまず訪れ、交流が生まれやすい場所となるように、明るく開放感のあるスペースを整備する 総合受付 ・全ての施設機能の案内に対応できる受付を設置する ・順番待ちができる空間の確保を図る  ・体育館やスタジオ等の施設全体の利用受付を行う カフェ等 ・誰もが集いやすく、自分の居場所として気軽に軽飲食を楽しめる空間を創出する ・客席は隣接するエントランススペース等も活用することで空間の有効活用を図る その他付帯機能 会議室(業務用) ・各機能共通で使用する会議室として整備する 事務室(業務用) ・職員の事務室で、施設全体で共用化を図る ・職員の更衣室やロッカー、休憩室を設置する トイレ ・多目的トイレを含め、十分な数のトイレの設置する ・オストメイト対応やベビーチェア、ベビーシートなど多機能で広めのブースを備えたトイレ、男女共用の個室を備えたオールジェンダートイレを整備する 休養スペース ・具合が悪くなった時に利用するスペース、施設全体で共用化を図る 駐車場 ・東京都駐車場条例に基づき、適切な駐車台数を確保する ・障害者が利用できる幅の広い駐車スペースを確保する ・図書館および体育館にかかる専用の荷捌き駐車スペースをそれぞれ整備する その他 ・廊下、階段、EV等を整備する ・屋内キッズプレイルームや児童図書コーナーと一体的に活用できるおむつ替えスペースや授乳室を整備する ・ベビーバギー置場を一定数確保する ・カームダウンエリア(感情やストレスが高まった時に落ち着くために過ごすエリア)を整備する ? 【整備イメージ】 ■エントランス・共用スペースのイメージ ■カフェのイメージ 出典:フジタスクエアまるくる大野HP 出典:武蔵野プレイスHP ? 2.図書館 新たに整備する図書館は多世代・多様な人々が交流する「みんなの学びの場」として整備するため、多様な用途として利用できる座席やスペースを配置することにより、 だれもが学び交流できる、「ゆとりのある空間」を実現します。 また、交流拠点としてのコンセプトを踏まえ、同施設内に整備されるカフェや屋内キッズプレイルームなどとの連続性を重視するとともに、 各機能と連携した事業を実施します。 具体的な諸室 内容 一般開架 【共通】 ・100席以上閲覧席を確保し、居心地の良い空間を整備する ・蔵書数70,000冊以上を想定する ・障害の有無にかかわらず読書等の楽しみを享受できる環境を提供する ・PCやタブレットの持ち込みを前提とした電源、Wi-Fiネットワークを整備する 【雑誌・新聞コーナー】 ・多様な雑誌、新聞を読めるコーナーを整備する 【外国語等図書コーナー】 ・外国語で書かれた本を収集、配架するコーナーを整備する 【ティーンズコーナー】 ・40席以上 ・様々なテーマによる展示等を行いティーンズの関心を高める工夫を行う ・PCやタブレットの利用が可能な学習スペースを整備する ・グループで話し合いながら調べ学習をするなど、ティーンズ世代が交流できる場を整備する ・音漏れしない環境を整備する 【児童図書コーナー】 ・閲覧スペース(ブラウジングコーナーおよび机)を配置する ・乳幼児や児童がゆっくり絵本を読める空間を整備する ・子育て支援のための機能とも連携し、一体的な空間を提供する ・音漏れしない環境を整備する 【おはなしの部屋】 ・靴を脱いでくつろいで絵本の読み聞かせなどができる空間を整備する 【資料室】 ・地域の歴史や文化、行政資料、品川区にゆかりのある人物に関する資料など収集、配架するコーナーを整備する 読書室(学習室) ・静かな空間で、本を読んだり研究、学習したりできるコーナーを整備する 地域交流情報 コーナー ・地域のコミュニティ形成に役立つ情報コーナーを整備する 貸出カウンター   ・ICタグを活用した自動貸出機、返却ポスト、予約棚を整備し、省力化を図る ・本の貸出返却を行うカウンターを設ける レファレンス カウンター ・様々な問い合わせに対応するレファレンスカウンターを設ける 事務室 ・事務を行う部屋を専用で設ける 作業室 ・書籍の点検や修繕等の作業を行う 閉架書庫 ・自動化書庫を導入する ・書籍のストック空間を設ける 物品倉庫 ・事務用品等を収納する 【整備イメージ】 ■一般開架のイメージ ■児童図書コーナーのイメージ 出典: 菊池市中央図書館HP 出典:しらさぎ子ども図書館HP ? 3.教育支援センター(マイスクール) 不登校児童・生徒の集団生活への適応や情緒の安定、学力の補充、生活習慣の改善などを行う教育支援センターを設置し、必要な教室や相談室を整備します。 また、グラウンド、図書館などの機能を活用することで、児童・生徒の心と体の健康を育みます。  なお、教育支援センターへの出入口は他機能と分けて整備するなど、通室する児童・生徒に配慮した設えとします。 具体的な諸室 内容 教室(約64u×4室) ・不登校児童・生徒の増加への対応 ・各室等は教育支援センター専用の機能として整備する レクリエーションルーム(約96u×1室) 相談室 (約16u×6室) 保健室 (約20u×1室) 指導員室 (約64u×1室) ロッカー・更衣室 (約32u×1室) 教材倉庫 (約32u×1室) 手洗い場 (約10u) トイレ (約32u) ? 4.体育館 旧荏原第四中学校の既存体育館は、築47年が経過し老朽化が進んでいます。また、フロアの高低差もあり、車椅子利用者などのスムーズな移動をはじめとした、 バリアフリー対応も十分とは言えない状態です。そのため、バリアフリーですべての人が利用しやすいインクルーシブな体育館を新設します。 本計画では、多様な人々が生涯にわたりスポーツ活動を楽しみ、「みる人」にとっても必要な観覧機能を有し、 健康づくりに親しむことができる拠点として整備することを目指します。品川区スポーツ推進計画では、 基本理念「スポーツの力でつなぐ みんなの笑顔が輝くまちしながわ」の実現に向け、スポーツの力を活かして、 様々な人々や団体の交流を通じて地域のにぎわいが創出される取組を進めており、本施設の活用も重要な視点となってきます。 新たな体育館では、大地震等の災害時の区民避難所として災害時の活動拠点や避難場所としてのフレキシブルな活用ができるよう、 更衣室や会議室等の付帯施設を避難場所や救護活動に転用できるようにします。 具体的な諸室 内容 体育館 ・区民スポーツや登録団体の練習、活動の場、一般の個人利用を想定するほか、大会会場としても利用する 【活動と規模】 ・バスケットボールコート(下記@・Aを満たすこと) @ 12〜15m×22m〜28mを2面  A 15m×28mを1面(@と重複可) ・バレーボール、バドミントンなどの競技でも利用可 ・車いす競技でも利用可とし、床を傷や汚れに強い素材とする ・天井高7.0m以上 ・複数の競技団体が同時に利用できるよう、体育館を分割するための防球ネット等を設置する ・2階に車椅子利用者席および固定観覧席約300席(長辺部分に優先的に整備)を計画し、席の最前部に視認性に配慮した転落防止柵を設置する 更衣室 シャワー室 トイレ ・男女別に設ける ・ユニバーサルデザインを導入し使いやすさに配慮する ・家族連れやLGBTQ、車椅子利用者にも配慮する 会議室 ・50名程度のチームミーティング等が実施可能な室を整備する ・施錠可能な室とし、荷物置き場としても利用可能な室とする 器具庫・倉庫 ・運動用具等の収納倉庫を整備する ・体育館を分割して使用する際にも、それぞれのコートから倉庫にアクセスができるようにするなど、分割時の利用に配慮する その他 ・事務受付は体育館専用に設けることが望ましい ・各種イベントを想定し、外部からの器材搬入口を確保する 5.ホール・スタジオ 楽器・歌の練習、ダンス、小規模な発表会などの多様な芸術活動等を行うことを目的とし、ホールやスタジオを整備します。 多様な人々が芸術活動を通して楽しみや感動を分かち合う機会を創出することで、人と人とが互いを理解し支え合う交流拠点の実現に寄与します。 具体的な諸室 内容 レクリエーションホール ・多様なイベント等に活用可能な空間 ・可動式の舞台も含めて平土間として一体的に利用可能なホールとして、調光可能な照明、プロジェクター、スクリーン、音響設備、防音機能等を整備する ・可動間仕切りの設置により、利用人数や利用形態に合わせ、室を3分割して利用可能とする ・可動式の机やスタッキングチェアを配備する ・天井から装飾等を吊り下げられるようにし、天井高は5m以上とする ・ホールへの出入り口は静音性能を確保する ・災害時に避難場所としても運用が可能とする スタジオ (2室) ・室内楽・芝居・合唱・ダンスなどができるフローリングの室とする ・壁に鏡を1面以上設置する ・防音性の高い室とする 多目的ルーム ・サークル活動や各種会議等多用途に使用できる室を整備する 倉庫 ・什器等の収納倉庫を整備する ? 6.子育て支援のための機能 (1)冒険ひろば 子どもが自分の責任で自由に遊び、学び、つくり続けていく子どもの居場所・活動拠点となる場所です。ありのままでいられる屋外遊びの場として、 泥遊びなどができるプレーパークを整備します。 (2)屋内キッズプレイルーム 遊びを通して友だちづくりをすることで、社会性や協調性が育まれ、体力の増進が図られるよう、 より多くの児童や親子が天候に左右されず思い切り遊べるような空間を配置します。また、子どもや親子が交流し、 新たなコミュニケーションを生み出すことができるような空間とします。 【機能と規模の目安】 施設名称 内容 冒険ひろば ・泥遊びや木を使った遊びなど、自由な発想を刺激する空間とする ・のこぎりやトンカチを使用できる木工作場や収納できる場所を整備する ・泥あそびで汚れた手足を洗う場を整備し、泥などが流れて排水口がつまらない仕様とする ・保護者も休憩できる場としてテーブル・ベンチを設置する 屋内キッズ プレイルーム ・子どもの遊び場を整備し、子育て世代が交流できる室とする ・児童福祉法に基づく施設とはせず、悪天候時でも遊べる屋内空間として、トランポリンなどの屋内用遊具を設置する ・遊具と天井の間に十分なスペースを確保し、余裕のある設えとする ■冒険ひろばのイメージ ■屋内キッズプレイルームのイメージ 出典:しながわこども冒険ひろばHP  出典:シェルターインクルーシブプレイス コパル HP ? 7.屋外運動施設 スポーツや防災訓練、各種イベントなど多目的に利用でき、区民のコミュニティの形成の場となるオープンスペースとして、多様な利用ができる空間を提供します。 【機能と規模の目安】 施設名称 内容 屋外運動施設 ・多目的なスポーツ、防災訓練、各種イベントなどに利用可能とする ・整備位置に応じ、目隠し機能によるプライバシー保護に加え、防音機能により騒音を低減し、周辺環境へ配慮する 8.屋外施設 (1)広場 本施設のコンセプトである「多様な人々が集い・学び・助け合い・心と体の健康を育む交流拠点」を実現するため、各機能をつなぐ重要な機能として広場を整備します。 また、夏季は熱中症対策として、日陰の場所を設け、過ごしやすい空間とします。 (2)区民農園・ビオトープ 区民が土に触れ、野菜等を収穫し、楽しみながら緑化・交流を進めるとともに、自然を身近に体感し、潤いあふれる環境づくりを目指すため、 区民農園やビオトープを整備します。また、地域のみどりを減らさないため、みどりの保全・創出を図っていきます。 【機能と規模の目安】 施設名称 内容 広場 ・飲食・会話などを通じ、楽しく過ごすことを目的として、交流が促される共用の広場を整備し、施設内外の一体感が醸成される場所とする ・ベンチや日陰などを設け、各種イベントで活用できる場所とする 区民農園 (10区画以上) ・食育の場として菜園や区民農園等を設ける ビオトープ ・小規模な生物の生育空間等を設ける ? 9.防災拠点 (1)区民避難所 既存施設は品川区地域防災計画において、区民避難所に指定され、地域の重要な防災拠点としての役割を担っています。そのため、本施設についても、 引き続き地域防災計画において避難所として指定し、地域防災の拠点として位置づけます。 また、レクリエーションホールやカフェ(キッチンの転用)、体育館、シャワー室など多機能を有する施設の特性を活かし、 有事に避難所として運用する際も妊婦や高齢者、障害者などの要配慮者をはじめとした避難者へ柔軟に対応するとともに、 避難所生活におけるプライバシーに配慮します。また、区民避難所備蓄倉庫を設置し、避難者用に物資を備蓄します。 (2)災害対策備蓄倉庫 災害時においては、被災者である区民に必要な物資を継続的に供給していく必要があります。本施設は品川区の中心部に位置することから、 区内の避難所等で不足した物資を供給する施設として運用し、災害発生時における体制を構築します。施設内には水や食料、毛布等の物資のほか、 救援救護活動に必要な資機材等を備蓄します。 防災拠点 施設名称 避難所機能 体育館 (572人以上) ・災害発生時の避難所としての活用を想定し、照明や空調など必要な設備を設ける 区民避難所備蓄 倉庫(50u以上) ・避難者用の食料品、資機材等の物資を保管する ・避難スペースから取り出しやすい場所、動線の確保しやすい場所に設置する 災害対策備蓄倉庫(約400u以上) ・区内の避難所等で不足する食料品、資機材等の物資を保管する ・物資の搬出入をしやすい場所に設置する ? 第7章 新施設の利用イメージ Story1 ・5歳の息子と、もうすぐ3歳になる娘をもつ30代のお母さん。 ・現在育児休業中。近隣に住んでおり、施設まで歩いて10分程度。 ・自分のリフレッシュもかねて最近は施設によく来ており、顔見知りの   お母さんも増えている。 ? 第8章 建築計画の考え方 1.土地の法規制 旧荏原第四中学校跡地の概要は、以下のとおりです。 ・事業予定地 :品川区豊町3-5-31 ・敷地面積 :8,472.69u ・用途地域 ・高度地区 :第一種住居地域 :第三種高度地区 ・道路斜線 :勾配 1.25 ・建ぺい率 :60% ・容積率 :200% ・防火指定等 :防火地域・新たな防火制度の対象区域 ・建物高さの制限 :最高限度高さ 指定なし /最低限度高さ 7.0m ・日影規制 :対象 高さが10mを超える建築物  測定面水平面 平均地盤面から4m  規制時間 5mライン 4時間以上、10mライン 2.5時間以上 ・地区計画 :戸越・豊町地区地区計画A地区 ・前面道路 :敷地東側 私道  (建築基準法 第42条第2項道路) 敷地西側 特別区道 V-9-@  (建築基準法 第42条第2項道路) 敷地南側 特別区道 X-10   (建築基準法 第42条第1項第1号道路)  敷地北側 特別区道 V-9  (建築基準法 第42条第2項道路) 2.インフラ 現況のインフラ整備状況は、以下のとおりです。※各インフラの引込位置は別途調査が必要 ・上水道 :敷地南側道路下 100φ本管  敷地西側道路下 100φ本管  敷地北側道路下 100φ本管 ・下水道 :合流式  敷地南側道路下 250〜400φ本管  敷地西側道路下 250φ本管  敷地北側道路下 300〜350φ本管 ・その他 :電気・ガスともに、計画に合わせて整備が必要 3.動線計画 (1)アクセス 本敷地は、下図のとおり東急大井町線戸越公園駅南口から敷地南側道路に至るまで道なりに徒歩5分(約300m)ほどの距離にあります。 このことから敷地への主な進入は、敷地南側の道路からを想定します。 また、東急大井町線(戸越公園付近)は連続立体交差事業等が行われる計画となっており、事業予定地の北側の東急大井町線の線路は高架化される予定です。 そのため、周辺道路の再整備の可能性等も踏まえ敷地北側道路側からの進入も考えられます。 なお、本敷地の北側には東京都立大崎高等学校や戸越公園、環境学習交流施設「エコルとごし」などが立地していることから、 周辺地域を含めた一体的な施設利用による相乗効果にも期待します。 図:敷地周辺【出典:しながわMAP】 (2)周辺道路幅員の拡幅 本建物の計画と合わせて敷地北側、東側および西側の道路幅員については「品川区細街路拡幅整備要綱」に基づき、拡幅します。 また、敷地南側の道路については「東京都建築安全条例」第四条および第十条の二に基づく幅員を確保します。 ? 4.植栽計画 本施設の計画においては、「品川区みどりの条例」に基づく敷地面積300u以上の建築行為等に必要な緑化計画を行う必要があります。 公共施設においては緑化基準(区HP参照)を遵守しつつ、可能な限りみどりの保全や緑化の推進を行います。 なお、樹種の選定については「植栽時における在来種選定ガイドライン(平成26年5月 東京都環境局)」を基本とします。 また、植栽の緑によるヒートアイランド対策や雨水流出抑制など、自然環境の機能を積極的に活用するグリーンインフラの考え方を導入します。 5.景観計画 「品川区景観計画」において、本敷地は住宅等市街地として「緑の潤いと親しみやすい住宅地景観の形成」という景観形成基準が定められています。 本施設は住宅地内に位置することから、近隣の街並みと調和しつつ、街の中で緑の潤いを感じられる景観計画とします。 また、本施設南側の道路が戸越公園駅(東急大井町線)方面からの主な動線となることや、東急大井町線が高架化した際には、 本施設自体が電車から見やすい配置となることに留意した景観計画とします。 ? 6.安全性 (1)自然災害等への対応 旧荏原第四中学校は区民避難所に指定されており、新たに整備される施設も区民避難所として指定される計画とします。 自然災害等発生時に構造体を大きく修復することなく、本施設を使うことができ、人命の安全性を最優先とする耐震性能や設備計画とします。 また、災害時に利用できるマンホールトイレの設置や、災害時などの各種支援活動を行えるスペースの確保を検討します。 体育館を主な避難施設として想定し、非常用発電設備や空調設備等を整備する計画とします。  本施設の計画敷地は一部浸水想定区域(0.1m以上0.5m未満の区域)に指定されていることから、避難施設は当該区域を避けて計画します。 図:敷地周辺 浸水ハザードマップ【出典:品川区防災地図】 (2)セキュリティ・防犯対応 視認性の高い平面計画・断面計画を基本とし、各階の受付や事務室等の適切な配置やセキュリティゲート・監視カメラ等の設置を計画します。 外部からの不法侵入者の阻止および利用者等の図書・備品類の無断持ち出し等の防止に配慮します。 ? 7.ユニバーサルデザイン 本施設は、障害等の有無にかかわらず、子どもから高齢者まで幅広い世代の利用を想定していることから、 段差のない計画・安全な扉や手すり・わかりやすい色彩とサイン計画など、ユニバーサルデザインに配慮します。 各階の移動のしやすさにも留意し、上りやすい階段や大型のエレベーターを設けるなど利便性を確保します。 8. 外構計画 (1) 周辺からのアクセス 駅や道路、周辺施設との段差がなく、安全でアクセスしやすい動線を確保します。また、駐輪場スペースなど区民の利用しやすい場所に確保します。 (2)区民が利用しやすい憩いの場の形成 敷地内空地は緑地などを備えた、区民が気軽に利用できる憩いの場として整備します。 9.構造計画 施設の整備にあたっては、東京都財務局「構造設計指針・同解説」に基づき実施します。 また、本施設は避難所としての役割をもつことから、耐震安全性の目標は、「国家機密の建築物及びその附帯施設の位置、 規模及び構造に関する基準(平成25年 国土交通省告示第309号)」別表(七)と同等の位置づけとし、次の水準と同等の水準を確保します。 (1)構造体の耐震安全性 「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(平成25年制定)」のU類とします。  (2)建築非構造部材の耐震安全性 「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(平成25年制定)」のA類とします。 (3)建築設備の耐震安全性 「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(平成25年制定)」の乙類とし、将来の施設の用途変更及び機器・備品の入替え等にも配慮した構造とします。 ? 10.設備計画   災害時の防災拠点機能としての対応を踏まえ、必要な設備を導入します。また、国のネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実現に向けての長期目標や、 建築環境総合性能評価システム(CASBEE) に基づく評価なども注視しつつ、費用対効果を見極めながら、環境品質に配慮した施設とします。 地球温暖化防止の観点から、環境負荷の低減を図るとともに快適な室内外空間となるよう検討を行います。 また、メンテナンス性に配慮しライフサイクルコストの低減を図ります。 本施設は避難所としての役割をもつことから、インフラ途絶時にも機能維持を保つため非常用発電設備や浸水しない箇所への設備機器設置等の配慮を行います。 (1)災害に強い設備計画 ・ 上下水道の途絶に備え、飲料水に使用可能な貯水槽を確保するとともに、トイレ洗浄水に利用する雨水槽や中水槽の整備を検討します。 ・ 地震発生時、エレベーターは最寄階に自動的に停止して扉を開放し、利用者の避難を促します。自動診断・復旧機能の導入も検討します。 ・ 太陽光などの再生可能エネルギー発電設備等を導入し、災害時における自立的な電源の確保を検討します (2)環境に配慮した設備計画 ・ LED照明や高効率空調など高効率な設備の導入によりエネルギー消費量の削減に努めるとともに、 太陽光などの再生可能エネルギーの利用による創エネを組み合わせ、費用対効果を見極めながら、「ZEB認証」および「CASBEE Sランク」の取得を目指します。 ・ 日射遮へいや高断熱化による建物の熱負荷の低減や、自然通風や自然採光の十分な活用により、空調や照明にかかるエネルギー消費量を削減します。 ・ 雨水利用を行うための設備を導入し、水資源の節約を図ります。 ? 11. 緩衝 住宅が隣接する東・西・南側については、住民の生活環境に配慮します。 12.環境への配慮 (1)建築物の環境性能 CASBEE(キャスビー)-建築(新築)の取得目標「Sランク」を目指します。 (2)カーボンニュートラル LED照明や高効率空調など高効率な設備の導入によりエネルギー消費量の削減に努めるとともに、再生可能エネルギーの利用による創エネを組み合わせ、 費用対効果を見極めながら、「ZEB認証」の取得を目指します。 (3)グリーンインフラ(※)の推進 ヒートアイランド現象や景観などに配慮し、敷地や建物の緑化を進めます。 内装材や家具などに、木材を積極的に活用します。 ※ グリーンインフラ:自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能な魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるという概念。 第9章 ゾーニング 1.ゾーニング 既存の旧荏原第四中学校校舎や体育館を解体・撤去し、敷地周囲の道路拡幅を計画しています。主な避難場所として体育館を想定するとともに、 広場を配置することで、避難訓練等も行いやすいよう配慮しています。また、屋外の冒険ひろばと屋内の子育て支援機能との有機的な活用と、 施設利用者の積極的な交流を生むための共用スペースを計画します。 事業実施の際には、民間事業者の自由で優れた提案を受け付け、より魅力的な施設整備を目指します。 ? 第10章 事業実施方針 1.施設の整備および管理運営に関する基本的な考え方 (1)施設整備方針 第5章から第8章までに示す計画内容を実現するため、各機能が連携しやすいよう、一体的・総合的な整備を行います。 (2)施設運営方針 第3章に示すコンセプトの実現を目指し、子ども、高齢者、障害者など多様な人々のニーズや課題に合わせて機能を有機的に連携し、 付加価値の高いサービスの提供を行います。様々なプログラム・イベントを実施するとともに、効果的かつ効率的な運営を行う体制を整備します。 (3)施設管理方針 複合施設としての全体的な施設の管理計画を策定し、適切な維持管理と計画的な修繕を行うことで全体の経費の縮減に努めます。 また、災害発生に避難所としての管理が適切に行われるよう必要な備品を備えるとともに、地域住民と連携した対応を検討します。 ? 2.事業スキーム 各機能が連携しやすいよう、一体的な運営・管理手法を検討します。 現行の地方自治法では、「公の施設」の管理運営は、設置者である自治体が直接運営を行う「直営(委託含む)」か民間(指定管理者)に委託する 「指定管理者制度」のいずれかとなります。本施設のコンセプトに基づき、事業を展開し求められる管理・運営を行っていくために、次のとおり運営主体を整理します。 ? 3.本事業に適用可能な手法 (1)民間活力の活用について 品川区公共施設等総合計画(令和6年4月改定)において、品川区では公共施設等の計画方針として次のとおり定めています。 PPP(Public Private Partnership)とは、公共と民間事業者が連携し、それぞれお互いの強みを生かすことによって最適な公共サービスの提供を実現し、 地域の価値や住民満足度の最大化を図るなど様々な形で活用される手法です。また、PFI(Private Finance Initiative)とは、PPPの一形態で、公共施設等の建設、 維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法です。 民間事業者の運営の自由度の観点から代表的なPPP事業類型をマッピングしてみると次の図のとおりです。 図:PPP事業の類型(内閣府民間資金等活用事業推進室資料 PFI事業の概要より引用) (2)事業手法の整理 本事業において導入が考えられる事業手法は次のとおりです。 @ 従来方式 区が資金を調達し、設計・工事・各運営業務・各維持管理業務などを個別に契約を締結して発注する方式であり、既存の区内の公共施設の多くで採用されています。 契約期間は1年間を原則とするため、毎年度全契約の発注と管理が必要になります。 なお、各業務は分離発注であるため、各業務の調整がとても重要になります。 また、業務は仕様発注(※ )とするため、性能発注(※ )と比較すると民間事業者のノウハウの発揮効果は限定的となることが想定されます。 A DBO方式 区が資金を調達し、民間事業者に施設等の設計(Design)・建設(Build)に関する業務と維持管理・運営(Operate)に関する業務を 応募グループ全体に性能発注・一括発注する方式です。設計企業、建設企業、運営企業が互いにノウハウを活用することで施設やサービスの品質の向上や コストダウンが期待できます。ただし、各業務は従来方式と同様に個別に契約を締結することが一般的です。 また、区は民間事業者よりも低金利の起債を用いて施設整備費用を一括調達できると考えられるため、総合的な財政負担の軽減を図ることができます。 B PFI(BTO)方式 PFI法(※ )に基づき、民間事業者がSPC(※ )を結成して施設等を設計・建設(Build)し、施設の完成直後に公共側に施設の所有権を移転(Transfer)し、 民間事業者が維持管理・運営(Operate)を行う方式です。 区が民間事業者に発注する業務は性能発注・一括発注になるため、設計企業、建設企業、運営企業が互いにノウハウを活用することで 施設やサービスの品質の向上やコストダウンが期待できます。 C リース方式 民間事業者(リース企業)が資金を調達して施設等を設計・建設(Build)し、一定期間区に貸し付ける方式です。施設の所有権はリース企業が持つことになります。 区は施設整備費をリース料として支払うことで、費用の平準化を図ることができます。 ただし、維持管理・運営に関する業務は別途委託契約を締結する必要があるとともに、リース料として手数料等が上乗せされるため、 財政負担の軽減が得られない可能性があります。 @従来方式 ADBO方式 BPFI(BTO)方式 Cリース方式 図:各事業手法の模式図 ? (3)公共と民間事業者の役割 本事業において導入が考えられる主な事業手法の役割の概要は次のとおりです。 (4)検討対象とする事業手法の抽出 (2)、(3)で整理した各事業手法の定性的評価は次のとおりです。 本事業の事業手法については、従来方式のほか、民間事業者の創意工夫と財政負担の面で導入効果が期待できるDBO方式とPFI(BTO)方式を検討対象とし、 次章で検討を深めていきます。 ? 第11章 事業手法評価  本章では、事業手法の適切性を評価します。 1.定性的評価 本事業に導入が想定される事業手法の定性的評価は、第10章で示したとおりです。本施設は各種機能が複合化されることから、 一体的に効果的な運営管理を行うためには各機能同士の連携と全体マネジメントが行いやすい体制が必要となります。 そのため、区と協力しながら全体マネジメントをより行いやすい方式を選定します。 2.定量的評価(VFM試算) 今回の事業を従来方式で実施した場合と、DBO方式およびPFI(BTO)方式で実施した場合で区の財政負担額を比較すると、 DBO方式が約13.3億円(約7.8%)、PFI(BTO)方式が約8.7億円(約5.1%)縮減することが期待できると試算しています。 従来方式 DBO方式 PFI (BTO)方式 品川区の財政負担 約170.6億円 約157.3億円 約161.9億円 従来方式との差額 ― 約13.3億円 約8.7億円 VFM(財政支出削減率) ― 約7.8% 約5.1% 品川区の財政負担額は現段階の想定の事業条件をもとに試算したものであり、今後、事業内容や事業範囲の精査により変動します。  3.概算整備費 従来手法で整備した場合の、建設工事にかかる費用(建物の設計費用、工事監理にかかる費用含む)は超概算で約103億円を想定しています。 4.民間事業者の意向調査 次の民間事業者に対して、本事業の参画に関してサウンディング調査を行いました。  ■他区市町村の類似事業の受託実績を有している企業   (代表企業として参画可能性がある企業)  ■主な導入機能の指定管理等実績を有している企業 ? (1)本事業に対する関心について サウンディング調査では、本事業に対して「関心あり」と答えた企業が7割程度、「条件次第で関心あり」と答えた企業が3割程度となりました。 なお、民間事業者の主な意見は次のとおりです。 ・昨今の建設市況に鑑み、適切な費用と工期が確保されている必要がある。 ・事業方式にもよるが、コンソーシアムを組成できるかどうかが鍵となる。 ・他の案件と比較して、良い事業条件であれば参画を検討する。 ・対価の支払い時期や施工容易性、民間事業者が負担するリスクの内容が明確になってから参画を検討する。 ・複合施設の設計施工やマネジメントは難易度が高いため、必要な労力・リスクとリターンのバランスが重要である。 (2)希望する事業スキームについて 民間事業者が希望する事業スキームとその理由については以下の順となりました。 スキーム 理由・意見 PFI(BTO)方式 ・金利が上昇しているため、事業費が不足する可能性を懸念している。 ・PFI法に基づき初期整備費を一括支払いにするPFI(DBOのSPC義務付けスキームと同義)だが、PFI法に基づき実施するとの整理の方が説明しやすいのではないか。 DBO方式 ・予定金額(上限価格)が建設費用と運営管理費用を合算したものであると、建設費用の上昇に伴って運営管理費用を削減する必要性が 生じてしまうことを懸念している。 ・DBO方式は法的根拠もなく、結局は分離発注的な形なので、PFIの方が望ましいのではないか。 ・補助金使用の可能性があるのであれば望ましいのではないか。 従来方式 ・運営管理側の業務範囲が明確になることは参画しやすさにつながる。 リース方式 ・リース会計基準が変更になることには留意が必要であるが、資金調達は行いやすい。 5.結論 1〜3より、本事業において、VFMはDBO方式>PFI(BTO)方式であり、総事業費はDBO方式が最小となると想定されます。 しかし、SPC設立による「事業者同士の連携面」が期待できることや、「事務負担の軽減」、「財政負担の平準化」など定性的評価も踏まえ、 PFI (BTO)方式を採用する方向で検討を進めることとします。 6.SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)の組成について 本施設のような多機能複合施設において、空間、機能、サービスを一体的に運営するためには、機能ごとに異なる指定管理者等による運営では達成できません。 そこで、本事業では安定的かつ円滑に施設運営が行えるよう、機能やサービス、人材を総合的かつ横断的にマネジメントできるSPCの設立を期待します。  SPCは全体のマネジメントのできる事業者を代表とし、それぞれの分野の専門チームで構成することを想定しています。 7.SPCに求められる役割 本事業におけるSPCは、公益性と企業性を持ち、行政だけでは実施が難しい事業に取り組むことができます。また、民間事業者のノウハウを活用することにより、 収益性や事業持続可能性の向上が期待できます。 各種導入機能にかかる整備や運営については、選定された事業者と区側において十分に対話を重ねながら整備・運営を行っていくものとします。 8.地域活動等との連携 本事業の運営に関しては、区とSPCだけでなく、地域における地域活動団体等との連携も重要になります。 具体的には、構成企業や協力企業として事業コンソーシアムメンバーとして参画するほか、SPCや構成企業から一部業務を受託する、 運営協議会等を組織する、またはボランティアとして活動するなどの方法が考えられます。 具体的な連携方法については、今後連携が期待される地域活動の具体化にあわせて、連携内容に応じた区またはSPCとの役割分担や連携方策を検討します。 ? 第12章 事業スケジュール 1.サウンディング結果 スケジュールに関してサウンディング型市場調査を通じてヒアリングを行ったところ、次のような意見がありました。 ・ 当該規模の複合施設では、設計は少なくとも1年以上、工事は2年〜2.5年程度必要。 ・ 複合施設の設計では、関係者が多岐にわたるため調整を綿密に行う必要があり、設計期間が長くなる可能性がある。 ・ 周辺道路が狭くて鉄骨等の資機材搬入が難しいため、想定より工期が延びる可能性もある。 ・ 建設業界の残業規制や人手不足、物価・人件費上昇等により、費用や期間を確約することが難しい。 ・ 東急大井町線の高架化の進捗にも影響を受ける可能性があるのではないか。 2.前提 国土交通省 中央建設業審議会等において報告されているとおり、建設業においては働き方改革の取組が加速しています。 技能者の賃上げや労働時間規制の導入の必要性、建設資材の価格上昇等も報告されています。 このような状況に鑑み、民間事業者等へのサウンディング等を実施して、今後計画を変更する可能性があります。 なお、本事業の目的の達成及び近隣住民等の安全安心に配慮しながら、適切な工期を十分に確保することを前提とします。 現段階では事業スケジュールは以下を予定しています。 @早期に解体設計・工事の着手をめざします。 A令和11年度中の供用開始をめざします。 B運営・維持管理期間は約15年間を想定します。 C施設の完成から供用開始までに十分な開業準備期間を確保します。 3.想定スケジュール  ? ? 参考1)ワークショップの開催概要 1.ワークショップの概要 【開催目的】 旧荏原第四中学校の跡地が、交流拠点として親しまれる施設とするため、様々な立場の方々にご意見をいただくことを目的とし、ワークショップを3回開催しました。 【実施時期・実施対象】 ? 令和6年10月12日(土) 一般募集 在勤者、在住者、在学者 11名参加 ? 令和6年10月22日(火) 大学生 清泉女子大学 10名参加 ? 令和6年10月31日(木) 高校生 都立大崎高校 14名参加 ※当日はファシリテーターの補佐として、東京科学大学(旧東京工業大学) 環境・社会理工学院 建築学系 院生の方々にもご協力いただきました。 【ワークショップのテーマ】 「旧荏原第四中学校跡地の活用についてみんなで話し合おう!」参加頂いた皆さんには、複合施設のゾーニング(案)を見ながら、 ここで何をしたいか、様々な人(子ども、学生、親世代、高齢者など)になりきり、意見交換をしていただきました。 ? 2.ワークショップ当日の様子 旧荏原第四中学校の概要や、昨年度までの検討状況を説明した後に、各テーブルでテーマに沿い、個人で考えた後、 グループ毎の内容について意見交換をしてもらいました。その後、各テーブルでの内容を発表してもらいました。 皆さん最初は緊張されていましたが、ワーク中は様々な意見が出され、大変盛り上がりました。 @ 令和6年10月12日(土) 一般募集 ※在勤者、在住者、在学者  A 令和6年10月22日(火) 大学生 ※清泉女子大学 ? B 令和6年10月31日(木) 高校生  ※ 都立大崎高校 ? 3.意見の整理   ? 参考2)整備基本計画検討経過 ◇第1回 旧荏原第四中学校整備基本計画検討会  日時:令和6年6月24日(月)  内容:・検討全体の進め方 ・整備・事業手法 ・基本計画目次構成 ・導入機能に関する庁内要望とゾーニングの検討 ◇第2回 旧荏原第四中学校整備基本計画検討会   日時:令和6年8月28日(水)  内容:・ゾーニング(案) ・導入機能の配置方針(案) ・施設(全体・機能別)運営方針(運営主体や管理運営方針) ・整備・事業手法 比較検討 ・民間事業者意向調査(サウンディング)の実施方針 ◇第3回 旧荏原第四中学校整備基本計画検討会    日時:令和6年10月1日(火)  内容:・ゾーニング ・概算工事費 ・整備・事業手法(案) ・民間事業者意向調査結果(サウンディング)の概要 ・ワークショップ実施方針 ・基本計画(骨子案) ◇第4回 旧荏原第四中学校整備基本計画検討会    日時:令和6年11月14日(木)  内容:・ワークショップ実施結果 ・民間事業者ヒアリングについて ・民間事業者意向調査結果(サウンディング)の概要 ・パブリックコメントの実施概要について ? ●旧荏原第四中学校跡地活用方針(素案)パブリックコメント    実施期間:令和6年12月1日(日)〜12月27日(金)  意見提出者数:●名(●件) ●オープンハウス方式説明会  内容:検討状況をパネル展示し、職員が説明  第1回 日時:令和6年12月8日(日)10:00〜15:00  開催場所:旧荏原第四中学校  第2回 日時:令和6年12月13日(金)14:00〜20:00  開催場所:エコルとごし   ◇第5回 旧荏原第四中学校整備基本計画検討会     日時:令和7年●月●日(●)●●:●●〜  内容: ・パブリックコメント実施結果・対応方針について ・パブリックコメントを踏まえた基本計画(修正案) ●【旧荏原第四中学校整備基本計画検討会委員名簿】 (1)学識経験者(3名) 鈴木直喜(清泉女子大学 文学部地球市民学科教授) 斎尾直子(東京科学大学(旧東京工業大学)環境・社会理工学院建築学系教授) 伊藤香織(東京理科大学 創域理工学部教授) (2) 品川区(12名) 企画課政策推進担当課長 施設整備課長 地域活動課長 文化観光戦略課長 スポーツ推進課長 子ども育成課長 障害者支援課長 高齢者地域支援課長 公園課長 防災課長 教育総合支援センター長 品川図書館長