品川区がん対策推進計画 (令和7年度〜12年度) 素案 令和6年11月現在 品川区 ? 目 次 第1章 計画の策定にあたって 2 1 計画の策定背景 2 2 検討体制 2 3 計画の位置づけと期間 2 第2章 品川区のがんを取り巻く現状 2 1 人口と高齢化率 2 (1)年齢3区分別人口 2 (2)高齢化率 2 2 がんによる死亡状況 2 (1)死因別死亡率 2 (2)がんによる死亡割合 2 (3)がんの部位別り患者数・死亡者数 2 (4)がんの75歳未満年齢調整死亡率 2 3 がん検診の実施状況 2 (1)がん検診の実施状況 2 4 感染症に起因するがんに対する取組 2 (1)肝炎ウイルス検診 2 (2)HPVワクチン接種 2 (3)HTLV-1 抗体検査 2 5 がん対策における区民の意識 2 (1)この1年間のがん検診の受診の有無 2 (2)がん検診を受診しなかった理由 2 (3)品川区のがん検診を受診したきっかけ 2 (4)「がん」について区として力を入れてほしいこと 2 (5)「がん」に関する情報などについての認知状況・活用の有無 2 ? 6 品川区がん対策推進計画(令和2年度〜6年度)の評価 2 (1)最終評価の方法 2 (2)各基本施策における評価の結果一覧 2 7 現状と課題のまとめ 2 (1)がん予防 2 (2)がんの早期発見 2 (3)がん患者やその他の家族への支援 2 (4)意識調査の結果 2 第3章 計画の基本的な考え方 2 1 基本理念 2 2 基本目標 2 (1)がん予防を推進する 2 (2)がんの早期発見に向けた取組を推進する 2 (3)がん患者やその家族への支援を推進する 2 3 施策体系 2 第4章 がん対策の施策と取組 2 基本目標1 がん予防を推進する 2 (1)がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進 2 (2)がん教育への取組の充実 2 基本目標2 がんの早期発見に向けた取組を推進する 2 (1)科学的根拠に基づくがん検診の実施 2 (2)がん検診の質の向上に関する取組の推進 2 (3)受診率向上の取組の推進 2 ? 基本目標3 がん患者やその家族への支援を推進する 2 (1)がん患者やその家族の不安軽減に向けた取組の推進 2 (2)地域医療連携の充実 2 (3)がんと就労に関する相談、支援の充実 2 第5章 計画の推進に向けて 2 1 区の役割 2 2 区民の役割 2 3 関係機関等の役割 2 参考資料 65 1 指標一覧 2 2 用語集 2 3 委員名簿 70 4 検討経過 71 5 がん相談支援センターおよび緩和ケア病棟を有する病院 72 ? 第1章 計画の策定にあたって 1 計画の策定背景 がんは、1981年(昭和56年)から40年以上、日本人の死因の第1位となっています。 わが国のがん死亡数の2023年(令和5年)推計値は約39万6千人であり、り患者数は約103万4千人となっています。また、男性、女性ともに、おおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断され、男性ではおおよそ4人に1人、女性ではおおよそ6人に1人ががんで死亡する状況です。 一方、医療の進歩等により、生存率は向上しており、がんと診断されても自分らしく生活を続けるための政策・施策の充実がより重要になっています。 こうした状況から、区民の生命や健康の維持に向けて、国、東京都、品川区が連携を図りながら、総合的・計画的ながん対策を実施していくことが求められます。 国では、2007年(平成19年)4月に「がん対策基本法」を施行し、同年6月に「第1期がん対策推進基本計画」を策定し、がん診療連携拠点病院の整備や緩和ケア提供体制の強化等に取り組んできました。また、2012年(平成24年)に策定した「第2期がん対策推進基本計画」では、小児がん、がん教育やがん患者等の就労を含めた社会的な問題等に取り組んできました。 2016年(平成28年)には「がん対策基本法」が改正され、AYA世代のがん対策やがんり患をきっかけとした離職者割合の低減等、新たな課題にも対応すべく、平成30年3月に「第3期がん対策推進基本計画」が策定され、「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」の3つの柱に沿ったがん対策が推進されてきました。 2023年(令和5年)3月に閣議決定された「第4期がん対策基本計画」では、全体目標として、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」を掲げ、第3期計画での3本柱を堅持しつつ、4つ目に「これらを支える基盤」を掲げています。 東京都では、国の方向性を踏まえつつ、都民の視点に立ったがん対策を推進するため、2024年(令和6年)3月に「東京都がん対策推進計画(第三次改定)」を策定し、より都民の実態に即した施策を展開しています。 品川区でも、がん予防に関する普及啓発やがん検診の実施、たばこ対策、がん教育等に取り組んできました。今後も、国や東京都の政策動向を踏まえつつ、新たな課題に応じたがん対策を総合的・計画的に推進するため、「品川区がん対策推進計画」(令和7年度〜12年度)を策定することになりました。なお、本計画および関連する情報についてはホームページ等で発信していきます。 ? 2 検討体制 本計画の策定にあたり、学識経験者、がん診療連携拠点病院、がん患者支援団体や医師会・歯科医師会・薬剤師会の代表者、公募区民の委員で構成される「品川区がん対策推進計画策定委員会」で協議しました。 3 計画の位置づけと期間 本計画は、品川区長期基本計画を上位計画とし、健康増進計画である「しながわ健康プラン21」の関連計画として位置づけます。なお、策定にあたっては、国の「がん対策推進基本計画(第4期)」や東京都の「東京都がん対策推進計画(第三次改定)」と整合を図るものとします。 本計画の計画期間は、令和7年度から令和12年度までの6年間とします。なお、国や東京都の方針、また社会状況の変化等により、必要に応じて見直す場合があります。 ? 第2章 品川区のがんを取り巻く現状 1 人口と高齢化率 (1)年齢3区分別人口 区の総人口は、2041(令和23)年まで増加を続け、同年に約 42.9万人でピークを迎えた後に減少傾向に転じる見込みです。 年齢3区分別人口の推移を見ると、年少人口(0〜14歳)と生産年齢人口(15〜64歳)は、それぞれ 2038(令和20)年、2030(令和12)年にピークを迎えた後に減少に転じる一方、老年人口(65 歳以上)は、2060(令和42)年までの推計期間中一貫して増加し、2060(令和42)年には老年人口の比率が約 35.7%となり、区民の3人に1人以上が高齢者となると予想されています。 区民のがんによる死亡者のうち、老年人口が占める割合は高いことから、今後の老年人口の増加にともない、がんのり患者数や死亡者数が増加することが想定されます。 ※現在、改訂中の「品川区総合実施計画」より引用予定のため、「調整中」としています。 ? (2)高齢化率 区の高齢化率は、全国や東京都と比べると低くなっており、平成28年以降は20〜21%台と横ばいで推移しています。 区の高齢化率の年次推移 出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」をもとに作成 ? 2 がんによる死亡状況 (1)死因別死亡率 区民の死因の第1位は「がん(悪性新生物)」であり、第2位以下の「心疾患」「脳血管疾患」と比べ、死亡率は大きく上回っています。 区の死因別死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:「令和6年度品川区の保健衛生と社会保険」をもとに作成 ? (2)がんによる死亡割合 全国、東京都、区全体のがん(悪性新生物)による死亡割合を比較してみると、品川区(25.4%)は、全国(24.3%)や東京都(25.0%)と同程度となっています。 また、69歳以下の死亡割合をみると、全国で39.1%(男性33.2%、女性51.4%)と非常に高く、国は69歳以下の者を特にがん検診を推奨すべき対象者として積極的な受診勧奨を推進しております。 がん(悪性新生物)による死亡割合(全国・東京都)     全国     東京都     出典:「人口動態統計」をもとに作成 がん(悪性新生物)による死亡割合(品川区全体・男性・女性) 品川区(全体)  品川区(男性)  品川区(女性)     出典:「令和6年度品川区の保健衛生と社会保険」をもとに作成 ? 主要死因について年代別にみると、「がん(悪性新生物)」が中年期(45〜64歳)、高齢前期(65〜74歳)においては40%を超えています。壮年期(25〜44歳)では第2位となっています。 主要死因(上位7位までを掲載) 出典:「令和6年度品川区の保健衛生と社会保険」をもとに作成 ? (3)がんの部位別り患者数・死亡者数 @がんの部位別り患者数 過去5年間におけるがんの部位別り患者数を見ると、大腸がんのり患数が女性、男性ともに増加傾向にあります。子宮がんについては、平成28年以降増加が続いています。 区の胃がん り患者数 区の大腸がん り患者数 区の肺がん り患者数 区の乳がん り患者数 区の子宮がん り患者数 区の肝臓がん り患者数 出典:東京都福祉保健局「東京都のがん登録」(上皮内がんを含まない)をもとに作成 ? Aがんの部位別死亡者数 過去5年間におけるがんの部位別死亡者数をみると、5年間すべて、第1位は肺がんであり、第2位が大腸がんとなっています。第3位は、令和2年から膵臓がんとなっています。 性別でみると、男性では、5年間すべて、第1位は肺がん、第2位は大腸がん、第3位は胃がんとなっています。また、女性では、直近2年において、第1位は肺がん、第2位は大腸がん、第3位は膵臓がん、第4位は乳がんとなっています。   がんの多くは早期発見・早期治療により90%以上が助かることがわかっています。そのために、定期的な検診受診が推奨されています。なお、上位を占める膵臓がんは、有効ながん検診の手法が確立していないため、現状では、がん予防のための生活習慣の改善やリスク因子となる糖尿病を予防することが大切です。 区のがんの部位別死亡者数の年次推移(全体) 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 死亡数(計) 970人 916人 910人 907人 905人 第1位 肺がん 223人 肺がん 192人 肺がん 156人 肺がん 178人 肺がん 190人 第2位 大腸がん 119人 大腸がん 117人 大腸がん 127人 大腸がん 127人 大腸がん 121人 第3位 胃がん 103人 胃がん 96人 膵臓がん 111人 膵臓がん 92人 膵臓がん 93人 第4位 膵臓がん 88人 膵臓がん 86人 胃がん 91人 胃がん 91人 胃がん 81人 第5位 肝臓がん 60人 乳がん 54人 肝臓がん 57人 肝臓がん 65人 肝臓がん 53人 第6位 乳がん 49人 肝臓がん 50人 食道がん 39人 乳がん 46人 乳がん 50人 第7位 食道がん 32人 胆のうがん 46人 乳がん 38人 胆のうがん 46人 胆のうがん 39人 第8位 胆のうがん 27人 食道がん 40人 胆のうがん 28人 食道がん 26人 食道がん 33人 注)色のついているがんは、区でがん検診を実施しています。 出典:「人口動態統計」をもとに作成 ? 区のがんの部位別死亡者数の年次推移(男性) 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 死亡数(計) 570人 537人 510人 512人 491人 第1位 肺がん 154人 肺がん 131人 肺がん 105人 肺がん 104人 肺がん 120人 第2位 大腸がん 71人 大腸がん 68人 大腸がん 71人 大腸がん 74人 大腸がん 65人 第3位 胃がん 69人 胃がん 65人 胃がん 63人 胃がん 57人 胃がん 48人 第4位 膵臓がん 44人 膵臓がん 45人 膵臓がん 58人 膵臓がん 43人 膵臓がん 39人 第5位 肝臓がん 38人 肝臓がん 34人 肝臓がん 33人 肝臓がん 43人 肝臓がん 39人 第6位 食道がん 26人 食道がん 33人 食道がん 27人 食道がん 20人 食道がん 24人 第7位 胆のうがん 19人 胆のうがん 23人 白血病 12人 胆のうがん 20人 胆のうがん 15人 第8位 白血病 16人 白血病 11人 胆のうがん 8人 白血病 13人 白血病 12人 注)色のついているがんは、区でがん検診を実施しています。 区のがんの部位別死亡者数の年次推移(女性) 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 死亡数(計) 400人 379人 400人 395人 414人 第1位 肺がん 69人 肺がん 61人 大腸がん 56人 肺がん 74人 肺がん 70人 第2位 乳がん 49人 乳がん 54人 膵臓がん 53人 大腸がん 53人 大腸がん 56人 第3位 大腸がん 48人 大腸がん 49人 肺がん 51人 膵臓がん 49人 膵臓がん 54人 第4位 膵臓がん 44人 膵臓がん 41人 乳がん 37人 乳がん 45人 乳がん 50人 第5位 胃がん 34人 胃がん 31人 胃がん 28人 胃がん 34人 胃がん 33人 第6位 肝臓がん 22人 胆のうがん 23人 子宮がん 24人 肝臓がん 22人 胆のうがん 24人 第7位 子宮がん 16人 子宮がん 22人 肝臓がん 24人 胆のうがん 21人 子宮がん 18人 第8位 白血病 9人 肝臓がん 16人 胆のうがん 20人 子宮がん 12人 肝臓がん 14人 注)色のついているがんは、区でがん検診を実施しています。 出典:「人口動態統計」をもとに作成 ? 区のがん死亡者数に占める75歳未満の割合(平成29年〜令和3年の合算値から算出)が最も高いがんは、男性では大腸がん(43.0%)、女性では子宮がん(68.0%)となっています。 区のがん死亡者数に占める男性75歳未満の割合(平成29年〜令和3年の合算値) 出典:「がん検診の統計データ(東京都保健医療局)」をもとに作成 区のがん死亡者数に占める女性75歳未満の割合(平成29年〜令和3年の合算値) 出典:「がん検診の統計データ(東京都保健医療局)」をもとに作成 ? (4)がんの75歳未満年齢調整死亡率 男性におけるがんの75歳未満年齢調整死亡率※について区の年次推移をみると、令和元年以降減少傾向にあり、令和4年をみると、全国、東京都よりも低くなっています。 また、女性では、令和3年に50未満に減少したものの、令和4年に再び50以上となっています。 男性におけるすべてのがんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 女性におけるすべてのがんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 ※年齢調整死亡率とは、もし人口構成が基準人口と同じだったら実現されたであろう死亡率のこと。がんは高齢になるほど死亡率が高くなるため、高齢者が多い集団は高齢者が少ない集団よりがんの死亡率が高くなる。そのため仮に2つの集団の死亡率に差があっても、その差が真の死亡率の差なのか、単に年齢構成の違いによる差なのか区別がつかない。そこで、年齢構成が異なる集団の間で死亡率を比較する場合や、同じ集団で死亡率の年次推移を見る場合にこの年齢調整死亡率が用いられる。 ? 胃がんの75歳未満年齢調整死亡率について男性は、令和2年を除いて10以下となっています。令和4年では6.5となっており、全国、東京都よりも低くなっています。 女性は、いずれの年も5未満となっており、令和4年では2.3となっており、全国、東京都よりも低くなっています。 男性における胃がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 女性における胃がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 ? 肺がんの75歳未満年齢調整死亡率について男性は、平成30年は、全国、東京都よりも高い状況でしたが、令和元年以降、全国、東京都よりも低くなっています。 女性は、平成30年から令和3年において、全国、東京都と同水準または高い状況でしたが、令和4年では全国、東京都よりも低くなっています。 男性における肺がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 女性における肺がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 ? 大腸がんの75歳未満年齢調整死亡率について男性は、平成30年以降、いずれの年も10以上となっています。令和4年では10.3となっており、全国、東京都よりも低くなっています。 女性は、平成30年以降、全国、東京都よりも低くなっています。 男性における大腸がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 女性における大腸がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 ? 子宮がんの75歳未満年齢調整死亡率は、令和元年、令和2年において、6以上となっており、いずれも全国、東京都よりも高くなっていましたが、令和3年には全国、東京都よりも低く、2.4となっています。令和4年には全国、東京都と同水準になっています。 子宮がんの75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 乳がん(男女)の75歳未満年齢調整死亡率は、平成30年以降、全国、東京都よりも高いまたは同水準の状態が続いています。 乳がん(男女)の75歳未満年齢調整死亡率の年次推移(人口10万対) 出典:東京都保健医療局「75歳未満年齢調整死亡率」をもとに作成 ? 3 がん検診の実施状況 (1)がん検診の実施状況 国は、がん予防重点健康教育およびがん検診の実施に関し必要な事項を定め、がんの予防および早期発見の推進を図るため、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和6年2月14日一部改正)」(以下、「国の指針」という。)をまとめました。 令和5年3月に国が策定したがん対策推進基本計画(第4期)では、「がん予防」分野の分野別目標として、「がんを知り、がんを予防すること、がん検診による早期発見・早期治療を促すことで、がん罹患率・がん死亡率の減少を目指す」ことが示されています。 国の指針では5つのがん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がん)が示されています。 品川区では、がん対策の一環として、疾患の疑いのある者を早期に発見し、早期治療の促進、保健指導、健康管理に対する正しい知識の普及を図るため、以下の9種類のがん検診(胃がんバリウム検診と胃がん内視鏡検診をあわせて「@胃がん検診」と表示)を、地区医師会付属診療所および契約医療機関において、無料(一部有料)で実施しています。 @胃がん検診 診査内容 対象 受診間隔 国の指針 問診に加え、胃部X線検査又は胃内視鏡検査のいずれか 50歳以上 *1 ※当面の間、胃部X線検査については、40歳以上を対し実施可 2年に1回 ※当面の間、胃部X線検査については年1回実施可 品川区 〇バリウム検診 問診、バリウム投与による胃X線直接撮影検査 40歳以上の偶数年齢(年度末年齢) ※自己負担金:1200円 2年に1回 〇内視鏡検診 問診、胃内視鏡検査 50歳以上の偶数年齢(年度末年齢) ※自己負担金:2000円 2年に1回 出典:厚生労働省「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」。以下、同様。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html A肺がん検診 診査内容 対象 受診間隔 国の指針 質問(問診)、胸部X線検査及び 喀痰細胞診 40歳以上 *1 ※喀痰細胞診については原則として50歳以上の重喫煙者(喫煙指数600以上の者)のみ 年1回 品川区 〇一般コース 問診、胸部X線直接撮影検査、 要件該当者のみ喀痰病理学的検査(細胞診) 40歳以上 ※自己負担金:無料 年1回 〇ヘリカルコース 問診、ヘリカルCT検査、 喀痰検査(希望者) 40歳以上 ※自己負担金:3000円(喀痰+600円) 年1回 ? B大腸がん検診 診査内容 対象 受診間隔 国の指針 問診及び便潜血検査 40歳以上 *1 年1回 品川区 問診、免疫便潜血反応検査(2日法) 40歳以上 ※自己負担金:無料 年1回 C子宮がん検診 診査内容 対象 受診間隔 国の指針 問診、視診、子宮頸部の細胞診及び 内診 20歳代 *1 2年に1回 問診、視診、子宮頸部の細胞診及び 内診 30歳以上 *2 2年に1回 問診、視診及びHPV検査単独法 ※実施体制が整った自治体で選択可能 5年に1回 ※罹患リスクが高い者については1年後に受診 品川区 〇頸部検診 問診、視診、細胞診 20歳以上の偶数年齢 ※自己負担金:無料 2年に1回 〇体部検診 頸部検診受診者で、6ヵ月以内に次のいずれかの症状 がある者。@不正性器出血(一過性の少量の出血、閉 経後の出血等) A月経異常(過多月経、不規則月経等) B褐色帯下 ※自己負担金:無料 D乳がん検診 診査内容 対象 受診間隔 国の指針 質問(問診)及び乳房エックス線検査 (マンモグラフィ) ※視診、触診は推奨しない 40歳以上 *1 2年に1回 品川区 〇問診、超音波検査 34・36・38歳 ※自己負担金:500円 2年に1回 (どちらかを選択) @問診、乳房エックス線検査(マンモグラフィ)、超音波検査 A問診、乳房エックス線検査(マンモグラフィ) 40歳以上の偶数年齢 ※自己負担金:@1000円 A500円 2年に1回  *1 受診を特に推奨する者を69歳以下の者とする。  *2 HPV検査単独法による子宮頸がん検診については、受診を特に推奨する者を60歳以下の者とする。 E胃がんリスク検診 診査内容 対象 受診間隔 品川区 〇リスク検診 問診、血液検査(血清ペプシノゲン検査、血清ヘリコバクターピロリIgG抗体検査) 50・55・60・65・70・75歳(年度末年齢)で、今までに一度もリスク検診を受診したことのない区民 ※自己負担金:700円 5年に1回 F喉頭がん検診 診査内容 対象 受診間隔 品川区 問診、喉頭ファイバースコープ検査 40歳以上(喫煙者、自覚症状のある区民) ※自己負担金:500円 年1回 G前立腺がん検診 診査内容 対象 受診間隔 品川区 問診、血液検査(PSA 測定) 55歳以上(男性) ※自己負担金:500円 年1回 (自己負担金については、令和7年3月現在のものです) ? 4 感染症に起因するがんに対する取組 発がんに大きく寄与するウイルスや細菌としては、肝がんと関連する肝炎ウイルス、子宮頸がんと関連するヒトパピローマウイルス(以下、「HPV」という)、ALT(成人T細胞白血病)と関連するヒトT細胞白血病ウイルス1型(以下、「HTLV-1」)等があります。 (1)肝炎ウイルス検診 肝炎ウイルスは、感染に気付きにくく適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんといったより重篤な病態に進行するおそれがあります。 今までに一度も肝炎ウイルス検査を受けたことのない区民を対象に、問診、血液検査(B型、C型肝炎ウイルス検査)を実施しています。なお、対象者が、今までに一度も検査を受けたことのない区民であることから、受診者数は減少傾向にあります。 (2)HPVワクチン接種 HPVは、性的接触がある女性の50%以上が生涯で一度は感染するとされています。子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生にかかわっており、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。 小学6年生〜高校1年生を対象に定期予防接種として実施しています。平成25(2013)年6月から厚生労働省通達(平成25年6月14日付)に基づき、積極的勧奨は差し控えていましたが、令和4(2022)年4月からは勧奨を再開しています。その間、HPVワクチン接種機会を逃した方に向け、区ではキャッチアップ接種を実施しています(令和4(2022)年4月から令和7(2025)年3月までの3年間)。また、令和6(2024)年4月より、小学6年生から高校1年生相当の男子を対象としたHPVワクチン任意接種助成を開始しました。 今後もHPVワクチンの正しい知識の啓発に努めるとともに、希望する区民へのワクチン接種を推進していきます。 (3)HTLV-1 抗体検査 HTLV-1は、主に血液の一種であるリンパ球(T細胞)などに感染し、全国の感染者数は約71.6〜82万人と推定されています。主な感染経路は母子感染と性感染であり、感染しても自覚症状がなく、潜伏期間が長いことから、妊娠中に検査しておくことが重要です。 区では、妊婦健康診査受診票によりHTLV-1抗体検査の費用助成を行っています。 ? 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 肝炎ウイルス検診の 受診者数 2,039人 1,658人 1,663人 1,569人 1,623人 HPVワクチン接種の 件数 187件 697件 1,949件 3,605件 5,354件 HTLV-1 抗体検査 の件数 3,965件 3,990件 3,819件 3,616件 3,329件 ? 5 がん対策における区民の意識 区は令和5年度に、区民の健康に関する意識調査を下記のとおり実施しました。 (1)調査の対象者 ・・・・・ 品川区在住の18歳以上の男女個人 (2)標本数 ・・・・・ 3,000サンプル (3)標本抽出方法 ・・・・・ 住民基本台帳に基づく無作為抽出 (4)調査方法 ・・・・・ 郵送法(郵送配布・郵送回収) (5)調査期間 ・・・・・ 令和5年9月14日(木)〜10月23日(月) (6)有効回答数 ・・・・・ 1,085票    (年齢割合) ・・・・・ ( 〜30代:22.9%、40代:18.2%、50代:17.6%、                   60代:15.1%、70代〜:26.2%) (7)有効回収率 ・・・・・ 36.2% (1)この1年間のがん検診の受診の有無 この1年間のがん検診の受診率は、「子宮がん検診」(46.7%)が最も高く、次いで「乳がん検診」(46.4%)、「胃がん検診」(39.3%)、「大腸がん検診」(31.5%)、「肺がん検診」(25.2%)となっています。 この1年間のがん検診の受診率 ※受診率は、「区で実施する検診で受けた」「職場で実施する検診で受けた(人間ドックを含む)」「個人的に検診を受けた(人間ドックを含む)」の合計。 ? (2)がん検診を受診しなかった理由 1年以内にがん検診を受診しなかった人に、その理由をたずねたところ、「必要性を感じなかった」(21.7%)が最も高く、次いで「がん検診の対象年齢ではなかった」(13.8%)、「忙しくて行けなかった」(13.1%)となっています。 がん検診を受診しなかった理由 ? (3)品川区のがん検診を受診したきっかけ 1年以内にがん検診を受けた人に、受診したきっかけをたずねたところ、「区から送られてくる受診案内から」が約9割を占め、圧倒的に高くなっています。 品川区のがん検診を受診したきっかけ ? (4)「がん」について区として力を入れてほしいこと 「がん」について区として力を入れてほしいことは、「がんの早期発見(がん検診)」(58.9%)が最も高く、次いで「がんに関する正しい情報の提供」(42.9%)、「がんに関する相談や支援体制の充実」(41.0%)、「がんによって就労が困難になった際の相談・支援体制の充実」(35.3%)となっています。 「がん」について区として力を入れてほしいこと ? (5)「がん」に関する情報などについての認知状況・活用の有無 「がん」に関する情報などについての認知状況・活用の有無についてたずねたところ、「活用したことがある」と「知っているが活用したことはない」との合計である「知っている」では、「品川区がん情報ホームページ(令和4年1月開設)」が最も高くなっていますが14.9%にとどまっており、4つの項目すべてで、「知らない」が8割を超えています。 「がん」に関する情報などについての認知状況・活用の有無 ? 6 品川区がん対策推進計画(令和2年度〜6年度)の評価 (1)最終評価の方法 品川区がん対策推進計画(令和2年度〜6年度)では、しながわ健康プラン21の評価方法と整合を図りつつ、「指標の評価」と「基本施策の判定」の2段階で最終評価を行いました。 @指標の評価 ○「策定時の値」と「現状値」の差により評価します。 ○「策定時の値」から「現状値」への変化の割合(増減率)について、5%基準に評価を行っています。 増減率(%)=(現状値−策定時の値) / 策定時の値 × 100 【評価の区分】 指標の評価 意味 点数 目標が「増加」など 目標が数値 a 改善 増減率が指標の目指す方向に対して+5%以上 目標を達成した 1点 a’ 協議のうえで判断 目標は達成していないが、増減率が指標の目指す方向に対して+5%以上 b 横ばい 増減率が指標の目指す方向に対して±5%未満 0点 b’ 協議のうえで判断 ※策定時と現状値が変わらない結果であるが、今後改善していく必要があり課題となるもの c 悪化 増減率が指標の目指す方向に対して-5%以上 -1点 - 評価不能 データがとれない等の理由により評価不能 - 【プロセス指標に関する評価について】 基本目標2 (2)がん検診の質の向上に関する取組 Bプロセス指標の活用 プロセス指標の評価については、他の指標と異なり策定時の指標がないことや、目標値として国の目標値と許容値の両方が設定されているものはどちらかを基準に評価を行っていくのかなど、他の指標と一律に評価ができません。そのため、目標値や許容値と比べてどうであったかの結果を示しています。 ? A基本施策の判定 ○ @で行う各指標の評価を得点化し、平均点により判定します。(各評価の得点は前ページの区分に記載) 【判定の区分】 基本施策の判定 各指標の評価の平均点 A 改善 0.5点以上 B 横ばい 0点以上0.5点未満 C 悪化 0点未満 D 評価不能 判定不能 【評価、判定の例】 (例)基本目標1 基本施策(1)がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進 取組@〜E 指標 策定時 目標値 現状値 増減率 評価 (得点) 平均点 判定 喫煙率 18.0% 12.0% 11.9% (目標値達成) -33.9% a (1点) 0.43点 B 週5日以上かつ1日に2合以上飲む人の割合 16.3% 15.5% 11.5% (目標値達成) -29.4% a (1点) 「家庭での味付けは外食と比べて薄い」と感じている人の割合 61.9% 64.9% 57.8% -6.6% c (-1点) 野菜を1日5皿(350g)以上食べる人の割合 2.8% 増加 3.3% (目標値達成) 17.9% a (1点) 日常生活の中で意識して体を動かしている人の割合 70.6% 74.1% 72.2% 2.3% b (0点) 普通体重を維持している人の割合 67.7% 71.1% 68.2% 0.7% b (0点) HPVワクチン接種率 0.67% 増加 24.2% (目標値達成) 3511.9% a (1点) ? (2)各基本施策における評価の結果一覧 基本目標1 科学的根拠に基づくがん予防を推進する 指標 策定時 目標 現状値 評価 判定 基本施策(1)がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進 喫煙率 18.0% 12.0% 11.9% a B 週5日以上かつ1日に2合以上飲む人の割合 16.3% 15.5% 11.5% a 「家庭での味付けは外食と比べて薄い」と感じている人の割合 61.9% 64.9% 57.8% c 野菜を1日5皿(350g)以上食べる人の 割合 2.8% 増加 3.3% a 日常生活の中で意識して体を動かしている人の割合 70.6% 74.1% 72.2% b 普通体重を維持している人の割合 67.7% 71.1% 68.2% b HPVワクチン接種率 0.67% 増加 24.2% a 基本施策(2)たばこ対策の推進 喫煙による健康影響(がん)の認知率 90.7% 95.2% 92.3% b B 喫煙率(再掲) 18.0% 12.0% 11.9% a 禁煙外来治療費助成金交付数 35人 100人 31人 c 受動喫煙の「有」の割合 60.4% 30.2% 36.9% a' 禁煙外来治療費助成金交付数(再掲) 35人 100人 31人 c 基本施策(3)児童・生徒に向けたがん教育への取組 医師を活用したがん教育実施校 中学校・義務教育学校(後期課程) 5校 15校 15校 a A ? 基本目標2 がんの早期発見に向けた取組を推進する 指標 策定時 目標 現状値 評価 判定 基本施策(1)科学的根拠に基づくがん検診の実施 国の指針にないがん検査・検診の廃止 6検査・検診 減少 6検査・検診 b’ B 基本施策(2)がん検診の質の向上に関する取組の推進 胃がん(エックス線)検診のチェックリスト実施項目 55.8% 増加 92.3% a A 胃がん(内視鏡)検診のチェックリスト実施項目 − 増加 92.3% − A 肺がん検診のチェックリスト実施項目 54.9% 増加 88.2% a 大腸がん検診のチェックリスト実施項目 55.8% 増加 82.7% a 子宮がん検診のチェックリスト実施項目 56.4% 増加 90.9% a 乳がん検診のチェックリスト実施項目 54.5% 増加 90.4% a 区が主催する精度管理委員会数 3委員会 全検診の委員会 4委員会 a プロセス指標 「がん検診のプロセス指標の現状」のとおり 国の許容値・目標値の達成 ※1(次ページ参照) 基本施策(3)受診率向上の取組の推進 胃がん検診受診率 4.4% 7.4% 5.6% a' A 肺がん(一般)検診受診率 7.5% 10.5% 9.1% a' 大腸がん検診受診率 21.5% 24.5% 20.0% c 子宮がん検診受診率 27.4% 30.4% 37.2% a 乳がん検診受診率 25.4% 28.4% 32.0% a 胃がん(エックス線)検診精密検査受診率 83.9% 国の許容値・目標値の達成 (90%) 86.5% a 胃がん(内視鏡)検診精密検査受診率 − 97.4% − 肺がん検診精密検査受診率 76.2% 87.6% a 大腸がん検診精密検査受診率 52.6% 59.9% a 子宮がん検診精密検査受診率 68.6% 79.6% a 乳がん検診精密検査受診率 87.3% 90.6% a ※精密検査受診率:東京都におけるがん検診精度管理評価事業調査(令和4年度実績)より ? ※1 プロセス指標の結果 策定時 目標 現状値 結果 要精検率 胃部エックス線検査 6.7% 11.0%以下 8.6% 許容値達成 胃内視鏡検査 - 11.0%以下 9.8% 許容値達成 肺(一般) 1.9% 3.0%以下 3.3% 大腸 9.7% 7.0%以下 9.1% 子宮 2.2% 1.4%以下 4.2% 乳 3.4% 11.0%以下 4.3% 許容値達成 精検受診率 胃部エックス線検査 83.9% 90%以上/70%以上 86.5% 許容値達成 胃内視鏡検査 - 90%以上/70%以上 97.4% 目標値達成 肺(一般) 76.2% 90%以上/70%以上 87.6% 許容値達成 大腸 52.6% 90%以上/70%以上 59.9% 子宮 68.6% 90%以上/70%以上 79.6% 許容値達成 乳 87.3% 90%以上/80%以上 90.6% 目標値達成 精検未把握率 胃部エックス線検査 16.1% 5%以下/10%以下 7.7% 許容値達成 胃内視鏡検査 - 5%以下/10%以下 0.5% 目標値達成 肺(一般) 23.8% 5%以下/10%以下 7.4% 許容値達成 大腸 47.4% 5%以下/10%以下 23.5% 子宮 31.4% 5%以下/10%以下 15.2% 乳 12.7% 5%以下/10%以下 7.3% 許容値達成 精検未受診率 胃部エックス線検査 - 5%以下/20%以下 7.9% 目標値達成 胃内視鏡検査 - 5%以下/20%以下 0.9% 目標値達成 肺(一般) - 5%以下/20%以下 5.0% 目標値達成 大腸 - 5%以下/20%以下 16.6% 許容値達成 子宮 - 5%以下/20%以下 5.2% 許容値達成 乳 - 5%以下/10%以下 2.1% 目標値達成 陽性反応適中度 胃部エックス線検査 1.9% 1.0%以上 3.8% 許容値達成 胃内視鏡検査 - 1.0%以上 1.0% 許容値達成 肺(一般) 2.5% 1.3%以上 1.5% 許容値達成 大腸 2.4% 1.9%以上 3.7 許容値達成 子宮 1.5% 4.0%以上 0.6% 乳 14.0% 2.5%以上 17.3% 許容値達成 がん発見率 胃部エックス線検査 0.12% 0.11%以上 0.33% 許容値達成 胃内視鏡検査 - 0.11%以上 0.10% 肺(一般) 0.05% 0.03%以上 0.05% 許容値達成 大腸 0.23% 0.13%以上 0.34% 許容値達成 子宮 0.03% 0.05%以上 0.03% 乳 0.47% 0.23%以上 0.70% 許容値達成 ※目標の赤字は目標値、青字は許容値を表しています。現状値の着色は策定時よりも悪化したものを示しています。 ※プロセス指標:東京都におけるがん検診精度管理評価事業調査(令和4年度実績)より ? 基本目標3 がん患者やその家族への支援を推進する 指標 策定時 目標 現状値 評価 判定 基本施策(1)がん患者やその家族の不安の軽減 図書館でのがん情報提供実施館数 0館 11館 11館 a B 緩和ケアに関する健康教育実施回数 11回 増加 1回 c 基本施策(2)地域医療連携の充実 連絡会等の開催回数 0回 増加 (1回/年) 4回 a A 他機関と連携した相談会 0回 増加 12回/年 a 研修会等 0回 増加 1回 a 基本施策(3)がんと就労に関する相談、支援の充実 がんと就労に関する健康教育の実施回数 11回 増加 11回  b’ B ? 7 現状と課題のまとめ 品川区がん対策推進計画(令和2年度〜令和6年度)の評価の結果や「健康に関する意識調査」の結果を踏まえて、現状と課題の整理を行いました。 (1)がん予防 現状 ? 1年以内に喫煙した人の割合は減少しています。 ? 喫煙による健康影響(がん)の認知率は増加していますが、目標値の達成には至っていません。 ? 禁煙外来治療費助成金交付数について、目標値の達成には至っておらず減少しています。 ? 受動喫煙「有」の割合は、目標値の達成には至っていませんが、60.4%から36.9%と大きく減少しています。 ? 飲酒に関して、週5日以上かつ1日に2合以上飲む人の割合が減少しています。 ? 野菜を1日5皿(350g)以上食べている人の割合は微増していますが、3.3%にとどまっています。 ? 家庭での味付けは外食とくらべてうすいと感じている人の割合は減少しています。 ? HPVワクチンの接種率は増加しています。 ? 医師を活用したがん教育実施校 中学校・義務教育学校(後期課程)の数は、5校から15校に増加しており、目標値を達成しています。 課題 ? 1年以内に喫煙した人の割合は減少していますが、喫煙がもたらす健康影響についての理解や禁煙希望者に対する支援など、これまでの取組を継続していくことが必要です。 ? 受動喫煙を受けたことがある人の割合について、目標値の達成には至っていないものの、大幅に減少していることから、受動喫煙対策の啓発などの取組の効果と考えられます。さらに受動喫煙による健康への悪影響についての周知活動を進めていくことが必要です。 ? しながわ健康プラン21の取組も踏まえ、飲酒の適量を周知し、生活習慣病のリスクを高める過度の飲酒をしないよう啓発する取組が必要です。 ? 野菜摂取量について、350g以上食べている割合はわずかであり、摂取量の認知度に加え、どのように摂取すればよいかわからない人などもいると考えられるため、適切な摂取量や摂取方法など食生活の実践につながるような取組が必要です。 ? 家庭での味付けは外食とくらべて薄いと感じている人の割合は減少しており、減塩の取組を継続していくことが必要です。 ? HPVワクチンの接種については、今後も正しい知識の啓発を積極的に行っていくことが重要です。 ? 子どもが中学校・義務教育学校(後期課程)位の年齢では、がんについて正しい知識を知り、自分や家族の健康や命の大切さを学び、考える機会を提供していくことが必要です。 ? (2)がんの早期発見 現状 ? 各種検診のチェックリスト実施項目については、策定時50%台でしたが、70〜90%台へと増加しています。 ? 各種がん検診の受診率について、大腸がん検診のみ策定時より減少しています。子宮がん、乳がんに関しては、目標値を達成しています。 ? 各種がん検診の精密検査受診率について、いずれも策定時より増加しています。胃がん、乳がんに関しては目標値を達成しています。 ? 国の指針にないがん検査・検診の廃止については、策定時は6検査・検診となっており、減少が目標でしたが現状としては変わっていません。 課題 ? がん検診の受診率、精密検査受診率については、概ね向上しています。今後も検診の質を向上し、早期発見、早期治療につなげていくことが重要です。 ? 国の指針にないがん検査・検診については、医師会等と検診の有効性を検証、協議し見直しを行っていきます。 (3)がん患者やその他の家族への支援 現状 ? 図書館でのがん情報提供実施館数について、策定時は0館でしたが、11館の実施となっており、目標値を達成しています。 ? 緩和ケアに関する健康教育実施回数について、策定時は11回となっていましたが、現状としては1回と大きく減少している状況です。 ? 地域医療連携の充実について、連絡会等の開催や他機関と連携した相談会の開催、人材育成への支援に向けた研修会等を行うことができています。 ? がんと就労に関する健康教育の実施について、継続して実施していますが、目標値には達していません。 課題 ? がんに関する情報を必要とする方が入手しやすいよう周知方法の工夫が必要です。 ? がん患者が在宅で安心して療養生活を送れるよう、がんに関する情報等を周知していく必要があります。 ? (4)意識調査の結果 現状 ? がん検診を受診しなかった理由について、「必要性を感じなかった」が最も多く21.7%となっています。 ? 品川区のがん検診を受診したきっかけについて、「区から送られてくる受診案内から」が最も多く90.2%となっています。 ? 「がん」について区として力を入れてほしいことについて、「がんの早期発見(がん検診)」が最も多く58.9%となっており、次いで「がんに関する正しい情報提供」が42.9%、「がんに関する相談や支援体制の充実」が41.0%となっています。 ? 「がん」に関する情報などについての認知状況・活用の有無について、「品川区がん情報サイト」「がん夜間相談窓口:マギーズ東京」「区内がん相談支援センター」「ウィッグ(かつら)や胸部補正具の購入等費用助成」のいずれにおいても「知らない」の割合が高く、8〜9割となっています。 課題 ? 品川区のがん検診を受診したきっかけについて、「区から送られてくる受診案内から」が多く、一定の効果はあることがうかがえます。一方で、検診を受診しなかった人もいることから、理由を踏まえ、早期発見、治療に向けた検診の重要性、必要性などを改めて周知し、受診につなげていくことが必要です。 ? 区として力を入れてほしいことについて、がん検診の質の向上やがんに関する正しい情報提供、相談や支援体制に関することなど、今後の取組として充実や拡大も視野に検討していく必要があります。 ? 「がん」に関する情報周知について取組を強化し、必要な人が情報を入手しやすいよう認知度を上げていくことが重要です。 ? 第3章 計画の基本的な考え方 1 基本理念 品川区民の死因の第1位は40年以上変わらずがんであり、その対策は喫緊の課題となっています。中高年の働き盛り世代のみならず、AYA世代のがん対策や、女性特有のがん対策など、それぞれの対象に応じた取組が求められています。 がんについて区として力を入れてほしいこととして、区民は「がんの早期発見(がん検診)」が約6割となっている一方、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの5つのがん検診の受診率は、国の目標値(60%)に至っていないのが現状です。がん検診はデメリットがメリットを上回る可能性があるため、区では、科学的根拠に基づいたがん検診の実施と継続的な精度管理を行うとともに、がん検診の受診率向上をめざすことが必要です。 さらに、がん患者やその家族は、がんと診断されたときに、日常生活を送る様々な場面でつらさや不安、ストレスを感じます。がん患者やその家族が自分らしく過ごせるように、がんに関する情報提供や、治療や就労等の支援を行うことも重要です。 こういったことを踏まえ、品川区では「〜がんからあなたを守りたい〜 がんにならない、がんとともに自分らしく暮らせるまち品川」を基本理念として掲げ、「(1)がん予防を推進する」、「(2)がんの早期発見に向けた取組を推進する」、「(3)がん患者やその家族への支援を推進する」の3つを基本目標としてがん対策を推進することとしました。 ? 2 基本目標 (1)がん予防を推進する 区民の死因の第1位は「がん(悪性新生物)」となっており、第2位以下の疾患と比べても、死亡率は大きく上回っています。一方で、様々な研究によってがんの原因が明らかにされており、予防可能ながんのリスク因子としては、喫煙(受動喫煙を含む)、飲酒、低身体活動、肥満・やせ、野菜・果物不足、塩蔵食品の過剰摂取等の生活習慣などとされています。生活習慣の中でも、喫煙は、種々のがんのリスク因子となっており、がんに最も大きく寄与する因子でもあるため、がん予防の観点からも、たばこ対策を進めていくことが重要です。 がんは、早期発見・早期治療により治る確率が高まるとともに、生活習慣の改善によって予防することも可能であることを踏まえて、子どもの頃からがんに関する正しい知識を持ち、より身近なものとして捉え、がんを防ぐための生活習慣やがん検診の必要性を理解することが必要です。 がん予防を推進するため、がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進やがん教育への取組の充実を図ります。 (2)がんの早期発見に向けた取組を推進する 初期のがんは、自覚症状の無い状態で進行することが多いため、早期に発見するためには自覚症状がなくても定期的にがん検診を受けることが大切です。 がん検診の目的は、がんを早期に発見し、適切な治療につなげ、がんによる死亡率を減少させることです。そのためには、「がん検診の質の向上」という環境的な取組と、「がん検診の受診率の向上」、「精密検査受診率の向上」という区民に対する直接的な取組が必要です。区民が受診しやすい検診体制を構築し、がんの早期発見・早期治療を促すことで、効率的かつ持続可能ながん対策を進め、がん死亡率の減少を実現することが重要です。 区民のがんの早期発見に向け、国の指針を踏まえた科学的根拠に基づくがん検診の実施やがん検診の質の向上に努め、受診率を高める取組を推進します。 ? (3)がん患者やその家族への支援を推進する がん患者やその家族は、がんと診断された時から、病気や治療等によって生じる身体的な悩み、病状や療養生活、将来に対する不安などの精神的な悩み、治療費や就労継続の難しさ、これらに伴う収入減少などの社会的・経済的な悩み等、様々な不安や悩みが生じます。がんと診断されてもその人らしい生活を送るためには、不安や悩みが少しでも軽減され、適切な情報や助言のもと、納得できる治療法や自身の生活、生き方に関する選択ができることが重要です。 インターネットの普及によりがんに関する情報を探しやすくなりましたが、漠然とした不安を相談できる窓口や、在宅療養に向けた支援、緩和ケアに関する情報等の提供がまだ十分とは言えません。がん患者やその家族の不安を軽減するためにも、支援制度の情報提供の充実を図ります。 また、がんと診断された時から在宅療養生活まで切れ目のないがん医療を実施するために、がん治療医療機関と、地域の医療機関や訪問看護ステーション等の医療従事者との連携を図ることで、地域医療連携体制を整備していきます。 さらに、がん医療の進歩により、今後も療養生活と仕事とを両立する人の増加が見込まれるため、企業など職域分野と連携し、仕事復帰の時期や準備、治療の支援など、がん患者の就労支援も推進します。 ? 3 施策体系 「〜がんからあなたを守りたい〜 がんにならない、がんとともに自分らしく暮らせるまち品川」の基本理念の実現に向けて、3つの基本目標を設定しました。 ? 第4章 がん対策の施策と取組 基本目標1 がん予防を推進する (1)がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進 がんの予防は、がん対策において重要な部分であり、がんのり患率減少につながります。予防にあたっては、「飲酒」、「食生活」、「身体活動」、「体形の管理」、「喫煙」、「感染」の6つの要因から対策を講じることが必要です。「感染」を除く、5つの要因はすべて生活習慣と密接に結びついており、日頃から健康に留意した生活を送ることが重要です。また、感染により発症するがんについては、感染経路を正しく理解することでリスクを低下させることにつながります。 がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進について、@生活習慣の改善(飲酒対策、食生活、身体活動、体形の管理)、Aたばこ対策、Bウイルス等の感染対策の3つに関する内容に取り組みます。 @生活習慣の改善 【飲酒対策】 ■目標 ○飲酒による健康影響を理解し、適切な量の飲酒を守る人の割合を増やします。 ■今後の取組 ○がん予防の普及啓発 / 適切な量の飲酒 「適切な飲酒量」の正しい知識について、ホームページや精神保健講演会、健康に関連するイベントの場を活用した情報発信や、健康教育の機会を充実させるなど、さらに啓発に取り組んでいきます。 ○国保保健指導 国保基本健診(特定健康診査)の結果、メタボリックシンドロームの該当者および予備群と判定された方のリスクの高さに応じてレベル別に栄養指導等の国保保健指導(特定保健指導)を今後も実施していきます。 ? ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 1日あたりの飲酒量が2合以上の人の割合(男性) 54.5% 減少 2 1日あたりの飲酒量が1合以上の人の割合(女性) 52.1% 減少 【食生活】 ■目標 ○健康のために減塩に気をつけた食生活を実践している人の割合を増やします。 ○野菜を1日に5皿(350g)以上食べている人の割合を増やします。 ■今後の取組 ○がん予防の普及啓発 / 食事・栄養相談 保健センターや品川栄養士会の栄養士による食事・栄養相談を行っています。今後も、「塩分を減らす」、「野菜や果物不足にならない」、「飲食物を熱い状態でとらない」など、食事とがんの関係についてホームページ、講習会やイベントなど様々な機会を利用して正しい知識の啓発に取り組んでいきます。 ○食生活改善推進事業 食生活から区民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的として、食事相談会のほか各種講習会を実施します。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 健康のために減塩に気をつけた食生活をほぼ毎日実践している人の割合 23.2% 増加 2 野菜を1日5皿(350g)以上食べる人の割合 3.3% 増加 ? 【身体活動】 ■目標 ○1日に7,000歩以上歩いている人の割合を増加させます。 ○ほぼ毎日体を動かしている人の割合を増やします。 ■今後の取組 ○がん予防の普及啓発 / 身体活動と運動習慣 ホームページによる啓発や、区イベント、健康学習など様々な機会を活用して、今後も、身体活動量を増やす具体的な取組や、運動習慣の目安など身体活動について正しい知識の啓発に努めていきます。 ○健康センター事業 気軽に楽しく体を動かしながら、健康づくりが行える「フリー利用」、目的別講座形式の「コース型教室」等で運動の実技指導を行っています。利用者の更なる増加に向けた取組を進めていきます。 ○品川区ウォーキングマップ、しながわ健康ポイントの普及 健康づくりの一つとしてのウォーキングを推奨する手段として、品川区ウォーキングマップやしながわ健康ポイントアプリを作製しています。ウォーキングの普及に向けた取組をさらに進めていきます。 ○健康づくり推進委員事業の推進 13地区で、地区住民が気軽に参加できる活動形態による様々な健康づくりのイベントを企画実施しています。健康づくり推進委員活動を積極的に周知し、ウォーキングや健康体操などの周知に今後も力を入れ、区民が気軽に運動に取り組めるよう支援していきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 1日に7,000歩以上歩いている人の割合 20.0% 増加 2 日常生活の中で意識して体を動かしている人の割合 72.2% 増加 ? 【体形の管理】 ■目標 ○普通体重(適正体重BMI18.5以上25.0未満)を維持している人の割合を増やします。 ■今後の取組 ○がん予防の普及啓発 / 体重管理と健診勧奨 ホームページによる啓発や、区イベント、健康学習など様々な機会を活用して、今後も、体形の適正範囲について正しく理解できる区民が増えるよう、啓発に努めていきます。 ○国保基本健診 40歳から74歳までの品川区国民健康保険加入者に対して、メタボリックシンドロームに着目した国保基本健診を今後も実施します。健診の啓発とともに、自身の適正体重を把握いただくように取り組んでいきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 普通体重を維持している人の割合 68.2% 増加 ? Aたばこ対策 【禁煙支援】 ■目標 ○喫煙している人の割合を減らします。 ○喫煙による健康影響についての認知割合を増加させます。 ○禁煙に取り組んでいる区民を増加させます。 ○禁煙外来治療費助成制度を積極的に周知し、活用する区民を増やします。 ■今後の取組 ○がん予防の普及啓発 / 喫煙と健康問題 喫煙とがんに関連する正しい知識について、ホームページや区イベントにおいて、さらに啓発に取り組んでいきます。 ○禁煙支援(禁煙外来マップ・禁煙外来治療費助成金交付事業の周知と充実) 禁煙外来マップや禁煙外来治療費助成制度 注)の周知を強化し、区民が禁煙に取組やすい環境づくりを充実させていきます。また世界禁煙デー(5月31日)とそれに続く禁煙週間において、禁煙および受動喫煙防止の普及啓発をさらに実施します。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 1年以内に喫煙した人の割合 11.9% 10.0% 2 喫煙による健康影響(がん)の認知率 92.3% 増加 3 禁煙外来治療費助成金交付件数 31人 100人 注)2021年(令和3年)6月に禁煙補助薬(飲み薬)チャンピックス錠が全世界で出荷停止となったことにより一部の医療機関で禁煙外来の新規受付を停止しています。2024年(令和6年)10月現在、出荷再開は未定です。 ? 【受動喫煙防止対策】 ■目標 ○区民の過去1か月の受動喫煙を受けたことのある人の割合を減少させます。 ○受動喫煙が健康に及ぼす悪影響についての理解を深め、受動喫煙が生じないよう配慮できる区民を増やします。 ■今後の取組 ○飲食店を対象とした受動喫煙防止対策の実施 受動喫煙防止対策の制度・規制内容や施設の管理者等の義務についての事業者向けの説明会を実施します。 ○受動喫煙防止対策 たばこによる健康への悪影響について普及啓発をするとともに、喫煙可能な店か禁煙の店かがわかる標識を適切に掲示するよう、施設管理者に対する指導を行い、受動喫煙防止対策を着実に進めます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 1ヵ月間に受動喫煙を受けたことがある人の割合 36.9% 減少 ? Bウイルス等の感染対策 ■目標 ○感染経路について区民が正しく理解できる環境を整備し、ウイルス・細菌に起因するがんのリスクを減少させます。 ■今後の取組 ○感染症予防のための普及啓発活動 ウイルスや細菌の感染からがんへ進行することを防ぐためには、正しい知識の普及が必要です。ホームページによる啓発、講演会やイベント、地域に出向く健康学習など、様々な機会を活用して、今後も普及啓発に取り組みます。 ○検査やワクチン接種の事業の周知 検査を受けていないために感染に気づかない場合や、感染が判明した場合の治療の必要性についての認識が十分でないために治療につながっていない場合もあります。そのため、区は保健センターや個別医療機関で実施している肝炎ウイルス検診や都のフォローアップ事業の周知を引き続き実施していきます。また、HPVワクチン接種については、正しい知識の啓発を積極的に行うとともに、区民への接種を推進していきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 HPVワクチン接種率 ※ 44.2% 増加   ※高校1年生の人口(女子)のうち、少なくともHPVワクチンを1回以上接種したものの割合                                 (現状値:令和5年度末現在)? (2)がん教育への取組の充実 がん教育は、健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がん患者や家族などのがんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通して、自他の健康と命の大切さについて学び、共に生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図る教育とされています。 がんは、怖い病気、り患すると死に至る病気、というイメージにとらわれず、がん予防や早期発見の重要性を理解し、自分や身近な人が、がんに罹患しても、正しく理解し向き合うことができるよう、学校等における正しいがん知識の普及に取り組みます。 @学校教育等における正しいがん知識の普及 ■目標 ○区立小・中学校・義務教育学校において、がん教育を実施することで、子どものうちからがんについての正しい知識を身につけられる環境にしていきます。 ○がんについて、家庭の中でも話し合い、差別や偏見のない地域社会をめざします。 ○区民のがんリテラシーを高めます。 ■今後の取組 ○がんに関する教育の推進 がんに限らず健康については、基礎的な生活習慣が身につく子どもの頃から教育することが重要です。教育委員会では、学習指導要領に基づき病気の予防や良い生活習慣等について教えています。今後は、これら学校教育の場における取組を充実するとともに、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの関係機関と連携してがん教育の充実を図ります。 ○児童・生徒の家族への働きかけの実施 がん教育を受ける児童・生徒に対し、がん教育の概要が記載されたリーフレットを配布することによって、家庭内でがんについて考える機会を創出し、保護者に対するがん教育につなげます。 ○区民へのがん情報の発信・啓発   近年、インターネットの普及等により、科学的根拠に乏しい情報が多く存在することから、区民が正しい情報に適切にアクセスすることが重要となっています。区民一人ひとりががん予防や早期発見の重要性を認識し、科学的根拠に基づいたがん予防のための生活習慣の改善や、定期的な検診受診等の主体的な行動につなげることができるよう、がん情報ホームページや区報、SNSなどを通じた情報発信を積極的に行い、区民のがんリテラシー向上に取り組んでいきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 医師を講師としたがん教育実施校 中学校・義務教育学校(後期課程) 15校 継続 基本目標2 がんの早期発見に向けた取組を推進する (1)科学的根拠に基づくがん検診の実施 国は、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」において、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの5つのがん検診を推奨しています。がん検診のメリットは、がんを早期に発見し治療につなげることにありますが、デメリットとしては、がんが100%見つかるわけではないことや、負担の大きい、または不要な検査や治療を招くことにあります。がん検診のメリットとデメリットについて区民への理解を促進するとともに、指針にない検診の見直しを行います。 @国の指針を踏まえた検診の見直し、有効ながん検診の実施 ■目標 ○がん検診の意義について区民に周知していきます。 ○国の指針に基づくがん検診を実施していきます。 ■今後の取組 ○がん検診への区民の理解 科学的根拠に基づいたがん検診について、検診のメリット・デメリットなど正しい知識をがん検診のチラシやホームページ等で区民に伝えます。 ○国の指針に基づく5つのがん検診の実施および指針にない検診の見直し 今後も、科学的根拠に基づくがん検診を実施するように努めます。現在行っている、指針にない検診については、医師会等と検診の有効性を十分に検証・協議し、見直しを行っていきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 国の指針にないがん検査・検診の廃止 5 0 ? (2)がん検診の質の向上に関する取組の推進 科学的根拠に基づくがん検診であっても、その精度管理(検診が正しく行われているかを評価し、不備な点を改善すること)が行われなければ、効果が十分に発揮されません。事業評価のためのチェックリストの実施や精度管理体制の確立など、精度管理に必要な事項の整理や評価体制の充実を図り、がん検診の質の向上に取り組みます。 @事業評価のためのチェックリストの実施 ■目標 ○事業評価のためのチェックリストを実施する体制を強化していきます。 ○必要最低限の精度管理項目を医師会等への委託仕様書へ適正に記載していきます。 ■今後の取組 ○チェックリストの活用推進 「事業評価のためのチェックリスト(市区町村用)」を活用し、実施項目が増加するよう検診制度を整備していきます。また、検診実施機関でのチェックリストの実施について医師会等と協議を進めていきます。 ○仕様書への記載事項の見直し、整理 「仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目」の委託仕様書への反映について、医師会と協議を進め適正な記載に努めていきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 胃がん(エックス線)検診のチェックリスト実施項目 92.3% 増加 胃がん(内視鏡)検診のチェックリスト実施項目 92.3% 増加 2 肺がん検診のチェックリスト実施項目 88.2% 増加 3 大腸がん検診のチェックリスト実施項目 82.7% 増加 4 子宮がん検診のチェックリスト実施項目 90.9% 増加 5 乳がん検診のチェックリスト実施項目 90.4% 増加 ? A精度管理体制の確立 ■目標 ○精度管理のための技術的指針における精度管理体制を確立します。 ○各検診実施機関において、均質な検診を提供できるようにします。 ■今後の取組 ○区が主催する精度管理委員会等の実施と運営方法の見直し 全がん検診について、各検診実施機関においての検診結果、要精検率、精検受診率、がん発見率、陽性反応適中度等のプロセス指標値を把握し、精度管理状況の評価を行い、より質の高い検診を目指し改善を図っていきます。 また、精度管理委員会等の実施方法については、技術的指針において求められる各がんの精度管理の実施内容を鑑みつつ、総合的な精度管理の形式を検討していきます。 Bプロセス指標の活用 ■目標 ○プロセス指標の基準値を達成できるように努めます。 ■今後の取組 ○プロセス指標の検証と検診実施機関への働きかけ 検診実施機関ごとにプロセス指標を算出し、検診の各工程が適切に行われたかどうかを検証していく必要があります。値を満たしていない機関には、原因究明と改善の働きかけを行います。 ? ■プロセス指標 基準値(上限69歳) 胃がん 大腸 がん 肺がん (1年間隔) 乳がん (2年間隔) 子宮頸がん 2年 間隔 1年 間隔 検診以外 の受診 を考慮 連続 受診 を考慮 対象年齢 50-69歳 40-69歳 40-69歳 40-69歳 20-69歳 20-39歳 40-69歳 精検受診率 90%以上 要精検率 7.1% 以下 7.0% 以下 6.2%以下 2.0%以下 2.0%以下 6.8% 以下 6.8% 以下 2.7%以下 4.2%以下 2.0%以下 がん発見率 0.13% 以上 0.08% 以上 0.16% 以上 0.06% 以上 0.03% 以上 0.38% 以上 0.29% 以上 0.16% 以上 0.18% 以上 0.15% 以上 陽性反応 適中度 1.9% 以上 1.1% 以上 2.6% 以上 3.0% 以上 1.6% 以上 5.5% 以上 4.3% 以上 5.9% 以上 4.4% 以上 7.4% 以上 非初回受診者の2年連続 受診者割合 - 30%以下 40%以下 基準値(上限74歳) 胃がん 大腸 がん 肺がん (1年間隔) 乳がん (2年間隔) 子宮頸がん 2年 間隔 1年 間隔 検診以外 の受診 を考慮 連続 受診 を考慮 対象年齢 50-74歳 40-74歳 40-74歳 40-74歳 20-74歳 20-39歳 40-74歳 精検受診率 90%以上 要精検率 7.7% 以下 7.6% 以下 6.8%以下 2.4%以下 2.3%以下 6.5% 以下 6.4% 以下 2.5%以下 4.2%以下 1.9%以下 がん発見率 0.19% 以上 0.11% 以上 0.21% 以上 0.10% 以上 0.05% 以上 0.40% 以上 0.31% 以上 0.15% 以上 0.18% 以上 0.14% 以上 陽性反応 適中度 2.5% 以上 1.5% 以上 3.0% 以上 4.1% 以上 2.2% 以上 6.1% 以上 4.8% 以上 5.9% 以上 4.4% 以上 7.3% 以上 非初回受診者の2年連続 受診者割合 - 30%以下 40%以下 ? (3)受診率向上の取組の推進 がん検診の目的は、がんを早期に発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡率減少につなげることです。一次検診で要精密検査と判定された場合は、精密検査を受診することが重要です。区民のがん検診を受けなかった理由を見ると、「必要性を感じなかった」がもっとも多いことから、がん検診についての正しい知識や検診の重要性などの理解を深める取組が必要です。がん検診受診率の向上、精密検査受診率向上に向けて、案内や啓発方法を工夫するとともに未受診者への勧奨などに取り組みます。 @がん検診受診率(一次検診)の向上 ■目標 ○がん検診の受診率を高めます。 ■今後の取組 ○案内のツール、啓発方法の工夫 現在の、がん検診のチラシや検診実施機関一覧表について、分かりやすく、受診率向上に寄与する内容に工夫します。9月のがん征圧月間やピンクリボンキャンペーンでの橋のライトアップなどの機会を捉え、がん検診の普及・啓発に努めます。ホームページやSNS、CATV等さまざまな媒体を活用した啓発方法を検討します。 ○受診環境の整備 区民のニーズに即した受診しやすい環境について、医師会等と協議・検討し体制を整えていきます。 ○未受診者への勧奨 受診勧奨・再勧奨について検討し、効果的な施策を実施していきます。かかりつけ医師・歯科医師・薬剤師等との連携を検討していきます。 ? ■目標値 No 指標 現状値 注1) 目標値 注2) 上限なし 上限69歳 上限なし 上限69歳 1 胃がん検診受診率 11.1% 10.9% 14.1% 13.9% 2 肺がん(一般)検診受診率 9.1% 5.4% 12.1% 8.4% 3 大腸がん検診受診率 20.0% 9.8% 23.0% 12.8% 4 子宮がん検診受診率 32.2% 37.1% 35.2% 40.1% 5 乳がん検診受診率 30.4% 36.8% 33.4% 39.8%  注1)東京都における精度管理評価事業による算出方法で受診率を算出  注2)国の目標値60%を目指しつつ、当面は区の現状に沿った目標値(+3.0ポイント)を設定 ? A精密検査受診率の向上 ■目標 ○がん検診の精密検査の受診率を高めます。 ■今後の取組 ○案内や啓発方法の工夫 精密検査が怖い・面倒等の理由で受診しない要精密検査の対象者へ、受診の重要性を案内するチラシ等を作成します。さらに、精密検査への不安感を解消できるように、がんについて相談できる場所を周知していきます。 ○未受診者への勧奨 受診勧奨について検討し、効果的な施策を実施していきます。医師会と連携し、受診勧奨を行います。 ■目標値 No 指標 現状値注1) 目標値 上限なし 上限69歳 上限なし 上限69歳 1 胃がん検診(胃部エックス線) 精密検査受診率 86.5% 88.9% 増加 増加 2 胃がん検診(胃内視鏡検査) 精密検査受診率 97.4% 98.0% 増加 増加 3 肺がん検診精密検査受診率 87.6% 86.4% 増加 増加 4 大腸がん検診精密検査受診率 59.9% 63.4% 増加 増加 5 子宮がん検診精密検査受診率 79.6% 79.7% 増加 増加 6 乳がん検診精密検査受診率 90.6% 90.9% 増加 増加 注1)東京都におけるがん検診精度管理評価事業調査(令和4年度実績)より ? 基本目標3 がん患者やその家族への支援を推進する (1)がん患者やその家族の不安軽減に向けた取組の推進 がん患者やその家族は、がんと診断された時から、病気や治療等によって生じる身体的な悩み、病状や療養生活、将来に対する不安などの精神的な悩み、治療費や就労継続の難しさ、これらに伴う収入減少などの社会的・経済的な悩み等、様々な困難が生じます。このような状況にある患者や家族が、少しでも不安や悩みを軽減でき、その人らしく過ごすことができるように、相談支援や在宅療養、緩和ケアなどの情報提供を推進します。 @相談支援の充実 ■目標 ○がんについての相談窓口にアクセスできるよう、必要な情報提供を進めていきます。 ■今後の取組 ○がんの夜間相談窓口事業に関する利用の充実 区では、がんの夜間相談窓口事業を「認定NPO法人マギーズ東京」へ委託し実施しています。看護師や心理士が、がん患者本人や家族、友人などの話を聞き、一緒に考えたり、心理的・社会的なサポートを見つけたりする手伝いをします。ホームページやSNS等を通じて積極的に周知を図り、事業の利用促進を図ります。 ○がん相談支援センターの情報提供 がん相談支援センターは、全国の国指定のがん診療連携拠点病院などに設置されている「がんの相談窓口」です。区内では、NTT東日本関東病院、昭和大学病院において、がん相談支援センターが設置されています。患者さんやご家族だけでなく、誰でも無料で利用ができます。気軽に相談ができるよう、パンフレットやホームページ等で、がん相談支援センターの情報提供を行います。 ○地域の医療機関や在宅医療に関する情報提供 がん患者が訪問診療を希望したいときには、地域のかかりつけ医や病院の担当医、がん相談支援センター等に相談することで、地域の訪問診療専門医や訪問看護ステーションが連携して在宅医療を提供していきます。また、介護サービスが必要な場合は地域のケアマネジャー等の相談窓口が分かるよう情報提供を行っていきます。 ? ○がん治療における口腔ケアの重要性に関する普及啓発 がん治療に先立ち、適切な口腔機能管理を実施することで、合併症のリスクを低減させ、円滑ながん治療を行うことが可能となります。在宅療養患者で口腔ケアが必要な場合は、歯科訪問診療も実施しています。がん治療と口腔ケアの重要性について、ホームページを活用した情報発信や歯科医師会と協力し歯科事業イベントでも啓発していきます。 ○AYA世代のがん患者支援への情報提供 AYA世代とは、Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)といい、15歳から39歳の患者さんがあてはまります。患者のライフステージに応じた相談事業等を、ホームページなどを活用し周知していきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 がんの夜間相談窓口事業の相談件数 77件 増加 2 広報誌、ホームページ、SNSの発信回数 24回 増加 ? (2)地域医療連携の充実 がん医療提供体制の中核として地域がん診療連携拠点病院(区内2か所)があり、病院の中でがん相談支援センターを設置しています。多くの患者は地域の身近な病院等でがんの治療を受けており、国や都の指定するがん拠点病院と地域の医療機関との連携体制の構築を進めていく必要があります。 患者や家族が、適切な医療や支援により社会とのつながりを維持しながら、がんになっても安心して、その人らしく暮らすことができるよう、支援機関等との連携を図ります。 @がん患者支援機関等との連携 ■目標 ○がん患者等の相談支援を行っている医療機関等との連携を充実します。 ○がんになっても、区民が希望する場所で安心して療養できる環境を整備していきます。(がん相談支援センター) ○地域医療機関や訪問看護ステーションなどの専門機関と連携し、地域での支援のネットワークを構築していきます。 ■今後の取組 ○がんに関連する相談支援機関との連携 がん相談支援センターを中心に、がん患者等の相談支援を行っている医療機関等との連携を充実させ、がんになっても安心して、その人らしく暮らすことができるための取組を進めます。 ○がん地域医療連携の推進 がん相談支援センターなどのがん対策支援活動を実施している関係機関と連絡会を開催します。支援活動の情報交換を行い、がんの相談支援情報を必要とする方へホームページやSNS等を活用して広く発信していきます。 ○相談体制の充実 かかりつけ医師・歯科医師・薬剤師など身近に相談ができる窓口の紹介やがん相談支援センターで行っている相談会等の情報を区報やホームページで周知していきます。 ? ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 がん相談支援センター等の支援者連絡会への参加機関数 2 6 ? (3)がんと就労に関する相談、支援の充実 がん医療の進歩によって、治療を継続しながら社会生活を送ることが可能になってきています。一方で、がんに罹患した人の中には、職場の理解・支援体制が乏しいために、離職に至ってしまう場合や誰にも相談できずに自ら離職の決断をする場合もみられます。就労可能な状態にも関わらず、職場復帰、就労の継続が困難になってしまわないよう、相談機関の情報提供を図るとともに、職域分野との連携を行います。 @情報提供の充実 ■目標 ○がんと仕事の両立に関する相談機関の情報提供を推進します。 ■今後の取組 ○がん相談支援センターの相談事業等の情報提供 がん相談支援センターで実施するがんと仕事の両立に関する相談事業のお知らせをホームページに掲載し、また広報やSNS等でがん相談支援センターの活動を紹介するなど、幅広い情報発信に取り組みます。 ○仕事との両立支援に関する情報提供 ハローワーク、東京産業保健総合支援センター、各関係団体等が相談窓口を設け、がんの治療と仕事の両立支援をしていることを、ホームページ、広報、パンフレットの作成、イベントを活用して周知するなど、積極的な情報発信を行っていきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 仕事との両立支援に関するパンフレット配布先数 26 40 ? A職域分野との連携 ■目標 ○職域分野にがんと仕事の両立に関する相談機関の情報提供を推進します。 ■今後の取組 ○仕事との両立支援に関する情報提供 がんと仕事の両立支援の必要性や重要性を周知し、両立支援の流れや、相談機関の活用とそのリストをまとめたパンフレットの作成や、ホームページに記事を掲載するなど、職域分野も対象にした情報を発信します。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 職域分野への情報発信の実施回数 2回 4回 Bアピアランスケア事業の実施 ■目標 ○外見の変化に起因するがん患者の心理的および経済的な負担を軽減し、就労や社会生活を支援します。 ■今後の取組 ○ウィッグ(かつら)や胸部補正具の購入等費用の助成 がんの治療中の方などを対象に、ウィッグ(かつら)や胸部補正具等を購入またはレンタルした経費の一部について、助成を行います。 また、アピアランスケアについて、ホームページや医療機関、がん相談支援センター等と連携し事業の普及啓発を行っていきます。 ■目標値 No 指標 現状値 目標値 1 購入等費用助成件数 149件 480件 ? 第5章 計画の推進に向けて 本計画の基本理念である「〜がんからあなたを守りたい〜 がんにならない、がんとともに自分らしく暮らせるまち品川」の実現に向けて、取組を総合的かつ計画的に進めていくためには、区だけではなく、区民や関係機関等における取組も重要となります。 各主体が役割を果たしていくことで、区民のがんによる死亡者数の減少、がんになっても住み慣れた地域で暮らし続けていくことのできるまちづくりにつなげていきます。 1 区の役割 本計画に基づき、区民、検診実施機関、医療機関、各種関係団体、事業者等と連携を図りつつ、がん対策を総合的かつ計画的に推進していきます。また、がん対策の推進に当たり区民の声を反映するように努めるとともに、目標の達成状況の評価を行うなど、本計画の進行管理を行います。 2 区民の役割 がんに関する正しい知識やがん患者に対する理解を持ち、積極的に健康づくりやがん検診を受診することが必要です。また、がんが発見された場合には、自らの治療等について、医療サービスの受け手としてだけではなく、主体的に選択し、臨むことが求められます。 3 関係機関等の役割 医療機関、医療関係団体、介護事業者等は、がん患者が在宅医療を受けることができるよう、区と連携、協力して体制づくりが求められます。 検診機関については、質の高い検診の確保のため、精度管理の向上に努めることが必要です。 企業事業者は、従業員の健康管理のため、がんに関する情報提供やがん患者が働きやすい社内風土づくりに努めることが必要です。 ? 参考資料 1 指標一覧 基本目標1 がん予防を推進する No 指標 現状値 目標値 出典 (1)がん予防に関する生活習慣の普及啓発の推進 1 1日あたりの飲酒量が2合以上の人の割合(男性) 54.5% 減少 @ 2 1日あたりの飲酒量が1合以上の人の割合(女性) 52.1% 減少 @ 3 健康のために減塩に気をつけた食生活をほぼ毎日実践している人の割合 23.2% 増加 @ 4 野菜を1日5皿(350g)以上食べる人の割合 3.3% 増加 @ 5 1日に7,000歩以上歩いている人の割合 20.0% 増加 @ 6 日常生活の中で意識して体を動かしている人の割合 72.2% 増加 @ 7 普通体重を維持している人の割合 68.2% 増加 @ 8 1年以内に喫煙した人の割合 11.9% 10.0% @ 9 喫煙による健康影響(がん)の認知率 92.3% 増加 @ 10 禁煙外来治療費助成金交付件数 31人 100人 A 11 1カ月間に受動喫煙を受けたことがある人の割合 36.9% 減少 @ 12 HPVワクチン接種率 44.2% 増加 - (2)がん教育への取組の充実 1 医師を講師としたがん教育実施校 中学校・義務教育学校(後期課程) 15校 継続 - ? 基本目標2 がんの早期発見に向けた取組を推進する No 指標 現状値 目標値 出典 (1)科学的根拠に基づくがん検診の実施 1 国の指針にないがん検査・検診の廃止 5 0 C (2)がん検診の質の向上に関する取組の推進 1 胃がん(エックス線)検診のチェックリスト実施項目 92.3% 増加 B 胃がん(内視鏡)検診のチェックリスト実施項目 92.3% 増加 B 2 肺がん検診のチェックリスト実施項目 88.2% 増加 B 3 大腸がん検診のチェックリスト実施項目 82.7% 増加 B 4 子宮がん検診のチェックリスト実施項目 90.9% 増加 B 5 乳がん検診のチェックリスト実施項目 90.4% 増加 B 6 プロセス指標 ※1(次ページ参照) D (3)受診率向上の取組の推進 上限 なし 上限69歳 上限 なし 上限69歳 1 胃がん検診受診率 11.1% 10.9% 14.1% 13.9% D 2 肺がん(一般)検診受診率 9.1% 5.4% 9.1% 8.4% D 3 大腸がん検診受診率 20.0% 9.8% 20.0% 12.8% D 4 子宮がん検診受診率 32.2% 37.1% 32.2% 40.1% D 5 乳がん検診受診率 30.4% 36.8% 30.4% 39.8% D 6 胃がん検診(胃部エックス線検査)精密検査受診率 86.5% 88.9% 増加 増加 D 7 胃がん検診(胃内視鏡検査)精密検査受診率 97.4% 98.0% 増加 増加 D 8 肺がん検診精密検査受診率 87.6% 86.4% 増加 増加 D 9 大腸がん検診精密検査受診率 59.9% 63.4% 増加 増加 D 10 子宮がん検診精密検査受診率 79.6% 79.7% 増加 増加 D 11 乳がん検診精密検査受診率 90.6% 90.9% 増加 増加 D ※検診受診率:東京都における精度管理評価事業による算出方法で受診率を算出 国の目標値60%を目指しつつ、当面は区の行状に沿った目標値(+3.0%ポイント)を設定 ※精密検査受診率:東京都におけるがん検診精度管理評価事業調査(令和4年度実績)より ? ※1 プロセス指標 基準値(上限69歳) 胃がん 大腸 がん 肺がん (1年間隔) 乳がん (2年間隔) 子宮頸がん 2年 間隔 1年 間隔 検診以外 の受診 を考慮 連続 受診 を考慮 対象年齢 50-69歳 40-69歳 40-69歳 40-69歳 20-69歳 20-39歳 40-69歳 精検受診率 90%以上 要精検率 7.1% 以下 7.0% 以下 6.2%以下 2.0%以下 2.0%以下 6.8% 以下 6.8% 以下 2.7%以下 4.2%以下 2.0%以下 がん発見率 0.13% 以上 0.08% 以上 0.16% 以上 0.06% 以上 0.03% 以上 0.38% 以上 0.29% 以上 0.16% 以上 0.18% 以上 0.15% 以上 陽性反応 適中度 1.9% 以上 1.1% 以上 2.6% 以上 3.0% 以上 1.6% 以上 5.5% 以上 4.3% 以上 5.9% 以上 4.4% 以上 7.4% 以上 非初回受診者の2年連続 受診者割合 - 30%以下 40%以下 基準値(上限74歳) 胃がん 大腸 がん 肺がん (1年間隔) 乳がん (2年間隔) 子宮頸がん 2年 間隔 1年 間隔 検診以外 の受診 を考慮 連続 受診 を考慮 対象年齢 50-74歳 40-74歳 40-74歳 40-74歳 20-74歳 20-39歳 40-74歳 精検受診率 90%以上 要精検率 7.7% 以下 7.6% 以下 6.8%以下 2.4%以下 2.3%以下 6.5% 以下 6.4% 以下 2.5%以下 4.2%以下 1.9%以下 がん発見率 0.19% 以上 0.11% 以上 0.21% 以上 0.10% 以上 0.05% 以上 0.40% 以上 0.31% 以上 0.15% 以上 0.18% 以上 0.14% 以上 陽性反応 適中度 2.5% 以上 1.5% 以上 3.0% 以上 4.1% 以上 2.2% 以上 6.1% 以上 4.8% 以上 5.9% 以上 4.4% 以上 7.3% 以上 非初回受診者の2年連続 受診者割合 - 30%以下 40%以下 ? 基本目標3 がん患者やその家族への支援を推進する No 指標 現状値 目標値 出典 (1)がん患者やその家族の不安軽減に向けた取組の推進 1 がんの夜間相談窓口事業の相談件数 77件 増加 A 2 広報誌、ホームページ、SNSの発信回数 24回 増加 - (2)地域医療連携の充実 1 がん相談支援センター等の支援者連絡会への参加機関数 2 6 - (3)がんと就労に関する相談、支援の充実 1 仕事との両立支援に関するパンフレット配布先数 26 40 - 2 情報発信の実施回数 2 4 - 【出典】 @令和5年度健康に関する意識調査 A令和6年度品川区の保健衛生と社会保険 B国立がん研究センター がん情報サービス 市区町村用チェックリスト実施率 C令和6年度東京都生活習慣病検診管理指導協議会がん部会における意見について Dとうきょう健康ステーション ? 2 用語集 ? 3 委員名簿 No. 選出区分 氏名 所属団体 1 学識経験者 ◎津金 昌一郎 国際医療福祉大学大学院 医学研究科公衆衛生学専攻 教授 2 地域がん診療連携拠点病院 ○内野 慶太 (R6.6.1〜6.9.30) NTT東日本関東病院 腫瘍内科部長 ○佐藤 彰一 (R6.10.1〜7.3.31) NTT東日本関東病院 外科部長 3 〃 〇角田 卓也 昭和大学病院 医学部内科学講座腫瘍内科学部門主任教授 腫瘍センター長 4 患者支援団体 秋山 正子 認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事 マギーズ東京センター長 5 医師会 江口 輝男 品川区医師会検診担当理事 6 〃 小峰 武明 荏原医師会附属診療所健診部門理事 7 歯科医師会 小野寺 哲夫 品川歯科医師会会長 8 〃 和栗 範幸 荏原歯科医師会会長 9 薬剤師会 原山 真理子 品川薬剤師会副会長 10 区民公募 中越 勝 区民 11 〃 飯沼 幹子 〃 12 庁内委員 阿部 敦子 健康推進部長 13 遠藤 孝一 健康推進部次長 地域医療連携課長事務取扱 14 〃 若生 純一 健康課長 15 〃 五十嵐 葉子 保健予防課長 16 〃 福地 真奈美 大井保健センター所長 17 〃 小林 徹 地域産業振興課長 18 〃 東野 俊幸 福祉計画課長 19 〃 柏木 通 学務課長 20 〃 丸谷 大輔 教育総合支援センター長 ◎:委員長   ○:副委員長 ? 4 検討経過 ? 5 がん相談支援センターおよび緩和ケア病棟を有する病院 ?