令和6年度第1回品川区障害者差別解消支援地域協議会 議事要旨 開催日時 令和6年9月6日(金) 午後2時から午後4時 開催場所 荏原第五区民集会所 第一集会室 出席者 近藤会長、中村副会長、吉澤委員、木下委員、佐野委員、中村委員、市川委員、冨田委員(代理出席)、奥田委員、岩間委員、田島委員、島委員、中山委員、菊地委員、島崎委員、大胡田委員、三輪委員、伏見委員、庄田委員、加藤委員 欠席者 八束委員、佐藤委員、紙子委員 議題 1、開会 2、議事 (1)報告事項 (2)相談事案における相談者等へのフィードバックについて (3)事例検討 (4)その他 3、閉会 配布資料 資料1、障害者差別解消支援地域協議会の趣旨・目的等について 資料2、相談事案における相談者等へのフィードバックについて 資料3、法的判断の検討プロセスについて 参考資料1、委員名簿 参考資料2、品川区障害者差別解消支援地域協議会運営要綱 1 開会 ・障害者施策推進課長 挨拶 ・委員紹介 2 議事  (1)報告事項 近藤会長  昨年度、そもそもこの障害者差別解消支援地域協議会が品川区の中で一体どういう役割を持っているのかということについて、皆さんと共有したことを覚えておられると思います。そのときに、内閣府の資料などでこういうことが地域協議会の役割として期待されているということを皆さんと共有しました。それを振り返るための資料として資料1の内容を簡単に説明させていただきたいと思います。  まず1点目、地域協議会の趣旨ということで、もともと差別解消支援地域協議会がつくられた理由、しかもこれが各自治体に存在している理由ですが、やはり障害者の差別解消を困難にしている要因として、どこに相談すればいいのか分からない、相談先だけでは対応してもらえない、うまく対応ができないという状況があります。結果、その状況が障害者差別解消の妨げとなっているということで、こういう事態が起こってくるのではないかということで4点挙げています。1点目は窓口による対応のばらつきがあること。結果として無用なトラブルを招きます。これは昨年も事例共有をしましたが、まさに起こっていることです。  それから、障害福祉担当部署や問題発生部署が解決の全てを背負わなければならなくなるということが2点目に挙がっています。この地域協議会は、ここにいる委員の皆様全員で形づくっているものですので、ここで話したことを事務局の担当部署に全部お任せということではなくて、私たち自身が実際に活動する人間となって、品川区全体がよくなっていくような取組をみんなでやらなければいけない。ただ、その認識がなかった場合だと、どうしても担当部署にお任せになったり、問題が発生したとされる部署が責任を取って全部やらなきゃいけないというような話になったりしてしまうと、これも危惧すべき状況だということです。  それから、3点目に、地域における合理的配慮や建設的対話のレベルが上がらず、障害者の理解が一向に進まないという状況があることです。実際にいろいろな差別に関する事案が起こったときも、そこでみんなで一緒に建設的対話をしてみて、合理的配慮のやり方を一緒に考えてみて、結果として関係者の理解を高めていくことが必要になるわけですが、それを放置していると、当然、理解が一向に進まなくなってしまう。  4点目として、これらの結果として、同じような問題が繰り返されるということです。例えば、レストランだったり飲食店だったり、この地域の様々な施設で、まさに差別されたということや、合理的配慮を受けられなかったということなどの事案がそのままになってしまって、地域の底上げが図られなくなってしまうということです。  こうした問題を解決するために地域協議会が設置されているということです。  期待される効果としてどんなことがあるかというと、5点挙げてあります。  1点目が、相談への迅速かつ適切な対応ということです。事が起こったときに、私たちのほうでそれをどう対応していくかを一緒に考えるということです。これは昨年、今日の資料には上がっていませんが、差別事案が起こったとき、どういうプロセスで報告が私たちのところに上がってくるかという道筋を整理整頓しました。その中では、本当に急な差別事案が起こって、かつ迅速な対応をしなければいけないということになったときは、全員招集して一緒に何か進めていくということは急にはできないことがあると思います。ですので、そこに会長・副会長と事務局で、まず一次的な対応ができるようにということをお認めいただいたのは覚えておられるかと思います。ただ、もちろん、そこで迅速に対応した後、皆さんと一緒に協議をして、区全体、まちとして何をやっていくかを考えるのは別途やっていくというまとめを行いました。  2点目について、紛争解決に向けた対応力の向上、これは1番と関係しますので、実際に事例を持ち寄って、私たち全員で議論することによって対応力を上げていきましょうということです。  それから、3点目が職員の事務負担の軽減です。これは自治体の職員さんに何でも陳情してお任せではなく、みんなでやっていくということで、事務負担を分かち合いましょうということです。  それから4点目、権利擁護に関する意識のPR、これは前回の議論の中でも、例えば寸劇など意識を向上させるようなことをみんなでやらないかという話題が上がりました。フォローアップをどうしていくかという問題がまだ残っていますが、こういった意識をPRしていくというのは私たちの役割かなと思います。  最後、5点目、互いに本音で話し合える関係の構築ということで、これはまさにここで直接会って顔を合わせながら、事例に基づいていろいろな議論をしていくということで、私たちの地域での関係性をつくっていくことができればいいと思っています。  下の条文は、国として、地域としてやっていかなければならないことが差別解消法に書かれているという説明です。  次のページに、2番目の地域協議会の役割が書かれています。ざっくり言いますと、事例をしっかり共有しましょうということで、昨年は特に事例共有のための枠組みやルールづくりなど、考え方の皆さんとの共有など、じっくりやってきたと思います。  相談体制の構築については、まだこれからのところがあります。まだ相談の道筋が整ったというだけですので、これから皆さんと事例を共有することを重ねていく中で、どんな体制で、個別の相談、それから差別事案に対応していくのかというのは、これから私たちが育てていかなければいけない、相談体制構築はこれからの課題かと思います。  最後の普及啓発のところです。これは前回の会議でもいろいろな意見が上がっていたと思いますので、どこかでしっかり企画として皆さんと一緒に、この地域協議会の主催という形で何かやっていくことができればと考えているところです。  以上の役割を、実際に品川区でも地域協議会を置いてやっていきましょうということが次に書かれています。  最後、3番目です。地域協議会における守秘義務についてです。この守秘義務については昨年、しっかり議論しました。私たちはどうしても個人情報につながるような事例の共有を行わざるを得ないところがあります。ごく簡単な、表層的な事例だけを知ったとしても、それをどうやって品川区の中で起こらないように私たちが工夫していけるのか、それを考えることは、やはり抽象的な事例だと分からないことがあります。そのため、具体的にどんな差別事案が起こってきたのか、そこに関わっていた人たちはどういう人たちだったのか、結果、本質的にはどの部分が差別事案に当たる部分だったのか、そうしたことを議論する必要がありますので、個人のお名前が出てくるわけではないですが、人によっては容易に推測できる場合もあるかもしれません。なので、委員の皆様に関しましては、個人情報を遵守するということを十分気をつけていただければと思います。守秘義務に違反した場合にはもちろん罰則もございますので、十分注意して臨んでいただければと思います。  詳しい事例をやり取りする場面も、この協議会の事例共有のところではありますが、こちらについては傍聴をいただかないという形で、委員の中だけで、じっくりその事例に向き合って議論を行うことになっております。  私からの報告は以上です。この形で今年度の意識をそろえた上で、皆さんと一緒に差別解消に取り組めればと思っております。 (2)相談事案における相談者等へのフィードバックについて 近藤会長  昨年、相談が私たちの協議会にまでやってくる道筋を整えました。いろいろなところから私たちの協議会のところに差別事案が集まってくるような形を、第1弾として流れをつくりました。  実際にはもちろん、もっと様々なところから障害者差別に関する事案がこの協議会に集まってくるような形をさらに整えていく必要があると思っていますが、少しずつですがもう既に相談の事案が集まってきております。そうすると、ただ協議会が相談を聞いて、ここで議論をして、何か取組をやりましょうということで終わりではなくて、ご相談いただいた区民の方や、企業の方などに対して、この協議会においてはこんな議論がされました、こういう取組をつなげていこうと思いますというフィードバックをできるだけ迅速にお返しする必要があると思います。これまではしっかりした形はつくられてきていませんでした。このフィードバックをどう返していくのかということについて、まだ十分に皆様と議論できていなかったということが昨年の状況になります。  そこで、この事例共有された相談事案の相談された方、もしくは関係する事業者の方などにどのようなフィードバックをしていくのがいいのかというのを皆様からご意見いただきたいと思っています。  それから、ここに4点ほど議論のポイントを挙げております。1点目は、まず、相談者に対するフィードバックです。不当な差別的取扱いを受けたとか、合理的配慮の提供で課題を感じた等の相談をしてくださった方に対して、どのようなフィードバックを返していくのがよいのか、広く意見を伺えたらと思います。  相談者の方にも幾つか属性があるかと思います。例えば相談者が障害者またはそのご家族だった場合、または相談者が事業者で、不当な差別や合理的配慮の提供についてご相談があった場合などいくつかのケースの中でフィードバックを返していく必要があると思います。  このことについて、このような返し方があると、今後の差別解消の品川区での発展についてはすごく意味があるのではないかといったことについてぜひご意見お聞かせ願いたいと思います。例えば当事者団体の皆様から、実際に相談したときに、こんなフィードバックをしてくれたら助かるといったことがもしあれば、お聞かせ願えたらと思います。 A委員  協議会としてのフィードバックになるか分かりませんが、実際に差別を受けた例や合理的配慮を提供されなかった直後に、何らかのリアクションを返してもらえるといいなと思います。例えば、お店で入店を断られてしまった。相談したら、次の日にそのお店に対してこういうことは駄目だというふうな指導をされたといったことがあると、とても使いたくなるような制度になるだろうと思います。 近藤会長  ありがとうございます。やはり迅速な対応が必要ではないかということですね。ただ、この協議会としては、相談があったその日にみんなで集まって、さあ、どうしようと議論することはできないので、1つの対策として、会長・副会長、それから事務局のほうで判断をして、一時的にはまず返すという形にしていたと思います。  その後、この協議会としてどう考えるかという点については、こういう工夫があるといいということは何かありますか。 A委員  これは相談者個人に対するフィードバックも然りですが、区民全体に対してこういう問題があって、こういう解決をしました、次からこういうことが起こらないようにしましょうというような啓発につなげていくことがむしろ重要なのかなという気がします。相談者個人に対するフィードバックは、こういう会議があって、こういう議論がされました、貴殿の相談をきっかけにこんな充実した議論ができましたというような報告になってしまうかなと思います。 近藤会長  ありがとうございます。相談したほうとしては、実際に何か働きかけをその事業者にしてくれたのかなどが出てくると思うので、その辺りで、品川区の場合だとどういう協議会の動き方をしていくかというのは、もう少し煮詰めていかなければいけないこともあるのかなと思っております。 B委員  すごく難しいと思っているのは、例えば私が相談を受けた場合に、おそらく、私だから言ったのかなと思うようなこともあり、それをどのように公の場に乗っけていくのかというのが、相談者の方に丁寧に聞いていかないといけないだろうなということが1つです。また、迅速な対応は本当に大事だとは思いますが、誰がやるのかというところが一番問題で、協議会に関しては、事務局にいろいろな声が集まってきやすいと思うので、それを協議会にどんどん持ってきていただいて、品川区全体でどんな問題が起こっているのか、相談が1ケースでも、きっといろいろなところで発生しているのだろうなという想像がつくので、それに対してどうやって取り組んでいくのかというところを協議会で議論して、相談者にフィードバックしていけたらと思いました。 近藤会長  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思いました。 C委員  相談したご本人としては、自分が相談して、それがどうなったかということを一番気にかけているというか、知りたいところかなというのは、日々、相談を受けていて感じますので、相談しっ放しにならないように、次につなぐ場所であるとか、アドバイスにつなげる工夫をできるような、相談した側も安心して相談できるような場づくりなど、相談してよかったなと思えるようなものがあるといいかなと感じました。 近藤会長  ありがとうございます。そうすると、具体的な取組にどうつなげていくかというのは、この場で相当議論したり提案したりしていかなければいけないなというのを今のご意見からも思うところです。 D委員  私が障害者の家族として感じるのは、障害者を特別な目で見ているようなことがあって、障害者の気持ちでは見ていただけないというのが多いです。例えば、差別しているわけではないけれど、もう少し歩けるだろうに努力が足りないということや、リハビリをやっているのかなど、もう本人の中では20年も前に成人をしているのに、少し知的な障害があると子ども扱いされる。それがまた、福祉の関係者でも自分の身についてしまって、対話にならずに、こうするべきだよねとなってしまうこともあります。障害者はずっと子どものときから一つひとつ諦めて、諦めた結果が今の障害者と健常者の間の壁になってしまっている部分があって、それを障害者の側から相談して、あの人がひどいという言い方はできるかと思うのですが、みんながひどいという言い方にはしにくいです。その部分がすごく訴えにくいし、障害者の家族から見ていると、障害者本人も気づかない中で、意外と身近に介護をしている人などがしっかりした差別をしている場合があって、それが助長されると虐待につながったりするかと思う。それはすごく壮大な、カルチャーの問題だと思いますが、自分たち健常者が育ってきた中で考えている障害者と実際の障害者は随分違うという部分がもう少し分かってくると、差別も減ると思います。 近藤会長  ありがとうございます。すごく大事なことをおっしゃってくださったなと思いながら聞いておりました。差別されたと思ったということだけでなく、その背景に地域の文化やカルチャーの問題があるかもしれないということですよね。そこにしっかり働きかけるようなことを考えて、しっかり取組にみんなでつなげていくということができればいいと思います。  それから、人間は、専門家とか支援者、当事者とか、そういう縦割りって本当はできないと思います。言わなければ分からないだけで、本当は家族とか大事な人に障害のある方だったりご病気のある方がおられたりとか、本当はご自身にもご病気があったりされる方がおられると思うので、障害者、それ以外、という切り分けではなくて、平等、対等に話せていけるような場にできたらいいなと思います。  フィードバックを障害者またはその家族の方にお返しするときというのは、どのような取組みをやっていくかも伝えなければいけないし、専門家や窓口で受け止めましたではなくて、協議会という私たちとして受け止めていく、同じ区民として受け止めていくというところが大事だという議論だったかなと思います。  相談者が事業者の場合のフィードバックついて、ご意見お聞かせ願えないでしょうか。事業者から、これって差別ですかとか、合理的配慮ってどうしたらいいのですかというような質問が来たりしますか。 E委員  会社からはないですが、会社に対して、合理的配慮が足りていないという相談を聞いたことはあって、逆にどんなふうにその会社に私たちの役割で声を届けられるだろうというところは、本当に課題だなと思っております。  この協議会の場で、ただ合理的配慮がされなかったという思いを我々が聞く、その個人の思いに対してジャッジをしていくだけではなくて、そこを通してどんなふうに品川の地域の中で、啓発を行うことでそういった事案を減らしていけるのかというところなのかなと思います。この過程で事例を共有し、議論されて、こういう合理的配慮がされることでもっと生活がしやすくなるとか、外に出やすくなるとかというふうなことを広められるメンバーが集まっているのだなと改めて思って、そこをどう返していくのかというのがそれぞれの立場でできることでもあるし、ホームページなどで活動や考えることを皆さんで広めていただきながら、無意識に、気づいたら配慮に欠けていたことが、やがてここはこうしたほうがよかったのだなと思う人が増えていけばいいのかなと思っています。 近藤会長  ありがとうございます。本当に重要なことを振り返っていただけたと思います。最終的に本当にジャッジしたいという話になったら、法務局や司法など、いろいろなところは一応あります。ここはジャッジするような場ではなく、ぜひどんどん事例を委員全体で共有していけたらと思いますが、それをどういうふうにしていったら、そういう状況が今後起こらなくなるような取組になるかというのは考えていかないといけないと思います。  ですので、例えば支援センターのほうに相談があったようなこととかもご遠慮なく共有していただければ、この委員のメンバーであれば守秘義務もございますので、個人が分からないように調節することもできますし、事例があれば共有していただいて、この場でどうやったらそれがなくなるのかというふうに考えたいと思います。  そこで、例えば商店や企業の側から、障害者差別に当たるのかという意識や相談というのがこれまで出てきたことはありますか。 F委員  今、商連のほうで取り組んでいるのは、認知症の方をどういうふうな形で応対するかということで、1日に何回も例えば牛乳を買いに来てしまったときに、自尊心を傷つけないようにどう伝えるかという勉強会をやっています。教わらないと、どういうふうに対応していいのか分からない。それから、例えばこの人が本当に障害者なのか、健常者なのかという見極めができないので、どういうふうに接すればいいのかが分からない。我々もどんどん勉強して伝えるというところをもっと一生懸命やっていかなければいけないかなと思います。それと、認知症の場合ですが、オレンジのTシャツを店頭にぶら下げることで、認知症の方の勉強をしている店という印になっているので、その辺もどんどん増やしていきたいなと思います。 近藤会長  それはすごくいいアイデアですよね。会社側がそういう勉強をしたこと、例えば車椅子の扱いや筆談できますなど。それは今後の取組のアイデアになるのではないかなと思いながら伺いました。ありがとうございます。 G委員  以前、経験したことですが、仕事を探しているときに、申込みをしたところ、声を出せますかと聞かれてしまいました。手話が必要ですと答えますと、困りましたねというような返答がありました。最終的に会社のほうから通訳の依頼をお願いしますと説明しました。面接のときには、まだ通訳を頼む方法が分かっていなかったようで困っている状況でした。そういう状況がとても多かったので、少し驚きました。もっと皆さんに手話通訳がいるとか、いろいろなことが広まればいいなと思います。ハローワークの場合は耳が聞こえないということが分かれば、ファクスですぐ連絡してくれますが、まだまだ難しい状態です。いろいろあるのですが、どんな方法がいいのか、まだはっきりと分からないような状況です。 近藤会長  ありがとうございます。もう一つ、例えば一般の商店などで、こういうマークがあったりとか、こういう取組があったりするとすごく助かるという点、何かありますか。 G委員  一般的かどうか分からないのですが、中小企業、小さい会社に聾者の理解がまだまだ足りないところが見受けられます。残念に思います。筆談をすると言うと、断られてしまうことが4、5回ありました。聾者だからということで無理なことがたくさんあって、ハローワークを通して申し込む場合には問題がないのですが、個人的に申し込もうとすると、断られてしまう。  コミュニケーションボードのようなものが置いてあって、これを指すと分かってもらえるとか、ゆっくりと口形をつけてもらうとか、そういう工夫があるといいなと思います。つまり、聞こえない人が来ても、聞こえないことを知ってくれているという状況がありがたいということ、そこがまず第一歩かなというところだと思います。 近藤会長  ありがとうございます。こういう勉強をしているということが示せたら、まさに安心につながるということをおっしゃっていただけたのかなと思います。今後、何かこうしたこともいい案があれば、またこの協議会で議論できればと思います。  もう少しだけ時間がありますが、この資料2の2と3に関する内容についてほとんど議論させていただきました。2番のところ、差別をしたとされる事業者へのフィードバックについては、できるだけ迅速に返してもらえるといいのではないかというお話があったと思います。その他の委員からは、確かに協議会として事業者にどうフィードバックしていくかというところは、ここはあれが差別だったかどうかみたいなのをジャッジするところではないので、なかなか難しいというお話が出てきていたと思います。ただ、それは確かにそんなことをやられたら、大変だったよねということは当然ここで議論していいと思いますので、事業者に対するフィードバックの在り方、それから、協議会で事例検討したこと、個人情報に関しては情報公開しないことにしていますが、どういったフィードバックや情報公開をしていくと望ましいと思うかについて、いかがでしょうか。 H委員  差別は個人から出ている問題だと思います。団体だとか会社から直接、会社ぐるみで差別を受けた、あるいは商店ぐるみで受けているというのは分からないです。ほとんどが個人ですよね。そうすると、相談を受けたときに、誰かにそういう差別を受けたということが分かれば、その人は組織の人間かなということが分かるわけですよね。そうすると、組織のほうに対応ができるというふうな話になると思います。一般の個人だと、相手がどこの誰だか分からないのでどうやって差別を解消してあげたらいいのかという問題が出てくると思います。  個人から出ているものを委員の人が受けたときに、それが妥当なのかどうかという判断と説明をしてあげなければいけないわけです。これは独断で委員としては発言ができるかできないか、説明ができるかどうかという問題が出てくる。それを協議会にフィードバックしていただいて議論して、いずれにしても、対応したものは協議会にフィードバックしていただく。そこで議論していただいて、自分が対応したことも含めて、よかったのか悪かったのか。協議会で差別に該当するとなれば、商店なりあるいは会社がどういうふうに対応していくかという話になる。  ですから、1つは、今の協議会として、会社側に、こういう会社の人間が対応をした、これはひとつ解消していただきたいという協力をお願いする。あるいは会社側に対して、場合によっては品川区として、行政機関としての対応がいいとなるのか、並立して対応するのかという問題が出てくるのではないかと思ったので、委員の方は大変ですが、委員になって、相手側が誰だとか、不明なのかどうか、不明の場合はどうするかという問題もあるわけで、品川区全体に差別問題について周知してもらうという方法もあるだろうし、協議会として周知するのかどうかという問題も出てくると思います。 近藤会長  ありがとうございます。個別に相談を受けているケースをここに上げるかどうかで悩むことや、既にセンターとして対応しているので、ここに上げるというのはどうなのかなというところがあるのではないかと思います。  ただ、そういうことがこの区内で起こっているということをここで共有して、フィードバックしたほうがいいのではないかというご意見だったと思います。どんな形でそれを集約していくのがいいのか、副会長いかがですか。 中村副会長  非常に難しいお話ですよね。前回、障害者差別に関する相談の流れという表をつくっていただいて、障害を理由とする差別に関する相談がどのように上がってくるのかという道筋を3つの類型に分けて検討しました。障害者差別に関する対応を受けてしまった方が障害者施策推進課のほうに直接という話と、関係機関、行政機関とか事業者等に相談して、行政機関や事業者の方々が障害者施策推進課のほうに相談するという類型、もう一つは、障害者団体の皆さん、相談員の皆さんから障害者施策推進課に情報提供いただくという類型、この3つ目、障害者団体の皆さんや相談員の方から障害者施策推進課に情報提供していただく道というのが最も効果的というか、内容として取り上げるべき適切な事案になるのではないかというふうに前回聞いていて思いました。なので、皆さんからご相談を受けた場合には、障害者施策推進課のほうに積極的に情報提供をしていただきたいと考えています。  一方、事業者や行政機関、様々な機関の方々が、こちらに直接相談するというのはなかなか心理的なハードルが高いのかなという気がします。なぜかというと、自分たちの対応が間違っていたのではないかということを意識せざるを得ないからです。  そうすると、先ほど議題に上がっていた3番の情報公開を積極的に行うことによって、事業者の皆様、もしくは行政機関、各種機関の方々が検索をして、自分たちの対応の何が適切だったのかを検討してもらう方法がよろしいだろうなと。特に、好事例の案件を積極的に、かつ多数掲載し、発信することによって、事業者の方々、組織、行政機関の方々が自ら何をすべきなのかを判断してもらえるという形になる。そのために、その前提としての団体の皆様、相談員の皆様から推進課に、各種、具体的な相談事例を積極的に情報提供していただくということが前提だろうなということを聞いておりました。協議会で検討して、悪い事情を情報公開するのは適切じゃないなと思うので、いい事例でしたねということをホームページなりなんなり、いろいろな媒体によって公開していくと。それが回りめぐって差別解消につながるのではないかというふうに考えておりました。 近藤会長  ありがとうございます。  今まさに前回の議論を正確にまとめてくださったなと思います。確かに、皆さんのところにどんな相談が届いていたのかというのを取りまとめてここで議論するというプロセス、最初入ってくるプロセスは整理しましたが、どう収集していくかはそういえばちゃんと決まっていなかったですね。次の会は、皆さんに何か事案がありましたかというのを簡単にアンケート取るなどはやってみてもいいかもしれません。それを出して、それで議論を深める、この後の事例共有のところで議論を深めていくということができればなと思いますので、これは会長・副会長と事務局で大まかなアンケートを取って、事例共有のセクションのところでみんなで共有することができればいいと思いました。 I委員  今の皆さんからのお話、とても勉強になるなと思いながら、そして、そのような差別が起こってしまっているということに、聞いていて非常に心が痛いという思いになりました。  これは1つご提案ですが、先ほども近藤会長がお話しされていた中にアンケートという言葉がありました。これはとても大賛成で、対応した事例に対して、家族が相談する場合も事業所から相談される場合もあると思います。相談を受けたときに、実際の対応がどうだったのかというのを一例一例、もちろん任意ですけれども、アンケートを取る形がいいのかなと思っています。  私は品川区の中でいろいろな医院、病院も含めて、どうしたらいいのかと相談されるケースもありますが、患者さんに対して、そして利用者さんに対してアンケートというのはすごく効果的で、耳の痛いこともいっぱい書かれますが、必要なことだと思います。  同時に、今回も皆さん集まっていただいたこの地域協議会がよりよくなっていくためには、利用者の方たちに対してアンケートを取ると、実際に対応が早かったというケースもあれば、遅かったという場合もあると。1つの言葉がよい方向に働いた場合もあれば、傷ついてしまったというケースもあるかと思います。ですから、アンケートを積極的に行うのは、この協議会が組織としてよくなってくためにとても大切かなと思います。 近藤会長  ありがとうございます。アンケートに対してご賛同いただいてありがとうございます。考え方の整理がまだまだこの会の中心になっていますが、本当はそうやってどんどん事例が集まるような形にしていかなければいけないので、ぜひアンケートについては考えてみたいと思いました。  さて、今、議事の2番目のところ、相談の事案のフィードバックの仕方について、幾つか考え方は整理できてきたかなと思います。迅速なところはこちらのほうで対応させていただきますけれども、提案だったりとか委員の皆様からの差別事案の吸い上げだったりとか、好事例のウェブサイト等での提供だったりとか、いろいろな案が上がってきているところで、そういった形でうまくできるかを今後検討できたらと思います。 (3)事例検討    相談事例(1件)について、事例検討を行いました。 (4)総評・その他 近藤会長  今日はとてもよい議論ができましたし、観点をたくさん整理できたかなと思います。 中村副会長  今日の事例検討における事例から学ぶべきことがたくさんあると思います。私がその中でも優先してほしいのは、同じような相談が来たときにどう対応できるのか、体制をつくるべきかと。同じようなことが起きた場合には、こういう制度、方法、対策があるということを知ってもらうことが大切だろうと、聞いていて思いました。  それから、できるかできないかを一律に判断するのではなくて、建設的な対話の過程を踏んでいくこと、それによって解決策が出てくるのかもしれない。これを積極的にやっていただくような社会になっていけばいいのだろうなと思いました。  私も知らなかったことがたくさんありまして、例えば認知症の方に対応する商店はオレンジ色の何かを掲げているなど、そういう取組がもっと広報できたらいいと思います。  そして、事業者の方から、例えば手話通訳者さんを手配したいがどうすればいいのかと品川区に問合せがあった場合に、品川区としてはこういう手段、方法、メニューがありますということを告知できるような仕組みがもっとあるといいだろうなと思います。  今日の事例検討会は、同じようなご相談があった場合に、より迅速かつ適切に対応できるためにはどうすればいいのだろうということを考えていくことが最も大切なことだと思いました。 J委員  今、品川区では、この3年か4年の間に八潮に老人ホームを大きくするという計画があって、そこに重症児が通うピッコロというのがあります。今、6人程度のところ、今度そこの老人ホームの中に立派な建物を建ててくれて、その中にピッコロも移動すると。20名定員になるはずという説明会でしたが、この間、地元の説明会があったときに、老人ホームだけの説明であって、ピッコロの説明が何もなかったのです。だから、何で隠すのかなと。いまだにそれがあるのと私はすごく疑問に思っています。実際には建物もすごく立派になりますが、ただ老人ホームだけですよと。図面にはしっかりと重症児童と書いてあるのです。だけど、一般の説明会にはただ老人ホームだけであって、何でとすごく疑問に思っているところですけれども、まだまだそれがあるのかなという感じをすごくしています。 近藤会長  ありがとうございます。その件、ぜひ次回までにもう少しお話を聞かせていただいて、次回の事例検討のときとかにどういうことだったのかという形で、またお話しいただけたらと思います。 K委員  少し不足していると思われる視点なのですが、障害者の方から相談を受けますが、そもそも、それは事実なのかという確認にかんしてです。私どもですと、就労中の障害者の方などから相談を受けます。障害者の方から、どんな差別を受けたのかということ、何をしてほしいのか、何を求めているのか、会社への指導を求めているのか、その場合に、匿名を希望されるのか、実名を出していいのかなども聞くのですが、会社さんに事実確認に行くと、会社さんのお話しはその障害者の方が言っていることとは少し違うという場合もあります。また、障害者の方が匿名を希望された場合には、その方が断定されないように一般的なお話ししかできません。指導と言われても、リーフレットなどはありますが、そういったものを会社さんにお渡ししてお話しするということになりますが、いずれにしろ、事案対応の過程で事実確認は欠かせません。  判断をどうするかというのも難しい問題です。まずは就労されている障害者の方と会社さんでよく話し合って、過度な負担にならない範囲で着地点を決めていってほしいのですが、例えばテレワークをさせてもらえないとか、そういった相談だった場合に、障害者じゃない社員はテレワークをしているのに、その方だけさせてもらえないということだと、それは合理的配慮がされていませんということになるのかもしれないですが、そもそもその会社は、業務の性質などからテレワークを実施していませんということだと、また別な話にもなり、非常に難しくて、個々で判断するしかないわけです。資料3でも例が載っていましたけれども、かなり今、内閣府のホームページなどにも具体的な例が出ています。そういったもので勉強していくのがいいのかなと。本当にいろんな例が載っていますので、参考にされたらいいかなと思います。 近藤会長  ありがとうございました。事例を検討するときには、双方の視点からの情報をしっかり入れて検討していく必要があるのかなと思います。もちろん皆さんにアンケートとかをさせていただきますけれども、出せるものを出していただければと思いますので、全てをということではもちろんないかなと思います。  今日は少し話せなかったので、またどこかでお話しできたらなと思いますが、例えば厚生労働省の手話通訳・要約筆記等担当者の配置または委嘱助成金などもありますので、それの適用範囲みたいな部分も、また今後皆さんと共有できたらいいと思いました。  また、ハローワークが、労働者と経営者の側の間に入って相談に乗ってくださっているみたいなことがよくありますので、そういったことも今後、どういう枠組みがあるよという情報提供をいただいてもいいのかなと思います。  事例がたくさん載っているというのはおっしゃるとおりで、また今後そういった事例検討の在り方についても考えられたらなと思います。  ありがとうございます。皆さん、本日は大変活発なご議論、ありがとうございました。 3 閉会   障害者施策推進課長 挨拶