品川区DX推進基本方針2025(しながわDX) 2025(令和7)年 暫定版 目次 01. はじめに 02. 将来像と実現に向けた基本方針 03. 推進に向けて 参考:本基本方針の位置づけと策定経緯 Well-being Cityしながわへ。 品川区は DX(デジタルトランスフォーメーション)を通して Well-Beingを実感できる都市を目指します。 DXで、しながわの暮らしを、一歩先に。 01. はじめに 基本方針策定の背景 人口減少社会と担い手不足への対応 少子高齢化が進行する中で、今後、生産 年齢人口の減少と労働力不足が一層深刻 化することが予想されています。このよ うな状況では、従来の運営体制では行政 サービスの維持が困難であり、業務の効 率化やデジタル技術を活用した行政サー ビス提供の仕組みが必要です。 利用者起点でのサービス改革の必要性 区民の多様なニーズに応える利用者起点 の行政手続やサービス提供が求められて います。そのためにも従来の縦割り的な 行政から脱却し、区民にとって分かりや すく、利便性が高いサービスへと改革す る必要があります。 サービスレベルの向上と負担軽減 行政サービスの質を向上させるためには、 デジタル・トランスフォーメーション (DX) の推進が欠かせません。DXによ り、デジタル技術を用いた効率的な業務 プロセスと利便性の高いサービス提供を 実現し、区民が安心して利用できる サービス環境を整備する必要があります。 DXの着実な推進のための方針策定 DX推進は一朝一夕に実現できるもので はなく、継続的な取組が不可欠です。そ のため、区としての方針を明確に定め、 関係者間で共通認識を持ちながら、着実 に推進していく必要があります。 02. 将来像と実現に向けた基本方針 3つの視点によるアプローチと将来像 区民に寄り添う区を実現するには、行政サービスの質の向上だけでなく、行政運営の効率化と地域の連携が必要不可欠です。 そこで本区では、サービス・地域・シゴト(行政)の3つの視点からアプローチを行い、DXによって将来像の実現をめざします。 @ サービスDX 将来像 便利・快適・親切な行政サービスを 実感できるしながわ A 地域DX 将来像 誰もが魅力・活力・安心を 感じられるしながわ BシゴトDX 将来像 徹底した業務改革による 創造・行動中心の行政 サービスDXによる将来像実現に向けた基本方針 将来像 便利・快適・親切な行政サービスを 実感できるしながわ 多様な区民ニーズに沿った、区民目線でデザインされた便利で快 適に使える行政サービスが提供されています。また、区役所や区 施設では、対面ならではの区民に寄り添った行政サービスが提供 されています。 サービスDXの将来像の実現に向けた3つの基本方針 どこからでも簡単にサービスを 利用できる環境を整えます 証明書発行や各種申請・届出等の行政手続きを時 間や場所に制約されずに利用できるよう、オンラ イン申請を拡大し、利便性を高めます。また、来 庁不要の相談体制を強化することで、区民に寄り 添ったサポートを推進します。 わかりやすく、利用しやすい スムーズな窓口を提供します 窓口での手続きをよりシンプルにし、待ち時間を 減らすことで区民の負担を軽減します。区民目線 でわかりやすく、利用しやすい窓口を実現します。 また、新庁舎整備を通じて、対面でのきめ細やか なサポートを充実させ、区民にとって快適な窓口 サービスを提供します。 必要な情報に簡単に アクセスできる環境を整えます 区民のニーズやライフステージに応じて、必要な 情報をタイムリーに提供します。これにより、行 政サービスや重要な情報に快適にアクセスできる 環境を整えます。また、区の保有する様々な情報 の視認性を高め、区民が必要な情報に快適にアク セスできる環境を整えます。 地域DXによる将来像実現に向けた基本方針 将来像 誰もが魅力・活力・安心を 感じられるしながわ 区民や官民等、地域に根差すさまざまな主体が連携して課題解決を図ることによ り、一層、魅力的で活力のあるまちとなっています。さまざまな立場、環境にあ る区民誰もがデジタル技術の恩恵を受けられるまちとなっています。デジタル技 術を使いこなす子ども達が、その力を開花させています。 地域DXの将来像の実現に向けた3つの基本方針 地域みんなのための 課題解決を推進します さまざまな立場、環境にある区民誰もが、デジタ ル技術の活用により恩恵が受けられるよう、サー ビスのユニバーサルデザイン化やデジタル技術活 用に関する普及活動や環境整備を進めます。また、 デジタル技術を活用し、多様な区民の意見を反映 した区政を推進します。 デジタル活用により魅力的で 安心安全なまちをつくります データ活用、デジタル技術の活用により、官民が 連携・参画して、地域の課題解決を図る取組や、 効率的で計画的なまちづくりを推進します。また、 防災情報等の収集・分析・伝達の仕組みを拡充し、 安心安全なまちづくりを推進します。 未来のしながわを担う 子どもたちを育みます デジタル技術やデータを活用した効果的な教育を 推進し、子どもたち一人ひとりの能力を開花させ るとともに、内外との交流を進め、視野の広い、 環境変化に対応できる未来のしながわを担う子ど もたちを育みます。また、子どもたちが安心して 活動できる環境や子育ての環境を充実します。 シゴト(行政)DXによる将来像実現に向けた基本方針 将来像 徹底した業務改革による 創造・行動中心の行政 最新のデジタル技術、データの徹底活用により、行政業務は常に見直され、効率化が 図られるとともに、有効性の高い政策が立案、実施されています。職員は、職員でな ければできない業務に注力することが可能となり、創造的で実効性の高い活動が業務 の中心となっています。 シゴト(行政)DXの将来像の実現に向けた3つの基本方針 AIやデジタルツール活用により内部 事務の効率化、高度化を図ります 業務プロセスの見直し、業 務フローの最適化等のアナ ログによる業務改善と、デ ジタルツールを組み合わせ、 内部事務のBPR(Business Process Re-engineering ) を推進します。また、AIを 活用し業務効率化と業務精 度の向上を実現します。 これにより、時間とコスト を削減し、職員がより創造 的な業務に集中できる環境 を整えます。 デジタルを有効活用できる 人材育成と組織整備を推進します 職員がデジタル技術を効 果的に活用し、変化に対 応できるスキルを習得す るための研修や学習機会 を設けます。これにより DX推進の基盤となる人材 を育成します。研修を受 講した職員はコアメン バー( DX リーダー) と なって取組をけん引し、 多くの部局でDXが着実に 進むことが期待できます。 結果として、組織全体の デジタル・DXへの対応力 が向上します。 データに基づく有効性の高い政策立 案と事業検証を推進します(EBPM推進) データに基づいた意思決 定、事業検証による振り 返りを行うことで、客観 的かつ効果的な施策を立 案し、推進します。また データ活用研修による人 材の育成を行うことで、 区の現状・現場の実績や データを活用した精度の 高い行政運営を実現しま す。 EBPM:Evidence-Based Policy Making の略であり、統計や業務に係るデータなどの客観的な証拠に基づき政策立案をすること 03. 推進に向けて 施策の立案と推進の考え方 アクションプランの立案と推進 ●将来像の実現に向けて推進する具体的な施策を「アクションプラン」 として定めます。 ●基本方針に沿った施策を横断的に可視化し全庁的にベクトルを合わせて 効果的に施策を連携・推進します。 ●社会課題やニーズの変化に対応するため、施策の内容を定期的に見直し 柔軟かつ迅速に推進します。 重点施策の立案と推進 ●アクションプランに示す施策のうち、以下の観点から重要と考える施策を 「重点施策」として位置づけ、特に注力して推進します。 重点施策立案の観点 ? 将来像実現に資する波及効果の大きい施策 ? 庁内組織横断で取り組むべき施策 ? 継続的な改善が必要な施策 ●重点施策については、評価指標を設定した上で、進捗と成果の見える化 を図り、施策の着実な推進と成果の達成を目指します。 行動指針 本基本方針に基づく施策の推進、実行に当たっての行動指針を示します。 利用者視点 デジタル技術の活用では、「利用者視点」を第一に考え、区民の利便性向上を進めます。区民のニーズを把握し、 直感的で分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)を目指します。高齢者、障がい者や外国人を含むすべての 区民が容易に利用できるよう、シンプルで見やすいデザインや音声ガイド機能の実装、多言語対応やモバイル最適 化などにも配慮します。これにより、行政サービスへのアクセシビリティを高め、区民一人ひとりに真に価値ある サービスを提供し、満足度向上を目指します。 アジャイル 社会の急速な変化に対応するため、アジャイル型の手法を採用します。これにより、事業を早期に立ち上げ、柔軟 かつ迅速に政策を実行できます。最小限の機能から始め、状況の変化やフィードバックに応じて軌道修正が可能と なり、限られた資源を効率的に活用することにより、行政サービスの質を向上させつつ、社会のニーズにより早く、 より適切に応えることを推進します。 官民共創 行政単独では解決困難な社会課題に対し、官民共創で取組みます。行政と民間企業、学術機関、団体等が協働し、各々 の強みを活かして新たな解決策を創出します。データ活用においても、官民の垣根を越えた連携を推進し、組織の境界 を超えたデータの有機的な結合により、精度の高い分析と効果的な政策立案を実現します。これらの取組を通じ、 EBPM(エビデンスに基づく政策立案)を推進し、効果的な行政サービスと持続可能な地域社会の実現を目指します。 官民の知恵と資源を結集し、より大きな社会的価値を創出、複雑化する地域課題に柔軟に対応していきます。 アジャイル:ソフトフェア開発に由来する言葉で、ここでは小さな単位で素早く実行と改善を繰り返し、柔軟に変化に対応しながら目標を達成する方法を指します。 推進体制 品川区では、DX推進の司令塔として、 CIO(最高情報責任者)をトップとし た「DX推進戦略会議」を設置してい ます。 CIOを中心に全庁横断的なDX推進体制 を整え、各部局の業務をDXの視点か ら総合調整し、PDCAサイクルを活用 して計画的かつ強力に進めます。 また、「テーマ別連絡会議」を設け、 各テーマに関するDXの取組を検討・ 管理・評価し、それを基に各部課が具 体的な取組を実行していきます。 さらに、全庁的なDX推進をリードす るため、各所管に「デジタル化推進委 員」を配置し、現場レベルでの取り組 みを支援し、DXの浸透を促進します。 参考:本基本方針の位置づけと策定経緯 位置付け 本方針は品川区基本構想における区の将来像となる「輝く笑顔住み続けたいまちしながわ」を実現するため、区のDX推進に 関する取組方針を示すものです。 また、本方針は、目指すべきデジタル社会の実現に向けて、国が迅速かつ重点的に実施すべき施策を示した「デジタル社会の 実現に向けた重点計画」(令和6年6月閣議決定)や、自治体が重点的に取り組むべき事項をまとめた「自治体DX推進計画」と いった国の諸計画、さらには東京都のデジタル化・DXに関連する計画や方針とも整合を図りながら進めていきます。 計画期間 本方針の期間は、「品川区長期基本計画」と合わせて令和7年度(2025年度)から令和11年度(2029年度)までの5年間としま す。前方針である「品川区DX推進基本方針」は令和4年度から令和7年度までを適用期間としていましたが、急速に変化する時 代に対応するため、前倒しで全面的な刷新を行いました。 また、デジタル技術は日進月歩で進化しているため、計画期間中であっても時代の動向に応じて計画の見直しや改定を行い、 施策の追加や更新を柔軟に進め、常に最新の状況を反映した内容とします。 策定の経緯 令和6年7月庁内DX関連施策の調査 庁内全課対象に、実施中もしくは実施予定のDX関連施策 を調査。 7・8月DX推進基本方針ビジョン検討WG開催 未来のあるべき姿(ビジョン)を検討するため、品川区 職員によるワーキンググループを立ち上げ、検討を実施。 12月DX推進戦略会議 庁内のDXに関連する最高意思決定会議である、DX推進 戦略会議にて本基本方針について討議。 令和7年2月パブリックコメントの実施 パブリックコメントを実施し、区民の意見を募集。 区民から●件の提案を受け、反映。 3月DX推進戦略会議 DX推進戦略会議にて本基本方針について承認。 DX推進基本方針ビジョン検討WGの模様 ワーキンググループでは、3つの視点毎にグループに分かれ現状(As is) と理想(To be)に関するディスカッション、また現状と理想の間にある問 題点について様々な切り口で議論が行われました。 DX推進基本方針の「将来像」は、ワーキンググループで出た意見を反映 し、作成をしています。