表紙 品川区教育振興基本計画 品川区教育ビジョン 2025年度(令和7年度)から2029年度(令和11年度) 2025年(令和7年)3月 品川区教育委員会 次のページに音声コードはありません 目次 第1章、総論、ページ1 1、計画策定の趣旨、ページ2 2、計画の目的、ページ2 3、計画の位置づけ、ページ4 4、区の教育大綱、教育目標、基本方針の概要、ページ5 5、計画の期間、ページ8 6、計画策定の体制、ページ9 第2章、教育を取り巻く動向の変化、ページ11 1、国の動向、ページ12 2、東京都の動向、ページ15 3、品川区における教育の取り組み、ページ16 4、新たな計画における円滑な施策推進のための基盤、ページ23 第3章、品川区が目指すこれからの教育の姿、ページ25 1、品川区版、学びの羅針盤2030(イメージ図)、ページ26 2、ビジョン、私たちが望む品川の未来、ページ28 3、施策体系、ページ29 4、ビジョンを実現するための基本的な柱と施策推進における12の方針、ページ30 5、本計画とSDGs、ページ38 第4章、計画の推進、ページ41 1、進行管理、ページ42 シリョウ、ページ43 ページ1 第1章、総論 ページ2 1、計画策定の趣旨  こんにちの社会はめまぐるしく変化しています。将来の予測が困難なブーカ(注1)の時代において、少子化、人口減少、高齢化、国際競争力の低下、国や社会に対する意識の低下など、私たちの目の前には様々な課題が存在しています。政府は、こうした時代認識のもと、2040年以降の社会を見据え、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を基本方針に掲げた「第4期教育振興基本計画」を2023年度(令和5年度)に策定しました。  東京都教育委員会は、国の計画を受けて、「東京都教育ビジョン(第5次)」を同年度に策定し、未来を切り拓く「人」の育成、共生社会の実現、誰一人取り残さない社会の実現に資する教育政策を打ち出しました。  品川区教育委員会(以下「区教育委員会」という。)はこれまで、「品川区教育大綱」の基本理念である「共に、はぐくみ、つなぐ、教育都市しながわ」の実現に向けて、質の高い教育環境の整備を進めるとともに、学校、家庭、地域が共に支え合い、成長していく社会づくりを進めてきました。学校教育においては独自の改革に取り組んできましたが、この学校教育改革に終わりはなく、社会の動きに常に目を向けながら、子どもたちが未来を切り拓く力を身に付けることのできる教育環境の実現に向けて継続的に改善していく必要があります。  そこで、国と東京都が新たに示した教育政策の方向性を参酌しつつ、品川区(以下「区」という。)を取り巻く社会情勢の変化、学校教育をめぐる現状と課題、これまでの成果を踏まえた上で、みんなのウェルビーイングが実現した「子どもたちの笑顔でつながる共生社会」を目指し、「品川区教育振興基本計画」(以下「本計画」という。)を新たに策定しました。   注1、ブーカ:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった、将来予測が困難な状態を指す造語。   2、計画の目的  本計画は、区教育委員会が所管する就学前教育、学校教育、家庭教育支援、文化財、図書館に関する施策を推進するためのビジョンと、その実現に向けた方針および計画期間における施策の目指す姿を明らかにするものです。  所管、内容、対応する教育期間についての図があります。 ページ3  ウェルビーイングとは(国の「第4期教育振興基本計画」より抜粋)   身体的、精神的、社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含むもの。 個人のみならず、個人を取り巻く場や地域、社会が持続的に良い状態であることを含む包括的な概念。  ウェルビーイングと学力は対立的に捉えるのではなく、個人のウェルビーイングを支える要素として学力や学習環境、家庭環境、地域とのつながりなどがあり、それらの環境整備のための施策を講じていくという視点が重要である。  ウェルビーイングが実現される社会は、子供から大人まで一人一人が担い手となって創っていくものである。社会全体のウェルビーイングの実現に向けては、個人のウェルビーイングが様々な場において高まり、個人の集合としての場や組織のウェルビーイングが高い状態が実現され、そうした場や組織が社会全体に増えていくことが必要となる。子供たち一人一人が幸福や生きがいを感じられる学びを保護者や地域の人々とともにつくっていくことで、学校に携わる人々のウェルビーイングが高まり、その広がりが一人一人の子供や地域を支え、更には世代を超えて循環していくという在り方が求められる。    国の「第4期教育振興基本計画」は文部科学省ホームページで公表しています。  https://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/index.htm  二次元コードがあります。     教育とウェルビーイング(文部科学省「第4期教育振興基本計画(リーフレット)」)の図があります。 ページ4 3、計画の位置づけ  本計画は、教育基本法第17条第2項の規定に基づいて策定しており、区における教育振興のための施策に関する基本的な計画です。 教育基本法(抜粋) (教育振興基本計画) 第十七条、政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。 2、地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。    本計画の策定、推進にあたっては、国および東京都の「教育振興基本計画」を参酌するとともに、区で定める「品川区基本構想」、「品川区長期基本計画」、「品川区教育大綱」および関連分野の個別計画等との調和と連携を図るものです。   教育振興基本計画の位置づけについての図があります。 ページ5 4、区の教育大綱、教育目標、基本方針の概要 括弧1、品川区教育大綱  「品川区教育大綱」は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律に基づき、地方公共団体の長が、地域の実情に応じ、教育、学術および文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものです。  区は、同法が2015年(平成27年)4月に施行されたことを受け、2016年(平成28年)4月に総合教育会議を設置し、「品川区教育大綱」を策定しました。その後、2020年(令和2年)4月に区の最上位の行政計画である「品川区長期基本計画」が策定(改訂)されたことを受け、同計画と整合を図るとともに、近年の社会経済状況等の変化を踏まえた内容とするため、2021年(令和3年)2月に改訂しました。  教育大綱(区の教育の目標や施策の根本的な方針)(2021年(令和3年)2月改訂)の表があります。   括弧2、品川区教育委員会の教育目標および基本方針  区教育委員会は、区立学校の目指すべき姿の指針を示す「品川区教育委員会教育目標および基本方針」を定めています。これは「品川区教育大綱」の基本理念との調和を図り、「品川区長期基本計画」に定める区の目指す姿を学校教育の場でどのように実現するかという具体的目標としての役割も有しています。  その後、2020年(令和2年)4月の「品川区長期基本計画」の策定(改訂)、国の「第4期教育振興基本計画」の考え方や区の児童、生徒を取り巻く状況の変化等を踏まえ、2024年(令和6年)4月に改訂しました。  教育目標(品川区立学校の目指すべき姿の指針)、2024年(令和6年)4月1日適用  <目的>  品川区教育委員会は、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向け、子どもたちが持続可能な社会の担い手として、心身ともに健康で知性と感性に富み、人間性豊かに成長し、希望に満ちた未来を自ら切り拓いていけるよう、以下の教育目標を定める。  <目標>  豊かな心を育み、人権を尊重するための教育の推進  確かな学力の育成  グローバル社会における人材の育成  学校、家庭、地域の連携、協働による教育力の向上  生涯学び、活躍できる環境の整備  ページ6、7  基本方針(品川区長期基本計画および教育目標を踏まえた、教育施策の実施方針)  2024年(令和6年)4月1日適用  1、豊かな心を育み、人権を尊重するための教育の推進  日本国憲法および教育基本法の精神とともに、人権尊重都市品川宣言の考え方を基本に、教育活動全体を通じてあらゆる偏見や差別をなくし、子どもたち一人ひとりが、かけがえのない人間として尊重されるよう、人権教育を推進する。  括弧1、人権尊重の理念を広く定着させ、同和問題をはじめ、子ども、女性、高齢者、障害のある人、外国人、性自認などの人権に関するあらゆる偏見や差別をなくし、人権課題の正しい理解と認識を深められるよう学習機会の充実に努め、差別意識の解消を図る。  括弧2、子どもたちが、他国の文化や人種、民族および宗教の違いを正しく理解、尊重し、国際協力、人道問題、平和問題などに信念をもって対応できる能力を身に付けられるよう、工夫した教育活動を展開する。  括弧3、いじめ根絶宣言の考え方を基本に、いじめの未然防止、早期発見、早期解決を図るとともに、非行や不登校など様々な問題に迅速、的確に対応する。また、学級等における良好な人間関係を形成するため、教職員と児童、生徒との信頼関係に基づく一人ひとりの人権感覚の向上に努める。  括弧4、体罰根絶宣言の考え方を基本に、子どもに対する体罰が、いかなる理由があろうと決して許されない人権侵害行為であるという認識の下、子どもの尊厳を重んじ、人間尊重の精神に基づいた教育を推進する。  括弧5、全ての教育活動を通じて、子どもたちが豊かな人間性を育むことができるよう、自ら考え、学び、自他の命の大切さを尊重し、「生きる力」とともに「生き抜く力」を養うことのできる教育環境の整備に努める。    2、確かな学力の育成  子どもたちが、自主、自立の志をもち、自信に満ちた人生を創造できるよう、一貫教育を推進し、基礎的、基本的な知識、技能の習得および思考力、判断力、表現力等の育成、学びに向かう力、人間性等を育むとともに、個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実を図る。また、義務教育と就学前教育との接続を滑らかにし、成長、発達に応じた基本的な生活習慣の定着を図る。  括弧1、各学校は、義務教育9年間を見通した教育目標を定め、9年間で目指すべき児童、生徒像の達成に向け、一貫教育を推進する。    次のページに続きます  ページ6、7の続きです  括弧2、多様で変化の激しい社会に対応できるよう、学習内容、指導方法等を工夫、改善し、子どもたちの基礎的、基本的な知識および技能の定着、向上を図るとともに、問題解決的な学びを重視し、次代を担う人材が身に付けるべき資質と能力の伸長を図る教育を推進する。  括弧3、市民科の実施により、子どもたちが自らの在り方や生き方を探求するとともに、学んだ知識や技術を社会の一員として活かすことのできる資質と能力および意欲を育てる教育活動の充実を図る。  括弧4、Societyごーてんぜろ時代に生きる子どもたちの未来を見据え、タブレットなどのICT環境を活用し、将来の情報社会に対応した情報活用能力を育成するとともに、情報モラルの醸成とネット犯罪、ネット依存症等の予防の意識定着を図る。  括弧5、教育的配慮の必要な子どもたちが、その能力、特性等を最大限に伸ばし成長、発達していけるよう、個々の教育的ニーズに応じた指導、支援体制を構築するなど、9年間を見通した特別支援教育を推進する。  括弧6、保育園、幼稚園、小学校、義務教育学校(前期課程)の連携、交流を行い就学前の教育と義務教育との滑らかな接続を図るとともに、家庭との連携による成長、発達段階に応じた基本的な生活習慣の定着を図る。    3、グローバル社会における人材の育成  子どもたちの体力や運動能力の向上を図るため、学校における体育、スポーツ活動の充実とともに、運動習慣の定着に向けた取り組みを強化する。また、国際社会に対応した人材を育成するため、日本の伝統、文化理解を基盤とする国際理解教育を一層推進するとともに、区立学校における英語教育をさらに充実させ、子どもたちのコミュニケーション能力等の向上を目指す。  括弧1、子どもたちが、心身ともに健康で、明るく活力ある生活を送るため、学校の教育活動全体を通して、体育の授業や運動会等の充実など、安全で効果的な運動、スポーツ活動を推進し、日常的な運動習慣の形成に努める。  括弧2、子どもたちが自分の体力や運動能力を客観的に把握し、体を動かす喜びや楽しさを体得できるよう、外部人材も活用して体力の向上と健康の増進に努める。    次のページに続きます    ページ6、7の続きです  括弧3、実践的なコミュニケーション能力を培い、グローバル化に対応できる人材を育成するため、小学校、義務教育学校(前期課程)からの英語教育を充実、発展させるとともに、楽しみながら確実に語学力が身に付く9年間の英語教育を推進する。  括弧4、品川区の文化、歴史などの学習や、地域学習、語学研修派遣などを通して、平和を愛し、自国、諸外国の文化を尊重する態度を育成する国際理解教育を推進する。    4、学校、家庭、地域の連携、協働による教育力の向上  子どもたちは、家庭や地域の中で成長することを踏まえ、学校、家庭、地域が、教育の担い手として役割と責任を果たし、子どもたちの発達段階に合わせて相互補完しながら、それぞれの立場で連携を強化し支援する。  括弧1、教育基本法の趣旨に基づき、第一義的責任を有する保護者が、生活のための必要な習慣を子どもたちに身に付けさせ、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図ることができるよう家庭教育を支援する。  括弧2、品川コミュニティスクールとして、保護者、地域住民の参画を得て、地域に開かれ、地域とともにある学校づくりを推進し、特色のある教育活動を展開することのできる学校運営の体制と組織を構築する。  括弧3、「まもるっち」「ハチサン運動」「子どもひゃくとおばんの家」「いじめ根絶協議会」などの様々な取り組みにおいて、学校、家庭、地域が相互に連携、協力して責任と役割を担い、犯罪、災害時等から子どもたちの安全を確保する活動を区内全域に展開する。  括弧4、ICT化の進展に対応し、有害環境から子どもたちを守るため、保護者をはじめとする関係者への啓発活動を通して、学校、家庭、地域における情報モラル教育を推進する。    5、生涯学び、活躍できる環境の整備  子どもたちはもとより、区民が、自己実現を図ることのできる機会を提供するため、伝統、文化の理解、継承、発展とともに、文化財の保護、活用を推進する。また、生涯を通じて読書に親しめるよう図書館環境の充実を図る。  括弧1、子どもたちや区民に伝統と文化を尊重する精神を育むとともに、新しい文化の創造に資するために、伝統、文化遺産の継承と文化財の保護、活用に努める。  括弧2、図書館シリョウの充実、施設環境の整備、また、新たな情報媒体である電子書籍等への対応などにより、地域の情報拠点としての図書館づくりを推進する。  次のページに続きます  ページ6、7の続きです  括弧3、「品川区子ども読書活動推進計画」に基づき、「本等を活用して、自ら主体的に思考し、行動する人に育つ」ことを目指し、家庭、地域、学校、図書館における連携を通して、乳幼児期から大学生世代までの読書と情報環境を活かした学びを支援する。 括弧4、学校図書館の機能充実と利用促進を図るため、区立図書館は環境整備に努め、各学校の主体的な学校図書館の運営を支援する。 ページ8 5、計画の期間  本計画の期間は、2025年度(令和7年度)から2029年度(令和11年度)までの5年間です。  なお、法律や制度の改正等により、教育行政を取り巻く状況に大きな変化があり、計画内容を変更する必要性が発生した場合は、計画の見直しを検討します。 関連する主な計画の期間(年度)の図があります。 ページ9 6、計画策定の体制  本計画の策定にあたっては品川区教育振興基本計画策定委員会を設置し、区の学校教育に関するこれまでの取り組み、成果、課題などとともに、子どもたちの意見を聞くワークショップ、区民から広く意見を聞く区民意見公募手続(パブリックコメント)をとおして多くの意見を参考にしながら、計画内容を協議しました。 品川区教育委員会  品川区教育振興基本計画策定委員会の提案に基づき、教育委員会において本計画を決定しました。 品川区教育振興基本計画策定委員会  学識経験者、地域代表、PTA代表、幼稚園、保育園、学校関係者等で構成する委員会を設置し、区教育委員会の依頼に基づき、多角的な視点から計画全般にわたる検討と計画案の取りまとめを行いました。 子どもの意見聴取(ワークショップ)  子どもたち自身がよりよい未来について考え、行動するきっかけとなるよう、「みんなが笑顔になれる学校を考えよう」をテーマに、区立学校へ通う児童、生徒(参加総数54名)を対象としたワークショップを3回に分けて実施しました。本計画の策定にあたっては、ワークショップを通じて得られた子どもたちの意見を参考として活用しながら検討を行いました。 区民意見公募手続(パブリックコメント)  2024年(令和6年)10月11日から30日間、品川区ホームページ、区役所、各地域センター、各図書館において閲覧に供し、区民意見公募手続(パブリックコメント)を行いました。    計画策定体制の図があります。 次のページに音声コードはありません   ページ11 第2章、教育を取り巻く動向の変化 ページ12 1、国の動向 こども基本法 日本国憲法、児童の権利に関する条約の精神に則り、子ども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として、こども基本法が2022年(令和4年)6月に成立し、2023年(令和5年)4月に施行されました。 国、地方公共団体は、この法律に基づき、次代の社会を担う全ての子どもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、子どもの心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども施策を総合的に推進することが求められています。  国はこども基本法に基づく施策の総合的な推進を図るために「こども大綱」を策定し、目指す社会を「こどもまんなか社会」と位置付けてその実現に向けた取り組みを進めています。 学習指導要領  学習指導要領は、2017年(平成29年)3月に幼稚園教育要領、小、中学校学習指導要領、2018年(平成30年)3月に高等学校学習指導要領が改訂され、2022年(令和4年)にかけて段階的に実施されました。この改訂は、グローバル化やAI(人工知能)などの急速な技術革新による予測困難な時代の中、「生きる力」をより具体化し、子どもの確かな学びの実現を目指しています。   学級編制の標準  小学校等の学級編制の標準は、1980年(昭和55年)以来、1学級の児童、生徒数40人(小学校1年生は35人)とされてきました。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正(2021年(令和3年)4月1日施行)により、この標準を約40年ぶりに引き下げることになりました。  小学校(義務教育学校の前期課程を含む)の学級編制の標準は、2021年度(令和3年度)から5年間かけて段階的に35人に引き下げ、2023年度(令和5年度)は1年生から4年生までに適用されました。2025年度(令和7年度)に小学校等の全ての学年で35人学級となります。 第4期教育振興基本計画  2006年(平成18年)に教育基本法が約60年ぶりに改正され、国に教育政策全体の方向性や目標、施策等を定める「教育振興基本計画」の策定が義務付けられました(同法第17条)。同法に基づき、政府は2008年度(平成20年度)に「第1期教育振興基本計画」を策定以降、5年ごとに計画を改定し、2023年(令和5年)6月に「第4期教育振興基本計画」(計画期間:2023年度(令和5年度)から2027年度(令和9年度))を策定しました。    ページ13  第4期計画では、2019年(令和元年)にOECDが公表した「OECDラーニングコンパス(学びの羅針盤)2030(コメジルシ、ページ14参照)」を参考とし、将来の予測が困難なブーカの時代、少子化、人口減少、高齢化など、社会の現状や変化を背景に、今後の教育政策の方向性を示す羅針盤として、2040年(令和22年)以降の社会を見据えた2つのコンセプト(総括的な基本方針)を示しました。  1つ目のコンセプトである「持続可能な社会の創り手の育成」では、主体性、リーダーシップ、創造力、課題発見、解決力、論理的思考力、表現力、チームワーク等を備えた人材の育成を目指しています。2つ目のコンセプトである「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」では、多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなるよう、教育を通じてウェルビーイングを向上することを目指しています。この2つのコンセプト(総括的な基本方針)のもと、5つの基本的な方針と16の目標を掲げました。    第4期教育振興基本計画(要旨)のひょうがあります。 ページ14  <参考> OECDラーニングコンパス(学びの羅針盤)2030  OECDは2015年(平成27年)より「OECD Future of Education and Skills」プロジェクトを進め、2019年(令和元年)に研究の成果として、私たちが望む未来を実現するための学習の枠組みを「OECDラーニングコンパス(学びの羅針盤)2030」にまとめ公表しました。  「学びの羅針盤」はウェルビーイングの実現を最終目標とし、この目標を目指して歩んでいく子どもたちが、周囲の人々や社会をよりよいものにするべく学びを進める中で、責任ある有意義な行動をとるためのツールとして示されました。 次のページに続きます ページ14の続きです  「学びの羅針盤」は下図のとおり図式化されています。子どもたちは「見通し(Anticipation)、行動(Action)、振り返り(Reflection)」からなるA A Rサイクルのプロセスによる学びから得た「知識、スキル、態度、価値観(コンピテンシー)」を用いて「変化を起こすために自ら目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力(エージェンシー)」を発揮し、コミュニティの中で仲間、教師、家族、地域の人々に囲まれ、協力し、相互に作用しながらウェルビーイングを目指す姿が描かれています。 「OECDラーニングコンパス2030」の図があります。 (「Learning Compass 2030 concept note」より引用) ページ15 2、東京都の動向 東京都教育施策大綱  東京都は、2015年(平成27年)4月施行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律に基づき、同年11月に「東京都教育施策大綱」を策定しました。その後、2017年(平成29年)1月、2021年(令和3年)3月に策定し、東京都の教育の基本的な方向性を示してきました。   東京都教育ビジョン  東京都教育委員会は、教育基本法第17条第2項の規定に基づき、東京都教育委員会として取り組むべき基本的な方針とその達成に向けた施策展開の方向性を示す教育振興基本計画として、「東京都教育ビジョン」を策定しています。  このビジョンは、「東京都教育施策大綱」と基本的な方針を共有し、より実行力のある施策を展開していくものであり、都内公立学校の教職員をはじめとする全ての教育関係者の「羅針盤」となるものです。2024年(令和6年)3月に策定した「東京都教育ビジョン(第5次)」(計画期間:2024年度(令和6年度)から2028年度(令和10年度))は、3本の「柱」、12の「基本的な方針」、30の「今後5か年の施策展開の方向性」に基づく施策を明らかにしています。 東京都教育ビジョン(第5次)(3本の「柱」、12の「基本的な方針」)のひょうがあります。 ページ16 3、品川区における教育の取り組み 就学前教育 就学前教育は、「保幼小ジョイント期カリキュラム」(注2)からスタートし、保幼小の円滑な接続に向け、指導内容、方法の関連性、系統性を意識した質の高い保育、教育活動を進めています。 次のページに続きます ページ16の続きです  幼児期において育みたい資質、能力として「知識および技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」の育成を中心に、遊びをとおした総合的な指導により、一人ひとりの発達特性に応じて幼児期の終わりまでに育ってほしい姿への成長を促し、学校生活への円滑な移行を図っています。   注2、保幼小ジョイント期カリキュラム:2009年(平成21年)5月に「保幼小連携の推進に関する検討委員会」を設置し検討を開始。現場の校長、園長や保育者、教員などで構成する作業部会を通じて、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続を目指して作成したカリキュラム。2010年(平成22年)10月に発行。 学校教育 1、学校教育全般  学校教育は、1999年(平成11年)に教育改革「プラン21」を策定し、翌年の2000年(平成12年)に小学校の学校選択制、2001年(平成13年)には中学校の学校選択制を導入し、学校改革と教員の意識改革に取り組みました。  2002年度(平成14年度)から外部評価制度を導入し、学校自身による自己評価と学校関係者による外部評価を組み合わせた学校の教育活動の具体的、客観的な評価の実施を図りました。2003年度(平成15年度)からは、全国に先駆けて、全区立学校の6年生を対象に、学力定着度調査を行い、外部評価と併せて、児童、生徒への指導力に対する学校の結果責任、説明責任を果たしています。  2005年(平成17年)8月には、区内小、中学校の教員150人余の参画による足かけ3年の検討作業を経て「品川区小中一貫教育要領」を刊行し、翌年の2006年度(平成18年度)からは、市民科(注3)の新設や1年生からの英語教育など、全区立学校が新教育要領に基づく新しい教育をスタートさせました。また、この年には、全国初の施設一体型小中一貫校「日野学園」が開校し、順に2007年(平成19年)に伊藤学園、2008年(平成20年)に八潮学園、2010年(平成22年)に荏原平塚学園、2011年(平成23年)に品川学園、2013年(平成25年)にほうようの杜学園が開校しました。 次のページに続きます ページ16の続きです 注3、市民科:道徳、特別活動、総合的な学習の時間を統合、再構築した品川区の独自教科。義務教育9年間をとおした系統的な指導で、市民(社会の形成者)としての資質と能力を育てている。 ページ17  2016年(平成28年)4月から、従来の施設一体型小中一貫校から改める形で、新たな学校種別である義務教育学校(注4)6校を設置し、小学校、中学校、義務教育学校の3校種体制からなる9年間の一貫したカリキュラムなどをとおして、次代を生き抜く児童、生徒の確かな学力と豊かな人間性の育成を目指して新たな教育改革「品川教育ルネサンス、For The Next Generation」に取り組んでいます。  また、区では、2016年度(平成28年度)から「品川コミュニティスクール」(注5)を順次拡大し、2018年度(平成30年度)からは全校でコミュニティスクールの取り組みを進めています。同年には、全校展開となった「品川コミュニティスクール」の取り組みを地域住民に広く周知するとともに、イベントをとおして学校と地域が一層の連携強化を図ることを目的とした「しながわ!コミュニティスクールフェスタ Link for the future、学校、家庭、地域で育てよう!品川の子どもたち」を開催しました。学校と地域との密接な連携、協働による学校運営を通じて自主性、自律性が高く、持続可能な学校の教育体制の構築を図っています。  2020年度(令和2年度)からは、就学人口の増加に対応する新しい学事制度(中学校、義務教育学校(後期課程)の通学区域の見直し、小学校、義務教育学校(前期課程)の学校選択制(注6)の見直し)を運用しています。また、急速に進展する情報社会に対応するため、全ての学校でICT環境の整備を進めるとともに、安全で安心な教育環境の確保のため、計画的な改築や改修工事を行っています。 注4、義務教育学校:学校教育制度の多様化および弾力化を推進するため、2015年(平成27年)の学校教育法の一部改正に伴い、新たな学校の種類として規定された、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う学校(前期6年の前期課程、後期3年の後期課程に区分)。    次のページに続きます ページ17の続きです 注5、品川コミュニティスクール:学校と地域が連携、協働して、子どもたちを育てていく仕組み。学校と地域住民が一体となって、継続性を保ちながら教育活動の改善や児童、生徒の健全育成に取り組んでいる。 注6、学校選択制:品川区立学校では、通学区域の児童、生徒を受け入れた後に、受入可能児童、生徒数に余裕がある場合に、通学区域外の児童、生徒を受け入れている。小学校、義務教育学校(前期課程)は通学区域が隣接する学校から、中学校、義務教育学校(後期課程)は区内全域の学校から選択し希望申請することが可能である。 2、特別支援教育  子どもたち一人ひとりのもてる力を高め、自立や社会参加を目指した教育的支援を行うため、各学校の校内体制の充実に向けて、特別支援学級等の整備、学習、生活、医療的ケアを支援するための人材配置等を実施しています。  学級等の整備では、特別支援学級(知的障害、病弱)、通級指導学級(難聴、言語障害)の学級整備を図るとともに、中学校では2018年度(平成30年度)から浜川中学校で、小学校では2024年度(令和6年度)から宮前小学校で、区内初となる自閉症、情緒障害特別支援学級をかい級しています。また、小学校、義務教育学校(前期課程)では2016年度(平成28年度)から、中学校、義務教育学校(後期課程)では2018年度(平成30年度)から、全ての学校に特別支援教室を設置しました。 ページ18  人材の配置では、2021年度(令和3年度)から就学相談をとおして医療的ケアが必要な子どもたちへ看護師の配置をしています。また、2024年度(令和6年度)から、発達障害のある子どもが安心し円滑に在籍学級での学習を継続できるための支援を行う発達障害教育支援員を小学校、義務教育学校(前期課程)全校に配置しました。   3、不登校対策  区の不登校の児童、生徒数は、全国、東京都の傾向と同様に年々増加しており、特に小学校、義務教育学校(前期課程)の増加率が顕著です。このような状況を受け、誰一人取り残さない学びの保障に向けた不登校対策を推進しています。 次のページに続きます ページ18の続きです  学校外の不登校の児童、生徒の居場所や学びの場として、教育支援センター「マイスクール」を整備、運営しています。1997年度(平成9年度)に「マイスクール八潮」、2016年度(平成28年度)に「マイスクール五反田」、2018年度(平成30年度)に「マイスクール浜川」、2024年度(令和6年度)に「マイスクール西大井」を開設しています。そのほかの施策として、2024年度(令和6年度)より、学校の校内別室で不登校傾向の児童、生徒への支援を実施する校内別室指導支援員を全区立学校に配置したほか、自宅などからでも学習を進めることができるよう、メタバース(インターネット上の仮想空間)を活用した支援を行うオンライン教育支援センターも開設し、多様な学びの場の提供を行っています。 4、いじめ対策  区教育委員会では、2013年(平成25年)9月24日に「いじめ根絶宣言」を行い、いじめは重大な人権侵害であり決して許されないことであるとして、その根絶に取り組むことを明言しました。2013年度(平成25年度)に、品川学校支援チームHEARTSを設置し、児童、生徒、保護者からの相談に応じ、学校と連携しながら早期対応、早期解決を図っています。  学校の取り組みとして、いじめ防止推進ウィークには、児童、生徒がいじめ根絶バッジを着用して、いじめ防止の啓発活動を行います。また、児童生徒役員懇談会では、児童、生徒会役員がねんに1回、一堂に会してよりよい学校づくりについて話し合いを行います。2024年度(令和6年度)からは、いじめ予防プログラムとして「いじめ予防授業」「教員研修による組織的な取り組み」「児童、生徒1人1台端末を活用した調査ツールによる把握」の3本柱によりいじめ予防対策を強化しています。 ページ19 家庭教育支援  家庭教育支援は、PTAをはじめとした学校支援団体の活動支援を通じてその推進を図っており、PTA等が家庭教育力向上を目的として実施する「家庭教育学級」、「子ども地域活動促進事業」および「地域健全育成運営協議会」や、子どもの遊び場づくりとしてPTA等が行う「校庭開放」や「少年少女スポーツ普及事業」の費用面における支援を行っています。 次のページに続きます ページ19の続きです  また、区教育委員会としても年2回の家庭教育講演会の開催、保護者向けの家庭教育ブックの作成、配布などを通じて主体的に家庭教育支援を図っており、PTA等と連携しながら家庭教育力の向上に取り組んでいます。   文化財  文化財の保護、活用については、2023年(令和5年)3月に東海道品川宿石積護岸を新規指定し、区指定文化財は143件(2024年(令和6年)4月現在)と、都内自治体と比較し数多くの文化財を有しています。それらの文化財に親しむ機会として、「文化財めぐり」などの参加型事業を行っています。  また、近年の建替、開発需要の高まりに伴い、御殿山遺跡やいるきばし遺跡を中心に、埋蔵文化財発掘調査等を年間数件実施しており、区内の包蔵地(周知の遺跡)は32か所(2024年(令和6年)4月現在)を数えます。   図書館  区立図書館では、区民の教養、調査研究、レクリエーション等に資する必要なシリョウを収集、整理、保存して、貸出、閲覧等を行うほか、おはなし会、講演会、映画会等のイベントの実施、図書館利用に障害のあるかたへのサービス、ボランティア活動をするかたへの研修、認知症カフェの開催など、幅広いサービスを展開しています。 2005年(平成17年)には「品川区子ども読書活動推進計画」を策定し、現在は、ティーンズに向けての取り組みや読書活動に特別なサポートを必要とする子どもたちへの施策などに重点を置き、あらゆる子どもが本などを活用して自ら主体的に思考し、行動する人に育つことを目指しています。  また、2021年(令和3年)に電子図書館および音楽データベースを導入し、2023年(令和5年)にはデジタル化した地域シリョウを「しながわデジタルアーカイブ」としてインターネットで公開するなど、シリョウの電子化に取り組んでいます。  このほか、区立図書館は、所蔵シリョウの学校図書館への貸出、配送や、各学校への学校図書館運営支援要員の配置を行い、学校図書館の充実を図っています。 ページ20、21 近年の品川区の学校教育に関する主な取り組み 年度、主な取り組みの順に読み上げます。 1998年度(平成10年度):学校公開を全ての小、中学校で実施 1999年度(平成11年度):品川の教育改革「プラン21」策定 2000年度(平成12年度):小学校の学校選択制導入による初めての新1年生入学 2001年度(平成13年度):中学校の学校選択制導入による初めての新1年生(現在の7年生)入学 2002年度(平成14年度):外部評価を取り入れた学校評価の開始 2003年度(平成15年度):品川区が『小中一貫特区』に認定される。学力定着度調査実施(6年)。スチューデントシティを開始 2004年度(平成16年度):小中一貫教育カリキュラム作成部会を設置 2005年度(平成17年度):「品川区小中一貫教育要領」完成、刊行。ファイナンスパークを開始。品川区近隣セキュリティシステム「まもるっち」全小学校導入 2006年度(平成18年度):小中一貫教育要領に基づく新しい教育が全校でスタート。市民科の実施。小中一貫校日野学園、開校式。学力定着度調査実施(4年、7年)。1年生からの英語授業を開始。すまいるスクールを全校設置 2007年度(平成19年度):小中一貫校伊藤学園開校式 2008年度(平成20年度):小中一貫校八潮学園開校式 2009年度(平成21年度):品川区の固有教員制度の開始 2010年度(平成22年度):「品川区小中一貫教育要領」改定。小中一貫校荏原平塚学園、開校式 2011年度(平成23年度):小中一貫校品川学園、開校式 2013年度(平成25年度):小中一貫校ほうようの杜学園開校式。いじめ根絶宣言。いじめ対策の具体化(学校支援チームHEARTS、目安箱、アイシグナル、アンケート、小中一貫の日(現在の品川教育の日)など) 2014年度(平成26年度):英語4技能テスト(ジーテック)実施(9年) 2015年度(平成27年度):教育総合支援センター、開設。しながわドリームジョブを開始。しながわアクティブライフプロジェクト、(品川スポーツトライアル、テクニカルアドバイザー、ワンミニッツエクササイズなど)を開始 次のページに続きます ページ20、21の続きです 2016年度(平成28年度):「品川教育ルネサンス、For The Next Generation」策定。新たな学校種別である義務教育学校を設置し3こうしゅ体制を構築。品川区学事制度審議会を設置し、区立学校における適正な教育環境を確保するための方策を検討。中学校におけるイングリッシュキャンプ実施。全小学校、義務教育学校(前期課程)で特別支援教室を導入。15校を指定し、品川コミュニティスクールの取り組みを開始。品川地域未来塾を開始。マイスクール五反田を教育総合支援センターに開設。品川区いじめ防止対策推進条例を制定 2017年度(平成29年度):学力定着度調査実施(2から9年)。外国語指導助手(ALT)および英語専科指導員(J T E)によるチームティーチングの全小学校、義務教育学校(前期課程)実施。テクニカルアドバイザー(TA)全面実施。オリンピック、パラリンピック学習教材「ようい、ドン!しながわ」を区独自に作成、配布。しながわ働きかた改革ルネサンスの実施 2018年度(平成30年度):品川コミュニティスクールを区立学校全46校に拡大。しながわ!コミュニティスクールフェスタを開催。義務教育9年間をとおしてより充実した学びを得られるよう各教科の系統性を明確に示した「品川区立学校教育要領」を作成。全中学校、義務教育学校(後期課程)で特別支援教室を導入。中学校、義務教育学校(後期課程)で初となる難聴通級指導学級をほうようの杜学園でかい級。中学校で初となる自閉症、情緒障害特別支援学級を浜川中学校でかい級。マイスクール浜川を浜川中学校に開設 2019年度(令和元年度):品川区グローバル人材育成塾全校実施。品川オンラインレッスン全中学校、義務教育学校(後期課程)8年生実施 2020年度(令和2年度):新しい学事制度の運用開始(中学校、義務教育学校(後期課程)の通学区域の見直し、小学校、義務教育学校(前期課程)の学校選択制の見直し)。「品川区立学校教育要領」、小学校、義務教育学校(前期課程)で全面実施 2021年度(令和3年度):「品川区立学校教育要領」、中学校、義務教育学校(後期課程)で全面実施。これまでの英語科、市民科、オリンピック、パラリンピック教育の成果の発表として、「SHINAGAWA GLOBAL DAY」を開催 次のページに続きます ページ20、21の続きです 2022年度(令和4年度):8年生で実施していた品川オンラインレッスンを9年生に拡大。iPadにおける1年半の活用の成果を広く伝えるとともに、今後のICTの有効的な活用と児童、生徒の育成について皆で考える機会とする「SHINAGAWA ICT SYMPOSIUM」を開催 2023年度(令和5年度):品川区学事制度審議会を設置し、国の小学校35人学級の制度化や将来的な就学人口増加に備え、安定的に児童、生徒を受け入れる態勢を確保するための方策を検討(同年度答申)。小中一貫教育全国シェアミーティングin品川を開催。区立学校に通う児童、生徒を対象とした給食の無償化を開始 2024年度(令和6年度):2023年度(令和5年度)からの地域部活動に加え、中学校および義務教育学校で学校部活動業務委託を開始。8、9年生で実施していた品川オンラインレッスンを7年生まで拡大。区立学校に通う児童、生徒を対象とした学用品の無償化を開始。小学校で初となる自閉症、情緒障害特別支援学級を宮前小学校でかい級。ほうようの杜学園(前期課程)で難聴通級指導学級を開設。マイスクール西大井を大井第三地域センター跡地に開設 ページ22 次の3つのひょうがあります。 区立幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校(単位:園、施設)(2025年(令和7年)3月現在)。コメジルシ、伊藤幼稚園は2025年(令和7年)3月末閉園 マイスクール(2025年(令和7年)3月現在) 特別支援教育(2025年(令和7年)3月現在)。コメジルシ、台場小学校特別支援学級(難聴)は2026年(令和8年)3月末閉級 ページ23 4、新たな計画における円滑な施策推進のための基盤 これまでの教育改革「品川教育ルネサンス、For The Next Generation」をとおして作り上げてきた3つの取り組みによる最良の教育環境を、引き続き基盤として活用し、品川区教育振興基本計画に基づく施策のより確実な実行に努めます。  基盤1、地域とともにある学校づくり  全区立学校を品川コミュニティスクールに指定しています。品川コミュニティスクールでは、保護者、地域住民、学識経験者等が学校運営に積極的に参画することで、学校と地域住民が一体となって、継続性を保ちながら、教育活動の改善や児童、生徒の健全育成に取り組んでいます。  また、地域全体で学校教育を支援することで、学校の教育活動の充実を目指すとともに、地域人材の有効活用や地域の教育力の活性化を図っています。  基盤2、3校種体制における学校教育の推進  2015年(平成27年)の学校教育法の一部改正に伴い、2006年度(平成18年度)から順次設置してきた施設一体型小中一貫校6校を2016年度(平成28年度)に「義務教育学校」として位置づけました。現在、小学校、中学校、義務教育学校の3つの校種を設置しています。  このことにより、学校の特色等を参考にして、小学校と中学校における一貫教育、義務教育学校における一貫教育を選択することが可能となっています。  基盤3、9年間の一貫したカリキュラム  義務教育9年間をとおして、より充実した学びを得られるよう、各教科の系統性を明確に示した「品川区立学校教育要領」を作成しています。品川区立学校教育要領では、国の学習指導要領をベースにしつつ、子どもたちの発達段階に応じて、一貫性をもって学習ができるようカリキュラムが弾力的に編成されています。また、1年生からの「英語科」や「市民科」など、品川独自のカリキュラムを定めています。   基盤をより強固なものとするための土台 幼児教育と義務教育の円滑な接続  区では、9年間の義務教育において、子どもたちが最適な学びを得ながら、豊かな学校生活を送ることができるよう、「保幼小ジョイント期カリキュラム」による遊びをとおした総合的な指導を推進し、幼児期から就学期への円滑な接続を図っています。    次のページに音声コードはありません  ページ25 第3章、品川区が目指すこれからの教育の姿 ページ26 1、品川区版、学びの羅針盤―2030―  子どもたちは、コミュニティの中で仲間、教師、家族、地域等、周囲の方々に囲まれ、協力しながら、自らも共生社会の担い手としての当事者意識をもってみんなのウェルビーイングを目指します。大海原の中、学びの羅針盤を頼りに周囲の人々が乗る船とともに自らの船を進めます。  子どもたちが、将来予測が困難で変化の激しい時代の中にあっても、自分らしく幸せな人生を送るためには、ウェルビーイングの実現に向けて自身が進む航路を自ら選択できるように学ぶことが必要です。  区教育委員会は、子どもたちが自分自身の手で自らの航路を選択することができるよう、OECDラーニングコンパス(学びの羅針盤)2030をベースとした「品川区版学びの羅針盤2030」を作成しました。「品川区版学びの羅針盤2030」を手にした子どもたちが、見通しの困難な社会を乗り越えるための「知識やスキル、態度および価値観(コンピテンシー)」を身に付け、そして「自ら目標を決めて学び、責任をもって行動する力(エージェンシー)」を発揮することで、共生社会の担い手となれるよう育みます。  子どもたちが主体的に目的意識を働かせ、自分自身の責任を果たしながら、周囲の人々と共に協力し高めあい、社会全体をより良くするために学んでいくことができるよう、区教育委員会は子どもの視点を尊重し意見を聴きながら、地域社会の一員である区民との協働により取り組んでいきます。 ページ27 重点施策 ウェルビーイング教育の推進 レジリエンス(コメジルシ)育成の推進 ダイバーシティ&インクルージョン(コメジルシ)を実現する教育の推進 個別最適で協働的な学びを実現する環境整備 コメジルシ、レジリエンス:直面した困難に対してたくましく、しなやかに立ち向かい、乗り越える能力 コメジルシ、ダイバーシティ&インクルージョン:多様な人々がそれぞれの違いを認め合い、個々の特性を生かして活躍することができる状態 ページ28 2、ビジョン、私たちが望む品川の未来  本計画の目指すビジョンは次のとおりです。   「子どもたちの笑顔でつながる共生社会」 みんなのウェルビーイングを目指して 現代は社会の変化が激しく、将来の予測が困難な時代であるといわれています。区教育委員会は、こうした時代を生き抜き成長していく子どもたちが「困難を乗り越える力」や「知識と技能を活用し、前向きな態度と価値観をもって社会における複雑な課題を解決する力」を身に付け、自ら目標を設定して責任を果たしながら行動し、自分自身のウェルビーイングを実現するとともに社会全体のウェルビーイング実現の担い手となれるよう育んでいきます。そして、その実現のために子どもたちの資質、能力の育成を図り、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。 国の教育振興基本計画は、ウェルビーイングを以下のとおり定義しています。 身体的、精神的、社会的によい状態にあることをいい、短絡的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念 多様な個人がそれぞれの幸せや生きがいを感じるとともに、個人を取り巻く場や地域、社会が幸せや豊かさを感じられることも含む包括的な概念  これを踏まえ、区教育委員会はウェルビーイングが実現した社会を 誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会 =「子どもたちの笑顔でつながる共生社会」 として定義し、これを目指すビジョンとして示し、取り組みを進めるために本計画を策定しました。    個人と社会のウェルビーイング、即ち「みんなのウェルビーイング」を実現し「子どもたちの笑顔でつながる共生社会」を目指して子どもたちの資質、能力を育成するにあたり、区教育委員会は、これまでの教育改革を通じて積み上げてきた教育環境を基盤とし、「品川区版、学びの羅針盤2030」を用いながら、新たに示す3つの基本的な柱および施策推進における12の方針に基づく取り組みを進めます。  ページ29 3、施策体系 施策体系の図があります。 ページ30 ビジョンを実現するための基本的な柱と施策推進における12の方針 柱1、一人ひとりの資質、能力を育成する教育 知性と感性に富んだ人間性とともに、社会や世界に向き合い、自らの人生を切り拓く資質、能力を身に付けた子どもを育てます。 豊かな心と健康を土台にした9年間の義務教育における一貫したカリキュラムをとおして、主体的、対話的な深い学びや個別最適な学習を図り、基礎的な学力、学び続ける姿勢、人権を尊重する態度を養います。 人格形成の基礎を培う幼児教育と義務教育を円滑に接続し、学校、家庭、地域との連携や協働を図りながら、一人ひとりに生きる力の礎となる豊かな情操、道徳心、心身の健康を育みます。 グローバル化(国際化)、Societyごーてんぜろ(注7)の到来、人工知能(AI)の発達など、社会を取り巻く状況を幅広い視点で捉えながら、未来に向かって全ての子どもが自分らしい人生を築き、持続可能な社会の担い手となる人材の育成を目指します。 注7、Societyごーてんぜろ:2016年(平成28年)に「第5期科学技術基本計画」において「経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」として示された概念。2021年(令和3年)の「第6期科学技術、イノベーション基本計画」において、「持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(Well-being)を実現できる社会」として再定義された。 ページ31  方針1、幅広い知識、専門的能力の育成 目指す姿 持続可能な社会の担い手として知性と感性に富み、希望に満ちた未来を自ら切り拓いていける基礎となる幅広い知識、スキル、態度および価値観を身に付けるとともに、それらを活用して様々な場面で適切に対応することのできる子どもたちが育っています。 <手法等> 幼児教育における総合的な指導に続き、学校ごとの創意工夫と地域連携、主体的、対話的で深い学びの視点を重視した義務教育における9年間の一貫教育をとおして、教科等で学ぶ知識の獲得、教科横断的に学ぶ概念的な知識の獲得を進めます。 方針2、確かな学力の育成 目指す姿 子どもたちは、自主、自立の志をもち、自信に満ちた人生を創造できるよう新しい時代を切り拓くための学力と学び続ける態度が身に付いています。 子どもたちは、自己の在りかた、生きかたを考えながら課題を発見し、よりよく解決していくために教科の概念を学び、本質を理解し、教科横断的に活用することができています。 <手法等> 幼児教育と義務教育の円滑な接続のもと、発達段階や習熟度に応じた個別最適な学習指導の実践、様々な体験等を通じて設定した問いに対して得た知識を活用しながら多様な人々との協働を通じて解決する「探究的な学習」などの取り組みを進めます。 ページ32 方針3、豊かな心、健やかな体の育成 目指す姿 直面した困難に対してたくましく、しなやかに立ち向かい、乗り越える能力(レジリエンス)、差別や偏見なく他者を尊重する態度、基本的な運動習慣と生活習慣を身に付けた子どもたちが育っています。 <手法等> 幼児教育と義務教育の円滑な接続、地域との連携のもと、幼児期からの非認知能力の育成をとおして、人格形成の根幹となる豊かな情操や道徳心、正義感、責任感、自他の生命の尊重、他者への思いやり、自己肯定感、人間関係を築く力、社会性、心身の健康などを育む取り組み、人権尊重都市品川宣言に基づく人権尊重教育の推進、児童、生徒の体力向上を図ります。 方針4、主体的に社会の形成に参画する態度の育成、規範意識の醸成 目指す姿 子どもたちは、社会と向き合う態度、価値観をもち、自ら考え主体的に責任をもって行動する力、他者とともに持続可能な共生社会づくりに貢献できる力、未来の社会をよくするために何か行動しようとする資質、能力を身に付けています。 人々が手を取り合い生きていく共生社会の中で必要となる規範意識を身に付け、よりよい社会を目指して励まし合うことのできる思いやりある子どもたちが育っています。 <手法等> これからの社会を生き抜く上で、自ら考え、主体的に行動し、責任をもって社会変革を実現していく力が大切な時代となる中、区独自教科「市民科」等を通じたウェルビーイング教育、自分の将来を考え実現する方法を学ぶキャリア発達の支援、主体的、対話的で深い学びの視点による教育の実践、子どもたちが意見を言いやすい環境づくり、子どもたちの意見を聴く機会の確保などの取り組みを進めます。 ページ33 方針5、グローバルイノベーションを担う人材育成、職業実践力の育成 目指す姿 豊かな語学力、異文化、多様性理解、国際貢献の精神、好奇心、創造性、開かれた考えかたを身に付けた子どもたちが育っています。 異なる文化、価値観を乗り越えて他者と上手に関係を構築し、協力するコミュニケーション能力を身に付けた子どもたちが育っています。 社会の仕組みや地域社会における個人の役割を学ぶとともに、リテラシー(多様な情報を読み、解釈し、意味付けしコミュニケーションをとる能力)やニューメラシー(生活に必要な様々な情報を活用し、解釈し、計算する能力)を身に付け、自分の人生を豊かにし、Societyごーてんぜろの中で新しい価値を創造する意欲と力を備えた子どもたちが育っています。 <手法等> グローバル化(国際化)が進む社会の中で、身近な文化、歴史の体験学習、語学研修派遣、9年間の系統的、実践的な区独自の英語教育などの取り組みを進めます。 民間企業と連携した本物に近い経済活動体験、学校ごとの特色を生かした主体的、対話的で深い学びを実践する授業を推進します。  方針6、学校、家庭、地域の連携、協働による教育 目指す姿 学校、家庭、地域の人々と共に、自らも地域における共生社会の担い手として主体的に協力、参画し、相互によい影響を及ぼすことのできる子どもたちが育っています。  <手法等> 家庭教育支援、学校ごとの品川コミュニティスクールの充実、幼児教育と義務教育との円滑な接続、連携を図るとともに、地域の多様な資源を生かした子どもが安心して過ごせる居場所づくり、子どもたちの意見を聴く機会の確保などを進めます。 学校地域コーディネーターを通じた地域との連携により社会に開かれた学校づくりを推進します。 ページ34 柱2、誰一人取り残さないきめ細やかな教育 多様性が尊重される時代において、ダイバーシティ&インクルージョンの考えかたを基本に全ての子どもたちが互いを認め、高め合うことができる教育を目指します。 学ぶための就学機会を保障するとともに、子どもたちの人権が守られ、いじめや体罰のない、安心できる居場所となる学校づくり、自らの能力と可能性を最大限に伸ばすことのできる一人ひとりに最適かつ多様な教育環境を実現します。 人生100年時代を見据え、区民が生涯を学び続けることのできる、地域資源を生かした学習環境を実現します。 ページ35 方針7、ダイバーシティ&インクルージョンに根差した教育 目指す姿 全ての子どもたちがよりよくあるために互いを認め合い、一人ひとりの能力と可能性を最大限に伸ばすことのできる教育が実現しています。 全ての子どもたちが互いの違いを受け入れることができ、また、自分らしさを存分に発揮しながら共生社会を担うことができるよう育っています。  <手法等> 子どもたちの多様な教育ニーズに応えるため、全ての子どもたちがお互いの違いを認め合い、高め合う協働的な学び(ダイバーシティ&インクルージョン)を基本とした不登校対策や特別支援教育の充実を図るとともに、子どもの学びが途切れない多様な学習の在りかたの確保、安心できる居場所づくり、幼児教育と義務教育における継続的な支援、専門的人材の確保、福祉分野との連携などの取り組みを進めます。 いじめ根絶宣言および体罰根絶宣言の考えかたを基本に、品川学校支援チームHEARTSにおける専門性ある多職種の連携、いじめ予防プログラムなどの取り組みをとおして、いじめを許さない学校づくりと子どもたちの尊厳が守られる教育に取り組みます。 方針8、社会、経済状況によらない教育の実現 目指す姿 子どもたちの将来の夢を実現する力と社会を変革する力が育まれるよう、経済的理由や社会状況により就学の機会が損なわれることなく、全ての子どもたちが平等に質の高い教育を受けることができています。  <手法等> 給食費や教材費の無償化、災害時における教育活動の継続に向けた体制構築や、日本語指導が必要な児童、生徒の支援を図ることで、社会、経済状況に左右されずに教育を受けることのできる環境づくりを進めます。 方針9、充実した生涯学習、社会教育の機会の確保 目指す姿 地域の歴史と文化を継承する担い手となり、世代を超えてお互いがつながり、地域と社会を自ら創造する意識が区民に浸透しています。 <手法等> 貴重な文化財の保存、活用と生涯の豊かな学びを支える図書館の機能強化による学習環境の構築を進めます。 ページ36 柱3、学びを支える教育体制の確保 将来の予測が困難で変化の激しい時代(ブーカの時代)の中、新しい時代の学びを支える質の高い教育体制を目指し、区固有教員の確保、生き生きと学び続ける教職員の養成とサポート体制の充実を推進します。 最新のテクノロジーを取り入れた先進的な学習方法と学校運営の実現を図るとともに、学校施設の整備と地域全体での見守り体制強化による安全、安心な教育環境づくりを推進します。 ページ37 方針10、教職員の養成およびサポート、指導体制の確保 目指す姿 学び続ける教員が養成され、新しい時代の幼児教育、義務教育を先取りする区独自の学校運営が実現しています。 <手法等> 新たな学びを担う優れた教員の養成を図るとともに、区独自の教育施策の企画、具現化や喫緊の教育課題の解決など、区の教育を担う質の高い区固有教員の確保および能力育成に努めます。 スクールサポートスタッフ、副校長補佐、エデュケーションアシスタントなどの配置による教員の業務支援をはじめとした学校の働きかた改革、教員一人ひとりのキャリアに応じた資質、能力の向上を図る研修機会の確保をとおして、教職員が心身ともに健康で生き生きとやりがいを感じながら職務に取り組むことのできる環境づくりを進めます。 方針11、教育D Xに向けたICT環境の整備 目指す姿 ICTの活用が日常化し、全ての子どもたちと教職員にとって魅力があり、学習効果の高い教育ができています。  <手法等> 進化するテクノロジーと教職員の経験を組み合わせた指導を進めるとともに、教職員の指導力向上と負担軽減を図る計画的なICT環境の整備と活用を図ります。 WiFi通信を介さず、どこにいても利用可能な1人1台端末を活用し、ICT環境の側面においても誰一人取り残さず、途切れることがない教育を推進します。 方針12、安全、安心な教育環境の整備 目指す姿 ハード、ソフトの両面における安全で安心な教育環境の中で、子どもたちが常に新しい時代の学びを享受することができるようになっています。  <手法等> 就学人口の増加や地域バランス等を踏まえた教育施設の修繕、改築と防災機能の充実などの一体的な推進および、地域全体で子どもたちを見守る体制の構築を進めます。 各家庭、PTA等の学校支援団体、地域の方々とともに、ハチサン運動(注8)を推進します。 注8、ハチサン運動:登下校時間である午前8時と午後3時を中心に日常生活を通じて子どもの見守り活動を行う地域の取り組み。 ページ38 5、本計画とSDGs  本計画で定める施策推進における12の方針はSDGs(持続可能な開発目標)の達成に資するものです。12の方針が目指す主なSDGs17の目標(ゴール)は次のとおりです。 基本的な柱ごとに、施策推進における12の方針、SDGs17の目標(ゴール)の順で読み上げます。 柱1、一人ひとりの資質、能力を育成する教育 方針1、幅広い知識、専門的能力の育成。ゴール4、ゴール17 方針2、確かな学力の育成。ゴール4 方針3、豊かな心、健やかな体の育成。ゴール3 方針4、主体的に社会の形成に参画する態度の育成、規範意識の醸成。ゴール11、ゴール16 方針5、グローバルイノベーションを担う人材育成、職業実践力の育成。ゴール9、ゴール12 方針6、学校、家庭、地域の連携、協働による教育。ゴール4、ゴール17 柱2、誰一人取り残さないきめ細やかな教育 方針7、ダイバーシティ&インクルージョンに根差した教育。ゴール3、ゴール5、ゴール10 方針8、社会、経済状況によらない教育の実現。ゴール1、ゴール3 方針9、充実した生涯学習、社会教育の機会の確保。ゴール4、ゴール11 ページ39 柱3、学びを支える教育体制の確保 方針10、教職員の養成およびサポート、指導体制の確保。ゴール4、ゴール8 方針11、教育D Xに向けたICT環境の整備。ゴール9 方針12、安全、安心な教育環境の整備。ゴール7、ゴール13    SDGs(持続可能な開発目標)とは    SDGsは「Sustainable Development Goals」の略であり、2015年(平成27年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核を成す、2030年(令和12年)を年限とする開発目標であり、先進国を含む国際社会共通の目標です。  SDGsは持続可能な世界を実現するための17の目標(ゴール)から構成され、「誰一人として取り残さない」社会の実現を目指し、経済、社会、環境をめぐる広範囲な課題に対する総合的な取り組みが示されています。 17の目標(ゴール)の図があります。 SDGs17の目標(ゴール) 1、貧困をなくそう 2、飢餓をゼロに 3、すべての人に健康と福祉を 4、質の高い教育をみんなに 5、ジェンダー平等を実現しよう 6、安全な水とトイレを世界じゅうに 7、エネルギーをみんなにそしてクリーンに 8、働きがいも経済成長も 9、産業と技術革新の基盤をつくろう 10、人や国の不平等をなくそう 11、住み続けられるまちづくりを 12、つくる責任つかう責任 13、気候変動に具体的な対策を 14、海の豊かさを守ろう 15、陸の豊かさも守ろう 16、平和と公正をすべての人に 17、パートナーシップで目標を達成しよう 次のページに音声コードはありません  ページ41 第4章、計画の推進 ページ42 1、進行管理  本計画の施策の実施にあたっては、毎年度、主要な施策や事務事業の取り組み状況について、学校の状況、子ども、保護者の意見、地域の意見、教育データ、指標等を把握しながら点検、評価を行い、目指すべきビジョンを実現するための課題や取り組みの改善点を明らかにして、効果的な教育行政の一層の推進を図ります。 P D C Aサイクルによる進行管理のイメージ図があります。 Plan(立案)、Do(実施)、Check(評価)、Action(改善)の一連のプロセスを繰り返し行うことで、より効果的、効率的な施策推進に向けた継続的な見直しを行います。 根拠に基づく施策推進  本計画のもと取り組む事務事業の実施にあたっては、これまでに収集してきた各種データを用いて根拠に基づく的確な施策推進を図ります。  また、本計画が目指す共生社会の担い手たる児童、生徒の資質、能力の育成を実効性のあるものとするため、学校教育分野についてはプランを定め、より一層効果的な施策推進を図ります。   事務事業の評価、公表  区教育委員会の事務事業については、地方教育行政の組織および運営に関する法律に基づき、毎年度、外部有識者を交えて評価を行います。この事務事業評価を通じて本計画に基づき実施する事務事業の評価を行い、その結果を「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価の結果報告書」として、区ホームページで公表します。   児童、生徒アンケート、保護者アンケートの実施  区における教育施策の成果を検証するため、毎年度、児童、生徒アンケート(区立学校に通う2年生以上の全児童、生徒)および保護者アンケート(区立学校に通う全児童、生徒の保護者)を実施し、調査結果を教育施策、事業の改善に役立てます。 ページ43 シリョウ   ページ44 括弧1、子どもたちへの意見聴取結果 実施概要  令和5年4月に施行された「こども基本法」は、自治体の責務として、子どもに関する政策を決定する際には、当事者である子どもたちの意見を聞くことを求めています。この趣旨に基づき、計画策定の検討材料として活用するとともに、児童、生徒がよりよい未来について考え行動するきっかけとすることを目的に、区立学校に通う児童、生徒を対象とした子どもワークショップを実施しました。  実施概要のひょうを、期日、会場、参加者数の順に読み上げます。  令和6年9月3日(火)、浅間台小学校、20名  令和6年9月5日(木)、大崎中学校、16名  令和6年9月6日(金)、ほうようの杜学園、18名  参加者はいずれの日も、学年、校種、性別、支援要否を問わず各校が推薦した児童、生徒を選定  コメジルシ、概ね1校1名(義務教育学校は前期課程、後期課程から各1名ずつ計2名)を募集 プログラム概要 導入説明 1.ウェルビーイングとは何か、学校のウェルビーイングに関する説明 2.アイスブレイク(緊張をほぐすためのワーク) グループワーク 1.「みんなが笑顔になれる学校」への理解を深める ステップマル1、ウェルビーイングの達成状況について考える ステップマル2、グループ内で共有する 2.「みんなが笑顔になれる学校」のためにできることを考える ステップマル1、テーマを1つに絞る ステップマル2、アイデアを書き出す ステップマル3、アイデアの分類 発表 1.他のグループの内容共有、まとめ ワークショップの写真があります。 「みんなが笑顔になれる学校」になっているか、自分の通っている学校について話しました 自分たちにできることをグループ内で話し合い、最後は話し合った内容を全体に発表しました ページ45 グループワークにおける検討テーマおよび各グループの選択状況一覧の表があります。 結果概要  各グループが選択した検討テーマは、「自分らしさを大事にできる学校」が最も多くなりました。  グループワークの結果、「みんなが笑顔になれる学校」のためにできることとして、特に以下の意見が多く挙げられました。   「少し違っても受け入れて、みんな等しく楽しく過ごす」「相手のことを考えた発言をする」「人に対して、嫌な言葉を言わないように、個性を知る」等といった、個性の尊重に関する意見 「自分が思った事を言葉にする」「他人任せではなく、自分から物事に取り組む」「先生もみんなもチャレンジできるような学校」等といった、主体的な行動に関する意見 「子ども一人一人の話を聞いてほしい」「学校の行事での生徒の意見を反映させる」等といった、意見を言いやすい環境づくりに関する意見 「ルールを守る」「困っているときに助け合う」「言葉や行動に責任を持つ」等といった、自分らしさを尊重するための責任や規範意識に関する意見 コメジルシ、参加者アンケートの感想 他の学校や異なる学年の人と話すことができました。参加して良かったです。 一つのことについていろんな方向から見る大切さを知ることができ、とても楽しかったです。 学校をよりよくする案がたくさんあったので実行したいと思いました。 ページ46 主な意見   検討テーマ「主体性をもってチャレンジできる学校」 自分からすすんでチャレンジする 自分が興味あるものに取り組んでみる 学校で意見を提案できるような時間をつくる 他人任せではなく、自分から物事に取り組む 意見を言いやすい環境づくり クラスや学年全体でチャレンジがしやすい雰囲気作り 誰かがチャレンジした時に応援してあげる 少数派の意見も大切にする!→意見が言いやすい! 学校や保護者の人の後押し 生徒1人1人に話や意見を聞いて、後押しする 1つの出来事でも褒めてあげる。自信や、やる気がUP 相談に乗ってあげる。出来る限りのサポートをしてあげる 検討テーマ「感謝できて、思いやりがある学校」 あいさつをする 「あいさつ」、朝、廊下ですれ違ったとき、授業前、後、帰り (保護者や地域の人に)あいさつを返してほしい いろんな人に感謝しよう 「ありがとう」と「ごめんね」を言う!! はげみ家庭科の保護者ボランティアに感謝する会 感謝されるような行動 グットプロジェクトに積極的に参加する。 ゴミを見つけた時に、ほったらかしにしない!! 相手の気持ちを考えよう 困っている時に助け合う!! ダメ出しばかりしない ワークショップの写真があります。 ページ47 検討テーマ「前向きでいられる学校」 前向きな言動の心がけ 何か問題が起こっても、解決したら気持ちを切り替える。 何でもチャレンジしてみる! ポジティブな発言を増やす 相手の気持ちを考える、励まし合う 友達が失敗したときは、励まし合う! 人を否定しない!! 失敗を受け入れてくれる いろいろな人と仲良くする 低学年や年下の生徒との交流を増やしてほしい!!もっと仲良くなりたい! 友達と話す時間をつくる 楽しく通える学校づくり その人が学校に来て良かったと思えるようにする。→1つでも(多く)「楽しい」と思えることをつくる 暑さ対策を、もっとしてほしい 検討テーマ「自分らしさを大事にできる学校」 お互いのことを理解し、尊重する 少し違っても受け入れて、みんな等しく楽しく過ごす 「普通はこう」という考えをなくす! 自分と違う意見も受け入れる 意見を言いやすい環境づくり 誰かが意見を言った時に肯定するような言葉を言う みんなで話し合う場をつくる 1ヶ月に1回とか、どんなことを改善したいか話し合う場を設けてほしい 自分の気持ちに素直になる 自分の特徴を見つけよう 自分が思った事を言葉にする 自分らしさを尊重するための責任や規範意識 ルールを守る 自分の意見を押し付けない 「自分らしさ」と「自己中心的」は少し違う ワークショップの写真があります。 ページ48 括弧2、これまでの取り組み事例  区教育委員会は、本計画で示す様々な要素につながる取り組みをこれまでも進めてきました。本計画に基づく新たな取り組みに加え、これまでの取り組みの一層の深化を図り、共生社会を担う子どもたちの育成を図ります。    方針1、幅広い知識、専門的能力の育成 特色ある教育活動の推進  授業の写真があります。  城南小学校における特色ある教育活動「『品川区の移り変わり』を学ぶ授業」の様子。地域のかたから昔の品川区の様子や生活様式について話を聞き、調べ学習により理解を深め、目指していく品川区の姿を皆でスローガンにまとめるなど、従来の受け身の授業ではなく、「主体的・対話的で深い学び」に繋がる授業に取り組んでいます。 事務事業の概要 【対象】区立小学校、中学校、義務教育学校 【目的】前年度に各学校から提出された予算計画書に基づき、各学校長のビジョンに基づいた特色ある教育活動を推進し、成果基盤型の学校経営の実現を図る。 【内容、手法等】     各学校における教育内容の特色に応じた教育環境の整備を図る。    予算の一部を学校に配当し学校にて執行している。    方針2、確かな学力の育成 市民科の推進 授業の写真があります。  大井第一小学校では市民科の「一貫プラン」として5、6年生による異学年探究学習を設定し、「よりよい社会へ」という単元の学習を行っています。「理想の社会とは」について話し合い、自分たちで出し合った多様な考えを分析したり、社会で働く方々の話を聞いて考えを深めたりと、探究的な学習を発展的に進めています。 事務事業の概要 【対象】区立小学校、中学校、義務教育学校 【目的】品川区立学校教育要領に基づき、教養豊かで品格のある人間形成を目指し、区独自教材の活用や体験的な活動等をとおして指導の充実を図る。 【内容、手法等】  市民科により育成する力を「7つの資質」「5つの領域、15の能力」として具体的に定め、5つのステップ(1:把握、2:認識、3:習得、4:実践、5:深化)をとおした指導を行うことで、児童、生徒の確かな理解と日常における実践力の向上を図る。 ページ49  方針3、豊かな心、健やかな体の育成 ジョイント期における幼児教育と義務教育の円滑な接続に向けた取り組み 交流活動の写真があります。  八潮わかば幼稚園における保幼小(義務教育学校)連携、交流の様子。5歳児と小学校1年生がそれぞれのねらいをもち、交流活動を行っています。幼児は小学校の生活や環境に触れ、小学生への親しみや憧れ、学校生活への期待をもつ機会になっています。小学生は幼児と関わることで、新たな気付きや発見をし、学習に役立つ体験になっています。 事務事業の概要 【対象】区立保育園、幼稚園、小学校、義務教育学校(前期課程) 【目的】全ての子どもが格差なく質の高い学びへと接続できるよう、幼児期および保幼小(義務教育学校前期課程)接続期の教育の質を保障する。 【内容、手法等】  幼児期から児童期の育ちを共有し、幼稚園、小学校の両者で、それぞれの発達や成長に応じたねらいをたて、互恵性のある活動を計画、実施する。また、子どもの育ちや学びの姿をつなげていけるよう、幼小合同での研究会、研修会、各園学校間での連絡会等を実施する。 多様性理解、多文化共生推進事業 活動の写真があります。  多様性理解、多文化共生推進事業をとおして、児童、生徒の他者への思いやり、自己肯定感の充実度や満足度(主観的なウェルビーイング)の向上を図っています。教員自身が障害者理解を深めるとともに、品川区の教育施策への理解、児童、生徒理解、指導方法の工夫、改善を図ることを目的とした研修を実施しています。 事務事業の概要 【対象】区立幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校 【目的】2025年度(令和7年度)デフリンピック開催(東京)を契機に、障害者理解(多様性理解)や日本文化、スポーツ体験等(多文化共生)の推進を図る。パラスポーツ体験授業、アスリートとの交流、大使館との交流等の経験をとおして、多様性理解、多文化共生の推進に生かしていく。 【内容、手法等】 マル1、しながわ多様性理解、多文化共生推進事業(各種体験教室、講演会等の実施)   マル2、ブラインドサッカー体験(生徒、教職員研修) ページ50  方針4、主体的に社会の形成に参画する態度の育成、規範意識の醸成 しながわドリームジョブ しながわドリームジョブの写真があります。  しながわドリームジョブでは、児童、生徒が様々な分野の職業に就いているかたの話を聞き、様々な職業について興味をもち、自分の将来について考え、実現させるための具体的な方法を学びます。本事業を通じて、多様な社会人の方々から「仕事」「職業」「生きかた」等についての話を伺い、地域とのかかわりの中で社会の一員としての自らの将来や、その実現のための方策を考え、主体性を育んでいます。 事務事業の概要 【対象】5年生以上の区立学校児童、生徒 【目的】児童、生徒が様々な職業に就いているかたの話を聞くことで、様々な職業に興味をもち、将来について考え、実現するための具体的な方法を学ぶとともに、学校と学校支援地域本部、学校支援ボランティアが協力して事業を実施していくことで、地域連携を進める。 【内容、手法等】  希望する学校で実施。地域で様々な職業に就く方々が講師となり、その職業に就くために必要なことや、仕事のやりがいなどを話す。児童、生徒はその中から興味のある職業を選択し、講師の話を聞き、質問をする。 ページ51 方針5、グローバルイノベーションを担う人材育成、職業実践力の育成 品川英語力向上推進プラン 品川区イングリッシュキャンプの写真があります。  「品川区イングリッシュキャンプ(宿泊型)」の様子。(希望者、抽選による。)  オールイングリッシュでの3日間の活動をとおして、異なる文化や価値を超えて周囲と関係性を構築し、協力するためのコミュニケーション能力を身に付けています。 次のページに続きます ページ51の続きです 事務事業の概要 【対象】区立小学校、中学校、義務教育学校 【目的】英語を1年生から学ぶことで、英語によるコミュニケーション能力の向上を図り、国際理解に必要な主体性や積極性を養う。 【内容、手法等】  1から2、7から9年生にはALT(外国語指導助手)、3から6年生にはJ T E(英語専科指導員)を配置し、教員とのチームティーチングによる授業を行っている。区独自カリキュラムに加え、国の教材や教科書も導入し、5、6年生で年間70時間の授業を行っている。また、4年生を対象に英語を使用した体験活動「ジュニアイングリッシュキャンプ」を実施している。  7から9年生では、授業内に海外の講師とマンツーマンの英会話レッスンを行っている。そのほかにも、7、8年生を対象としたネイティブ外国人講師による放課後レッスン「品川区グローバル人材育成塾」を週1回実施し、レッスン受講の希望者を対象として「イングリッシュキャンプ(宿泊型)」を行っている。2019年度(令和元年度)からは「TOKYO GLOBAL GATEWAY BLUE OCEAN」での日帰り型も実施している。 スチューデントシティ、ファイナンスパーク スチューデントシティの写真があります。  スチューデントシティの様子。品川学園に設置する経済活動体験施設において、実在する企業や区役所の仕事と消費者としての活動を同時に体験し、周囲の人々がそれぞれの役割を分担し、お互いに支え合う「共生社会」の上に自分たちの生活が成り立つことを理解し、学習しています。 事務事業の概要 【対象】区立学校5年生(スチューデントシティ) 区立学校8年生(ファイナンスパーク) 【目的】学校で学んだ知識と自らの生活を有機的に関連させる学習として、市民科学習の5年生および8年生の将来設計領域に単元として導入している。 【内容、手法等】  公益社団法人ジュニアアチーブメント日本のプログラムを使い本物に近い経済活動体験をとおして学習効果を高める。事前学習に8時間設定し、体験学習を行うために必要な経済や金融に関する基礎的な知識や技能を学ぶ。その後のカリキュラムとして、会社の経営側と消費者を同時に体験する。全15時間のプログラムである。(2022年度(令和4年度)より、ファイナンスパークはオンラインで実施、スチューデントシティはリニューアルオープンした。) ページ52 方針6、学校、家庭、地域の連携、協働による教育 地域とともにある学校づくり 品川コミュニティスクールDAYの写真があります。  荏原第一中学校での「品川コミュニティスクールDAY」の様子。地域の大人と生徒が輪になり、様々なテーマについて意見を交換します。地域への愛着やコミュニケーション能力を育むことを目的としたこの取り組みをとおして、たくさんの笑顔が見られました。 事務事業の概要 【対象】区立小学校、中学校、義務教育学校 【目的】学校と地域住民が一体となって、継続性を保ちながら、教育活動の改善や、児童、生徒の健全育成に取り組む。 【内容、手法等】  2018年度(平成30年度)より、全区立学校を「品川コミュニティスクール」に指定し、地域の方々に学校運営に参画していただく「校区教育協働委員会」と教育活動を支援する「学校支援地域本部」を設置した。校区教育協働委員会は、保護者、地域住民、学識経験者等を委員として、学校運営の基本方針の承認、教育活動の評価、学校支援活動の企画、調整を行い、学校支援地域本部は、学校地域コーディネーターや学校支援ボランティア等で構成され、品川地域未来塾や学校、地域の特色に応じた教育活動の充実に向け、様々な学校支援を行う。 部活動の地域移行等の推進 部活動の写真があります。  2024年度(令和6年度)より、部活動指導の一部を民間委託し、専門性の高い指導者による部活動指導を実施しています。  また、改革推進期間(2025年度(令和7年度)まで)は、ダンス部、ラグビー部、ホッケー部の3つの地域部活動を行います。地域の民間企業や関係機関と連携しながら、子どもたちが地域社会とのかかわりを通じて、自己実現や地域への愛着をもてる人材を育成していきます。 事務事業の概要 【対象】5年生以上の区立学校児童、生徒 【目的】児童、生徒の多様な体験機会を確保するとともに、部活動を持続可能な取り組みとして、教員の働きかた改革による学校教育の質の向上を図る。 【内容、手法等】  協議会を開催し、部活動の地域移行のありかた等を総合的に検討する。学校部活動に民間委託を導入し、各学校に学校部活動アシスタントコーディネーターの配置を行うことで指導者を確保し、部活動の持続性を担保するとともに、教員の働きかた改革の推進を図る。地域部活動の実施により、学校部活動にない部活動など、子どもたちに多様な体験機会を確保する。 ページ53 方針7、ダイバーシティ&インクルージョンに根差した教育 不登校支援(メタバースを活用した学習支援) オンライン空間上での授業の画像があります  オンライン空間上での授業の様子。メタバース技術を使用し、児童、生徒はオンライン上に用意した教室で交流したり、授業を受けることが可能となりました。学校やマイスクールと合わせて多様な学びの在りかたを認め推進し、児童、生徒の学びを止めない教育を進めています。 事務事業の概要 【対象】学校、品川区教育支援センター「マイスクール」または民間施設のフリースクール等に通っていない児童、生徒 【目的】多様な学びの一環として、オンライン仮想空間上での学習支援をとおして、不登校児童、生徒の社会的自立を目指す。 【内容、手法等】  オンライン上の仮想空間を活用した居場所と学習の機会を確保し、コミュニケーション活動、オンライン学習教材の提供、オンライン授業などを実施することで、個々の状況に合わせた学びの場を提供する。 発達障害教育支援員の配置 研修会の写真があります。  各支援員がよりよい支援を行うことができるよう、研修会を実施しています。発達障害への理解や一人ひとりの子どもの困難に応じた具体的な支援などを知る機会としています。また、実際におこなっている各学校での支援の状況を情報共有することで、今後の支援につなげていくことができるようにしています。 事務事業の概要 【対象】小学校、義務教育学校(前期課程) 【目的】発達障害等(自閉症、情緒障害、学習障害および注意欠陥多動性障害)のある児童が安心して円滑に在籍学級での学習を継続できるよう通常の学級において、必要な支援を行い、より充実した学校生活が送れるようにする。 【内容、手法等】  毎日1名の支援員が配置され、学級担任をはじめ訪問指導教員と共有した情報を基に、一人ひとりの子どもの状況に応じて寄り添った支援を行っている。特別支援教室を利用している子どもは、在籍学級でも支援を受けられることで、特別支援教室での指導の成果を日常的に発揮することができる。 ページ54  方針8、社会、経済状況によらない教育の実現 日本語指導が必要な児童、生徒の支援 日本語指導教室の写真があります。  やまなか小学校の日本語指導教室で行われている指導の様子。児童、生徒は在籍校から週3回程度、日本語指導教室に通い、日本語を学びます。  日本語指導講師によるきめ細かな指導を通じ、母語や文化を大切にしながら早期に日本語能力を習得し、どのような状況にあっても全ての児童、生徒が円滑な学校生活を送ることができるための取り組みを推進しています。 事務事業の概要 【対象】海外からの帰国児童、生徒、海外から来日した外国籍の児童、生徒など、日本語指導が必要な児童、生徒 【目的】児童、生徒が日本の生活習慣および学習習慣に速やかに適応し、学校生活および社会生活を円滑に営むことができる能力を育成する。 【内容、手法等】  やまなか小学校と八潮学園の空き教室において、日本語能力の習得を進めるための言語指導や、対象者の実態に応じた教科への適応指導を行う。日本語指導教室委託(NPO法人アイダブルシー国際市民の会)。  方針9、充実した生涯学習、社会教育の機会の確保 ティーンズ世代の読書活動推進 POPの掲示の写真があります。  ティーンズ世代が作成した本のPOPのコンテストを行っています。  応募作品の中から審査を通過したPOPを、区立図書館で掲示し、来館者に一番読んでみたくなったPOPに投票していただき、最優秀賞を決定しています。  本を読んで感じたこと、伝えたいことを表現する喜びを得られるとともに、多くの人に読書の楽しさを伝えるイベントです。 事務事業の概要 【対象】主に中学生段階、高校生世代 【目的】読書離れが懸念されるティーンズ世代向けに読書の楽しさや魅力を伝える。 【内容、手法等】  各図書館にてティーンズ向け図書コーナーを設置するほか、ティーンズ向け事業(POPコンテスト、ビブリオバトル等)の実施、ティーンズボランティアの受け入れ等を行う。 ページ55  方針10、教職員の養成およびサポート、指導体制の確保 固有教員の採用 授業の写真があります。  区独自の教育施策の企画、具現化、学校組織体制の強化、高い専門性が必要となる教育課題への対応という品川教育のさらなる推進のため、推進リーダーの役割を果たす固有教員を採用しています。今後、段階的に増員していく予定であり、固有教員の魅力を積極的にPRして人材の確保に努めていくとともに、各種研修機会や助成制度の充実により資質、能力の向上を図っていきます。 事務事業の概要 【対象】区固有教員 【目的】一貫教育など品川区教育施策の推進 【内容、手法等】  区の教育施策の原動力となる高い志をもった者を採用する。他地区への異動がなく、区独自の教育施策への理解を深めた教員を配置することで、一貫教育を推進する。都主催研修への参加機会を確保するとともに、自己啓発のための書籍購入費等の補助、通所研修による重要施策の研究、外部専門研修の受講、異校種免許の取得推進等、区独自の補助を行い、固有教員の資質や能力の向上を図る。  方針11、教育D Xに向けたICT環境の整備 学校ICTの推進 タブレット端末の写真があります。  児童、生徒が授業でタブレット端末に入力している様子。  ICT機器を配備することにより、場所を問わず継続した学習環境を確保できるようになり、一人ひとりの資質、能力をより効果的に育成できる教育環境を実現しています。 事務事業の概要 【対象】区立小学校、中学校、義務教育学校 【目的】児童、生徒がICT機器を活用することを通じ、進化する情報社会への適応力(情報リテラシー)を定着させるとともに学習意欲の向上を図る。 【内容、手法等】   マル1、児童、生徒1人1台専用端末のICT環境整備 「GIGAスクール構想」の実現に向け、全ての児童、生徒に1人1台のタブレット端末を配備した。今後、タブレット端末を活用した学習活動を推進していく。   マル2、教室用ICT機器整備の充実 普通教室等へ整備した電子黒板機能付きプロジェクタ、書画カメラ、教師用ノートパソコン、デジタル教科書等を活用し、より質が高く、分かりやすい授業を実践している。 ページ56  方針12、安全、安心な教育環境の整備 学校改築の計画的な推進 竣工イメージの画像があります。  現在改築工事中の源氏まえ小学校の竣工イメージ。  老朽化が進み更新時期を迎えている学校施設について、計画的に改築を行っています。児童、生徒が安全、安心に学習できるとともに、地域に開かれ防災や交流の拠点となる学校づくりを進めます。 事務事業の概要 【対象】改築未着手校 【目的】学校施設の老朽化や就学人口の増加等に対応するため、計画的に学校改築を推進し、児童、生徒が安全で快適な学校生活を送れるよう、良好な学習環境を整備する。 【内容、手法】 マル1、敷地測量、マル2、基本設計、マル3、実施設計、マル4、校舎等改築工事 ページ57 括弧3、品川区教育振興基本計画策定委員会設置要綱 制定、令和6年1月10日、教育長決定、要綱第1号  (設置) 第1条、教育基本法(平成18年法律第120号)第17条第2項の規定に基づき品川区教育振興基本計画を策定するにあたり、必要な事項を検討するため、品川区教育振興基本計画策定委員会(以下「策定委員会」という。)を設置する。  (所掌事項) 第2条、策定委員会は、次に掲げる事項について検討し、教育委員会に報告する。 括弧1、品川区教育振興基本計画の策定に関すること 括弧2、その他品川区教育委員会が必要と認める事項  (組織) 第3条、策定委員会は、教育長が委嘱する以下に掲げる者をもって組織する。 括弧1、学識経験者、2名 括弧2、関係団体に所属する者、3名 括弧3、子どもの保護者、3名、 括弧4、学校教育関係者、2名 括弧5、校長、園長、5名  (委員の任期) 第4条、委員の任期は、第2条の規定による報告のあった日までとする。  (委員長および副委員長) 第5条、策定委員会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。 2、委員長は、策定委員会を代表し、会務を総理する。 3、策定委員会に副委員長1名を置き、委員長が指名する委員をもってこれに充てる。 4、副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。  (会議) 第6条、策定委員会は委員長が招集する。 2、策定委員会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。  (意見の聴取) 第7条、委員長は、必要があると認めるときは、委員以外の者を委員会に出席させ、意見もしくは説明を聴き、または委員以外の者からシリョウの提出を求めることができる。  (部会) 第8条、委員会に、品川区教育振興基本計画の策定に係る専門的事項について調査、研究させるため、部会を置くことができる。 2、部会員は、委員のほか委員長が別に指名する者とする。  (庶務) 第9条、策定委員会の庶務は、教育委員会事務局庶務課において処理する。  (委任) 第10条、この要綱に定めるもののほか、策定委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が別に定める 付則 この要綱は、令和6年4月1日より適用する。 ページ58 括弧4、品川区教育振興基本計画策定委員会、委員名簿 役職、選出区分、職名、氏名の順に読み上げます。 委員長、学識経験者、筑波大学、教授、ひぐち、なおひろ 副委員長、学識経験者、明治学院大学、准教授、くらま、ゆみ 委員、関係団体に所属する者、品川区町会自治会連合会、相談役兼監事、かねこ、まさひで 委員、関係団体に所属する者、品川区青少年対策地区委員会連合会、会長、いちかわ、しんのすけ 委員、関係団体に所属する者、品川区青少年委員、まつもと、まりな 委員、子どもの保護者、品川区立小学校PTA連合会、会長、よしだ、ようこ 委員、子どもの保護者、品川区立中学校PTA連合会、会長、かとう、まさのり 委員、子どもの保護者、品川区立幼稚園PTA連合会、副会長、いとう、やよい。備考、2024年(令和6年)8月31日まで 委員、子どもの保護者、品川区立幼稚園PTA連合会、副会長、わだ、えみ。備考、2024年(令和6年)9月1日から 委員、学校教育関係者、学校地域コーディネーター、そとやま、あいり 委員、学校教育関係者、品川区立はたのだい小学校、校区教育協働委員会、委員、えとう、たいき 委員、校長、園長、品川区立御殿山小学校、校長、みやざき、ともこ 委員、校長、園長、品川区立ふじみだい中学校、校長、いしぐろ、しん 委員、校長、園長、品川区立伊藤学園、校長、のぐち、やまと 委員、校長、園長、品川区立八潮わかば幼稚園、園長、まるやま、ともこ 委員、校長、園長、品川区立台場保育園、園長、うすき、ひろゆき 事務局、教育長、いざき、みゆき 事務局、子ども未来部長、さとう、けんぎ 事務局、教育委員会事務局教育次長、よねだ、ひろし 事務局、教育委員会事務局庶務課長、ふなき、ひでき 事務局、教育委員会事務局学校施設担当課長、あらき、こうた 事務局、教育委員会事務局学務課長、かしわぎ、とおる 事務局、教育委員会事務局指導課長、なかたに、あい 事務局、教育委員会事務局教育総合支援センター長、まるたに、だいすけ 事務局、教育委員会事務局特別支援教育担当課長、からさわ、よしひこ 事務局、教育委員会事務局品川図書館長、こうち、たかし 事務局、教育委員会事務局指導課統括指導主事、さいとう、たかみつ 事務局、教育委員会事務局、教育総合支援センター統括指導主事、ますや、ともかず ページ59 括弧5、品川区教育振興基本計画、検討経過 月、策定経過の順に読み上げます。 2024年(令和6年)4月、第1回策定委員会 期日:4月26日 内容:委員長、副委員長の選出。審議の進めかた、スケジュールについて。国、都、区における現況について。施策体系案の提示 6月、第2回策定委員会 期日:6月14日 内容:計画骨子案の提示。子どもたちへの意見聴取実施案の提示 8月、第3回策定委員会 期日:8月1日 内容:計画素案の提示。子どもたちへの意見聴取実施案の提示 9月、子どもたちへの意見聴取 期日:9月3日、5日、6日(3日間) 内容:「みんなが笑顔になれる学校を考えよう」をテーマとして区立学校に通う児童、生徒を対象とした子どもワークショップを開催 10月から11月、パブリックコメント 期間:10月11日から11月10日まで(30日間) 結果:意見提出人数、6名。意見(要旨)数、48件 12月、第4回策定委員会 期日:12月19日 内容:パブリックコメントの結果について意見交換。子どもたちへの意見聴取の結果について意見交換。計画素案修正案、概要版の提示 2025年(令和7年)2月、第5回策定委員会 期日:2月28日 内容:、計画素案修正案、概要版を提示。計画案、概要版案の決定 3月、教育委員会 期日:3月24日 内容:教育委員会において計画として決定 奥付 品川区教育振興基本計画 品川区教育ビジョン 発行げつ、2025年(令和7年)3月 発行、品川区教育委員会 編集、品川区、教育委員会事務局、庶務課 58