品川区水辺利活用推進計画 概要版 1計画の概要 本計画は、水辺利活用ビジョンの目標である『水を感じ、楽しみ、憩える水辺の賑わいの創出』を実現し、品川の都市ブランドを構築・向上するための具体的な取組を示した10年計画です。 計画期間 2025年度〜2034年度までの10年間 (令和7年度〜令和16年度) 本計画は、品川区内にある水辺のうち、右図に示す河川や運河を対象とします。 品川区の水辺 天王洲エリア 天王洲運河、品川浦 目黒川エリア 目黒川 勝島・京浜運河エリア 勝島運河、立会川、京浜運河、勝島南運河 ______図______ 2水辺を取り巻く品川区の現状 区では、船着場の整備・橋梁ライトアップ・舟運の社会実験などを実施し、水辺利活用の環境を整える取組により水辺の魅力向上に努めてきました。今後は、地元団体・企業等と連携した水辺の利活用方法やまちとの回遊性をセットにしたにぎわいを創出するための仕組みの構築が求められています。 ■社会情報の変化 河川空間・運河のオープン化  河川敷地内では法制度の改正により民間事業者による営業活動等が可能になり、運河でも地元主導の取り組みが進んでいます 公共用地における民間事業者による利活用の活発化 道路や公園などでも法制度(ほこみち制度、まちなウォーカブル、Park−PFI)等の改正により、公共空間の利活用が活発化しています ______図______ ■水辺の利活用ニーズ 水辺の快適性を高める 現在の利用形態は通過利用が多いため、休憩施設の設置や水質改善など、滞在したくなるような快適性を高める取り組みを推進することが必要があります 水辺とまちの回遊性向上により観光資源をつなぐ 人気の観光資源である「水辺」と「商店街」を結ぶ仕組みづくりや、まちの回遊性向上による区内の観光ニーズへの対応が求められます SNS等を活用した多様な情報発信 観光情報の発信や都市ブランディングの展開は、SNS等を活用するなど、多様なコンテンツの活用が求められます ■エリア別の水辺の特性 天王洲エリア ◆水辺広場や船着場が点在し、各所で拠点が形成されています ◆アートなど地域資源活用のため、エリア内外の回遊性の向上が求められます ◆日常的な水辺利活用につなげる取組の推進が必要です 目黒川エリア ◆河川沿いに水辺の拠点が形成されています ◆水辺空間の快適性を高めるなど 回遊性の向上が求められます ◆日常的な水辺利活用につなげる取組の推進が必要です 勝島・京浜運河エリア ◆施設等の再整備により一層魅力的な水辺拠点が形成されます ◆しながわ花海道が地域活性化の起点となっています ◆エリア内に点在する地域資源とイベント等の取組と連携強化が求められます ■これまでの取組状況 ハードの環境整備は充実  船着場や船着場の案内サイン、橋梁ライトアップなどのハードの環境整備を推進することで水辺を楽しむ拠点整備は充実しました イベント等に活用できる水辺空間を創出 河川空間のオープン化や、運河等における水辺のオープン化、および公園整備等によって水辺に地域イベントや商業・飲食サービスを提供できる空間を創出しました 水辺の安全性・快適性を支える取組の継続 水辺利活用の推進には水辺に親しむことができる環境を整えることが大切で、施設の維持管理や水質改善等の取組を継続していくことが重要です 滞在を促す日常的な取組へのシフト  水辺空間を活用し様々な“単発の”イベントが実施されていますが、今後は日常的かつ持続的な取組へのシフトが求められます その活動を支える団体等の体制の強化・育成も重要です 水辺とまちとの回遊性向上 舟運社会実験や橋梁ライトアップにより形成した水上ネットワークを活用できるよう、今後は船着場と背後地の一体利用など、まち・水辺・水面を魅力的につなぐ取り組みや仕組みづくりが求められます 3品川区の水辺利活用の方向性 ■水辺利活用の視点 2章「水辺を取り巻く品川区の現状」を踏まえ、品川区の水辺利活用検討における視点を整理します。 ______図______ ■水辺利活用に向けた取組方針 本計画の目標は、ビジョンの方針を『水辺利活用4つの視点』により見直し、各取組をレベルアップすることで、さらなる水辺のにぎわい創出を目指すことです。 ______図______ 4水辺利活用に向けた主な取組 ベースの取組および水辺利活用に資する取組から個別方針、施策をそれぞれ設定する。 ______図______ 5目標達成に向けた進め方 ■目標達成に向けた進め方 本計画は、水辺利活用を支える基盤となる取り組みを継続するとともに、水辺利活用に資する取り組みを3年程度ずつの3段階に分け、官民連携により推進する中で、取り組みの担い手を行政主体から地域(民間)主導へ移行していくことを目指します。 ______図______ ■リーディングプロジェクト 水辺利活用推進計画全体を進める上で、核となる先導的なプロジェクトのことをリーディングプロジェクトとして展開します。 本計画では、「活動の多様性」と「地域の回遊性」という2つの軸から、特性の異なる3つのタイプに分類します。それぞれのタイプごとにリーディングプロジェクトを設定し、対象エリアを決めて、「官民連携」「ハード・ソフト」が一体となった取組を実施します。  ______図______ 6計画の実現に向けて ■目標達成に向けた進め方 本計画においては、10年後の2034(令和16)年度に達成すべき目標を以下のように設定します。 ______図______ ■計画の評価・検証 フェーズ1とフェーズ2以降の2階で、行政主体から民間主導の評価・検証に移行することを想定しています。 フェーズ1 水辺利活用の実務担当者がフラットな形で意見交換を行える場づくり ●取組内容の共有 ●連携可能性の検討 ●取組効果の評価・検証を踏まえた、取組の提案・実施 ______図______ フェーズ2以降 活動の評価・検証の結果を踏まえて居心地のよい水辺をつくっていく実行組織 (年度当初) ●年間活動計画の共有 ●評価・検証の取組方針の共有 (年度終わり) ●活動のフォローアップ ●計画・検証のフォローアップ ●水辺利活用の課題や改善等の検討 ●次年度以降の活動計画立案 ______図______ 天王洲エリアにおける展開(リーディングプロジェクト) エリアの将来目標 舟運の活性化や運河沿いの商業施設と連携した景観形成による賑わいの創出 本計画における目標 −ブランドイメージ− 品川区の水辺の玄関口となる広域交流拠点づくり −水辺とアートの映えるまち− 【リーディングプロジェクトの概要】 ●エリア内外の回遊性向上を図るため「東品川二丁目船着場周辺」「天王洲アイル第三水辺広場周辺」および「東品川海上公園周辺」で一体的な取り組みを推進し“広域交流拠点”を形成します。 ●「アートになる島 ハートのある街」をテーマにしたエリアであり、資源を活用した魅力的なまちを目指します。 展開に向けた取組内容 ______図______ 将来展開イメージ さらなる水辺のにぎわいを創出し、水辺とアートを核にした新たな水辺文化が感じられるエリアになります ◆水辺のにぎわいがまち側にも波及しています 主な取組 ・新たなモビリティ等の導入による回遊性の向上 ・水辺に関する魅力の情報発信 ・品川浦周辺地区におけるまちづくりとの連携 ◆まちづくり組織の取組と連携して水辺の日常利用が盛んです 主な取組 ・日常的な水辺利活用の推進 (天王洲アイル未来ビジョンとの連携) ・運河沿いの護岸や水辺広場のオープン化による柔軟な民間利用の促進 ◆水辺とアートを使ったエリアの回遊性が向上しています 主な取組 ・民間等と連携した水辺を活かしたライトアップ空間の充実 ・案内サイン等の機能充実 ◆都内随一の船着場として区内外の多くの人に利用されています ◆まち、水辺、水面をつなぐハブ拠点としての機能が強化されています 主な取組 ・旧東品川清掃作業所跡地の在り方検討 ・東品川二丁目船着場の改良 ◆観光だけでなく通勤などの日常利用も行われています 主な取組 ・観光クルーズ事業の実施 ・定期航路事業の支援 ◆地元団体の主導により、様々な水上アクティビティが行われています 主な取組 ・非動力船の新たな活用 (SUPなど都市型アクティビティの展開)  目黒川エリアにおける展開(リーディングプロジェクト) エリアの将来目標 水辺を活かした回遊性の向上と観光・交流軸の形成 本計画における目標 −ブランドイメージ− 日常と非日常を彩るにぎわいのある空間づくり −おしゃれで楽しい水辺のまち− 【リーディングプロジェクトの概要】 ●目黒川沿川に住む人や働く人が、日常的に利用したくなる水辺としてにぎわい空間の創出を目指します。 ●居心地が良い水辺と沿川景観が楽しめる舟運により、まちと水辺の回遊性向上を図り、地域全体でおしゃれで楽しいまちを目指します。 展開に向けた取組内容 ______図______ 将来展開イメージ 日常的なおしゃれ空間として、いつ訪れても笑顔と笑い声が絶えないエリアとなります ◆ランチを楽しむ人、水辺を眺めながら会話を楽しむ人、会議やヨガ、体操、散策など、それぞれの利用を満喫しています 主な取組 ・五反田ふれあい水辺広場周辺の今後の在り方整理 ・五反田ふれあい水辺広場等における商業・飲食サービスの充実 ・日常的な水辺の魅力発信イベントの実施 ◆水辺の魅力を感じ、周辺の商店街からの来訪者や健康づくりのウォーキングを行う人が増加しています 主な取組 ・水辺とまちの回遊性を高める案内板、誘導サインの設置 ・商店街と連携した水辺利活用の推進 ◆水面を眺めながら散歩やウォーキングを楽しむ人が増加しています ◆散歩の途中でベンチに座り、語り合う、笑い合う風景も日常のものになっています ◆船着場が拠点となり、他交通機関との人の流れが活発になっています 主な取組 ・水辺の回遊性を高める水辺への装飾などの実施検討 ・橋梁等ライトアップの新たな演出方法の検討 ・景観性などに配慮した水辺を視認しやすい転落防止柵への改修 ・大崎駅に近接した船着場の整備推進 ◆四季を通じて、日常的に船が行き交うようになっています 主な取組 ・目黒川クルーズの継続実施 (舟運の日常化) ・定期航路事業の支援 ・目黒川の水質改善 (障害物撤去や効果的なしゅんせつの検討・実施) ・非動力船と動力船の共存に向けた運行ルールの策定 勝島・京浜運河エリアにおける展開(リーディングプロジェクト) エリアの将来目標 地域資源等と一体となった回遊性の向上と水に親しむことができる環境づくり 本計画における目標 −ブランドイメージ− 郷土の魅力を感じる水辺づくり −ふるさとの魅力が輝くまち− 【リーディングプロジェクトの概要】 ●子どもからお年寄りまで、楽しみながら地域のことがより一層好きになり地域から愛される水辺拠点の形成を図ります。 ●エリア内に点在する歴史資源やしながわ水族館および、しながわ花海道の取組と、まちの探求学習などの新たな取組とを融合させることで、水辺のさらなる魅力向上を図ります。 展開に向けた取組内容 ______図______ 将来展開イメージ 子どもからお年寄りまで誰にでも愛された、より一層誇りを持てるエリアになります ◆花海道の魅力がさらに向上することで、花海道プロジェクト参加者が増加しています ◆本エリアを核として地域の人に愛される憩いの場になっています 主な取組 ・しながわ花海道プロジェクトの推進(地元小学生や企業などによるコスモス・菜の花の種まき) ・しながわ花海道の再整備((仮称)勝島人道橋・しながわ花海道・新浜川公園) ◆子どもたちを中心にEボートやカヌーを楽しんだり、自然観察をする姿が増えています 主な取組 ・小型浮桟橋を拠点とした地域による水上アクティビティ活動の実施 ・立会川および勝島運河の水質改善 ◆水辺の魅力と地域の歴史・観光資源を結びつけた活動を通じて、地域のよさを、多くの人が実感しています 主な取組 ・しながわ水族館のリニューアル ・しながわ水族館と船着場が連携した水辺活用企画検討 ◆子どもたちが生き物や水質を学ぶ機会が増えています ◆ライトアップにより水辺を歩く人が増加しています 主な取組 ・小中学校への出前授業・フィールドワークなどのまちの探求学習の取組推進(NPOしながわ花海道作成のお散歩案内の活用) ・民間施設のライトアップと合わせた護岸・橋梁のライトアップの検討 ◆花の鑑賞や生き物観察などを通じて水辺への理解を深める場所として活用されています ◆水辺の拠点として様々なイベントが開催され、子どもたちの声がこだましているのが印象的です 主な取組 ・鮫洲入江広場を活用したイベント等の開催