シナカンシュウ第69号 令和8年4月30日 セイキュウニン 様 品川区監査委員 コウチ ユタカ アリガ ヤスコ コシバ アラタ アクツ ヒロオ 品川区職員措置請求(住民監査請求)に基づく監査を実施しないことについて(通知)  令和8年3月30日付け品監収第69号で受け付けた品川区職員措置請求(住民監査請求)については、請求の要件を審査した結果、下記の理由により地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条に定める住民監査請求の要件を欠いているものと認定しました。 よって、監査を実施しないことと決定しましたので通知します。 記 法第242条に定める住民監査請求とは、地方公共団体の執行機関または職員について、違法もしくは不当な公金の支出等の財務会計上の行為があると認めるとき、または違法もしくは不当に公金の賦課もしくは徴収等を怠る事実があると認めるときに、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該違法・不当な財務会計行為を防止・是正し、地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができるものである。 本件請求において、請求人は、品川区長が請求人に対し令和7年4月1日付けで発令通知書により行った、法人A(以下、「本件法人」という。)への派遣研修(以下、「本件派遣」という。)について、その期間・労働内容、協定事項、派遣先における辞令および責任者命令等からみて、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成12年法律第50号。)および公益的法人等への職員の派遣等に関する条例により規律されるべき派遣であり、研修命令の形式の下で区費により給与等の支給を行うこと(以下、「本件支出」という。)は、違法、少なくとも不当であり、また、仮に本件派遣が地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下、「地公法」という。)第39条に基づく研修として扱われるとしても、研修計画等が資料から十分に確認できないため、研修命令として要件を欠いていると主張しているものと解される。 本件派遣は、品川区長が、請求人に対して、地公法第6条および第15条に基づく任命権により転任を命じ、同法第39条に基づき本件法人への派遣研修を命じたものである。研修命令に基づく研修は勤務であり、職員の給与に関する条例に基づいて、請求人に対して当該勤務に対して給与・手当等が支払われており、区の損害はないと認められる。 本件請求は、本件支出自体の違法性・不当性について具体的・客観的に示しておらず、地公法第39条第1項および第2項に基づく任命権者による請求人自身に対する研修命令に係る研修内容等への違法性・不当性について主張しているものである。 最高裁判所第三小法廷平成4年12月15日判決では、住民訴訟において、財務会計上の行為を行う権限を有する職員の財務会計上の行為をとらえて損害賠償責任を問うことができるのは、先行する原因行為を前提として行われた当該職員の財務会計上の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当であると判示している。 住民監査請求の制度は、違法・不当な財務会計上の行為の防止や是正等を行うことによって、地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものであるため、その対象は財務会計上の行為等に限定されている。 地方公共団体における行政事務の多くは財政支出を伴うものであるが、非財務会計行為である一般行政行為に違法・不当があるとして、これに伴う公金支出もまた違法・不当になるとの主張を認めると、実質的に住民監査請求は広く行政一般を対象とすることになりかねず、対象を財務会計上の行為等に限った法の趣旨を逸脱することになる。 したがって、請求人自身に対する研修命令に係る研修内容等が違法、不当であることを主張して、住民監査請求をすることは適当ではない。 以上のことから、本件請求は法第242条に定める住民監査請求としては不適法である。 なお、請求人が主張する請求人自身に対する研修内容等に係る違法性・不当性については、地公法第46条に基づき、所管する機関に対し措置を要求することができる制度が設けられていることを付言する。