品監収第21号 令和8年6月3日 請求人 様 品川区監査委員 コウチ ユタカ 同 アリガ ヤスコ 同 コシバ アラタ 同 ワカバヤシ ヒロキ 品川区職員措置請求(住民監査請求)に基づく 監査を実施しないことについて(通知)  令和8年5月20日付け品監収第21号で受け付けた品川区職員措置請求(住民監査請求。以下「本件請求」という。)については、請求の要件を審査した結果、下記の理由により地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条に定める住民監査請求の要件を欠いているものと認定しました。 よって、監査を実施しないことと決定したので通知します。 記  本件請求において、請求人は、区が実施する「心身障害者福祉会館受変電設備更新その他電気設備工事」(以下「本件工事」という。)に係る契約締結行為について、これが不当な財務会計行為に当たるとして、その差止めを求めるものと解される。  法第242 条に定める住民監査請求とは、地方公共団体の執行機関または職員について、違法・不当な契約の締結・履行等の財務会計行為または怠る事実があると認めるとき、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該違法・不当な財務会計行為を防止・是正し、地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる制度である。  請求人は、本件請求について、本件工事が、建築基準法第12条第3項の規定による定期点検で重大な指摘がないことから実施の緊急性が乏しく、また心身障害者福祉会館(以下「本件施設」という。)の建替えを含めた整備の方向性が検討されている現下において本件工事に着手した場合、更新した設備が短期間で廃棄される可能性があることから本件工事の費用対効果が低く、さらには行政計画とも整合がとれていないとして、不当な契約の締結であると主張するものと解される。  公共施設の整備をはじめ、地方公共団体の行政施策の多くは契約締結や公金支出といった財務活動を伴うものであるが、契約の締結を伴う行政作用について、その契約締結の違法・不当を争うことによって、その前提としての行政作用一般を争うことができると、住民監査請求の対象が法第242条第1項に定める財務会計上の行為に限定されているという制度趣旨を逸脱することになる。  本件請求は、本件工事の契約締結行為について財務会計規律上の違法・不当を主張することなく、本件施設の設備更新等の時期や必要性の判断、建替えに係る行政計画との整合性といった、一般行政行為に対する不当性を述べるにとどまるものといわざるを得ず、財務会計上の行為の違法性または不当性を具体的かつ客観的に具備しているとは認められない。  以上のことから、本件請求は法第242条に定める住民監査請求としては不適法である。  なお、請求人は、本件工事に係る契約締結行為について、建替え計画と矛盾し、費用対効果を欠き、著しく不当な財務会計行為に当たるとして、法第242条第4項の規定に基づく当該行為の停止の勧告を求めている。同項に基づく勧告は、「当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由」がある場合に行うことができるものであるところ、本件請求において、請求人から当該行為の違法性についての主張はなく、監査請求書および事実証明書を見る限りにおいては「違法であると思料するに足りる相当な理由」があるとも認められないことから、当該行為の停止の勧告は行わないこととした。