品川区職員措置請求監査結果 (戸越公園他管理業務委託に関する住民監査請求) 令和8年6月24日 品川区監査委員 地方自治法第242条第5項の規定に基づき、住民監査請求に係る監査の結果を次のとおり通知する。 令和8年6月24日 品川区監査委員 コウチ ユタカ 同 アリガ ヤスコ 同 コシバ アラタ 同 ワカバヤシ ヒロキ 第1 請求の受付 1 請求ニン (略) 2 請求の受付日 令和8年5月1日 3 請求書の内容(原文のまま) 品川区長および公園課担当職員に関する措置請求の要旨 1.請求の要旨 品川区長および公園課担当職員等は、令和7年度「戸越公園他管理業務委託」において、契約内容に含まれる「文庫の森移動販売業務」を指示書により中止させたにもかかわらず、その対価を減額せず、本来行うべき変更契約を回避して他の業務へ予算を不正に流用し、不当に満額を支払った。 本件に関し、実施されていない「文庫の森移動販売業務」に対して支払われた公金、年額24万円(税別)内訳(月額2万円×12ヶ月消費税)を含む総額の返還と関係職員(課長、係長、担当者)の処分を求めます。 なお、令和2年度から令和6年度までの同内容の不正支出については、後述する「結び」のとおり、一連の継続した不正行為として併せて措置を求めます。 【請求の事実】 1.契約と中止指示の矛盾(資料1・2) 令和7年4月1日に「戸越公園ホカ管理業務委託」を締結したが、わずか2日後の4月3日、公園課は指示書により「文庫の森移動販売業務」の中止を命じた。 2.変更契約の意図的な回避(資料2) 本来業務内容の変更は契約変更を伴うべきものであるが、指示書には「変更契約を行わない」旨を明記し適正な契約手続きを意図的に回避した。 3.予算の目的外流用と他部署への付け替え(資料2・4・5・6) 「文庫の森移動販売業務」の中止により発生した剰余予算、年額24万円(税別)を区に返還せず、当初契約にない他公園の業務や管轄外である「環境課」施設(エコルとごし)の剪定業務に充てた。これは予算の目的外使用である。 なお、公園課が指示書により追加させた「エコルとごし」の剪定業務については、本来環境課の予算において指定管理業者が行うべき業務であることが確認されている。 公園課が中止した「文庫の森移動販売業務」の予算、年額24万円(税別)をこの業務に充てたことは、予算の二重計上あるいは他部署の経費を隠蔽した予算で肩代わりさせるという極めて不適切な会計処理である疑いが強い。 4.財務会計手続きの不正と公文書の不存在「地方自治法第232条の4に違反」(資料3・7) 「文庫の森移動販売業務」は実施されていないため、その実態を証明する「完了届」「日報」「検査証の根拠資料」等は存在しない。 公園課は、検査の根拠となるべき書類が一切存在しない(資料7)にもかかわらず、形式的な「検査」を完了したとして支出命令を発行し、当初の名目のまま満額を支払った。これは地方自治法が定める適正な検査義務を著しく怠った、違法・不当な支出である。 5.追加業務の妥当性と公金の「二重支払い」の疑い 指示書により「文庫の森移動販売業務」の中止予算年額24万円(税別)の流用先とされた剪定業務については、以下の通り極めて重大な不正が疑われる。 @積算の不透明性と予算消化の目的 指示書による追加業務は、中止した「文庫の森移動販売業務」の予算年額24万円(税別)をそのまま充当されており、業務量や単価の妥当性が精査された形跡がない。 これは本来区へ返還すべき予算を使い切ることを目的とした、極めて不当な積算による支出である疑いが強い。現在開示請求中の令和4年度の指示書の追加業務は戸越公園の松の木の雪吊りと門松の設置のみであり、令和5年度の指示書の追加業務からは、令和4年度の追加業務に「エコルとごし」の植栽の剪定が加追された。令和4年度が2業務であったものが、令和5年度以降3業務へ増大しているにもかかわらず、支払額は一貫して年額24万円(税別)で固定されている。この事実は、業務量にかかわらず「24万円」という予算枠を維持することのみを目的とした、架空の積算であることを如実に物語っている。 A同一業務に対する公金の「二重支払い」 請求者が令和8年4月30日に環境課係長へ確認したところ、流用先の一つである「エコルとごし」の植栽管理は、既に環境課の予算で契約済みであるとの回答を得ました。発注先については、公園課の「戸越公園ホカ管理業務委託」と同一業者である。 既に別予算で発注済の業務に対し、公園課がさらに「文庫の森移動販売業務の中止予算」を上乗せして同社へ支払わせたことは公金の「二重支払い」の疑いが極めて濃厚である。これについては、監査委員による速やかな関係部局への実地調査を求める。 B不当な利益供与と背任 これは実態のない名目(あるいは既に支払い済みの名目)を捏造して特定業者に公金を横流しした「背任行為」に該当し、区に二重の損害を与える極めて悪質な公金搾取と言わざるを得ない。 6.隠蔽工作の疑いと悪意の証明(論点@カラC) 本件は以下の通り組織的な隠蔽が疑われる。 @契約権限の越権行為 区長決定(契約課所管)の契約内容を公園課の独断(指示書)のみで事実上書き換え、契約課に秘匿した。 A財務監査の回避 指示書の内容は財務会計を伴う重要な変更であるにもかかわらず、財務監査に際して指示書を提出せず指摘を免れた。 B会計事務のギモウ 支出命令の際、実態と異なる当初の内訳書を添付し、「文庫の森移動販売業務中止」の事実を示す指示書を添付しなかったため会計管理室は不正な支出を検知できなかった。 C過去の適正処理との矛盾(故意の証明) 令和2年度および令和3年度のコロナ禍において、他業務では適正に変更契約を締結され、公金の返還が行われている。 しかし一方で、同期間に実施されていない「文庫の森移動販売業務」については、変更契約を行わず秘匿したまま、あたかも実施されたかのように装い年額24万円(税別)、2年度合計で48万円(税別)を満額支払っている。 当該期間中に同業務が実施されたという区民の記憶や記録はなく、区も実施を証明する「検査証の(添付書類)」や「実績報告(日報)」を一切提示できない。 実施実態がないにもかかわらず支出が強行された事実は、過失ではなく、架空の業務に対する不当な公金支出(背任)目的とした明白な「故意(悪意)」の現れである。 これは令和7年度の支出が単なる過失ではなく、長期的にわたり組織的に隠匿されてきた不正の継続であることを示している。 したがって、本請求においては令和7年度分の返還を強く求めるとともに、判明した令和2年度以降の全ての不正支出(累計144万円・税別)についても、区への損害として遡及して調査および返還措置を講じるよう求める。 7.令和8年度における急激な是正(「後ろめたさ」の証明) 本件において令和7年度中から幾度かの指摘をしていた。本指摘後令和8年度契約からは当該業務「文庫の森移動販売業務」が削除され、委託先である業者も変更し、公園課の体制が一新されている。これは従前の運用の違法性を区自ら認めた事実に他ならない。 【結び】 以上の通り、本件は単なる事務ミスではなく、公金を返還せず不当に流用し続けることを目的とした、長年にわたる組織的な不正行為である。 特に、他業務では適正な返還処理が行われている実績がある一方で、本件のみが秘匿され続けてきた事実は、過失の域を完全に超えた、明白な「故意(悪意)」による背任テキ行為の現れである。 特に、年度により業務量が変動しているにもかかわらず、支払額が24万円(税別)で固定されている事実は、予算隠匿を目的とした意図的な不正であると断定せざるを得ない。 現担当職員への聞き取りにより、令和4年度と令和5年度(現在開示請求中である。)も指示書により変更契約を回避して公金を隠匿し、他部署の業務へ流用するという不正の構図が一貫して確認されている。 よって監査委員においては、令和2年度から令和7年度にわたる全ての違法・不当な支出について厳正に監査を行い、区に生じた損害、公金144万円(税別)の全額返還と歴代の関係職員(課長、係長、担当者等)についても厳正な処分を強く求めます。 【補足】証拠書類の追加提出について 令和7年度の2月分と3月分の「検査証」「支出命令書」については現在開示請求中であり、入手次第追加の証拠書類として提出する。 なお、当該期間の「移動販売業務の検査証の添付書類については、資料7の通り品川区により「不存在」であることが既に証明されている。 【証拠物一覧】 資料1:令和7年4月1日付契約書(写し) 資料2:令和7年4月3日付指示書(業務中止および振替の指示) 資料3:支出命令書(令和7年4月分から1月分) 資料4:支払金額月別内訳書(文庫の森移動販売業務含む) 資料5:単価および年間予算額が確認できる内訳書 資料6:当初仕様書(文庫の森移動販売業務の規定 資料7:公文書不存在証明書(完了届・日報・検査証の添付書類等が「存在しない」ことを証明する通知) 4 請求の要件審査 本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条所定の要件を備えているものと認め、監査を実施した。 第2 監査の実施 1 監査対象事項 令和7年度の戸越公園ホカ管理業務委託に対する支出が、契約書に基づき適正に行われているかについて監査対象とする。 2 監査対象部局 防災まちづくり部を監査対象とした。 3 請求ニンの証拠の提出および陳述 法第242条第7項の規定に基づき、新たな証拠の提出および陳述の機会を設けた。令和8年6月1日に請求ニンから新たな証拠の提出があり、監査委員は令和8年6月3日に請求ニンの陳述の聴取を行った。 4 監査対象部局の資料の提出および説明 監査対象部局に対して資料の提出および説明を求めた。監査対象部局は、弁明書および証拠書類を提出し、監査委員は令和8年6月3日に監査対象部局の陳述の聴取を行った。 陳述の出席者 防災まちづくり部長 防災まちづくり部公園課長 防災まちづくり部公園課職員3名 第3 監査の結果および理由 1 事実関係の確認 関係書類等を調査した結果、次の事実を確認した。 (1)区における委託業務の契約更新基準では、簡易型総合評価方式において受託者を決定した業務は、原則として年度毎に4回契約更新することができる旨規定されていること。 (2)令和7年度「戸越公園ホカ管理業務委託」契約金額93,830,000円(以下「本件委託」という。)においては、仕様書に「文庫の森移動販売業務」(以下「移動販売業務」という。)が含まれていたこと。また、令和2年度から令和6年度に締結された委託契約についても同様である。 (3)当該業務については、令和2年度以降、毎年の契約締結後、担当者協議もしくは指示書により中止の措置が講じられたこと。 (4)中止された業務に代わり、雪吊り作業、門松設置および品川区立環境学習交流施設「エコルとごし」(以下「エコルとごし」という。)植栽剪定等の業務が指示書により追加されたこと。 (5)契約金額および業務内容については変更契約を締結することなく、当初契約金額および業務内容のまま支出が行われたこと。 (6)指示書の記載においては、追加業務の具体的内容およびその範囲について、本件委託契約との関係が必ずしも明確に整理されていないこと。 (7)雪吊り作業については、公共工事設計労務単価および建設物価に基づき、令和7年度は343,822円と積算していること。 (8)「門松設置」は廃材を利用する事業であり、「エコルとごし植栽剪定等」とは隣接するエコルとごしの樹木からの落枝の除去等を本件委託の一部として実施するものであることから、別に委託料は発生しない旨合意していること。 (9)支出に当たり、監査対象部局は、業務日報に基づき履行確認を行っていること。 (10)移動販売業務は実施されておらず、その実施に係る記録(業務日報等)は存在しないこと。 (11)雪吊り作業および門松設置については一定の業務日報および検査証が存在し、エコルとごし植栽剪定等は公園維持管理業務の一部に含まれており履行記録および検査がされていること。 2 監査対象部局の説明 監査対象部局から提出された資料または説明を受けた内容は次のとおりである。 (1)移動販売業務の中止は適法な指示である 当初、契約仕様書には移動販売業務が含まれていたが、契約締結後に発出した指示書により同業務の中止を指示した。本指示は、委託基準総則に基づき発注者が必要に応じて業務内容を変更できる範囲内で行ったものであり、受託者の承諾も得ていることから、手続ジョウの問題はない。したがって、契約と履行内容との間に齟齬はなく、違法な変更や不当な省略には該当しない。 (2)指示書による業務追加・変更は正当な範囲である 移動販売業務の中止に伴い、雪吊り等の業務を指示したが、これは金額割合、業務内容等から軽微な変更に該当し、変更契約手続を要しない範囲である。委託基準総則ジョウ、発注者は協議の上で業務内容を変更できると規定されており、運営上必要な措置として指示書により対応したものである。よって、本件委託は適法な手続に基づくものであり、恣意的な契約操作には当たらない。 (3)契約金額の範囲内での適正な運用である 中止した業務に係る経費を他の業務へ充当した点については、契約総額の範囲内で適正に再配分したものであり、他目的への流用や別施設への支出は一切行っていない。すべての支出は契約対象である公園管理業務の範囲内で実施しており、契約外事業への転用はない。 (4)二重払いおよび不正支出はない エコルとごし植栽剪定等業務について、他所管業務との重複があるとの指摘がなされているが、これらの業務はそれぞれ所管および目的が異なるものであり、業務内容に重複はなく明確に区分されている。したがって、同一内容に対する重複支払は一切存在しない。また、すべての支出は契約内訳および実施した業務内容に基づき適正に処理しており、指示書により実施した業務についても、新規または代替業務として整理されたものである。これらは他所属の業務と重複するものではなく、不当な会計処理や重複計上は行っていない。 (5)業務内容および費用積算は妥当である 雪吊り等の追加業務については、過去の単価資料や見積等を基に費用の妥当性を確保している。また、作業日報や完了届により実施実績を確認しており、架空計上や水増し請求ではなく、必要な公園維持管理として合理的に行われたものである。積算は規定された労務単価に基づいており、恣意性は認められない。 (6)検査・履行確認および書類手続は適正である 業務の履行については、作業日報や完了届により契約書等のとおり完全履行として確認している。代替業務についても作業日報や検査証が整備されており、支払は検査完了後に行っている。したがって、会計手続および履行確認はいずれも規定に基づき適正に行われている。 (7)違法セイ・利益供与の事実はない 本件委託における指示書による業務追加、変更および支出について、不正な利益供与に該当するとの指摘には当たらない。すべての業務は契約書、指示書および検査手続に基づき適正に実施されており、特定業者への不当な利益供与や法令違反はない。以上のとおり、本件委託に係る行政手続および契約管理は適正に行われているものである。 3 監査委員の判断 本件委託について、次のとおり判断する。 (1)変更契約手続を経ない運用の適否 契約については、当事者の一方が地方公共団体であっても、法令に特別の定めがない限り、民法が適用される。契約は双方の合意によって成立し、一旦、契約が成立しても、その本旨が変更されない範囲であれば、当事者双方が合意により、契約内容について変更することができると解される。 本件委託における契約条項第11条第1項において、「甲は、必要がある時は、乙と協議のうえ、この契約内容を変更し、または履行を一時中止させることができる。」と定めており、契約の相手方の同意があれば、契約内容を変更できるものとしている。 本件委託では、当初予定していた移動販売業務を実施せず、これに代えて公園維持管理業務を追加実施している。いずれも公園維持管理という契約目的に関連し、公園利用環境の維持・向上に資する業務である点で一定の関連性を有し、契約の同一性は保たれていると認められる。 次に、契約の履行の確保については、法第234条の2第1項において適正な履行確保のため検査をしなければならない旨、法施行令第167条の15第2項において検査は契約書、仕様書等その他の関係書類に基づいて行わなければならない旨が定められている。 区における契約実務では、品川区契約事務規則第42条において、業務の委託内容は、契約書に添付する仕様書の内容により決定されるものであり、目的、金額、時間(期間)、方法、内容、支払方法、支払時期、特記事項など委託する業務に則して具体的かつ明確に示した内容の仕様書とすることとしている。 同規則第42条において、同規則第43条に規定する標準契約書により契約書を作成することが定められており、契約内容または契約金額に変更が生じる場合には、その内容を仕様書に明記し契約として確定させるため、変更契約の締結等の手続を経るべきである。 また、同規則第56条により、契約の履行に関する検査は、契約書、仕様書、その他の関係書類に基づいて行わなければならないと定められており、本件委託においては、当初契約に含まれる業務を中止し、異なる業務を追加していることから、仕様書の内容を変更し同規則第43条に基づき変更契約手続を行うべきであったものと認められる。 もっとも、このような手続ジョウの不備があるとしても、「指示書」ならびに「承諾書」により契約当事者の双方が内容の変更に合意していると認められることから、変更後の契約内容が否定されるものではないと解される。 (2)未実施業務に係る支出の適否 未実施業務に係る支出の適否については、個別業務の未実施の有無のみによって形式的に判断すべきではなく、本件委託に係る業務全体としての役務提供の有無およびその内容を基礎として実質的に判断すべきである。 本件委託契約は、仕様書に個別業務が列挙されているが、その実態においては、公園維持管理という行政目的の達成のために複数の業務を一体として遂行する性質を有しており、一定程度包括的な役務提供契約としての側面を有するものである。 本件委託においては、移動販売業務は実施されていないものの、これに代えて雪吊り作業および門松設置という公園維持管理業務を実施している。これらの業務は、公園の維持管理および利用環境の確保という契約目的に直接資するものであり、作業内容、実施時期および作業量に照らしても、公園維持管理業務として通常要求される水準を満たすものと認められる。 また、その作業量および内容の程度に照らし、令和7年度の公共工事設計労務単価および建設物価に基づき積算した内容(343,822円)について、受託者との間で実施方法等について合意を得て実施しており、当該公園維持管理業務は移動販売業務に掛かる価値に照らし特段不相当と認められる事情はなく、契約金額の範囲内において実質的に同程度の労務提供がなされたものと評価するのが相当であり、当該公園維持管理業務は、契約目的の範囲内における代替テキ役務として実質的同等性を有するものと評価するのが相当であると認められる。 したがって、本件委託の支出をもって無対価支出または架空支出と評価することはできない。 (3)損害の有無 住民監査請求における返還措置は、公金支出により地方公共団体に財産テキ損害が発生していることを要件とする。 そして、当該損害の有無は、単に契約手続に違反があるか否かといった形式的観点のみによって判断されるべきものではなく、当該支出に対応して現実にどのような役務が提供され、その経済テキ価値が支出額との関係でどのように評価されるかという実質的観点から判断されるべきものである。 すなわち、反対給付として相当な価値を有する役務の提供が認められる場合には、当該支出と当該役務との間に実質的な対価関係が認められることとなり、その限りにおいて直ちに地方公共団体に財産的損害が生じたと評価することはできないものと解される。 これを本件委託についてみるに、当初契約に含まれていた移動販売業務は実施されていないものの、これに代わり、雪吊り作業その他の公園維持管理業務が実施されていると認められる。 これらの業務は、当初の契約目的である公園維持管理業務の範囲内に属し、公園利用環境の維持・向上に資するものであると認められる。また、その作業内容、作業量および実施実態について当該役務の経済的価値が本件委託の支出額を下回ると認めるに足る事情は見当たらない。さらに、業務日報、検査証等の関係資料により、当該公園維持管理業務が適正に履行されていることが確認できる。 以上を踏まえれば、本件委託においては、支出額に見合う役務の提供が現実に存在し、その対価関係が社会通念上相当な範囲内にあると認められる。 したがって、本件委託の支出により地方公共団体に財産テキ損害が発生したと認めることはできず、請求ニンが主張する損害の発生についてもこれを認めることはできない。 (4)二重支払の有無 エコルとごしに係る管理業務について他部署において既に契約が存在することから、本件委託の支出が二重支払に当たるとの点について関係部局に確認したところ、エコルとごしの施設全体の維持管理は環境課が所管し、その業務は同課の契約に基づき実施されている一方で、戸越公園が隣接する区域における樹木の落枝処理その他公園維持管理上必要な作業は公園課の所管に属し、本件委託において実施されたものと説明されており、合理性が認められる。 したがって、両者は管理主体、業務目的および作業範囲が明確に区分されており、エコルとごし植栽剪定等業務は公園管理の一環として実施されたものであって、他部署契約に基づく業務と同一の内容に対する支出であるとは認められない。 以上のとおり、本件委託契約に基づく支出について、同一業務に対する二重支払があったとは認められない。 (5)履行確認および検査の適正性 履行確認および検査は、財務会計行為の適法性を担保する重要な手続である。 しかしながら、契約手続や検査手続に一定の不備があったとしても、当該支出に対応する役務提供が客観的に認められ、その内容が契約目的に照らして合理性を有する場合には、その手続テキ不備のみをもって直ちに違法な公金支出と評価することは相当ではない。 本件委託においては、契約手続に瑕疵があると認められるものの、移動販売業務は中止されており履行資料は存在しないが、実態としては代替業務について履行確認が行われていたものと認められる。この点については、業務日報および検査証等により確認されている。 したがって、当該不備は財務会計手続ジョウの不備にとどまり、違法性を基礎付けるものとは認められない。 (6)総合判断 以上を総合すると、本件委託においては、変更契約手続を指示書により代替するという財務会計手続ジョウの不備が認められるが、当事者の合意による契約が有効に存続し、その目的の範囲内で役務提供が現実に行われており、かつ当該役務の価値が支出額を下回ると認めるに足る事情がないことから、本件委託の支出は実質的に対価性を有する支出であり、これをもって違法な公金支出と評価することはできない。 4 結論 本件は、変更契約手続を行わず業務内容を変更した不備が認められるが、変更した業務は支出額に見合う役務の提供が存在し、履行されていることが確認されており、区が損害を被ったとは認められないことから、請求ニンの主張には理由がない。 5 意見 本件に関する判断は以上のとおりであるが、付言して監査委員の意見を述べる。 (1)契約内容に変更が生じた場合は、変更契約の締結等適正な事務処理を徹底すること。 (2)契約内容に基づいた履行の確認および検査の実効性を確保し、適切に業務を実施すること。