品監収第50号 令和8年7月22日 請求人 様 品川区監査委員 コウチ ユタカ 同 アリガ ヤスコ 同 コシバ アラタ 同 ワカバヤシ ヒロキ 品川区職員措置請求(住民監査請求)に基づく 監査を実施しないことについて(通知)  令和8年6月25日付け品監収第50号で受け付けた品川区職員措置請求(住民監査請求。以下「本件請求」という。)については、請求の要件を審査した結果、下記の理由により地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条に定める住民監査請求の要件を欠いているものと認定しました。 よって、監査を実施しないことと決定したので通知します。 記  本件請求において、請求人は、区が実施する「心身障害者福祉会館受変電設備更新その他電気設備工事」(以下「本件工事」という。)に係る契約締結行為について、これが違法または不当な財務会計行為に当たるとして、契約締結行為および契約代金の支払いの差止めを求めるものと解される。  法第242 条に定める住民監査請求とは、地方公共団体の執行機関または職員について、違法・不当な公金の支出、契約の締結等の財務会計行為または怠る事実があると認めるとき、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該違法・不当な財務会計行為を防止・是正し、地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる制度である。  請求人は、本件請求について、心身障害者福祉会館(以下「本件施設」という。)の建替え等整備検討と並行して本件工事(予定価格5,874万円)により設備更新をすることが二重投資に当たり、また本件施設を建築より80年で建て替える計画から方針転換したにもかかわらず、設備に対し約6,000万円を投資することは経済的合理性を喪失しており、さらには、令和8年度の予算原案作成に当たり、本件工事に係る予算を区長に対して隠ぺいし、部分修繕した場合とのコスト比較も行っていないことから客観的検証を怠った無根拠な予算執行であるとして、違法または不当な契約の締結であると主張するものと解される。  公共施設の整備をはじめ、地方公共団体の行政施策の多くは契約締結や公金支出といった財務活動を伴うものであるが、契約の締結を伴う行政作用について、その契約締結の違法・不当ではなく、その前提としての行政作用一般を争うことができると、住民監査請求の対象が法第242条第1項に定める財務会計上の行為に限定されているという制度趣旨を逸脱することになる。  本件請求は、本件工事の契約締結行為について財務会計規律上の違法・不当を主張することなく、本件工事による設備投資が現在検討を行っている行政計画と整合性が図られない可能性があるという一般行政行為と、予算原案作成に係る区内部の意思決定過程という一般行政行為に対する違法性・不当性を述べるにとどまるものといわざるを得ず、財務会計上の行為の違法性または不当性を具体的かつ客観的に具備しているとは認められない。  以上のことから、本件請求は法第242条に定める住民監査請求としては不適法である。  なお、請求人は、本件工事に係る契約締結行為および契約代金の支払いについて、法第242条第4項の規定に基づく当該行為の停止を求めている。同項に基づく当該行為を停止すべきことを勧告する要件のうち、監査請求書および事実証明書を見る限りにおいては「当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由」があるとは認められず、また「当該行為により区に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要」があるとも認められないことから、当該行為の停止の勧告は行わないこととした。