品監収第59号 令和8年8月19日 請求人 様 品川区監査委員 コウチ ユタカ 同 アリガ ヤスコ 同 コシバ アラタ 同 ワカバヤシ ヒロキ 品川区職員措置請求(住民監査請求)に基づく 監査を実施しないことについて(通知)  令和8年7月22日付け品監収第59号で受け付けた品川区職員措置請求(住民監査請求。以下「本件請求」という。)については、請求の要件を審査した結果、下記の理由により地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条に定める住民監査請求の要件を欠いているものと認定しました。 よって、監査を実施しないことと決定したので通知します。 記  本件請求において、請求人は、区が品川区障害者団体補助金交付要綱(以下「要綱」という。)に基づき団体A(以下「本件団体」という。)に対して令和7年8月6日付けで行った補助金交付決定(以下「本件補助金交付決定」という。)およびこれに伴う支出行為(以下「本件補助金」という。)、ならびに令和8年4月27日付けで行った補助金額の確定行為について、これが違法または不当な財務会計行為に当たるとして、区が本件団体に補助金の返還命令を行うことなどを求めているものと解される。  法第242 条に定める住民監査請求とは、地方公共団体の執行機関または職員について、違法・不当な公金の支出等の財務会計行為または怠る事実があると認めるとき、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該違法・不当な財務会計行為を防止・是正し、地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる制度である。公金の支出に係る住民監査請求が適法といえるためには、区が公金を支出する行為について、財務会計法規への違反または当該行為に係る裁量権の逸脱等を示す事実を具体的かつ客観的に示す必要がある。  請求人は、@本件団体が区以外の機関から助成金等の交付を受けていることから、重複助成の看過による過剰な補助金の支出であること、Aこれにより生じた剰余金が、私的な懇親や個人報酬の財源に事実上流用されており公益性を欠くこと、B本件団体は、「上部団体が存在すること」という区が定める本件補助金の交付要件を満たしていないこと、C本件団体は、「会の趣旨に賛同する者」に会員資格を認め、障害の有無を問わないこととしていることから、実態は一般の私的親睦サークルに過ぎず、本件補助金の交付対象となる障害者団体としての適格性が欠如していること、D補助事業である宿泊研修について、多額の公金を投じずともその事業目的を達することができることから経済的・合理的でないこと、E補助事業の経費に食事代および宿泊費が含まれており、不当な利益供与に当たることの以上6点の理由を挙げ、違法または不当な公金の支出であると主張するものと解される。  理由@について、事実証明書によれば、本件団体が他機関から助成金等の交付を受けていることが認められる。しかし、他機関から助成金等の交付を受けていることから直ちに本件補助金交付決定が社会通念上不合理であるとか、不公正であるとは認められず、また、要綱においても、他機関から助成金等の交付を受けていないことを補助金交付の要件とする旨の規定は見当たらない。したがって、財務会計上の行為の違法性または不当性を具体的かつ客観的に具備しているとは認められない。  理由Aについて、事実証明書によれば、本件補助金が要綱の規定に基づき交付決定されていることが認められる。本件団体が本件補助金以外の収入をどのように使用するかは団体に裁量があるのであり、事実上流用されているという主張については、請求人の個人的な見解を述べるものであるといわざるを得ない。  理由Bについて、要綱において上部団体が存在することを本件補助金の交付要件とする規定は見当たらず、請求人の主張は失当であり、これを理由とする監査の必要性は認められない。  理由Cについて、「会の趣旨に賛同する者」に会員資格を認め、障害の有無を問わないこととしていることが直ちに補助事業者たる「障害者団体」として不適格であるとはいえず、したがって、本件補助金交付決定が社会通念上不合理であるとか、不公正であるとは認められない。本件団体は補助事業者としての適格性が欠如しているという主張については、請求人の個人的な見解を述べるものであるといわざるを得ない。  理由Dについて、事実証明書によれば、本件団体が補助事業実施のために合計66万9,906円を支出したことが認められるが、このうち補助金の金額は25万円に過ぎず、目的との関係で経費が高額すぎるか否かは一概にはいえないことであり、したがって、本件補助金交付決定が社会通念上不合理であるとか、不公正であるとは認められない。高額に過ぎるとの請求人の主張は個人的な見解を述べるものであるといわざるを得ない。  理由Eについて、事実証明書によれば、本件団体が本件補助金を使い参加者の飲食代や宿泊費を支出していることが認められる。しかし、そのことが直ちに本件補助金交付決定が社会通念上不合理であるとか、不公正であるとは認められない。不当な利益供与に当たるという主張については、請求人の個人的な見解を述べるものであるといわざるを得ない。  本件請求は、請求人が主張する上記@からEの理由について、その内容を個別にみても、あるいはそれらを総合的にみても、本件団体への補助金交付が違法・不当な公金の支出に当たると認めるに足りる事実の具体的かつ客観的な摘示がなく、請求人の個人的な見解を述べるにとどまるものといわざるを得ない。  以上のことから、法第242条に定める住民監査請求としては不適法である。