タイトル 令和7年度各会計決算審査意見書、基金運用状況審査意見書、財政健全化審査意見書(読み上げ対応) 令和7年度品川区各会計決算審査意見書 地方自治法第233条第2項の規定に基づき、令和7年度品川区各会計歳入歳出決算書およびその関係書類を審査した結果について次のとおり意見を述べる。 令和8年9月1日 品川区監査委員 コウチユタカ 同     アリガヤスコ 同       コシバアラタ 同       ワカバヤシヒロキ 第1 審査対象 1 令和7年度品川区各会計歳入歳出決算書 2 令和7年度品川区各会計歳入歳出決算事項別明細書  3 令和7年度品川区各会計実質収支に関する調書 4 令和7年度品川区財産に関する調書 第2 審査実施の時期 令和8年7月1日から令和8年8月19日まで 第3 審査の方法 計数に誤りはないか、財政運営は健全か、予算の執行は関係法令に従って効率的になされているか、財産管理は適正かなどに主眼をおき、それぞれの関係帳簿および証拠書類との照合、説明聴取その他必要と認める審査方法により実施した。 第4 審査の結果 審査に付された各会計歳入歳出決算書等の様式は、関係法令の規定に準拠して作成されており、計数はいずれも符合し誤りのないことを確認した。 各会計の決算内容、予算執行状況および財産の管理状況については、適正かつ妥当と認められた。 なお、事業の執行状況に関する意見については付帯意見として記した。 以下、順を追って審査の概要を述べる。  1 決算の総括 金額は千円のくらいで四捨五入し、万円単位としている。パーセントは小数点第2位で四捨五入している。 各会計決算額を単純に合計した総計は、歳入額3,233億6,853万円、歳出額3,129億5,380万円で、差引残額は104億1,474万円の黒字となっており、前年度に比べ歳入額は10.8%増加し、歳出額は10.5%増加している。差引残額は21.9%増加している。 各会計歳入歳出決算の総括は、次のとおりである。 一般会計 歳入額 2,479億7,350万円 歳出額 2,392億8,912万円 差引残額 86億8,437万円 国民健康保険事業会計 歳入額 353億7,189万円 歳出額 348億6,263万円 差引残額 5億926万円 後期高齢者医療特別会計 歳入額 112億4,663万円 歳出額 112億3,535万円 差引残額 1,129万円 介護保険特別会計 歳入額 286億8,109万円 歳出額 274億7,128万円 差引残額 12億981万円 災害復旧特別会計 歳入額 9,542万円 歳出額 9,542万円 差引残額 0円 総計 歳入額 3,233億6,853万円 歳出額 3,129億5,380万円 差引残額 104億1,474万円 2 一般会計 (1)決算の概況  歳入総額2,479億7,350万円、歳出総額2,392億8,912万円で、形式収支(歳入歳出差引額)は86億8,437万円の黒字となっており、翌年度へ繰り越すべき財源9億9,704万円を差し引いた実質収支も76億8,733万円の黒字となっている。  歳入総額は前年度(2,164億4,488万円)に比べ315億2,862万円、14.6%増加し、歳出総額は前年度(2,097億31万円)に比べ295億8,881万円、14.1%増加している。  当年度実質収支76億8,733万円から前年度実質収支(66億646万円)を差し引いた単年度収支は10億8,087万円の黒字となっている。 (2) 歳入  調定額2,509億3,521万円、収入済額2,479億7,350万円で、調定額に対する収入率98.8%は前年度(99.3%)に比べ0.5ポイント低下している。  収入未済率は1.2%で、前年度(0.7%)に比べ、0.5ポイント上昇している。  予算現額、調定額、収入済額、不納欠損額および収入未済額は、前年度に比べそれぞれ13.7%、15.1%、14.6%、23.6%、91.0%増加している。 (3)歳出  支出済額は2,392億8,912万円で、前年度(2,097億31万円)に比べ295億8,881万円、14.1%増加している。  主な増加額は次のとおりである。  総務費(庁舎管理費など)108億4,874万円、34.3%、教育費(義務教育施設整備基金積立金など)92億5,646万円、38.3%、民生費(児童手当給付金など)74億1,131万円、7.0%。  主な減少額は次のとおりである。  産業経済費(共通商品券普及促進事業など)マイナス6億1,728万円、マイナス14.5%。  予算現額に対する執行率は94.8%で、前年度(94.5%)に比べ0.3ポイント上昇している。 イ 普通会計における性質別歳出状況  各地方公共団体相互の比較をするために国が定めた統一基準による普通会計の歳出状況を見ると、決算額は2,388億1,602万円で、前年度(2,092億7,883万円)に比べ295億3,719万円、14.1%増加している。このうち、人件費、扶助費および公債費の合計である義務的経費は885億1,290万円で、前年度(829億6,376万円)に比べ55億4,914万円、6.7%増加している。  経常的経費は1,596億7,335万円で、前年度(1,463億3,574万円)に比べ133億3,761万円、9.1%増加している。 3 国民健康保険事業会計 (1)決算の概況  歳入総額353億7,189万円、歳出総額348億6,263万円で、形式収支(歳入歳出差引額)は5億926万円の黒字となっており、翌年度へ繰り越すべき財源(0円)を差し引いた実質収支も同額の黒字となっている。  歳入総額は前年度(362億7,639万円)に比べ9億450万円、2.5%減少し、歳出総額は前年度(358億8,668万円)に比べ10億2,405万円、2.9%減少している。  当年度実質収支5億926万円から前年度実質収支(3億8,971万円)を差し引いた単年度収支は1億1,955万円の黒字となっている。 (2)歳入  調定額368億2,016万円、収入済額353億7,189万円で、調定額に対する収入率96.1%は前年度(95.9%)に比べ0.2ポイント上昇している。  収入未済率は3.4%で、前年度(3.5%)に比べ0.1ポイント低下している。  予算現額、調定額、収入済額、不納欠損額および収入未済額は、前年度に比べそれぞれ2.5%、2.7%、2.5%、23.4%、4.6%減少している。 (3)歳出  支出済額は348億6,263万円で、前年度(358億8,668万円)に比べ10億2,405万円、2.9%減少している。  減少額は次のとおりである。  国民健康保険事業費納付金マイナス9億9,570万円、マイナス7.6%、総務費マイナス1億7,953万円、マイナス14.3%、保健事業費マイナス16万円、マイナス0.1%。  増加額は次のとおりである。  保険給付費1億2,346万円、0.6%、諸支出金2,788万円、9.6%。  予算現額に対する執行率は97.0%で、前年度(97.4%)に比べ0.4ポイント低下している。 4 後期高齢者医療特別会計 (1)決算の概況  歳入総額112億4,663万円、歳出総額112億3,535万円で、形式収支(歳入歳出差引額)は1,129万円の黒字となっており、翌年度へ繰り越すべき財源(0円)を差し引いた実質収支も同額の黒字となっている。  歳入総額は前年度(106億9,218万円)に比べ5億5,445万円、5.2%増加し、歳出総額は前年度(106億3,238万円)に比べ6億297万円、5.7%増加している。  当年度実質収支1,129万円から前年度実質収支(5,980万円)を差し引いた単年度収支は4,852万円の赤字となっている。 (2)歳入  調定額113億5,841万円、収入済額112億4,663万円で、調定額に対する収入率99.0%は前年度(99.1%)に比べ0.1ポイント低下している。  収入未済率は0.9%で、前年度(0.8%)に比べ0.1ポイント上昇している。  予算現額、調定額、収入済額、不納欠損額および収入未済額は、前年度に比べそれぞれ5.8%、5.2%、5.2%、10.7%、14.8%増加している。 (3)歳出  支出済額は112億3,535万円で、前年度(106億3,238万円)に比べ6億297万円、5.7%増加している。  主な増加額は次のとおりである。  分担金及び負担金5億1,824万円、5.2%、総務費7,582万円、32.6%、保健事業費1,216万円、4.6%。  減少額は次のとおりである。  保険給付費マイナス352万円、マイナス1.8%。  予算現額に対する執行率は99.2%で、前年度(99.3%)に比べ0.1ポイント低下している。 5 介護保険特別会計 (1)決算の概況  歳入総額286億8,109万円、歳出総額274億7,128万円で、形式収支(歳入歳出差引額)は12億981万円の黒字となっており、翌年度へ繰り越すべき財源(0円)を差し引いた実質収支も同額の黒字となっている。  歳入総額は前年度(283億9,061万円)に比べ2億9,048万円、1.0%増加し、歳出総額は前年度(270億3,975万円)に比べ4億3,154万円、1.6%増加している。  当年度実質収支12億981万円から前年度実質収支(13億5,086万円)を差し引いた単年度収支は1億4,105万円の赤字となっている。 (2)歳入  調定額288億9,283万円、収入済額286億8,109万円で、調定額に対する収入率99.3%は前年度と同率である。  収入未済率は0.6%で、前年度と同率である。  予算現額、調定額、収入済額および収入未済額は、前年度に比べそれぞれ1.3%、1.0%、1.0%、3.7%増加している。  不納欠損額は、前年度に比べ6.2%減少している。 (3)歳出  支出済額は274億7,128万円で、前年度(270億3,975万円)に比べ4億3,154万円、1.6%増加している。  主な増加額は次のとおりである。  基金積立金4億4,358万円、211.4%、保険給付費1億8,290万円、0.8%、総務費1億991万円、13.6%。  減少額は次のとおりである。  地域支援事業費マイナス3億9,795万円、マイナス21.5%。  予算現額に対する執行率は94.2%で、前年度(93.9%)に比べ0.3ポイント上昇している。 6 災害復旧特別会計 (1)決算の概況  歳入総額9,542万円、歳出総額9,542万円で、形式収支(歳入歳出差引額)は0円となっており、翌年度へ繰り越すべき財源(0円)を差し引いた実質収支も同額の0円となっている。  歳入総額は前年度(186万円)に比べ9,355万円、5,016.6%増加し、歳出総額も前年度(186万円)に比べ9,355万円、5,016.6%増加している。  当年度実質収支0円から前年度実質収支(0円)を差し引いた単年度収支は0円となっている。 (2)歳入  調定額9,542万円、収入済額9,542万円で、調定額に対する収入率100.0%は前年度と同率である。  収入未済率は0.0%で、前年度と同率である。  予算現額は前年度と同様であり、調定額および収入済額は前年度に比べそれぞれ5,016.6%増加している。 (3)歳出  支出済額は9,542万円で、前年度(186万円)に比べ9,355万円、5,016.6%増加している。  増加額は次のとおりである。  災害復旧費9,355万円、5,016.6%。  予算現額に対する執行率は6.4%で、前年度(0.1%)に比べ6.3ポイント上昇している。 第5 付帯意見 1 総括意見 令和7年度に実施された施策の概況について意見を述べる。 令和7年度において、その決算状況(執行率)は一般会計ベースで94.8%(令和6年度94.5%)となった。計画と比較すると実績が伸びなかった事業はあるが、ウェルビーイング予算ニーテンゼロのもと、人を基軸にした施策展開により、それぞれのライフステージに応じた区民の幸福度向上に向けた取組を着実に進めており、概ね高い執行実績をあげていると言える。 はじめに、重点的かつ緊急的に取り組んだ施策について述べる。 物価・エネルギー価格の高騰等への対策として、区民生活および区内経済の安定に向け、区内共通商品券およびデジタル商品券のプレミアム率の拡充ならびに省エネルギー対策・業務改善設備更新助成金による支援を実施した。また、子育て世帯への支援として物価高対応子育て応援手当給付金を支給したほか、感震ブレーカー設置補助の拡充や高齢者熱中症見守り宅配事業等の施策について、適宜補正予算を編成し、支援を行った。 次に、令和7年度に掲げた4つの重点政策について述べる。 1つ目は「安全・安心を守る」についてである。 大規模災害発生時等の避難者の生活衛生環境改善についてである。令和6年12月に、内閣府が令和6年能登半島地震の検証結果や災害等の被災者に対する人道支援活動の国際基準である「スフィア基準」等を踏まえて改定した取組指針やガイドラインに基づき、水循環型シャワーを導入するとともに、各避難所に間仕切り付き段ボールベッドを配備した。また、高齢者および障害者世帯を対象に、家具転倒防止器具の購入・設置費用助成における所得制限を撤廃し、家具転倒防止器具の設置促進を図った。 地域防災力の向上に向けた取組については、学生を対象とした防災士資格取得費用の助成を実施した。また、しながわ防災学校においては、女性向けコースを新設し、災害時における女性のニーズや配慮の必要性を学び、地域で実践的に活動できる「女性防災リーダー」の育成を行った。さらに、災害時の共助の担い手となり得る中学生を対象に、企業協賛のもと防災教育の独自教材を開発し、授業での展開を行った。 マンション防災対策については、マンション居住者や管理組合・理事会向けのハンドブックやガイドブックを作成し、マンションの特性を踏まえた災害時の行動や在宅避難への備えなどについて啓発を行った。 2つ目は、「社会全体で子どもと子育てを支える」についてである。 区立中学校および義務教育学校における標準服(制服)および修学旅行費の無償化についてである。教育に係る費用のうち標準服(制服)の購入費は特に負担が大きいとされていたことから、対象物品の購入費用を無償化するとともに、修学旅行費についても宿泊費や見学料等を無償化し、保護者の経済的負担の軽減につなげた。 大学進学を目指す学生への支援については、「品川区給付型大学奨学金」を創設し、学校教育法に定める大学(医療系、理工農系学部)の進学予定者へ金銭的支援を行い、将来の医療や科学技術分野を担う人材育成を後押しする体制を整えた。 学校施設を活用した児童の居場所の設置についてである。区立小学校および義務教育学校の始業前の時間帯について、学校内で児童が安全・安心に過ごすことができる居場所の確保および朝食支援を開始した。また、放課後の居場所となる「すまいるスクール」についても、午後5時までの利用料を無償化するなど、児童の活動の場の充実に努めた。 保育料については、令和7年9月1日より第1子(0〜2歳児)の保育料も無償化の対象とし、就労等により保育を必要とする家庭のさらなる経済的負担の軽減につなげた。 産後ケア事業については、宿泊型の利用日数を最大6泊7日に拡大するとともに、自己負担額を1割まで減額するなど利用促進を図った。また、乳房ケアに特化した訪問型事業を開始したほか、これまで実施していた母子交流事業に加え、助産師等の専門職による月齢に応じた講話や育児相談を開始するなど、支援内容を充実させ、産後の不安解消に向けた施策を展開した。 中高生リバースメンターについては、地域課題や社会課題にかかる問題意識を持つ中高生からリバースメンターを選定し、政策提言の機会を設け、品川区SDGs未来都市計画に掲げる次世代の担い手の育成と「子どもとともにつくるウェルビーイングシティしながわ」の実現に向けた取組を行った。 3つ目は、「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」についてである。 終活支援サービスの無償化についてである。歳を重ねても住み慣れた地域で安心して生活したい区民を支援するため、品川成年後見センターが提供する「あんしんの3点セット」の利用料金等を無償化・減額した。また、住まいに悩みを抱える区民への支援として、令和7年5月より住まいの総合相談窓口「あんしんすまいる相談デスク」を開設し、相談内容や属性に応じた関係部署へつなぐ取組を開始した。 加齢に伴う中等度難聴の高齢者に対する補聴器購入費の助成については、日常生活および社会参加の機会促進のため、助成額の拡大を行った。また、18歳未満の中等度難聴児への補聴器購入助成に加え、新たに満18歳以上65歳未満の中等度難聴者への助成を開始し、全ての年代における聞こえの支援の充実につなげた。 健康寿命の延伸に向けた取組として、年度末年齢満73歳の国民健康保険加入者を対象に「ナナサン歯科健診」を無料で実施し、口腔機能の維持・向上およびフレイルチェックを行った。 子育て世帯への支援として、障害児通所支援等の利用料を所得制限なく無償化とするとともに、離婚調停(裁判)中の実質ひとり親家庭に対しては、原則、離婚成立を要件とする児童扶養手当について、申請できない期間は区独自の給付金を支給するなど経済的支援の充実に努めた。 4つ目は、「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」についてである。 区民の声を区政に反映する取組として、インターネットを利用した住民参加型デジタルプラットフォーム「しながわオープントーク」の運用を開始した。毎回トークテーマを設定し、区民の柔軟な発想や日頃の気付きなど幅広い声を募集することで、区民の意見を施策に反映する仕組みを構築した。 女性のIT・デジタル人材確保支援を目的としたセミナーの開催や区内企業とのマッチング交流会等を開催し、人材不足の解消および多様な働き方の実現に向けた施策を行った。 区内共通商品券については、従来の紙の商品券に加え、新たにデジタル商品券を導入し、商店街のデジタル化促進に寄与した。 AIオンデマンド交通「しなるん」の実証運行については、公共交通サービス圏域外における地域の課題を検証するため、令和7年7月より荏原地区の一部において実施した。今後はエリア拡大などの運行改善を行いながら実証運行を継続するとのことである。 環境施策として各種実施していた環境関連助成を、しながわゼロカーボンアクション助成事業として一本化し、助成内容に「ゼブ設計」と「ゼッチ・東京ゼロエミ住宅」を追加し、さらなる省エネ・脱炭素化の推進に取り組んだ。 令和7年度の決算審査を通じ、次のとおり意見を述べる。 その1は、地域コミュニティの活性化と地域を支える人材の育成についてである。 まず、町会・自治会活動においては、近年のデジタル化、担い手確保およびマンションとの関係づくりなど、活動活性化に向けた課題に対応するため、町会・自治会伴走型支援プログラムによる支援を実施している。専門コンサルタントによる支援を通じて得られた知見や解決手法を町会・自治会全体で共有するとともに、東京都のポータルサイトなども有効に活用しながら、引き続き町会・自治会が抱える課題に寄り添った支援に努められたい。 また、大学生奨学金事業については、区内の地域貢献活動への定期的な参加が奨学金の応募要件の一つとなっているが、一定数の給付対象者が遠方の大学に進学しているのが現状だという。地域貢献活動については、夏休み期間を活用した集中的な実施も可とするなど、学業との両立に配慮した柔軟な運用のもと、地域を支える人材の育成に努められたい。 その2は、切れ目のない障害福祉サービスの提供と支援基盤の強化についてである。 障害者支援施策として、「18歳の壁」対策や障害児通所支援等利用料の無償化などの取組を実施した。「18歳の壁」対策については、利用者の延長受入れを行う生活介護事業所へ運営費の助成を行うことで、利用者の居場所確保および家族等の負担軽減につなげた。また、発達障害・思春期サポート事業(ら・るーと)は、令和7年度末をもって事業終了となったが、事業内容を発達障害者支援施設ぷらーすなどに引き継いで実施している。これらの取組は、切れ目のない支援体制の維持に資するものである。現場を支える体制整備にも配慮しながら、取組を推進されたい。 その3は、組織間の連携等による支援体制の充実についてである。 現在、在宅介護支援センターは地域包括支援センターのサブセンターとして地域の介護・福祉サービスを担っているが、昨今の高齢者人口の増加に伴う介護人材不足や支援ニーズの多様化により、地域包括支援センターに求められる役割や業務が増大していることから、そのあり方について検討が進められている。体制再編においては、高齢者やその家族に対する相談支援機能や適切なケアマネジメントによる支援体制を保持しながら、段階的かつ円滑に進めるとともに、より一層の地域包括ケアシステムの充実につなげられたい。 また、5歳児健康診査事業については、令和7年度はモデル事業として実施し、他自治体の事例を参考に実施方法の検証を行った。本格実施に当たっては、医師確保の課題もあるが、幼児の円滑な就学に向けた取組として、障害部門や教育部門など関係部署との連携を図りながら、支援体制の構築に努められたい。 その4は、区民の安全・安心を支えるまちづくりの推進についてである。 まず、道路空洞調査については、令和7年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、当初5年間で約100kmを調査する計画を、主要幹線道路や大口径の下水道管が通っている道路を含む約160kmへ変更し、道路の安全性向上に取り組んだ。区民が安心して暮らせるまちづくりの推進に向け、道路等の適切な維持管理に取り組まれたい。 また、マンションに対する防災普及啓発を目的として、設置を希望する分譲マンションおよび賃貸住宅等に対し、エレベーター用防災チェアを無償配布した。賃貸住宅においては、管理会社やオーナーの把握が十分でない物件もあることから、本事業を契機として連絡先情報の整理・共有を進め、災害時に迅速な対応を図ることができる体制づくりに努められたい。 その5は、持続可能な区政運営に向けた政策形成についてである。 令和7年4月に策定した品川区総合実施計画および品川区総合戦略推進のため、地域幸福度調査を行い、区民の幸福度や生活満足度のほか、子育てや防災などの項目について調査を実施した。これらの結果については、区民ニーズの把握および分析を進め、今後の施策立案に活用されたい。 次に、グリーンスローモビリティについては、令和6年度に基地整備等の初期投資を行い、実証運行を開始したが、令和7年度の検討において、関係機関との調整や区全体の交通のあり方についての整理が必要であるとの結論に至り実証運行を終了した。実証運行の開始に当たっては、人流データなどを活用した事前の検討や、設備の償却も含めた慎重な判断が必要とされる。今後行われる区の公共交通のあり方の検討においては、本事業で得られたデータや知見が十分に活かされ、より効果的な交通施策につながることを望む。 さらに、二葉四丁目の認知症高齢者グループホームの整備予定地の取得に当たって、相手方との協議結果が区の当初の想定と異なるものとなったため、補正予算により予算措置を行った。多額の費用を要する用地取得については、予算措置の考え方や取得に至る経緯などが明確になるよう、計画的かつ適切な予算編成・執行に努められたい。 次に、一般会計のうち特別区民税収について意見を述べる。 特別区民税の収入済額は628億486万円で前年度(551億7,898万円)に比べ13.82%、76億2,588万円増加している。現年課税分の収入率は99.54%で前年度(99.53%)に比べ0.01ポイント上昇し、滞納繰越分は54.63%で前年度(60.16%)に比べ5.53ポイント低下している。全体の収入率は99.24%となり前年度(99.22%)に比べ0.02ポイント上昇している。なお、令和5年度からの全体の収入率は、5年度99.13%、6年度99.22%、7年度99.24%と、主に納付手段の拡充の効果により依然高い数値を維持している。 次に、特別会計について意見を述べる。 国民健康保険事業会計は、歳入総額は対前年度9億450万円減少し、歳出総額も対前年度10億2,405万円減少したが、単年度収支においては1億1,955万円の黒字(前年度4,168万円の黒字)となっている。歳入については、主な歳入項目のうち、繰越金が対前年度12.0%増加したものの、繰入金、都支出金、国民健康保険料は対前年度それぞれ8.6%、1.4%、2.6%減少したため、全体として対前年度2.5%の減少となっている。 一方、歳出については、主な歳出項目のうち、保険給付費、諸支出金がそれぞれ対前年度0.6%、9.6%増加したものの、国民健康保険事業費納付金、総務費、保健事業費が対前年度それぞれ7.6%、14.3%、0.1%減少したため、全体として対前年度2.9%の減少となっている。 令和7年度の保険料の対調定収納率は87.37%で前年度(86.58%)に比べ0.79ポイント上昇している。このうち滞納繰越分については51.50%で前年度(40.88%)に比べ10.62ポイント上昇し、高い収納率を達成している。これは、滞納世帯の実態を的確に把握し、積極的な滞納整理業務につなげた成果であり、収納率向上に向けた職員の不断の努力を高く評価する。引き続き収納率の維持・向上に努められたい。 後期高齢者医療特別会計は、歳入総額は対前年度5億5,445万円増加し、歳出総額も対前年度6億297万円増加し、単年度収支においては4,852万円の赤字(前年度2,154万円の黒字)となっている。歳入については、後期高齢者医療保険料、繰入金、繰越金が対前年度それぞれ7.1%、2.8%、56.3%増加し、全体として対前年度5.2%の増加となっている。 一方、歳出については、保険給付費が対前年度1.8%減少しているが、支出総額の93.1%を占める分担金及び負担金が対前年度5.2%増加し、全体として5.7%の増加となっている。 令和7年度の保険料の対調定収入率(還付未済額を除く。)は97.94%で前年度(98.06%)に比べ0.12ポイント低下している。今後も、口座振替の促進等によりさらなる収納率の向上に努められたい。 介護保険特別会計は、歳入総額は対前年度2億9,048万円増加し、歳出総額も対前年度4億3,154万円増加し、単年度収支においては1億4,105万円の赤字(前年度5億4,974万円の黒字)となっている。歳入については、主な歳入項目のうち国庫支出金、都支出金、繰入金が対前年度それぞれ3.2%、2.6%、1.8%減少しているが、繰越金、保険料、諸収入が対前年度それぞれ68.6%、1.7%、25.8%増加し、全体として対前年度1.0%の増加となっている。 一方、歳出については、地域支援事業費が対前年度21.5%減少しているが、基金積立金、保険給付費、総務費が対前年度それぞれ211.4%、0.8%、13.6%増加し、全体として1.6%の増加となっている。 令和7年度の保険料の対調定収入率(還付未済額を除く。)は96.82%で前年度(96.84%)に比べ0.02ポイント低下している。今後も、口座振替の促進等によりさらなる収納率の向上に努められたい。 災害復旧特別会計は、歳入総額、歳出総額それぞれ対前年度9,355万円増加している。 平成29年度に創設された同会計は、令和7年9月11日の大雨被害に伴う対応として、令和元年度、令和5年度、令和6年度に続き4度目の執行がなされた。災害時における弾力的かつ迅速な執行に努められたい。 以上、令和7年度決算における事業の執行状況についての総括意見を述べた。令和7年度は、特別区税が前年度の587億円を76億円(12.9%)、特別区交付金が前年度の499億円を63億円(12.6%)上回るなど、歳入は好調に推移した。雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、景気は緩やかな回復が見られる一方で、食料品を中心とした物価上昇の長期化や中東情勢、金融資本市場の変動など、区政を取り巻く環境は依然として先行きの見通しが極めて困難な状況にある。今後も特別区民税や都区財政調整交付金の動向を見据えた慎重な行財政運営が求められる。 「きょあんしき(やすきにおりてあやうきをおもう)」という故事成語がある。震災や風水害など不測の事態への備えに万全を期すためにも、歳入が好調に推移している今こそ、その精神のもと、基金への計画的な積立てなど行財政基盤の強化を着実に進め、健全財政を堅持し、計画的かつ将来を見据えた区政運営に努められることを切に期待する。 2 個別意見 (1) 主要決算数値および指標について  令和7年度普通会計(決算統計)の決算状況について、主な決算数値および指標は次のとおりである。 歳入総額2,475億39万円、歳出総額2,388億1,602万円で、形式収支は86億8,438万円(対前年度28.8%の増)の黒字となっており、翌年度へ繰り越すべき財源9億9,704万円を差し引いた実質収支は76億8,733万円の黒字(対前年度16.4%の増)となっている。また、単年度収支(当年度実質収支−前年度実質収支)は10億8,088万円の黒字、それに財政調整基金積立金を加えた実質単年度収支は31億5,075万円の黒字となっている。 財政運営の状況を判断する指標とされる実質収支比率は5.8%で、前年度(5.4%)に比べ0.4ポイント上昇している。これは、一般財源のうち特別区税の増(約76億円)、特別区交付金(普通交付金)の増(約31億円)等により実質収支額が増加したことによるものである。 一般的に3〜5%が望ましい水準とされているが、23区の平均値(6.5%、速報値)と比べると0.7ポイント下回っており、当該年度の財政規模や経済状況等に影響されるところが大きい。 財政構造の弾力性を判断する指標とされる経常収支比率は77.1%で、前年度(78.1%)に比べ1.0ポイント低下している。これは、経常的経費充当一般財源は、補助費等の増(約22億円)、物件費の増(約17億円)、扶助費の増(約13億円)等により約68億円増加したが、経常一般財源総額においても、地方特例交付金の減(約19億円)はあるものの、特別区税の増(約76億円)、特別区交付金(普通交付金)の増(約31億円)、地方消費税交付金の増(約10億円)により約104億円増加したためである。 23区の平均値(76.5%、速報値)と比べると0.6ポイント上回っている。  経常収支比率と同様に、財政構造の弾力性を判断する指標とされる公債費負担比率は0.9%で、前年度(0.8%)に比べ0.1ポイント上昇している。 歳出総額に占める人件費の割合を示す人件費比率は12.9%で、前年度(13.7%)に比べ0.8ポイント低下している。これは、23区の平均値(13.5%、速報値)と比べると0.6ポイント下回っている。 また、人件費の経常収支比率は19.9%で、前年度(20.6%)に比べ0.7ポイント低下している。 平成23年度以降マイナスであった自主財源人員(いわゆる財調過員)は、令和3年度以降プラスになっている。  以上、令和7年度普通会計の決算に見られる主な決算数値および指標は、いずれも適正な水準を維持していると言える。 令和7年度品川区基金運用状況審査意見書 地方自治法第241条第5項の規定に基づき、令和7年度品川区基金の運用状況を審査した結果について次のとおり意見を述べる。 令和8年9月1日 品川区監査委員 コウチユタカ 同      アリガヤスコ 同        コシバアラタ 同        ワカバヤシヒロキ 第1 審査対象 1 用品基金 2 公共料金支払基金 (参考) 1 奨学金貸付基金 2 社会福祉基金 3 平和基金 4 地球環境基金 5 地域振興基金 6 公共施設整備基金 7 財政調整基金 8 減債基金 9 義務教育施設整備基金 10 介護給付費等準備基金 11 文化スポーツ振興基金 12 災害復旧基金 13 庁舎整備基金 14 国際交流推進基金 15 子どもの未来応援基金 第2 審査実施の時期 令和8年7月1日から令和8年8月19日まで 第3 審査の方法 各基金が確実かつ効率的に運用されているかなどに主眼をおき実施した。 第4 審査の結果 関係帳簿を審査した結果、別表のとおり適正に運用され計数に誤りのないことを確認した。 別表1 用品基金 令和7年度末保有状況 15,000,000円 令和7年度中運用状況 用品調達額 225,331,590円 用品払出額 225,433,568円 基金回転数 15.02回 運用益金 101,978円 公共料金支払基金 令和7年度末保有状況 270,000,000円 令和7年度中運用状況 公共料金支払額 1,935,409,781円 収入額 1,935,377,009円 基金回転数 7.17回 運用益金 0円 別表2 用品基金 令和6年度末現在高 15,000,000円 令和7年度中増減 増分0円 減分0円 令和7年度末現在高 15,000,000円 公共料金支払基金 令和6年度末現在高 270,000,000円 令和7年度中増減 増分0円 減分0円 令和7年度末現在高 270,000,000円 合計 令和6年度末現在高 285,000,000円 令和7年度中増減 増分0円 減分0円 令和7年度末現在高 285,000,000円 令和7年度品川区財政健全化審査意見書 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、令和7年度決算に係る健全化判断比率およびその算定の基礎となる事項を記載した書類を審査した結果について次のとおり意見を述べる。 令和8年9月1日 品川区監査委員 コウチユタカ 同     アリガヤスコ 同       コシバアラタ 同       ワカバヤシヒロキ 第1 審査対象 実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率および将来負担比率(以下健全化判断比率という。)ならびにその算定の基礎となる事項を記載した書類 第2 審査実施の時期 令和8年7月1日から令和8年8月19日まで 第3 審査の方法 令和7年度決算に基づく健全化判断比率が地方公共団体の財政の健全化に関する法律(以下法という。)その他関連法令に基づいて算出され、かつ、その算定の基礎となる事項を記載した書類が適正に作成されているかに主眼をおき実施した。 第4 審査の結果 審査に付された健全化判断比率の算定の基礎となる事項を記載した書類は適正に作成されているものと認められた。また、いずれの比率も早期健全化基準を下回っており特に指摘すべき事項はない。 以下、順を追って審査の概要を述べる。 1 健全化判断比率の状況 法は、自治体の財政状況により、財政が比較的健全な自治体、早期の財政健全化が必要な自治体(早期健全化団体)、財政の再生が必要な自治体(財政再生団体)に区分する。 この区分は、(1)実質赤字比率、(2)連結実質赤字比率、(3)実質公債費比率、(4)将来負担比率の各健全化判断比率に応じて決定され、このうち、(1)から(4)の比率のいずれかが早期健全化基準以上になると早期健全化団体となり、(1)から(3)の比率のいずれかが財政再生基準以上になると財政再生団体となる。 2 各比率の状況 (1)実質赤字比率 一般会計および災害復旧特別会計を対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率である実質赤字比率は、実質収支額が黒字であるため算定されない。算出比率はマイナス5.82%で、早期健全化基準の11.25%を下回っている。 (2)連結実質赤字比率 全会計を対象とした連結実質赤字額の標準財政規模に対する比率である連結実質赤字比率は、連結実質収支額が黒字であるため算定されない。算出比率はマイナス7.13%で、早期健全化基準の16.25%を下回っている。 (3)実質公債費比率 地方債に係る元利償還金および準元利償還金の標準財政規模に対する比率である実質公債費比率はマイナス1.9%で、早期健全化基準の25.0%を下回っている。 (4)将来負担比率 将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する比率である将来負担比率は、充当可能財源等の額が将来負担額を上回るため算定されない。算出比率はマイナス85.0%で、早期健全化基準の350.0%を下回っている。 さらに詳細な内容については、次の担当部署へご連絡ください。 監査委員事務局 電話 0 3 5 7 4 2 6 8 5 0 ファクシミリ 0 3 5 7 4 2 6 8 9 9