写 品監発第15号 令和3年9月3日 品川区長 様 品川区議会議長 様 品川区教育委員会 様 品川区選挙管理委員会 様 品川区監査委員 様 品川区監査委員  島田 コウタロウ    森井 じゅん    鈴木 マスミ    横山 ユカリ 令和3年度前期一般監査の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査の結果について、次のとおり報告する。 第1 監査の主眼点 地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および 第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨に則り執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 1 収入の確保が適正に行われているか。 2 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 3 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 4 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 5 財産の管理が適正に行われているか。 6 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 7 従前の指摘事項が是正されているか。 第2 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和3年4月8日(木)から同年8月23日(月)まで 2 対象期間 (1)令和2年度 (2)令和3年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)区長部局 (2)教育委員会事務局 (3)区議会事務局 (4)選挙管理委員会事務局 (5)監査委員事務局 第3 監査委員の関与 現監査委員 島田 幸太郎、森井 じゅんは、令和3年4月8日から同年8月23日までに実施した全ての監査に関与した。 前監査委員 本多 健信、高橋 伸明は、令和3年4月8日から同年5月26日までに実施した監査に関与した。 現監査委員 鈴木 真澄、横山 由香理は、令和3年5月27日から同年8月23日までに実施した監査に関与した。 第4 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、新型コロナウイルス感染拡大による事業の見直し等の影響を受けつつも、各事務事業は概ね適正に行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《対象部局共通》 1 主管課契約に係る契約事務について 令和2年4月から施行された委任金額の引上げ等の主管課契約権限の拡大は、各事務事業の効率的な執行に寄与する一方で、 所管課における事務処理の増加の要因ともなり、次のとおり、対象部局のうち半数程度の所管課において不適切な処理事例が見受けられた。 各所管課においては、令和2年4月改訂版「契約事務の手引き」等を改めて確認し、適正な契約事務の執行に努められたい。 また、経理課においては、契約に関する事務の処理手続が全庁で共有されるよう必要な調整や指導を行う等、 適正な契約事務の執行が組織的に確保されるよう取り組まれたい。 (1)1件予定価格10万円を超える随意契約については、品川区契約事務規則に則り2者以上から見積書を徴取して 契約相手を決定することとされているが、1者の見積書により随意契約が締結されている。 (2)特定の1者にしか履行できない契約である場合は、根拠法令(地方自治法施行令第167条の2第1項各号のうち該当する号)と、 その者でしか履行できない理由が必要とされているが、当該根拠法令および理由を付さずに随意契約が締結されている。 (3)請書に物品内訳(品名から単価金額まで)の記載がなされていない。 (4)請書(契約書)の裏面に約款(契約条項)が印刷されていない。 (5)請書の裏面に改正前の約款(契約条項)が印刷されている。 (6)品川区契約事務規則第3条本文の規定により契約権限の委任を受けた者が行う契約の契約担当者を、品川区長として契約書が作成されている。 2 指定消耗品の管理について 品川区物品管理規則第25条に規定する指定消耗品(郵券、定額小為替、収入印紙、商品券その他これらに類するものをいう。)の管理について、 次のとおり、従前の指摘事項と同様の事例が対象部局のうち8課において未だ見受けられる。 各所管課においては、物品管理者である課長または所長が適正な管理の徹底を図るとともに、会計管理室においては、 指定消耗品の管理を指導統括する立場として、誤りを未然に防ぐ取組みを改めて徹底されたい。 (1)消耗品受払簿に「翌年度繰越」等の記帳漏れや記帳誤りがある。 (2)消耗品受払簿の記帳に係る課長または所長までの決裁(押印)が一部なされていない。 《区長部局》 1 収入事務について (1)区営住宅の入居者に係る保証金(敷金)について、入居時における収入認定審査に誤りがあったことから、保証金89,800円を徴収すべきところ、 102,600円を徴収したため、後日過誤納金12,800円の還付が行われている。適正な事務執行に努められたい。(住宅課) (2)撤去した自転車の売却費について、返還方法および処分についての告示を行ってから6か月経過後に調定すべきところ、 令和2年2月17日告示分297,000円が同年10月23日に、令和2年3月16日告示分210,600円が同年11月20日に調定が行われている。 歳入の調定は速やかに行われたい。(土木管理課) 2 契約事務について (1)学校施設開放および温水プール等の管理運営に係る委託契約について、令和2年4月1日付け委託契約書「日野学園学校施設開放および温水プール管理運営委託」 他3件においては、契約変更に係る意思決定が文書により行われていない。適正な契約事務の執行に努められたい。(スポーツ推進課) (2)令和2年12月17日付け委託契約書「保育園エアコン室内外機点検および洗浄作業委託(2,385,900円)」について、 受託者が当該委託業務に着手した後に、仕様書に記載のないエアコンが7台判明したため、追加分のエアコンに係る増額の契約変更(231,000円)が行われている。 現状を適切に把握するとともに仕様書を正確に作成する等、適正な契約事務の執行に努められたい。(保育課) 3 支出事務について (1)政府契約の支払遅延防止等に関する法律第6条第1項の規定によれば、対価の支払の時期は検査を終了した後 相手方からの適法な支払請求を受けた日から30日以内の日とされており、この規定は地方公共団体のなす契約についても準用するとされている。 今回の監査では同法に規定する支払遅延の事例は見受けられなかったものの、次に掲げる支払については、 検査検収から適法な請求を受けて支払うまでに相当の期間を要している。速やかな支払に努められたい。 ア 令和2年4月1日付け委託契約書「金銭登録機保守点検委託(証明交付係)(307,340円)」に係る同年9月分委託料153,670円の支払 (検査検収日 令和2年10月1日、支払請求日 令和3年1月22日、支払希望日 同年2月18日) イ 令和2年4月1日付け委託契約書「品川保健センター駐車場ゲート保守委託(792,000円)」に係る同年9月分委託料198,000円の支払 (検査検収日 令和2年9月23日、支払請求日 令和3年1月15日、支払希望日 同年1月20日)    (ア 戸籍住民課、イ 品川保健センター) (2)令和2年4月1日付け委託契約書「公衆浴場ポスター等掲出委託」について、上半期分委託料1,041,920円の支払の際、 請求書記載の金額(1,042,944円)が誤っているにもかかわらず同年10月28日にそのまま支払い、令和3年4月19日に過払分1,024円の戻入処理が行われている。 支払にあたっては請求金額の確認を徹底されたい。(広報広聴課) (3)令和2年4月1日付け委託契約書「荏原文化センター外電話交換機保守点検委託(184,800円)」に係る3回目の委託料30,800円について、 誤って支出命令書を二度起票し、支払が行われたため、過払分30,800円の戻入処理が行われている。適正な支出事務の執行に努められたい。(文化観光課) (4)令和2年度版「いきいきあんしん子育てガイド」作成に係る編集・原稿作成謝礼(200,000円)について、令和元年度中に支払うべきところ、 請求書の受領等の支出事務を怠ったため、令和2年9月28日に債権者より当該謝礼が未払いである旨の連絡を受け、同年10月14日に支払が行われている。 支出事務の進行管理を行い、速やかな支払を徹底されたい。(子ども育成課) (5)各種手当の支給事務について、次のとおり過払による返還請求が行われている。 既に支給済の手当の請求は、金額の多寡にかかわらず家計に大きな負担を強いることになりかねない。適正な事務執行に努められたい。 ア 特別障害者手当について、対象者の受給資格が令和元年7月31日に消滅したにもかかわらず、同年8月分から令和2年10月分までの同手当を支給したため、 過払分409,050円の返還請求が令和3年1月22日に行われている。 イ 障害者福祉手当について、対象者3名の受給資格の消滅等により生じた同手当過払分306,000円(平成29年8月分から令和2年7月分まで)、 186,000円(令和元年8月分から令和2年7月分まで)および77,500円(令和元年11月分から令和2年3月分まで)の返還請求が令和2年12月14日に行われている。 (障害者福祉課) 4 事務の執行方法について 養護老人ホーム入所者に係る老人福祉法施行措置費自己負担金について、当該施設において令和2年5月分の納付書(3名分計127,400円)を紛失したため、 区が納付書を再発行し負担金の徴収を行ったところ、紛失した納付書が施設内で発見され再度支払われたことにより、二重に負担金を徴収している。 施設における納付書の管理について必要な指導を行う等、適正な事務執行に努められたい。(高齢者福祉課) 5 現金の管理について 令和2年度の有料駐車場使用料および郵券購入に係る現金出納簿について、資金前渡を受けた際の記載方法の誤りや記帳年月日 および残欄(現金、預金、計)の記載漏れ等、不適切な事例が年度を通じて見受けられる。平成29年7月「収入事務の手引き」等により 現金出納簿の記帳方法を確認し、適正な現金管理を徹底されたい。(生活衛生課) 《教育委員会事務局》 支出事務について (1)令和2年度第1回就学奨励費について、9名の対象者に合計350,969円を支給すべきところ、支給額の算定を誤り、 令和2年10月7日に477,948円を支給したため、同年12月16日に過払分126,979円の戻入処理が行われている。適正な支給事務の執行に努められたい。(学務課) (2)旅費の支払について、職員の令和2年4月からの通勤経路変更に伴うシステム処理を失念し、令和2年度中の旅行命令申請に係る定期券調整がなされないまま 旅費(計4回)が支払われ、同年度末の精算において過払分計2,632円の戻入処理が行われている。適正な支出事務の執行に努められたい。(指導課) (3)謝礼等の支払について、誤った源泉徴収税率を適用し税額を算出したため、次のとおり後日不足分の徴収および過誤納金の還付が行われている。 適正な支出事務の執行に努められたい。 ア 令和元年度第5回特別支援教室連絡会(令和2年2月3日実施分)謝礼に係る不足分858円の徴収が行われている。 イ 特別支援教室「通級・特別支援教室専門家診断」(令和2年7月分)報償費に係る過誤納金1,286円の還付が行われている。 (教育総合支援センター) 《区議会事務局》 指摘すべき事項は認められない。 《選挙管理委員会事務局》 指摘すべき事項は認められない。   《監査委員事務局》 指摘すべき事項は認められない。