写 品監発第13号 令和7年9月4日 品川区長 品川区議会議長 品川区教育委員会 品川区選挙管理委員会 品川区監査委員 品川区監査委員 コウチ ユタカ    アリガ ヤスコ コシバ アラタ アクツ ヒロオ 令和7年度前期一般監査の結果について(報告)  地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査の結果について、下記のとおり報告する。 第1 監査の主眼点 地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨にのっとり執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 1 収入の確保が適正に行われているか。 2 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 3 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 4 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 5 財産の管理が適正に行われているか。 6 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 7 従前の指摘事項が是正されているか。 第2 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和7年4月7日(月)から同年8月22日(金)まで 2 対象期間 (1)令和6年度 (2)令和7年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)区長部局 (2)教育委員会事務局 (3)区議会事務局 (4)選挙管理委員会事務局 (5)監査委員事務局 第3 監査委員の関与 現監査委員 コウチ ユタカは、令和7年4月7日から同年8月22日までに実施した監査に関与した。 現監査委員 アリガ ヤスコは、令和7年4月7日から同年8月22日までに実施した監査(地方自治法第199条の2の規定により除斥された事件を除く。)に関与した。 前監査委員 セオ マリは、令和7年4月7日から同年5月26日までに実施した監査に関与した。 前監査委員 ツル シンイチロウは、令和7年4月7日から同年5月26日までに実施した監査(地方自治法第199条の2の規定により除斥された事件を除く。)に関与した。 現監査委員 コシバ アラタ、アクツ ヒロオは、令和7年5月27日から同年8月22日までに実施した監査に関与した。 第4 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、各事務事業は概ね適正に行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《区長部局》 1 収入事務について 国民健康保険料の年金からの特別徴収について、令和7年4月支給の年金から停止となるはずの31世帯において、システムの標準化に伴い移行したデータの不整合により、誤って同年4月および6月支給分から計896,600円を徴収したため、後日還付している。システム移行に係る検証作業に正確を期し、適正な収入事務の執行に努められたい。(国保医療年金課) 2 契約事務について (1)主管課で締結した次の契約については、地方自治法施行令第167条の2第1項第3号の規定に基づくシルバー人材センターを相手方とした随意契約であることから、品川区契約事務規則第39条の2の規定に基づき契約内容等を公表すべきところ、公表がなされていない。適正な契約事務の執行に努められたい。 ア 令和6年8月8日付け委託契約「介護保険制度案内パンフレット封入等業務委託(単価)」 イ 令和7年1月9日付け委託契約「品川区避難行動要支援者名簿更新に係る調査票等封入作業委託」 (ア高齢者福祉課、イ防災課) (2)令和5年4月から令和6年3月までに納品された月刊誌の定期購読について、契約締結事務を怠ったことで令和5年度予算からの支出がなされず、令和6年6月27日に契約締結の上、購入代金12,600円の支払を行っている。適正な予算管理および契約事務の執行に努められたい。(大井保健センター) 3 支出事務について (1)主管課で締結した令和6年6月24日付け委託契約「ふるさと応援納税推進事業委託業務(単価)」および同年9月6日付け委託契約「ふるさと納税(寄附)の申込受付および収納に係る業務委託(単価)」について、契約にない単価項目を新たに設定し、または単価金額を変更した上で支払を行う場合には、契約の相手方との協議に基づき契約を変更すべきところ、これを怠ったため、契約上定めのない単価による支払を行っている。適正な契約事務の執行に努められたい。(税務課) (2)次の支払については、支出処理を行う際、財務会計システムへの支払金額の入力を誤ったことで過払となり、事実が判明した後の支払において、過払分を差し引いた金額の支払を行っている。支払時における金額の確認を徹底し、適正な支出事務の執行に努められたい。 ア 令和6年4月1日付け委託契約「中延児童センター外避難器具保守点検委託」に係る5月分117,700円の支払について、誤って117,770円を支払ったことから、同年11月の支払において、過払分70円を差し引いた金額を支出している。 イ 緊急地震速報装置に係る令和7年1月分の利用料312,294円の支払について、誤って312,297円を支払ったことから、同年2月分の利用料の支払において、過払分3円を差し引いた金額を支出している。 (ア子ども育成課、イ防災課) (3)手当および報酬等の支払に当たり、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。支払時における債権者の確認を徹底し、適正な支出事務の執行に努められたい。 ア 児童手当の令和6年12月および令和7年2月振込分の支払について、1名分の債権者の振込先データ登録を誤り、本来支払うべき債権者とは別の者に支払を行ったことから、令和7年3月に誤払分計40,000円の戻入処理を行うとともに、同年5月に正しい債権者への支払を行っている。 イ 介護保険主治医意見書作成料の令和6年5月および同年10月振込分の支払について、1名分の債権者の登録が誤っていたことで、本来支払うべき債権者とは別の者に支払を行ったことから、同年12月に誤払分計9,900円の戻入処理および正しい債権者への支払を行っている。 ウ 介護認定審査会審査委員出席報酬の令和6年6月分の支払について、1名分の債権者の選択を誤り、本来支払うべき債権者とは別の者に支払を行ったことから、同年8月に誤払分11,633円の戻入処理を行うとともに、同年10月に正しい債権者への支払を行っている。 (ア子育て応援課、イ・ウ高齢者福祉課) (4)令和6年4月1日付け委託契約「八潮南保育園外クリーニング委託(単価)」に係る4月分の委託料99,671円の支払について、請求書に記載の単価金額が誤っているにもかかわらずそのまま支払ったことから、後日不足分1,394円の支払を追加で行っている。単価契約に基づく支払に当たっては、請求金額とともに単価金額の確認も徹底されたい。(保育施設運営課) (5)令和7年1月6日付けで交付決定した品川区太陽光発電システム等設置助成に係る助成金140,000円について、同一の内容で同年2月4日および同月7日に二度交付請求されたものをそのまま支払ったことから二重払となり、同年3月に過払分の戻入処理が行われている。適正な予算管理および支出事務の執行に努められたい。(環境課) 4 事務事業の執行方法について (1)令和7年2月3日付け委託契約「不用品運搬処分」について、「環境法令ハンドブック」によれば、産業廃棄物の委託処理(運搬・処分)を行う場合には、事業者の法令に基づく許可証の写しを保管しなければならず、また、産業廃棄物を事業者に引き渡す際にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付しなければならないとされているところ、いずれもなされていない。法令に基づく適正な事務の執行に努められたい。(人権・ジェンダー平等推進課) (2)主管課で締結した令和6年4月1日付け委託契約「品川区立荏原区民センター管理運営業務委託」および「品川区立東大井区民集会所管理運営業務委託」において、地方自治法第243条の2の規定に基づき公金事務の委託を行っていることから品川区会計事務規則第43条第2項の規定に基づき事業者に対して交付している徴収事務等受託者証について、受託者証に記載されている根拠法令が令和6年4月1日付け改正前のものとなっている。適正な事務の執行に努められたい。(地域活動課) (3)令和6年4月1日付け委託契約「自家用電気工作物保安管理業務委託」について、同年12月14日付けで閉鎖した品川区清掃事務所北品川分室に係る高圧電力契約の廃止手続を怠り、令和7年2月28日付けで廃止となったことから、本件業務委託の履行期限を令和6年12月30日から令和7年2月28日に変更している。それに伴い、令和7年1月分および2月分の委託料計27,812円の支払を追加で行っている。業務の進行管理に当たり、必要な手続や所要期間を適切に把握し、適正な事務の執行に努められたい。(品川区清掃事務所) (4)令和7年3月31日付けで交付決定した自転車ヘルメット購入助成について、同日付けで交付決定者420名に対して区内共通商品券を郵送したものの、このうち417名については誤って同年4月18日付けで再度郵送したことから、後日返還請求を行っている。事業の進行管理および指定消耗品管理を適切に行い、適正な事務の執行に努められたい。(地域交通政策課) 5 現金管理について 有料駐車場使用料に係る前渡金について、監査日時点における現金出納簿残高が11,250円であるところ12,570円の現金が保管されており、1,320円が過剰に保管されている。品川区会計事務規則および品川区公金等の管理に関する取扱基準にのっとり、適正な現金および金庫の管理に努められたい。(生活衛生課) 6 指定消耗品および備品の管理について (1)令和6年度に購入した指定消耗品について、消耗品受払簿への記帳を行っていない事例が見受けられる。品川区物品管理規則に基づく適正な指定消耗品管理に努められたい。 ア 令和6年5月7日購入 郵券およびはがき31,198円分 イ 令和6年12月16日購入 郵券およびはがき36,780円分 ウ 令和7年1月6日購入 区内共通商品券56,500円分 (ア・イ保育施設運営課、ウ地域活動課) (2)令和6年12月16日付け物品購買契約「砂遊び玩具他」において購入したライトテーブル(146,000円)について、「新財務会計システム操作マニュアル」によれば「購入価格が10万円以上のものは備品」とされていることから予算科目を備品購入費とすべきであったところ、一般需用費により支払っており、また備品登録がなされていない。新公会計におけるストック情報の正確な把握および区の適正な資産管理を行うため、備品は適切に管理されたい。(保育施設運営課) (3)区内共通商品券(18枚・計9,000円分)について、有効期限切れのため令和7年3月31日付けで廃棄している。事業の見直し等により使用する見込みがなくなった金券については、代替の用途への転用等活用方法を最大限検討し、廃棄することのないよう管理を徹底されたい。(生活福祉課) 《教育委員会事務局》 1 支出事務について (1)令和6年4月1日付け委託契約「教職員健康診断(法定および各種がん検診)委託(単価)」に係る10月分の支払について、請求4件の合計金額は2,289,746円であったところ、誤って2,298,746円の支払を行ったことから、同年12月に差額分9,000円の戻入処理を行っている。適正な支出事務の執行に努められたい。(庶務課) (2)令和6年5月15日付け物品購買契約「品川区内共通商品券(謝礼用)」における購入代金3,752,000円について、支払時における債権者の選択を誤り、本来支払うべき債権者とは別の団体に支払を行っている。支払時における債権者の確認を徹底し、適正な支出事務の執行に努められたい。(指導課) (3)巡回相談員連絡会(令和6年12月4日実施分)の講師謝礼の支払について、受領した請求書には源泉徴収税額が2,797円と記載されているところ、誤って2,491円を源泉徴収したため、後日不足分306円を追加で徴収している。適正な支出事務の執行に努められたい。(教育総合支援センター) 2 現金管理について 有料駐車場使用に係る令和7年2月18日付け使用料1,760円および同年3月5日付け使用料2,700円の支払について、前渡金の残額が不足したことで職員の私費による立替払が行われている。毎月の所要額を適切に見積もり、計画的な前渡金の支出処理に努められたい。(教育総合支援センター) 3 指定消耗品および備品の管理について (1)郵便料金の値上げに伴い各学校から回収した郵券について、次のとおり手数料を負担の上交換を行っている。払い出した郵券には、郵券の金額よりも交換手数料が高額なものも含まれていることから、郵券等の指定消耗品を計画的に購入することはもとより、やむを得ず料金改定前に発行された金額の郵券を大量に保有することになった場合についても、保有する指定消耗品の価額をできる限り毀損することがないよう適切な管理、運用に努められたい。 (払い出した郵券3,379枚・計98,649円、交換手数料1枚当たり13円・計43,927円、受領した郵券449枚・計54,722円)(指導課) (2)主管課で締結した次の工事契約により設置した備品について、備品としての登録を行っていない。新公会計におけるストック情報の正確な把握および区の適正な資産管理を行うため、備品は適切に管理されたい。 ア 令和6年4月5日付け契約「マイスクール西大井背面ロッカー設置工事」により設置した整理棚(1台374,000円) イ 令和6年4月22日付け契約「マイスクール西大井モニター設置工事」により設置したモニターテレビ(1台145,200円) (教育総合支援センター) 《区議会事務局》 指摘すべき事項は認められない。 《選挙管理委員会事務局》 指摘すべき事項は認められない。   《監査委員事務局》 指摘すべき事項は認められない。 第5 意見 (1)「第1 監査の主眼点」における「7 従前の指摘事項が是正されているか」の観点から意見を述べる。 定期監査(所管別監査)においては、支払遅延、職員による立替払、指定消耗品の受払記録漏れ、財務会計システムへの誤入力による支払金額の誤りといった基礎的な事務に係る不適切な事例が毎年のように見受けられる。指摘を受けた部署においては、同様の誤りが繰り返されないよう適切な対応がとられる一方、他部署においては指摘事例がいかされずに類似する不適切な事務処理が行われている。また、決裁文書の電子化が進んだことで、契約行為や支出行為の意思決定が効率的になされるようになった反面、数値の入力誤りなどの軽微な事務処理の誤りが見過ごされる事例が増加している。 こうした基礎的な事務において不適切な事務処理が行われる背景には、業務の根拠となる法令等の認識不足やマニュアルに定められている内容の確認不足、管理職を含めたチェック体制の形骸化があると考えられる。職員個人の認識不足により生じる誤りを防止し、職員が誤った事務処理を行った場合でも意思決定の過程において是正されるよう、組織全体における意識向上と知識の定着を図り、また、仕組みにより防止するためのチェック体制の不断の見直しを期待するものである。 (2)給与所得および報酬等に係る源泉徴収所得税および金券による謝礼等の支払について意見を述べる。 各所管で実施する事業に係る講師やボランティアに対する謝礼等は、その性質に応じて、所得税法第183条に基づき給与所得として所得税を源泉徴収するもの、所得税法第204条の規定に基づき報酬、料金等として所得税を源泉徴収するもの等がある一方、音楽コンクールの審査員に対する謝金など、これらの規定に該当せず所得税の源泉徴収が不要な費用もあり、それらについては国税庁により具体的な事例が示されている。 今回の監査においては、指摘には至っていない事例も含め、根拠とする法令や源泉徴収税額の計算を誤ったことから、後日、差額を還付または追加で徴収している事例が散見された。法令に従い適正に税務処理を行うことはもとより、誤りが生じた場合には支払先に対して負担を強いることになるため、制度に対するより一層の職員の理解向上に向けて、組織的な対応を検討されたい。 また、謝礼の支払に当たり、口座振込による金銭の支払に替え、区内共通商品券等の金券を支給している事例が複数の所管で確認された。その性質が給与・報酬に該当するものについては、たとえ少額の支給であったとしても所得税の源泉徴収が必要となる。所得税の算出に当たり、金券の支給は金銭による支払と同様の取扱いが必要となるため、結果として源泉徴収が不要となる支払であったとしても、その根拠となる法令等を正しく認識し、適切な対応がなされるよう周知徹底されたい。