ウツシ 品監発第30号 令和8年3月25日 品川区長様 品川区議会議長様 品川区教育委員会様 品川区選挙管理委員会様 品川区監査委員様 品川区監査委員 コウチ ユタカ    アリガ ヤスコ    コシバ アラタ    アクツ ヒロオ    令和7年度後期一般監査等の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査等の結果について、下記のとおり報告する。 記 第1 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和7年9月26日(金)から令和8年2月27日(金)まで 2 対象期間 (1)令和6年度 (2)令和7年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)地域振興部地域活動課 ・地域センター7か所(大井第一、大井第二、大井第三、荏原第一、荏原第二、荏原第五、八潮) (2)文化観光スポーツ振興部文化観光戦略課 ・文化センター1か所(東品川) (3)子ども未来部子ども育成課 ・児童センター4か所(中原、ミツギ、平塚、東中延) ・すまいるスクール11か所(城南、第三ヒノ、立会、浜川、中延、大原、宮前、源氏前、ハタノダイ、日野学園、ヤシオ学園) (4)子ども未来部保育施設運営課 ・幼保一体施設1か所(平塚すこやか園) ・幼稚園1か所(浜川) (5)教育委員会事務局 ・小学校9校(城南、第三ヒノ、立会、浜川、中延、大原、宮前、源氏前、ハタノダイ) ・中学校2校(大崎、荏原第一) ・義務教育学校2校(日野学園、ヤシオ学園) 4 監査の主眼点 (1)地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨にのっとり執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 ア 収入の確保が適正に行われているか。 イ 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 ウ 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 エ 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 オ 財産の管理が適正に行われているか。 カ 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 キ 従前の指摘事項が是正されているか。 (2)特に以下の3点に重点を置いて監査を行った。 ア 地域センターにおいては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」(平成20年1月28日付け会計管理者決定)に基づき、また、過去の指摘事項等を踏まえ「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」(平成20年4月1日付け区民生活事業部長決定)を改正し、預金や現金等の適切な管理を期しているが、同要領にのっとり現金および各種委託料や補助金等の管理が適切に行われているかを確認する。 イ 文化センター、児童センター、すまいるスクール、幼保一体施設および幼稚園においては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」にのっとり収納金等が適切に管理されているか、また所管課ごとに作成されている私費等に係る管理手引書にのっとり現金が適切に管理されているかを確認する。 ウ 小学校、中学校および義務教育学校においては、教育委員会事務局により事務管理指導(いわゆる自主検査)を実施しているが、当該指導が適切に行われているかを確認する。 第2 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、各事務事業はおおむね適正に行われていた。なお、次に述べる指摘事項については今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《地域振興部地域活動課》 1 契約事務について 主管課で締結した令和7年8月22日付け運送契約書「大井第二地区区民まつりにおける資材運搬業務」について、契約の重要な内容である運搬時間および経路が記載されている運搬予定表が添付されていない。契約書の作成に際しては、仕様内容や条件を明示するよう徹底されたい。(大井第二地域センター) 2 地域事務について (1)地域事務に係る指定消耗品の管理について、町会自治会連合会事業において令和元年12月12日付けで購入した往復はがき4枚504円分が金庫内に保管されているにもかかわらず、令和2年度以降消耗品受払簿が作成されていない。適正な指定消耗品の管理に努められたい。(荏原第一地域センター) (2)地域事務における現金や預金は公金と同様に取り扱う必要があるが、物品等の支払に当たり、次のとおり職員による立替払が行われている事例が見受けられる。適正な事務執行に努められたい。 ア 令和7年5月10日付けで開催された大井第二地区委員会における日帰り研修会・歓送迎会について、当日、追加で発生した支払に対して事前に引き出した現金が1,200円不足したため、職員の私費による立替払が行われている。 イ 令和7年8月18日付けで購入した令和7年度区民まつりに係る輪ゴム代672円について、職員のクレジットカードによる立替払が行われている。 (ア大井第二地域センター、イ荏原第五地域センター) 《子ども未来部子ども育成課》 1 支出事務について 事業指導員等の報償費について、次のとおり支出金額の算定を誤り、本来支払うべき金額よりも多く支払を行っている。支払に当たっては根拠となる単価および従事した実績の確認を正確に行い、適正な支出事務の執行に努められたい。 ア 令和7年8月分の事業指導員謝礼として支払った2名分の報償費15,600円について、指導員謝礼単価の錯誤により2,600円の過払が生じている。 イ 令和7年9月分の事業補助指導員謝礼として支払った報償費10,864円について、補助指導員の指導実績時間による単価の錯誤により4,656円の過払が生じている。 (中原児童センター) 2 私費会計について (1)令和7年8月6日付けで実施したランチクッキング事業について、参加費1人当たり199円を収納していたにもかかわらず、予算額が1人当たり200円と見積もっていたことから会計報告書および事業私費会計出納簿では参加費を1円多く1人アタリ200円と記載し、1円返金処理したものとして記載している。適切な事務処理に努められたい。(東ナカノブ児童センター) (2)ランチクッキング事業について、参加費の残額を返金する際、事業参加者名簿の返金欄に受領印または署名をもらう必要があるが、令和7年8月13日および同月27日実施の事業においては、受領に係る署名が鉛筆で記載されている。適切な事務処理に努められたい。(東ナカノブ児童センター) 《子ども未来部保育施設運営課》 1 私費会計について 令和6年度きりん組教材費決算報告について、決算処理は正しく行われているものの、決算報告書の決算額が正しくは254,800円のところ252,000円と記載され、誤った金額で保護者あてに決算報告がなされている。保護者からの信頼を損なうことのないよう確認を徹底し、正確を期されたい。(平塚すこやか園) 《教育委員会事務局》 1 契約事務について (1)主管課で締結した令和6年8月28日付け請書「煮込み鍋ホカ」168,740円について、2者から見積りをチョウシュした際、落札した事業者の見積りは18品目168,740円、落札しなかった事業者の見積りは15品目116,968円であり、それぞれの事業者が提出した見積書の品目に相違がある。契約締結に際しては、正確な仕様内容や同条件に基づく見積書を徴し、適切な事務処理を行うよう徹底されたい。(日野学園) (2)主管課で締結した令和7年2月25日付け請書「卒業証書筆耕」34,300円について、仕様書に個人情報の保護に関する事項の記載がなく、また、添付している「個人情報を取り扱う委託契約の特記事項」が令和5年4月1日改正前のものとなっている。仕様書に個人情報の保護に関する事項を記載するとともに、最新の特記事項を添付するよう徹底されたい。(宮前小学校) (3)主管課で締結した家電製品処分委託について、「環境法令ハンドブック(第4版品川区)」によれば、家電製品を事業者に引き渡した際に家電リサイクル券の写しを受け取る必要があるが、受領および保管がなされていない。環境法令に従い、適正な廃棄物管理を徹底されたい。 ア 令和6年4月3日付け請書「洗濯機リサイクル処分」 イ 令和6年7月25日付け請書「テレビリサイクル処分」 ウ 令和6年8月2日付け請書「洗濯機リサイクル処分」 エ 令和7年3月11日付け請書「テレビリサイクル収集運搬処分委託」 オ 令和7年8月1日付け請書「テレビ処分委託」 (ア・ウ浜川小学校、イ荏原第一中学校、エヤシオ学園、オ中延小学校) 2 指定消耗品の管理について 令和6年度の地域の歴史・文化学習用品川区内共通商品券について、年度末に教育総合支援センターへ残余分を返却した際、払出の記録が消耗品受払簿に記帳されていない。適正な指定消耗品の管理に努められたい。(荏原第一中学校) 3 教材費および行事費について (1)教材費に係る会計処理について、ツキの収支確定後に管理職(校長・副校長)が金銭出納簿の翌月への繰越金と通帳残高の一致を確認することとされているが、第4学年の令和6年4月分の確認を同年5月14日付けで行う際、残高が一致していないにもかかわらず、管理職による確認の押印が行われている。適切な事務処理に努められたい。(宮前小学校) (2)教材費に係る第1学年の金銭出納簿について、令和7年3月10日付けで「ひらがなのれんしゅう」410円の払出があったにもかかわらず、同月分の金銭出納簿が作成されていない。そのため、令和7年3月12日付け保護者あての会計決算報告では正しい金額が記載されているものの、その後監査役の保護者により行われた監査では同月分の金銭出納簿が作成されていないにもかかわらず監査が行われている。適切な事務処理に努められたい。(ハタノダイ小学校) (3)令和6年度運動会における第2学年使用物品について、誤って購入したバンダナ19,630円を返品したが、その際に事業者へ返金を求めず、改めて発注した腰巻59,280円の支払時に、バンダナの返金分を相殺した金額39,650円を支払っている。適正な支出事務の執行に努められたい。(浜川小学校) (4)第2学年保護者あて通知「令和6年度学校納付金の徴収について」において、年間徴収金額は正しいものの、令和6年6月分の徴収金額に誤った金額を記載し保護者に通知している。保護者からの信頼を損なうことのないよう確認を徹底し、正確を期されたい。(日野学園) 4 給食事務について 主管課で締結した学校給食用物資納入契約について、契約代金を支払う際、契約書で指定されている振込先口座とは異なる口座に、契約変更することなく振込を行っている。適切な事務処理に努められたい。(ハタノダイ小学校) 5 理科室の管理について 理科室で使用する薬品類の管理について、令和7年5月23日付け教育総合支援センター長通知「理科室等における薬品等の適正な保管・管理の徹底について」によれば、薬品の在庫量の定期点検は、4月末日および各学期末に管理責任者(副校長)に報告しその確認を受けることとされているが、令和6年度および令和7年度はそれぞれ年度内に1回のみ点検を行っている。薬品類による事故等を未然に防止するため、改めて通知を確認するとともに、定期的な点検を徹底されたい。(日野学園) 6 給与事務および服務管理について (1)教育職員1名の給与について、前歴加算に関する書類の提出が遅れたことで、令和6年7月から令和7年2月までの支給分の給与および令和6年12月支給分の期末手当等の前歴加算分1,567,747円が支給されず、令和7年3月分の給与で追給している。適切な事務処理に努められたい。(立会小学校) (2)教育職員に支給される各種手当について、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。多額の返納または追加支給が行われることのないよう適正な給与事務の執行に努められたい。 ア 扶養手当等について、令和5年3月に認定されていたにもかかわらず給与データの入力を怠ったため、同年3月から令和6年8月までの18か月分が支給されず、同年9月分給与で追給している。 イ 住居手当について、令和7年4月に支給を停止すべきところ同居者の収入確認書類の提出が遅れたことにより支給し続けたため、同年4月から9月までの支給分を、同年10月分給与で返納している。 ウ 児童手当について、給与データの入力方法を誤ったため、令和6年11月、令和7年1月、3月および5月分が支給されず、同年7月分給与で追給している。 エ 特殊勤務手当について、部活動従事届の提出が遅れたため、令和6年4月、6月および7月分が支給されず、同年9月分給与で追給している。 (アハタノダイ小学校、イ第三ヒノ小学校、ウ・エ大崎中学校) (3)会計年度任用職員(時間講師)に係る勤務時間の振替命令簿について、次のとおり不適切な事例が見受けられる。適正な服務管理に努められたい。 ア 振替事由が発生しているにもかかわらず振替命令簿が作成されておらず、振替前の事前命令が徹底されていない。 イ 振替命令簿が命令日の日付順に記載されていない。 ウ 勤務時間の振替前と振替後の時間数が誤って記載されている。 (ア城南小学校・第三ヒノ小学校・大原小学校・源氏前小学校・ハタノダイ小学校・日野学園、イ中延小学校・大原小学校、ウ大原小学校) 第3 定期監査(所管別監査)の意見 最後に、「第2 定期監査(所管別監査)の結果」における私費会計事務について、補足して意見を述べる。 会計事務において、地域事務事業参加費、児童センター事業参加費、教材費における学校納付金等、職員が公金のみならず私費会計事務をも併せて担っている状況にある。 私費会計事務については要綱および手引等により管理方法が定められており、公金と同様に適正性・透明性が求められる。公金管理に比して、現金等を直接取り扱う場面が多く、特に公金と私費が混在する事務においては、両者の厳格な区分管理が不可欠であり、管理責任の明確化と透明性の一層の確保が求められる。 ついては、適正な区分管理と内部統制の確保を徹底するとともに、職員が複数の会計事務を並行して処理している現状を踏まえ、事務負担の軽減と処理の正確性向上を図られたい。 第4 随時監査の実施(フォローアップ監査) 1 実施期間 令和7年9月26日(金)から令和8年2月27日(金)まで 2 対象期間 令和6年度後期定期監査(所管別監査)に係る書面監査実施日以降の事務事業および財産管理等 3 対象部局および対象事務 (1)教育委員会事務局 伊藤小学校 ア 給与事務について イ 理科室(薬品)の管理について (2)教育委員会事務局 ケイヨウ小学校 ア 主管課契約に係る契約事務について イ 指定消耗品の管理について ウ 理科室(薬品)の管理について 4 監査の主眼点 令和6年度後期定期監査(所管別監査)における指摘事項のうち次に掲げる事例について、その指摘を踏まえた是正措置が講じられているか。 (1)常態となっている事例 (2)改善の緊急性および重要性が高い事例 第5 随時監査の結果(フォローアップ監査) 所管課において是正措置を講じた結果、各事務事業はおおむね適正に行われていた。なお、過去に指摘した事例と類似する不適切な処理事例が再度見受けられたことから、各学校においては監査を契機とし、指摘事項のみならず関連事務の処理手順を改めて確認するとともに、教育委員会事務局においては、引き続き学校事務職員へのフォローアップ体制の充実・強化により一体的な事務改善を図られたい。 《教育委員会事務局》 1 指定消耗品の管理について 令和6年度のまちの人々に学ぶ授業用品川区内共通商品券について、年度末に指導課へ残余分を返却した際、払出の記録が消耗品受払簿に記帳されていない。適正な指定消耗品の管理に努められたい。(ケイヨウ小学校) 2 理科室の管理について 理科室で使用する薬品類の管理について、令和7年5月23日付け教育総合支援センター長通知「理科室等における薬品等の適正な保管・管理の徹底について」によれば、薬品の在庫量の定期点検は、4月末日および各学期末に管理責任者(副校長)に報告しその確認を受けることとされているが、令和7年度に4月末日の点検を行っていない。薬品類による事故等を未然に防止するため、改めて通知を確認するとともに、定期的な点検を徹底されたい。(ケイヨウ小学校) 第6 工事監査の実施 1 実施期間 令和7年9月26日(金)から令和8年2月27日(金)まで 2 対象工事 浜川中学校校舎改築その他工事 3 監査の主眼点 (1)契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 (2)施工が契約内容に則して日程どおりに行われているか。 (3)契約および仕様書が規程に則して作成されているか。 (4)仕様が設置目的に適合し、かつ経済合理的なものとなっているか。 (5)設計および施工は適切に行われているか。 (6)検査は厳正に行われているか。 4 監査の実施方法 書類審査と現場調査を実施し、専門技術的事項について、一般社団法人東京技術士会に調査を依頼した。 第7 工事監査の結果 1 監査対象の概要 計画場所:品川区東大井3丁目18番34号 現場確認日:令和8年1月23日(金) 経緯:品川区では、「品川区立学校施設長寿命化計画」に基づき、施設の老朽化や生徒数の増加などに対応するため、計画的な学校改築を推進している。 浜川中学校については、生徒の主体的な学習、活動および交流を促し、地域交流なども考慮した学校づくりを進めるとともに、災害に強く避難所機能を継続できる施設として整備を行う。 工事概要:主要用途:中学校 構造:テッコツゾウ・一部鉄骨鉄筋コンクリート造 規模:地上6階建て 建物高さ:24.98メートル 敷地面積:8,229.72平方メートル 延床面積:11,811.67平方メートル 建築面積:3,136.50平方メートル 工事経費:別表のとおり <別表> 種別 契約金額(税込) 履行期間 委託 品川区リツ浜川中学校校舎改築基本設計等業務委託 98,769,000円 令和2年6月8日~令和3年3月31日 浜川中学校校舎改築工事実施設計等業務委託 207,900,000円 令和3年4月2日~令和4年3月31日 浜川中学校校舎改築その他工事監理等業務委託 165,068,000円 令和4年7月8日~令和9年8月31日 工事 浜川中学校校舎改築その他工事 6,545,341,000円 令和4年7月8日~令和9年8月31日 浜川中学校校舎改築その他機械設備工事 1,271,248,770円 令和4年7月8日~令和9年8月31日 浜川中学校校舎改築その他電気設備工事 825,121,000円 令和4年7月8日~令和9年8月31日 合計 9,113,447,770円 ※令和8年2月27日現在 2 監査の結果 計画、設計、積算、環境管理、維持管理、契約等はいずれも適切な内容である。 はじめに、校舎の機能的な計画についてである。今回の改築計画は、ICT(情報通信技術)教育環境の充実および生徒の主体的な活動等を促す「学年ラウンジ」の整備など、現在の社会状況の変化を捉えたものとなっており、生徒のニーズに応じた多様な学習への対応を可能とする豊かな環境が整えられている。また、本校舎は避難所機能を継続できる施設として建物の防災性を確保するとともに、大雨等による浸水対策として「体育館」や「多目的ホール」を上階に配置し、かつ、建物周囲に止水壁等を設置することで、避難所機能の強化を図っている。これらの計画は地域特性を十分に考慮したものとなっており、地域住民にとっても、災害時に安心して過ごすことができる施設となっている。 次に、将来の教育環境や生徒数の変化に対応した設計についてである。本校舎は、平成の時代に耐震補強工事が行われたものの、古い棟は昭和38年の建設から60年が経過しており、老朽化および教室不足解消が課題であった。このことから、普通教室に近接した位置に多目的教室や学習室を設置し用途転用を可能とすることで、今後予測される生徒数の増加や、将来的な需要の変化にも対応できる柔軟性が高い設計としている。 さらに、仮設校舎を使用しない工程計画についてである。都心の住宅密集地における学校建て替え計画において、「仮設校舎を設置せず、同一敷地内で解体と新築を段階的に繰り返す」方式は、非常に難易度が高い。この難しい計画を実行するに当たり、基本設計から7年半、着工から5年をかけ、解体、新築および外構整備に関する綿密な計画策定と関係者との緊密な連携を進めることで、滞りなく工事を実施している点も高く評価すべきと考える。本改築工事の完了は令和9年度を予定しており、今後は残りの校舎棟建設、既存校舎解体およびグラウンド整備が計画されている。工事が長期間に及ぶことから、引き続き騒音対策、防塵対策など、周辺環境への影響に十分配慮しながら、安全管理を最優先に工事を進められたい。 さて、本改築工事においては、仮設校舎を使用せず構造の工夫により工期短縮を実現しているが、学校施設としての機能を考慮すると、仮設校舎の設置および構造等の方針については、慎重な検討が必要であると思われる。学校改築に当たっては、長期間にわたって安心して使用できる安全性の高い校舎施設の整備が必要とされるため、社会的な要求水準を満たした施設整備はもとより、安全性と効率性のバランスを適切に取ることも重要であると考える。今後も、より良い教育環境の創出を目指し、これらの要素を総合的に考慮しながら、最適な選択のもと施設整備に取り組まれたい。 次に、近隣住民の声の聴取についてである。改築により校舎の向きが変わったことで、教室と近隣住宅の窓が向かい合う状況が生じ、プライバシーへの配慮に関する要望が近隣住民から寄せられており、また、給食室から出る排気臭対策についても検討が進められているということである。今後も引き続き近隣住民の意見や要望を丁寧に聴取し、継続的な改善に努められたい。そして、学校が単なる教育活動の場としてだけではなく、地域住民にとっても身近で親しみやすい公共施設としての役割を果たすことを期待する。 なお、次に述べる意見については、今後予定されている工事において十分留意されたい。 (1)労働災害の発生について 山留工事において、作業員がセメントミルクによる火傷を作業中に負うという労働災害が発生している。原因は、工事着工前に監督員および監理者が作業内容を確認すべきところ、この作業を仮設工事と判断し、施工計画書を提出させず工事を進めたことにある。標準仕様書に施工計画書の提出義務の記載がなくても、事業所内でどのような工事が行われており、当該工事が安全作業か否か確認することは監督員および監理者の責務であり、これを怠って労働災害が生じたことは遺憾である。軽微な工事であっても、施工計画書を作成し、危険源(リスク)の特定、必要な安全設備、保護具の確認、作業員への周知内容の整理などリスクアセスメントを実施し、安全管理に努められたい。   第8 財政援助団体等監査の実施 1 実施期間 令和7年9月26日(金)から令和8年2月27日(金)まで 2 監査の対象 次の(1)カラ(3)マデに掲げる4団体における主に令和6年度の事業を対象とした。併せて、所管部課における主に令和6年度の補助金交付、指定管理に係る委託料支出等の事務の執行および指導監督事務を対象とした。 (1)出資・シュツえん、補助等および公の施設の指定管理を行っている団体 1団体 監査対象団体 出資金等 令和6年度補助金 所管部課 公益財団法人品川文化振興事業団 4億7,000万円 2億9,012万円 文化観光スポーツ振興部文化観光戦略課 ※補助金等の額は万円未満の端数切捨て。以下同じ。 (2)補助等を行っている団体 1団体 監査対象団体 令和6年度補助金 所管部課 品川区職員互助会 3,376万円 区長室人事課 (3)公の施設の指定管理を行っている団体 2団体 監査対象団体 監査対象施設 指定期間 所管部課 しながわTRC・リディアグループ共同事業体(株式会社図書館流通センター・NPO法人リディア) (Aグループ)荏原図書館、ゆたか図書館、源氏前図書館 (Cグループ)五反田図書館、大崎図書館、大崎図書館分館、フタバ図書館 株式会社ヴィアックス (Bグループ)大井図書館、南大井図書館、八潮図書館 令和5年4月1日~令和10年3月31日 教育委員会事務局品川図書館 3 監査の主眼点 (1)補助金等交付団体 ア 所管課における出資、補助金、委託料、負担金、貸付金等(以下「補助金等」という。)に係る金額の積算、決定、交付および実績報告の確認、精算等は適正に行われているか。 イ 団体における補助金等の財務事務は法令および団体の諸規程に基づき適正に処理されているか。 ウ 補助金等に係る事業はその目的に沿って効果的かつ効率的に行われているか。 エ 財産および現金の管理は適正に行われているか。 (2)出資団体 ア 団体の運営は出資の目的に沿って効果的かつ効率的に行われているか。 イ 団体における会計処理は適正に行われているか。 (3)指定管理者 ア オオヤケの施設の管理は目的に沿って適切に執行されているか。 イ 管理業務等に係る会計処理は適正に行われているか。 ウ 指定手続きおよび指定に関する協定等は適切か。 エ オオヤケの施設の指定管理者に対する指導監督は適切になされているか。 4 監査委員の除斥 地方自治法第199条の2の規定により、公益財団法人品川文化振興事業団の令和6年6月12日までの事務事業に係る監査について、アリガヤスコ監査委員を除斥した。 5 監査の実施方法 (1)書面監査 所管部課から提出された書類の調査、対象団体の事務所における書類調査および説明聴取を行った。なお、公益財団法人品川文化振興事業団、しながわTRC・リディアグループ共同事業体および株式会社ヴィアックスの事務所における書類調査に当たっては、公認会計士による会計書類調査を同時に行った。 (2)施設監査 次の指定管理施設において、施設監査を行った。 監査対象団体 施設監査対象 区分 公益財団法人品川文化振興事業団 品川区立総合区民会館 監査委員による施設監査 しながわTRC・リディアグループ共同事業体 品川区立大崎図書館 事務局職員による現地調査 株式会社ヴィアックス 品川区立南大井図書館 事務局職員による現地調査 第9 財政援助団体等監査の結果 1 公益財団法人品川文化振興事業団 (1)所管部課における補助金交付の決定および手続きは適正になされていると認められる。また、補助事業はその目的に沿って効果的かつ効率的に行われており、補助に係る会計経理内容はおおむね適正であると認められる。 (2)団体の運営は出資の目的に沿って効果的かつ効率的に行われており、団体における会計処理はおおむね適正に行われていると認められる。 (3)指定管理者の指定手続きおよび指定に関する協定等は適切であり、所管部課からの指導監督は適切になされていると認められる。また、協定の内容に基づき、指定管理者の義務は履行されており、管理業務等に係る会計処理はおおむね適正に行われていると認められる。 (4)なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 ア 公益財団法人品川文化振興事業団財務規程によれば、契約は指名競争入札または随意契約の方法によることとされ、予定価格が50万円以上の契約をする場合には原則として指名競争入札によらなければならないこととされている。ただし、これにより難いものについては随意契約の方法により契約締結が可能とされているところ、令和6年度においては55件の契約のうち、2者以上から見積書をチョウシュした案件が5件、1者からしか見積書をチョウシュせず当該1者と契約している案件が50件となっており、すべての契約が指名競争入札によらず行われている。適正な契約事務に努められたい。 イ 令和6年4月1日付け契約「令和6年度大小ホール客席椅子保守点検業務委託」647,075円について、同年11月22日付けで438,790円に減額変更しているが、変更契約書を作成することなく、原契約書の額面金額を団体の訂正印のみにより変更している。適正な手順による契約事務の執行を徹底されたい。 ウ メイプルセンターで実施しているカルチャー講座に係る令和6年1月期(1~3月分)の講師謝礼について、講師料単価の錯誤により支出金額の算定を誤り、本来支払うべき金額より多く支払を行ったことから、同年5月24日に40,447円の戻入処理が行われている。適正な支出事務の執行に努められたい。 エ 指定管理業務に係る備品の管理について、品川区立総合区民会館指定管理者協定書第20条第6項では指定管理業務の受託に関し区から貸与されている備品に係るマイネンドマツの管理状況を区に報告することとされているが、備品の一覧表と突き合わせながらの現物確認手続きが行われていない。適正な備品管理を徹底されたい。 2 品川区職員互助会 (1)所管部課における補助金交付の決定および手続きは適正になされていると認められる。また、補助事業はその目的に沿って効果的かつ効率的に行われており、補助に係る会計経理内容はおおむね適正であると認められる。 (2)なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 ア 品川区職員互助会財務規程によれば、契約の相手方を決定したときは、契約の金額等を記載した契約書または請書その他これに準ずる書面(以下「契約書等」という。)を作成しなければならないとされているところ、令和6年度においては24件の契約のうち、1件の契約を除いて契約書等が作成されていない。また、契約に当たっては見積書をチョウシュしなければならないとされているところ、インターネットを利用し通販事業者等より直接物品の調達を行っている13件を含む17件の案件について見積書をチョウシュせず契約を締結している。適正な契約事務に努められたい。 イ 品川区職員互助会検査員および立会員指名処理要領によれば、検査員および立会員の指名を毎年度4月1日に行わなければならないとされているが、令和6年度および令和7年度においては、いずれの指名もなされていない。適正な検査事務に努められたい。 3 しながわTRC・リディアグループ共同事業体 (1)指定管理者の指定手続きおよび指定に関する協定等は適切であり、所管部課からの指導監督は適切になされていると認められる。また、協定の内容に基づき、指定管理者の義務は履行されており、管理業務等に係る会計処理はおおむね適正に行われていると認められる。 (2)指摘すべき事項は見受けられない。 4 株式会社ヴィアックス (1)指定管理者の指定手続きおよび指定に関する協定等は適切であり、所管部課からの指導監督は適切になされていると認められる。また、協定の内容に基づき、指定管理者の義務は履行されており、管理業務等に係る会計処理はおおむね適正に行われていると認められる。 (2)指摘すべき事項は見受けられない。 第10 財政援助団体等監査の意見 公益財団法人品川文化振興事業団の指定管理施設である品川区立総合区民会館の施設管理について、意見を述べる。 まず、7階に配置されている茶室(和室)の利用状況についてである。現状は、主に茶道グループによる利用が多く、他の貸出し施設と比較すると利用率が低いと見受けられる。茶道をたしなまない方でも適時に利用できるよう配慮するとともに、インバウンドの外国人のカタや在住外国人の方に対しても日本へ親しみを持ってもらうための和文化の象徴の一つとして効果的なアピールを行い、利用率向上を図られたい。 次に、障害を有するカタへの配慮についてである。会館には障害を有する方も多数来場することから、車いすのカタの専用席は大ホールの座席の端ではなく中央寄りに設置するといったハード面における対応のみならず、ソフト面でも財団職員がユニバーサルマナー講習を受講するなど積極的な対応を図っているということである。折しも、令和6年4月1日より改正障害者差別解消法が施行され、区にも共生社会の実現に向けた機運醸成を高める施策の展開が求められているところである。区において有数の規模を誇る施設の管理運営を任されている公益法人としての矜持をもって、今後も可能な限りの合理的配慮を提供できるよう環境整備に努められたい。 さらに、地震や火災など災害時の避難体制についてである。会館は、1,000人を超える観客を集客できる8階の大ホールをはじめとした多数のホール、講習室等を有しており、緊急の場合への対応として、コンサート等の演目中の発災を想定した防災訓練を随時行っているということである。実際の発災時には財団職員が不在である可能性も考えられるため、深夜帯などあらゆるケースを想定した防災マニュアルの整備等の手法により、万全の体制を備えられたい。 会館は、大井町の中心施設として建設された総合的文化コミュニティホールである。区民を中心としたコミュニティ活動の発展を支援する「文化・芸術創造の場」の拠点として皆に愛される施設となるよう、今後も適切かつ創意工夫に富んだ運営に努められたい。