写 品監発第32号 令和4年3月18日 品川区長 様 品川区議会議長 様 品川区教育委員会 様 品川区選挙管理委員会 様 品川区監査委員 様 品川区監査委員  島田 コウタロウ    森井 じゅん    鈴木 マスミ    横山 ユカリ 令和3年度後期一般監査等の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査等の結果について、次のとおり報告する。 第1 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和3年9月28日(火)から令和4年2月28日(月)まで 2 対象期間 (1)令和2年度 (2)令和3年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)地域振興部地域活動課 地域センター5カ所(品川第一、品川第二、大崎第二、荏原第三、荏原第四) (2)文化スポーツ振興部文化観光課 文化センター1カ所(南大井) (3)子ども未来部子ども育成課 児童センター3カ所(東品川、大井倉田、旗の台) すまいるスクール9カ所(城南、第三日野、浜川、鈴ケ森、中延、小山、源氏前、大原、荏原平塚学園) (4)子ども未来部保育課 幼保一体施設1カ所(八潮すこやか園(八潮わかば幼稚園、八潮南保育園)) 幼稚園1カ所(浜川) (5)教育委員会事務局 小学校8校(城南、第三日野、浜川、鈴ケ森、中延、小山、源氏前、大原) 中学校2校(大崎、荏原第一) 義務教育学校1校(荏原平塚学園) 4 監査の主眼点 (1)地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および 第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨に則り執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として 監査を行った。 ア 収入の確保が適正に行われているか。 イ 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 ウ 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 エ 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 オ 財産の管理が適正に行われているか。 カ 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 キ 従前の指摘事項が是正されているか。 (2)特に以下の3点に重点を置いて監査を行った。 ア 地域センターにおいては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」(平成20年1月28日付け会計管理者決定)に 基づき、また、過去の指摘事項等を踏まえ「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」(平成20年4月1日付け 区民生活事業部長決定)を改正し、預金や現金等の適切な管理を期しているが、同要領に則り現金および各種委託料や 補助金等の管理が適切に行われているかを確認する。 イ 文化センター、児童センター、すまいるスクール、幼保一体施設および幼稚園においては、「品川区公金等の 管理に関する取扱基準」に則り収納金等が適切に管理されているか、 また、所管課ごとに作成されている私費等に係る管理手引書に則り現金が適切に管理されているかを確認する。 ウ 小学校、中学校および義務教育学校においては、教育委員会事務局により事務管理指導(いわゆる自主検査)を 実施しているが、当該指導が適切に行われているかを確認する。 第2 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、新型コロナウイルス感染拡大による事業の見直し等の影響を受けつつも、各事務事業は概ね適正に 行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《地域振興部地域活動課》 1 収入事務について 令和2年度の集会所使用料に係る現金出納簿について、同年度末に記載の受欄と払欄における累計金額が一致しない。 現金出納簿の適切な記帳に努められたい。(大崎第二地域センター) 2 契約事務について 主管課契約に係る契約事務について、令和2年4月1日付け委託契約書「青少年健全育成事業委託」および 令和3年4月1日付け委託契約書「青少年健全育成事業委託」においては、契約書に添付すべき 「品川区暴力団等排除に関する特約条項」や「個人情報を取り扱う委託契約の特記事項」が付されておらず、 また仕様書に連絡先等の特記事項が記載されていない。 契約書は正確に作成する等、適正な契約事務の執行に努められたい。(地域活動課) 3 地域事務について 「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」によれば、行事終了時、または概ね3カ月ごとに事務事業の 会計検査を所長が行い、金銭出納帳の月末欄外に所長の確認印を押すこととされているが、令和2年度の 事務事業に係る金銭出納帳に、所長の確認印が押されていない。同要領に則り、適正な事務執行に努められたい。 (品川第一地域センター) 《文化スポーツ振興部文化観光課》 1 私費会計について 軽印刷機に係る消耗品について、平成27年3月31日付け「文化センターにおける私費会計処理について」によれば、 消耗品の購入にあたっては、必ず現金で支払うこととされているが、印刷機用領収証購入代金(398円)の支払が クレジットカードにより行われている。同通知に則り、適正な事務執行に努められたい。(南大井文化センター) 《子ども未来部子ども育成課》 指摘すべき事項は認められない。(東品川、大井倉田、旗の台の各児童センター、城南、第三日野、浜川、鈴ケ森、 中延、小山、源氏前、大原、荏原平塚学園の各すまいるスクール) 《子ども未来部保育課》 1 指定消耗品の管理について 令和2年度および令和3年度の品川区内共通商品券に係る消耗品受払簿について、受払時における職員による調査や 園長の決裁(押印)が、その都度なされていない。複数名の職員による確認を徹底し、適正な管理に努められたい。 (八潮わかば幼稚園) 2 教材費について (1)教材購入に係る支払について、毛糸・フェルト購入代金(3,850円)の支払が職員のクレジットカードにより 行われている。私費会計(教材費)が、保護者からの徴収金でその幼児分の教材を購入し、 代金を支払うものであることを踏まえ、適正な支払事務の執行に努められるとともに、令和元年7月付け 「品川区立幼稚園望ましい会計処理ガイド」に支払方法を定める等、検討されたい。(浜川幼稚園、保育課) (2)令和2年度の教材費に係る会計処理について、「品川区立幼稚園望ましい会計処理ガイド」によれば、 年度末の決算時における最終的な残額を福祉団体等に寄付する場合、あらかじめ年度当初に保護者へその旨を 知らせておくこととされているが、当該通知を行わないまま寄付がなされている。保護者による会計監査は 行われているものの、私費としての性格を踏まえ、同ガイドに則り、適正な事務処理に努められたい。(浜川幼稚園) 《教育委員会事務局》 1 契約事務について 主管課契約に係る契約事務について、次の物品購買契約においては、同種の物品であるにもかかわらず、 同日または近接した時期に分割して契約が締結されている。計画的に一括契約を行うなど、事務の効率化 および一層の経費削減に努められたい。 ア 令和2年6月8日付け請書「軟式ボール他」267,560円および同月10日付け請書「バレーボール他」273,101円 イ 令和2年6月19日付け請書「笹竹ほか」98,599円および同日付け請書「水性マーカー他」98,319円 ウ 令和3年2月5日付け請書「網じゃくほか」99,704円および同日付け請書「煮込み鍋ほか」34,980円 エ 令和3年6月1日付け請書「バスケットボール他」292,106円および同月7日付け請書 「ソフトテニスボール他」260,730円(ア、エ大崎中学校、イ、ウ第三日野小学校) 2 支出事務について 令和2年8月7日付け請書「後期課程始業式 集合写真」3,200円および令和3年4月7日付け請書 「入学式 集合写真」7,200円の代金について、本来であれば私費会計から支払うべきところ、誤って公費により 支払を行ったため、当該代金分の戻入処理が行われている。公費と私費の区分を混同することのないよう、 適正な支出事務の執行に努められたい。(荏原平塚学園) 3 指定消耗品および備品の管理について (1)指定消耗品の管理について 郵券に係る消耗品受払簿について、令和2年度分に記載の繰越枚数およびその券種と令和3年度分に記載の 繰入枚数およびその券種が一致しない。品川区物品管理規則第25条の規定に則り、消耗品受払簿の適切な記帳に 努められたい。(浜川小学校) (2)備品の管理について 物品購入に伴う備品登録について、購入金額とは異なる金額により登録が行われている。新公会計における ストック情報の正確な把握および区の適正な資産管理を行うため、備品は適切に管理されたい。(荏原平塚学園) 4 理科室の管理について 理科室で使用する薬品類の管理について、平成30年1月4日付け教育総合支援センター長通知「理科室で使用する 薬品の管理の徹底について」により、薬品類の適正な管理の徹底を図っているが、 次のとおり不適切な事例が見受けられる。 各学校においては、薬品類による事故等を未然に防止するため、改めて管理状況を確認するとともに、 定期的な点検を徹底されたい。 ア 薬品および薬品管理簿は存在するが、薬品管理一覧表が作成されていない。 イ 薬品管理一覧表および薬品管理簿に記載の薬品(ビン)番号または受入年月日に相違がある。 (ア鈴ケ森小学校、イ中延小学校、小山小学校) 5 給与事務および服務の管理について 令和2年度の東京都が任用した会計年度任用職員(時間講師)に係る出勤簿について、東京都が定めた様式を 使用していない。 職員の出勤記録は給与算定上の根拠となることから、適正な事務処理に努められたい。(源氏前小学校) 第3 工事監査の実施 1 実施期間 令和3年9月28日(火)から令和4年2月28日(月)まで 2 対象工事 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築工事 3 監査の主眼点 (1)契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 (2)施工が契約内容に則して日程どおりに行われているか。 (3)契約および仕様書が規程に則して作成されているか。 (4)仕様が設置目的に適合し、かつ経済合理的なものとなっているか。 (5)設計および施工は適切に行われているか。 (6)検査は厳正に行われているか。 4 監査の実施方法 書類審査と現場調査を実施し、専門技術的事項について、一般社団法人東京技術士会に調査を依頼した。 第4 工事監査の結果 1 監査対象の概要 計画場所:品川区豊町二丁目1番30号(戸越公園内) 現場確認日:令和4年1月24日(月) 経緯:「品川区環境基本計画」(平成30年3月策定)において示された、環境教育・コミュニケーションの充実や、 環境保全について日常的に実践する人を育て、次代につなぐ環境都市の実現を目指すため、 環境を体感して学べる施設として整備することとなった。 工事概要:主要用途:環境学習施設(学校、図書館その他これらに類する施設) 構造種別:鉄骨造 規模:地上3階、地下0階 建物高さ:11.61m 敷地面積:1,343.79㎡ 建築面積:939.85㎡ 延床面積:1,912.74㎡ 工事経費:別表のとおり <別表> 種別:委託 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築工事基本・実施設計業務委託 契約金額:69,256,000円 履行期間・工期:R1.7.1~R2.10.30 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築工事監理業務委託 契約金額:52,910,000円 履行期間・工期:R2.12.11~R4.2.28 種別:工事 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築工事 契約金額:1,207,800,000円 履行期間・工期:R2.12.11~R4.2.28 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築機械設備工事 契約金額:358,600,000円 履行期間・工期:R2.12.11~R4.2.28 (仮称)品川区立環境学習交流施設新築電気設備工事 契約金額:378,400,000円 履行期間・工期:R2.12.11~R4.2.28 契約金額合計:2,066,966,000円 なお、委託・工事とも最終契約金額である。 2 監査の結果 計画、設計、積算、契約、施工・工事監理等は、いずれも適切な内容である。 はじめに、本工事で採用された省エネルギー・創エネルギーの技術である「太陽光発電」「輻射式空調」 「地中熱利用」等は、人々の環境施策に対する関心を高めるきっかけとなり、環境教育の一環として 有効な活用が期待できる。特に、地中熱システムは、設置費用が高額であり採用する施設は少ないが、 省エネルギーを実現する設備として環境学習施設へ導入される意義は大きい。 次に、内観は、区と交流・連携のある6都市・県および多摩産の木材を内部各所に使用することで、 温もりのある空間を創り、脱炭素・循環型社会形成の実現に寄与している。また、外観は、壁面緑化や 瓦を用い、戸越公園の緑や近接する薬医門の風景との調和が図られたデザインとなっている。 さらに、本工事は、建築物省エネルギー性能表示制度において、「省エネ50%以上」「創エネ25%以上」を 目指した設計により、都内公共施設で初めてとなるNearly ZEB認証を受けている点においても、高く評価できる。 その他、敷地内斜面の高低差を生かして経済的で合理的な計画を行うなど、設計上の工夫も見られる。 「品川区環境基本計画」を踏まえ、環境への理解を深める場として整備された本施設には、省エネルギーを 実現する設備と技術が取り入れられている。脱炭素社会の実現に向けた取組みを進める点からも、これらの設備と 技術については、効果をしっかりと検証し、今後の公共施設整備における環境対策の参考としてほしい。 地球温暖化をはじめとした環境問題は喫緊の課題であり、環境教育の必要性、重要性は、ますます高まっている。 本施設での事業運営にあたっては、デジタル技術を活用した大型映像展示等を十分に生かし、未来をつくる 子どもたちと子どもを支える人たちに対する様々なアイデアと工夫を重ねた、より良い環境教育の取組みを 期待している。そして、環境に対する意識の向上を図るとともに、自主的な環境行動を支援することにより 環境保全活動を着実に推進してほしい。 また、本施設は、肥後国熊本藩主細川家下屋敷跡を利用して造られた区の歴史を彩る戸越公園内に設置された ものであり、過去、現在、未来の区民の全ての方々にとっての新たな交流拠点としてにぎわいを創出するなど、 旧東海道等と同様に重要な役割を果たすことを期待している。 なお、次に述べる意見については、今後予定されている工事あるいはしゅん工後の維持管理において、 十分留意されたい。 (1)安全管理の徹底について 令和3年9月10日に落下に伴う事故が1件発生した。既に再発防止対策を実施しているとのことだが、 同様の事故を今後起こさぬよう、改めて安全管理を徹底されたい。 (2)ライフサイクルコスト(LCC)の算定について 本工事においては、Nearly ZEB認証を既に受けているところだが、施設全体のライフサイクルコストについては 設備等が確定するしゅん工段階で算定することになっている。 公共施設であることを踏まえ、将来の目標使用年数を設定し、構造・設備の耐久性や汎用性、更新の容易性、 省エネルギー性能、維持管理費等、総合的なライフサイクルコストを算定して、将来世代へ安心安全な資産を 引き継いでほしい。 (3)太陽光パネルの維持管理について 本施設は自然条件に恵まれている公園内にあり、落葉や鳥類等による影響を受けやすいことから、 継続的に太陽光パネルの状況を確認されたい。 また、太陽光パネルの汚れ等による発電量への影響は、太陽光パネルを設置済みの他施設の状況を参考に 維持管理計画を策定するなど、適正な維持管理に努められたい。 第5 財政援助団体等監査の実施 1 実施期間 令和3年9月28日(火)から令和4年2月28日(月)まで 2 対象期間 令和2年度。ただし、現金および財産の管理については監査実施日までとする。 3 監査対象団体等 (1)対象団体 公益財団法人 品川区スポーツ協会(以下「協会」という。) (2)対象部課 ア 文化スポーツ振興部 スポーツ推進課、オリンピック・パラリンピック準備課 イ 教育委員会事務局  学務課 4 監査の主眼点および重点事項 (1)監査の主眼点 ア 所管課における補助金、交付金、負担金、貸付金その他の財政的援助、出資および公の施設の管理に係る 委託料等(以下「補助金等」という。)の金額の積算、決定、交付および実績報告の確認、精算等が 適正に行われているか。 イ 団体における補助金等の財務事務は、法令および団体の諸規程に基づいて適切に行われているか。 ウ 団体における補助金等に係る事業が、その目的に沿って効果的、効率的に適切に行われているか。 エ 財産および現金の管理は、適正に行われているか。 (2)重点事項 ア 区内のスポーツ振興における協会の取組みについて イ 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)における協会の 実績およびそのレガシーの継承に向けた取組みについて ウ 品川区スポーツ推進計画において果たすべき協会の役割について 5 監査の実施方法 協会の概要説明、現場視察および書類調査により監査を実施した。 第6 財政援助団体等監査の結果 1 団体の目的 協会は、平成6年3月、区民の体力向上とレクリエーションの振興を目指して活躍してきた「品川区体育協会」と 「品川区レクリエーション協会」とが一体となり、区内における体育、スポーツおよびレクリエーションの 普及振興を図り、区民の心身の健全な発達と明るく豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として、 財団法人として設立された。 平成18年度からは、区立体育館(総合体育館・戸越体育館)の指定管理者となり、管理運営にあたっている。 平成24年4月より公益財団法人の認定を受け、さらなる公益事業の推進に取り組んでいる。 2 事業概要 (1)体育、スポーツおよびレクリエーションの各種教室ならびに大会の開催 (2)体育、スポーツおよびレクリエーション団体の活動に対する支援 (3)体育、スポーツおよびレクリエーションの指導者の育成、研修ならびに派遣 (4)体育、スポーツおよびレクリエーションの活動に必要な調査、研究ならびに情報の収集と提供 (5)体育、スポーツおよびレクリエーションの功労者の顕彰 (6)区等から受託する事業および区立体育館の管理運営 (7)その他協会の目的を達成するために必要な事業 3 財政援助の状況 区は協会に対して、令和2年度末現在で正味財産の82.5%にあたる300,000,000円を出資している。 また、令和2年度の助成金として69,478,928円、区立体育館の指定管理料として169,958,372円を支出している。 4 監査の結果 はじめに、監査の結果、各事業はいずれもその目的に沿って効果的、効率的に実施されていた。 区より「公益財団法人品川区スポーツ協会に対する助成に関する条例」に基づき助成金が、 「品川区立体育館指定管理者協定書および品川区立体育館の指定管理料に関する年度協定書」に基づき 指定管理料が支払われているが、これらについて協会による一連の事務処理は適切に行われていた。 また、協会における財務事務についても各種規程に基づいて行われており、公表されている決算報告書に 誤りはない。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務執行において十分に留意されたい。 新型コロナウイルス感染症の影響下において、感染防止対策や様々な工夫を講じ、区民のために事業を 実施してきたこと、および感染拡大による事業の中止や施設の利用制限に伴い、参加費や施設利用料の返還 といった多くの事務処理が発生し、その対応に尽力されたことについて、全ての協会職員に感謝の意を表したい。 しかしながら、このような状況もあり、体育館の使用中止に伴う利用料の返還に際し、利用者より 申請書兼請求書と領収書の受領がないまま返還する等、必ずしも適切とは言えない現金の取扱い事例があった。 今後も引き続き、このような危機事象に対応できるよう、区、協会、委託事業者が共通の認識のもと、 事業の執行や施設の管理運営といったあらゆる場面において、適切な事務処理に努められたい。 次に、「4 監査の主眼点および重点事項」のうち重点事項について、意見を述べる。 第1に、区内のスポーツ振興における協会の取組みについてである。 組織面においては、29の加盟団体と連携し、各種大会・教室の運営を担うとともに、事業面においては、 自主事業のほか、区との共催事業による区民スポーツ大会の実施、区立体育館の指定管理者としての管理運営、 さらに、学校プール運営業務やスポーツ指導者の育成研修といった区からの受託事業の実施等により、 これまでスポーツやレクリエーションに対する区民の多様なニーズに応えてきたことを高く評価したい。 第2に、東京2020大会における協会の実績およびそのレガシーの継承に向けた協会の取組みについてである。 協会は、区よりオリンピック・パラリンピック開催周知事業を受託するなど、主に小・中学生を対象に 競技観戦ツアーや啓発事業の実施により機運醸成を図ってきた。 総合体育館は、ハンドボール、シッティングバレーボールの公式練習会場として使用されるとともに、 コロンビア共和国ボッチャ選手団の事前キャンプが開催されたが、例えば「この競技の練習がこの場所で行われた」 というように、区民に対してより視覚的な仕掛けを工夫する等、東京2020大会を通じて得られた あらゆる有形無形の財産を活用し、区民のレガシーとして後世に渡り引き継がれるようお願いしたい。 第3に、品川区スポーツ推進計画において果たすべき協会の役割についてである。 本計画の基本目標3「区民のスポーツ活動を拡げる担い手づくり」の施策の展開として、「スポーツ支援団体等や 民間企業等との連携」が掲げられている。これまでスポーツ支援団体として、協会はその加盟団体や 品川区スポーツ推進委員、地域スポーツクラブ等と協力し、区民のスポーツ推進を図ってきたが、今後は、 町会・自治会、NPO、民間企業等とも連携し、多くの区民がスポーツに親しめる機会の拡充とその環境の 充実を図ることをお願いしたい。 また、基本目標2「気軽にスポーツを楽しめる環境づくり」の施策の展開として、「スポーツ施設の適正管理」と 「公共施設の有効活用」等が掲げられている。協会には、区立体育館の指定管理者として、 引き続き区民が安心して利用できるよう適切な維持管理を、また、総合体育館と戸越体育館が互いの特性を補完し、 これまで以上に2つの体育館が有機的な連携が図れるようお願いしたい。  令和3年度から10年と長期にわたるスポーツ推進計画が策定され、そして、東京2020大会も終了した。 区のスポーツ施策が新たな舵を切る時機に直面している今こそ、協会の果たすべき役割は大きい。 特に、仕事、家事、育児、介護等の事情や「スポーツが得意ではないから」等の理由で、運動習慣のない区民が スポーツを身近なものと感じられるような事業展開を区と連携して、推進してほしい。 さらに、本計画を着実に遂行するためにも、現在加盟している団体以外のスポーツ団体についても 引き続き加盟を働きかける等、協会の基盤をより一層強固なものにしてほしい。