写 品監発第20号 令和4年9月1日 品川区長 様 品川区議会議長 様 品川区教育委員会 様 品川区選挙管理委員会 様 品川区監査委員 様 品川区監査委員  島田 コウタロウ    森井 じゅん    渡辺 ユウイチ    こんの タカコ 令和4年度前期一般監査の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査の結果について、次のとおり報告する。 第1 監査の主眼点 地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および 第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨に則り執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 1 収入の確保が適正に行われているか。 2 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 3 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 4 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 5 財産の管理が適正に行われているか。 6 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 7 従前の指摘事項が是正されているか。 第2 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和4年4月6日(水)から同年8月26日(金)まで 2 対象期間 (1)令和3年度 (2)令和4年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)区長部局 (2)教育委員会事務局 (3)区議会事務局 (4)選挙管理委員会事務局 (5)監査委員事務局 第3 監査委員の関与 現監査委員 島田 幸太郎、森井 じゅんは、令和4年4月6日から同年8月26日までに実施した全ての監査に関与した。 前監査委員 鈴木 真澄、横山 由香理は、令和4年4月6日から同年5月26日までに実施した監査に関与した。 現監査委員 渡辺 裕一、こんの 孝子は、令和4年5月27日から同年8月26日までに実施した監査に関与した。 第4 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、新型コロナウイルス感染拡大による事業の見直し等の影響を受けつつも、各事務事業は概ね適正に行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《対象部局共通》 1 資金前渡に係る現金の管理について 品川区会計事務規則第82条に規定する資金前渡に係る現金管理について、次のとおり、対象部局のうち7課において 不適切な事例が見受けられる。 各所管課においては、現金出納簿の記帳方法をはじめとして、精算処理等を含めた全般的な前渡金の管理方法について、 平成30年6月改定「支出事務の手引」等により改めて確認し、品川区会計事務規則に基づく適正な事務処理に努められたい。 (1)資金前渡を受けたにもかかわらず、現金出納簿が備えられていない。 (2)現金出納簿における年度末に記載の受欄と払欄の累計金額が一致しない。 (3)現金出納簿に記帳漏れや記帳誤りがある。 (4)前渡金の精算残金が、直ちに指定金融機関派出所または公金収納取扱店に納付されていない。 《区長部局》 1 収入事務について (1)令和2年11月分の庁舎使用に伴う私用光熱水費6,640円について、出納整理期間中の令和3年5月に未徴収である ことに気付き、債務者に連絡したところ、納付書を紛失した旨の申出があったため、区が納付書を再発行し 同年5月31日付けで徴収を行った。その後、紛失したと申出のあった納付書によっても同日付けで二重に徴収していたことが 出納閉鎖後に判明したため、同年7月21日に過誤納金の還付が行われている。収納漏れや誤り等の定期的な点検を徹底し、 収入事務に係る適正な進行管理に努められたい。(経理課) (2)令和3年4月分から同年6月分までの戸越体育館に設置の自動販売機に係る私用光熱水費について、誤って令和2年度の 契約金額(単価)に基づき算出した金額を徴収したことから、同年10月14日に差額計3,264円の還付が行われている。年度当初や 契約内容の変更時においては、契約金額等を十分に確認する等、適正な収入事務の執行に努められたい。(スポーツ推進課) (3)令和3年度の食品衛生手数料について、同年7月29日に受け付けた営業許可申請に係る手数料の算定を誤り、 手数料5,100円のところ7,200円を徴収したため、同年8月30日に過誤納金2,100円の還付が行われている。 適正な事務執行に努められたい。(生活衛生課) 2 契約事務について (1)令和3年4月1日付け委託契約書「児童センター消火器保守点検委託」108,240円について、受託者が当該委託業務に 着手した後、消火器が仕様書に記載の数量より1本多いことが判明したため、追加分の消火器に係る増額の契約変更(1,320円)が 行われている。仕様書は正確に作成する等、適正な契約事務の執行に努められたい。(子ども育成課) (2)令和3年5月21日付け単価委託契約書「後期高齢者医療減額認定証および限度額認定証封入委託(単価)」 予定価格296,560円について、令和2年4月改訂版「契約事務の手引」によれば、「単価契約は、すべての単価が予定価格以下である ことが契約締結の条件」とされているが、契約締結時に2者から徴取した見積書を確認したところ、すべての項目における見積単価が 予定価格以下の事業者がいるにもかかわらず、総価で比較すると低いものの、一部の項目における見積単価が予定価格を上回る 事業者と契約を締結している。見積競争による契約相手の決定方法は、総価契約と単価契約とで異なることから、手引等により 改めて確認し、適正な契約事務の執行に努められたい。(国保医療年金課) (3)令和3年4月1日付け単価物件売却契約書「古着の売却」予定価格360,000円について、主管課の契約権限を超える契約で あるにもかかわらず、事業主管課において契約締結が行われており、また、1者からの見積書の徴取により、当該事業者でしか 履行できない理由を付さずに随意契約を結んでいる。品川区契約事務規則に則り、売却契約に係る適正な契約事務の執行に 努められたい。(品川区清掃事務所) 3 支出事務について (1)対価の支払時期は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律第6条第1項において、検査を終了した後適法な支払請求を 受けた日から30日以内の日と規定されており、会計管理室では、請求の遅れに伴う支払遅延を防止する観点から、検査日から 60日以内に着金できるかの確認を行っている。次に掲げる支払については、検査検収から適法な請求を受けて支払うまでに相当の 期間を要しており、同法の主旨を踏まえ、検査終了後は直ちに請求書の提出を促す等、速やかな支払を徹底されたい。 ア 令和3年4月1日付け委託契約書「大井第二地域センター外電話交換機設備保守点検委託」に係る 同年9月分委託料92,400円の支払 (検査検収日 令和3年10月1日、支払請求日 令和4年1月11日、支払希望日 同年1月20日) イ 令和3年4月1日付け委託契約書「個人番号カード交付関連業務委託」に係る同年6月分委託料6,196,300円の支払 (検査検収日 令和3年7月1日、支払請求日 同年12月13日、支払希望日 同年12月16日) ウ 令和3年4月1日付け単価委託契約書「なぎさ会館クリーニング委託(単価)」に係る同年8月分委託料130,416円の支払 (検査検収日 令和3年9月1日、支払請求日 令和4年1月25日、支払希望日 同年2月8日) エ 令和3年4月1日付け単価工事請負契約書「安全施設整備・修繕工事(小規模)(単価)」に係る 第2-6号工事費1,603,964円の支払 (検査検収日 令和3年6月28日、支払請求日 同年9月29日、支払希望日 同年10月13日) (ア地域活動課、イ、ウ戸籍住民課、エ道路課) (2)報酬・料金等に対する源泉徴収について、次の支払においては、不適切な事務処理が行われている。 「支出事務の手引」や国税庁が発行する「源泉徴収のあらまし」等により源泉徴収の要否、税率等を 正確に判断し、適正な源泉徴収事務の執行に努められたい。 ア 品川シルバー大学うるおい塾に係る講師等謝礼について、春期および秋期ごとに該当月分をまとめて支払う際、 源泉徴収税額表の月額表を用いて源泉徴収が行われているが、一月ごとに税額を算出すべきところ、合計金額に 源泉徴収税率を適用し税額を算出している。 イ 令和3年11月22日に実施した精神保健講演会に係る会場使用料36,600円の支払について、源泉徴収の対象となる所得等には 該当しないが、誤って源泉徴収を行ったため、後日不足分3,981円が追加で支払われている。(ア文化観光課、イ荏原保健センター) (3)令和3年10月29日付けで申請のあった品川区産後家事育児支援訪問費助成金について、助成対象費用の一部を既に助成済み であると誤認し、当該費用を除いて助成金額を算定し交付を行ったため、後日申請者より指摘を受け、同年11月30日に追加で 助成金1,000円が支払われている。助成金額の算定にあたっては十分な確認を行い、適正な助成事務の執行に努められたい。 (子ども家庭支援センター) (4)障害者福祉手当の支給事務について、システム処理を怠ったことにより、次のとおり過払による返還請求が行われている。 支給対象者の状況を適切に把握するとともに、システム改修や執行体制の整備を行う等、同様の誤りを未然に防ぐ取組みを 講じられたい。 ア 対象者が令和3年1月11日付けで転出したことに伴い、受給資格が消滅していたにもかかわらず、同年3月分までの 同手当を支給したため、過払分31,000円の返還請求が同年5月7日に行われている。 イ 対象者への難病医療費助成に係る有効期限が未更新のまま手当の支給を続け、その後の更新申請の却下により遡って 受給資格が消滅したことに伴い、平成30年8月分から令和2年7月分までの過払分372,000円の返還請求が令和3年6月7日に 行われている。(障害者支援課) (5)介護保険主治医意見書に係る令和3年12月分作成料3,300円について、支払に係る区分の適用を誤り、同月27日に 4,400円を支払ったことから、後日債権者より指摘を受け、令和4年1月18日に過払分1,100円の戻入処理が行われている。 適正な支出事務の執行に努められたい。(高齢者福祉課) (6)品川保健センター事業実施に伴う非常勤報酬等に係る令和4年2月分報償費について、誤って本来支払うべき債権者とは 別の者に支払を行ったことから、同年3月22日に誤払分23,265円の戻入および正しい債権者への支出処理が行われている。 支払時における債権者の確認を徹底し、適正な支出事務の執行に努められたい。(品川保健センター) 4 事務の執行方法について 手話通訳用ルーター(電気通信サービス契約および法人モバイル端末レンタルサービス)に係る令和3年4月分利用料5,280円に ついて、令和元年度から継続する利用期間の終期を誤認したため、令和3年度における同利用料に係る予算措置を講じないまま 支払が行われている。契約内容は正確に把握し、必要な予算措置を講じる等、適正な事務執行に努められたい。(情報推進課) 《教育委員会事務局》 1支出事務について (1)令和3年4月1日付け単価委託契約書「適応指導教室給食配食委託(単価)」に係る6月分委託料364,980円の支払について、 請求書記載の金額(369,600円)が誤っているにもかかわらず、同年8月23日にそのまま支払ったことから、同年9月17日に 過払分4,620円の戻入処理が行われている。単価契約に基づく支払にあたっては、請求金額とともに単価金額の確認も徹底されたい。 (教育総合支援センター) (2)令和3年10月8日付け請書「秋の子ども読書の日フェアわらべうた講座委託」に係る委託料40,000円の支払について、 債権者が源泉徴収の対象であったにもかかわらず、源泉徴収が行われていない。委託料等の名目で支払われていても、 その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象となる。源泉徴収の要否等を正確に判断し、適正な源泉徴収事務の執行 に努められたい。(品川図書館) 2 事務の執行方法について 令和3年4月1日付け賃貸借契約書「機械可読目録(MARC)賃貸借」について、デジタルサイネージの入替に伴い、同年10月1日から 機械可読目録の二次利用を中止したにもかかわらず、契約変更に係る事務処理を失念したため、当初の契約金額のまま同月分賃借料の 支払を行った。その後、契約変更に伴い、同年11月分賃借料の支払において、過払分として精算が行われている。事業内容を変更する際 には、その影響を精査し、必要な契約手続を速やかに行う等、適正な事務執行に努められたい。(品川図書館) 《区議会事務局》 指摘すべき事項は認められない。 《選挙管理委員会事務局》 指摘すべき事項は認められない。   《監査委員事務局》 指摘すべき事項は認められない。 第5 意見 最後に、「第1 監査の主眼点」における「7 従前の指摘事項が是正されているか」の観点から意見を述べる。 昨年度に実施した定期監査(所管別監査)では、対象部局に共通する不適切事例として「主管課契約に係る契約事務」や 「指定消耗品の管理」についての指摘を行ったが、今回の監査においては、これらの指摘事項と同様の事例は大幅に改善した ものと認識している。これは、各所管課における事務改善や会計管理室をはじめとした各統括部署による指導等の全庁的な 取組みの成果であるとともに、ひとえに職員一人ひとりの努力の賜物であり、感謝申し上げるところである。 ベテラン職員が退職し、若手職員や会計年度任用職員が財務会計事務の担い手となる職場が増加するなか、今後も財務会計に 係る事務水準を高く維持し、区政全体の事務執行が適正に行われるよう、管理職を中心に組織として計画的な職員育成に努める とともに、統括部署をはじめ各所管課において、実践的な研修の実施や各種改正に伴うマニュアルの整備等を確実に取り組まれたい。