写 品監発第32号 令和5年3月23日 品川区長 様 品川区議会議長 様 品川区教育委員会 様 品川区選挙管理委員会 様 品川区監査委員 様 品川区監査委員 島田 コウタロウ 森井 じゅん 渡辺 ユウイチ こんの タカコ 令和4年度後期一般監査の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査の結果について、 次のとおり報告する。 第1 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和4年9月 22 日(木)から令和5年2月 20 日(月)まで 2 対象期間 (1)令和3年度 (2)令和4年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1)地域振興部地域活動課 地域センター4カ所 (大崎第一、大井第一、大井第二、大井第三) (2)文化スポーツ振興部文化観光課 文化センター1カ所 (五反田) (3)子ども未来部子ども育成課 児童センター4カ所 (中原、三ツ木、平塚、東中延) すまいるスクール 10 カ所 (鮫浜、立会、台場、第二延山、旗台、 上神明、清水台、小山台、日野学園、八潮学園) (4)子ども未来部保育課 幼保一体施設1カ所 (第一日野すこやか園(第一日野幼稚園、 西五反田第二保育園)) 幼稚園1カ所 (城南) (5)教育委員会事務局 小学校8校 (鮫浜、立会、台場、第二延山、旗台、 上神明、清水台、小山台) 中学校3校 (浜川、冨士見台、戸越台) 義務教育学校2校 (日野学園、八潮学園) 4 監査の主眼点 (1)地方自治法第 199 条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第 14 項 (最少の経費で最大の効果)および第 15 項(組織及び運営の合理化)の趣旨に則り 執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 ア 収入の確保が適正に行われているか。 イ 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 ウ 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 エ 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 オ 財産の管理が適正に行われているか。 カ 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 キ 従前の指摘事項が是正されているか。 (2)特に以下の3点に重点を置いて監査を行った。 ア 地域センターにおいては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」 (平成 20年1月 28 日付け会計管理者決定)に基づき、また、過去の指摘事項等を 踏まえ「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」(平成 20 年4月1日付け 区民生活事業部長決定)を改正し、預金や現金等の適切な管理を期しているが、 同要領に則り現金および各種委託料や補助金等の管理が適切に行われているかを 確認する。 イ 文化センター、児童センター、すまいるスクール、幼保一体施設および幼稚 園においては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」に則り収納金等が適切 に管理されているか、また、所管課ごとに作成されている私費等に係る管理手 引書に則り現金が適切に管理されているかを確認する。 ウ 小学校、中学校および義務教育学校においては、教育委員会事務局により 事務管理指導(いわゆる自主検査)を実施しているが、当該指導が適切に 行われているかを確認する。 第2 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、新型コロナウイルス感染拡大による事業の見直し等の影響を受けつつ も、各事務事業は概ね適正に行われていた。なお、次に述べる指摘事項については、 今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《地域振興部地域活動課》 1 契約事務について 地域ニュース「大井第一マイ・タウン21」8月号の印刷において、令和3年 4月1日付け単価印刷請負契約書「地域ニュース印刷(単価)」により納品された 地域ニュース(12,450 部)に誤植があったため、同年7月 23 日付け請書 「地域ニュース「大井第一マイ・タウン21」(再発行分)」41,055 円により 追加発注(10,500部)が行われている。履行前に原稿を十分に確認する等、 適切な事務処理に努められたい。 (大井第一地域センター) 2 地域事務について 「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」によれば、「現金での保管は 最小限の金額および期間」とされているが、令和3年度の地域事務において、 令和3年 10 月 12 日に口座から出金した会議物品購入費(1,045 円)について、 出金重複のため、同年 12 月 10 日に戻入(入金)が行われており、約2か月もの間、 必要のない現金が保管されている。金銭の出納は正確に行うとともに、同要領に 則り、適正な現金管理に努められたい。 (大崎第一地域センター) 《文化スポーツ振興部文化観光課》 1 契約事務について 令和4年3月7日付け請書「コンパクト形蛍光灯」88,220 円および同月8日付 け請書「懐中電灯」17,820 円の物品購買契約について、同種の物品であるにも かかわらず、近接した時期に、同一事業者と分割して契約が締結されている。 計画的に一括契約を行い、事務の効率化と一層の経費削減に努められたい。 (五反田文化センター) 《子ども未来部子ども育成課》 1 支出事務について 講師謝礼について、平成 29 年4月1日制定「児童センター基本運営マニュアル」 によれば、事業実施後、速やかに実績報告書および講師の押印がある出席兼謝礼 金確認書のコピーを子ども育成課に提出し、同課において支払処理を行うことと されているが、令和4年9月 13 日実施「赤ちゃんとのふれあい事業」においては、 講師の押印漏れにより同確認書の提出がなかったにもかかわらず、支払が行われ ている。支払に係る根拠資料の確認は十分に行う等、同マニュアルに則り、 適正な支出事務に努められたい。 (子ども育成課、平塚児童センター) 《子ども未来部保育課》 1 契約事務について 令和4年2月 16 日付け請書「パズル他」86,350 円および同日付け請書 「ブロック他」46,903 円の物品購買契約について、同種の物品であるにも かかわらず、同日に分割して契約が締結されている。計画的に一括契約を 行い、事務の効率化と一層の経費削減に努められたい。 (第一日野幼稚園) 2 指定消耗品の管理について 令和3年度の郵券に係る消耗品受払簿について、翌年度繰越に係る園長の決裁 (押印)がなされていない。品川区物品管理規則第 25 条の規定に則り、 指定消耗品の適正な管理を徹底されたい。 (第一日野幼稚園) 《教育委員会事務局》 1 契約事務について (1)令和3年6月 25 日付け請書「増圧給水ポンプユニット修理」385,000 円 について、修繕の請負に関する契約であるにもかかわらず、誤って予算科目を 工事請負費とし、契約権限を超えて主管課にて契約締結を行っている。 令和2年4月改訂版「契約事務の手引」等を改めて確認し、適正な契約事務の 執行に努められたい。 (第二延山小学校) (2)物品購買契約に係る契約事務について、従前の指摘事項である分割契約の 事例に加え、予算科目を一般需用費と備品購入費に分け、同種の物品を 同日に同一事業者と分割して契約を締結した事例も見受けられた。 各学校においては、科目併合により契約を締結する等、計画的に一括契約を行い、 事務の効率化と一層の経費削減に努められたい。また、学務課においては、 学校予算の令達時に改めて事務執行に係る注意喚起を行う等、適正な契約事務の 執行に向けた組織的な取組みを講じられたい。 (第二延山小学校、浜川中学校、日野学園、八潮学園、学務課) 2 指定消耗品の管理について 消耗品受払簿について、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。定期的 な点検を徹底し、適正な事務執行および指定消耗品の管理に努められたい。 ア 令和3年度の品川区内共通商品券に係る消耗品受払簿について、同年度末 に記載の「受」欄と「払」欄における枚数が一致しない。 イ 令和3年度のしながわドリームジョブ用品川区内共通商品券に係る消耗品 受払簿について、受払時におけるその都度の決裁がなされてない。 ウ 令和3年度および4年度の郵券に係る消耗品受払簿について、使用時に おける受払担当者および使用者の確認漏れに加え、訂正印の押印漏れや 記帳誤りが散見される。 エ 令和3年度の校区教育協働委員会用郵券に係る消耗品受払簿について、 同年度末累計欄への記載がなされていない。 (ア鮫浜小学校、イ清水台小学校、ウ八潮学園、エ上神明小学校) 3 教材費について (1)令和3年度の教材費に係る決算報告について、「私費会計事務処理ガイド」 によれば、監査役による会計監査終了後、保護者全員に決算報告書を通知する こととされているが、対象部局のうち半数程度の学校において、会計監査が 行われる前に、保護者への通知が行われている。改めて、決算報告および 監査を含む適正な会計処理について、周知徹底されたい。 (学務課) (2)令和3年度および4年度の教材費に係る金銭出納簿について、「私費会計 事務処理ガイド」によれば、その月の収支が確定した後に、出納簿の翌月への 繰越金と通帳残高が一致していることを管理職(校長・副校長)が確認すること とされているが、年度を通して、その月の収支が確定する前に、管理職による 確認(押印)が行われている。同ガイドにより金銭出納簿の取扱いについて 改めて確認するとともに、管理職を含めた組織全体で現金管理を行う等、 適正な事務執行に努められたい。 (第二延山小学校) (3)令和3年度における教材購入に係る支払について、「私費会計事務処理ガイド」 によれば、1学期に購入した教材等は1学期中に支払うのが原則とされているが、 「角材(3種)」11,000 円の購入において、令和3年6月 14 日付けで請求書 を受領していたにもかかわらず、同年9月 29 日まで支払が行われていない。 速やかな支払を徹底されたい。 (旗台小学校) 4 理科室の管理について 理科室で使用する薬品類については、平成 30 年1月4日付け教育総合支援セン ター長通知「理科室で使用する薬品の管理の徹底について」により、適正な管理 を図っているものの、次のとおり、従前の指摘事項と同様の不適切な管理事例が、 未だ数多く見受けられる。各学校に対し、全ての薬品類に係る適正管理の指導を 徹底するとともに、学校の管理実態を把握した上で、効率的な薬品管理の方法を 検討されたい。 ア 管理手引書が作成されていない。 イ 一部の薬品瓶について、接触または転倒防止措置がなされていない。 ウ 薬品管理一覧表または薬品管理簿に記載誤りや記載漏れがある。 エ 一部の薬品について、製品安全データシート(MSDS)が備え付けられてい ない。 (教育総合支援センター) 5 給与事務および服務の管理について (1)令和3年度の教育職員に係る特殊勤務手当について、次のとおり勤務日より 6月以上経過した後に支給されている。支給漏れのないよう徹底されたい。 ア 令和3年5月分同手当(18,000 円)1名分の支給が、同年 11 月まで行われ ていない。 イ 令和3年4月分同手当(3,000 円)1名分、同年5月分同手当(24,000 円) 1名分および同年6月分同手当(12,000 円)1名分の支給が、同年 12 月まで 行われていない。 (浜川中学校) (2)令和3年度の東京都が任用した会計年度任用職員(時間講師)に係る勤務時 間の振替について、東京都が定めた様式(振替命令簿)による管理が行われて いない。振替前における同様式による事務処理を徹底し、適正な服務管理に努 められたい。 (清水台小学校) 第3 工事監査の実施 1 実施期間 令和4年9月 22 日(木)から令和5年2月 20 日(月)まで 2 対象工事 しながわ区民公園北側ゾーン改修工事(第一期) 3 監査の主眼点 (1)契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 (2)施工が契約内容に則して日程どおりに行われているか。 (3)契約および仕様書が規程に則して作成されているか。 (4)仕様が設置目的に適合し、かつ経済合理的なものとなっているか。 (5)設計および施工は適切に行われているか。 (6)検査は厳正に行われているか。 4 監査の実施方法 書類審査と現場調査を実施し、専門技術的事項について、一般社団法人東京技術士会 に調査を依頼した。 第4 工事監査の結果 1 監査対象の概要 計画場所:品川区勝島三丁目2番2号 現場確認日:令和5年 1 月 30 日(月) 経緯: しながわ区民公園は昭和 58 年4月に一部開園(全面開園は 昭和 62年4月)した、勝島運河を埋め立てて造成された区立公園としては最大規模の 総合公園である。本公園は施設の老朽化やバリアフリー化未対応が課題となっており、 昭和 58 年から 30 年程度を経た平成 27 年から、 屋外プール、中央ゾーン、南側ゾーンと順次再整備を行ってきた。 今回の改修工事では、桜の広場の更新を行うほか、マンホールトイレ、 災害時に活用する主要園路等の整備により防災機能を確保する。 工事概要:改修面積 25,480u(今回対象:北側ゾーン第一期) (全体 127,419.09u、うち北側ゾーン42,730u) 基盤整備 構造物撤去工 1式、敷地造成工 1式 植栽 植栽工 1式、移植・伐採工 1式、樹木整止工 1式 施設整備工 給水設備工 1式、雨水排水設備工 1式、汚水排水設備工 1式、 電気設備工 1式、園路広場整備工 1式、修景施設整備工 1式、 遊戯施設整備工 1式、サービス施設整備工 1式、 管理施設整備工 1式、機械施設整備工 1式、仮設工 1式 外 工事経費:別表のとおり <別表> 種別:委託 しながわ区民公園北側ゾーン改修検討委託 契約金額 8,525,000円(税込み) 履行期間 R1.6.12〜R2.3.19 しながわ区民公園北側ゾーン改修基本・実施設計委託 契約金額 15,290,000円(税込み) 履行期間 R2.6. 9〜R3.3.19 しながわ区民公園北側ゾーン改修補足設計委託 契約金額 2,057,000円(税込み) 履行期間 R3.4.16〜R3.7.16 しながわ区民公園北側ゾーン改修工事資材価格調査委託 契約金額 1,067,000円(税込み) 履行期間 R3.6.14〜R3.7.12 しながわ区民公園北側ゾーン改修工事(第一期)監理業務委託 契約金額 17,622,000円(税込み) 履行期間 R3.10.21〜R5.2.28 種別:工事 しながわ区民公園北側ゾーン改修工事(第一期) 契約金額 979,000,000円(税込み) 履行期間 R3.10.21〜R5.2.28 合 計 1,023,561,000円(税込み) 2 監査の結果 計画、設計、積算、契約、施工等はいずれも適切な内容となっている。 はじめに、既存公園の課題に対応した改善点である。本公園は昭和 58 年の一部開園 から 35 年以上が経過し、園路の凹凸などバリアフリー化がなされていなかった。 このことからアスファルト舗装を施すとともに、勾配も現在の基準に合致する傾斜に 改修し、車いすやベビーカー利用者が円滑に通行できるよう十分配慮されたものと なっている。従前は北東部に鬱そうとした暗がりの森があり、明るくしてほしいとの 声も多かったため、シンボルツリーであるクスノキや樹形のよい木など一部の樹木以外 は剪定する一方、バラエティ豊かな品種の桜を新たに植え、明るく見通しのよい公園と なるよう修景している。また、元々あった景石やモニュメントは廃棄せず桜の広場や 園路脇に新たな景色を生み出すよう再利用するなど、経済的かつ合理的な工夫もみられる。 公園トイレについては洋式化をするとともに、大型ベッドを備えたバリアフリートイレを 設置するなど皆が利用しやすいよう整備を行っている。 次に、北側ゾーン最大の改善点である防災機能の強化についてである。緊急用車両 の通行を可能とするため、幅員6mの道路を敷地東側に備えた。また、太陽光エネルギー により点灯するソーラー照明を広場に配置した。加えて、マンホールトイレおよび 給水用井戸を設置するに当たり、緊急時に電気が通じないことも想定して手動式に 切り換え可能なポンプを備えたことは慎重な検討の結果であると見てとれる。震災時 の広域避難場所として必要な機能の充実が図られており、本工事は災害に強い まちづくりに資する公園整備の代表的な事例となるであろう。 さらに、設計にあたっては近隣住民や公園利用者を対象としたアンケートやスポーツ団体から のヒヤリングの実施など、様々な手法によりニーズを拾い上げ、可能な限り多くの希望を 反映させている点も高く評価できる。 今後も、当初整備から 30 年を経過した公園を対象に年間9件程度の公園改修が進め られるということである。改修にあたっては、引き続き公園利用者等の意見や要望を 丁寧に聞き取った上で全区的な行政ニーズにも応え、創意工夫に富んだ個性豊かな 公園づくりを推進されたい。 なお、次に述べる意見については、今後予定されている工事において、十分留意 されたい。 (1)現場掲示物について 現場での掲示物の中でも特に重要な「緊急時の連絡体制」が小さく判別しに くいものであった。 事故発生時などいざという時には1分1秒を争うケースがあるところ、当該 掲示物は必ずしも担当者のみが使用するものではなく、一般作業者も熟知しておく 必要がある。したがって、一目でわかる「緊急連絡先ポスター」を掲示するよう 受注者に指導されたい。