写 品監発第31号 令和6年3月25日 品川区長 様 品川区議会議長 様 品川区教育委員会 様 品川区選挙管理委員会 様 品川区監査委員 様 品川区監査委員 コウチ ユタカ モリイ ジュン タカハシ ノブアキ オオクラ タカヒロ 令和5年度後期一般監査の結果について(報告) 地方自治法および品川区監査基準の規定に基づき実施した一般監査の結果について、次のとおり報告する。 第1 定期監査(所管別監査)の実施 1 実施期間 令和5年9月 29 日(金)から令和6年2月 19 日(月)まで 2 対象期間 (1) 令和4年度 (2) 令和5年度(監査実施日まで) 3 対象部局 (1) 地域振興部地域活動課 地域センター4カ所 (荏原第一、荏原第二、荏原第五、八潮) (2) 文化スポーツ振興部文化観光課 文化センター1カ所 (荏原) (3) 子ども未来部子ども育成課 児童センター3カ所 (水神、滝王子、八潮) すまいるスクール 9カ所 (三木、御殿山、第一日野、芳水、山中、後地、戸越、伊藤学園、品川学園) (4) 子ども未来部保育課 幼保一体施設1カ所 (御殿山すこやか園(御殿山幼稚園、五反田第二保育園)) 幼稚園1カ所 (伊藤) (5) 教育委員会事務局 小学校7校 (三木、御殿山、第一日野、芳水、山中、後地、戸越) 中学校2校 (東海、荏原第六) 義務教育学校2校 (伊藤学園、品川学園) 4 監査の主眼点 (1) 地方自治法第199条第3項の規定に基づき、各事務事業が同法第2条第14項(最少の経費で最大の効果)および第15項(組織及び運営の合理化)の趣旨にのっとり 執行されているかどうかに特に意を用い、以下の観点を主眼として監査を行った。 ア 収入の確保が適正に行われているか。 イ 予算が適正かつ効果的に執行されているか。 ウ 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 エ 事務事業の執行および管理運営が計画的かつ合理的に行われているか。 オ 財産の管理が適正に行われているか。 カ 私費を含む現金の管理が適正に行われているか。 キ 従前の指摘事項が是正されているか。 (2) 特に以下の3点に重点を置いて監査を行った。 ア 地域センターにおいては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」(平成20年1月28日付け会計管理者決定)に基づき、また、過去の指摘事項等を踏まえ 「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」(平成20年4月1日付け区民生活事業部長決定)を改正し、預金や現金等の適切な管理を期しているが、 同要領にのっとり現金および各種委託料や補助金等の管理が適切に行われているかを確認する。 イ 文化センター、児童センター、すまいるスクール、幼保一体施設および幼稚園においては、「品川区公金等の管理に関する取扱基準」にのっとり 収納金等が適切に管理されているか、また、所管課ごとに作成されている私費等に係る管理手引書にのっとり現金が適切に管理されているかを確認する。  ウ 小学校、中学校および義務教育学校においては、教育委員会事務局により事務管理指導(いわゆる自主検査)を実施しているが、 当該指導が適切に行われているかを確認する。 第2 定期監査(所管別監査)の結果 監査の結果、各事務事業は概ね適正に行われていた。なお、次に述べる指摘事項については今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 《地域振興部地域活動課》 1 事務の執行方法について 窓口における行政証明書発行事務について、発行した職員と同一の職員により発行後の点検が行われている事例が見受けられる。 証明書の誤発行防止の観点から、事務処理手順の見直し、マニュアル整備等の手段を講じることにより適正な窓口事務の執行に努められたい。 (荏原第二地域センター) 2 現金管理について 令和4年度および令和5年度における区民集会所使用料の還付に係る現金出納簿について、区が指定する様式を使用していない。 当該使用料は公費であることから、現金出納簿の記帳を適切に行うよう徹底されたい。 (八潮地域センター) 3 地域事務について (1) 「地域センター地域事務預金現金等取扱い要領」によれば、「現金での保管は最小限の金額および期間」とされているが、 令和5年度の地域事務に係る会計処理について、監査日時点で次年度への繰越金の半額以上を占める474,198円の現金が保管されている。 同要領にのっとり適正な現金管理に努められたい。 (八潮地域センター) (2) 地域事務に係る金券類について、次のとおり受払事由が発生しているにもかかわらず消耗品受払簿が作成されていない。 改めて適正な事務執行および指定消耗品の管理について周知徹底されたい。 ア 令和5年5月27日 商品券60,000円分購入 イ 令和5年7月12日 図書カード7,000円分購入ほか5件 (ア 荏原第五地域センター イ 八潮地域センター) 《文化スポーツ振興部文化観光課》 1 事務の執行方法について 令和4年度荏原水泳教室第1回チャレンジコースについて、温水プールのポンプ故障により休講期間が発生したことに伴い、1名当たり参加費計120円の還付の必要が生じた。 その後、還付対象である25名のうち5名が還付辞退の意思表示を口頭にて行ったとして、還付が行われていない。 還付金は公金であることから還付辞退の意思表示を受ける際は書面により確認するなど、適正な事務執行に努められたい。 (荏原文化センター) 《子ども未来部子ども育成課》 1 支出事務について 児童センター事業に係る「ボランティア出席兼謝礼金確認書」について、監査日時点(11月24日)において11月27日の指導日に係る出席印および謝礼金額確認印が既に押印されている。 事業終了後の押印確認を徹底し、適正な支出事務の執行に努められたい。 (滝王子児童センター) 2 私費会計について 令和4年8月5日実施分「E−ボートに乗ろう まち発見わくわく体験」の会計報告書は所定の様式を使用しておらず、館長の記名押印がなされていない。 平成25年3月26日付け文書「児童センターにおける私費会計処理について」を改めて確認し、適切な事務処理に努められたい。 (水神児童センター) 《子ども未来部保育課》 1 指定消耗品の管理について 令和4年度および令和5年度の郵券に係る消耗品受払簿について、保育課からの郵券受入時において、園長までの決裁(押印)がなされていない。 品川区物品管理規則第25条の規定にのっとり指定消耗品の適正な管理を徹底されたい。 (伊藤幼稚園) 《教育委員会事務局》 1 契約事務について (1)主管課で締結した契約書の作成に当たり、次のとおり仕様書の記載事項に不備のある事例が見受けられる。 仕様書の作成に際しては、現状を適切に把握した上で仕様内容や条件を正確に記載するよう徹底されたい。 ア 令和5年8月21日付け請書「給食室エアコン改修工事」401,500円について、契約上の記載事項である契約代金の支払の時期および方法が仕様書に明記されていない。 イ 令和5年3月21日付け請書「カーテンクリーニング」49,100円について、仕様書に誤りがあったため、仕様書および請求書間で履行の対象とする普通教室の数に相違がある。 (ア 東海中学校 イ 後地小学校) (2) 主管課で契約した令和5年3月30日付け請書「フラットファイル」ほか4件については、令和4年度予算により執行する契約であるにもかかわらず、 納期が年度を越えた令和5年4月6日に設定され、実際の納入日および検査日も同日付けとなっている。 会計年度独立の原則について改めて確認し、計画的な進行管理により適正な契約事務の執行に努められたい。 (品川学園) 2 備品の管理について 令和5年7月3日付け修繕請書「1階サイネージ用モニター交換」により設置した液晶モニター(154,000円)について備品としての登録を行っていない。 新公会計におけるストック情報の正確な把握および区の適正な資産管理を行うため、備品は適切に管理されたい。 (芳水小学校) 3 教材費および行事費について (1) 令和4年度の教材費および行事費に係る決算報告および監査について、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。 私費会計の決算報告および監査の執行に当たっては、保護者からの信頼を損なうことのないよう確認を徹底し、正確を期されたい。 ア 第6学年の行事費について、保護者配布用の決算報告書の支出金額に誤りがある。 イ 「私費会計事務処理ガイド」によれば保護者による監査は5月15日までに行うとされているところ、 第3学年の教材費および第6学年の行事費については当該期限を越えた5月16日に監査が行われている。 (伊藤学園) (2) 令和5年度の教材費に係る会計処理について、「私費会計事務処理ガイド」によれば、月の収支確定後できる限り速やかに管理職(校長・副校長)が 金銭出納簿の翌月への繰越金と通帳残高が一致していることを確認した上で、記名および確認印の押印をすることとされているが、次のとおり当該確認がなされるまで相当の期間を要している。 同ガイドにのっとり適正な事務執行に努められたい。 ア 第3学年教材費(令和5年7月分) 確認日:同年9月22日 イ 第5学年教材費(令和5年7月分) 確認日:同年11月15日          (三木小学校) 4 給与事務について (1) 教育職員に係る住居手当および通勤手当について、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。 教職員との連絡を定期的に行い、多額の返納または追加支給が行われることのないよう適切な事務処理に努められたい。 ア 令和2年6月の転居に伴い、住居手当については支給を停止し、通勤手当については支給額の変更の処理を行うべきところ、 事務処理を失念しそのまま支給を続けたため、住居手当計360,000円の返納および通勤手当計71,040円の追加支給が令和4年7月に行われている。       イ 令和3年4月の転居に伴い、住居手当の支給を停止すべきところ、事務処理を失念しそのまま支給を続けたため、 同月から令和4年10月までの19か月分計285,000円の返納が同年11月に行われている。 (ア 芳水小学校 イ 品川学園) (2)令和4年度の教育職員に係る特殊勤務手当について、勤務日から5か月以上経過した後に支給されている。 当該手当の趣旨に鑑み、速やかに支給が行われるよう徹底されたい。 (後地小学校、荏原第六中学校、品川学園) 5 服務の管理について (1) 会計年度任用職員(時間講師)に係る勤務時間の振替等命令簿について、次のとおり不適切な処理事例が見受けられる。 振替前における同様式による事務処理を徹底し、適正な服務管理に努められたい。 ア 令和4年度後期課程6名および令和5年度後期課程3名の振替等命令簿の記載があらかじめ印字されたものとなっており、 複数の命令に渡り決裁(押印)がまとめて行われている。 イ 振替前の事前命令が徹底されていない。 (ア 伊藤学園 イ 芳水小学校、荏原第六中学校) (2) 会計年度任用職員(時間講師)の休日(祝日)に係る勤怠処理について、勤務時間の振替命令がなされておらず、当該休日に当たる日に年次有給休暇を取得したとして処理されている。 都立学校等に勤務する時間講師に関する規則(昭和49年東京都教育長規則第24号)第17条第3項によれば、勤務時間が割り振られている日が休日に当たるときは、 あらかじめ勤務時間の振替えをすることとされており、振替先の日において年次有給休暇を取得すべき事例であった。 時間講師の休日に係る勤怠処理に当たっては、同規則にのっとり振替えが可能な日程がある場合は事前命令による振替えを適切に実施されたい。  (三木小学校) 6 意見 監査の主眼点に係る重点事項の一つである「小学校、中学校および義務教育学校においては、教育委員会事務局により事務管理指導(いわゆる自主検査)を実施しているが、 当該指導が適切に行われているか」の観点から意見を述べる。 昨年度実施した定期監査(所管別監査)においては、教育委員会事務局に対し、修繕契約と工事契約の適切な区分、科目併合による契約締結など適正な契約事務の執行に向けて指摘を行った。 同事務局が指摘を受け積極的に各学校に指導を行った結果、今回の監査においては当該指導以降に締結された契約に同様の誤りは見受けられず、改善されていることが確認できた。 一方、教育職員および時間講師に係る給与事務・服務管理については、特殊勤務手当の支給遅れ、多額の住居手当の返納など、従前より指摘を繰り返しているにもかかわらず、 同様の誤りが散見された。当該指摘への対応として、学校における事務を担う会計年度任用職員をはじめとする職員に対し率先して教育委員会事務局が指導を行うなど、 給与事務、服務管理等に係る事務水準の向上に向けたフォローアップ体制について更なる充実・強化を図られたい。 第3 随時監査の実施(フォローアップ監査) 1 実施期間 令和5年9月29日(金)から令和6年2月19日(月)まで 2 対象期間 令和4年度後期定期監査(所管別監査)に係る書面監査実施日以降の事務事業および財産管理等 3 対象部局および対象事務 (1) 文化スポーツ振興部文化観光課 五反田文化センター ア 主管課契約に係る契約事務について (2) 教育委員会事務局 第二延山小学校 ア 主管課契約に係る契約事務について イ 教材費に係る現金等の管理について ウ 理科室(薬品)の管理について 4 監査の主眼点 令和4年度後期定期監査(所管別監査)における指摘事項のうち次に掲げる事例について、その指摘を踏まえた是正措置が講じられているか。 ア 常態となっている事例 イ 改善の緊急性および重要性が高い事例 第4 随時監査の結果(フォローアップ監査) 所管課における是正措置の実施により、指摘事項に係る事務処理が適正化された一方で、関連する事務において、次のとおり不適切な処理事例が見受けられた。 各所管課においては、監査による指摘を契機とし、指摘事項とともに関連事務の処理手順を改めて確認するなど、一体的な見直しによる事務改善を図られたい。 《文化スポーツ振興部文化観光課》 指摘すべき事項は認められない。 (五反田文化センター) 《教育委員会事務局》 1 契約事務について 主管課で契約した令和5年2月20日付け請書「卒業証書筆耕委託」52,430円および同年3月10日付け請書「卒業証書筆耕委託追加分」490円について、 事業者から見積書を徴取する際に提示する仕様書に、予定価格の内訳金額が記載されている。 仕様書とは、目的、時期、方法等を具体的かつ明確に示すものであり、内訳金額までも指定することは、事業者の創意工夫による裁量を制限し、 ひいては経済性や効率性を妨げることになりかねない。適正な契約事務の執行に努められたい。 (第二延山小学校) 第5 随時監査の実施(公金等の管理に係る監査) 1 実施期間 令和5年10月23日(月)から令和6年2月19日(月)まで 2 対象期間 令和5年度(書面監査実施日まで) 3 対象部局および対象事務 (1) 子ども未来部子ども育成課 ア 児童センターに係る財務会計処理について (2) 水神児童センター、滝王子児童センター、八潮児童センター ア 公金等の管理について 4 監査の主眼点 公金等の管理が適正に行われているか。 第6 随時監査の結果(公金等の管理に係る監査) 1 監査の結果 八潮児童センターにおいてボランティア報償費に係る前渡金を亡失する事例が発生したことに伴い、所管課である子ども育成課が中心となり、 会計管理室をはじめとした関連部署と連携し、児童センターにおける現金の管理方法や報償費の支払方法を変更するなど、再発防止に向けた取組みが行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 (1) ボランティア報償費に係る前渡金の亡失により、支払のための現金が不足したため、別途保管していた悠々ボランティア報償費に係る前渡金の残額を用いて当該不足分に充当した。 これにより、悠々ボランティア報償費の資金前渡に係る精算命令書の支出内訳に、本来とは異なる事業のボランティア報償費の支払(亡失分)が含まれている。 前渡金は事業ごとに厳格な管理を行うとともに、資金前渡を受けた目的に適合した支払を徹底することにより、適正な前渡金の精算に努められたい。 (八潮児童センター、子ども育成課) 2 意見 このたび発生した現金の亡失事例については、八潮児童センターにおける管理体制の不備に加え、「公金」を取り扱うという意識が職員に不足していたことも大きな要因である。 今後は、全ての児童センターにおいて、再発防止に向けた組織的な取組みを継続・徹底するとともに、現場で働く職員一人ひとりが責任感と緊張感を持って各種業務に当たられたい。 また、子ども育成課においては、公金管理に係る職員研修の実施や管理状況の継続的な点検を行うなど、各児童センターに対するフォローアップ体制の拡充に向け万全を期されたい。 最後に、コロナ禍により中止となっていた児童センター事業の多くが再開され、子どもたちの笑顔が戻ってきていることは大変喜ばしい状況ではあるが、 同時に児童センターが担う児童の健全育成や様々な子育て家庭への支援の充実がこれまで以上に求められている。今回の現金亡失事例の発生が各事業の執行に影を落とすことのないよう、 子ども育成課と各児童センターが一体となり、品川区の子どもたちの健やかな成長を支える事業を更に展開していくことを期待する。 第7 工事監査の実施 1 実施期間 令和5年9月29日(金)から令和6年2月19日(月)まで 2 対象工事 電線共同溝および地中化施設整備工事(文庫の森〜補助26号線) 3 監査の主眼点 (1) 契約の締結および履行の確保が適正に行われているか。 (2) 施工が契約内容に則して日程どおりに行われているか。 (3) 契約および仕様書が規程に則して作成されているか。 (4) 仕様が設置目的に適合し、かつ経済合理的なものとなっているか。 (5) 設計および施工は適切に行われているか。 (6) 検査は厳正に行われているか。 4 監査の実施方法 書類審査と現場調査を実施し、専門技術的事項について、一般社団法人東京技術士会に調査を依頼した。 第8 工事監査の結果 1 監査対象の概要 計画場所: 品川区戸越四丁目10番先〜豊町二丁目1番先 現場確認日: 令和6年1月24日(水) 経緯: 無電柱化推進事業は、品川区無電柱化推進計画(令和2年5月策定・令和5年6月改訂)に基づき、防災性の向上のために重要で整備効果の高い路線から順次無電柱化を実施していく事業である。 今回の工事では、広域避難場所に指定されている文庫の森西側道路から補助26号線までの120mに渡る車道および歩道状空地で、無電柱化のための電線共同溝本体(特殊部・管路等)の整備工事を行う。 工事概要: 整備延長120m(車道、歩道状空地) 電線共同溝工 プレキャストボックス工 1式、 管路工 1式 電気整備工 道路照明工 1式 構造物撤去工 付帯施設撤去・移設 1式、 水道施設撤去工 1式、 排水構造物撤去工 1式、 防護柵撤去工 1式、 標識撤去工 1式、 運搬処理工 1式 構造物復旧工 付帯施設復旧工 1式、 管きょ工 1式、 排水桝工 1式、 側溝工 1式、 防止柵工 1式、 小型標識工 1式、 街きょ工 1式 舗装工 舗装本復旧 1式 区画線工 区画線工 1式  ほか 工事経費:別表のとおり                   種別:委託 無電柱化予備設計業務委託 契約金額 9,955,000円(税込) 履行期間 R2.6.25〜R3.3.31 無電柱化詳細設計業務委託(文庫の森〜補助26号線) 契約金額 4,400,000円(税込) 履行期間 R3.6.22〜R4.3.31 無電柱化詳細設計業務委託(文庫の森〜補助26号線)その2 契約金額 9,936,080円(税込) 履行期間 R4.5.19〜R5.3.31 電線共同溝および地中化施設整備工事(文庫の森〜補助26号線)施工監理業務委託 契約金額 5,797,000円(税込) 履行期間 R5.6. 8〜R6.3.12 種別:工事 電線共同溝および地中化施設整備工事(文庫の森〜補助26号線) 契約金額 85,140,000円(税込) 履行期間 R5.6. 8〜R6.3.12 合計 115,228,080円(税込) 2 監査の結果 計画、設計、積算、契約、施工等はいずれも適切な内容である。 はじめに、本工事は、車道への特殊部および管路等の設置を極力避けるため、歩道状空地を利用しており、設置位置が浅くなることによる掘削土量の縮減および舗装厚の縮小による掘削・舗装工事費の低減化が図られている。 また、特殊部へ入溝する際、車道の規制が不要であり、将来の維持管理等の際の安全性にも寄与する整備となっている。 次に、現場の発生土については、埋戻し土に利用し、余った発生土は東京都建設発生土再利用センターへ搬入するなど建設残土の縮減に努め、建設費の低減や環境に配慮した施工となっている。 さらに、特殊部等の設置は、区立戸越体育館および都立大崎高等学校の敷地を活用しており、施設管理者と連携し同意を得るに当たり、積極的な調整を図った点においても本工事は高く評価すべきと考える。 本工事に係る無電柱化の完了は令和8年度であり、今後は、引込連系管工事、電線・電柱撤去工事および道路整備工事が予定されている。施工箇所は、通行人や自動車が頻繁に行き交い工事に伴う危険度が高い場所である。 工事は長期に渡るため、関係機関との十分な調整のもと引き続き周辺環境への影響を考慮し、安全管理を最優先に路線整備を進められたい。 なお、次に述べる意見については、今後予定されている工事において十分留意されたい。 (1) 施工等について 本年1月1日に発生した能登半島地震では、多くの電柱が倒壊することにより、長期間・広範囲に渡る停電といったライフラインに係る一次的な被害のみならず、 倒壊した電柱が避難や救助活動の妨げになるといった二次的な被害を及ぼすことが現実のものとなった。防災性の向上の観点から、無電柱化の推進はさらに重要性を増しているといえよう。 本工事の施工箇所は、広域避難場所に隣接した防災上重要な道路であるが、幅員が狭く既設埋設管が交錯しているため、歩道状空地が活用されている。また、工事中の粉じんの飛散に対しては 近隣住民の自家用車をビニールカバーで養生した上で施工し、騒音・振動に対しては低騒音型の重機を使用しアイドリングストップを心掛けるなど、周辺環境への配慮がなされている。 今後、道路幅員の狭い住宅街における無電柱化工事に当たっては、本工事から得られた知見や経験が生かされるよう努められたい。 第9 財政援助団体等監査の実施 1 実施期間 令和5年9月29日(金)から令和6年2月19日(月)まで 2 対象期間 令和4年度における区の財政的援助等に係る事業および会計経理等 3 監査対象団体等 (1) 対象団体 公益社団法人 品川区シルバー人材センター(以下「センター」という。) (2) 対象部課 地域振興部 商業・ものづくり課 4 監査の主眼点および重点事項 (1) 監査の主眼点 ア 所管課における補助金、交付金、負担金、貸付金、出資等(以下「補助金等」という。)に係る金額の積算、決定、交付および実績報告の確認、精算等が適正に行われているか。 イ 団体における補助金等に係る財務事務は、法令および団体の諸規程に基づき適切に処理されているか。 ウ 団体における補助金等に係る事業は、その目的に沿って効果的かつ効率的に行われているか。 エ 財産および現金の管理は、適正に行われているか。 (2) 重点事項 ア 会員数の確保に向けた取組みについて イ 就業機会の確保および提供のための取組みについて ウ 安全就業対策について 5 監査の実施方法 書類調査およびヒアリング等を実施した。なお、会計書類の調査に当たっては、公認会計士の専門的知見を活用した。 第10 財政援助団体等監査の結果 1 センターの沿革 昭和52年4月に品川区高齢者事業団として設立された後、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)に基づき、昭和62年3月に社団法人となり、 平成23年4月には公益社団法人として東京都から認定された団体である。 「自主・自立、共働・共助」の理念に基づき、会員の主体的な参画により運営が行われており、その事業規模は都内でも上位に位置している。 2 センターの事業概要 社会参加の意欲がある健康な高齢者に対し、地域社会との連携を保ちながら、その希望、知識および経験に応じた就業、社会奉仕等の活動機会を確保し、生活感の充実および福祉の増進を図るとともに、 高齢者の能力を生かした活力ある地域社会づくりに寄与することを目的として、臨時的かつ短期的な就業またはその他の軽易な業務に係る就業を希望する高齢者のための就業の機会確保および提供等の事業を行っている。 3 財政的援助等の状況 公益社団法人品川区シルバー人材センター補助金 82,996,000円 公益社団法人品川区シルバー人材センター運営資金貸付金 78,000,000円 4 監査の結果 団体等における会計書類等を調査したところ、区の財政的援助等に係る財務事務およびその他の事務の執行は概ね適正に行われていた。 なお、次に述べる指摘事項については、今後の事務事業の執行において十分に留意されたい。 (1) 職員の賞与に係る会計処理について、「公益法人会計基準の運用指針」(平成20年4月内閣府公益認定等委員会)において、一般的・標準的な財務諸表に係る科目として賞与引当金が示されているように、 賞与は支給時の一時費用として処理するのではなく、期末時に翌期に支給する費用のうち、支給対象期間が当期に帰属する支給見込額については、当期の費用として引当金に計上する必要があるとされている。 センターでは、賞与を年3回支給しているが、令和4年度末には、令和5年6月に支給が見込まれる金額のうち、勤勉手当4か月分(令和4年12月〜令和5年3月分)および期末手当1か月分(令和5年3月分)を 当期に負担させるべき費用として賞与引当金に計上する必要があったにも関わらず、費用計上がなされていない。 健全な事業運営に資するよう、公益法人会計基準にのっとった適正な会計処理に努められたい。 (2) 契約事務について、センターの財務規程によれば、契約は指名競争入札または随意契約の方法によることとされ、予定価格が100万円以上の請負契約、 予定価格が50万円以上の売買契約および長期にわたる賃貸借契約等の契約をする場合には、原則として指名競争入札によらなければならないこととされている。 ただし、これにより難いものについては、随意契約の方法により契約締結が可能とされているところ、全ての契約が指名競争入札によらずに行われている。 契約事務の透明性を確保するため、契約内容に応じ同規程に基づいた適切な事務処理に努められたい。 (3) 受託業務の履行について、令和4年8月16日の学校施設に係る開放管理業務において、当番会員が就業を失念したことに加え、他の担当会員による就業確認が行われなかったことにより、当該管理業務の一部が履行されていない。 会員による受託業務の不履行は、発注者からの信頼を大きく損なうことから、会員間および事務局によるフォロー体制を更に強化し、再発防止に努められたい。 (4) 現金等の管理について、営業時間中において、現金および預金通帳を保管する手提げ金庫が施錠されていない状態で据置型の耐火金庫の外に置かれている。 現金の紛失、盗難等を未然に防止するため、現金等の管理には万全を期されたい。 5 意見 監査の重点事項について、次のとおり意見を述べる。 第1に、会員数の確保に向けた取組みについてである。 普及啓発事業として、動画共有サービスやSNS上のバナー広告等の試行的な取組みが行われているが、今後も柔軟な発想のもと、年金受給者向けのPR活動を公的機関と連携して行うなど、 いまの時代やターゲット層に合わせた効果的な広報活動に取り組まれたい。 また、令和6年度に予定されているホームページのリニューアルに当たっては、実際の作業動画や会員の声を掲載するなど、高齢者にとって分かりやすく使いやすいホームページを構築されたい。 第2に、就業機会の確保および提供のための取組みについてである。 昨今の民間企業における業態変化に伴い請負事業の規模が縮小する一方で、派遣事業の実績は増加傾向にある。このような社会の変化を敏感に捉え、派遣事業の就業開拓を更に進めるなど、 既存の枠組みにとらわれない事業を展開していくことにより、安定的な受注獲得を図られたい。 また、発注者へのアンケート等を行い、年間を通じた需要と供給のバランスを精査するとともに、需要の多い業務に応じたリスキリングの機会を会員に提供することにより、仕事と会員の円滑なマッチングに努められたい。 第3に、安全就業対策についてである。 事故発生リスクの高い作業を行う会員に対し、必修研修として専門業者による安全講習会の受講を義務付け、安全就業に係る啓発および周知を行っているが、今後も安全パトロールの対象現場を拡大するなど、 実効性の高い取組みを継続されたい。 また、事故発生時には事後検証を十分に行い、更なる安全就業対策の拡充に繋げられたい。 センターの会員数や事業実績は、新型コロナウイルスをはじめとした社会情勢等の急激な変化の影響から回復基調にあるものの、依然としてコロナ前の水準には達していない。 そのような状況の中、シルバー世代の活躍と地域貢献を目指して、創意工夫を凝らした各種取組みを推進し、契約金額(受注金額)の増加等に繋げ健全な経営状態を維持していることは高く評価できるものである。 今後も、インボイス制度や雇用保険制度の改正等、センターを取り巻く環境が絶えず変化していく中、区との有機的な連携を図りつつ効果的かつ効率的な事業の執行と更なる展開に努め、 高齢者の社会参加と福祉の増進に資する積極的な取組みを期待する。