(p.22) 第3章 取り組みと課題 (p.23) 1 品川区障害者計画の概要    区は、「障害者基本法」第11条第3項に基づき、障害者施策全般の基本的な理念や方向性、目標について定める「品川区障害者計画」を平成27年に策定しました。  計画期間は、平成27年度から令和5年度までの9年間です。 ◆◆計画の基本理念◆◆ “自分らしく、あなたらしく、共感と共生の社会へ” ~人それぞれのライフステージを通し、自分らしく生きられる地域社会の実現~ ◆◆計画の基本方針◆◆ ①障害者のライフステージを通しての総合的・継続的な支援  一人ひとりの人生が違うように、また、人生に対する価値観が違うように、障害のある方のライフスタイルや価値観、その時々のライフステージごとに求められる支援も変化していきます。  障害者が自ら必要と考える支援を選択し、生活を組み立て、可能なかぎり地域で自立し、質の高い生活を送ることができるようになるためには、個々の障害特性やその時々のニーズを的確に把握すると共に、本人をとりまく家族状況や家庭環境、社会生活面を含めた生活環境全体に配慮したうえで、様々な社会資源・支援サービスに適切につなぐことが重要になります。乳幼児期から就学期、成人期、高齢期へとそれぞれのライフステージごとの支援が途切れることなく、総合的・継続的になされるよう、区全体の施策を展開していきます。 (p.24) ②障害者の主体性の尊重  障害者支援で大切なことは、障害者が自ら主体的に生活のあり方を選択・決定していくことを最大限尊重することです。  どんなに障害が重くても、その人らしく生きていくことが本人にとっての自立を意味すると考え、自らの選択によって一人ひとりがより豊かな生活を送れるよう、様々な社会資源を整備していきます。  一方、障害者が主体的に働ける社会や文化・スポーツ活動等の余暇を楽しむ社会を推進していくことも重要です。  障害特性に配慮した環境整備と共に、働き方を自己選択できるような就労の工夫をすることで、障害者が安心して働きつづけられるような支援を充実させていきます。  文化・芸術活動、スポーツ等についても、障害者が主体的に自らのライフスタイルを豊かにできるような支援を進めます。 ③共に生きる、共に暮らす地域社会の実現  障害者基本法の改正や障害者虐待防止法の施行、障害者差別解消法の成立に至るまで、障害者の人権を守るための制度の整備が進んでいます。  これらの法整備により、日本は平成26年2月に障害者の権利条約に批准しました。  これらの制度・法整備は、障害者にとって大きな意義をもつものです。  障害者基本法にもうたわれている「全ての国民が分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ためには、日常的に地域社会の中に交流の機会があることや、区民が利用する図書館、文化センター、体育館等の公共施設の利用が合理的配慮によりスムーズになっていくこと、児童福祉法や教育関連の施策についても障害のあるなしに関わらず地域で共に育つ・育てることを基本として捉えることが、共に生き、共に暮らしていく社会をつくっていく第一歩となります。  障害者理解のための普及啓発活動の推進を図り、共に生きる社会の実現を目指します。 (p.25) ◆◆重点施策◆◆ ①自立した地域生活実現のための在宅支援の強化  障害者の基礎調査結果によれば、地域で独立して生活したいという希望が半数以上を占めており、障害が重くても住み慣れた地域で長く住み続けられるよう、地域支援・在宅支援を強化していく必要があります。  就労支援体制の強化により、障害者の社会参加が進みつつありますが、今後は、合理的配慮の視点に立ち、障害特性を踏まえた教育体制、雇用体制等社会生活の基盤の見直しを進めることが、自立を促進していく大事な要素と考えます。  その一方で、地域移行や地域定着支援の促進も含め、支援を受けながらその人らしい自立生活を地域で支えるため、多角的な視点が必要となります。  居住環境の整備や居宅介護等の障害福祉サービスによる在宅支援の強化とあわせ、地域センターや民生委員の協力といった身近な地域で日常的に支えていく地域共生社会の環境を整えていきます。  また、重度障害者が地域で暮らし続けるための保健医療部門と協働する仕組み等、それぞれの暮らし方に合った支援が円滑に進めることができるよう、横断的なネットワーク体制を強化していきます。 ②重度化・高齢化への対応  障害のある方の重度化・高齢化に伴い、「老障介護」といわれるように、支える家族も高齢化しています。支える家族が少ない場合、主たる介護者に何かあった時には、突然、在宅生活が成り立たなくなることもあります。  こうした老障介護の現状で、「親亡き後」を見据えた支援を構築していくためには、高齢化により心身の機能が低下した方や、重度の障害のある方、常に医療的なケアが必要な方でも安心して地域で暮らせる支援体制を整備する必要があります。  在宅生活の見守りや困ったときの居宅介護サービスや宿泊できる体制、日中活動の場の組み合わせ等の地域生活コーディネートを基本とした新たな仕組み「地域生活支援拠点」の構築は欠かせないものです。  また、介護保険サービスとの連携や、訪問診療・訪問看護・訪問訓練といったアウトリーチ型サービスの提供には、保健・医療・福祉等の関係機関との連携が欠かせないため、支援体制の整備・構築を合わせて進めていきます。  相談支援を中心に据えながら、個々のライフステージごとに変化する障害の状態像、家族の介護力や社会生活の環境の変化等、節目を見据えた中長期的視点に立った継続した支援を進めます。 (p.26) ③療育支援体制の充実  児童福祉法改正(平成24 年)以降、国においても、障害児支援のあり方が改めて見直され、「子どもの将来の自立にむけた発達支援」だけでなく、「ライフステージを通した一貫した支援」、「家族を含めた総合的な支援」、「できるだけ身近な地域における支援」が必要であるとうたわれています。  区においても、成長段階において切れ目のない支援のために、保健センター等の医療保健部門、保育課等の子育て支援部門、教育委員会等の教育部門と連携を強化し、組織横断的な支援・連携体制(ネットワーク)を構築していきます。  また、障害児の低年齢化・多様化に対応した早期からの発達相談や療育を充実させるためには、障害特性に応じた専門職を児童発達支援センターに配置することが必須です。 肢体不自由児も含めた療育体制をあらためて整備すると共に、障害児を育てる保護者(家族)支援を大切にし、成長段階を見守ることができる切れ目のない支援体制の充実を図ります。 (p.27) 【障害者計画における施策体系】 基本理念である「自分らしく、あなたらしく、共感と共生の社会へ~人それぞれのライフステージを通し、自分らしく生きられる地域社会の実現~」のもと、基本方針として「障害者のライフステージを通しての総合的・継続的な支援」と「障害者の主体性の尊重」「共に生きる、共に暮らす地域社会の実現」を設定しています。 基本方針「障害者のライフステージを通しての総合的・継続的な支援」に基づいた施策は次の5つです。 施策の柱1.相談支援体制の充実 施策の方向① 障害児・者一人ひとりに合ったケアマネジメント体制の充実      ② 障害の個別性に合わせた専門相談の充実      ③ 関係機関(保健・医療・教育等)との連携強化による相談支援体制の充実 施策の柱2.地域生活支援体制の整備 施策の方向① 地域で自立・安心した生活を送るための拠点施設や住環境の整備      ② 在宅サービスの充実      ③ 障害特性に応じた支援の強化 施策の柱3.子どもの成長を支える療育と家族支援体制の充実 施策の方向① 専門性の高い相談・療育支援体制の整備      ② 障害があっても地域で育てる仕組みの構築      ③ 障害児を育てる保護者のための子育て支援の充実 施策の柱4.安心・安全な生活基盤の確保 施策の方向① 重度化・高齢化した障害者とその家族への支援体制の構築      ② 地域の見守りと緊急時支援の取組みや対応力の強化      ③ 災害時における支援体制の整備 施策の柱5.人材育成 施策の方向① 障害特性を理解し、幅広い観点から支援できる人材の育成      ② 障害者支援の核となる人材の育成      ③ ボランティアや当事者参加による地域支援力の向上 基本方針「障害者の主体性の尊重」に基づいた施策は次の2つです。 施策の柱6.豊かな日常生活を送るためのサービスの充実 施策の方向① 障害者一人ひとりに即した日常生活の質を高める支援の充実      ② 文化・芸術活動、スポーツ等余暇活動の促進      ③ 地域における社会参加や社会活動への支援 施策の柱7.就労機会の拡充、就労支援体制の充実 施策の方向① 一般就労に向けての就労支援の強化      ② 福祉的就労の場におけるそれぞれの障害者の能力を活かせる多様な就労メニューの工夫      ③ 障害者の雇用拡大に向けた区の率先した取組みの推進 基本方針「共に生きる、共に暮らす地域社会の実現」に基づいた施策は次の2つです。 施策の柱8.権利擁護体制の構築 施策の方向① 障害者虐待防止対策事業の強化・推進      ② 成年後見制度の利用促進      ③ サービス向上に向けた取組みの推進 施策の柱9.障害者理解と共感のやさしいまちづくり 施策の方向① インクルージョン(地域社会への参加・包容)に基づく、障害者にやさしいまちづくりの推進      ② 合理的配慮を共通基盤とした行政サービスの整備      ③ 障害者理解のための普及・啓発活動の充実 (p.28) 2 施策の柱に対する前計画の実施状況  中期計画期間の事業展開に当たっては、進捗状況を点検評価し、計画期間内での目標達成に向けて、必要な取り組みを進めていきます。 <施策の柱1.相談支援体制の充実>  区は、障害のある人が身近な地域において必要な支援を受けながら、安心して日常生活や社会生活を送ることができるよう、相談支援体制の整備を図ってきました。  しかしながら、障害者とその家族の抱える課題は複雑多岐に渡るため、保健・医療・福祉等の制度や分野を超えた連携が課題となっており、課題解決を図る包括的な相談支援体制の構築を図る必要があります。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  障害児者の相談支援事業所の整備を促進するため、令和元年度に補助制度を創設し、民間事業所の誘致を図りました。その結果、令和元年度は、相談支援事業所4ヵ所、障害児相談支援事業所2ヵ所が開設しました。令和2年度は、相談支援事業所4ヵ所、障害児相談支援事業所3ヵ所が開設しました。  高齢障害者を包括的に支援するため、令和元年度に高齢者相談支援拠点である在宅介護支援センター2ヵ所に、それぞれ相談支援事業所が開設しました。令和2年度は、2ヵ所開設しました。  区内の障害福祉サービスの情報を区民に分かりやすく伝えるため、区ホームページの改正や「品川区地域自立支援協議会」において作成した「障害者サービス情報」や「子ども発達支援ガイドブック」を活用し、周知を図りました。  区立心身障害者福祉会館において、学校卒業後に障害児通所支援等から障害福祉サービスの支援へ円滑な移行が図れるよう、令和元年10月に障害児相談支援事業所を開設し、相談機能を強化しました。 (p.29~30) <施策の柱2.地域生活支援体制の整備>  区は、地域生活への移行を促進するために必要な障害福祉サービス等の整備、医療的ケアが必要な人や重症心身障害児者への支援、居宅での生活支援や介護する家族の負担軽減のため居宅系サービスの提供とレスパイト支援等に取り組んできました。  現在は、障害者グループホーム整備や医療的ケアが必要な人、重症心身障害児者へのサービス拡充等に取り組んでいますが、今後は地域生活への移行を推進できるよう地域生活支援体制のさらなる充実が課題となっています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  令和元年10月に障害児者の地域生活を支える拠点施設として、区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」を開設しました。  区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」内に設置されている児童発達支援センター「品川児童学園」の機能拡充を図るとともに、地域拠点相談支援センターを設置し、相談支援体制の充実を目指しています。  区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」では、日中活動系サービスとして、生活介護(定員40名)は、重症心身障害および強度行動障害も対象とし、就労継続支援B型(定員20名)では、地域交流を目的としたカフェレストランを設置し、さらに障害児者の地域生活を支える機能として短期入所(12床)、地域活動支援センター、訪問系サービスを設置しました。  区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」内において、一人暮らしやグループホームへの移行のための訓練ができるよう、短期入所において体験型居室2部屋を整備しました。この他、共生社会の実現、障害者理解促進を目的として、地域向けに多目的室の貸出を行っています。なお、医療系サービスとして、児童精神科を主とした民間の精神科クリニックや訪問看護ステーションの事業所が併設されています。  区立心身障害者福祉会館において、令和元年度に重症心身障害者通所事業所の指定を 受け、重症心身障害者の受入れ体制の強化を図りました。  障害者グループホーム等の民間事業者による整備促進を図るため、令和2年度に従前の障害者グループホーム等整備費補助事業の補助金額を増額しました。  医療的ケア児が地域で必要な支援を受けながら生活できるよう、令和元年度に保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関が連携を図るための場である「医療的ケア児等支援関係機関連絡会に向けた準備会」を開催しました。  地域共生社会の実現に向けて、新たに創設された共生型サービスについて、令和元年度に区立中延在宅サービスセンターで開始し、介護保険サービスと障害福祉サービスの一体的かつ継続的な提供の実現に向けた整備を図りました。  病状が安定しない精神障害者に対し、平成30年度から保健、医療、福祉の関係機関が連携して、医療の継続支援、病状安定に向けた支援を多職種チームで包括的に行うメンタルチームサポート事業を開始しました。また、保健、医療、福祉等の関係者の協議の場を通じて重層的な連携による支援体制の整備のため「品川区精神保健福祉地域連絡会」を開催しました。  令和元年度から「品川区難病対策地域協議会」を設置し、難病患者とその家族への支援体制に関する課題を共有し、関係機関との連携により、難病対策のあり方や体制の整備について継続的な協議を行いました。 (p.31) <施策の柱3.子どもの成長を支える療育と家族支援体制の充実>  区は、早い段階から障害や発達の支援ニーズを把握し、相談から早期の支援へつなげるための相談支援や療育体制の整備を図ってきました。  現在は、障害児や発達・発育に支援が必要な子どもが地域で健やかに成長し、成人期においても円滑な地域生活を送ることができるよう、成長段階において切れ目のない一貫した療育支援体制の整備が求められています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  障害児通所支援事業所の整備を進め、児童発達支援事業所については、令和元年度4ヵ所、放課後等デイサービス事業所については、平成30年度2ヵ所、令和元年度4ヵ所が開設しました。  区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」内に設置されている児童発達支援センター「品川児童学園」において、児童発達支援事業の定員を増やしたほか、日中一時支援事業を併設し、機能の拡充を図りました。  重症心身障害児を対象とした事業所として、平成29年度に開設した児童発達支援事業所1ヵ所に続き、平成30年度から令和元年度にかけて放課後等デイサービス事業所2ヵ所が開設しました。  令和元年度から、3歳から5歳児までの障害児通所支援利用者負担額の無償化を開始しました。 (p.32) <施策の柱4.安心・安全な生活基盤の確保>  区は、障害者の高齢化や重度化、家族の高齢化による介護力の低下に対応した緊急時等における支援体制の整備を図ってきました。  現在は、災害時の避難支援について、防災関係機関と連携して個々の事情を考慮した支援方法や避難方法についての検討、福祉避難所の防災備蓄品の拡充等が求められています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  平成28年度に開始した重症心身障害児者等在宅レスパイト事業について、利用回数の上限を、平成30年度より年12回から24回へ拡充しました。  平成30年度から、紙おむつ支給の対象者を拡充し、常時紙おむつを必要とする3歳以上のすべての身体障害児者・知的障害児者を対象にしました。  令和元年度から、区立心身障害者福祉会館において自立訓練機能を強化し、訪問による機能訓練を開始しました。  平成30年度、品川特別支援学校の避難訓練に区職員も参加し、避難所開設訓練の実施等の防災体制の整備を行いました。 (p.33) <施策の柱5.人材育成>  区は、障害福祉サービス従事者が適切にサービスを提供できるよう、障害者一人ひとりの特性に応じた支援を行うことのできる人材の育成に取り組んできました。  ヘルパーおよびヘルパー養成研修等の受講者が少ないといった課題があることから、研修受講者の増加を図るとともに、重症心身障害、強度行動障害、医療的ケアが必要な障害者等に対応できる専門的人材の確保と育成が必要です。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  地域全体の支援力向上を図るため、品川介護福祉専門学校の福祉カレッジにおいて、障害者支援に係る人材の育成事業を実施しました。  都から指定を受けた区内事業者による移動支援従業者養成研修を実施しました。  同行援護サービスを継続的かつ安定して提供できるように、区内ヘルパーを対象とした同行援護従業者養成研修を実施しました。  区内で精神障害者向けホームヘルプサービスを行うヘルパーの育成およびスキルアップ向上を図るため、区内ヘルパーを対象とした精神障害者ホームヘルパーステップアップ研修を実施しました。 (p.34) <施策の柱6.豊かな日常生活を送るためのサービスの充実>  区は、障害者がすべてのライフステージを通じて、自立のために社会的な活動を展開できるよう、社会参加や余暇活動の促進のための取り組みを推進してきました。  現在は、コミュニケーション確保のための意思疎通支援、社会参加のための外出支援等をより一層充実させ、様々な社会活動に障害者が積極的に参加することができる環境づくりが求められています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  平成30年度から、社会参加のための移動支援の対象者を拡大し、小学校4年生から使用可能としました。  平成30年度から、福祉タクシー券・自動車燃料費助成の所得制限を廃止しました。  令和2年度から、精神障害者への障害者福祉手当として、精神保健福祉手帳1級所持者を支給の対象に拡大しました。  障害者の日常生活におけるスポーツ活動支援として、障害者水泳教室・障害者水泳大会や区立体育館におけるフリースポーツ教室を継続して実施しました。また、平成29年度に開始した「障害者スポーツチャンレンジデー」を、平成30年度からは、「ふくしまつり」と合同開催することで、イベントの充実を図りました。  平成30年度から、「ふくしまつり」と「障害者スポーツチャレンジデー」を合同開催することで、イベントの充実を図りました。また、身近な地域で障害のある方がスポーツに親しめるよう障害者スポーツ教室として、平成30年度から「障害者フライングディスク教室」を、令和元年度から「fun run & walk」を新規に実施しました。 (p.35) <施策の柱7.就労機会の充実、就労支援体制の充実>  区では、障害者が安心して働くことのできる地域社会の実現を目指した取り組みを進めてきました。  現在は、障害特性や生活環境に応じた多様な就労支援、就労継続への支援、障害者雇用や障害者理解の企業への働きかけ等が求められており、従来からの就労支援策だけではなく、多様な希望や特性等に対応した働き方の選択肢を拡大するとともに、障害者を雇用する企業等へ障害者理解を進める必要があります。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  就労移行支援事業所は、平成30年度に1ヵ所、令和元年度に2ヵ所開設しました。なお、一般就労への移行者数は平成30年度57名、令和元年度69名でした。  平成30年度に新たに開始された就労定着支援事業については、5ヵ所開設しました。 令和元年度の職場定着率は、96%となりました。  就労継続支援については、令和元年度、区立障害児者総合支援施設「ぐるっぽ」内で就労継続支援B型事業所が開設されました。また、平成30年度には民間事業所が1ヵ所開設しました。 <施策の柱8.権利擁護体制の構築>  区は、障害者の自己決定権を尊重し、障害者の権利が侵害されないよう、障害者虐待の防止、成年後見制度の活用など障害者の権利擁護の取り組みを進めてきました。  現在は、権利擁護や成年後見制度の周知を図り、認知度を高める取り組みが求められています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  障害者虐待防止センター「しながわ見守りホットライン」において、虐待通報に対して関係機関との連携により迅速な対応を行いました。  成年後見制度利用の普及啓発を行いました。  虐待・暴力の早期発見や被害者の適切な保護または支援を図るとともに、関係機関が連携を強化し、虐待のない地域社会を創設するための「品川区虐待防止ネットワーク推進協議会」を開催しました。 (p.36) <施策の柱9.障害者理解と共感のやさしいまちづくり>  区は、障害者理解の促進を図りつつ、社会的障壁を取り除き、一人ひとりがお互いの人格と個性を尊重し合い、支え合いながら共生する社会の実現に向けて、障害の理解・啓発の取り組みを推進してきました。  現在は、民間企業等における普及啓発、未来を担う子どもへの教育のインクルージョンの推進、地域交流の推進など障害者理解の裾野を広げるための取り組みが求められています。 【平成30年度~令和2年度の取り組み内容】  令和元年度から、「品川区障害者差別解消支援地域協議会」を設置し、障害者差別の解消にかかわる事例の共有、関係機関の連携、障害および障害者の理解促進・普及啓発等について協議を行い、差別解消の取り組みを推進しました。  毎年、区職員向けの障害者差別解消法の研修を実施しているほか、「庁内障害者差別解消推進本部会議」において、情報共有を図り、全庁的に差別解消に関する取り組みを推進しました。  平成28年度に作成した「障害者差別解消法ハンドブック」について、平成30年度、平成31年度と改定版を発行し、障害者差別解消法の普及啓発を進めました。  令和2年度に、ヘルプカードの利便性を図るため、ストラップ式に改良しました。  平成30年度に、総合案内窓口に遠隔手話通訳サービスを試験導入し、令和2年度から庁内各課と区立心身障害者福祉会館を含む区内施設において、遠隔手話通訳タブレットを導入し、手話による相談体制の充実を図りました。 (P.37) 3 今期の主要テーマと取り組みの方向性 テーマ1.安心して暮らせる地域生活の支援 <取組みの方向性> 地域生活支援拠点等の整備 ① 拠点機能の充実 ② 重症心身障害者・医療的ケアに対する支援の充実 ③ 事業所整備の促進 <取組みの方向性> 包括的な相談支援の充実 ① 相談支援体制の強化 ② 保健・医療・福祉との連携 ③ 災害対応・感染症対応 <取組みの方向性> 人材の確保・育成 テーマ2.包括的な障害児支援の充実 <取組みの方向性> 障害児支援の充実 ① 早期発見・早期支援 ② 保護者への支援 ③ 療育支援体制の整備 ④ 重症心身障害児・医療的ケア児支援等の充実 ⑤ 障害児の地域社会への参加や包容(インクルージョン) テーマ3.社会参加の促進 <取組みの方向性> 多様な就労支援 ① 就労支援の充実 ② 企業への働きかけ <取組みの方向性> コミュニケーション支援・外出支援等の充実 ① 意思疎通支援の充実 ② 外出支援 <取組みの方向性> スポーツ・文化芸術活動の推進 ① スポーツの推進 ② 文化・芸術活動の振興 テーマ4.地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進 <取組みの方向性> 心のバリアフリーの推進 ① 障害者差別解消法の取り組みの推進と障害者理解の促進 ② 地域交流の推進 ③地域生活等への移行の推進 ④ユニバーサルデザイン・おたがいさま運動の普及啓発 <取組みの方向性>教育のインクルージョンの推進 (p.38) テーマ1.安心して暮らせる地域生活の支援  区では、地域共生社会の実現を目指し、地域生活支援機能の充実のため、①相談、②体験の機会・場、③緊急時の受け入れ・対応、④専門的人材の確保・養成、⑤地域の体制づくりの5つの機能を有する地域生活支援拠点の整備を進め、地域生活を多面的に支える体制の構築を進めています。  障害者の高齢化・重度化・親亡き後を見据えた居住支援のための機能の充実化が求められており、特に重症心身障害者・医療的ケアが必要な方に対する支援や、障害者グループホーム等の地域で生活するための居住環境の整備が課題となっています。  どこで誰と生活するかについての選択の機会の確保をはじめとした、選択の機会の拡大が図れるよう、相談支援を充実させるとともに、訪問系サービスをはじめとする障害福祉サービスや障害者グループホーム等の社会資源を充実させる必要があります。  サービスの充実には、専門的人材の確保・育成が必要ですが、支援ニーズに対して、サービスの担い手が不足しているという現状が続いており、人材の確保・育成は大きな課題となっています。  障害者が地域で安心して暮らすには、災害対策が重要となります。一人では避難できない障害者も多く、災害時における障害者の避難支援が求められます。  また、新型コロナウイルス感染症の影響による生活上の支障が生じており、状況に応じた対応を行うとともに、感染症の予防や的確に対応できる支援体制の構築を進めていく必要があります。 (p.39) <取り組みの方向性> 地域生活支援拠点等の整備  ① 拠点機能の充実 ・障害者の高齢化・重度化や「親亡き後」を見据え、課題に応じて、どのような機能をどの程度備えるべきかについて、地域生活支援拠点としてのあるべき姿を「地域生活支援拠点検討会」において検討し、必要な機能の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・地域生活支援拠点マネージャーを配置し、地域生活支援拠点の業務を効果的かつ効率的に実施できるよう推進します。所管:障害者福祉課 ・地域生活支援拠点において、障害福祉サービス事業所との連絡会を通じて、情報共有を行い連携強化することで、地域生活支援拠点等の機能の充実を図ります。所管:障害者福祉課 (p.40) ② 重症心身障害者・医療的ケアに対する支援の充実 ・重症心身障害者・医療的ケアが必要な方に対応できるよう、既存の施設や整備予定の施設での受け入れを促進するとともに、在宅支援の拡充を図ります。所管:障害者福祉課 ・心身障害者福祉会館を改修して、医療的ケアを必要とする障害者の受け入れを開始します。所管:障害者福祉課 ・重症心身障害者通所事業所(ピッコロ)の定員拡大を図ります。所管:障害者福祉課 ・「インクルーシブひろば」で、医療的ケア児とその保護者が集まる交流の場を整備し、地域の子どもとの交流や医療的相談等の支援の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・介助者の負担軽減のため、短期入所等のレスパイト支援を推進します。また、医療機関において、医療的ケアが必要な障害児者を対象とした短期入所事業を行い、安心して地域での暮らしを継続できるようにします。所管:障害者福祉課 ③ 事業所整備の促進 ・障害者の生活の場を選択する機会を確保するため、地域移行支援のサービス提供する相談支援事業所の開設や訪問系サービスの拡充を促進します。所管:障害者福祉課 ・令和6年度開設予定の重度障害者グループホーム((仮称)西大井三丁目障害者グループホーム)の整備を進めます。所管:障害者福祉課 ・整備費補助金の活用により、費用の一部を補助し、民間事業者による障害者グループホーム整備を促進します。所管:障害者福祉課 ・国家公務員宿舎小山台住宅等跡地において、児童発達支援センターおよび障害者通所事業所の開設に向けた計画を進めます。所管:障害者福祉課 ・区内にある事業所に対し、自立生活援助、地域定着支援、居宅訪問型児童発達支援を展開するよう働きかけるとともに、新規事業所の参入を促進し、サービス提供体制の確保を図ります。所管:障害者福祉課 (p.41) <取り組みの方向性> 包括的な相談支援の充実  ① 相談支援体制の強化 ・障害者福祉に関わる全ての支援員が意思決定支援ガイドラインに基づき、障害者の意思決定支援に配慮した相談支援を実施します。所管:障害者福祉課 ・基幹相談支援センター、地域拠点相談支援センター、計画相談支援事業所等の重層的な仕組みを活かした包括的な相談支援体制を構築し、専門的な指導・助言及び人材育成など各種機能の更なる強化・充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・定期的に相談支援事業所連絡会を開催して、情報交換や情報共有を行うことで、相談支援体制の強化、相談支援のスキルアップを図ります。所管:障害者福祉課 ・介護保険制度への移行等、高齢障害者とその家族が抱える課題に対応するため、在宅介護支援センターに相談支援事業所を併設し、高齢障害者とその家族の相談支援を充実します。所管:障害者福祉課 ・基幹相談支援センターと地域拠点相談支援センター等の相談機関と相談情報を共有できるよう、相談支援システムネットワークを構築し、相談支援の向上を図ります。所管:障害者福祉課 ・発達障害に特化した地域拠点相談支援センターを設置し、発達障害に関する相談体制の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・介助者の高齢化や就労の多様化等、家庭の事情を踏まえた家族支援を行います。障害者福祉課 ・必要な人が成年後見制度を含めた各種制度につながり、本人らしい生活を送れるよう、福祉関係者等が意思決定支援の下での本人への支援を行います。所管:障害者福祉課、福祉計画課 ・障害者虐待防止法に基づき設置した「品川区障害者虐待防止センター しながわ見守りホットライン」の周知を図るとともに、障害者虐待に迅速に対応します。また、国の動向を踏まえ、施設等の虐待防止委員会を設置促進してまいります。所管:障害者福祉課 (p.42) ② 保健・医療・福祉との連携 ・重症心身障害児者や医療的ケアが必要な方の地域生活を支えるため、医療的ケア児等コーディネーターが病院や訪問看護ステーション等と連携し、支援の充実を図ります。所管:障害者福祉課、保健センター ・精神障害者が地域で安定して暮らし続けることができるよう、「品川区精神保健福祉地域連絡会」「品川区精神連絡会」等を活用して、保健、医療、福祉の関係機関との連携を図り、精神障害者が抱える生活、療養等の課題の共有を行うなど支援体制の向上に努めます。所管:障害者福祉課、保健センター ・「品川区難病対策地域協議会」において、難病患者とその家族への支援体制に関する課題を共有します。関係機関との連携により、難病対策のあり方や体制の整備等について協議を行い、特殊疾病に対する地域の理解を深め、社会生活・療養生活の支援についての検討を進めます。所管:障害者福祉課、保健センター ・高齢障害者が、住み慣れた地域で生活していくために、障害者分野の施策に限らず、高齢者分野の施策も含めて、必要なサービスを適切に利用できるよう、関係部署およびサービス提供事業所や相談支援事業所と連携し、相談・情報提供体制を強化します。所管:障害者福祉課 ・心身障害者福祉会館に高次脳機能障害専任作業療法士を配置し、本人とその家族に対する相談支援や状態の評価を実施するとともに、医療や訓練、就労の専門機関を紹介する等、引き続き、支援の充実に取り組みます。所管:障害者福祉課 ③ 災害対応・感染症対応 ・災害時の支援について、在宅人工呼吸器使用者をはじめ、障害者の災害時個別支援計画を作成します。人工呼吸器等の医療機器の電源の確保や障害に応じた情報伝達手法等について、個々の事情を考慮した支援方法や避難方法を防災関係機関と連携して検討を進めます。所管:障害者福祉課、防災課 ・福祉避難所のあり方について、障害者やその家族、事業者の意見を聞きながら、「福祉部災害時対応等検討委員会」で検討していきます。また、福祉避難所の防災備品を拡充し、災害時に備えます。所管:障害者福祉課 ・新型コロナウイルス感染症に伴う対応として、事業所へのマスク・消毒液等の衛生用品の配布、障害福祉サービス業務継続支援金交付、職員へのPCR検査等を実施してきましたが、日々変化する状況に柔軟に対応できるよう、対策を引き続き講じていきます。所管:障害者福祉課 (p.43) <取り組みの方向性> 人材の確保・育成 ・障害福祉サービス等事業所における障害児者の受け入れ拡充を図るため、東京都の研修への参加を促し、重症心身障害、強度行動障害、医療的ケア等に対応できる専門的人材の育成を図ります。所管:障害者福祉課 ・品川介護福祉専門学校の福祉カレッジでは、障害児、障害者と対象別の研修に加え、障害児から障害者への支援を学ぶ研修を企画し、切れ目のない支援を提供するスキルの向上を目指します。所管:障害者福祉課 ・移動支援従業者や同行援護従事者養成研修等の実施により、人材の確保を図ります。また、多くの人に障害者福祉へ関心をもってもらい研修の受講につなげられるよう、事業所の地域交流や職場体験、学校訪問による福祉の仕事のイメージアップを図るなど、事業所と協議し、受講者を増やす方策を検討します。所管:障害者福祉課 ・利用者ニーズに即したサービス提供ができるよう、地域の課題や社会資源の把握にとどまらず、障害福祉サービス等の社会資源の改善や開発を行える相談支援専門員を育成するため、「品川区地域自立支援協議会」の場を活用します。所管:障害者福祉課 (p.44) コラム①「発達障害者に対する支援について」  令和3年4月、品川区の大人(18歳以上)の発達障害者の支援拠点として、「品川区立発達障害者支援施設ぷらーす」内に品川区発達障害者相談支援センターを開設いたしました。 品川区発達障害者相談支援センターでは、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)等の社会生活に困難を抱える発達障害のある方とそのご家族が、地域で安心して暮らすことができるよう、発達障害に係るご相談をお受けし、多様な支援を行っています。 品川区立発達障害者支援施設ぷらーす(運営:社会福祉法人げんき)  ・品川区発達障害者相談支援センター【一般的な相談・計画相談支援】  ・就労継続支援B型事業所ガーデン【就労訓練の場】  ・発達障害者成人期支援事業リクト【居場所や交流の場、就労等の専門相談】 その他、関係機関として、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)、障害者就労支援センターげんき品川、就労移行支援事業所、ハローワーク、品川区地域自立支援協議会就労支援部会などがあります。 【品川区発達障害者相談支援センター】 場所:品川区上大崎1-20-1 受付時間:月~金曜日 午前9時~午後5時 電話番号:03-5793-7071 (p.45) テーマ2.包括的な障害児支援の充実  区では人口増加に伴い、障害児や発達・発育に支援が必要な子どもが増加傾向にあります。障害児支援にあたっては、障害児本人の最善の利益を考慮しながら、障害児の健やかな育成を支援することが必要です。  そのため、品川区障害者計画では、重点施策として、「療育支援体制の充実」を掲げ、障害児支援の充実を図ってきました。  しかしながら、障害の早期発見・早期療育につながる支援体制の構築や、初回相談までの待機期間の短縮、重症心身障害児および医療的ケア児といった障害の重度化や多様化に対応する専門的機能の強化、保護者支援など更なる支援体制の充実が求められています。  また、障害児のライフステージに応じて、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関が連携を図り、切れ目のない一貫した支援を提供する体制の構築を図ることが求められます。 併せて、障害児の地域社会への参加や包容(インクルージョン)を推進し、地域支援体制を整備することが求められています。 (p.46) <取り組みの方向性> 障害児支援の充実 ① 早期発見・早期支援 ・児童発達支援センター「品川児童学園」において、子ども発達相談室の初回相談までの待機時間の短縮やその後のフォロー体制を充実する等、障害児の健やかな育成のため、早期支援につなげます。所管:障害者福祉課 ・発達段階やライフステージに応じて適切な支援を行えるように、保健、医療、障害福祉、保育、教育、就労支援等の関係機関が連携を図り、切れ目のない一貫した支援を提供する体制構築に向け、検討・推進します。所管:障害者福祉課 ・子どもを安心して健やかに産み育てるためには、妊娠・出産・育児の切れ目のない支援が必要です。「しながわネウボラネットワーク」を活用し、相談を受ける中で早期発見、関係機関との連携を図ります。所管:子ども家庭支援センター ・発達障害のある子どもについて、「品川児童学園」が療育支援拠点として、「発達障害・思春期サポート事業」や民間の児童発達支援事業や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援等と連携をし、区内の支援体制を充実します。所管:障害者福祉課 ② 保護者への支援 ・身近な地域において、気軽に子どもの発達に関する相談が受けることができるように、子ども発達相談室の機能や、相談支援事業所の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・保護者が子どもの発達特性を理解し、必要な知識や方法を身につけ、適切な対応ができるよう、ペアレントプログラムやペアレントトレーニング等の発達障害者およびその家族に対する支援の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・障害児を介護している保護者の就労を支える預かりや一時的休息のための「日中一時支援」や一時的に居宅において、介護できなくなった際に「短期入所」を活用し、保護者支援の充実を図ります。所管:障害者福祉課 ・品川児童学園や「インクルーシブひろば」で、保護者が障害について理解をしたり、支援について学んだり、同じ悩みを持つ保護者同士が交流できる機会の提供ができるよう支援を進めます。所管:障害者福祉課 (p.47) ③ 療育支援体制の整備 ・児童発達支援センター「品川児童学園」を療育支援拠点とし、相談機能の強化、療育支援の充実、保護者支援等を継続して取り組みます。所管:障害者福祉課 ・障害児通所支援を増設し、療育支援の充実を図ります。また、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所等に対して、品川児童学園と連携して研修を実施し、情報共有や助言を行うことで、障害児支援事業所の支援内容の向上を図ります。所管:障害者福祉課 ・「品川区地域自立支援協議会子ども支援部会」において、教育と福祉の一層の連携を推進し、情報共有や支援方法の検討など関係機関との連携を強化することで、障害児に対する切れ目のない療育支援を行える体制を整備します。所管:障害者福祉課 ・特別支援学級固定級(病弱)を設置し、医療機関と連携を図りながら、個々の実態に合わせながら指導を展開しています。所管:教育総合支援センター ・学校の卒業から社会生活への移行期における一貫した支援を行うため、福祉・教育・就労等の連携をより一層強化しながら、一人ひとりに応じたきめ細やかな卒業後の進路支援の充実に努めます。所管:障害者福祉課 (p.48) ④ 重症心身障害児・医療的ケア児支援等の充実 ・「品川区医療的ケア児等支援関係機関連絡会」の開催や医療的ケア児等に関するコーディネーターの配置等、重症心身障害児・医療的ケア児への包括的な支援体制の構築を進めます。所管:障害者福祉課 ・重症心身障害児・医療的ケア児と地域の子ども達がインクルーシブな環境で過ごす場を提供するとともに、地域交流を通じた仲間づくりや子育ての情報交換等の支援を行います。所管:障害者福祉課 ・重症心身障害児・医療的ケア児の家族が抱える生活や医療に関する不安や悩みを解消するため、「インクルーシブひろば」で看護師による相談業務を実施するなど医療的ケア児とその保護者への地域生活支援を促進します。所管:障害者福祉課 ・日常的に外出が困難な重症心身障害児・医療的ケア児が、自宅で療育を受けられるよう居宅訪問型児童発達支援の提供体制を区内で確保します。所管:障害者福祉課 ・医療的ケア児の保育園申込みに際し、保育の必要性や健康状態、医療的ケアの実施状況等を審査して入園を判断しています。受け入れについては、平成29年度から区立保育園にて行っており、医療的ケアを実施するための研修の受講機会を増やす等、知識、技術等の習得に努めています。今後も児童の状況に応じた適切な受け入れ体制や緊急時の対応等を個別に検討します。所管:保育課、保育支援課 ・医療的ケア児の入学については、主に就学相談を通し、本人の健康状態、ケアの種類、方法等を保護者、主治医、入学する学校等と相談しながら進めます。なお、令和3年度より、必要な看護師の配置を実施します。所管:教育総合支援センター ⑤ 障害児の地域社会への参加や包容(インクルージョン) ・保育園、幼稚園、小学校および特別支援学校やすまいるスクール(全児童放課後等対策事業)と連携して支援する体制を構築し、保育所等訪問支援を活用することで、障害児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進を図ります。所管:障害者福祉課、保育課、保育支援課、子ども育成課、教育総合支援センター ・発達に支援が必要な子どもとその家族が差別や偏見、不平等、不利益を受けないよう広報やホームページを活用して、区民に対して障害に関する情報発信や啓発を行い、障害や合理的配慮の理解を促します。所管:障害者福祉課 (p.49) コラム②「医療的ケア児に対する支援について」  区では、令和3年4月に大原児童センター1階部分に主に未就学の医療  的ケア児とその保護者を対象とする「インクルーシブひろばベル」を開設いたしました。 「インクルーシブひろばベル」は、障害の有無に関係なく、 誰もが自由に遊びを楽しみながら多様な人と関わることができ、お互いに理解を深められることを目的としたひろばです。 インクルーシブひろばベルの事業 ・インクルーシブな地域交流  交流を障害児の親子に限定せず、きょうだい児や地域の子ども達にも広げ、障害児や医療的ケア児への理解を深めることで、地域全体で支え合う社会を育みます。 ・障害児の親子の仲間づくり  障害児の親同士が交流できる広場を設け、仲間づくりや子育てに関する情報の交換ができます。また、SNSによる「ひろばコミュニティ」を開設します。 ・いろいろな専門職による子育て相談  保育士、看護師、児童指導員等の専門職が子育てに関する相談を行い、育児不安の解消を図ります。 場所:〒142-0041東京都品川区戸越6-16-14  大原児童センター1階 営業時間:10:00~17:00 休館日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始 対象年齢:0歳から ホームページ:https://bell.florence.or.jp/ ※特定非営利活動法人フローレンスHP内 (p.50) テーマ3.社会参加の促進  区では、障害者計画における施策の柱の一つである「就労機会の拡充、就労支援体制の充実」に向けて取り組んできました。  一般就労については、就労支援や就労定着支援の事業所が複数開設され、一般就労への移行が進んでいます。  一方、現在就労していない障害者で、今後、就労を希望している方も多く、就労支援の更なる充実が求められています。障害特性や障害の程度により、一般就労が困難な障害者に対しては、障害特性に応じた多様な就労形態が必要となります。  引き続き、福祉的就労の場における多様な就労の工夫が求められるとともに、民間企業に対しては、障害者の雇用拡大に向けた障害者理解の促進が求められます。  「豊かな日常生活を送るためのサービスの充実」を施策の柱として、様々な施策を進めてきましたが、外出や交流の機会の確保など社会参加を促進するため、更なる支援の充実が求められています。また、施設においても、地域交流、創造や発表等の多様な活動に参加できる機会を増やしていく必要があります。  また、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、外出や交流の機会が減少し、地域活動にも大きな影響が出ています。三密(密閉・密集・密接)の回避や手洗い・消毒、ICTの活用等、「新しい生活様式」を踏まえた活動支援についても、検討していきます。 (p.51) <取り組みの方向性> 多様な就労支援  ① 就労支援の充実 ・就労支援の担い手である就労移行支援事業者等の誘致を図り、専門性の向上に取り組むとともに、ハローワークや東京障害者職業センターによる技術的・専門的な助言や援助を活用し、障害者が就労に向けて、適切な支援が受けられるよう取り組みます。所管:障害者福祉課 ・障害者が就労後も安定して働き続けられるよう、品川区障害者就労支援センター「げんき品川」における職場定着支援を継続するとともに、相談支援機関や障害福祉サービス事業者、民間企業と連携して、生活面からの一体的な支援を進めます。所管:障害者福祉課 ・自営や企業で働く重度障害者等の就労を支援するため、通勤や職場での支援の方法について、「品川区地域自立支援協議会就労支援部会」で検討します。所管:障害者福祉課 ・就労継続支援事業所における製品の開発や品質向上、販路の拡大、アンテナショップでの販売の促進、障害者の工賃向上や事業所の安定運営をめざした支援策について、「品川区地域自立支援協議会就労支援部会」で検討し、推進していきます。所管:障害者福祉課 ② 企業への働きかけ ・企業に対して、国の障害者雇用施策や企業支援等の活用を促進しつつ、障害特性や本人の状況に応じた合理的配慮の提供や仕事の創出、短時間就労等の多様な雇用形態の導入等を働きかけていきます。所管:障害者福祉課 ・品川区障害者就労支援センター「げんき品川」や就労移行支援事業者を通じて、企業に対して、障害者の受入に関する相談や、職場での障害者理解の促進を働きかけ、障害者が安心して働き続けられる環境づくりを推進します。所管:障害者福祉課 (p.52) <取り組みの方向性> コミュニケーション支援・外出支援等の充実  ① 意思疎通支援の充実 ・コミュニケーションに役立つ情報機器やソフト等の紹介・活用法の講座、中途障害者を対象にした点字講座や手話講座等を開催し、障害者がさまざまな情報媒体を活用して、コミュニケーションを保障できるように支援を進めます。所管:障害者福祉課 ・東京都等の関係機関と連携して、手話通訳者・要約筆記者の養成・確保と円滑な派遣に努めます。また、手話が言語であることの理解の促進、障害特性に応じた意思疎通手段が選択できるよう、手話言語条例の制定に向けて具体的に進めます。所管:障害者福祉課 ② 外出支援 ・移動支援従業者や同行援護従事者養成研修等の実施により、福祉人材の確保を図ります。また、多くの人に障害者福祉へ関心をもってもらい研修の受講につなげられるよう、事業所の地域交流や職場体験、学校訪問による福祉の仕事のイメージアップを図る等、事業所と協議し、受講者を増やす方策を検討します。所管:障害者福祉課 ・安全かつ適切なガイドヘルプを行うため、誘導技術向上や情報提供等の取り組みを進めます。所管:障害者福祉課 ・だれもが安心・安全に外出できるように区有施設や公園等への「だれでもトイレ」の設置やバリアフリーマップの充実、歩道や公共施設等のバリアフリー化、音響式信号の設置等の推進を図ります。所管:都市計画課 (p.53) <取り組みの方向性> スポーツ・文化芸術活動の推進 ① スポーツの推進 ・障害者の特性に柔軟に対応し、どのような種別や程度であっても、参加しやすいように機会の充実に取り組みます。所管:スポーツ推進課 ・区立スポーツ施設や学校施設の開放により、地域の身近な場所で障害者が定期的にスポーツに取り組める機会の充実を図ります。所管:スポーツ推進課 ・東京2020パラリンピック競技大会の品川区応援競技であるブラインドサッカーをはじめ、パラリンピック競技種目をみたり、体験したりする機会を通して、障害者スポーツへの関心を高め、障害のある人とない人の交流を促進します。所管:スポーツ推進課 ② 文化・芸術活動の振興 ・障害者の芸術活動を支援するために、創作の場や展示の場の充実、作品展や発表会等のイベント開催等を推進します。所管:障害者福祉課 ・文化・芸術に親しむ機会の充実を図るため、誰もが安心して利用できるよう文化施設のバリアフリー化や鑑賞サポートの推進を図ります。所管:文化観光課 ・障害者が文化芸術活動を通じて、子どもや高齢者、幅広い活動分野の人たちとともに文化芸術活動を行い、交流機会の創出を支援することで、社会参加の推進や障害者理解の促進を図ります。所管:障害者福祉課 ・区立図書館では、活字による読書が困難な方への音訳図書、点字図書、さわる絵本、マルチメディア・デイジー図書等の貸出や来館困難な方への自宅配本を行っています。また、区内特別支援学級への情報提供をはじめ、品川特別支援学校への団体配本や訪問おはなし会、音声ガイドと字幕付きの「バリアフリー映画会」、手話通訳を配した「バリアフリーおはなし会」の開催等を通じて、支援の充実を図ります。所管:品川図書館 (p.54) テーマ4.地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進    区では、品川区障害者計画で掲げる「共に生きる、共に暮らす地域社会」を実現するため、障害者差別の解消と障害者理解の促進等の普及啓発活動の充実を推進してきました。  しかしながら、障害福祉計画の基礎調査では、障害者の約3人に1人、障害児と保護者では半数以上が障害者差別を感じており、依然として高い水準にあります。  平成30年10月には、東京都障害者差別解消条例の施行に伴い、民間事業者に対する「合理的配慮の提供」が義務化され、これまでの区職員に加えて、民間事業者に対する積極的な普及啓発が求められています。  地域交流の推進では、障害のある人もない人も一緒に楽しみ触れ合うことを目的として 開催される「ふくしまつり」等の取り組みや、各障害者施設における地域住民との交流等の取組みを引き続き継続し、障害者理解の促進を図る必要があります。  また、未来を担う子どもたちが、障害者一人ひとりの人格や個性を尊重できるよう教育のインクルージョンの推進が求められています。   <取り組みの方向性> 心のバリアフリーの推進 ① 障害者差別解消法の取組みの推進と障害者理解の促進 ・障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会を実現するための取り組みを推進します。所管:障害者福祉課 ・区では「品川区における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領」に基づき、職員研修を実施しています。引き続き、障害者差別解消法の取り組みの推進と障害者理解の促進を図ります。所管:障害者福祉課、人事課 ・障害者差別解消法ハンドブックを各種イベントで配布、要請に応じて民間事業者に講師派遣を行う等、民間事業者に対する積極的な周知を行います。所管:障害者福祉課 ・障害者差別解消支援地域協議会を活用し、地域における障害者差別解消と障害者理解促進の取り組みを進めます。所管:障害者福祉課 ・「品川区虐待防止ネットワーク推進協議会」において、障害者に対する虐待等の早期発見やその被害者の適切な保護や支援を図るとともに、関係機関の連携を強化し虐待のない地域社会を目指します。所管:障害者福祉課、人権啓発課 (p.55) コラム③「障害者差別解消法に対する区の取り組み」  区では、障害のある人もない人もお互いに、人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会をつくることを目指しています。  障害および障害者の理解促進・普及啓発や合理的配慮の提供を促進するため、以下の取り組みを行っています。 主な取り組み内容 ①障害者差別解消法ハンドブックの配布  障害者差別解消法ハンドブックを区役所窓口や地域センター、保健センター、図書館、各種イベント等で配布し、障害者差別解消法の普及啓発に努めています。 ②遠隔手話通訳サービス(みえる通訳)の実施  手話を使う方が区役所の窓口で相談や手続きに利用できる遠隔手話通訳サービスです。区役所外にいる手話通訳スタッフがタブレット端末のビデオ通話機能を利用して、手話を同時通訳します。 ③品川区障害者差別解消支援地域協議会の開催  差別解消に係る事例、障害および障害者の理解促進・普及啓発等について、協議会で情報共有して、障害者差別解消の取り組みについて検討します。 (p.56) ② 地域交流の推進 ・障害者団体やボランティア団体、社会福祉協議会等の協力のもとで「ふくしまつり」や「障害児(者)と家族のレクリエーション大会」を障害者が参加する実行委員会形式で開催し、地域住民と交流して障害者理解の促進を図ります。所管:障害者福祉課 ・区内の障害者施設で、地域住民に対して障害者イベントへの招待、施設の地域開放を行い、地域交流と障害者理解の促進を図ります。所管:障害者福祉課 ・障害者週間等における障害理解のための啓発イベント・講座等の充実を図り、多くの区民が障害への理解を深めることができるよう、取り組みを推進します。所管:障害者福祉課 ③ 地域生活等への移行の推進 ・不足する障害者グループホーム等の障害福祉サービス等事業所の整備を進めるとともに、施設入所者の地域生活への移行、福祉施設から一般就労への移行を図り、障害者が地域で生活をする支援を行っていきます。所管:障害者福祉課 ・精神科病院に入院中の精神障害者等の地域生活への移行を図るとともに、安定した生活ができるよう、多職種支援によるメンタルチームサポート事業を継続する等、保健、医療、福祉の関係者による地域の支援体制を強化し、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進めます。所管:保健センター ・「品川区地域自立支援協議会」において、地域における障害者への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、障害のある人のニーズや既存の障害福祉サービス等の整備状況を考慮したうえで、地域の実情に応じた体制の整備について協議していきます。所管:障害者福祉課 (p.57) ④ ユニバーサルデザイン、おたがいさま運動の普及啓発 ・ユニバーサルデザインの考え方を基にした「おたがいさま運動」を周知し、理解促進を図るため、引き続き、区?、区?学校児童等を対象にした研修等をより一層充実させていきます。所管:福祉計画課 <取り組みの方向性> 教育のインクルージョンの推進 ・学校における交流及び共同学習の充実を図り、障害のあるなしにかかわらず、共に触れ合い、共感し合うことを通して、すべての子どもたちが共に生き、共に学ぶ地域社会の実現を目指します。所管:教育総合支援センター ・区立学校において、障害のある子どもが、学習活動に参加している実感や達成感を感じながら、充実した時間を過ごせるよう、合理的配慮の提供や、多様な学びの場(特別支援学級固定級(知的、自閉症・情緒、病弱)、通級指導学級(言語、難聴)、特別支援教室)を設置し、多様な個性を持つ子どもたちがお互いを認め、尊重し合いながら学ぶ環境を整えます。所管:教育総合支援センター ・教育のインクルージョンを推進するため、特別支援学級、通級指導学級、特別支援教室向けの研修会等を計画的に実施するとともに、初任者研修等の年次研修等の機会を捉え教員への理解啓発を促進します。所管:教育総合支援センター