品川区長期基本計画 2020-2029 令和2年度▶令和11年度 輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ 品川区 2020年4月 令和2年4月 品川区民憲章  品川区は、東に東京湾を擁し、西にはるか富士を望み、国際都市東京の表玄関に位して、江戸の昔から交易の拠点となり、我が国文化と産業の発祥地として、あまねく都民の心のふるさとであります。  わたくしたちは、この輝かしい歴史と伝統を誇りとし、文化の香り豊かな近代都市への発展を目指して、ここに区民憲章を制定いたします。 一、 わたくしたちは、自由と平等を基本理念として、住民自治を確立し、進んで区政に参加します。 一、 わたくしたちは、心の触れ合いを大切にして、互いに人権を尊重し、人間性豊かな環境をつくります。 一、 わたくしたちは、古きよき歴史と伝統を守り、さらに生活文化を発展させ、これを後世に伝えます。 一、 わたくしたちは、自然を大切にして、生活との調和をはかり、健康で豊かな区民生活を目指します。 一、 わたくしたちは、自立と連帯の精神に支えられた、思いやりと生きがいのある地域社会をつくります。  制定 1982(昭和57)年10月1日 品川区長期基本計画の策定にあたって  本区では、区民と区との共同指針である品川区基本構想の実現に向け、2009(平成21)年に品川区長期基本計画を策定し、実効性のある取り組みを推進してきました。  このたび、前計画が2018(平成30)年度をもって終了したことから、品川区のさらなる発展・飛躍に向けた歩みを確かなものとするため、新たな長期基本計画を策定しました。  新しい長期基本計画は、区における最上位の行政計画として、今後10年間の総合的な取り組みを示すものであり、時代の潮流や区民の多様なニーズを踏まえるとともに、少子高齢化や人生100年時代など、中長期的な社会課題も考慮した未来志向の計画です。  前計画を策定した2009(平成21)年以降、世界規模の経済の長期低迷や、東日本大震災をはじめとする多くの自然災害の発生、ICT(情報通信技術)等の技術革新の進展など、これまでの想像を超える社会経済状況の変化がありました。今後もさまざまな分野でさらに大きな変化が生じることが見込まれます。  また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や、リニア中央新幹線・羽田空港アクセス線の開業予定などもあり、街並みや人の流れにも大きな変化がもたらされるでしょう。  このようなことを踏まえ、前計画から構成を大きく変更し、政策分野を「地域」「人」「安全」の3つに大くくり化してより分かりやすく示すとともに、変化の激しい時代に将来をしっかりと見据えるため、①超長寿社会に対応する視点、②多文化・多様な生き方を尊重する視点、③強靱で魅力あるまちを未来につなぐ視点、④先端技術を活用して課題解決と発展を図る視点から成る「未来につなぐ4つの視点」を掲げて策定しています。  計画素案の策定にあたっては、学識経験者、区内関係団体の皆さま、公募の区民の皆さま、区議会議員の方々などの参加を得た品川区長期基本計画策定委員会において、活発なご審議をいただき、幅広い視点で検討された答申をいただきました。  また、世論調査、在住者・来訪者アンケート、区内活動団体等へのアンケート・インタビュー、区政モニター集会等を通じて数多くのご意見をいただき、パブリックコメントでは600件近くものご意見が寄せられました。  審議にご尽力いただいた策定委員会の方々をはじめ、貴重なご意見をお寄せいただいた皆さまに対し、厚くお礼申し上げる次第です。  私は、この新しい長期基本計画を着実に実行し、区のさらなる発展を推し進めるとともに、訪れたい、住みたい、住み続けたいと思っていただける品川区を全力で築いてまいります。区民の皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げます。 令和2年4月  品川区長 濱野 健 特別寄稿 品川区基本構想の実現に向けた「4つの視点と3つの政策分野」  品川区長期基本計画策定委員会委員長 青山 佾(やすし)    2008(平成20年)に区議会の議決を経て策定された品川区基本構想は、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」を区の将来像として定めました。  活気に溢れ国際性に富んで発展するまちは、多くの人に働く機会をもたらすとともに、福祉や教育、まちづくりのための財源を確保します。そういうまちでこそ、人々の笑顔が輝き、住み続けたいと思うでしょう。そういう思いがこの基本構想には込められています。  基本構想が定められてから10年の間に、超長寿社会の進行、情報通信技術の発展、相次ぐ自然災害の発生など、私たちを取り巻く社会経済状況には大きな変化がありました。しかし基本構想が定めた将来像や目標は現在も変わりません。  「暮らしが息づく国際都市、品川区をつくる」「伝統と文化を育み活かす品川区をつくる」「区民と区の協働で、私たちのまち品川区をつくる」という基本構想の3つの基本理念も現在に生きています。  今回の新しい長期基本計画は、この基本構想の実現に向けて、目標年次である2029(令和11)年までに想定される課題やその後を見据え、次の4つの視点を踏まえています。  第1は、超長寿社会に対応する視点です。品川区における平均寿命は、2005(平成17)年から2015(平成27)年の10年間に男女とも約2歳、長くなっています。すべての人が元気に活躍し、安心して暮らすことができる社会をつくっていく必要があります。  第2は、多文化・多様な生き方を尊重する視点です。性別、年齢、障害の有無、国籍・文化的背景などにかかわらず、一人ひとりが尊重され、誰もが参画・活躍できる地域社会をつくっていく必要があります。  第3は、強靱で魅力あるまちを未来につなぐ視点です。大規模自然災害に対し、自助、共助、公助による災害対策を今後も推進する必要があります。また、将来にわたって住みたいと思える、活気と魅力あふれる地域コミュニティをつくっていく必要があります。  第4は、先端技術を活用して課題解決と発展を図る視点です。情報通信技術やロボット等の発達を活用して、人々の働き方や生活様式、健康管理、教育、産業の創出・発展など、区民生活のあらゆる分野で課題解決と発展に向けた取り組みを進める必要があります。  今回の長期基本計画は、これら未来につなぐ4つの視点に基づいて取り組むべき施策を、  「地域 にぎわい 活力」(コミュニティの活性化でにぎわいと活力のあるまちに)  「人 すこやか 共生」(多様な生き方を認め合い誰もがすこやかに暮らせるまちに)  「安全 あんしん 持続」(まちの安全を強固なものにし住みよいまちに) の3つの政策分野で構成しています。それぞれの分野に属する施策は、相互に連携しながら区民のニーズに応える取り組みを進めていくことになります。  この長期基本計画をもとに、区が総合実施計画をつくり、具体的な事務事業を年次計画により示し、さらに毎年度の予算を編成し区議会の議決を経て事業を執行していくことになります。  このように、いきなり毎年度の予算を編成するのではなく、基本構想、長期基本計画、総合実施計画そして毎年度の予算という各段階を通じて区民に案を示し、区民の意見を施策に反映させていく進め方は透明性に優れていて、区民の意志を区の施策に反映する方法として、また、縦割り行政の弊害を防ぐ方法として、自治体の民主主義にとって大切な手段だと思います。  区民にとって区の計画は目標達成年次やそこに至るプロセス、そして計画を実施した結果、区民の生活がどうなるかなど全体像がわかるようになっているので、区の政策のあり方について考え、議論するのにいい材料になると思います。  今回の品川区長期基本計画策定委員会では、区民や区内各種団体、区議会議員の代表、そして区の各種審議会等に参加する学識経験者が熱心に議論を重ねて案をつくりました。品川区だからこそできる、区民と区の協働による先駆的な取り組みといっても過言ではないでしょう。  これからも新たな課題が発生することはあると思います。まちづくり、教育、福祉、環境、安全、その他いずれの分野をとっても、地域における区民の活動を主体として取り組んでいくことが大切です。それを基本に区の政策が形成されていくべきでしょう。  品川区には、永く受け継がれてきた地域の助け合いの伝統があります。基本構想と長期基本計画も、多くの区民の参画と協力を得てつくられました。この長期基本計画を活用して頂ければ幸いです。 目次 品川区長期基本計画 品川区長期基本計画の策定にあたって 品川区長 濱野 健 <特別寄稿> 品川区基本構想の実現に向けた「4つの視点と3つの政策分野」 品川区長期基本計画策定委員会委員長 青山 佾(やすし) 第1章 総論 1ページ [1]計画の基本的な考え方 1ページ 1 策定の目的 2ページ 2 策定の視点と計画の体系 2ページ 3 計画の期間 8ページ 4 計画の目標 8ページ 5 計画の位置づけと役割 10ページ 6 計画の進行管理 11ページ [2]策定の背景 13ページ 1 社会経済状況の変化  14ページ 2 人口動向・推計    15ページ 3 世論調査等の結果   18ページ 4 品川区プロフィール  20ページ 第2章 各論  23ページ [1]「地域」「人」「安全」の3つの政策分野 23ページ 1 地域 にぎわい 活力 23ページ  政策の柱1  誰もがつながる魅力ある地域社会の実現 30ページ  政策の柱2  学びとスポーツの楽しさが拡がる環境づくり 34ページ  政策の柱3  伝統・文化を継承し親しむ環境づくり 38ページ  政策の柱4  地域の活力を高める産業の振興 42ページ  政策の柱5  まちの魅力を活かした都市型観光の推進 46ページ  政策の柱6  魅力的で良好な都市景観の形成 50ページ  政策の柱7  水と親しむみどり豊かなまちづくり 54ページ 2 人 すこやか 共生 59ページ  政策の柱8  地域における共生社会の実現 62ページ  政策の柱9  生涯を通じた健康づくりの推進 66ページ  政策の柱10 子どもの笑顔があふれるまちの実現 70ページ  政策の柱11 未来を切り拓く学校教育の推進 74ページ  政策の柱12 青少年の成長と自立の支援 78ページ  政策の柱13 高齢者が安心して暮らせる環境づくり 82ページ  政策の柱14 障害のある人がいきいきと暮らせる環境づくり 86ページ  政策の柱15 平和で人権が尊重され多様性を認め合う社会の実現 90ページ 3 安全 あんしん 持続 95ページ  政策の柱16 区民を災害から守る対策の推進 98ページ  政策の柱17 地球環境にやさしいまちづくり 102ページ  政策の柱18 安全と安心を体感できる地域社会の実現 106ページ  政策の柱19 区民と進める交通安全のまちの実現 110ページ  政策の柱20 地域特性を活かした計画的なまちづくり 114ページ  政策の柱21 快適な交通環境の整備 118ページ [2]変化に対応する区政運営 123ページ 財政収支の見通し 129ページ 品川区長期基本計画とSDGs 133ページ 用語解説 139ページ 付属資料 153ページ