品川区新総合庁舎整備 実施設計概要 2025年2月品川区 現庁舎は築56年を経過しており、経年劣化が多くみられることから、区庁舎 の在り方の検討を進めてきました。 本資料は令和7年4月の工事発注にあたり、今まで検討してきたハード面・ ソフト面それぞれの内容について、取りまとめたものです。 なお、掲載した内容については、事業等の進捗に伴い変更となる場合があります。 目次 1、はじめに 3ページ 2、計画概要 4ページ 3、外観イメージ 5ページ 4、内観イメージ 6ページ 5、配置計画 7ページ 6、環境計画 8ページ 7、防災計画 10ページ 8、アクセシビリティ計画 12ページ 9、緑化計画 15ページ 10、窓口・事務・区民交流スペース等 機能 16ページ 11、フロア配置計画 17ページ 12、平面 計画 18ページ 13、立面計画 29ページ ○3ページ、 1.はじめに ■今までの経緯 ・新庁舎 整備にあたっては、令和2年度から機能検討に着手し、令和5年度から実施した  「基本設計」では、必要となる基本性能について検討しました。 ・令和6年1月には、誰にでもやさしく便利で機能性にあふれた庁舎の実現に向け、  その基準となる「品川区新総合庁舎アクセシビリティ整備の手引き」を策定しました。 ・令和 6 年 8 月には、基本設計概要についてオープンハウス方式による説明を  区内 6 箇所で開催し、令和 6 年度より着手した「 実施設計」では、  今までの検討内容の具現化など、工事の発注に向けより詳細な検討を進めてきました。 ・今後、令和 7 年秋には工事に着手し、令和 11 年度の開庁を予定しています。 令和2年度〜、■機能検討、現状の課題の整理、導入機能を検討 令和3年度〜、■基本構想、基本理念・基本方針、新庁舎の規模などを検討        ■オフィス環境調査、実態把握と結果分析から、庁舎必要規模を算定 令和4年度〜、■基本計画、敷地条件に基づく施設計画素案や建設諸条件を検討        ■オフィス環境整備方針の策定、オフィス環境に関する方針や考え方取りまとめ 令和5年度〜、■基本設計、新庁舎に必要な基本性能を決定        ■アクセシビリティ整備の手引き策定、利用しやすさの基準を整理 令和6年度〜、■実施設計、工事の発注等に必要となる性能・レイアウトなどの具現化 令和7年度〜、■工事、設計図書に基づき新庁舎を建設        ■移転準備業務、移転や建設工事に含まれない工事などの調整、什器調達 令和11年度、開庁 ■新庁舎のコンセプト ・区が目指す「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」の実現に向け、  その中枢を担う新庁舎のコンセプトを、Wellbeing & Inclusion Shinagawa WISH   とし、未来に希望(WISH)の持てる品川区政と新庁舎をつくります。 ・区民の幸福(しあわせ)すなわち、ウェルビーイングの実現とともに、お互いの個性を認め合い、  人と人がつながり支え合う寛容な地域社会を目指します。 ・併せて3つのキーワードが柱となり、コンセプトを支えます。 ○4ページ、 2.計画概要 ■敷地概要 計画地:東京都品川区広町二丁目2番5号 敷地面積:約8,340u 用途地域:第一種住居地域(再開発等促進区を定める地区計画区域内 防火指定:防火地域 指定容積率:200%(都市計画変更後の容積率 600%) 指定建蔽率:60%(角地緩和と耐火建築物による緩和により法定建蔽率は80%) 前面道路:北側幅員17m、東側幅員16m ■建物概要 建築面積:約6,670 u(建蔽率約80u) 容積対象延床面積:約50,000u (容積率約600%) 延床面積:約60,800u 最高高さ:平均GL+ 約 64.4m 階数:地下2階 地上14階 構造:地下部分:鉄骨鉄筋コンクリート造    地上部分:鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)    免震構造 基礎形式:場所打ちコンクリート杭 ■案内図 計画地周辺を示した図 ○5ページ、 3.外観イメージ 新庁舎を南側から見たイメージパース ○6ページ、 4.内観イメージ 低層階窓口エリアのイメージパース、執務スペース・ミーティングスペースのイメージパース ○7ページ、 5.配置計画 ■基本的方針 ・新庁舎を含む広町地区の敷地は、周辺との高低差があるため、  バリアフリーとなる歩行者動線歩行者専用通路1号(仮称)を、  新庁舎3階レベルで整備します 。 ・歩行者専用通路1号は、デッキにより大井町駅から新庁舎、  将来的にはしながわ中央公園方面へ接続します。 ・新庁舎のエントランスは、3階のほか、1階と2階にも設け、  多方面から誰をも受け入れるアクセス動線を確保します。 ・各方面からの動線結節点には、オープンでフレキシブル性の高い空間となる  広場3号仮称を整備し、庁舎との機能連携による一体的な利用を図ります。 ・新庁舎周辺の配置計画図 ・A−2地区から望む広場3号イメージ図 ・広場3号イメージ図 ・歩行者専用通路1号イメージ(東側)図 ○8ページ、 6.環境計画 ■基本的方針 ・品川区は2023年6月に、2050年度までに二酸化炭素排出実質ゼロを目標とする  「ゼロカーボンシティしながわ宣言」を行いました。 ・持続可能な目標であるSDGsの達成に向けて、優れた取り組みを提案する都市として、  内閣府から2024年度の「SDGs未来都市」に選定されました。 ・これらを背景に、新庁舎においても脱炭素型庁舎を目指し、環境にやさしい施設づくりを推進します。 ・運用段階においても持続的な環境負荷のさらなる低減に向け、状況の変化にも機敏に対応できる技術などを導入します。  将来的には、ペロブスカイト太陽電池などの次世代技術の活用について検討します。 環境性能評価の認証取得 ■ZEB ・Net Zero Energy Building (ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。 ・快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。 ・ZEB は 4 段階で評価され、新庁舎は再生可能 エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50% 以上の  一次エネルギー消費量削減に適合した建築物である「ZEB Ready」の認証取得を予定しています。 ・品川区は、自らのZEB導入計画やZEB導入実績などを一般に公表する先導的建築物の所有者として、  「ZEB リーディングオーナー」に登録し、現在までに10施設でZEB(ZEH)含む認証を取得しました。 ・今までの経験などは 、新庁舎整備に活かしています。 ■CASBEE (建築環境総合性能評価システム) ・CASBEE (キャスビー)とは、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、  建物内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質について、総合的に5段階で評価する指標です。 ・新庁舎は、CASBEE建築、CASBEEウェルネスオフィスの2種類で「Sランク(優れた)」の認証取得を予定しています。 ・CASBEE建築は、「室内環境」などが評価項目となる建築物の環境品質・性能と、「エネルギー」などが  評価項目となる建築物の環境負荷低減性を組み合わせて評価を行います。 ・CASBEE ウェルネスオフィスは 、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援するための建物の仕様や性能、  取り組みなどを評価する指標です。建築物の「 環境性能」に加え、「健康性・快適性」「利便性向上」などを  組み合わせて評価を行います。 施設運用後も 、さらなる省エネを推進 ■BEMS によるエネルギー管理と見える化 ・Building Energy Management System (ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)の略称で、  「ベムス」と呼びます。 ・施設全体のエネルギー使用量を一元管理・分析し、自動制御により室内環境とエネルギー性能を  最適化した運転ができるシステムです。 ・人や温度のセンサーと制御装置とを組み合わせ、照明や空調などを制御し、最適なエネルギー管理を行います。 ・太陽光発電や地中熱利用など、省エネ技術による効果は、職員や来庁者へわかりやすく表示見える化をすることで、  環境意識の更なる向上に繋げます。 ・BEMSによる管理状況の事例図 ・省エネ効果の表示事例図 ■自然換気システム ・執務エリア内に煙突状の吹き抜け空間(階段室)を設け 、煙突効果で生まれる吹き抜けの上昇気流と、  自動的に開閉するトップライトの換気窓によって自然換気を促し、執務エリア内に新鮮な外気を 取込みます 。 ・建物全体の風通しを良くすることで、春や秋の中間期の機械空調の運転抑制に寄与します。 ・上昇気流を誘引する吹抜イメージ図 ・トップライト頂部の換気口を示した図 ■人感センサー照明 ・トイレや階段などの照明は、センサーが人の動きを検知して、人がいる時は点灯し、  いなくなれば自動的に消灯する「人感センサー照明」を設置します。 仕上げ材も環境に配慮 ■明るい仕上げ色 ・壁や天井の仕上げ色は、光を反射し効果的に室内を明るく見せる白を基本とし、床の仕上げ色も、  反射率の高い明るい色を使用します。 ・執務室等は明るさを自動検知し、照明器具の光量を自動制御する「昼光センサー」と組み合わせることで、  照明の明るさを抑えます。 ・明るい仕上げの事例を示した図 ■機能的な仕上げ材 ・廃材を再利用して生まれたエコマーク認定品や、長期使用を想定し、コストと耐久性を考慮した質実な仕上げ材を使用します。 ・ビニル系床材はワックスフリーとし、メンテナンス時における環境負荷を低減します。 ・ビニル系床材の事例写真 ■木材利用 ・来庁者を迎え入れるエントランスやエレベーターホールの仕上げ材の一部などで 、木材を使用します。 ・多摩産材や、品川区と木材利用促進などに関する協定を締結している高知県産材など、国産材を積極的に利用し、  「植える→育てる→伐る→使う」といった循環から、国内の森林の適正な整備、保全に寄与します。 ・柔らかで温かみのある空間を創出し、 来庁者などのウェルネス向上につなげます。 ・温かみのある木材の質感の事例写真 ○9ページ、 脱炭素型庁舎に向けた、様々な技術を活用 ・日射遮蔽などの「パッシブ技術」によりエネルギー 使用量を減らし、高効率空調などの「アクティブ技術」  によりエネルギーを無駄なく使用し、太陽光発電による「創エネ技術」によりエネルギーを自給自足することで、  脱炭素型庁舎を目指します 。 ■議場屋根面の緑化 ・議場は天井が高く、最上階に位置することから、 夏場における室温上昇を防ぐため、  太陽光が直接当たる屋根面には、緑化を施します 。 ■太陽光発電パネル ・未来に向け持続的にエネルギーを自給自足する太陽光発電パネルを、来庁者が見られる場所  (広場3号の大屋根・ 南側壁面)に設置します。 ・壁面のパネルは、角度をつけて設置することで発電効率を高めます。 ・発電容量は、大屋根と壁面合わせて約80kWです。将来的にはペロブスカイト太陽電池などの次世代発電についての  検討を進めます。 ■蓄電池 ・インフラ途絶時の電源対応 のほか、平時は夜間電力などに使用します。 ・蓄電容量は約35kWh です 。 ■空調 ・熱源機器から各所の空調機に冷水、温水を供給する中央熱源方式と、各所に熱源室外機が配置される個別熱源方式を  併用することで、効率的な空調運転に寄与します。 ・機器類は 、高効率機器を選定します。 ・個別熱源方式の室外機は、冷媒の搬送動力削減による省エネルギーに配慮して、各階の設備バルコニーなど  室内機と近接した位置に設置します。 ・潜熱(湿度を変化させるための熱)と顕熱(温度を変化させるための熱)を別々に処理する「潜顕分離空調」とし、  高い省エネルギー性を実現します。 ■蓄熱槽 ・蓄熱槽は、空調で使用する熱を蓄える大きな容器です。 ・エネルギー需要が少ない夜間に熱源を運転して、空調に必要となる冷熱を作り 蓄熱槽にためておき、  日中にその熱を取り出して空調に使用することで、日中の冷房負荷のピークカットにつなげます。 ■地中熱利用 ・中央熱源は、年間を通して温度差が少なく安定して いる地中熱を利用する、地中熱水冷チラーをベース熱源とします。 ・夏季は、地中への放熱を利用する冷房、冬季は、地中からの採熱を利用する暖房に活用します 。 ■外皮断熱 ・外皮断熱とは、建物の室内と屋外の境界となる部分外皮の熱を伝わりにくくする技術です。 ・外壁面には、厚さ35oの断熱材を敷設します。 ・窓ガラスは、熱の伝わりを抑えるLow−E複層ガラスを使用します。 ・外壁の断熱性能や、ガラスからの日射遮蔽を高めることで、室温が外気温に左右されにくくなります。 ■マイクロコジェネレーションシステム ・ガスエンジン発電機により発電し、その際発生する熱を冷暖房などに有効活用することができるシステムです。 ・一般的な発電と比較して、エネルギー効率が高く、省エネに寄与します。 ■水平庇 ・約1.8mの水平庇を設けることで、特に夏季は、窓からの直射日光を和らげ、執務空間の空調負荷を低減します。 ■外周分散コア ・空調機械室やトイレや階段などの「コア」と呼ばれる 部分を 外周部に分散させ配置し、  執務エリアや来庁エリアなどの空調を必要とするエリアは、その内側 に配置しています。 ・コアが空調を必要とするエリアを取り囲むよう配置することで、断熱性能をさらに高め、  内部の室温が変化しにくい計画として います 。 ○10ページ、 7.防災計画 ■基本的方針 ・庁舎は区民を守る防災指令拠点として災害応急活動などを担うことから、機敏に対応できるよう  十分な耐震性や安全性を備えた建物計画とします。 ・インフラ 途絶 時において も 、庁舎 機能を持続できる計画とします 。 ・帰宅困難者対策として、一時滞在施設の整備とともに、専用の備蓄倉庫を備えます。 地震対策 ・構造体の耐震安全性は、現在の耐震基準の5割増しとなる、 最高レベルの設計(T類)とします。 ・非構造部材や建築設備についても、耐震安全性を確保し、地震災害時にも機能を維持します。 ・大空間の執務エリアは、天井の仕上げ材の無い「スケルトン天井」を基本とし、地震時の天井落下のリスクを低減します。 構造体 T類 大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて 十分な機能確保が図られている。 建築非構造部材 A類 大地震動後、災害応急対策活動や被災者の受け入れの円滑な実施、または危険物の管理のうえで、 支障となる建築非構造部材の損傷、移動などが発生しないことを目標とし、人命の安全確保に加えて 十分な機能確保が図られている。 建築設備 甲類 大地震動後の人命の安全確保および二次災害の防止が図られていると共に、大きな補修をすることなく、 必要な設備機能を相当期間継続できる。 令和3年度 官庁施設の総合耐震・対津波計画基準及び同解説( 国土交通省)より ※建築非構造部材:天井材 、照明器具、窓ガラス・窓枠、外壁仕上げ材など ※建築設備:配管、ダクト、ケーブルラック、キュービクル、発電機など 免震構造概要 ・首都直下地震などの地震動を考慮し、地震の揺れ が建物 や内部の機器類に直接 伝わりづらい「免震構造」を採用します。 ・大規模地震時でも、建物や内部 機器類などへ の被害を最小限にとどめることで業務継続が可能となります。 ・免震装置は、バランスよく配置し、より効果の高い組み合わせとします。 ・地上階と地盤とが接する部分には、地震時における建物の変位に備えて適切なクリアランスを確保し、  免震エキスパンションジョイントを設置します。 免震構造:建物と地盤や、梁と柱 の間に、免震装置を設置し、建物の揺れをやわらかい揺れへと抑制する構造。      他の構造と比較し、最も建物の揺れを抑えることができ、空間の自由度の制約も生じない。 導入する免震装置 ・アイソレーター:建物を支え、地震のときに建物をゆっくりと移動させます。 ・ダンパー:アイソレーターで移動した建物を、ダンパーが抑える働きを します。 ○11ページ、 ライフライン対策 ■電力 ・非常用発電機とオイルタンクを設置し、停電時においても、平常時に使用する照明やコンセント、  空調の約50%、換気の100、一部のエレベーター が継続して稼働できる計画とします。 ・停電リスクを回避するため、本線と予備線による2回線の受電方式とします。 ・太陽光発電やマイクロコージェネレーションシステムによる複数の発電により、災害時のエネルギーバックアップの強化を  図ります。 ■通信 ・停電時にも情報収集できるように、防災無線、電話などの各機器には、非常用発電機により電源の供給が可能です。 ■給水 ・受水槽には、感震器により作動する遮断弁を設け、万一庁舎内の給水配管が破損しても、上水受水槽の水を利用することが  可能です。 ・トイレの洗浄水などの雑用水は、地下ピット内の雑用水槽や防災井戸の設置により確保します。 ■排水 ・下水道が利用できない場合でもトイレなどの排水が継続利用できるよう 、汚水槽の容量は余裕をもたせた計画としています。 ■ガス ・ガス管破断による供給停止のリスクが低い中圧ガスを引き込みます。 ・中圧ガスを利用したマイクロコージェネレーションシステムを稼働させることにより、発電機としても活用します。 ・空調熱源の一部は、ガスを利用することにより、停電時における冷暖房の稼働範囲を拡張させます。 BCP計画 ・7日間の業務を継続できる計画としています。 火災対策 ・避難階段を北・東・西面に設置することで、複数の避難経路を確保します。 ・吹き抜け空間には、防火シャッターを設けることで、炎や煙を封じ込め、周囲の避難経路を確保します。 ・火災時も稼働する非常用エレベーターを設置します。 ※非常用エレベーター:火災時に1階の防災センターにて制御し、消防隊が消火作業および救出作業に使用するもの ・来庁された方が迷わず安全に避難できるよう、エレベーターホールや会議室内には避難経路図を掲示します。 浸水対策 ・本計画地は、浸水ハザードマップにおいて浸水想定区域(0.5m未満)に該当しており、浸水リスクに備えた設計としています。 ・1階床面の高さは、敷地内の最も低い部分より約80cm高くします。 ・想定を超える水害発生に備え、1階廻りの出入口付近 に脱着式の防潮板(高さ50cm)を設置することが可能な設えとします。 ・重要度の高い受変電設備や非常用発電機などは6階に集約して計画し、浸水に対する安全性を高め、庁舎機能を維持します。 ・防潮板設置時の事例写真 帰宅困難者対策 ・JR東日本が整備するA地区を含む広町地区全体で、約 3,250人の帰宅困難者を受け入れます。 ・3階の区民交流スペース(多目的スペース)や、来庁者エリアの一部を一時滞在施設として提供します。 ・備蓄品として、食料やペットボトル、毛布を用意します。 ○12ページ、 8.アクセシビリティ計画【エレベーター・階段・エスカレーター】 ■基本的方針 ・誰にでもやさしく便利で機能性にあふれた 庁舎の実現に向け、その基準となる  「品川区新総合庁舎 アクセシビリティ整備の手引き」を令和6年1月に策定しました。 ・アクセシビリティ“Accessibility”とは、「施設およびサービスなどの利用の容易さ」のことです。 ・この手引きを遵守し、アクセシビリティの高い庁舎の実現を目指します 。 ■エレベーター ・来庁者用エレベーター(メインEV) かごの大きさ:幅200p×奥行175p 扉の幅:110p ※ストレッチャー対応機は、別途設置 ・屋外エレベーター かごの大きさ:幅200 p×奥行175 p (一部幅180p×奥行150 p) 扉の幅:110 p ・扉には窓を設け、かごの中が見える仕様とします。 ・視覚 障害のある方に 配慮し、点字表示・文字の浮堀のある ボタン、音声案内装置を設置します。 ・聴覚 障害のある方に 配慮し、扉開閉時のランプ点灯、階数などの ディスプレイ表示を行います。 ・かご内にはカメラを設置し、防犯対策とともに、聴覚障害のある方の緊急時の対応にも活用します 。  カメラ映像は1階防災センターで映します。 ・車いす使用者に配慮し、かご内には、手すり、鏡扉の開延長ボタンを設置します。  また、車いす使用者専用のボタンを押した際は、開閉時間を通常より長くします。 ■階段 ・庁舎内(来庁者)エリア 幅:140p〜180p 蹴上:15p〜16p 踏面:30p ・屋外エリア 幅:365p〜400p 蹴上:14p〜15p 踏?:30p〜33p ・手すりは両側に2段設置し、下段は 65 p程度、上段は85p程度とします。 ・蹴込みは 2cm以下にします。 ・踏面の仕上げは、滑りにくいものを使用します。 ・段?と踏?の明度・?相・彩度は、差を?きくし、識別し易くします。 ■エスカレーター ・エスカレーターの行き先や昇降方向、終点などを音声で案内します。 ・踏み段の端部は、四方を黄色で囲い、立ち位置や端部の境界がより明確になるようにします。 ・ロングスカートなどの衣服の巻き込みを防止するスカートガードには、照明を設置し、安全性をより高めます。 ○13ページ、 8.アクセシビリティ計画【トイレ】 ■トイレ ・各階にバリアフリートイレ(車いす使用者用便房)を設置し、サイズは200p×200p以上を確保します。 ・オストメイトや、おむつ替えなどに使用するベビーシートなど、一般トイレにも分散配置することで、  バリアフリートイレへの機能集中を避けます。 ・バリアフリートイレは、利き手の異なる場合を考慮し、フロアによってレイアウトの使い分けを行います。  また、大人も横になれる大型のシート(多目的シート)を設置します。 ・一般トイレ(男女それぞれ)内に、おむつ替えなどに使用するベビーシートを設置します。 ・子ども連れの多いフロアには、女子トイレ内に子ども用小便器、男子トイレには子どもが使用できる低リップの小便器を  設置します。併せて子供用便座を、トイレ内共用部に備え付けます。 ・利用者 と介助者、親と子で性別の異なる場合や、性別が限定されたトイレが使いづらい方にも安心して利用できるよう、  性別を限定しない個室トイレ(呼出ボタン付き)を設置します。 ・3階のバリアフリートイレには、介助を必要とする方 が移乗するための天井走行リフトを設置します。 ○14ページ、 8.アクセシビリティ計画【サイン・通路・扉・カームダウンルーム・音声案内・緊急時 対応・その 他支援】 ■サイン ピクトグラム ・子どもや、日本語 への対応が難しい外国人などの利用に配慮し、直感的に情報を理解しやすい「ピクトグラム(絵文字)」  を使用します。 ・ピクトグラムは、原則として国内で統?された規格であり広く用いられている「JIS 基準」を基本にわかりやすく表示します。 ・トイレと更衣室などの性属性を示すピクトグラムは、文字を併記することとし、補足的に配色で識別できるよう整備します。 サイン表示 ・目的の場所へのスムーズな誘導に向け 、ナンバリングや記号を組み合わせた表示を工夫するなど、  分かりやすいサイン表示を行います 。 ・マグネットシートやシート切り文字を活用し、貼り換えや更新しやすい仕様とします。 ・視覚障害のある方の利用に配慮し、階段手摺やエレベーター操作盤などには、点字を表記することにより、  円滑な移動ができるようにします。 ・サインの設置高さは、通常のサインと比較して低めにするなど、高齢者や車いす使用者にも配慮した寸法とします。 使用書体 ・書体は、多様な方にとって見やすいフォントを採用します。 ・字や行の間隔に余裕を持ち、遠方からでも読みやすい文字組とします。 ・サインの種類、設置場所、表示内容から、適切な太さの文字で表示します。 色(明度差) ・色彩については 、色覚障害のある方にもわかりやすいように、図と地色とのコントラストが十分明確になるようにします。  (明度差 5 以上) ■通路 ・車いす使用者や子ども連れ来庁者が円滑に通行できるよう、幅員を適切に確保します。 ・床材の表面は粗面、または滑りにくいものにします。 ・壁からの突起物を無くします。 庁舎内(来庁者)エリア 廊下有効幅:最小140p       最大450p 屋外エリア 廊下有効幅:最小180p       最大650p ■扉 ・車いす利用者や、ベビーカーなどを使用する子ども連れ来庁者の使用が想定される扉は、原則として引き戸とし、  必要に応じて自動ドアを採用します。 ・扉の前後には、高低差や段差を設けません。 ・開き戸など、ドアハンドル (ドアを開閉させるための取っ手)を設置する場合は、様々な方が利用しやすいよう  床面から90pの位置に設けます。 ・ドアハンドルは、操作性の良いものを設けます。原則として、引き戸では棒状のもの、開き戸ではレバーハンドル式  (L型)を採用し、握り玉は使用しません。 庁舎内(来庁者)エリア 扉有効幅85p以上 屋外エリア 扉有効幅:90p以上 ■カームダウンルーム ・カームダウンルームとは、人の多い公共空間でパニックに陥った時、気持ちを落ち着かせる部屋です 。 ・プライバシーを確保できるよう、専用の個室とします。 ・内装は、吸音性を持った柔らかい素材とし、色調は温かみのあるものとします。 ■音声案内 ・視覚障害のある方がエントランスの位置を見つけられるように、視覚障害者誘導用ブロックに加え、スピーカーでの  場所案内を行います。 ・来庁者用トイレでも音声案内を行います。 ■緊急時対応 ・緊急時の対応では、多様な利用者の円滑な避難に配慮した設備などを整備します。 ・各トイレには、地震や火災などの非常時に、各感知器と連動した光警報装置を設置し、  聴覚障害のある方にも音だけでなく視覚的にも異常を伝えるように配慮します。 ・エレベーター は、初期微動(P波)を感知すると、かご操作盤に文字による地震表示を行うとともに、  最寄階に速やかに着床させ、ドアを開くことで、利用者は安全に避難することができます。  本震が小さい場合には、自動的に通常の運転に復帰します。 ・安全な避難を目的に、わかりやすい避難経路図を掲示します。  出口ははっきりと目印を入れた平面図とともに、大きな文字で高いコントラストをつけて示します。 ■その他支援 ・障害がある方への支援アプリの活用検討など、アクセシビリティの更なる向上に努めます。 ○15ページ、 9.緑化計画 ■基本的方針 ・新庁舎は「品川区水とみどりの基本計画・行動計画(令和4年3月)」において、  「みどりの拠点」であるしながわ中央公園に隣接しており、  新庁舎敷地内でもまとまった緑のオープンな空間を整備し結ぶことで、みどりのネットワークの充実に寄与します。 ・地上、建物上、壁面緑化などにより、約 2,500uのみどりを創出します。 ・樹種は、敷地周辺で生息している樹木を参考に、隣接する JR 街区の緑化計画とも連携を図りながら選定します。 ・在来種を中心に選定すること で 、 地域 の生態系に影響を与えないようにし、低中高木をバランスよく配置することで、  単調とならないよう配慮します。 ・品川区生物多様性地域戦略(令和5年3月)に基づき、品川区に生息する蝶や野鳥の集まる食餌木などを配置し、  多様な生物種が生息する新たな空間を整備するとともに、触れ合いの場にも繋げます。 ■広場 3 号・デッキ部 ・敷地南側に整備される広場1号と広場3号とは高低差があり、立体的につなぐ壁面緑化などを設置することで、  連続的な緑化空間を創出します 。 ・大井町駅からしながわ中央公園方面をつなぐデッキ部では、歩行者が四季や彩りを感じながら歩くことができるよう、  落葉樹をポイントとして配置します。 ・歩行者が連続してみどりを感じながら歩くことができるよう、JR街区と連携した樹種を選定します。 ■屋上広場 ・品川区内5地区それぞれの特徴をもつ公園などと関連のある樹木を表現する植栽構成とします。 ・区民に広く開放し、散策や休憩が出来る、みどりを感じながら多世代が集い憩える空間とします。 ・散策路は、品川区の区章をモチーフとしたデザインとします。 ・植栽桝の立ち上がりの一部は、ベンチとしても利用ができ、みどりを感じながら多世代が集い憩える木漏れ日空間として  整備します。 ■緑化スクリーン ・日当たりのよい南側を中心に、壁面の一部に緑化を施し、建物自体で緑の豊かさを表現します。 ■憩いの場 ・高木に囲まれた緑豊かな憩いの場を整備します。 ・ベンチなどを 配置し、木々が放す香りや色彩、木漏れ日などを感じながら自由に過ごすことができる空間とします。 ・蝶や鳥が好む樹種を選定すると共に、巣箱やバードバスなどを設置し飛来を誘引します。 ※バードバス:鳥が水を飲んだり、浴びたりできるようにした、人工的な水たまり。 ○16ページ、 10.窓口・事務・区民交流スペース等機能 ■窓口機能 ・定型的な申請や手続きは、書かない・動かない・迷わない『ワンストップ窓口』で、その他の手続きは、上下移動なしに  フロアごとで対応した可変性の高い窓口レイアウトを導入します。 ■窓口サービスに関するこれまでの取組み ・これまで区で取り組んできた窓口のワンストップ化についての内容を整理し、窓口を所管する23課を「届出・証明」、  「福祉」、「子育て」、「まちづくり」の4つのグループに分けてヒアリングを行い、現状分析と課題抽出を行いました。 ・転入、転出、転居、証明交付、戸籍の届出、公金収納等の住民手続きについて、件数や時間等を調査し、ワンストップで対応する  手続き(47手続き)の選定を行いました。 ・これらの手続きの業務フローを作成し、関連する手続きをスムーズに進められるよう、検討を行っています。 ・現状の窓口サービスの実績を調査する「窓口体験調査」を実施し、調査から抽出された「書類を書く回数が多い」  「待ち時間が長い」などの現庁舎の窓口サービスにおける課題が改善できるよう、取組みを進めていきます。 ■窓口サービスに関するこれまでの取組み ・待ち時間の削減等の改善を目指すため、庁内横断型の検討体制をつくり、来庁者が必要とする手続きを確認できる  チェックシートの作成や申請書の集約化の検討など、業務の見直しを進めていきます。 ・来庁者が迷わずに手続きができ、プライバシーにも配慮したレイアウトの検討を進めます。 ・手続きにかかる時間の短縮につなげる窓口支援システムの導入を進めるため、先行自治体の導入事例の調査を行い、  アナログな業務の見直しだけでなく、デジタルの面からも窓口サービスの改善を目指します。 ■事務機能 ・現庁舎での課題を解決し、ワークスタイルイノベーションとして、「効率的な」、「区民と職員のプライバシーに配慮した」、「 新たな価値を創出 する」、 「ストレスのない」働き方の実現を目指します。 ■新庁舎で目指す新たなワークスタイル ★効率的な働き方 ・ペーパーレス化によるクリアデスク ・事務用品等の集約により効率的にスペースを活用 ★区民と職員のプライバシーに配慮した働き方 ・内容に応じた相談スペース ・明確なセキュリティ区分 ★新たな価値を創出する働き方 ・テレワークの推進により庁外からも円滑に業務 ・異なる部署の職員と気軽にコミュニケーション ★ストレスのない働き方 ・収納の天板を使ってすぐに打合せが可能 ・集中作業やWeb会議に参加する時は個室ブースを使用 ■区民交流スペース・サービス機能 ・情報発信や協働・交流の場となる 「区民交流スペース」や「サービス機能」 を庁舎内に設置します。  広場3号と一体利用できる「多目的スペース」などから、交流・にぎわいを創出します。 ■区民交流スペース @多目的スペース(3階) ・区民向け事業の会場のほか、貸出しも想定しています。 A大会議室(4階) ・現庁舎の講堂を継承する機能として大きな会議室を設置します。 Bギャラリー(14階) ・議会傍聴者の待合や、区議会からの情報発信、区民作品の展示などでの活用を想定したギャラリーを設けます。 ■サービス機能 C障害者就労カフェ(3階) ・広場3号やエントランスに近接し設置します。外壁東面にはアートなどの展示が可能な設えとします。 D区政情報発信スペース(3階) ・大井町駅からの歩行者動線に面して配置し、外部からの 視認性にも配慮しています。 E防災情報発信スペース(2階) ・キッズスペースを兼ねた、防災などの区民啓発等の情報発信スペースを想定しています。 Fオアシスルーム(2階) ・現在の第三庁舎にあるオアシスルームを移転し、現状より定員を拡充します。 G物品販売等スペース(2階) ・広場3号に近接して設置し、障害者が就労する物品販売等のスペースを想定しています。 ○17ページ、 11.フロア配置計画 ■基本的方針 ・区民利用の多い部門は、主に多方面からのアクセス動線を確保した低層階へ集約し、区民の利便性向上を図ります。 ・他部署と連携が生じる課については、上下階で近接させて配置し、職員間の連携の強化を図ります。 ・議会機能は、区政の象徴となる議場の大空間の架構や、セキュリティなどを配慮して、13階のワンフロアに集約します。 B2階■駐車場 B1階■駐車場 1階■健康・保健のフロア 2階■区以外の執務エリア・福祉のフロア 3階■暮らしの手続きのフロア 4階■税・国保のフロア 5階■区以外の執務エリア 6階■防災のフロア 7階■企画・総務のフロア 8階■子育て・教育のフロア 9階■まちづくりのフロア 10階■まちづくりのフロア 11階■区以外の執務エリア 12階■地域・文化・スポーツのフロア 13階■議会関連のフロア 14階■議会・交流のフロア ○18〜28ページ、 12.平面計画 ○29ページ、 13.立面計画 ■基本的方針 ・日当たりのよい南面を中心に、緑化スクリーンにより緑化を拡充し、建物自体で緑の豊かさを表現します。 ・壁面の一部に木製ルーバーを設置し、これらをランダムに配置することで品川区のにぎやかさを表現し、  また南側に配置した会議室の外壁は、周りより突き出し窓面を大きくとることで、開放的な空間としています。 ・未来に向け持続的にエネルギーを自給自足する工業製品である壁面太陽光パネルを設置し、産業発祥の地として  発展してきた品川区の特性を表現します。 ・大井町らしさや懐かしさ感じられる赤レンガ色を、隣接するJR施設と連続して、外壁の一部で使用します。 ■外装 ・外装材は、主に工場で製作したコンクリートなどの成形板など、コストと耐久性を考慮した質実な仕上げ材を適所  に使用するとともに、工事現場内での作業の削減にも寄与し、建設従事者の省力化を図ります。 ・壁面太陽光発電パネルは、角度をつけて設置することで発電効率を高め、併せてパネルからの反射光による周辺環境  への影響がないように配慮します。 ・水平庇は、窓からの直射日光を和らげ、熱負荷軽減に寄与します。また、窓ガラスの外部清掃や緑化スクリーンの剪定など、  定期的なメンテナンスにも使用します。 ・木製ルーバーは、耐候性を高め、ヒビや変色などの経年劣化が顕著とならないように努めます。